JP2003292319A - シリコンポリマーの製造方法 - Google Patents

シリコンポリマーの製造方法

Info

Publication number
JP2003292319A
JP2003292319A JP2003036179A JP2003036179A JP2003292319A JP 2003292319 A JP2003292319 A JP 2003292319A JP 2003036179 A JP2003036179 A JP 2003036179A JP 2003036179 A JP2003036179 A JP 2003036179A JP 2003292319 A JP2003292319 A JP 2003292319A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atom
silicon
polymer
boron
arsenic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003036179A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Kimura
仁史 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2003036179A priority Critical patent/JP2003292319A/ja
Publication of JP2003292319A publication Critical patent/JP2003292319A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】炭素原子を中心とする有機化学材料及びシリコ
ン結晶材料のそれぞれの長所を合わせ持ち、新しい物性
を有する新規のシリコンポリマーの製造方法を提供す
る。 【解決手段】珪素原子から成る主骨格に、ボロン、アル
ミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素及び
アンチモンから成る群から選ばれた原子から成る不純物
原子が導入されたシリコンポリマーの製造方法であっ
て、H2SiCl2とH2XCl2(但し、Xは、ボロン原
子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原
子、窒素原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子のい
ずれか)とをテトラヒドロフラン中でLi又はNaの存
在下、加熱還流する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規のシリコンポ
リマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現代の有機化学産業においては、有機材
料は、主に炭素原子を中心とした材料から構成されてい
る。一方、半導体産業は、材料の安定性と物性の多様性
から珪素原子を基本に成り立っている。そして、近い将
来、炭素原子を中心とした有機化学産業の相当の領域
が、珪素原子を中心とする珪素化学産業に移行していく
ものと考えられている。
【0003】
【非特許文献1】Fujino, et al, J. Polymer Science,
vol 26 (1988), pp 109
【非特許文献2】株式会社サイエンスフォーラム発行、
「有機ケイ素戦略資料−第1集」、第480〜481頁
【非特許文献3】S. Furukawa, Solid State Commun.,
62 (1987), pp 539
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現代の炭素原子を中心
とする有機化学材料は、 (イ)共有結合を有する場合、バンドギャップが広く、
半導体になり難い (ロ)結合が比較的弱いため、柔らかく、強度が低い (ハ)熱に弱い (ニ)原料の多くを石油に依存しており、石油が枯渇す
ると原料の調達が難しくなる といった問題を有している。
【0005】また、従来の半導体材料において広く用い
られているシリコン結晶は、 (A)良質な単結晶を作ることができる (B)酸化物、窒化物は良質な絶縁体を形成する (C)LSI等の製造工程は相当熟成している (D)原料がほぼ無限にある という特徴を有するが、一方、 (a)半導体デバイスの微細化が限界に近づきつつある (b)シリコン結晶を用いているため、柔らかい構造を
形成することができない (c)バンドギャップが1.1eVに固定されており、
多様な物性を付与することが困難である (d)シリコン結晶は、そのエネルギーバンド構造が間
接遷移型であり、発光しない (e)半導体デバイスにおいては、金属を配線に用いる
ため、製造工程が複雑であり、また、極微細な構造を形
成することが困難である といった問題を有している。
【0006】主骨格が一次元構造を有するシリコンポリ
マーは、例えば、文献 Fujino, etal, J. Polymer Scie
nce, vol 26 (1988), pp 109 から公知である。この文
献に記載されたシリコンポリマーは、以下の反応により
合成される。 [化1]
【0007】また、株式会社サイエンスフォーラム発
行、「有機ケイ素戦略資料−第1集」、第480〜48
1頁には、以下の反応によって主骨格が一次元構造を有
するシリコンポリマーを合成できることが記載されてい
る。 [化2] [化3]
【0008】これらの方法で得られたシリコンポリマー
は絶縁体である。フィルム状のシリコンポリマーを五フ
ッ化砒素あるいは五フッ化アンチモンでドーピングする
と半導体レベルの電気伝導性を示すとの報告が、上記
「有機ケイ素戦略資料−第1集」、第481頁に述べら
れている。このように電気伝導性が発現する理由は、珪
素−珪素結合を形成しているσ電子がドーパントである
五フッ化砒素あるいは五フッ化アンチモンに移動するこ
とにより、珪素鎖にエレクトロンホールが生じ、このエ
レクトロンホールが珪素鎖を通して移動するためである
と考えられる。これらの方法で得られたシリコンポリマ
ーの主骨格には不純物原子が導入されておらず、あるい
は又、五フッ化砒素あるいは五フッ化アンチモンはドー
パントとしてシリコンポリマーの主骨格に導入されてい
ない。
【0009】シリコンポリマーへのドーピング方法が、
例えば、文献 S. Furukawa, SolidState Commun., 62
(1987), pp 539 から知られている。この方法では、プ
ラズマCVD法を用いてシリコン基板上にポリシランア
ロイ(シリコンポリマー)を以下の条件で堆積させる。
生成物は、IRの測定結果等からポリシランアロイ(S
i:H)であろうと推定されている。この方法を用いれ
ば、ポリシランアロイ(Si:H)をシリコン基板上に
形成することができ、また、p型やn型のドーピングも
可能であると報告されている。
【0010】 使用ガス :ジシラン(Si26RFパワー :〜0.2W 全ガス圧 :〜0.2Torr 全ガス流速 :〜100sccm 使用基板 :単結晶シリコン基板 基板温度 :〜300゜K (室温)
【0011】しかしながら、この文献によるポリシラン
アロイへのドーピング方法は、原子配列に秩序のないア
ロイへの不純物のドーピングに関するものであり、本発
明の目指す、原子配列及び高分子の方向性に秩序を有す
るシリコンポリマーとは本質的に異なるものである。
【0012】従って、本発明の目的は、炭素原子を中心
とする有機化学材料及びシリコン結晶材料のそれぞれの
長所を合わせ持ち、新しい物性を有する新規のシリコン
ポリマーの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係るシリコンポリマーの製造
方法は、珪素原子から成る主骨格に、ボロン、アルミニ
ウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素及びアン
チモンから成る群から選ばれた原子から成る不純物原子
が導入されたシリコンポリマーの製造方法であって、H
2SiCl2とH2XCl2(但し、Xは、ボロン原子、ア
ルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、窒素
原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子のいずれか)
とをテトラヒドロフラン中でLi又はNaの存在下、加
熱還流することを特徴とする。
【0014】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係るシリコンポリマーの製造方法は、珪素原子
から成る主骨格に、ボロン、アルミニウム、ガリウム、
インジウム、窒素、燐、砒素及びアンチモンから成る群
から選ばれた原子から成る不純物原子が導入されたシリ
コンポリマーの製造方法であって、R12XCl2とR3
4SiCl2(但し、Xは、ボロン原子、アルミニウム
原子、ガリウム原子、インジウム原子、窒素原子、燐原
子、砒素原子、アンチモン原子のいずれかであり、
1,R2,R3,R4は、水素原子、アルキル基、アリー
ル基のいずれか)とをテトラヒドロフラン中でLi又は
Naの存在下、加熱還流することを特徴とする。
【0015】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係るシリコンポリマーの製造方法は、珪素原子
から成る主骨格に、ボロン、アルミニウム、ガリウム、
インジウム、窒素、燐、砒素及びアンチモンから成る群
から選ばれた原子から成る不純物原子が導入されたシリ
コンポリマーの製造方法であって、CaSi2結晶と、
CaX2結晶(但し、Xは、ボロン原子、アルミニウム
原子、ガリウム原子、インジウム原子、窒素原子、燐原
子、砒素原子、アンチモン原子のいずれか)とを、塩酸
中に放置することを特徴とする。
【0016】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーは、珪素原子から成る主
骨格に不純物原子が導入されていることを特徴とする。
ここで、シリコンポリマーとは、炭素系有機高分子にお
ける炭素を珪素原子に置き換えたものである。
【0017】不純物原子は、ボロン、アルミニウム、ガ
リウム、インジウム、窒素、燐、砒素、アンチモンから
成る群から選ばれた1種又は2種以上の原子であること
が望ましい。主骨格の珪素原子はIV族に属すため、I
II族原子あるいはV族原子の不純物を主骨格に導入す
ると、不純物原子の準位がバンドギャップ中の比較的浅
い位置に現れ、ドナー・アクセプターレベルとして作用
する。
【0018】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーの好ましい態様において
は、シリコンポリマーは、水素原子、アルキル基、アリ
ール基、又はこれらの組み合わせから成る側鎖基を有す
る。
【0019】主骨格は、一次元構造(鎖状、線状)、二
次元構造(面状)あるいは三次元構造(立体構造)とい
った構造を有する。尚、ここで、本発明のシリコンポリ
マーの製造方法によって得られる三次元構造を有するシ
リコンポリマーには、通常のダイアモンド構造を有する
シリコン単結晶を含まない。
【0020】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーの好ましい態様において
は、シリコンポリマーは、主骨格の構造及び/又はサイ
ズを制御することによって、バンドギャップが制御され
ることを特徴とする。また、本発明のシリコンポリマー
の製造方法によって得られるシリコンポリマーの好まし
い態様においては、シリコンポリマーの電気伝導度は、
不純物原子間の距離を制御することによって制御され
る。不純物原子間の平均距離を22オングストローム以
上とすることにより、半導体としての性質を有し得る。
あるいは又、不純物原子間の平均距離を22オングスト
ローム未満とすることにより、導体としての性質を有し
得る。
【0021】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーの好ましい態様において
は、シリコンポリマーは、固体材料内又は固体表面上に
形成され、あるいは、液体中、真空中又は気体中に存在
する。
【0022】主骨格に不純物原子が導入されているか否
かについては、NMRスペクトル、ESRスペクトル、
可視・紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、電気
伝導度、発光スペクトル、元素分析等、各種の測定法に
より分析することができる。主骨格に導入された不純物
原子の種類は、質量分析法、蛍光エックス線分析法、原
子吸光分析法等、各種の分析法で特定することができ
る。主骨格の有する側鎖基の種類は、質量分析法、元素
分析法、NMR、可視・紫外吸収スペクトル等の、各種
分析法で特定することができる。主骨格の構造、不純物
原子間の距離は、質量分析法、元素分析法、STM等の
各種分析法により分析・測定することができる。固体材
料内又は固体表面上に形成され、あるいは、液体中、真
空中又は気体中に存在するシリコンポリマーは、可視・
紫外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、発光スペク
トル、表面反射スペクトル等、各種の測定法によってそ
の存在の有無を検出することができる。
【0023】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーにおいては、主骨格に不
純物原子が導入されている。これによって、バンドギャ
ップ中に欠陥準位(レベル)が生じ、この準位はドナー
あるいはアクセプターとなり得るので、シリコンポリマ
ーの電気伝導性を容易に且つ高精度にて制御することが
できる。
【0024】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーにおいて不純物原子の導
入によって生じた準位は、通常のシリコン結晶に添加さ
れた不純物原子(P、As、B等)により生じる準位よ
りも深いため、キャリアーの生成に必要なエネルギーが
高く、電気伝導性が生じ難い。しかしながら、導入され
た不純物原子間の距離が短い場合、電子が部分的に占有
されているドナー・アクセプターレベルの電子軌道間に
重なりが生じ(この状態を模式的に図1に示す)、バン
ドが形成されることにより、シリコンポリマーの電気伝
導性が増加する。このように、主骨格へ導入される不純
物原子間の距離を制御することによって、シリコンポリ
マーの電気伝導性を制御することができる。
【0025】また、シリコンポリマーの構造(一次元構
造、二次元構造、三次元構造)及び/又はサイズと、バ
ンドギャップとの関係を図2に示す。図2からも明かな
ように、シリコンポリマーの構造及び/又はサイズを制
御することによって、バンドギャップを制御することが
できる。
【0026】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明のシリコンポリ
マーの製造方法を説明する。 (実施例−1)実施例−1におけるシリコンポリマー
は、Siから成る主骨格に不純物原子(X)が導入され
ており、主骨格は一次元構造を有し、側鎖基は水素原子
である。不純物原子(X)は、ボロン、アルミニウム、
ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素、アンチモン等
とすることができる。このシリコンポリマーは、次式で
示すように、ジクロロシランH2SiCl2とH2XCl2
とを、テトラヒドロフラン(THF)中でLi又はNa
の存在下、加熱還流させることで得られる。 [化4]
【0027】xの値を0から1の間で変化させることに
より、主骨格に導入される不純物原子の割合を変えるこ
とができる。また、反応時間を調節することによって、
シリコンポリマーのサイズを制御することができる。即
ち、反応時間が長くなる程、シリコンポリマーの長さ
(一次元的なサイズ)が長くなり、これによって、シリ
コンポリマーのバンドギャップを制御することができ、
その結果、シリコンポリマーの電気伝導性を制御するこ
とができる。
【0028】(実施例−2)実施例−2におけるシリコ
ンポリマーは、Siから成る主骨格に不純物原子(X)
が導入されており、主骨格は一次元構造を有し、水素原
子、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせ
から成る側鎖基を有する。不純物原子(X)は、ボロ
ン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、
砒素、アンチモン等とすることができる。このシリコン
ポリマーは、次式で示すように、R12XCl2とR2
4SiCl2とを、テトラヒドロフラン(THF)中でL
i又はNaの存在下、加熱還流させることで得られる。
尚、R1、R2、R3、R4は、水素原子、アルキル基、ア
リール基のいずれかである。 [化5]
【0029】yの値を0から1の間で変化させることに
より、主骨格に導入される不純物原子の割合を変えるこ
とができる。また、反応時間を調節することによって、
シリコンポリマーのサイズを制御することができる。即
ち、反応時間が長くなる程、シリコンポリマーの長さが
長くなり、これによって、シリコンポリマーのバンドギ
ャップを制御することができ、その結果、シリコンポリ
マーの電気伝導性を制御することができる。また、側鎖
基が存在することによって、ダングリングボンドを除去
することができる。
【0030】(実施例−3)実施例−3におけるシリコ
ンポリマーは、Siから成る主骨格に不純物原子が導入
されており、主骨格は二次元構造を有する。不純物原子
は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒
素、燐、砒素、アンチモン等とすることができる。この
シリコンポリマーは、以下の方法で合成することができ
る。
【0031】CaSi2結晶と例えばCaB2とを混合
し、38%HCl溶液中に常温で3時間放置する。その
後、濾過し、P25を添加して真空乾燥すると、明るい
黄色の層状のシロキサンが得られる。CaB2を加えて
おくことにより、Siから成る主骨格にBが不純物原子
として導入される。尚、CaB2の代わりに、CaP2
CaAs2等を加えることもできる。反応時間を調節す
ることによって、シリコンポリマーのサイズを制御する
ことができる。即ち、反応時間が長くなる程、シリコン
ポリマーの面積(二次元的なサイズ)が増大し、これに
よって、シリコンポリマーのバンドギャップを制御する
ことができ、その結果、シリコンポリマーの電気伝導性
を制御することができる。
【0032】(実施例−4)実施例−4におけるシリコ
ンポリマーは、主骨格に不純物原子が導入されており、
主骨格は三次元構造を有する。不純物原子は、ボロン、
アルミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒
素、アンチモン等とすることができる。このシリコンポ
リマーは、以下の方法で作製することができる。
【0033】基板としてグラファイト若しくはグラファ
イト構造を有する物質を用意し、この基板上にシリコン
をエピタキシャル成長させる。これによって、グラファ
イト構造を有し、不純物原子が導入されたシリコンポリ
マーを作製することができる。尚、グラファイト若しく
はグラファイト構造の物質の代わりに、例えば、六方窒
化ホウ素BN型構造を有する基板、例えば六方窒化ホウ
素を用いることもできる。
【0034】(実施例−5)実施例−5においては、走
査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、Siから成る
主骨格に不純物原子を導入する。即ち、不純物原子から
成る材料から不純物原子を1つずつSTMの探針で抜き
取り、Si原子間の所望の位置にかかる不純物原子を挿
入する。
【0035】その後、シリコンポリマーに水素原子等を
吸着させてダングリングボンドの処理を行い、更に絶縁
膜をその上に堆積させることによって、形成されたSi
−不純物原子の配列を固定する。
【0036】(実施例−6)図1に示したように、不純
物原子間の距離が短い場合、バンドギャップ中に存在す
る不純物原子の電子軌道同士に重なりが生じ、キャリア
ー(電子あるいはホール)が容易に行き来できるように
なる。従って、不純物原子のエネルギー準位間に重なり
が生じる程度の周期で主骨格に不純物原子を導入すれ
ば、シリコンポリマーの電気伝導性を増加させることが
できる。
【0037】水素原子から成る側鎖基を有する十分に長
い一次元構造を有するシリコンポリマーに不純物原子と
してボロン(B)を導入し、BSi3268を得た。この
場合の電子状態を計算すると、価電子帯上端よりも約1
eV高い位置(バンドギャップ中)に、Bによる3つの
準位が出現する。この3つの準位の内、最もエネルギー
の高い準位がアクセプターレベルとなる(図3参照)。
このアクセプターレベルの波動関数を等高線で表すと、
図4のようになる。波動関数の絶対値が0.01以上と
なる領域、即ち、近似的には電子の存在確率が0.00
01e/au3以上である領域、はB原子を中心として
約11オングストロームの距離まで広がっている(図4
参照)。尚、図4において、実線は正の値を、破線は負
の値を示し、等高線の高さは、±0.0100,±0.
0225,±0.0550,±0.1000である。ま
た、x方向及びy方向の長さの単位は、au(1au=
0.52917706オングストローム)である。
【0038】十分に長いシリコン鎖に2つ以上のB原子
を導入して、これらのB原子間の距離を上述の11オン
グストロームの2倍未満、即ち22オングストローム未
満とすれば、アクセプター準位間に重なりが生じ、価電
子帯にホールを供給できなくても、電気伝導性が生じ
る。従って、B原子を周期的に導入し、それらの間隔を
22オングストローム未満とすれば、シリコンポリマー
に導体的性質を付与することができる。B原子間の距離
が短くなる程、アクセプター準位間の重なりが増加し、
シリコンポリマーの電気伝導性は増加する。また、B原
子間の距離を22オングストローム以上とすれば、シリ
コンポリマーに半導体的性質を付与することができる。
このように、導入する不純物原子間の距離を制御するこ
とにより電気伝導性を制御することができる。
【0039】(実施例−7)実施例−1におけるxの
値、あるいは実施例−2におけるyの値を、0から1の
間で変化させることにより、主骨格に導入される不純物
原子の割合を変えることができ、これによって、不純物
原子間の距離を制御することができる。即ち、一次元構
造を有するシリコンポリマーの形状は、図5に模式的に
示すような構造となっており、主骨格となるSi原子間
の軸方向の距離Dは、主骨格原子の結合角及び結合距離
がシリコン結晶のそれらと同じ値であるとすれば、約
1.92オングストロームとなる。従って、不純物原子
間の距離を22オングストローム程度とするためには、
22÷1.92=11.46 であるから、Si原子1
1個に対して1個の不純物原子が存在すればよい。以上
の結果から、x≧1/11又はy≧1/11 とすれ
ば、シリコンポリマーに導体としての性質を付与し得
る。また、x<1/11 又はy<1/11 とすれ
ば、シリコンポリマーに半導体としての性質を付与し得
る。
【0040】(実施例−8)実施例−8は、本発明によ
るシリコンポリマーが固体材料内に形成されている例で
ある。固体材料として、例えばシリコン酸化物等の絶縁
体や、シリコンポリマーよりもワイドギャップの半導体
結晶、液晶や高分子薄膜等を例示することができる。シ
リコンポリマーの主骨格は、一次元構造(鎖状)、二次
元構造(面状)あるいは三次元構造(立体構造)を有す
る。本発明によるシリコンポリマーが固体材料内に形成
されている例として、IC、LSIの内部(表面に露出
していない)配線、あるいは量子効果素子を例示するこ
とができる。
【0041】(実施例−9)実施例−9は、本発明によ
るシリコンポリマーが固体材料表面上に形成されている
例である。固体材料として、例えばシリコン酸化物等の
絶縁体や、シリコンポリマーよりもワイドギャップの半
導体結晶、液晶や高分子薄膜等を例示することができ
る。シリコンポリマーの主骨格は、一次元構造(鎖
状)、二次元構造(面状)あるいは三次元構造(立体構
造)を有する。本発明によるシリコンポリマーが固体材
料表面上に形成されている例として、IC、LSIの配
線、あるいは量子効果素子を例示することができる。
【0042】(実施例−10)実施例−10は、本発明
によるシリコンポリマーが液体中に存在する例である。
これによって、光励起により発光する液体を作製するこ
とができる。液体としては、ヘキサン類、ペンタン類、
オクタン類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルメタ
ン、ジクロルエタン等の無極性溶媒等を例示することが
できる。光励起により発光する液体を作製する場合、液
体は光透過性の良いものを用いることが好ましい。
【0043】(実施例−11)実施例−10は、本発明
によるシリコンポリマーが真空中あるいは気体中に存在
する例である。気体としては、N2、He、Ne、A
r、Kr、Xe等を例示することができる。
【0044】
【発明の効果】本発明のシリコンポリマーの製造方法に
よって得られるシリコンポリマーにおいては、不純物原
子の導入を調整することで、電気伝導性を制御すること
ができる。また、シリコンポリマーの構造及び/又はサ
イズを変えることで、バンドギャップを制御することが
できる。更には、シリコンポリマーを取り込んだ構造の
各種材料や装置、素子を作製することができ、目的に応
じた特性を有する材料を、例えば半導体素子用材料や機
械的に安定した材料として提供することができる。
【0045】本発明のシリコンポリマーの製造方法によ
って得られるシリコンポリマーは以下の特徴を有する。 珪素原子は、炭素原子と比較して結合力が強い。 半導体的性質、導体的性質を有する高分子を作るこ
とができる。 エネルギーバンド構造が直接遷移型となり、発光し
得る。 シリコン結晶と比較してバンドギャップが広く、ま
た、炭素原子を用いた有機材料と比較して結合力が強い
ので、耐熱性、不燃性、強度等の点で優れる。 形状やサイズを制御することにより、バンドギャッ
プを制御することができる。
【0046】このような特徴を生かすことによって、以
下に述べる素子や材料に応用することができる。 (1) 任意のバンドギャップを有する半導体材料 (2) 超超微細半導体デバイス及びその材料 (3) 超超微細半導体デバイスの配線材料 (4) 量子細線、量子ドット、量子箱等の量子効果素
子及びその材料 (5) 発光素子、受光素子及びその材料 (6) 金属に匹敵する耐熱性、耐酸化性、耐食性を有
する材料 (7) 電気伝導性を有するエンジニアリングプラスチ
ック (8) 現在の半導体素子と比べて柔らかい構造を有す
る半導体素子及びそのの材料 (9) その他、半導体超格子、感光材料、超高密度電
流送電材料、人工臓器、生体適合材料、建築材料、航空
・宇宙材料、超LSI微細加工用材料、光スイッチ、非
線形光学材料への適用
【図面の簡単な説明】
【図1】ドナー・アクセプターレベルの軌道間に重なり
を模式的に示す図である。
【図2】シリコンポリマーの構造、サイズとバンドギャ
ップの関係を示す図である。
【図3】シリコンポリマーに不純物原子としてボロンを
導入したときのエネルギー準位を示す図である。
【図4】アクセプターレベルの波動関数を等高線で表し
た図である。
【図5】一次元構造を有するシリコンポリマーの形状を
模式的に示す図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G072 AA35 AA38 HH02 HH03 HH28 JJ07 JJ09 JJ34 KK01 KK11 LL07 LL15 MM01 RR12 4J246 AA05 AB01 BA40X BA400 BB40X BB400 BB46X BB460 CA01X CA010 CA23X CA230 CA27X CA270 CA39X CA390 FA161 FA441 FC011 GC54 GC55 HA11 HA66 HA67

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪素原子から成る主骨格に、ボロン、アル
    ミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素及び
    アンチモンから成る群から選ばれた原子から成る不純物
    原子が導入されたシリコンポリマーの製造方法であっ
    て、 H2SiCl2とH2XCl2(但し、Xは、ボロン原子、
    アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、窒
    素原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子のいずれ
    か)とをテトラヒドロフラン中でLi又はNaの存在
    下、加熱還流することを特徴とするシリコンポリマーの
    製造方法。
  2. 【請求項2】珪素原子から成る主骨格に、ボロン、アル
    ミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素及び
    アンチモンから成る群から選ばれた原子から成る不純物
    原子が導入されたシリコンポリマーの製造方法であっ
    て、 R12XCl2とR34SiCl2(但し、Xは、ボロン
    原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原
    子、窒素原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子のい
    ずれかであり、R1,R2,R3,R4は、水素原子、アル
    キル基、アリール基のいずれか)とをテトラヒドロフラ
    ン中でLi又はNaの存在下、加熱還流することを特徴
    とするシリコンポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】珪素原子から成る主骨格に、ボロン、アル
    ミニウム、ガリウム、インジウム、窒素、燐、砒素及び
    アンチモンから成る群から選ばれた原子から成る不純物
    原子が導入されたシリコンポリマーの製造方法であっ
    て、 CaSi2結晶と、CaX2結晶(但し、Xは、ボロン原
    子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原
    子、窒素原子、燐原子、砒素原子、アンチモン原子のい
    ずれか)とを、塩酸中に放置することを特徴とするシリ
    コンポリマーの製造方法。
JP2003036179A 2003-02-14 2003-02-14 シリコンポリマーの製造方法 Pending JP2003292319A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036179A JP2003292319A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 シリコンポリマーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036179A JP2003292319A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 シリコンポリマーの製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21746692A Division JP3508144B2 (ja) 1992-07-24 1992-07-24 シリコンポリマー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003292319A true JP2003292319A (ja) 2003-10-15

Family

ID=29244428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003036179A Pending JP2003292319A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 シリコンポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003292319A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108349740A (zh) * 2015-10-29 2018-07-31 株式会社丰田自动织机 硅材料的制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108349740A (zh) * 2015-10-29 2018-07-31 株式会社丰田自动织机 硅材料的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhao et al. Crafting semiconductor organic− inorganic nanocomposites via placing conjugated polymers in intimate contact with nanocrystals for hybrid solar cells
López et al. Morphological, compositional, structural, and optical properties of Si-nc embedded in SiO x films
Das et al. Electrical transport phenomena prevailing in undoped nc-Si/a-SiNx: H thin films prepared by inductively coupled plasma chemical vapor deposition
KR20060066080A (ko) 광전지 어플리케이션을 위한 실리콘 기반의 유전성 코팅 및필름
Karar et al. Quasi-two-dimensional luminescent silicon nanosheets
Chang et al. Enhanced optoelectronic performance from the Ti-doped ZnO nanowires
KR101954381B1 (ko) SiNW 어레이 상에 수직 정렬된 CNTs의 무촉매 합성방법
Terada et al. Orange–red Si quantum dot LEDs from recycled rice husks
Balasubramanyam et al. Probing the origin and suppression of vertically oriented nanostructures of 2D WS2 layers
Wong et al. Gold nanowires from silicon nanowire templates
Zhao et al. Substantially enhanced properties of 2D WS2 by high concentration of erbium doping against tungsten vacancy formation
TW471006B (en) N-type semiconductor diamond and its fabrication method
Petersen et al. Silicon-carbide nanocrystals from nonthermal plasma: surface chemistry and quantum confinement
Loh et al. Photoluminescent Si/SiO2 Core/Shell Quantum Dots Prepared by High-Pressure Water Vapor Annealing for Solar Concentrators, Light-Emitting Devices, and Bioimaging
Hwang et al. Interlayer energy transfer and photoluminescence quenching in MoSe2/graphene van der Waals heterostructures for optoelectronic devices
Paul et al. Ultrabroadband Absorption and High-Performance Photodetection in Europium-Doped 2D Topological Insulator Bi2Se3 Nanosheets
Kaloyeros et al. Silicon carbide thin film technologies: recent advances in processing, properties, and applications-Part I
JP2003292319A (ja) シリコンポリマーの製造方法
US7906672B2 (en) Method for preparing size-controlled silicon carbide nancrystals
TW200421455A (en) Low-resistance n-type semiconductor diamond and its manufacturing method
JP3508144B2 (ja) シリコンポリマー
JP2010519406A (ja) ケイ素ゲルマニウム合金ナノ結晶の調製方法
Klust et al. Growth kinetics of CaF 2/Si (111) for a two-step deposition
CN113764380B (zh) 三氧化二锑材料作为半导体集成电路层间或金属间的介电材料的应用
Pfaehler et al. Space charge-limited current transport in thin films of alkyl-functionalized silicon nanocrystals

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040224