JP2003294727A - 潤滑剤の性能評価方法 - Google Patents

潤滑剤の性能評価方法

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JP2003294727A
JP2003294727A JP2002099803A JP2002099803A JP2003294727A JP 2003294727 A JP2003294727 A JP 2003294727A JP 2002099803 A JP2002099803 A JP 2002099803A JP 2002099803 A JP2002099803 A JP 2002099803A JP 2003294727 A JP2003294727 A JP 2003294727A
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ironing
lubricant
test
performance
test piece
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JP2002099803A
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Masahiko Fukuhara
正彦 福原
Hiroshi Fujimaki
宏 藤巻
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Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Yushiro Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な潤滑条件を設定して重度の焼付きを再
現することができ、それによって耐焼付き性能を精度高
く、かつ簡便に評価できる潤滑剤の性能評価方法を提供
する。 【解決手段】 潤滑剤の性能評価方法であって、中央部
に孔6が設けられた試験片2に潤滑剤を塗布するととも
に、試験片を一対の凸部と凹部を備えた工具1、4によ
りしごき加工を行い、しごき加工における工具にかかる
荷重及び/又はしごき加工後の工具若しくは試験片の表
面性状を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑剤の性能評価
方法に関し、特に金属塑性加工用潤滑剤の性能評価方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料の塑性加工に対し、適切な潤滑
剤を選定して使用しないと焼き付きが発生し製品の品位
を落としたり、型寿命を低下させたりする原因となる。
また加工に要するエネルギーも増加して、電気代等コス
トアップの原因ともなりうる。このような金属塑性加工
用潤滑剤においては、潤滑性に優れる塩素系化合物、例
えば塩素化パラフィンを添加剤として含有する潤滑剤
が、従来から広く使用されてきた。特に塩素系化合物
は、ステンレス鋼のしごき加工や鋼の精密打ち抜きに多
量に使用されてきた。しかし、例えば米国では特定の塩
素化パラフィンを発がん性物質と認定している。また、
塩素系化合物を含有する潤滑油の廃液を焼却処理した場
合、条件によっては燃焼時にダイオキシンが発生する可
能性があるとの指摘がある。かかる状況下、金属加工油
から潤滑性に優れた塩素系化合物を除いた油剤が強く求
められている。そこで、塩素系化合物を含有しない金属
加工油剤の開発検討に際し、潤滑性を評価する性能評価
方法が必要となる。従来から材料を塑性変形させて潤滑
油の性能評価を行う方法として、リング圧縮、円筒深絞
り試験、ドロービード試験等多くの方法が提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらリング
圧縮、円筒深絞り試験、ドロービード試験等は、重度の
焼付きを評価するには条件が緩やかであり、上記ステン
レス鋼のしごき加工や鋼の精密打ち抜き等の過酷な潤滑
条件を十分に再現できるものではなかった。従ってこれ
らの試験で良好な性能を示す潤滑剤であっても、ステン
レス鋼のしごき加工や鋼の精密打ち抜き等に使用した場
合、必ずしもよい性能を発揮できるとは限らなかった。
また、潤滑剤の開発検討時にはなるべく多くの試作油を
試験して、これらの中から最もよい性能を示すものを製
品化したいという要求があり、一つの試験にあまり多く
の時間と手間がかかってしまうようでは、製品開発の能
率が悪化してしまうという問題があった。
【0004】そこで、本発明は、過酷な潤滑条件を設定
して重度の焼付きを再現することができ、それによって
耐焼付き性能を精度高く、かつ簡便に評価できる潤滑剤
の性能評価方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下、本発明について説
明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図
面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本
発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】請求項1の発明は、潤滑剤の性能評価方法
であって、中央部に孔(6)が設けられた試験片(2)
に潤滑剤を塗布するとともに、試験片を一対の凸部と凹
部を備えた工具によりしごき加工を行い、しごき加工中
の工具にかかる荷重、しごき加工後の工具の表面性状、
しごき加工後の試験片の表面性状のうちのいずれか一、
又はそれらのうちの複数を測定する潤滑剤の性能評価方
法により前記課題を解決する。ここに「表面性状を測定
する。」とは、例えば目視により表面性状を観察し、所
定の評価基準と比較して性能を判定すること、表面あら
さ計により表面あらさを測定すること、表面の画像を取
り込み、画像分析すること等をいう。
【0007】この発明によれば、一定の形状と機械的特
性を備えた工具と試験片によりしごき加工を行うので、
しごき加工を再現性よく行うことができ、潤滑剤の違い
による性能差を客観的に評価することができる。また評
価項目は、加工中の荷重と表面性状の測定のみなので、
試験を簡便なものとすることができる。
【0008】請求項2の発明は、潤滑剤の性能評価方法
であって、中央部に孔が設けられた試験片に潤滑剤を塗
布するとともに、一対の凸部と凹部を備えた工具であっ
て異なる径を有する工具を複数対用意し、これらの工具
により試験片に順次しごき加工を行い、しごき加工中の
工具にかかる荷重、しごき加工後の工具の表面性状、し
ごき加工後の試験片の表面性状のうちのいずれか一、又
はそれらのうちの複数を測定する潤滑剤の性能評価方法
により前記課題を解決する。
【0009】この発明によれば、繰り返ししごき加工が
行われるので、その間に試験片に加工硬化が起きて試験
片が次第に加工しにくくなってゆく。従って、初期のし
ごきは潤滑条件が比較的緩やかであり、しごきを重ねる
ごとに条件が順に過酷なものとなってゆくので潤滑剤の
性能差を段階的に捉えることができる。
【0010】請求項3の発明は、請求項1又は2のいず
れかに記載の潤滑剤の性能評価方法において、一対の凸
部と凹部を備えた工具は鋼球(4)とダイス(1)であ
り、鋼球の直径は試験片の孔より大であるとともにダイ
スの内径より小であることを特徴とする。
【0011】この発明によれば、まず鋼球が試験片の孔
を押し広げ、その後に鋼球とダイスとの間に試験片を拘
束してしごきが行われる。したがって凸部工具としてポ
ンチを使用した場合に比較して、試験片の破断が起こり
にくく、非常に過酷な潤滑条件まで試験を行うことが可
能となる。また破断が起こりにくいので、試験を効率よ
く進行できるという利点がある。また、鋼球は、市中で
一定性状を持つものを安価で入手がしやすいというコス
ト上のメリットもある。さらに凸部工具としてポンチを
使用する場合に比較して、試験ごとに工具をプレス機に
装着する手間が少なくて済む。
【0012】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載された潤滑剤の性能評価方法において、試験片
の厚さをt(mm)、前記凸部の外径をd(mm)、前
記凹部の内径をD(mm)とした場合、下式であらわさ
れるしごき率R(%)が20≦R≦70であることを特
徴とする。 (式1)R=100(D−d)/2t この発明によれば、しごき率をこのように設定して実際
の加工に近い条件を試験に再現することができる。
【0013】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かに記載された潤滑剤の性能評価方法において、凸部及
び/又は凹部を25〜500℃に加熱して行うことを特
徴とする。
【0014】実際に製造の現場にて行われるしごき加工
は、試験が行われる条件と比較した場合、工具や加工材
のサイズが大きな場合が多く、しかも同じ加工が数時間
にわたり繰り返し行われるので、工具は加工熱(材料の
塑性変形により発生する熱と、材料と工具との間に生じ
る摩擦熱)を蓄積してかなりの高温となる。この発明に
よれば、工具をあらかじめ高温度に加温してから試験を
行うので、温度条件の観点からも実際の現場に近い条件
を試験に再現することができる。
【0015】本発明のこのような作用及び利得は、次に
説明する実施の形態から明らかにされる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1を参照しつつ本発明の潤滑剤
性能評価方法の概要を説明する。本発明の潤滑剤の性能
評価方法を行う試験機Tは、基台7上に載置されたダイ
ス(凹部工具)1と、ダイス1の内径より小さな外径を
有する鋼球(凸部工具)4と、ダイス1の上方に配置さ
れ垂直方向のストローク動作が可能なプレス機5とを備
えている。一方被加工材たる試験片2は、平面板で、例
えば円板形状をしており、中央部に所定の大きさの孔6
が設けられている。
【0017】性能評価試験を行うには、まず、ダイス1
上の中央に潤滑剤を塗布した試験片2を板押さえ3で固
定する。そして、鋼球4を、試験片2の中央部の孔6上
に載置する。この状態においては、ダイス1と試験片2
と鋼球4、及びプレス機5油圧シリンダシリンダロッド
8の軸心が一致する状態にある。次いでプレス機5のシ
リンダロッド8の下端8aを鋼球4にあてがい油圧シリ
ンダを下方に伸張させる。このようにすることにより試
験片2は、鋼球4とダイス1との間で折り曲げられ、そ
の後しごかれて加工が進行・終了する。この時のしごき
部での荷重を測定し、または加工後の試験片2の表面状
態、あるいは鋼球4とダイス1の表面状態を観察して潤
滑性を評価する。また、鋼球4の代わりにシリンダロッ
ド8aの下端にポンチを取り付けて使用してもよい。
【0018】ダイス1と鋼球4との間で試験片2が一回
の加工でしごかれる割合(しごき率)は、20〜70%
に設定することが望ましく、20%以下であると焼き付
きが出にくく潤滑剤の違いによる明瞭な性能差が現れに
くい。一方、現行性能レベルの潤滑剤を使用する場合、
しごき率が70%以上になると試験片2の材料強度が限
界となり曲げ部で破断が発生してしまうため、潤滑剤の
違いによる性能差が現れ難い。本発明において、潤滑剤
の性能評価におけるしごき率は20〜70%に設定する
ことが望ましく、さらに望ましくは30〜65%、最も
望ましくは45〜60%である。
【0019】一度のしごき加工で焼き付きが評価できな
い場合、しごき率を調整し、2度、3度と同一試験片を
複数回でしごき評価することが好ましい。このようにす
ると、1回目のしごきで試験片の加工硬化がおき、2回
目以降のしごきの潤滑条件をより過酷なものとすること
ができ、焼き付きが発生しやすくなる。この場合、合計
のしごき率は90%以上になる場合がある。
【0020】ダイス1あるいは鋼球4を、場合によって
は双方を、試験前に所定温度に加熱して試験に供する
と、実際の加工条件をよりよく再現することができ、潤
滑条件も厳しくなり潤滑剤の違いによる性能差を現れや
すくすることができる。加熱温度は25℃から500℃
に設定することが望ましく、さらに望ましくは50℃〜
400℃、最も望ましくは100℃〜300℃とするこ
とが好ましい。25℃以下では、試験環境温度が高くな
る夏季等においては、むしろ冷却が必要となることもあ
ると考えられるため、温度条件としては適当でない。ま
た500℃以上では実際の潤滑条件と比較した場合、条
件が厳し過ぎるため潤滑剤の違いによる性能差が現れに
くくなる。加熱は、温度を自由設定することができる電
気炉を使用し、該電気炉を所定温度に設定後を炉中に鋼
球、ダイスを所定時間保持することにより行う。
【0021】
【実施例】<試験1>試験片材質:鋼(SCM435) 初めに、試験片の材質として、一般的な被加工材である
鋼を使用して、しごき率、及び工具加熱温度を変化させ
て、これらをどの範囲で変化させたら妥当な潤滑剤性能
評価方法とすることができるかについて、検証した。 (1−1)しごき率 しごき率を変化させた場合に潤滑剤の性能差がどのよう
に現れるかを調べた。凹部工具としてダイス、凸部工具
として鋼球を使用した。ダイス径は一定とし、鋼球の径
を変化させることによりしごき率を変化させた。
【0022】ダイス材質は超硬工具であり、径は20.
85mm(一定)とした。鋼球は、材質SUJ2(軸受
け鋼)を使用し、径を15.88mmから19.05m
mまで5段階に変化させることによりしごき率を変化さ
せた。これらの鋼球を試験に先立ち電気炉中に保持して
25℃に加温して試験に供した。また、試験片は、材質
がSCM435(クロムモリブデン鋼)、外径50m
m、中心部に形成した孔の径は10.0mm、厚さ3.
2mmのものを使用した。上記鋼球の5種類の径に対応
するしごき率は22.3%〜71.9%であった。
【0023】しごき率の違いによってどのような性能差
が出るかを調査するに当たり、基準となる潤滑剤2種
(試料A、及び試料B)を下記要領にて調製した。
【0024】
【表1】
【0025】試料Aは、従来のステンレス鋼用しごき加
工油を想定している。試料油Bは、試料Aの添加剤であ
る塩素化パラフィンをポリサルファイドに置き換えて同
等の性能を目指す試作油を想定している。なお、上記塩
素化パラフィンは味の素株式会社製の「Epk50」
(塩素量50%)、ジアルキルスルフィドは、エルフア
トケムジャパン社の「TPS32」(硫黄分30%)を
使用した。
【0026】試験手順は次の通りであった。すなわち、
試料油を塗布した試験片をシワ押さえ治具とセンター出
し治具を用いてダイスと同心円上に(軸心を共有するよ
うにして)滑りが生じないように固定した。次いで所定
温度(25℃)に加温した鋼球を試験片の孔に載せ、プ
レス機にて鋼球を垂直方向下方に所定長さ押圧した。プ
レスはストローク数50spmに設定し、単発(一工
程)にて加工した。使用したプレス機の諸元を表2に示
す。
【0027】
【表2】
【0028】押圧中の荷重、及びプレス終了後の試験片
内周面の焼き付き状態を目視にて観察し記録した。表3
に試験結果をまとめて示す。表中焼き付きの評価につい
て、「◎」はまったく焼き付きがなかったことを、
「○」は一部に焼き付きが認められたことを、「△」は
全面に焼き付きが認められたことを、「×」は試験片が
破断したことをそれぞれ示す。
【0029】
【表3】
【0030】実施例1(しごき率22.3%)では、両
試料油において焼き付きは発生せず、この点に関しては
両試料油の差は認められなかったが、荷重において両試
料油の間に明瞭な差が認められた。しごき率22.3%
は試験条件として適当なものの、やや緩やかであったと
認められる。したがってこのしごき率は、特に両試料油
より性能が低いレベルにある潤滑剤の評価に適当であ
る。
【0031】実施例2(しごき率34.7%)では、焼
き付き評価及び荷重の両者において両試料油の間に性能
差が認められた。しかし、その差は顕著なものではなか
った。したがってこのしごき率は、試験条件としては適
当であるが、過酷な使用に耐える潤滑剤を評価するには
やや緩やかな条件であったと認められる。
【0032】実施例3(しごき率47.0%)では、焼
き付き評価及び荷重の両者において両試料油の間に顕著
な性能差が認められた。したがってこのしごき率は、現
行性能レベルのしごき加工用潤滑剤の試験条件として適
当であったと認められる。
【0033】実施例4(しごき率59.5%)では、試
料Bにおいて試験片の破断がおき、焼き付き評価及び荷
重を測定することができなかったが、試料Aにおいては
試験片の破断は発生せず、焼き付き評価及び荷重を測定
することができた。このしごき率では、破断発生の有無
で両試料油の性能を相対的に比較することができた。し
たがってこのしごき率は、現行よりさらに過酷な使用に
耐える潤滑剤を評価するに適当な試験条件であると判断
される。
【0034】比較例1(しごき率71.9%)では、試
料A及び試料Bの両者において試験片の破断が発生し、
焼き付き評価及び荷重を測定することができなかった。
このしごき率では、現行のしごき加工用潤滑剤の試験条
件として高過ぎるものであったと判断される。しかし実
施例1〜4のしごき率と破断との関係から判断して、今
後さらに生産性の高いしごき加工用潤滑剤の開発を目指
して性能評価試験を行うような場合に、有効なしごき率
になるものと思われる。
【0035】以上の実施例1〜4、及び比較例1の結果
を総合すると、しごき率として適当な範囲は、20%〜
70%、さらに好ましくは30%〜65%、最も好まし
くは45%〜60%である。
【0036】(1−2)工具加熱温度 工具加熱温度を変化させた場合に潤滑剤の性能差がどの
ように現れるかを調べた。凹部工具としてダイス、凸部
工具として鋼球を使用した。ダイス材質は超硬工具であ
り、径は20.85mm、鋼球材質はSUJ2(軸受け
鋼)であり径は16.67mmのものを使用した。試験
片は(1−1)と同じものを使用した。これらによりし
ごき率は、34.7%となった。この鋼球を試験に先立
ち電気炉中に保持して、15℃〜600℃の間で11段
階の温度に加温して試験に供した。試料油A、Bは(1
−1)と同じものを使用した。また、試験の手順及び評
価の方法についても(1−1)において説明したものと
同様である。表4に試験結果をまとめて示す。
【0037】
【表4】
【0038】比較例2(鋼球加熱温度15℃)では、実
施例5(鋼球加熱温度25℃)とほとんど差が見られな
い。初期の鋼球加熱温度を15℃としても、加工時の発
熱により温度上昇が生じ、25℃の結果と同じになった
ものと考えられる。このため、鋼球加熱温度を25℃以
下に下げても本評価方法における評価としては、それほ
ど有効ではないと判断される。
【0039】実施例5(鋼球温度25℃)では、両試料
間に荷重及び焼き付きに関して差が認められるものの、
その差は僅かなものであった。この結果から、25℃は
しごき加工油の性能評価試験条件における鋼球加熱温度
としては緩やかであると考えられるが、潤滑性の僅かな
差を見る試験条件として採用できるものであったと判断
される。
【0040】実施例6〜12(鋼球温度50℃〜400
℃)では、荷重及び焼き付き評価の面で両試料油間に顕
著な差が認められた。したがってこの温度範囲は、しご
き加工油の性能評価試験条件における鋼球加熱温度とし
て適切な範囲であったと判断される。
【0041】実施例13(鋼球温度500℃)では、試
料Bにおいて試験片の破断がおき、焼き付き評価及び荷
重を測定することができなかった。一方、試料Aにおい
ては試験片の破断は発生せず、焼き付き評価及び荷重を
測定することができた。この鋼球加熱温度では、破断発
生の有無で両試料油の性能を相対的に比較することがで
きた。したがってこの鋼球加熱温度は、現行よりさらに
過酷な使用に耐える潤滑剤を評価するに適当な試験条件
であったと判断される。
【0042】比較例3(鋼球加熱温度600℃)では、
試料A及び試料Bの両者において試験片の破断が発生し
た。したがって、焼き付き評価及び荷重を測定すること
ができなかった。この鋼球加熱温度は、しごき加工用潤
滑剤の試験条件として高過ぎるものであったと判断され
る。
【0043】以上の実施例5〜13並びに比較例2及び
3の結果を総合すると、鋼球加熱温度として適当な範囲
は、25℃〜500℃、さらに好ましくは50℃〜40
0℃、最も好ましくは100℃〜300℃である。
【0044】<試験2>試験片材質:ステンレス鋼(S
US304) 試験1の鋼に引き続き、試験片の材質としてステンレス
鋼(SUS304)を使用して、しごき率、鋼球加熱温
度の妥当性の確認を行った。しごき加工における被加工
材としてのステンレス鋼は、実際に多く使用されてお
り、その加工における潤滑条件は通常の鋼を加工する場
合と比較してより過酷である。従って、本願発明にかか
る潤滑剤の性能評価法における試験材質として、ステン
レス鋼を使用することは、潤滑剤が使用される現場をよ
りよく再現できるという観点から重要である。
【0045】試験2においては、凹部工具としてダイ
ス、凸部工具として鋼球を使用した。ダイス材質は超硬
工具であり、径は20.85mmのものを使用した。鋼
球材質はSUJ2(軸受け鋼)であり、鋼球の径はしご
き率を変化させる試験(2−1)では17.46〜1
9.84mmの範囲で7段階に変化させて評価を行っ
た。これらの径に対応するしごき率は15.3%〜7
4.8%であった。また、工具加熱温度を変化させる試
験(2−2)では、鋼球径を19.05mm(一定)と
した。この場合にしごき率は55.0%であった。試験
片は材質SUS304(ステンレス鋼)であり、外径5
0mm、中央部に設けた孔の内径10mm、厚さ2.0
mm、表面あらさRa=0.05μmのものを使用し
た。試料油A、Bは<試験1>と同じものを使用した。
また、試験の手順も<試験1>において説明したものと
同様である。 (2−1)しごき率
【0046】
【表5】
【0047】比較例4(しごき率15.3%)では、荷
重において両油間に僅かな差が認められたが、焼き付き
に関しては、全く差が認められなかった。従って、しご
き率15.3%は、過酷な条件における潤滑剤の性能評
価を行おうとする本願発明の試験条件としては、緩やか
過ぎ、このレベルの条件は従来のリング圧縮、円筒深絞
り試験、ドロービード試験等に委ねられるべきものであ
ると判断される。
【0048】実施例14(しごき率28.8%)では、
両試料油において焼き付きに関する差が僅かには発生
し、荷重においても両試料油の間に若干の差が認められ
た。したがってしごき率22.3%は試験条件として適
当なものと認められる。このしごき率は、性能がそれほ
ど高くはないレベルにある潤滑剤の評価に適当である。
【0049】実施例15〜17(しごき率35.3〜5
5.0%)では、焼き付き評価及び荷重の両者において
両試料油の間に明らかな性能差が認められた。したがっ
てこのしごき率は、しごき加工用潤滑剤の試験条件とし
て適当であったと認められる。
【0050】実施例18(しごき率65.0%)では、
試料Bにおいて試験片の破断がおきたが、試料Aにおい
ては試験片の破断は発生せず、両油の焼き付き評価及び
荷重を測定することができた。このしごき率では、破断
発生の有無、及び荷重により両試料油の性能を比較する
ことができた。したがってこのしごき率は、現行よりさ
らに過酷な使用に耐える潤滑剤を評価するに適当な試験
条件であると判断される。
【0051】比較例5(しごき率74.8%)では、試
料A及び試料Bの両者において試験片の破断が発生し
た。また、両油間の焼き付き荷重に差は認められなかっ
た。このしごき率では、現行のしごき加工用潤滑剤の試
験条件として高過ぎるものであったと判断される。
【0052】以上の実施例14〜18、並びに比較例4
及び5の結果を総合すると、試験片としてステンレス鋼
を使用する場合にも、本願発明にかかる潤滑剤の性能評
価方法におけるしごき率として適当な範囲は、20%〜
70%、さらに好ましくは30%〜65%、最も好まし
くは45%〜60%である。
【0053】(2−2)工具加熱温度
【0054】
【表6】
【0055】比較例6(鋼球加熱温度15℃)では、実
施例19(鋼球加熱温度25℃)とまったく差が見られ
なかった。ここでも初期の鋼球加熱温度を15℃として
も、加工時の発熱により温度上昇が生じ、25℃の結果
と同じになったものと考えられる。このため、鋼球加熱
温度を25℃以下に下げても本評価方法における評価と
しては、それほど有効ではないと判断される。
【0056】実施例19〜22(鋼球温度25〜100
℃)では、両試料間に荷重及び焼き付きに関して差が認
められるものの、その差は僅かなものであった。この結
果から、25〜100℃は、しごき加工油の性能評価試
験条件における鋼球加熱温度としては緩やかであると考
えられるが、潤滑性の僅かな差を見る試験条件として採
用できるものであったと判断される。
【0057】実施例23および24(鋼球温度150℃
・200℃)では、荷重及び焼き付き評価の面で両試料
油間に顕著な差が認められた。したがってこの温度範囲
は、ステンレス鋼のしごき加工油の性能評価試験条件に
おける鋼球加熱温度として適切な範囲であったと判断さ
れる。
【0058】実施例25(鋼球温度300℃)では、試
料Bにおいて試験片の破断がおきたが、試料Aにおいて
は試験片の破断は発生せず、また両油について荷重を測
定することができた。この鋼球加熱温度では、破断発生
の有無及び荷重を比較することで両試料油の性能を評価
することができた。したがってこの鋼球加熱温度は、ス
テンレス鋼のしごき加工油の性能評価試験条件における
鋼球加熱温度として適切な範囲であったと判断される。
【0059】実施例26〜27(鋼球温度400〜50
0℃)では、実施例25とほぼ同等の試験結果が得られ
た。したがってこの鋼球加熱温度範囲は、ステンレス鋼
のしごき加工油の性能評価試験条件における鋼球加熱温
度として設定可能な範囲である。ただし、同じ結果が得
られる300℃より鋼球温度を高くする分だけ、試験コ
スト等の観点からは不利といえる。一方、現行よりさら
に過酷な使用に耐える潤滑剤を評価するに適当な試験条
件となる可能性を秘めているとも考えられる。
【0060】比較例7(鋼球加熱温度600℃)では、
試料A及び試料Bの両者において試験片の破断が発生し
た。また、両油間の焼き付き荷重に差は認められなかっ
た。このしごき率では、現行のしごき加工用潤滑剤の試
験条件として高過ぎるものであったと判断される。
【0061】以上の実施例19〜27並びに比較例6及
び7の結果を総合すると、試験片としてステンレス鋼を
使用する場合の鋼球加熱温度として適当な範囲は、25
℃〜500℃、さらに好ましくは50℃〜400℃、最
も好ましくは150℃〜300℃である。
【0062】以上、現時点において、もっとも、実践的
であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して
本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示さ
れた実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲お
よび明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に
反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を
伴う潤滑剤の性能評価方法もまた本発明の技術的範囲に
包含されるものとして理解されなければならない。
【0063】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1の発明
によれば、一定形状と機械的特性を備えた工具と試験片
によりしごき加工を行うので、しごき加工を再現性よく
行うことができ、潤滑剤の違いによる性能差を客観的に
評価することができる。また評価項目は、加工中の荷重
と表面性状の測定のみなので、試験を簡便なものとする
ことができる。
【0064】また、請求項2の発明によれば、繰り返し
しごき加工が行われるので、その間に試験片に加工硬化
が起きて試験片が次第に加工しにくくなってゆく。従っ
て、初期のしごきは潤滑条件が比較的緩やかであり、し
ごきを重ねるごとに条件が順に過酷なものとなってゆく
ので潤滑剤の性能差を段階的に捉えることができる。
【0065】また、請求項3の発明によれば、まず鋼球
が試験片の孔を押し広げ、その後に鋼球とダイスとの間
に試験片を拘束してしごきが行われる。したがって凸部
工具としてポンチを使用した場合に比較して、試験片の
破断が起こりにくく、非常に過酷な潤滑条件まで試験を
行うことが可能となる。また破断が起こりにくいので、
試験を効率よく進行できるという利点がある。また、鋼
球は、市中で一定性状を持つものを安価で入手がしやす
いというコスト上のメリットもある。さらに凸部工具と
してポンチを使用する場合に比較して、試験ごとに工具
をプレス機に装着する手間が少なくて済む。
【0066】さらに、請求項4の発明によれば、所定の
しごき率に設定して実際の加工条件に近い条件を試験に
再現することができる。
【0067】また、請求項5の発明によれば、工具をあ
らかじめ高温度に加温してから試験を行うので、温度条
件の観点からも実際の現場に近い条件を試験に再現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】潤滑剤の性能評価試験機を示す図である。
【符号の説明】
1 ダイス(凹部工具) 2 試験片 4 鋼球(凸部工具) 6 孔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑剤の性能評価方法であって、 中央部に孔が設けられた試験片に前記潤滑剤を塗布する
    とともに、前記試験片を一対の凸部と凹部を備えた工具
    によりしごき加工を行い、 前記しごき加工中の前記工具にかかる荷重、前記しごき
    加工後の前記工具の表面性状、前記しごき加工後の前記
    試験片の表面性状のうちのいずれか一、又はそれらのう
    ちの複数を測定する、 潤滑剤の性能評価方法。
  2. 【請求項2】 潤滑剤の性能評価方法であって、 中央部に孔が設けられた試験片に前記潤滑剤を塗布する
    とともに、一対の凸部と凹部を備えた工具であって異な
    る径を有する前記工具を複数対用意し、これらの工具に
    より前記試験片に順次しごき加工を行い、 前記しごき加工中の前記工具にかかる荷重、前記しごき
    加工後の前記工具の表面性状、前記しごき加工後の前記
    試験片の表面性状のうちのいずれか一、又はそれらのう
    ちの複数を測定する、 潤滑剤の性能評価方法。
  3. 【請求項3】 前記一対の凸部と凹部を備えた工具は、
    鋼球とダイスであり、 前記鋼球の直径は、前記試験片の孔より大であるととも
    に前記ダイスの内径より小である請求項1又は2のいず
    れかに記載の潤滑剤の性能評価方法。
  4. 【請求項4】 前記試験片の厚さをt(mm)、前記凸
    部の外径をd(mm)、前記凹部の内径をD(mm)と
    した場合、下式であらわされるしごき率R(%)が 20≦R≦70 である請求項1〜3のいずれかに記載された潤滑剤の性
    能評価方法。 (式1)R=100(D−d)/2t
  5. 【請求項5】 前記凸部及び/又は凹部を25〜500
    ℃に加熱して行うことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載された潤滑剤の性能評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009222641A (ja) * 2008-03-18 2009-10-01 Aisin Seiki Co Ltd 加工機用加工油の性能評価方法

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