JP2003299382A - インバータ制御方法およびその装置 - Google Patents

インバータ制御方法およびその装置

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JP2003299382A
JP2003299382A JP2002100751A JP2002100751A JP2003299382A JP 2003299382 A JP2003299382 A JP 2003299382A JP 2002100751 A JP2002100751 A JP 2002100751A JP 2002100751 A JP2002100751 A JP 2002100751A JP 2003299382 A JP2003299382 A JP 2003299382A
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Japan
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inverter
magnetic flux
voltage
motor
phase
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JP2002100751A
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English (en)
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Isao Takahashi
勲 高橋
Hiroyuki Yamai
広之 山井
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 停止時における固定子磁束、トルクを演算
し、十分な起動トルクを得る。 【解決手段】 電流ベクトルの大きさim(n)を演算し、
最大電流値と比較し、大きい場合には最大電流値imax
をim(n)で更新し、この時の角度φ(n)をχとし
て記憶する停止位置角推定蔀24と、 角度φ(n)を
入力として、初期値設定処理を姶めてから磁束ベクトル
が電気角で一回転したと判定した時にフラグSをセット
し、出力し、同時にサンプル番号nを0に初期化するフ
ラグS設定部26と、フラグSがセットされた場合積分
初期値を演算し、フラグSがリセットされている場合は
0を出力する積分初期値演算部25とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インバータに接
続されたブラシレスDCモータの固定子磁束ベクトルの
大きさと角度を演算し、これらの演算結果と対応する指
令値により、前記インバータの出力電圧を制御するイン
バータ制御方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転子に永久磁石を装着したブラシレス
DCモータは誘導モータに比べ高効率で、省エネ運転が
第一に望まれる用途で広く用いられている。
【0003】ブラシレスDCモータはトルクを制御する
ために回転位置に同期した電圧、電流の制御が必要であ
る。しかしながら、モータに回転位置センサを取り付
け、その位置信号を用いて電圧、電流の制御を行う制御
システムは、回転位置センサによりシステムが高価格、
大形になる。また、回転位置センサ信号線の断線などに
よる信頼性の低下や、モータとコントローラが離れて設
置されるアプリケーションでは、回転位置センサ情報を
コントローラに正確に伝送できない可能性があるなどの
問題があった。
【0004】これら問題点に対処するために位置センサ
レスブラシレスDCモー夕の研究が進められている。
【0005】中でも、モータ端子電圧、電流を検出し、
これら検出量からモータ固定子磁束とトルクを演算し、
これが指令値に追従するように直接インバータをスイッ
チング制御する直接トルク制御(例えば、特開200−
86795号公報参照)は、原理的に、位置検出過程を
伴わずトルク制御を行うことができ、しかも、高速トル
ク応答が得られる方式として知られている。
【0006】この方式は一般に、モータ電流制御により
高速トルク応答を得る制御系に比べて、位置角推定演
算、推定位置角による回転座標変換(d−q座標変換)、
非干渉制御を含む電流制御演算が不要で、必要な制御演
算回路もしくは、制御ソフトウェアをシンプルにでき
る。
【0007】さらに、位置角推定や電流制御演算で必要
なモータパラメータ(例えば、インダクタンスや起電力
定数)の磁気飽和による変化などの問題がないなど優れ
た特長がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、直接ト
ルク制御をブラシレスDCモータに適用する場合、回転
子に永久磁石を有するため停止時にトルクを検出するこ
とができず、トルクを制御することができない課題があ
った。なお、回転子に永久磁石をもたない誘導モータや
リラクタンスモータに直接トルク制御を適用する場合は
こうした問題は生じない。
【0009】以下、従来の直接トルク制御方式のこの問
題点を明らかにする。
【0010】便宜上、数1により3相(u−v−w)を
2相(α−β)に変換する。
【0011】
【数1】
【0012】数1の座標変換を行った場合、3相座標と
2相座標の位相関係{図1中(a)参照}と2相座標上
で捉えたモータモデル{図1中(b)参照}は図1のよ
うになる。
【0013】図1中iα、iβは2相に変換された巻線電
流、Ifは回転子に組み込んだ永久磁石を模擬する定電流
源、θmはモータ回転子の位置角(電気角)である。ま
た、図1中には回転座標系としてよく知られたd−q座標
を併記している。なお、回転子の永久磁石の磁束方向を
d軸とした。
【0014】ここで、モータトルクτは固定子反力とし
て検出できるため、固定子磁束λα、λβと巻線電流i
α、iβの外積演算により求め、数2と記すことができ
る。なお、pはモータ極対数である。
【0015】
【数2】
【0016】一方、固定子滋束λα、λβは巻線抵抗R
での電圧降下を端子電圧から差し引いた電圧を積分すれ
ば算出できる。すなわち、数3となる。
【0017】
【数3】
【0018】また、α-β固定子磁束ベクトルの合成磁
束|λ|、すなわち回転磁界の大きさは、数4となる。
【0019】
【数4】
【0020】直接トルク制御は、端子電圧、巻線電流の
検出値から数3により演算したα-β固定子磁束ベクト
ルと電流を用いて、トルクτを数2により演算し、さら
に、回転磁界の大きさ|λ|を数4から求め、トルク
τ、回転磁界の大きさ|λ|がそれぞれの指令値に追従
するようにインバータトランジスタをスイッチング制御
する。
【0021】ここで、数3に着目すると、従来の直接ト
ルク制御はモータ固定子磁束をモータ端子電圧の時間積
により演算していることがわかる。
【0022】しかしながら、回転子の永久磁石磁束の巻
線に鎖交する磁束(以降単に、回転子磁束と呼ぶ)の時
間変化が起こらない停止中は、回転子磁束に起因した電
圧は0であるため、単なる数3のモータ端子電圧の時間
積演算では、停止中の回転子磁束を検出することができ
ない。
【0023】停止時は回転子磁束情報が欠落するため、
数2によるトルク演算は不能になり、ひいては、直接ト
ルク制御を行うことができないという不都合をもたら
す。
【0024】これは固定子に直流磁束を検出できるホー
ルセンサなどを取り付け、モータ固定子磁束を検出する
ことで解決できるが、センサやその信号処理回路の追加
などによりモータ駆動システムが煩雑化し、ひいては、
コストアップや信頼性の低下を招く不都合がある。
【0025】また、インバータから所定の周波数、振幅
の交流電圧を出力し、強制的にモータを回転させる所
謂、同期運転を行い、回転後に直接トルク制御に切替え
る方法もあるが、同期運転はトルクフィードバックによ
る電圧制御を行わないため、負荷状態によってはモータ
が回転しないなど信頼性に欠けるという不都合がある。
【0026】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、停止時における固定子磁束、トルクを演算
(検出)し、十分な起動トルクを得る直接トルク制御の
起動のためのインバータ制御方法およびその装置を提供
することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1のインバータ制
御方法は、インバータに接続されたブラシレスDCモー
タの固定子磁束ベクトルを演算し、この演算結果と対応
する指令値により、前記インバータの出力電圧を制御し
てブラシレスDCモータを起動するに当たって、停止し
ている回転子の磁極位置をモータ電流もしくは端子電圧
により推定演算し、推定した磁極位置と回転子磁束の大
きさに基づいて前記固定子磁束ベクトルを設定する方法
である。
【0028】請求項2のインバータ制御方法は、前記磁
極位置の推定演算処理、および固定子磁束ベクトルを設
定する処理をブラシレスDCモータの起動時に行う方法
である。
【0029】請求項3のインバータ制御方法は、インバ
ータに接続されたブラシレスDCモータの端子電圧を検
出すると共に、これの積分演算により固定子磁束ベクト
ルを検出し、前記推定した磁極位置と回転子磁束の大き
さに基づいて前記積分演算を初期化する方法である。
【0030】請求項4のインバータ制御方法は、ブラシ
レスDCモータの固定子磁束が磁気飽和する程度の大き
さ、周波数の3相交流電圧をインバータから出力し、流
れるモータ電流を検出するとともに、検出した3相モー
タ電流を2軸が互いに直交する座標系上における2相電
流に変換し、得られた2相電流の前記直交座標上での軌
跡を測定し、前記直交座標の原点と前記軌跡の中心との
ずれから磁極位置を推定演算する方法である。
【0031】請求項5のインバータ制御方法は、前記3
相交流電圧として、少なくとも電気角で360°以上の
周期にわたって前記インバータから出力されるものを採
用する方法である。
【0032】請求項6のインバータ制御方法は、前記2
相電流の2乗和を演算するとともに、この2乗和の最大
値に対応する角度を検出し、検出角度を磁極位置の推定
演算結果とする方法である。
【0033】請求項7のインバータ制御装置は、インバ
ータに接続されたブラシレスDCモータの固定子磁束ベ
クトルを演算し、この演算結果と対応する指令値によ
り、前記インバータの出力電圧を制御するものにおい
て、ブラシレスDCモータを起動するに当たって、停止
している回転子の磁極位置をモータ電流もしくは端子電
圧により推定演算する推定演算手段と、推定した磁極位
置と回転子磁束の大きさに基づいて前記固定子磁束ベク
トルを設定する設定手段とを含むものである。
【0034】請求項8のインバータ制御装置は、前記推
定演算手段、および設定手段として、それぞれの処理を
ブラシレスDCモータの起動時に行うものを採用するも
のである。
【0035】請求項9のインバータ制御装置は、インバ
ータに接続されたブラシレスDCモータの端子電圧を検
出する電圧検出手段と、端子電圧の積分演算により固定
子磁束ベクトルを演算する固定子磁束ベクトル演算手段
と、前記推定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づ
いて前記積分演算を初期化する初期化手段とをさらに含
むものである。
【0036】請求項10のインバータ制御装置は、ブラ
シレスDCモータの固定子磁束が磁気飽和する程度の大
きさ、周波数の3相交流電圧をインバータから出力させ
るインバータ制御手段と、前記3相交流電圧が印加され
た状態において流れるモータ電流を検出するモータ電流
検出手段と、検出した3相モータ電流を2軸が互いに直
交する座標系上における2相電流に変換する変換手段
と、得られた2相電流の前記直交座標上での軌跡を測定
し、前記直交座標の原点と前記軌跡の中心とのずれから
磁極位置を推定演算する磁極位置推定演算手段とをさら
に含むものである。
【0037】請求項11のインバータ制御装置は、イン
バータ制御手段として、少なくとも電気角で360°以
上の周期にわたって前記3相交流電圧を出力すべく前記
インバータを制御するものを採用するものである。
【0038】請求項12のインバータ制御装置は、磁極
位置推定演算手段として、前記2相電流の2乗和を演算
するとともに、この2乗和の最大値に対応する角度を検
出し、検出角度を磁極位置の推定演算結果とするものを
採用するものである。
【0039】
【作用】請求項1のインバータ制御方法であれば、イン
バータに接続されたブラシレスDCモータの固定子磁束
ベクトルを演算し、この演算結果と対応する指令値によ
り、前記インバータの出力電圧を制御してブラシレスD
Cモータを制御するに当たって、停止している回転子の
磁極位置をモータ電流もしくは端子電圧により推定演算
し、推定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づいて
前記固定子磁束ベクトルを設定するのであるから、直接
トルク制御において、停止時のトルク制御が可能とな
り、十分な起動トルクを得ることができ、ひいては起動
不良をなくすることができる。
【0040】請求項2のインバータ制御方法であれば、
前記磁極位置の推定演算処理、および固定子磁束ベクト
ルを設定する処理をブラシレスDCモータの起動時に行
うのであるから、起動時に請求項1と同様の作用を達成
することができる。
【0041】請求項3のインバータ制御方法であれば、
インバータに接続されたブラシレスDCモータの端子電
圧を検出すると共に、これの積分演算により固定子磁束
ベクトルを検出し、前記推定した磁極位置と回転子磁束
の大きさに基づいて前記積分演算を初期化するのである
から、積分演算により固定子磁束ベクトルの大きさと角
度を検出する場合であっても請求項1または請求項2と
同様の作用を達成することができる。
【0042】請求項4のインバータ制御方法であれば、
ブラシレスDCモータの固定子磁束が磁気飽和する程度
の大きさ、周波数の3相交流電圧をインバータから出力
し、流れるモータ電流を検出するとともに、検出した3
相モータ電流を2軸が互いに直交する座標系上における
2相電流に変換し、得られた2相電流の前記直交座標上
での軌跡を測定し、前記直交座標の原点と前記軌跡の中
心とのずれから磁極位置を推定演算するのであるから、
2相電流の直交座標上での軌跡から磁極位置を推定する
ことができ、ひいては請求項1から請求項3の何れかと
同様の作用を達成することができる。
【0043】請求項5のインバータ制御方法であれば、
前記3相交流電圧として、少なくとも電気角で360°
以上の周期にわたって前記インバータから出力されるも
のを採用するのであるから、確実に磁極位置を推定でき
るほか、請求項4と同様の作用を達成することができ
る。
【0044】請求項6のインバータ制御方法であれば、
前記2相電流の2乗和を演算するとともに、この2乗和
の最大値に対応する角度を検出し、検出角度を磁極位置
の推定演算結果とするのであるから、簡単な処理で磁極
位置を推定できるほか、請求項4または請求項5と同様
の作用を達成することができる。
【0045】請求項7のインバータ制御装置であれば、
インバータに接続されたブラシレスDCモータの固定子
磁束ベクトルを演算し、この演算結果と対応する指令値
により、前記インバータの出力電圧を制御してブラシレ
スDCモータを制御するに当たって、推定演算手段によ
って、停止している回転子の磁極位置をモータ電流もし
くは端子電圧により推定演算し、設定手段によって、推
定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づいて前記固
定子磁束ベクトルを設定することができる。
【0046】したがって、直接トルク制御において、停
止時のトルク制御が可能となり、十分な起動トルクを得
ることができ、ひいては起動不良をなくすることができ
る。
【0047】請求項8のインバータ制御装置であれば、
前記推定演算手段、および設定手段として、それぞれの
処理をブラシレスDCモータの起動時に行うものを採用
するのであるから、起動時に請求項7と同様の作用を達
成することができる請求項9のインバータ制御装置であ
れば、インバータに接続されたブラシレスDCモータの
端子電圧を検出する電圧検出手段と、端子電圧の積分演
算により固定子磁束ベクトルを演算する固定子磁束ベク
トル演算手段と、前記推定した磁極位置と回転子磁束の
大きさに基づいて前記積分演算を初期化する初期化手段
とをさらに含むのであるから、積分演算により固定子磁
束ベクトルを検出する場合であっても請求項7または請
求項8と同様の作用を達成することができる。
【0048】請求項10のインバータ制御装置であれ
ば、ブラシレスDCモータの固定子磁束が磁気飽和する
程度の大きさ、周波数の3相交流電圧をインバータから
出力させるインバータ制御手段と、前記3相交流電圧が
印加された状態において流れるモータ電流を検出するモ
ータ電流検出手段と、検出した3相モータ電流を2軸が
互いに直交する座標系上における2相電流に変換する変
換手段と、得られた2相電流の前記直交座標上での軌跡
を測定し、前記直交座標の原点と前記軌跡の中心とのず
れから磁極位置を推定演算する磁極位置推定演算手段と
をさらに含むのであるから、2相電流の直交座標上での
軌跡から磁極位置を推定することができ、ひいては請求
項7から請求項9の何れかと同様の作用を達成すること
ができる。
【0049】請求項11のインバータ制御装置であれ
ば、インバータ制御手段として、少なくとも電気角で3
60°以上の周期にわたって前記3相交流電圧を出力す
べく前記インバータを制御するものを採用するのである
から、確実に磁極位置を推定できるほか、請求項10と
同様の作用を達成することができる。
【0050】請求項12のインバータ制御装置であれ
ば、磁極位置推定演算手段として、前記2相電流の2乗
和を演算するとともに、この2乗和の最大値に対応する
角度を検出し、検出角度を磁極位置の推定演算結果とす
るものを採用するのであるから、簡単な処理で磁極位置
を推定できるほか、請求項10または請求項11と同様
の作用を達成することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明のインバータ制御方法およびその装置の実施の形態
を詳細に説明する。
【0052】図2は、この発明のインバータ制御方法ま
たはインバータ制御装置により制御されるインバータを
用いてブラシレスDCモータを駆動するブラシレスDC
モータ駆動システムの構成を示す概略図である。
【0053】このブラシレスDCモータ駆動システム
は、商用電源(入力電圧)1を整流回路2と平滑用コン
デンサ3を介して直流電源化し、この直流電源を3相イ
ンバータ4に供給することにより3相交流電力に変換
し、この3相交流電力を3相ブラシレスDCモータ5に
供給することにより3相ブラシレスDCモータ5を駆動
するようにしている。そして、3相インバータ4を制御
するためのマイコン6を設けている。
【0054】図3は3相インバータとして採用した電圧
形インバータ回路を示す電気回路図である。
【0055】この電圧形インバータ回路は、直流電源V
dcの正極側にコレクタを接続した3個の上アームトラン
ジスタTu +、Tv +、Tw +と、負極側にエミッタを接続した
3個の下アームトランジスタTu -、Tv -、Tw -と、カソー
ドとアノードがそれぞれトランジスタのコレクタとエミ
ッタに接続された6個の環流ダイオードDu +〜Dw -とで構
成されている。また、上アームトランジスタのエミッタ
と下アームトランジスタのコレクタとが接続され、この
接続点が3相負荷(3相ブラシレスDCモータ)の端子
に接続される。
【0056】電圧形インバータは回路構成上、直流電源
Vdcの短絡が発生しない様に上下アームトラジスタを排
他的にオンオフするため、取りうるスイッチング状態は
表1の8通りになる。なお、表中のスイッチング状態
“1”は上アームトランジスタ、“0”は下アームトラ
ンジスタがそれぞれオン状態であることを示している。
【0057】
【表1】
【0058】表1中、Vo〜V7は各相トランジスタのオ
ン状態を示すために定義した電圧ベクトルである。
【0059】2相座標上で捉えた電圧ベクトルを図4に
示す。これら、2相電圧vα、vβ、が共に0の電圧ベ
クトルV0、V7(これを以降、零ベクトルと呼ぶ)と電圧
が0でない6種の電圧ベクトルV1〜V6とを用い、磁束と
トルクを制御する方法を説明する。
【0060】磁束は電圧の時間積で与えられるので、例
えば、電圧ベクトルV1〜V6を所定時間出力した場合、磁
束は図4に矢印で示す方向に変化する。そこで、図5の
様にα−β座標上を60°毎に領域I〜VIに分け、そ
れぞれの領域で出力する電圧ベクトルを制約する(例え
ば、領域IではV4とV6とに制約する)。
【0061】直接トルク制御は、数2、数3、そして数
4により演算したトルクτ、回転磁界の大きさ|λ|と
対応するそれぞれの指令値により出力する電圧ベクトル
を選択し、その出力時間を制御する。
【0062】次に、電圧ベクトル演算の例を説明する。
【0063】まず、回転磁界の接線方向の磁束軌跡を得
るための電圧ベクトルの決定方法について説明する。
【0064】図6は領域IIについて3種の電圧ベクト
ルにより得られる磁束軌跡(電圧ベクトル時間積)を微
小区間で拡大したものである。
【0065】図6においては、仮に、電圧ベクトル
6、V2、並びにV7を適宜配置している。図中の点P0
ら点P1に至る時間をTc(これをキャリア周期と呼ぶ)、
適当な変数をv1として、P0P1=v1・Tc の近似式が成
り立つ。そして、電圧ベクトルで構成した三角形△P0
P1に着目し、正弦波定理を適用すると、数5の関係を得
る。
【0066】
【数5】
【0067】そしてTc=t0+t6+t2に留意すれば、数
5から数6の関係を得ることができ、Ksの大きさにより
各電圧ベクトルの出力時間が決まる。
【0068】
【数6】
【0069】ここで、数7の関係がある。
【0070】
【数7】
【0071】従って、数6により2つの電圧ベクトルの
時間配分を決定すれば、回転磁界の接線方向にKs・Vdc
の電圧ベクトルを出力したのと等価な磁束軌跡を描くこ
とができ、Ksにより回転磁界の接線速度、換言すれば磁
界の回転角速度を制御できる。
【0072】また、図6の他に電圧ベクトルの出力順序
を入れ替えた図7の様なパターンを採用することができ
る。また、各パターンを組み合わせたパターンを種々考
えることができる。例えば、図7中の(a)と(c)との
組み合わせで図8のパターンを得ることができる。
【0073】数6の出力時間に対応する各領域の電圧ベ
クトルを表2に示す。ここで、各電圧ベクトルの出力順
序は図7中(a)のパターンとした。
【0074】
【表2】
【0075】また、表2に従った電圧ベクトルの選択
時、α-β座標で捉えたインバータ出力電圧は、t6時間
だけ出力する電圧ベクトルに対応するものをv
α_main、vβ_ main、t2時間だけ出力する電圧ベクトル
に対応するものをvα_sub、vβ_subとして表3のよう
になる。
【0076】
【表3】
【0077】位相角φ0はλα、λβにより表4の通り
算出できる。なお、β軸方向をφ=0°としている。
【0078】
【表4】
【0079】以上の方法は、3種の電圧ベクトルの合成
により得られる磁束ベクトルの方向を回転磁界の接線方
向としたため、法線方向、換言すれば磁束の大きさは3
種の電圧ベクトルの開始点と終了点とで殆ど変化しな
い。
【0080】そこで、実トルクと指令値との偏差に基づ
いて決まる所望の接線方向の磁束変化量を△λτ、実固
定子磁束と指令値との偏差に基づいて決まる所望の法線
方向の磁束変化量を△λRとした時、数8の演算により
φ’を算出する。なお、μは具体的には表5のように求
めることができる。
【0081】
【数8】
【0082】
【表5】
【0083】そして、φ’を表6に適用して電圧ベクト
ル選択、出力時間を算出するための領域番号、位相φ0
を求める。
【0084】
【表6】
【0085】数8により電圧ベクトルを制御したときの
磁束軌跡を図9に示す。これにより△λRの大きさを加
味して、領域(選択する電圧ベクトル)、出力位相φ0
を制御するため、合成して得られる電圧ベクトル時間積
の方向(図9中の矢印ABの角度)が変化し、法線方向
の磁束変化量△λRを、トルクにより定まる接線方向の
磁束変化量△λτと独立に制御できる。
【0086】次に電圧ベクトルの出力時間を決めるKs
算出方法の例を説明する。
【0087】法線方向の磁束変化量△λRは、回転磁界
の大きさの指令値|λ|*、実際値|λ|から、数9と
記すことができる。
【0088】
【数9】
【0089】したがって、キャリア周期Tcの間に出力す
べき△λRを得る電圧は、数10となる。
【0090】
【数10】
【0091】このVRを便宜上、界磁分電圧と呼ぶ。
【0092】一方、△λτに対応した電圧はトルク指令
値τ*、実際値τにより算出できる。
【0093】すなわち、モータ実トルクと指令値との偏
差が0の場合は、モータ回転角速度ωe(電気角)とイ
ンバータ出力電圧の角速度、すなわち回転磁界の角速度
とを等しく保つような制御を行い、電圧波形と回転子の
同期状態を保持する。
【0094】この時、回転磁界の大きさ|λ|とモータ
の回転角速度ωe(電気角)とによりインバータ出力電
圧は、数11と書き表すことができる。
【0095】
【数11】
【0096】一方、モータ実トルクと指令値との偏差が
ある場合には、kを増減させ、すなわち、回転磁界の
角速度を加減速し、モータ回転角速度に追従させる必要
がある。
【0097】そのために、数12の演算を行って、数1
1にモータ実トルクと指令値との偏差に比例した電圧を
加算する。
【0098】
【数12】
【0099】ここで、Gは適当な比例ゲインである。ま
た、Vτを便宜上、トルク分電圧と呼ぶ。
【0100】数12から△λτは、数13となる。
【0101】
【数13】
【0102】インバータ出力電圧VIは、数14と記すこ
とができる。
【0103】
【数14】
【0104】数10、数12を数14に与えればVI
求めることができ、数6、数7、数14により各電圧ベ
クトルの出力時間を演算できる。
【0105】なお、数12の演算には回転角速度が必要
になるが、これは例えば、回転磁界の位相角φを時間微
分することで求めることができる。
【0106】以上の直接トルク制御の例を基に、モータ
停止時における本発明によるインバータ制御を次に説明
する。
【0107】ブラシレスDCモータが停止時に直接トル
ク制御が不能になる要因は、前記の通り、回転子磁束が
モータ端子電圧の時間積により検出できなくなるためで
ある。そこで、数3を数15のように書き改める。
【0108】
【数15】
【0109】そして、追加した積分定数λ
αINI(χ)、λβINI(χ)を、回転子磁束の大きさλ
eと回転子位置画χに基づいて数16に示すように初期
設定する。
【0110】
【数16】
【0111】ここで、必要となる停止時の位置角を推定
する方法は種々公表されている。例えば、「電流ベクト
ル軌跡を用いたPMモータの位置センサレス界磁検出法に
おける推定精度の評価」、西田、近藤、電気学会産業応
用部門全国大会、平成7年などで公表されている。
【0112】この方法を用いれば、停止時にブラシレス
DCモータに固定子磁束が磁気飽和する程度の大きさ、
周波数の交流電圧を印加したときのα−β電流iα、i
βのα−β座標上の電流軌跡を測定し、電流軌跡の中心
点がα−β座標原点から移動する方向に基づき、回転子
磁束の方向を推定できる。
【0113】例えば、d軸インダクタンス、q軸インダク
タンスが互いに等しくなる、回転子の表面に磁石を装着
してなるモータ(一般に、表面磁石構造のPMモータと
言う)の場合は、前記電流軌跡は図10中(a)に破線
で示すような円軌跡を描き、磁気飽和により破線で示す
円軌跡の原点が図10中(a)のX点に移動する。ま
た、d軸インタクタンス、q軸インダクタンスが互いに等
しくない、回転子に磁石を埋込んでなるモータ(一般
に、埋込磁石構造のPMモータと言う)の場合は、前記
電流軌跡は図10中(b)に破線で示すような楕円軌跡
を描き、磁気線和により破線で示す楕円軌跡の原点が図
10中(b)のX点に移動する。
【0114】ここで、辺0−Xとβ軸との成す角χは、
電流ベクトルの大きさ数17が最大になる位相角であ
る。そして、図10に示す通りχによりd軸方向(すな
わち、回転子の永久磁石の磁束方向)を推定することが
できる。
【0115】
【数17】
【0116】停止時の処理を含む直接トルク制御を実現
するマイコンの内部処理構成を図11に、処理のフロー
チャートを図12〜図14に示す。
【0117】シングルチップマイコンの周辺機能として
内蔵されたAD変換部11は、マルチプレクサにより3
相電流の内2相分iu、iw と直流電圧Vdcとを制御処
理のインターバルTcに同期して、デジタル量に変換し、
CPUコアに伝送する。
【0118】CPUコアでは、入力された電流を3相2相
座標変換部12でαβ電流iα(n)、iβ(n){こ
こで、(n)は離散化し諸量のサンプル番号を示し、以
下、同様である。}に変換し、トルク演算部13、αβ
磁束演算部14並びに停止位置角推定部24にそれぞれ
供給する。なお、iα、iβへの変換は、数1とiu
v+iw=0の関係とを用いて、数18により行う。
【0119】
【数18】
【0120】αβ磁束演算部14は、直流電圧V
dc(n)、αβ電流iα(n)、iβ(n)並びに各電
圧ベクトル出力時間を入力として数19によりαβ磁束
λα(n+1)、λβ(n+1)を演算し、その結果をト
ルク演算部13、回転磁界の大きさ演算部16、位相演
算部17、並びに磁束ベクトル角φ演算部18にそれぞ
れ供給する。
【0121】
【数19】
【0122】なお、電圧ベクトルは表3に従って2相電
圧に変換される。また、数3の固定子磁束演算は、サン
プル点nで行われた演算結果が次サンプル点n+1で電圧
に反映されるので、数19の演算によりn+1点での磁
束を求め制御を行うことにより演算無駄時間が制御へ与
える影響をなくすことができる。
【0123】αβ磁束λα(n+1)、λβ(n+1)を
入力として、回転磁界の大きさ演算部16は数20によ
り回転磁界の大きさ│λ│(n+1)を演算し、その結
果を界磁分電圧演算部19並びにトルク分電圧演算部2
0にそれぞれ供給している。
【0124】
【数20】
【0125】αβ磁束λα(n)、λβ(n)を入力とし
て磁束ベクトル角φ演算部18は、表4に基づいて角度
φ(n)を演算する。なお、αβ磁束λα(n)、λβ
(n)は、αβ磁束λα(n+1)、λβ(n+1)を
入力とするz-1部27から出力される。
【0126】αβ電流iα(n)、iβ(n)、αβ磁
束λα(n+1)、λβ(n+1)を入力としてトルク演
算部13は数21によりトルクτ(n)を演算し、その
結果をトルク分電圧演算部20に供給する。
【0127】
【数21】
【0128】数21では、簡便に予測演算が可能な磁束
量のみサンプル点n+1での値を用い、演算遅れの影響
を軽減することができる。
【0129】トルク分電圧演算部20は、トルクτ
(n)、トルク指令値τ*、回転磁界の大きさ│λ│(n
+1)、回転子の回転角速度ωe(n)、並びに初期値設
定フラグSを入力として数22によりトルク分電圧Vτ
(n+1)を演算し、出力する。
【0130】
【数22】
【0131】界磁分電圧演算部19は、回転磁界の大き
さ│λ│(n+1)、指令値│λ│*(n+1)を入力と
して数23により界磁分電圧VR(n+1)を演算し、出
力する。
【0132】
【数23】
【0133】μ演算部21は、界磁分電圧VR(n+
1)、トルク分電圧Vτ(n+1)を入力として数24に
よりμ(n+1)を演算し、出力する。
【0134】
【数24】
【0135】なお、具体的には、−180°〜180°
の範囲でμを得るために数10、数13の関係から電圧
を磁束に読み替え表5によりμの演算を行うようにして
いる。
【0136】μ(n+1)、αβ磁束λα(n+1)、λ
β(n+1)を入力として位相演算部17は、表4、表
6により位相角φ0(n+1)、領域番号を演算し、その
結果を電圧ベクトル時間演算部22に供給する。
【0137】電圧ベクトル出力時間演算部22は、界磁
分電圧VR(n+1)、トルク分電圧Vτ(n+1)を入力
として数25によりインバータ出力電圧VI(n+1)を
算出し、数26によりKsを演算し、数27により各電
圧ベクトルのパルス幅を演算する。
【0138】
【数25】
【0139】
【数26】
【0140】
【数27】
【0141】なお、電圧ベクトル出力時間演算部22に
は、AD変換部11から直流電圧Vdc(n)が、位相演算
部17から位相角φ0(n+1)、領域番号がそれぞれ供
給されている。
【0142】演算された電圧ベクトル出力時間t6、t2
t0に基づいて、各相トランジスタのオンオフ時間を表2
に基づき、CPUの周辺回路として内蔵された3相PWMタイ
マ部23に設定する。この設定値に基づいて次サンプル
n+1点からn+2点の期間にトランジスタのオンオフ制
御が行われる。
【0143】速度演算部15は、位相角φ(n)を入力
として数28により(固定子磁束ベクトルの角度φのサ
ンプル点間の差分により)回転角速度ωe(n)を演算す
る。
【0144】
【数28】
【0145】なお、機械系の時定数は電気系に比べ、十
分長く、得られた速度情報を適当な数にわたって移動平
均処理などの処理を行って得た値を回転速度情報に用い
ることもできるし、速度の演算周期をインターバルTc
上に設定することもできる。
【0146】CPUコアのこれら一連の処理は、割り込み
タイマから設定した時間毎に出力される信号をトリガと
して、所定のインターパルTcで行われる。すなわち、サ
ンプルn点からn+1点までの経過時間はTcとなる。
【0147】初期値設定処理部は、停止位置角推定部2
4、積分初期値演算部25、およびフラグSセット部2
6から構成されている。
【0148】停止位置角推定蔀24は、数29により電
流ベクトルの大きさim(n)を演算し、最大電流値と比
較し、大きい場合には最大電流値imaxをim(n)で更
新し、この時の角度φ(n)をχとして記憶する。
【0149】
【数29】
【0150】フラグS設定部26は、角度φ(n)を入
力として、初期値設定処理を姶めてから磁束ベクトルが
電気角で360°に達したと判定した時にフラグSをセ
ットし、出力する。同時にSがセットもしくは、リセッ
ト直後にサンプル番号nを0に初期化する。
【0151】積分初期値演算部25は、数30の演算を
行う。すなわち、フラグSがセットされた場合、停止位
置角推定部24に記憶された角度χにより積分初期値を
演算し、αβ磁束演算部14に供給する。一方、フラグ
Sがリセットされている場合は、0を出力する。
【0152】
【数30】
【0153】また、フラグSはトルク分電圧演算部20
にも供給されていて、フラグSがリセットされている場
合は予め決めた定電圧VINIがトルク分電圧演算部20
から出力される。
【0154】なお、初期値設定処理の開始前に、図示し
ないメインの初期化処理により、i maxは0に、サンプ
ル番号nは0に、初期値設定フラグSはリセット状態に
それぞれ設定している。
【0155】図12から図14のフローチャートを参照
して、停止時の処理を含む直接トルク制御システムの処
理を説明する。なお、この処理は、割り込みタイマから
設定した時間毎に出力される信号をトリガとして所定の
インターバルTcで行われる。したがって、サンプル点
から次のサンプル点までの経過時間はTcである。
【0156】ステップSP1において、磁束指令|λ|
*およびトルク指令τ*を入力し、ステップSP2にお
いて、AD変換部11によりデジタル化されたモータ電
流i u(n)、iw(n)を入力し、ステップSP3にお
いて、AD変換部11によりデジタル化された直流電圧
dc(n)を入力する。
【0157】そして、ステップSP4において、3相2
相座標変換部12により数18の演算を行ってαβモー
タ電流iα(n),iβ(n)に変換し、ステップ5に
おいて、表3により電圧ベクトルを2相電圧に変換す
る。
【0158】次いで、ステップSP6において、αβ磁
束演算部14により数19の演算を行ってαβ磁束(固
定子磁束)λα(n+1)、λβ(n+1)を算出し、
ステップSP7において、回転磁界の大きさ演算部16
により数20の演算を行って回転磁界の大きさ|λ|
(n+1)を算出し、ステップSP8において、αβ磁
束ベクトル角φ演算部18により表4を用いて角度φ
(n)を演算し、ステップSP9において、初期値設定
終了フラグSがセットされているか否かを判定する。
【0159】初期値設定終了フラグSがセットされてい
ると判定された場合には、ステップSP10において、
トルク演算部13により数21の演算を行ってトルクτ
(n)を算出し、ステップSP11において、速度演算
部15により数28の演算を行って回転角速度ω
e(n)を算出し、ステップSP12において、トルク
分電圧演算部20により数22の演算を行ってトルク分
電圧Vτ(n+1){フラグSセットの値}を算出す
る。
【0160】逆に、ステップSP9において初期値設定
終了フラグSがセットされていないと判定された場合に
は、ステップSP13において、初期値設定処理を行
う。
【0161】ステップSP12の処理、またはステップ
SP13の処理が行われた場合には、ステップSP14
において、界磁分電圧演算部19により数23の演算を
行って界磁分電圧VR(n+1)を算出し、ステップS
P15において、μ演算部21により数24の演算を行
ってμ(n+1)を算出し、ステップSP16におい
て、位相演算部17により表4および表6を用いて位相
角φ0(n+1)および領域番号を得て出力する。
【0162】そして、電圧ベクトル出力時間演算部22
により、ステップSP17において、数25の演算を行
ってインバータ出力電圧VI(n+1)を算出し、ステ
ップSP18において、数26の演算を行ってKs(n
+1)を算出し、ステップSP19において、数27の
演算を行ってパルス幅を算出し、ステップSP20にお
いて、表2に基づいて各相のパルス幅を3相PWMタイ
マ部23にスケジューリングする。
【0163】そして、そのまま元の処理に戻る。したが
って、3相PWMタイマ部23にスケジューリングされ
た各相のパルス幅に基づいて次サンプルn+1点からn
+2点までの期間にインバータのトランジスタのオンオ
フ制御が行われる。
【0164】また、初期値設定処理部においては、前記
ステップSP13の処理を詳細に説明する図14のフロ
ーチャートに示す処理を行う。
【0165】ステップSP13aにおいて、所定の電圧
INIをVτ(n+1)に設定し、ステップSP13b
において、停止位置角推定部24により数29の演算を
行って電流ベクトルの大きさim(n)を算出し、ステ
ップSP13cにおいて、|φ(n)−φ(0)|が3
60°以下か否かを判定する。
【0166】|φ(n)−φ(0)|が360°以下で
あると判定された場合には、ステップSP13dにおい
て、電流ベクトルの大きさim(n)がimaxよりも大き
いか否かを判定し、電流ベクトルの大きさim(n)が
maxよりも大きいと判定された場合には、ステップS
P13eにおいて、imaxをim(n)で更新するととも
に、φ(n)をχに記憶する。
【0167】逆に、ステップSP13cにおいて|φ
(n)−φ(0)|が360°以下でないと判定された
場合には、ステップSP13fにおいて、積分初期値演
算部25により固定子磁束初期値をλα(0)=λe
sinχ、λβ(0)=λe・cosχに設定し、ステ
ップSP13gにおいて、フラグSセット部26により
初期値設定終了フラグSをセットし、ステップSP13
hにおいて、フラグSセット部26によりサンプル番号
nを0に初期化する。
【0168】そして、ステップSP13dにおいて電流
ベクトルの大きさim(n)がimaxよりも大きくないと
判定された場合、ステップSP13eの処理が行われた
場合、またはステップSP13hの処理が行われた場合
には、そのまま元の処理に戻る。
【0169】なお、図示しないシステム全体の初期化処
理により、初めて前記フローチャートの処理が行われる
とき、初期値設定終了フラグSはリセット、サンプル番
号nは0、固定子磁束初期値λα(0)=0、λ
β(0)=0に、それぞれ設定される。
【0170】また、初期値設定終了フラグSがセットさ
れるまで、外部から与えられる磁束指令|λ|*は固定
子磁束が磁気飽和する程度に、VINIはモータ電流が位
置推定に十分な検出精度が得られる程度に、それぞれ設
定される。これらの設定値は、シミュレーションや実験
により事前に設定することができる。
【0171】以上の実施の形態によれば、停止時から固
定子磁束を正しく検出することができ、直接トルク制御
を不都合なく実施することができ、ひいてはブラシレス
DCモータの起動不良をなくすることができる。
【0172】なお、停止時の磁極位置角の推定方法とし
ては、以上の実施の形態で示された方法と異なる方法を
採用することが可能である。
【0173】
【発明の効果】請求項1の発明は、直接トルク制御にお
いて、停止時のトルク制御が可能となり、十分な起動ト
ルクを得ることができ、ひいては起動不良をなくするこ
とができるという特有の効果を奏する。
【0174】請求項2の発明は、起動時に請求項1と同
様の効果を奏する。
【0175】請求項3の発明は、積分演算により固定子
磁束ベクトルの大きさと角度を検出する場合であっても
請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0176】請求項4の発明は、2相電流の直交座標上
での軌跡から磁極位置を推定することができ、ひいては
請求項1から請求項3の何れかと同様の効果を奏する。
【0177】請求項5の発明は、確実に磁極位置を推定
できるほか、請求項4と同様の効果を奏する。
【0178】請求項6の発明は、簡単な処理で磁極位置
を推定できるほか、請求項4または請求項5と同様の効
果を奏する。
【0179】請求項7の発明は、直接トルク制御におい
て、停止時のトルク制御が可能となり、十分な起動トル
クを得ることができ、ひいては起動不良をなくすること
ができるという特有の効果を奏する。
【0180】請求項8の発明は、起動時に請求項7と同
様の効果を奏する。
【0181】請求項9の発明は、積分演算により固定子
磁束ベクトルの大きさと角度を検出する場合であっても
請求項7または請求項8と同様の効果を奏する。
【0182】請求項10の発明は、2相電流の直交座標
上での軌跡から磁極位置を推定することができ、ひいて
は請求項7から請求項9の何れかと同様の効果を奏す
る。
【0183】請求項11の発明は、確実に磁極位置を推
定できるほか、請求項10と同様の効果を奏する。
【0184】請求項12の発明は、簡単な処理で磁極位
置を推定できるほか、請求項10または請求項11と同
様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】3相座標と2相座標の位相関係と2相座標上で
捉えたモータモデルとを示す図である。
【図2】この発明のインバータ制御方法またはインバー
タ制御装置により制御されるインバータを用いてブラシ
レスDCモータを駆動するブラシレスDCモータ駆動シ
ステムの構成を示す概略図である。
【図3】3相インバータとして採用した電圧形インバー
タ回路を示す電気回路図である。
【図4】2相座標上で捉えた電圧ベクトルを示す図であ
る。
【図5】電圧ベクトルV1〜V6を所定時間出力した場合に
おける磁束の変化方向を示す図である。
【図6】領域IIについて3種の電圧ベクトルにより得
られる磁束軌跡を微小区間で拡大して示す図である。
【図7】電圧ベクトル出力のパターンを示す図である。
【図8】他の電圧ベクトルパターンを示す図である。
【図9】数8により電圧ベクトルを制御したときの磁束
軌跡を示す図である。
【図10】モータ停止時の電流軌跡を示す図である。
【図11】停止時の処理を含む直接トルク制御を実現す
るマイコンの内部処理構成を示すブロック図である。
【図12】停止時の処理を含む直接トルク制御の一部を
説明するフローチャートである。
【図13】停止時の処理を含む直接トルク制御の残部を
説明するフローチャートである。
【図14】初期値設定処理を詳細に説明するフローチャ
ートである。
【符号の説明】
4 3相インバータ 5 ブラシレスDCモータ 12 3相2相座標変換部 14 αβ磁束演算部 16 回転磁界の大きさ演算部 18 αβ磁束ベクトル角φ演算部 24 停止位置角推定部 25 積分初期値演算部
フロントページの続き Fターム(参考) 5H560 BB04 BB07 BB12 DA13 DA14 DB20 DC12 DC13 EB01 EB05 EC10 HA02 HA09 SS07 TT15 UA02 XA02 XA03 XA11 XA13 5H576 BB09 CC05 DD07 EE01 EE15 FF01 GG04 GG05 HA02 HB02 JJ03 JJ04 JJ06 LL13 LL22 LL24 LL34 LL35 LL41

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インバータ(4)に接続されたブラシレ
    スDCモータ(5)の固定子磁束ベクトルを演算し、こ
    の演算結果と対応する指令値により、前記インバータ
    (4)の出力電圧を制御するインバータ制御方法におい
    て、 停止している回転子の磁極位置をモータ電流もしくは端
    子電圧により推定演算し、推定した磁極位置と回転子磁
    束の大きさに基づいて前記固定子磁束ベクトルを設定す
    ることを特徴とするインバータ制御方法。
  2. 【請求項2】 前記磁極位置の推定演算処理、および固
    定子磁束ベクトルを設定する処理をブラシレスDCモー
    タ(5)の起動時に行う請求項1に記載のインバータ制
    御方法。
  3. 【請求項3】 インバータ(4)に接続されたブラシレ
    スDCモータ(5)の端子電圧を検出すると共に、これ
    の積分演算により固定子磁束ベクトルを検出し、前記推
    定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づいて前記積
    分演算を初期化する請求項1または請求項2に記載のイ
    ンバータ制御方法。
  4. 【請求項4】 ブラシレスDCモータ(5)の固定子磁
    束が磁気飽和する程度の大きさ、周波数の3相交流電圧
    をインバータ(4)から出力し、流れるモータ電流を検
    出するとともに、検出した3相モータ電流を2軸が互い
    に直交する座標系上における2相電流に変換し、得られ
    た2相電流の前記直交座標上での軌跡を測定し、前記直
    交座標の原点と前記軌跡の中心とのずれから磁極位置を
    推定演算する請求項1から請求項3の何れかに記載のイ
    ンバータ制御方法。
  5. 【請求項5】 前記3相交流電圧は、少なくとも電気角
    で360°以上の周期にわたって前記インバータ(4)
    から出力される請求項4に記載のインバータ制御方法。
  6. 【請求項6】 前記2相電流の2乗和を演算するととも
    に、この2乗和の最大値に対応する角度を検出し、この
    検出角度を磁極位置の推定演算結果とする請求項4また
    は請求項5に記載のインバータ制御方法。
  7. 【請求項7】 インバータ(4)に接続されたブラシレ
    スDCモータ(5)の固定子磁束ベクトルを演算し、こ
    の演算結果と対応する指令値により、前記インバータ
    (4)の出力電圧を制御するインバータ制御装置におい
    て、 停止している回転子の磁極位置をモータ電流もしくは端
    子電圧により推定演算する推定演算手段(14)と、推
    定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づいて前記固
    定子磁束ベクトルを設定する設定手段(28)とを含む
    ことを特徴とするインバータ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記推定演算手段(14)、および設定
    手段(28)は、それぞれの処理をブラシレスDCモー
    タ(5)の起動時に行うものである請求項7に記載のイ
    ンバータ制御装置。
  9. 【請求項9】 インバータ(4)に接続されたブラシレ
    スDCモータ(5)の端子電圧を検出する電圧検出手段
    と、端子電圧の積分演算により固定子磁束ベクトルを推
    定演算する固定子磁束ベクトル演算手段(14)と、前
    記推定した磁極位置と回転子磁束の大きさに基づいて前
    記積分演算を初期化する初期化手段(25)とをさらに
    含む請求項7または請求項8に記載のインバータ制御装
    置。
  10. 【請求項10】 ブラシレスDCモータ(5)の固定子
    磁束が磁気飽和する程度の大きさ、周波数の3相交流電
    圧をインバータ(4)から出力させるインバータ制御手
    段と、前記3相交流電圧が印加された状態において流れ
    るモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、検出し
    た3相モータ電流を2軸が互いに直交する座標系上にお
    ける2相電流に変換する変換手段(12)と、得られた
    2相電流の前記直交座標上での軌跡を測定し、前記直交
    座標の原点と前記軌跡の中心とのずれから磁極位置を推
    定演算する磁極位置推定演算手段(24)とをさらに含
    む請求項7から請求項9の何れかに記載のインバータ制
    御装置。
  11. 【請求項11】 インバータ制御手段は、少なくとも電
    気角で360°以上の周期にわたって前記3相交流電圧
    を出力すべく前記インバータ(4)を制御するものであ
    る請求項10に記載のインバータ制御装置。
  12. 【請求項12】 磁極位置推定演算手段(24)は、前
    記2相電流の2乗和を演算するとともに、この2乗和の
    最大値に対応する角度を検出し、検出角度を磁極位置の
    推定演算結果とするものである請求項10または請求項
    11に記載のインバータ制御装置。
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