JP2003293035A - 表面層が改質された鋳鉄とその改質方 - Google Patents

表面層が改質された鋳鉄とその改質方

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隆 木村
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憲二 西田
Yoshiaki Osawa
嘉昭 大澤
Yukiaki Harada
幸明 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳鉄の表面層の耐高温酸化性および耐磨耗性
の向上と低コストで簡便に、しかも大量生産を可能にす
る。 【解決手段】 鋳鉄にアルミニウムを2.0〜20.0
wt%添加したものを加熱溶解してアルミニウム含有鋳
鉄を製造し、これを大気または酸素含有雰囲気中で75
0〜1100℃の温度で加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は鋳鉄の表面
層改質方法に関するものである。さらに詳しくは、この
出願の発明は、常温のみならず高温下における砂や小石
等に対する耐磨耗性が要求されるセメントの製造用とし
て好適なロータリーキルン材料や自動車のマニホールド
等として好適な、表面層が耐高温酸化性、耐磨耗性を有
するものとして改質された鋳鉄とその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】従来から耐熱性や耐磨耗性
に優れた鋳鉄としては高クロム鋳鉄やニレジスト鋳鉄
(高Ni鋳鉄)が使用されてきている。しかしながら、
クロムは環境汚染元素として近年使用が抑制されてきて
おり、特にヨーロッパではクロムの使用が厳しく制限さ
れている。また、ニッケルは資源として貴重であるが、
ニッケルが鉄元素と結合して合金になった場合、現在の
技術では分離が不可能であり、資源再利用の面からもニ
ッケルの使用には制限があった。
【0003】また一方、鋳鉄にアルミニウムを含有させ
ると、優れた耐高温酸化特性を示すことは知られてい
る。しかしながら、従来から知られているアルミニウム
含有鋳鉄は、鋳鉄にアルミニウムを添加して溶解凝固す
ることにより製造されたものだけである。この様な従来
公知のアルミニウム含有鋳鉄の場合には、鋳鉄中の黒鉛
自体に空隙があるため、酸素がこの空隙を経由して内部
まで入り、黒鉛と反応して脱炭作用を行い製品劣化の原
因となっていた。
【0004】さらにまた、従来から鋳鉄の表面層を改質
する方法として、鋳鉄の表面層に他の材料を含浸するこ
とも行われてきた。しかしながら、従来から行われてい
る鋳鉄表面層に他の材料を含浸させる方法は、鋳鉄の表
面層にドリル等で微細孔を形成した後、改質材料の溶融
液を含浸する方法、あるいは、オイルレスベアリングを
成形する時に採用されている様な加熱冷却を数十回繰り
返したりしながら改質材料を含浸する等の複雑な方法が
主として採用されていた。
【0005】この様な機械的操作による方法とは別に、
化学的操作によって表面層に空隙を形成してアルミニウ
ムを含浸させる方法も知られている。たとえば、特公昭
53−30657号公報には鋳鉄を酸化性雰囲気中で7
50〜950℃に加熱して脱炭処理を行い、鋳鉄の表面
層に空隙を形成させ、この空隙を形成した鋳鉄にアルミ
ニウム等の低融点金属の溶融体を加圧しながら含浸させ
る鋳鉄表面層の改質方法が開示されている。
【0006】だが、鋳鉄の表面層に他の材料を含浸させ
るために行われてきた従来の方法は、いずれも鋳鉄表面
層を予め何らかの手段で空隙を形成した後、溶融した改
質材料を含浸する方法であるため、操作が複雑で時間が
かかり、コストが嵩み大量製造には不適当であった。そ
こで、この出願の発明は、以上のとおりの従来技術の問
題点を解消し、低コストで簡便に大量生産が可能とされ
て、表面の耐高温酸化性および耐磨耗性の向上が図られ
る、表面層が改質された新しい鋳鉄とその製造法を提供
することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するためのものとして、第1には、組成成
分として、炭素2.0〜4.5wt%、アルミニウム
2.0〜20.0wt%を含有するアルミニウム含有鋳
鉄を大気または酸素含有雰囲気中で750〜1100℃
の温度で加熱処理する鋳鉄の表面層改良方法を提供する
ものであり、この出願の発明は、第2には、上記の方法
において、アルミニウム6.0〜18.0wt%を含有
する方法を提供するものである。また、この出願の発明
は、第3には、上記の方法において、シリコンを1.0
〜3.0wt%含有する方法を、第4には、950〜1
050℃の温度で加熱処理する方法を、第5には、上記
の方法において、加熱処理時間を1〜50時間にする方
法を提供するものである。そして、この出願の発明は、
第6には、その組成成分としてアルミニウム2.0〜2
0.0wt%を含有する鋳鉄であって、表面層には組成
成分アルミニウム由来のアルミナが生成分散されること
によって改質された鋳鉄を提供し、第7には、上記鋳鉄
において、アルミニウム含有量が6.0〜18.0wt
%である鋳鉄を、第8には、シリコン1.0〜3.0w
t%が含有されている鋳鉄を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、以下にその実態について説
明する。
【0009】この出願の発明は、クロムの様な環境汚染
元素やニッケルの様な貴重元素を使用することなく、無
害で埋蔵量が多く安価な元素であるアルミニウムを鋳鉄
に含有させて、加熱処理するだけの簡単な方法で製造す
ることのできる、耐高温酸化性や耐磨耗性に優れた表面
層を有する鋳鉄を提供するものであるが、この出願の発
明では、まずは、鋳鉄中のアルミニウムの含有量が2.
0〜20.0wt%に、炭素2.0〜4.5wt%,そ
してシリコン1.0〜3.0wt%を含有するように成
分調整を行い、たとえば充分黒鉛が晶出するように冷却
速度が遅い砂型等の鋳型を使用して鋳鉄鋳物を製造す
る。次いで,この鋳鉄鋳物を750〜1100℃の温度
範囲において大気もしくは酸素含有雰囲気中にて加熱処
理する。この加熱処理によって、鋳鉄の表層近傍の黒鉛
が雰囲気中の酸素で脱炭されて、黒鉛のあった空隙には
アルミナが生成されて表面層が形成される。
【0010】この出願の発明では、この様に、アルミニ
ウムを含有させた鋳鉄を大気もしくは酸素含有雰囲気中
で加熱処理するだけで、鋳鉄の表面層を改質し、耐高温
酸化性、耐磨耗性を向上させることができるものであ
る。
【0011】この出願の発明では鋳鉄の組成において、
アルミニウム2.0〜20wt%とするが、この理由と
しては、アルミニウムが2.0wt%未満であると、鋳
鉄の表面内部層の黒鉛がアルミナに換わる速度よりも、
表面が酸化して鉄が酸化鉄となって剥離していく速度が
速いため表面の状態が悪くなり改質層の生成が困難とな
るためである。またアルミニウム含有量を20wt%を
超えるものにすると湯流れが悪くなることも理由であ
る。熱処理温度は750〜1100℃の範囲とする。熱
処理温度が750℃未満では脱炭のみが優先的に起こ
り、十分発達したアルミナ相の形成がなされないためで
ある。また、1100℃を超える場合には、大気中の酸
素による酸化反応が激しく起こり、表面近傍のアルミナ
化よりも剥離が優先的に起こるためである。以上のよう
なこの出願の発明における加熱処理では、鋳鉄の組成と
して、あらかじめアルミニウム含有量を6.0〜18.
0wt%の範囲とすることや、加熱処理の温度を950
〜1050℃の範囲にすることがさらに有効である。な
お、組成について、不可避的的不純物の存在が許容され
ることは言うまでもない。
【0012】そして、アルミナ相形成に必要な加熱処理
の時間は表1および図3に示唆されているようにアルミ
ナ置換が効果的に行われる1〜50時間程度が好まし
く、特に3〜40時間が好適と考えられる。
【0013】以上のとおり、この出願の発明において
は、鋳鉄の表面層にアルミナが生成されることによって
表面層の耐高温酸化性が向上するが、これは、加熱処理
前の鋳鉄では、鋳鉄中の黒鉛がネットワーク状に存在
し、酸素が内部まで供給されやすい状態となっている
が、加熱処理によって黒鉛のあった場所が緻密なアルミ
ナに置き換わることにより酸素の供給ルートが遮断され
内層部までの酸化が抑制されるためである。
【0014】また、表面層の柔らかい黒鉛が高硬度のア
ルミナに置き換わることによって耐磨耗性が向上する。
【0015】なお、加熱処理によるアルミナの生成層の
厚さは加熱温度、加熱処理時間、含有するアルミニウム
の量を調整することによって制御することが可能であ
る。
【0016】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく
この出願の発明について説明する。
【0017】もちろん以下の例によって発明が制限され
ることはない。
【0018】
【実施例】<実施例1>炭素3.2wt%、シリコン
2.4wt%、アルミニウム6.0wt%の配合比にな
るように電解鉄,電極黒鉛、金属シリコンおよび純アル
ミニウムを混合して高周波誘導炉で溶解して砂型に鋳造
して試料を作製した。この試料から縦10mm×横20
mm×厚さ5mmの試験片を作成し、これを大気雰囲気
中の1000℃の高温炉内に20時間保持した。その
後、試験片を炉から取り出し、試験片を中央で切断し、
その断面を光学顕微鏡及びEPMA(electro
probe microanalyser)により分析
した。図1は、この試料の断面を光学顕微鏡で観察した
ものであり、図2は同じ試料の断面をEPMA(ele
ctro probe microanalyser)
で観察したものである。図1では、途中に、黒鉛の量が
少なく白線のように見える部分が観察される。図2の結
果から、この白線のように見える部分から外側は黒鉛が
アルミナと置き換わった領域(A)であり、内側が黒鉛
のままの領域(B)であることがわかる。
【0019】すなわち、熱処理前の断面図では全て黒鉛
相であったものが熱処理によって表面近傍だけがアルミ
ナ相に置き換わった部分が生成されていることがわか
る。
【0020】図2は同じ試料の断面をEPMA(ele
ctro probe microanalyser)
で観察したものである。試料を表面から裏面まで1mm
間隔〔(a)~(f)〕に採取し分析した。この写真で
白くなっている部分がアルミナになっているところであ
る。表面から1mm(b)および(e)辺りまでアルミ
ナ化が進んでいることがわかる。この部分は、図1では
黒鉛がアルミナと置き換わった領域(A)に相当する。
このアルミナ化した部分が、耐高温酸化性・耐磨耗性の
向上に寄与すると考えられる。 <実施例2>実施例1と同じように、炭素3.2wt
%、シリコン2.4wt%、アルミニウム6.0wt%
の配合比になるように電解鉄、電極黒鉛、金属シリコン
および純アルミニウムを混合して高周波誘導炉で溶解し
て砂型に鋳造して試料を作製した。この試料から縦10
mm×横20mm×厚さ5mmの試験片を作成し、大気
雰囲気中の1000℃の高温炉内に入れて、それぞれ3
0分間、1時間、3時間、7時間、20時間、50時
間、70時間保持した後で取出してアルミナ生成層の厚
さを測定したのが表1であり、それをグラフにしたのが
図3である。
【0021】表1および図3のグラフからも明らかな様
にアルミナ生成層は時間と共に増大している。しかしな
がら、アルミナ生成層の厚さの変化は最初は急速である
が時間の経過と共に小さくなっており50時間を超える
と、ほぼ平衡に達している。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明は、鋳鉄の表面に耐高温酸化性および耐磨耗性を付
与させるに際し、鋳鉄に無害で安価、しかも埋蔵量が多
いアルミニウムを含有させて特定の温度で熱処理するこ
とによって、低コストで簡便に大量生産が可能な方法を
提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学顕微鏡で見た試料の断面図である。
【図2】図1と同じ試料をEPMAでみた断面図であ
る。
【図3】加熱時間とアルミナ生成層の厚さの関係を示し
た図である。
【符号の説明】
A 黒鉛がアルミナと置き換わった領域 B 黒鉛のままの領域 a 表面層 b 表面から1mm層 c 表面から2mm層 d 裏面から2mm層 e 裏面から1mm層 f 裏面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大澤 嘉昭 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 独立 行政法人物質・材料研究機構内 (72)発明者 原田 幸明 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 独立 行政法人物質・材料研究機構内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成成分として、炭素2.0〜4.5w
    t%、アルミニウム2.0〜20.0wt%を含有する
    アルミニウム含有鋳鉄を大気または酸素含有雰囲気中で
    750〜1100℃の温度で加熱処理することを特徴と
    する鋳鉄の表面層改質方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム6.0〜18.0wt%含
    有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 シリコンを1.0〜3.0wt%含有す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 950〜1050℃の温度で加熱処理す
    ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 加熱処理時間を1〜50時間とすること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 組成成分として、アルミニウム2.0〜
    20.0wt%を含有する鋳鉄であって、表面層には、
    組成成分アルミニウム由来のアルミナが生成分散されて
    いることを特徴とする表面層が改質された鋳鉄。
  7. 【請求項7】 組成成分アルミニウムとして6.0〜1
    8.0wt%を含有することを特徴とする請求項6に記
    載の鋳鉄。
  8. 【請求項8】 シリコンを1.0〜3.0wt%含有す
    ることを特徴等する請求項6または7に記載の鋳鉄。
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