JP2003289327A - 移動ホストを含むパケット通信ネットワークにおけるキャッシュ可能なストリーミング・コンテンツの管理システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動ノードによって要求されたキャッシュ可
能なストリーミング・コンテンツを管理する。 【解決手段】 ネットワーク・アーキテクチャは、第１
および第２サブネットを含む。キャッシュ・ハンドオフ
・システムは、第１サブネットで動作する移動ノードの
要求に応じてストリーミング・コンテンツの供給を行
う、第１サブネットで動作する第１キャッシング・プロ
キシを含んでいる。第１キャッシング・プロキシは、移
動ノードが第２サブネットに移動すると、第２キャッシ
ング・プロキシに対し、要求のキャッシュ処理のハンド
オフを開始する。第２キャッシング・プロキシは、この
キャッシュ処理のハンドオフに応じて、要求されたスト
リーミング・コンテンツを中断することなく提供し続け
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークを介
したコンテンツのストリーミングに関し、特に、パケッ
ト通信ネットワークの移動ノードに配信されるキャッシ
ュ可能なストリーミング・コンテンツを制御する方法お
よびシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】インターネットへの接続がますます普及
し、浸透し、迅速化し、そして信頼性の高いものになる
につれ、ストリーミング・マルチメディア・コンテンツ
が広く利用されるようになっている。さらには、より高
品質で迅速なオーディオ・ビジュアル・データの圧縮解
凍技術が、インターネットを含む大規模ネットワークを
介したマルチメディア・コンテンツのストリーミングを
可能にしている。結果として、そのようなネットワーク
は通信用の接続元であるばかりではなく、教育および娯
楽用のストリーミング・マルチメディア・コンテンツの
配信元としての役割も担いつつある。

【０００３】圧縮解凍技術の改良およびインターネット
のアクセス・スピードの向上にも拘らず、ストリーミン
グ・マルチメディアは依然としてコンテンツのサーバに
関する多くのリソースおよびネットワークの利用可能な
帯域幅を消費する。このストリーミング・マルチメディ
アによって生じるネットワークおよびサーバ上の多大な
負担の問題を解決しようと、様々な技術が開発されてい
る。この種の負担を減じるための一般に確立された技術
として、ストリーミング・コンテンツのキャッシングを
用いるものがある。このキャッシングとは、一般的に、
ストリーミング・コンテンツをコンテンツの配信元のサ
ーバから離れた場所にキャッシュする、複製データの保
持の手法である。ストリーミング・コンテンツの要求
が、サーバの代わりにキャッシュからの配信により達成
されることにより、サーバにかかる負荷が軽減される。
一方、別の確立された技術として、キャッシュをストリ
ーミング・コンテンツの要求元に近接した場所に配置す
る技術がある。キャッシュの地理的近接性により、コン
テンツの要求に対する応答時間は短縮され、ネットワー
ク上の負荷も軽減される。

【０００４】通常、コンテンツ配信ネットワークにおい
ては、ストリーミング・コンテンツのキャッシングは、
コンテンツの要求元との近接性を維持する目的で使用さ
れる。一般的に、コンテンツ配信ネットワークは階層型
あるいは分散型のキャッシング・システムを有する。階
層型のシステムにおいては、個々のキャッシュは階層状
に組織化される。分散型のキャッシング・システムにお
いては、互いに重複部分を有する網目状のキャッシュ群
が形成される。しかし、いずれの型のシステムにおいて
も、個々のキャッシュがキャッシング機能を提供する
（地理的あるいは論理的な）範囲は限定されている。一
般的に、たとえばプロキシ・サーバのような中継構成要
素は、クライアントからストリーミング・コンテンツの
要求を受け取る。この中継構成要素は、通常は、比較的
狭い領域内に位置するクライアントの集団を収容する。
そして、コンテンツ配信ネットワ−ク内の他の中継構成
要素は、他の領域内のクライアントを収容する。

【０００５】ストリーミング・マルチメディア・コンテ
ンツの要求を受け取ると、中継構成要素は通常、それに
関連するキャッシュが入手可能かを調べる。あるキャッ
シュ内でそのコンテンツが入手できない場合、コンテン
ツの要求は通常、他の（おそらくより高いレベルの）中
継構成要素、あるいは、ストリーミング・コンテンツの
供給元に順次転送される。よって、各キャッシュは、サ
ブネットと呼ばれる限られた範囲の動作領域内でクライ
アントからの要求に対する機能提供を行う。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】将来的に、携帯電話、
ＰＤＡ（ｐｅｒｓｏｎａｌ ｄｉｇｉｔａｌ ａｓｓｉ
ｓｔａｎｔ）、移動通信装置、移動演算装置等の移動ノ
ードは、モバイル・ネットワークを介した高速なインタ
ーネットへのアクセスが可能となるはずである。このこ
とから、移動ノードは、ネットワーク・トラフィック全
体に占めるマルチメディア・コンテンツのシェアを、従
来の音声のトラフィックを凌ぐまでに増大させると思わ
れる。

【０００７】そのような移動ノードの出現は、分散型の
キャッシング・システムに新たな課題を提起している。
分散型のキャッシング・システムにおいて、移動ノード
がモバイル・ネットワーク内を移動する場合、システム
は移動ノードによる異なるサブネット間の移動に対応し
た処理を行う。既存のシステムおよびネットワークにお
いては通常、基幹的なモバイル・ネットワークが、移動
ノードを収容する新しいサブネットにストリーミング・
マルチメディア・トラフィックの転送を試みる。

【０００８】たとえば、移動ＩＰ（インターネット・プ
ロトコル）を利用して行われる、ローミング中の移動ノ
ードとの通信は、そのローミング中の移動ノードが現在
属しているサブネットへ送信されるに先立ち、その移動
ノードのホーム・アドレスを通過する。あるいは、その
ローミング中の移動ノードが、新しいサブネットを特定
するための気付けアドレスを通知する。この気付けアド
レスによって、通信は新しいサブネットに対し送られ
る。ここで、そのような通信は、移動ノードによってマ
ルチメディアのストリーミングの要求が為された際、そ
の移動ノードが属していたサブネット内のキャッシュに
よって提供されているストリーミング・マルチメディア
を含むこともある。このストリーミング・マルチメディ
アを含んだ通信が行われる結果、サブネット間のトラフ
ィックは増大し、ネットワークの輻輳が引き起こされ
る。そして、サブネット間のトラフィックの増大は、通
信の遅延、通信品質の低下、あるいは、クライアントに
近接したキャッシュからのストリーミング・マルチメデ
ィア・コンテンツを提供するという目的を没却しかねな
い。

【０００９】さらに、異なるネットワーク間における移
動ノードの移動における別の問題もある。たとえば、セ
ルラー・モバイル・ネットワーク内の移動ノードは、通
常は、そのモバイル・ネットワークの物理的に近接した
部分（サブネット）に移動する。ただし、モバイル・ネ
ットワークの物理的に近接した部分であること、すなわ
ち、サービス提供範囲に重なり部分を持つ近接した２つ
のモバイル・ネットワークであることは、必ずしもそれ
らの移動ノードの移動先と移動元とが論理的に近接して
いることを意味するわけではない。たとえば、ローミン
グ中の移動ノードとの通信が、セルラー・ネットワーク
から、そのセルラー・ネットワークに物理的に近接して
いる無線ＬＡＮに対しハンドオフされる場合、その無線
ＬＡＮはセルラー・ネットワークから、論理的距離（た
とえば、ＩＰの経由距離）という観点からは遠いかもし
れない。そのような論理的距離の隔たりは、ストリーミ
ング・マルチメディア・コンテンツがローミング中の移
動ノードに提供される際の通信の遅延、ネットワーク・
トラフィックの輻輳およびサービス品質の低下を助長す
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本実施形態の好ましい態
様として、コンテンツ配信ネットワークを含んだネット
ワーク・アーキテクチャ内における、ストリーミング・
コンテンツを管理するキャッシュ・ハンドオフ・システ
ムを開示する。実施形態においては、ネットワーク・ア
ーキテクチャ内の移動ノードの移動に応じて、キャッシ
ュ・ハンドオフ・システムがキャッシュ処理のハンドオ
フを行う。このキャッシュ処理のハンドオフにより、サ
ービスを受け取る移動ノードの論理的近接範囲内に、キ
ャッシュ可能なストリーミング・コンテンツが維持され
る。キャッシュ・ハンドオフ・システムは、そのような
キャッシュ処理のハンドオフを行うことにより、ローミ
ング中の移動ノードによってもたらされるサブネット間
のトラフィック量を最小化する。

【００１１】ローミング中の移動ノードがストリーミン
グ・コンテンツを要求すると、その要求に応じたストリ
ーミング・コンテンツの供給は、移動ノードの現在位置
に基づいてハンドオフされる。したがって、移動ノード
がローミングする際、移動ノードとストリーミング・コ
ンテンツの供給元との間の論理的距離は近めに維持され
る。キャッシュ・ハンドオフ・システムは、移動ノード
からの要求をハンドオフすると同時に、キャッシュされ
たコンテンツを動的に管理することにより、移動ノード
からの要求を効果的かつ効率的に実現する。これによ
り、通信遅延、ネットワーク・トラフィックの輻輳およ
びサービス品質の低下が最小化される。

【００１２】例示的に示される、ある実施形態のキャッ
シュ・ハンドオフ・システムは、第１サブネットおよび
第２サブネットを含むネットワーク・アーキテクチャに
おいて動作する、少なくとも一つの移動ノードを有す
る。さらに、そのキャッシュ・ハンドオフ・システム
は、第１サブネットで動作する少なくとも一つの第１キ
ャッシング・プロキシおよび第２サブネットで動作する
少なくとも一つの第２キャッシング・プロキシを含む。
第１キャッシング・プロキシは、移動ノードが第１サブ
ネット内で動作している際のストリーミング・コンテン
ツ要求に応答する。移動ノードが第２サブネットに移動
すると、移動ノードによるコンテンツ要求は第２キャッ
シング・プロキシにハンドオフされる。その後、第２キ
ャッシング・プロキシがストリーミング・コンテンツの
提供を継続する。

【００１３】第１および第２の各キャッシング・プロキ
シによって提供されるストリーミング・コンテンツの各
部分は、各キャッシング・プロキシ内でキャッシュされ
る。キャッシュのハンドオフが起こると、第１のキャッ
シング・プロキシによるストリーミング・コンテンツの
キャッシングおよび提供が中断される。よって、キャッ
シュ・ハンドオフ・システムは、キャッシング・プロキ
シにより自然発生的かつ無作為にキャッシュされた、様
々なサイズのストリーミング・コンテンツの断片（或い
はストリーミング・コンテンツ・の全体）を有してい
る。ストリーミング・コンテンツの断片（或いはストリ
ーミング・コンテンツの全体）が無作為に分散すること
は、ネットワーク・アーキテクチャ内の移動ノードの移
動の結果生じる。各キャッシング・プロキシ内にキャッ
シュされたコンテンツは、キャッシング・プロキシによ
って移動ノードに提供された、異なる複数のストリーミ
ング・コンテンツを表わすこともある。

【００１４】キャッシュ・ハンドオフ・システムは、コ
ンテンツの断片を定量化し、同一サイズのコンテンツ・
ブロックに形成する管理処理を行う。定量化は、コンテ
ンツの断片の一部を削除したり、追加的なストリーミン
グ・コンテンツを取得してコンテンツの断片に追加した
りすることにより、行われる。定量化が行われると、キ
ャッシュ・ハンドオフ・システムにおけるキャッシング
・プロキシ間の連係処理が可能となる。連係処理におい
ては、複数のキャッシング・プロキシを選択的に指定し
て、キャッシュされ定量化されたコンテンツの断片を利
用したストリーミング・コンテンツの要求にそれらのキ
ャッシング・プロキシが協働して配信処理を行う。

【００１５】キャッシュ・ハンドオフ・システムの注目
すべき特徴の一つとして、キャッシュ・ハンドオフの伝
達がある。ある実施形態において、コンテンツ要求に応
じているキャッシング・プロキシは、その要求を発した
移動ノードの移動状況情報に登録される。その後、移動
ノードが他の場所へローミングすると、キャッシング・
プロキシはその通知を受ける。それまで移動ノードにサ
ービスを提供していたキャッシング・プロキシは通知を
受けると、移動ノードの現在地に対し最も近い論理的近
接性を有するキャッシング・プロキシに対し、キャッシ
ュのハンドオフを開始する。

【００１６】キャッシュ・ハンドオフ・システムのもう
一つの注目すべき特徴として、キャッシング・プロキシ
間の連係処理に関連するものがある。定量化されたコン
テンツの断片の自然発生的かつ無作為な分散は、ネット
ワーク・アーキテクチャのあらゆる場所で生じうる。そ
れゆえ、キャッシング・プロキシ間で交信される連係処
理に関する情報は、定量化されたコンテンツの断片が形
成するストリーミング・コンテンツの識別情報ばかりで
なく、定量化された断片が、一連のストリーミング・コ
ンテンツのどの部分であるかを示す識別情報も含んでい
る。

【００１７】キャッシュ・ハンドオフ・システムのもう
一つの注目すべき特徴は、断片化されたコンテンツ、も
しくは断片化されていないコンテンツが無作為かつ自然
発生的に分散配置されることによって、同じコンテンツ
の複製、すなわちコンテンツの重複が生じることであ
る。キャッシュ・ハンドオフ・システムは、コンテンツ
を予め定められた基準でランク付けし、そのランキング
に応じて複製もしくは重複の生成度合いを制御する。

【００１８】本発明のその他の目的および利点は、本発
明の好適な実施形態を明瞭に示す図と、その図に対する
以下の詳細な説明において明らかになる。

【００１９】

【発明の実施の形態】好適な実施形態として、以下、ネ
ットワーク・アーキテクチャ内で動作する移動ノードの
ための、キャッシュ可能なストリーミング・コンテンツ
の管理を行うキャッシュ・ハンドオフ・システムを説明
する。ネットワーク・アーキテクチャはコンテンツ配信
ネットワークを含んでおり、このコンテンツ配信ネット
ワークはストリーミング・コンテンツに関するキャッシ
ング・サービスを行う。移動ノードがネットワーク・ア
ーキテクチャ内でローミングすると、キャッシュ・ハン
ドオフ・システムは、その移動ノードに対し提供されて
いるストリーミング・コンテンツのキャッシュ処理のハ
ンドオフを指示する。このキャッシュ処理のハンドオフ
によって、移動ノードに近接するキャッシュから移動ノ
ードに対し、ストリーミング・コンテンツが途切れるこ
となく供給される。その結果、コンテンツ供給の遅延、
輻輳、サービス品質の低下が回避されると共に、ネット
ワーク内のトラフィックが最小化される。

【００２０】図１は、キャッシュ・ハンドオフ・システ
ム１０の一実施形態を表わすブロック図である。このキ
ャッシュ・ハンドオフ・システム１０は、任意の数のサ
ブネットを含むネットワーク・アーキテクチャ１２にお
いて動作する。図１は、ネットワーク・アーキテクチャ
１２を模式的に示しており、ネットワーク・アーキテク
チャ１２は、第１サブネット１４および第２サブネット
１６を含んでいる。第１サブネット１４および第２サブ
ネット１６は各々、ルータ、サーバ演算装置、端末演算
装置、その他ネットワーク・アーキテクチャ１２を介し
て相互に接続可能な任意の数の装置を含んでいる。図示
された例では、第1サブネット１４は、少なくとも１つ
の移動ノード１８と、それに対して動作により接続され
る少なくとも１つのキャッシング・プロキシ（図におけ
る、第１のキャッシング・プロキシ２０）を含んでい
る。この例示されているネットワーク・アーキテクチャ
１２における第２サブネット１６は、少なくとも１つの
キャッシング・プロキシ（図における、第２のキャッシ
ング・プロキシ２２）を含んでいる。なお、この文中で
用いられる“連結”、“接続”、あるいは“相互接続”
といった語句は、電気的な接続、光学的な接続、無線に
よる接続、その他、システム、装置および構成要素の相
互間に対し、インターフェースを提供するあらゆる形態
の接続を含むものとする。

【００２１】ネットワーク・アーキテクチャ１２は、任
意の形態のパケット交換ネットワークであり、インター
ネットを介した通信を行うことができる。パケット交換
通信用のプロトコルの例として、ＴＣＰ／ＩＰ（トラン
スミッション・コントロール・プロトコル／インターネ
ット・プロトコル）群が挙げられる。しかし、他のイン
ターネット・プロトコル、独自のプロトコル、その他、
あらゆる形態のネットワーク・プロトコルがネットワー
クにおいて利用可能である。本発明における通信は、た
とえば、多数のイントラネット、あるいは、エクストラ
ネットをインターネットを介して連結させることにより
構築される仮想プライベート・ネットワークを実現可能
なＩＰトンネリング・プロトコルを含んでいてもよい。

【００２２】第１サブネット１４および第２サブネット
１６は、ネットワーク・アーキテクチャ１２内のサブネ
ット階層の一部を形成しており、これらのサブネットは
互いに、同一のネットワークの一部、異なる異種のネッ
トワーク、異なる同種のネットワークのいずれであって
もよい。ここで、サブネットとは、同じアドレス要素を
共有するネットワーク、あるいはネットワークの一部分
である。なお、“サブネット”とはネットワーク層にお
いて移動ノードの移動の検知を行う、最も低いネットワ
ークの階層として定義される。

【００２３】サブネットの全体管理および識別は、たと
えばルータ（図示略）等のネットワークに接続された装
置により、よく知られた方法で行われる。ルータは、一
般的に、ネットワーク・トラフィックを受信し、そのネ
ットワーク・トラフィックを関連するホスト（たとえ
ば、移動ノード１８）に転送する。たとえば、ＩＰネッ
トワークにおいて、サブネットは、通常、そのネットワ
ークに接続された、プレフィックスが同じＩＰアドレス
を有する複数の装置（あるいは、ホスト）を含んでい
る。なお、他の実施形態において、第１サブネット１４
および第２サブネット１６は、１または複数のホストを
グループ化する他の仕組み、あるいはサブネットの階層
を構築する他の仕組みにより、構成されてもよい。

【００２４】図示の実施形態において、第１サブネット
１４および第２サブネット１６は、公共および私的なイ
ントラネット、エクストラネット、ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ
Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）およびその他のあらゆる
形態の、データおよび制御情報の転送を行うネットワー
クを含むことができる。第１サブネット１４および第２
サブネット１６内の通信は、有線通信システムおよび無
線通信システム等の通信手段を介して行われる。この通
信手段は、たとえば、通信チャネル、電波、マイクロ
波、有線伝送、光ファイバ伝送、およびその他のデー
タ、オーディオおよびビデオに関する情報のパケットを
伝送可能な通信手段であれば良い。本実施形態におい
て、第１サブネット１４および第２サブネット１６は、
たとえば、携帯電話、８０２．１１ｂに基づく無線ＬＡ
Ｎ、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈに基づくネットワーク、Ｈｏｍ
ｅＲＦ(Ｈｏｍｅ Ｒａｄｉｏ Ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ)に
基づくネットワーク、およびその他の形態の無線ネット
ワーク等の無線アクセス・ネットワークの少なくともい
ずれか１つの一部である。

【００２５】移動ノード１８は、ネットワーク・アーキ
テクチャ１２上で通信可能な移動装置であれば良い。本
実施形態において、移動ノード１８は、たとえば、携帯
電話、ＰＤＡ端末、ノート型パソコン、およびその他の
無線携帯装置であって、ユーザがネットワーク・アーキ
テクチャ１２通信をするために利用される。なお、“ユ
ーザ”とは、移動ノード１８の操作主体を指す。

【００２６】移動ノード１８は、モバイル・ネットワー
キング環境で動作する。そのような環境化においては、
移動ノード１８のネットワーク・アーキテクチャ１２へ
の接続ポイントは、移動ノード１８がローミングする
と、変化する。たとえば、携帯電話ネットワークにおい
て、第１サブネット１４および第２サブネット１６内で
アクセス・ノードとして動作する基地局（図示略）は、
それぞれ、移動ノード１８に接続ポイントを提供する。
この例において、移動ノード１８の地理的位置が変化
し、基地局が移動ノード１８との無線通信をハンドオフ
すると、それに伴って接続ポイントも変化する。移動ノ
ード１８のネットワーク・アーキテクチャ１２との間の
接続ポイントの切断および再接続は、サービスの中断や
ユーザによる操作を全く（もしくは、ほとんど）伴うこ
となく、自動的になされる。接続ポイントの変化は、同
一のサブネット内および異なるサブネット間のいずれに
おいても発生する。

【００２７】図１に示されているように、第１サブネッ
ト１４および第２サブネット１６は各々、対応するキャ
ッシング・プロキシ、すなわち、第１キャッシング・プ
ロキシ２０および第２キャッシング・プロキシ２２を有
している。ここでいう“対応”とは、第１サブネット１
４および第２サブネット１６内で動作する移動ノード１
８のような装置（ホスト）からの要求に応じて、コンテ
ンツに関するキャッシングのサービスを提供する関係を
指す。第１サブネット１４および第２サブネット１６内
の装置と、第１キャッシング・プロキシ２０および第２
キャッシング・プロキシ２２との間の論理的もしくは地
理的距離は、キャッシング・プロキシをサブネットに対
応づける際の１つの基準である。

【００２８】ここで、“キャッシング・サービス”およ
び“キャッシング”とは、（コンテンツの利用者に最も
近接した位置に）コンテンツのローカル・コピーを生成
することにより、コンテンツの取得処理を速め、コンテ
ンツの送信元にかかる負担を削減する処理を指す。この
キャッシングは、たとえば、キャッシング・プロキシが
キャッシング・プロキシを経由して送信されるコンテン
ツのローカル・コピーを生成して、そのコンテンツに対
する再度の要求が生じた場合、キャッシング・プロキシ
のみで対応可能とする場合のように、受動的に行われる
こともある。あるいは、たとえば、コンテンツが検索さ
れ、ローカルな記憶装置に複製される場合のように、能
動的に行われることもある。いずれの形態のキャッシン
グも、キャッシュ・ハンドオフ・システム１０の動作と
関連して行われる。

【００２９】第１キャッシング・プロキシ２０および第
２キャッシング・プロキシ２２は、情報をキャッシング
し、移動ノード１８のユーザからの情報の要求を監視
し、その要求に応じて情報を供給することのできる任意
の形態の装置である。これら第１キャッシング・プロキ
シ２０および第２キャッシング・プロキシ２２の各々が
キャッシングを行うため、各々のキャッシング・プロキ
シには１または複数のキャッシュが対応付けられてい
る。そして、情報の要求の監視および要求に対する応答
は、キャッシュにアクセス可能な１または複数の対応付
けられたキャッシング・プロキシによって実行される。
ここで、“キャッシング・プロキシ”、“キャッシュ”
もしくは“キャッシング・サーバ”は、第１キャッシン
グ・プロキシ２０および第２キャッシング・プロキシ２
２のことを指す。また、図示されてはいないが、各サブ
ネットは複数の独立したキャッシング・プロキシを含ん
でいてもよい。

【００３０】第１キャッシング・プロキシ２０および第
２キャッシング・プロキシ２２は、コンテンツ配信ネッ
トワークの一部である。このコンテンツ配信ネットワー
クは、移動ノード１８からのコンテンツ要求に応じてキ
ャッシング・サービスを提供するために、階層型のキャ
ッシング構成もしくは網目状のキャッシング構成を有し
ている。コンテンツ要求に対する応答は、キャッシュさ
れたコンテンツにより提供される。キャッシュされたコ
ンテンツによって要求が満たされない場合には、要求さ
れたコンテンツはネットワーク・アーキテクチャ１２を
介して新たに取得され、キャッシュされた後、当該要求
に応じて提供される。

【００３１】コンテンツの取得には、要求されたコンテ
ンツを他のキャッシュもしくは要求されたコンテンツの
配信元から取得する、良く知られた技術を用いることが
できる。また、コンテンツは、音声、映像、データ、ウ
ェブ・ページ、文書、およびその他のネットワーク・ア
ーキテクチャ１２を介して要求され取得されるあらゆる
形態の情報を含む。キャッシュ・ハンドオフ・システム
１０の好適な実施態様において、第１キャッシング・プ
ロキシ２０および第２キャッシング・プロキシ２２によ
ってキャッシュおよび提供の対象となるコンテンツは、
ストリーミング・マルチメディア・コンテンツである。
なお、他の実施形態において、キャッシュ・ハンドオフ
・システム１０は、第１キャッシング・プロキシ２０お
よび第２キャッシング・プロキシ２２にキャッシュ可能
な、あらゆる形態のストリーミング・コンテンツもしく
はあらゆる形態の他のコンテンツに関し、適用可能であ
る。

【００３２】移動ノード１８を第１サブネット１４内で
操作しているユーザは、その操作において、たとえば、
音楽ビデオ等のストリーミング・コンテンツを、ネット
ワーク・アーキテクチャ１２を介して要求することがで
きる。第１キャッシング・プロキシ２０は、その要求を
受信し、ストリーミング・コンテンツの提供を開始す
る。そのストリーミング・コンテンツが提供されている
間、移動ノード１８がローミングもしくは位置の変更を
行い、たとえば、図１の矢印２４に示されるように、移
動ノード１８の接続ポイントが第１サブネット１４から
第２サブネット１６へ変更される場合がある。

【００３３】キャッシュ・ハンドオフ・システム１０
は、第１キャッシング・プロキシ２０に対する移動ノー
ド１８の位置を監視している。そして、移動ノードの接
続ポイントが変更されると、キャッシュ・ハンドオフ・
システム１０は、移動ノード１８とストリーミング・コ
ンテンツを提供するキャッシング・プロキシとの間の論
理的近接性を維持するために、キャッシュ処理のハンド
オフを開始する。一般的に、キャッシュ処理のハンドオ
フにおいては、移動ノード１８の現在地と論理的近接性
を有し、かつ、現在のコンテンツ要求に対応可能なキャ
ッシング・プロキシの特定が行われる。さらに、キャッ
シュ処理のハンドオフにおいては、特定されたキャッシ
ング・プロキシに対する、現在のコンテンツ要求の転送
指示が行われる。

【００３４】コンテンツの転送指示においては、キャッ
シング・プロキシもしくは移動ノード１８の照合および
認証が行われてもよい。さらに、ハンドオフに際して、
移動ノード１８を操作中のユーザに通信の中断を感じさ
せず、ネットワーク間の透過性を保つために、コンテン
ツ要求の転送は、同期方式の通信により行われてもよ
い。さらに、コンテンツ要求の転送の際、ハンドオフが
正しく行われることを保証するために、特定されたキャ
ッシング・プロキシが有するストリーミング・コンテン
ツのサイズが十分に大きい（すなわち、十分な長さおよ
び有効期間を有する）ことの確認を行うようにしてもよ
い。

【００３５】たとえば、移動ノード１８が第２サブネッ
ト１６に移動する場合、現在のコンテンツ要求（および
再度の要求）に応答するために、第２キャッシング・プ
ロキシ２０が特定される。移動ノード１８による現在の
コンテンツ要求に応答するキャッシング・プロキシが移
動ノード１８の移動と共に“移動”するため、ネットワ
ーク・アーキテクチャ１２上のトラフィックが最小化さ
れ、サービス品質の低下および通信遅延が回避される。

【００３６】キャッシュ処理のハンドオフの開始と完了
は、移動ノード１８の処理と無関係に行われてもよい
し、移動ノード１８の処理との関連において行われても
よい。

【００３７】ある実施形態においては、“切断生成法”
が移動ノード１８によって実行されることにより、キャ
ッシュ処理のハンドオフが開始される。この実施形態に
おいて、移動ノード１８は、その接続ポイントを変更
（たとえば、第１サブネット１４から第２サブネット１
６への変更）した後、現在、移動ノード１８にストリー
ミング・コンテンツを提供しているキャッシング・プロ
キシ（たとえば、第１キャッシング・プロキシ２０）
が、もはや論理的距離において最も近いものではない、
との判断を下す。

【００３８】その後、移動ノード１８は、移動ノード１
８の現在の接続ポイントを含む位置（サブネット）に対
応付けられている、新たな候補であるキャッシング・プ
ロキシ群に対し、キャッシュの問い合わせを開始する。
このキャッシュの問い合わせの方法としては、キャッシ
ング・プロキシ群に対して同報メッセージを送信する方
法、ルックアップ機構を用いてマルチキャスト・メッセ
ージを送信する方法、およびその他の論理的近接性を有
するキャッシング・プロキシ群を特定可能なあらゆる技
術が利用可能である。ここで、ルックアップ機構とは、
移動ノード１８の現在の接続ポイントに対応するキャッ
シング・プロキシ群の識別情報を取得するための、何ら
かの形態の情報記憶装置である。この情報記憶装置は、
集中型データベース、分散型データベース、同報メッセ
ージ、マルチキャスト・メッセージ、その他の情報を生
成する機構である。情報記憶装置の記憶部は、移動ノー
ド１８、キャッシング・プロキシ、サーバもしくはネッ
トワーク・アーキテクチャ１２内に含まれるその他の装
置の少なくともいずれか１つが備えていればよい。

【００３９】移動ノード１８は、問い合わせによって得
られた情報を利用して、以前の接続ポイントとの間で論
理的近接性を有していたキャッシング・プロキシ（第１
キャッシング・プロキシ２０）に対するストリーミング
・コンテンツの要求を終了する。そして、移動ノード１
８は、現在、移動ノード１８との間で論理的隣接性を有
しているハンドオフ先のキャッシング・プロキシ（第２
キャッシング・プロキシ２２）との間でセッションを確
立する。このセッションの確立において、現在のコンテ
ンツ要求の、あるキャッシング・プロキシ（第１キャッ
シング・プロキシ２０）からハンドオフ先のキャッシン
グ・プロキシ（第２キャッシング・プロキシ２２）への
キャッシュ処理のハンドオフが指示される。ストリーミ
ング・コンテンツの供給元の切り替えは、例えばよく知
られた“切断前生成法”により、同期的に通信の中断な
く、円滑に行われる。

【００４０】他の実施形態においては、キャッシュ処理
のハンドオフの開始は、移動ノード１８からの要求に応
じて現在、移動ノード１８に対しストリーミング・コン
テンツを提供中のキャッシング・プロキシ（例えば、第
１キャッシング・プロキシ２０）によって行われる。こ
の実施形態において、第１キャッシング・プロキシ１
４、ルータもしくは移動ノード１８は、移動ノード１８
が新しいサブネットに移動（例えば、第１サブネット１
４から第２サブネット１６へ移動）したことを通知す
る。この通知に従い、第１キャッシング・プロキシ１４
は、前述の実施形態における場合と同様に、移動ノード
１８の新しい位置との間に論理的近接性を有する、新た
な候補のキャッシング・プロキシ群に対し、キャッシュ
の問い合わせを開始する。

【００４１】ハンドオフ先のキャッシング・プロキシの
特定後、コンテンツ要求に対応する責任のハンドオフを
望んでいるキャッシング・プロキシ（上記の例では、第
１キャッシング・プロキシ２０）は、キャッシュ処理の
ハンドオフを開始する。たとえば、第２キャッシング・
プロキシ２２をハンドオフ先のキャッシング・プロキシ
として特定すると、第１キャッシング・プロキシ２０お
よび第２キャッシング・プロキシ２２は協調してコンテ
ンツ要求の転送のための交信を行い、キャッシュ処理の
ハンドオフを完了する。なお、他の実施形態において、
ネットワーク・アーキテクチャ１２の内部、あるいは外
部で動作する装置が、移動ノード１８のサブネット間の
移動状況を監視し、キャッシュ処理のハンドオフを開始
する構成としてもよい。

【００４２】さらに、他の形態において、移動状況情報
の登録および通知はキャッシュ・ハンドオフ・システム
１０内で実施される。詳細は後述するが、移動状況情報
の登録および通知においては、現在、移動ノード１８に
ストリーミング・コンテンツを提供しているキャッシン
グ・プロキシ（第１キャッシング・プロキシ２０）と、
ネットワーク・アーキテクチャ１２内で移動ノード１８
の位置を監視する、少なくとも１つの移動状況情報登録
サーバとの間で交信が行われる。一般的に、移動状況情
報の登録および通知の機能により、現在、ストリーミン
グ・コンテンツを提供しているキャッシング・プロキシ
は移動ノード１８の移動状況情報に登録される。その結
果、移動ノード１８が移動すると、現在、ストリーミン
グ・コンテンツを提供しているキャッシング・プロキシ
は、その移動を通知される。この通知を受けて、キャッ
シュ処理のハンドオフが開始される。移動ノード１８の
移動状況を監視している移動状況情報登録サーバは、た
とえば、移動ノード１８、少なくとも１つのキャッシン
グ・プロキシ、少なくとも１つのルータ、少なくとも１
つのサーバ、もしくはその他のネットワーク・アーキテ
クチャ１２内において移動ノード１８の位置を監視可能
なネットワークに接続されたあらゆる形態の装置のいず
れかであればよい。

【００４３】図２は、キャッシュ・ハンドオフ・システ
ム１０の他の実施形態を示している。キャッシュ・ハン
ドオフ・システム１０は、前記の実施形態と同様に、第
１サブネット１４および第２サブネット１６で例示的に
表わされるネットワーク・アーキテクチャ１２内で動作
する。さらに、第１サブネット１４は、既述の例と同様
に、少なくとも１つの移動ノード１８および第１キャッ
シング・プロキシ２０を含むとともに、図２に示されて
いるように、これらに機能的に対応する少なくとも1つ
の第１モビリティ・エージェント３０を含む。同様に、
第２サブネット１６は、図に示されているように、第２
キャッシング・プロキシ２２と、それに機能的に対応す
る少なくとも1つの第２モビリティ・エージェント３２
を含む。他の態様において、キャッシュ・ハンドオフ・
システム１０は、異なる構成または異なる数量のサブネ
ット、キャッシング・プロキシおよびモビリティ・エー
ジェントを利用して動作しても良い。

【００４４】図２の実施形態におけるネットワーク・ア
ーキテクチャ１２は、移動ノード１８にモバイルＩＰ
（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）という通信プ
ロトコルを用いて通信サービスを提供する、パケット交
換ネットワークである。ここで、モバイルＩＰは、バー
ジョン“４”(Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ４)およびバージョ
ン“６”（Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ６）等の、よく知られ
たプロトコル規格を示す。本実施形態において、第１モ
ビリティ・エージェント３０および第２モビリティ・エ
ージェント３２は個々に独立して、もしくは協働して、
キャッシュ・ハンドオフ・システム１０によるキャッシ
ュ処理のハンドオフに参加する。

【００４５】第１モビリティ・エージェント３０および
第２モビリティ・エージェント３２は、協働してキャッ
シュ・ハンドオフ・システム１０内で動作するととも
に、それぞれ、第１サブネット１４および第２サブネッ
ト１６内における移動ノード１８の移動状況に関する情
報を取得することが可能ないかなる形態のネットワーク
・ノードであってもよい。ある実施形態において、第１
モビリティ・エージェント３０および第２モビリティ・
エージェント３２は、それぞれ、第１サブネット１４お
よび第２サブネット１６内において、ホストへのアクセ
ス方法の定義および提供を行うアクセス・ルータであ
る。他の態様においては、第１モビリティ・エージェン
ト３０および第２モビリティ・エージェント３２は、キ
ャッシュ・ハンドオフ・システム１０により独占的に利
用される、もしくはキャッシュ・ハンドオフ・システム
１０により部分的に利用される、モバイルＩＰネットワ
ーク内のアクセス・ルータ等のサーバとして構成され
る。さらに他の態様においては、第１モビリティ・エー
ジェント３０および第２モビリティ・エージェント３２
は、移動ノード１８の移動を検知し、ネットワーク・ア
ーキテクチャ１２内で動作することが可能な装置でれば
よい。

【００４６】Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ４およびＭｏｂｉｌ
ｅ ＩＰｖ６において、移動ノード１８がネットワーク
・アーキテクチャ１２との通信に用いるインタフェース
は、移動ノード１８のためのホームネットワークの指定
情報を有している。図２が示す実施形態において、移動
ノード１８のために指定されたホームネットワークは、
第１サブネット１４を含んでいる。また、ホームネット
ワークの一部を構成しないサブネットワークは、外部ネ
ットワークとして指定される。本実施形態の第２サブネ
ット１６は、ホームネットワークの一部であってもよい
し、外部ネットワークの一部であってもよい。モバイル
ＩＰ内で、ホームネットワークは、移動ノード１８の接
続ポイントがネットワーク・アーキテクチャ１２内のど
こにある場合であっても、移動ノード１８と通信を行う
ことを可能とするためのホーム・アドレスを提供する。
さらに、移動ノード１８は、移動ノード１８のネットワ
ーク・アーキテクチャ１２に対する現在の接続ポイント
を表わす気付けアドレスを保持する。この気付けアドレ
スとは、たとえばＩＰアドレスである。これらホーム・
アドレスおよび気付けアドレスのアドレス設定は、第１
モビリティ・エージェント３０および第２モビリティ・
エージェント３２、あるいは、第１モビリティ・エージ
ェント３０および第２モビリティ・エージェント３２と
通信可能な別個のアクセス・ルータがおこなってもよ
い。

【００４７】Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ４にしたがって動作
する態様において、第１モビリティ・エージェント３０
は、移動ノード１８のためのホームネットワーク(第１
サブネット１４)内でホームエージェントとして動作す
る。さらに、第２モビリティ・エージェント３２は、移
動ノード１８のためのホームネットワーク(第２サブネ
ット１６)内で外部エージェントとして動作する。他の
態様においては、第１モビリティ・エージェント３０お
よび第２モビリティ・エージェント３２の双方が外部エ
ージェントであってもよい。あるいは、第１モビリティ
・エージェント３０および第２モビリティ・エージェン
ト３２がそれぞれ、外部エージェントおよびホームエー
ジェントであってもよい。また、第１キャッシング・プ
ロキシ２０および第２キャッシング・プロキシ２２はそ
れぞれ、第１サブネット１４および第２サブネット１６
に対応するものとする。本実施形態において、第１モビ
リティ・エージェント３０および第２モビリティ・エー
ジェント３２が、キャッシュ処理のハンドオフを開始す
るものとする。

【００４８】ある実施形態において、移動状況情報の登
録および通知は、キャッシュ・ハンドオフ・システム１
０内で実行される。この実施形態において、ネットワー
ク・アーキテクチャ１２内における移動ノード１８の位
置を監視する移動状況情報登録サーバは、移動ノード１
８のホームエージェントである。したがって、本態様に
おける第１キャッシング・プロキシ２０は、移動ノード
１８からのストリーミング・コンテンツの要求に応じる
とともに、ホームエージェント（たとえば、第１モビリ
ティ・エージェント３０）とも交信する。

【００４９】第１キャッシング・プロキシ２０と、第１
モビリティ・エージェント３０との交信は、移動状況情
報の登録通知情報の送信を含んでいる。この登録通知情
報は、第１キャッシング・プロキシ２０を移動ノード１
８の移動状況情報へ登録するための情報と、移動ノード
１８が他のサブネットへ移動した際の通知のための情報
を含んでいる。ここで、移動状況情報とは、移動ノード
１８の現在の位置に関する情報であり、たとえば、接続
ポイント、サブネットの位置、もしくはその他のネット
ワーク・アーキテクチャ１２内における移動ノード１８
の現在位置に関連するあらゆる情報が利用可能である。

【００５０】登録の処理において、第１キャッシング・
プロキシ２０はホームエージェントによって認証され
る。この認証において、第１キャッシング・プロキシ２
０の信用証明がホームエージェントに送信される。信用
証明とは、よく知られた認証システムおよび方法におい
て要求される類の情報のことである。さらに、コンテン
ツを提供される移動ノード１８の識別情報、たとえばＩ
Ｐアドレスやそれに類する他の識別子も、ホームエージ
ェントに送信される。仮にホームエージェントが第１キ
ャッシング・プロキシ２０を認証できない場合、ホーム
エージェントは移動ノード１８がローミングをした際
に、そのことを第１キャッシング・プロキシ２０に通知
することができないので、キャッシュ処理のハンドオフ
は行われない。

【００５１】通知の処理においては、移動ノード１８が
移動したことを示す通知メッセージが、ホームエージェ
ントから第１キャッシング・プロキシ２０へ送信され
る。この通知メッセージには、移動ノード１８が新たに
ローミングした先のサブネットの識別情報と、その新し
いサブネット内における移動ノード１８の気付けアドレ
スが含まれている。Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ４の規格に従
い、新しいサブネットで動作中の外部エージェントは、
新しいサブネットおよび気付けアドレスをホームエージ
ェントに送信する。その後、基幹のモバイル・ネットワ
ークは通常、新しいサブネット内の移動ノード１８に対
し、トラフィックを転送する。この転送されるトラフィ
ックには、キャッシュ処理のハンドオフが完了するまで
の間、第１キャッシング・プロキシ２０によって提供さ
れるストリーミング・コンテンツが含まれる。

【００５２】ある実施形態においては、上述の第１キャ
ッシング・プロキシ２０とホームエージェントとの間の
通信は、ＳＩＰ（Ｓｅｓｓｉｏｎ Ｉｎｉｔｉａｔｉｏ
ｎＰｒｏｔｏｃｏｌ）のイベント通知方式によって実行
される。また他の態様においては、独自の、もしくは公
開され利用可能な、いずれの形態のプロトコルが利用さ
れてもよい。

【００５３】第１キャッシング・プロキシ２０はホーム
エージェントによる通知の内容を用いて、前述のキャッ
シュの問い合わせを行うことにより、新しいサブネット
内のキャッシング・プロキシを特定する。さらに、第１
キャッシング・プロキシ２０は、ハンドオフ先として選
択したキャッシング・プロキシ、たとえば第２キャッシ
ング・プロキシ２２とキャッシュ処理のハンドオフを開
始する。このハンドオフ先のキャッシング・プロキシ
は、要求されたコンテンツを現在、ローカルな記憶装置
に有していなくても、ハンドオフを承諾することができ
る。その場合、ハンドオフ先のキャッシング・プロキシ
は、そのコンテンツの要求に応答し始める前に、もしく
はその要求に応答している間に、そのコンテンツを取得
する。ハンドオフ先のキャッシング・プロキシへのキャ
ッシュ処理のハンドオフが失敗した場合には、移動ノー
ド１８に対する応答は、引き続き第１キャッシング・プ
ロキシ２０により行われる。そして、そのキャッシュ処
理のハンドオフの失敗の通知を受けた後、第１キャッシ
ング・プロキシ２０はキャッシュの問い合わせによって
特定された他のキャッシング・プロキシのいずれかを選
択し、その選択したキャッシング・プロキシとの間でキ
ャッシュ処理のハンドオフを開始する。なお、ハンドオ
フの失敗の通知は、ハンドオフに失敗したハンドオフ先
のキャッシング・プロキシによる指摘により行われて
も、第１キャッシング・プロキシ２０による監視により
行われても、もしくはその他のあらゆる形態の失敗通知
の仕組みのいずれかにより行われてもよい。移動ノード
１８に対しても、移動ノード１８が必要な調整動作を行
えるように、第１キャッシング・プロキシ２０もしくは
ハンドオフ先のキャッシング・プロキシによって、ハン
ドオフの状況が通知される。

【００５４】キャッシュ処理のハンドオフの開始におい
ては、第１キャッシング・プロキシ２０とハンドオフ先
のキャッシング・プロキシとの間で、通信の確立が行わ
れる。その通信において、ハンドオフに関する情報の交
換が行われる。ハンドオフ先のキャッシング・プロキシ
へ送信されるハンドオフに関する情報には、移動ノード
１８の識別情報およびコンテンツ要求の詳細情報が含ま
れる。コンテンツ要求の詳細情報には、たとえば提供が
要求されるコンテンツのＵＲＩ（Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｒｅ
ｓｏｕｒｃｅ Ｉｎｄｉｃａｔｏｒ）、ストリーミング
・コンテンツにおける現在の提供位置、ストリーミング
・コンテンツの配信元、およびその他のあらゆるコンテ
ンツ要求に関連した情報が含まれていてもよい。さら
に、ハンドオフに関する情報には、ハンドオフ元のキャ
ッシング・プロキシとハンドオフ先のキャッシング・プ
ロキシとが互いに認証を行うための信用証明や、ハンド
オフ先のキャッシング・プロキシがコンテンツ要求に応
じる能力を有することの確認情報が含まれていてもよ
い。さらに、ハンドオフに関する情報には、キャッシュ
処理のハンドオフを同期的に行うための同期パラメータ
が含まれていてもよい。

【００５５】他の実施形態においては、キャッシング・
プロキシが、移動ノード１８のためのホームエージェン
トを決定する。たとえば、サブネットに多数のモビリテ
ィ・エージェントが存在する場合や、移動ノード１８が
キャッシング・プロキシに対するストリーミング・コン
テンツの要求を行う前にホームネットワークの外にロー
ミングしてしまうような場合等の実施形態が考えられ
る。ホームエージェントの決定においては、移動ノード
１８への問い合わせが行われたり、データベースへの問
い合わせが行われたり、コンテンツ要求の一部としてホ
ームエージェントの識別情報が取得されたり、もしくは
その他の移動ノード１８のホームエージェントを特定可
能なあらゆる仕組みのいずれかが用いられる。

【００５６】図３は、図２に示された実施形態におい
て、Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ４を利用した、キャッシュ処
理のハンドオフの間の、動作を示すブロック図である。
この模式的な動作図において、矢印３４が示すように、
移動ノード１８はホームネットワーク（第１サブネット
１４）から外部ネットワーク（第２サブネット１６）へ
とローミングする。他の動作例において、移動ノード１
８はある外部ネットワークから他の外部ネットワークも
しくはホームネットワークへとローミングしてもよい。

【００５７】図３に示される動作は、移動ノード１８
が、第１サブネット１４で動作している間に、ストリー
ミング・コンテンツの要求を行うことにより開始される
（ブロック１０２）。次に、第１キャッシング・プロキ
シ２０はそのコンテンツ要求を受信し、移動ノード１８
に要求されたストリーミング・コンテンツの提供を開始
する（ブロック１０４）。キャッシング・プロキシ２０
は、コンテンツの提供と同時に、ホームエージェント
〈第１モビリティ・エージェント３０〉を特定し、その
ホームエージェントの情報を移動ノード１８の移動状況
情報に登録するよう求める（ブロック１０６）。続い
て、第１キャッシング・プロキシ２０は、認証のための
信用証明をホームエージェント（第１モビリティ・エー
ジェント３０）に送信する（ブロック１０８）。第１キ
ャッシング・プロキシ２０はさらに、移動ノード１８の
識別情報をホームエージェント（第１モビリティ・エー
ジェント３０）に送信する（ブロック１１０）。これを
受け、ホームエージェント（第１モビリティ・エージェ
ント３０）は、第１キャッシング・プロキシ２０の認証
を行う（ブロック１１２）。その認証が失敗した場合、
キャッシュ処理のハンドオフは中止され、第１キャッシ
ング・プロキシ２０は移動ノード１８の現在の位置に関
係なく全ストリーミング・コンテンツを提供し続ける
（ブロック１１４）。第１キャッシング・プロキシ２０
の認証が成功した場合、ホームエージェント（第１モビ
リティ・エージェント３０）はハンドオフを承認し、第
１キャッシング・プロキシ２０に承認された旨を送信す
る（ブロック１１６）。

【００５８】次に、移動ノード１８は、矢印３４が示す
ように、別の位置（第２サブネット１６）に移動する
（ブロック１１８）。外部エージェント（第２モビリテ
ィ・エージェント３２）および移動ノード１８は気付け
アドレスを取得し、移動ノード１８はその情報をホーム
エージェント（第１モビリティ・エージェント３０）に
送信する（ブロック１２０）。気付アドレスの情報を受
信した第１モビリティ・エージェント３０は、コンテン
ツを提供しているキャッシング・プロキシ（第１キャッ
シング・プロキシ２０）に通知メッセージを送信し、移
動ノード１８の新しい位置（すなわち、第２サブネット
内）を知らせる（ブロック１２２）。

【００５９】続いて、図４に示されるように、基幹のモ
バイル・ネットワークは、移動ノード１８宛のトラフィ
ック（要求されたストリーミング・コンテンツを含む）
を、その新しい位置に対し転送し始める（ブロック１２
４）。一方、第１キャッシング・プロキシ２０は、通知
メッセージによって移動ノード１８の新しい位置を知ら
される（ブロック１２６）。次に、第１キャッシング・
プロキシ２０はキャッシュの問い合わせを行い、移動ノ
ード１８の新しい位置との間に論理的近接性を有する、
ハンドオフ先となり得るキャッシング・プロキシを特定
する（ブロック１２８）。この例示的な動作において
は、移動ノード１８との間に論理的近接性を有する、ハ
ンドオフ先として特定されたキャッシング・プロキシ
は、第２サブネット１６内の第２キャッシング・プロキ
シ２２である。

【００６０】ハンドオフ先のキャッシング・プロキシの
特定後、第１キャッシング・プロキシ２０は第２キャッ
シング・プロキシ２２に対するキャッシュ処理のハンド
オフを開始する（ブロック１３０）。続いて、第１キャ
ッシング・プロキシ２０は第２キャッシング・プロキシ
２２との通信を確立する（ブロック１３２）。そして、
キャッシュ処理のハンドオフの成否が判定される（ブロ
ック１３４）。キャッシュ処理のハンドオフが成功しな
かった場合、ストリーミング・コンテンツは引き続き、
第１キャッシング・プロキシ２０から提供される（ブロ
ック１３６）。そして、第１キャッシング・プロキシ２
０は、移動ノード１８との間に論理的近接性を有し、ハ
ンドオフ先となり得るキャッシング・プロキシとして、
他に特定されたキャッシング・プロキシがあるか否かを
判定する（ブロック１３８）。他にハンドオフ先となり
得るキャッシング・プロキシがない場合、ストリーミン
グ・コンテンツは引き続き第１キャッシング・プロキシ
２０から提供され、動作はブロック１０４へ戻る。他に
ハンドオフ先となり得るキャッシング・プロキシがある
場合、新たなハンドオフ先のキャッシング・プロキシが
選択され、動作はブロック１３０へと戻る。

【００６１】ブロック１３４でキャッシュ処理のハンド
オフが成功したと判定された場合、第１キャッシング・
プロキシ２０は移動ノード１８へのコンテンツの提供を
中止し、第２キャッシング・プロキシ２２がコンテンツ
の提供をはじめる（ブロック１４０）。その後、動作は
ブロック１０６へと戻り、コンテンツを現在提供してい
るハンドオフ先のキャッシング・プロキシ（第２キャッ
シング・プロキシ２２）は、移動ノード１８の移動状況
情報に登録するための登録情報または通知情報を、ホー
ムエージェント（第１モビリティ・エージェント３０）
に送信する。

【００６２】再び図２を参照すると、他の態様において
は、キャッシュ・ハンドオフ・システム１０はＭｏｂｉ
ｌｅ ＩＰｖ６を利用して実行されてもよい。Ｍｏｂｉ
ｌｅＩＰｖ６においては、移動ノード１８によってされ
る、バインド更新情報が提供され、そのバインド更新情
報がルートの最適化のために利用される。このバインド
更新情報は、よく知られた様々なアプリケーション・レ
ベルの最適化に利用され、たとえばホームエージェント
経由の移動ノード１８への通信を行うことなく、直接、
移動ノード１８への通信をルーティングするために利用
される。このバインド更新情報は、キャッシュ・ハンド
オフ・システム１０によっても利用される。

【００６３】ある実施形態においては、バインド更新情
報は、標準的なＭｏｂｉｌｅ ＩＰｖ６の動作の一部と
なっている既存の技術に従い、キャッシュ・ハンドオフ
・システム１０によって取得される。一般的に、その技
術においては、気付アドレスに対するアドレス自動設定
機能や、近隣プロキシ検出機能が用いられる。本実施形
態においては、移動ノード１８からのコンテンツ要求に
応答しているキャッシング・プロキシがバインド更新情
報を受信する。キャッシング・プロキシは、前述の実施
形態における通知メッセージと同様の方法でバインド更
新情報を利用することにより、キャッシュの問い合わせ
を行ってハンドオフ先のキャッシング・プロキシを特定
し、キャッシュ処理のハンドオフを開始する。バインド
更新情報を利用することで、前述のホームエージェント
に対する登録情報または通知情報の送信が不要となる。

【００６４】Ｍｏｂｉｌｅ ＩＰｖ６を利用する他の実
施形態においては、バインド更新情報は、キャッシュ・
ハンドオフ・システム１０において利用されるアプリケ
ーション・プロトコルを用いて取得される。この実施形
態において、バインド更新情報は、移動ノード１８によ
るコンテンツ要求に現在応答しているキャッシング・プ
ロキシによって取得されてもよい。たとえば、移動ノー
ド１８によるストリーミング・コンテンツ要求が、第１
キャッシング・プロキシ２０によって応答されている場
合、第１キャッシング・プロキシ２０が移動ノード１８
の移動状況情報に登録される。

【００６５】本実施形態における登録通知処理において
は、前述の実施形態における場合と同様の登録通知情報
の送受信が行われる。しかしながら、本実施形態におけ
る登録通知情報の送受信は、コンテンツ要求に応答して
いるキャッシング・プロキシと移動ノード１８との間で
行われる。すなわち、移動ノード１８がたとえば第１サ
ブネット１４から第２サブネット１６にローミングする
と、そのことを示す通知メッセージが移動ノード１８に
よって第１キャッシング・プロキシ２０に提供される。
本態様における通知メッセージは、移動ノード１８がロ
ーミングする際に第１キャッシング・プロキシ２０に送
信されるアプリケーション・レベルのバインド更新情報
の形式をとってもよい。移動ノード１８の現在地が第１
キャッシング・プロキシ２０に提供されると、第１キャ
ッシング・プロキシ２０はキャッシュの問い合わせを行
い、移動ノード１８との間に論理的近接性を有するキャ
ッシング・プロキシの候補を特定し、その後、前述のキ
ャッシュ処理のハンドオフを開始する。

【００６６】再び図２を参照すると、他の実施形態にお
いては、モバイルＩＰ以外の通信プロトコルがネットワ
ーク・アーキテクチャ１２内で利用されても良い。これ
ら他の実施態様において、キャッシュ・ハンドオフ・シ
ステム１０は前述の実施形態における場合と同様に動作
する。当該技術に精通した者には周知であるように、キ
ャッシュ・ハンドオフ・システム１０の動作は通信プロ
トコルの種類によって異なるが、キャッシュ処理のハン
ドオフを実行する基本的機能は互いに共通している。

【００６７】これら他の実施形態のキャッシュ・ハンド
オフ・システム１０においても、前述の登録通知処理が
行われる。移動ノード１８の移動状況を監視する移動状
況情報登録サーバは、移動ノード１８に関連した移動情
報を提供可能な装置であれば、いずれの形態の装置であ
ってもよい。そのような装置としては、たとえば、第１
モビリティ・エージェント３０、第２モビリティ・エー
ジェント３２、ホームエージェント、アクセス・ルー
タ、その他ネットワーク・アーキテクチャ１２内のあら
ゆる形態の装置が利用可能である。他の実施形態におい
て、移動状況情報登録サーバは、移動ノード１８の内部
で動作して、移動ノード１８の移動状況情報を取得する
構成としても良い。

【００６８】さらに別の実施形態において、移動状況情
報登録サーバは、移動ノード１８の移動状況を確認する
ために、ネットワーク・アーキテクチャ１２内の他の装
置と交信する。この移動状況情報登録サーバと交信する
他の装置は、移動ノード１８の現在地に関連する情報を
提供可能な装置であればいずれの形態の装置であっても
よい。たとえば、移動状況情報登録サーバと交信する他
の装置としては、第１モビリティ・エージェント３０、
第２モビリティ・エージェント３２、ホームエージェン
ト、アクセス・ルータ、もしくは移動ノード１８が利用
可能である。移動ノードの移動状況情報の取得は、移動
状況情報登録サーバが、標準的に使用されている通信プ
ロトコルの情報の一部を用いて、推定することによりな
されてもよいし、あるいは、移動状況情報登録サーバ
が、ネットワーク・アーキテクチャ１２内において、移
動状況情報登録サーバに対し送信される情報を利用する
ことによりなされてもよい。

【００６９】前述のいずれの実施形態においても、移動
ノード１８の情報への登録処理においては、たとえば、
データベースの照会、登録要求の同報、登録要求のマル
チキャスト、その他の登録通知処理が可能な移動状況情
報登録サーバを発見するための仕組みによって、移動状
況情報登録サーバの特定が行われる。この移動状況情報
登録サーバの特定後、キャッシング・プロキシと特定さ
れた移動状況情報登録サーバとの間で、登録通知情報の
交信が行われる。

【００７０】前述の実施形態におけるキャッシュ・ハン
ドオフ・システム１０は、ネットワーク・アーキテクチ
ャ１２内においてコンテンツの追跡を行うという特徴が
ある。このコンテンツの追跡においては、移動ノード１
８のローミングに伴って、同一のストリーミング・コン
テンツを構成する、複数のキャッシング・プロキシにキ
ャッシュされた異なる一部分が順次参照され、利用され
る。あるいは、ストリーミング・コンテンツの要求が処
理されている間、移動ノード１８がローミングしない場
合には、コンテンツ・ストリームの全体が１つのキャッ
シング・プロキシにキャッシュされる。当該技術におい
て周知であるように、現在のストリーミング・コンテン
ツを提供可能な各キャッシング・プロキシは、以後のコ
ンテンツ要求に対応するストリーミング・コンテンツを
引き続きキャッシュ可能である。キャッシュ・ハンドオ
フ・システム１０内において、移動ノード１８のローミ
ングの再配置機能に伴い、あるコンテンツ・ストリーム
の断片化された部分（あるいは、全体）は、異なるキャ
ッシング・プロキシに無作為にキャッシュされる。な
お、コンテンツの断片化された部分のサイズは、ストリ
ーミング・コンテンツのキャッシングが自然発生的かつ
予測不能に行われる以上、任意に変化する。

【００７１】たとえば、移動ノード１８がコンテンツ要
求をし、その要求に応じて提供された、キャッシュ可能
なストリーミング・コンテンツにアクセスしていると仮
定する。この例におけるストリーミング・コンテンツは
非常に長く、たとえば、２時間以上の長編映画であると
する。移動ノード１８が異なるサブネットに移動する
と、キャッシュ処理のハンドオフが実行され、コンテン
ツ要求に応じるキャッシング・プロキシが交替する。そ
の結果、ストリーミング・コンテンツの一部分を表す
（基本的に不定サイズの）ブロックのキャッシングが、
異なるキャッシング・プロキシの内部でそれぞれ行われ
ることになる。

【００７２】ストリーミング・コンテンツの性質上、そ
れらのコンテンツの一部分は再利用可能であり、以後の
コンテンツ要求に利用されてもよい。コンテンツの一部
分は個々に利用されるものであるが、ある種のキャッシ
ュ連係技術により、それらの最適化が行われてもよい。
このキャッシュ連係技術によって、あるサブネット内の
ホストは、そのサブネットに対応付けられたキャッシン
グ・プロキシにキャッシュされたコンテンツの利用だけ
でなく、その他のサブネットに対応付けられたキャッシ
ング・プロキシにキャッシュされたコンテンツの利用も
可能となる。キャッシング・プロキシ間の連係を行うこ
とにより、分散したストリーミング・コンテンツの断片
を利用するためのいくつかの周知技術がある。たとえ
ば、ＩＣＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｃａｃｈｅ Ｐｒｏｔ
ｏｃｏｌ）、ＳＱＵＩＤウェブ・プロキシ・キャッシ
ュ、ＣＡＲＰ（Ｃａｃｈｅ Ａｒｒａｙ Ｒｏｕｔｉｎ
ｇ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）およびハイパーテキスト・キャ
ッシング・プロトコル、ＳＯＣＣＥＲ（Ｓｅｌｆ−Ｏｒ
ｇａｎｉｚｉｎｇ Ｃａｃｈｅ Ｃｏｏｒｄｉｎａｔｉ
ｏｎ Ａｒｃｈｉｔｅｃｔｕｒｅ）は、そのような周知
技術の例である。これらの技術では、無作為に断片化さ
れたコンテンツの扱い方は考慮されていないか、あるい
は、ストリーミング・コンテンツの各断片はキャッシン
グ・プロキシ間に対し予め定められた配分方法に従い配
分されており、キャッシング・プロキシ間の同期が行わ
れることにより、コンテンツ要求に応じたコンテンツの
断片の利用が可能とされている。したがって、既存の技
術によれば、無作為かつ予測不能に分配されるコンテン
ツ・ストリームの断片を利用することはできない。

【００７３】好適な実施形態におけるキャッシュ・ハン
ドオフ・システム１０は、この無作為かつ予測不能に分
配されたコンテンツの断片を、組織的かつ効果的に利用
する機能を有している。この組織的かつ効果的な断片の
利用機能においては、多様なサイズのストリーミング・
コンテンツの断片の加工、キャッシング・プロキシ間の
動作の連係およびキャッシング・プロキシの組織化のう
ち、少なくともいずれか１つが行われる。

【００７４】ある実施形態のキャッシュ・ハンドオフ・
システム１０によるストリーミング・コンテンツの断片
の加工においては、不定サイズのコンテンツの断片が定
量化される。このコンテンツの断片の定量化において
は、その断片の余分な長さの部分が破棄され、あるい
は、ストリーミング・コンテンツの一部が取得され断片
に追加されることにより、同一サイズのコンテンツのブ
ロックが生成される。

【００７５】定量化されたコンテンツの断片は、任意の
数の単位量コンテンツからなる。ここで、単位量コンテ
ンツとは、特定のストリーミング・コンテンツを単位量
に区分したものを指すこととする。それぞれの単位量コ
ンテンツのサイズは、予め定められた大きさ、たとえ
ば、１キロバイト、１分間、その他ストリーミング・コ
ンテンツの一定部分を識別するための測定単位量であ
る。特定のキャッシング・プロキシにキャッシュされる
１または複数のストリーミング・コンテンツの単位量コ
ンテンツの数は、各々異なる。予め定められた順序でそ
れらの単位量コンテンツが選択されることにより、全体
としてストリーミング・コンテンツが生成される。な
お、周知技術に従い、各々のストリーミング・コンテン
ツはＵＲＩによって特定されてもよい。

【００７６】キャッシュ・ハンドオフ・システム１０に
おいて、ストリーミング・コンテンツを形成する個々の
単位量コンテンツは、単位量コンテンツ識別子ととも
に、ストリーミング・コンテンツのＵＲＩによって特定
される。この単位量コンテンツ識別子は、特定のキャッ
シュにローカルに記憶された各単位量コンテンツ、もし
くは単位量コンテンツの一群を特定する。単位量コンテ
ンツ識別子は、たとえば、数字や、その他、単位量コン
テンツがＵＲＩによって特定されるストリーミング・コ
ンテンツを形成する際の順序を表わすいかなる形態のフ
ォーマットであってもよい。他の実施形態において、単
位量コンテンツの順序を管理するために、たとえば、ス
トリーミング・コンテンツの開始点からのオフセット時
間を特定する時間を基準とした単位量コンテンツ識別子
や、その他の連続もしくは非連続の順序付けの技術が利
用されてもよい。

【００７７】好ましい実施形態においては、キャッシン
グ・プロキシがその内部にキャッシュされるコンテンツ
の断片の定量化を行う。そのような実施形態において、
キャッシング・プロキシはまず、不定サイズに断片化さ
れたコンテンツをキャッシュし、そのキャッシュされた
コンテンツの断片から要求に応じたストリーミング・コ
ンテンツを提供する。キャッシング・プロキシ内におい
ては、背景処理として、これらコンテンツの断片の余分
の長さの部分が破棄され、もしくは単位量コンテンツを
形成にするために必要なコンテンツの不足分が取得さ
れ、これらの断片の定量化が行われる。他の実施形態に
おいては、定量化は、キャッシング・プロキシ以外の装
置、たとえば、モビリティ・エージェント、移動ノード
１８、その他ネットワーク・アーキテクチャ１２内にお
いてキャッシング・プロキシに対し指示を行うことが可
能な装置による指示によってなされてもよい。

【００７８】単位量コンテンツは、キャッシュ代替アル
ゴリズムのための代替単位としても利用されうる。この
キャッシュ代替アルゴリズムは、キャッシュ内における
コンテンツの記憶状況を管理するためのよく知られた仕
組みである。一般的に、キャッシュ代替アルゴリズムに
より、他のコンテンツ用に追加的な記憶領域が必要とさ
れる場合に、キャッシュが記憶部からコンテンツをいか
に削除するかが決定される。よく知られた既存のキャッ
シュ代替アルゴリズムとして、例えば、ＬＦＵ（Ｌｅａ
ｓｔ Ｆｒｅｑｕｅｎｔｌｙ Ｕｓｅｄ）、ＲＢＣ（Ｒ
ｅｓｏｕｒｃｅＢａｓｅｄ Ｃａｃｈｉｎｇ）、ＬＲＵ
（Ｌｅａｓｔ Ｒｅｃｅｎｔｌｙ Ｕｓｅｄ）等があ
る。

【００７９】本実施形態のキャッシュ・ハンドオフ・シ
ステム１０におけるキャッシング・プロキシは、上述し
たように、網目状もしくは階層型に構成される。周知技
術に従い、キャッシュされていないストリーミング・コ
ンテンツの要求を受けたキャッシング・プロキシは、対
応するストリーミング・コンテンツを取得するために、
その要求を他のキャッシング・プロキシに転送する。要
求されたコンテンツの断片が分散している場合には、一
連のストリーミング・コンテンツを生成するために、キ
ャッシング・プロキシ間の連係処理が行われる。キャッ
シュ・ハンドオフ・システム１０において、異なるキャ
ッシング・プロキシにキャッシュされた単位量コンテン
ツの連係によりコンテンツ要求に応じたストリーミング
・コンテンツの生成が行われる際、集中型アプローチ、
分散型アプローチ、もしくは集中型と分散型のハイブリ
ッド型アプローチのいずれが採用されてもよい。

【００８０】図５はキャッシュ・ハンドオフ・システム
１０の他の実施形態を示す図である。キャッシュ・ハン
ドオフ・システム１０は、図に示されているように、ネ
ットワーク・アーキテクチャ１２内で動作する複数のキ
ャッシング・プロキシ２０２、およびマスター・キャッ
シュ２０４を有している。本実施形態の複数のキャッシ
ング・プロキシ２０２は、前述の第１キャッシング・プ
ロキシ２０および第２キャッシング・プロキシ２２と同
様に、コンテンツ配信ネットワーク内の同一もしくは複
数のサブネットに属している。

【００８１】マスター・キャッシュ２０４は、ネットワ
ーク・アーキテクチャ１２を介してキャッシング・プロ
キシ２０２と交信を行い、動作指示を与え、それらを連
係させることが可能ないかなる形態の装置であってもよ
い。キャッシング・プロキシ２０２間の動作の連係は、
１または複数のキャッシング・プロキシ２０２に単位量
コンテンツとしてキャッシュされたストリーミング・コ
ンテンツに対する要求に応じて実行される。マスター・
キャッシュ２０４は、たとえば、サーバ・コンピュー
タ、キャッシング・プロキシ、モビリティ・エージェン
ト、その他ネットワーク・アーキテクチャ１２内のいず
れかの装置に構成されていてもよい。

【００８２】図５に示された実施形態のキャッシュ・ハ
ンドオフ・システム１０において、キャッシング・プロ
キシ２０２は集中型アプローチで動作する。この集中型
アプローチを利用する実施形態において、個々のキャッ
シング・プロキシ２０２は、マスター・キャッシュ２０
４と交信することにより、互いの連係を維持する。マス
ター・キャッシュ２０４は、ネットワーク・アーキテク
チャ１２内の複数のキャッシング・プロキシ２０２にお
いて入手可能な、各ストリーミング・コンテンツ（ある
いはその断片）を構成する単位量コンテンツのそれぞれ
がキャッシュされている場所の情報を要約した、キャッ
シュ・ダイジェストを有している。

【００８３】このキャッシュ・ダイジェストは、たとえ
ば、リレーショナル・データベース、ルックアップ・テ
ーブル、独立したデータ記憶装置、その他の組織化され
たデータを記憶および照会するためのいかなる形態の装
置であってもよい。キャッシュ・ダイジェストには、Ｕ
ＲＩ、各単位量コンテンツの識別子、各単位量コンテン
ツをローカル・コンテンツとしてキャッシュしているキ
ャッシング・プロキシの識別情報、その他関連するパラ
メータが登録される。個々のキャッシング・プロキシ２
０２におけるキャッシュされたコンテンツの内容の変更
は、マスター・キャッシュ２０４に通知され、その結
果、キャッシュ・ダイジェストは常に更新される。マス
ター・キャッシュ２０４は、動作している間、移動ノー
ド１８からの要求を満たすことができる単位量コンテン
ツをローカル・コンテンツとしてキャッシュしているキ
ャッシング・プロキシ２０２を選択し、そのキャッシン
グ・プロキシ２０２に指示を与えることで、移動ノード
１８からの要求を満たす。

【００８４】マスター・キャッシュ２０４を有するキャ
ッシュ・ハンドオフ・システム１０の他の実施形態にお
いては、集中型および分散型のハイブリッド型アプロー
チが採用されてもよい。そのような実施形態において
は、キャッシング・プロキシ２０２はグループ化され
る。キャッシュ・ハンドオフ・システム１０は、任意の
サイズの任意数のグループを含むことができる。図示さ
れた実施形態において、キャッシュ・ハンドオフ・シス
テム１０は、第１グループ２０６、第２グループ２０８
および第３グループ２１０を含んでいる。各グループ
（２０６、２０８、２１０）のキャッシング・プロキシ
２０２は、互いに資源をプールし、そのプールされてい
る資源を利用して、コンテンツ要求に対して直接応答を
行う。本態様におけるマスター・キャッシュ２０４は、
異なるグループ（２０６，２０８，２１０）のキャッシ
ング・プロキシ２０２間の連係および資源のプールの基
点としての役割を担っている。このようなアプローチの
利点の１つは、データの冗長性が高いことである。マス
ター・キャッシュ２０４が利用できない場合、グループ
（２０６、２０８、２１０）内のキャッシング・プロキ
シ２０２のそれぞれが、コンテンツ要求に応答するため
に利用可能な資源を引き続きプールする。

【００８５】キャッシング・プロキシ２０２の資源のプ
ールにおいては、各グループ（２０６、２０８、２１
０）のキャッシング・プロキシ２０２間で通信が行われ
る。この通信においては、各グループ（２０６、２０
８、２１０）のキャッシング・プロキシ２０２間で問い
合わせが行われる。この問い合わせにおいて、２つのパ
ラメータ、すなわちＵＲＩおよび個々のＵＲＩに対応し
た単位量コンテンツの各々を特定するための単位量コン
テンツ番号が照会される。キャッシング・プロキシによ
る問い合わせの結果は、各キャッシング・プロキシ２０
２に対応したキャッシュ・ダイジェストに格納される。
このキャッシュ・ダイジェストは、既述のように、リレ
ーショナル・データベースもしくはルックアップ機能を
備えた他の情報収集記憶手段である。なお、各グループ
（２０６、２０８、２１０）のキャッシング・プロキシ
２０２は、複数のパラメータを含むキャッシュ・ダイジ
ェストをマルチキャストすることにより、ローカル・コ
ンテンツに関する情報を、マスター・キャッシュ２０４
および他の各グループ（２０６、２０８、２１０）のキ
ャッシング・プロキシ２０２に伝える。

【００８６】本実施形態のマスター・キャッシュ２０４
は、マスター・キャッシュ・ダイジェストを有する。こ
のマスター・キャッシュ・ダイジェストは、各グループ
（２０６、２０８、２１０）のキャッシング・プロキシ
２０２によってマルチキャストされた各キャッシュ・ダ
イジェストの連結体（集合体）を含んでいる。ある実施
形態において、マスター・キャッシュ２０４は、マスタ
ー・キャッシュ・ダイジェストを各キャッシング・プロ
キシ２０２に返送し、それを記憶させる。そのような実
施形態のキャッシング・プロキシ２０２はマスター・キ
ャッシュ・ダイジェストを記憶し、マスター・キャッシ
ュ２０４が利用不能の場合、各グループ（２０６、２０
８、２１０）の連係のために、記憶したマスター・キャ
ッシュ・ダイジェストを利用する

【００８７】キャッシュ・ハンドオフ・システム１０が
動作している間、キャッシング・プロキシ２０２が対応
するグループ（２０６、２０８、２１０）内からのキャ
ッシュ処理によりコンテンツ要求を満たすことができな
い場合、そのコンテンツ要求をマスター・キャッシュ２
０４に転送する。マスター・キャッシュ２０４は、その
要求を、対応するコンテンツを有するキャッシング・プ
ロキシ２０２もしくはグループ（２０６、２０８、２１
０）に再転送する。あるいは、マスター・キャッシュ２
０４自身がその要求に応答したり、もしくはその要求さ
れたコンテンツの所有の有無をキャッシング・プロキシ
２０２に問い合わせたりする。

【００８８】他の実施形態において、複数のマスター・
キャッシュ（図示略）が、キャッシング・プロキシ２０
２に対応するグループ（２０６、２０８、２１０）に類
似した別のレベルのグループを形成する。さらに、キャ
ッシュ・ハンドオフ・システム１０には、階級組織を形
成するために、スーパー・マスター・キャッシュ（図示
略）が構成されている。このスーパー・マスター・キャ
ッシュは、既述の実施形態のマスター・キャッシュ２０
４およびキャッシング・プロキシ２０２の場合と同様の
方法で、マスター・キャッシュのグループの動作を連係
させる。

【００８９】さらに別の実施形態のキャッシュ・ハンド
オフ・システム１０においては、キャッシング・プロキ
シ間の連係は、分散処理技術によって実現される。分散
処理技術を用いた実施形態においては、キャッシング・
プロキシ２０２はネットワーク・アーキテクチャ１２を
介して互いに通信を行うことにより、マスター・キャッ
シュ２０４の関与なしに連係処理を行うことが可能であ
る。各キャッシング・プロキシ２０２は、キャッシュ・
ダイジェストを有している。このキャッシュ・ダイジェ
ストは、ネットワーク・アーキテクチャ１２内の各キャ
ッシング・プロキシ２０２にローカルにキャッシュされ
たコンテンツに関する情報を含んでいる。

【００９０】そのコンテンツに関する情報は、コンテン
ツのＵＲＩおよび単位量コンテンツの識別子とともに、
各単位量コンテンツをローカルにキャッシュしているキ
ャッシング・プロキシの識別情報を含んでいる。したが
って、どのキャッシング・プロキシ２０２もキャッシュ
・ダイジェストを利用することにより、単位量コンテン
ツを組み立て、ストリーミング・コンテンツの要求に応
じることができる。他の実施形態においては、キャッシ
ング・プロキシ２０２はマルチキャスト・アドレスによ
って特定される。そのような実施形態においては、スト
リーミング・コンテンツの要求に応じて、ＵＲＩおよび
単位量コンテンツの識別子を含んだ問い合わせが、ネッ
トワーク・アーキテクチャ１２内のキャッシング・プロ
キシ２０２にマルチキャストされることにより、単位量
コンテンツの場所が特定される。

【００９１】既に述べた、キャッシング・プロキシ間で
連係処理が行われる実施形態のキャッシュ・ハンドオフ
・システム１０は、キャッシュされたコンテンツの冗長
性の制御手段をさらに有していてもよい。移動ノード１
８のローミングにより、同じストリーミング・コンテン
ツの複製である単位量コンテンツが、キャッシュ・ハン
ドオフ・システム１０内の異なる複数のキャッシング・
プロキシ２０２にキャッシュされる場合がある。もし重
複した単位量コンテンツが極端に多くなると、キャッシ
ングの総容量は限られていることから、キャッシュ・ハ
ンドオフ・システム１０内にキャッシュされる単位量コ
ンテンツの内容の多様性は減じられる。他方、重複した
単位量コンテンツを全て削除してしまうと、ストリーミ
ング・コンテンツの要求元とその要求に対応する単位量
コンテンツもしくは要求に対応するストリーミング・コ
ンテンツの形成に用いられる分散された単位量コンテン
ツとの間に大きな論理的な距離の隔たりが生じ、ネット
ワーク・トラフィックが増大する。このように、いずれ
の極端な場合においても、コンテンツ要求に対するスト
リーミング・コンテンツの提供は非効率になる。

【００９２】冗長性の制御手段を有する好適な本実施形
態のキャッシュ・ハンドオフ・システム１０において
は、単位量コンテンツの重複が、ある程度許容される。
この単位量コンテンツの重複は、ネットワーク・アーキ
テクチャ１２を介したトラフィック全体の減少という効
果をもたらす。重複の度合いは、キャッシュ・ハンドオ
フ・システム１０全体、各グループ（１０６、１０８、
１１０）、グループ（１０６、１０８、１１０）の集合
体、その他キャッシュ・ハンドオフ・システム１０のい
かなるレベルのサブセットに関して監視および制御がな
されてもよい。

【００９３】許容される単位量コンテンツの重複の度合
いは、動作統計に基づいて、キャッシング・プロキシ２
０２内にキャッシュされている単位量コンテンツのそれ
ぞれに与えられるランキングに応じて決定される。この
動作統計は、たとえば、同一のストリーミング・コンテ
ンツに対する要求の数、あるストリーミング・コンテン
ツの要求を満たすために必要なリソースの量、重複の
数、その他動作に関連したパラメータもしくは複数のパ
ラメータを加重して組み合わせたものである。したがっ
て、たとえば、重複が存在しない単位量コンテンツのラ
ンキングは、既に多数の重複を有する単位量コンテンツ
のランキングよりも高い。同様に、要求頻度が非常に高
い単位量コンテンツは、高い度合いの重複が許容され
る。ゆえに、重複が少なくかつ要求頻度の高い単位量コ
ンテンツはランキングが高く、削除されない。

【００９４】ある実施形態においては、マスター・キャ
ッシュ２０４がキャッシュ・ハンドオフ・システム１０
内の単位量コンテンツに関する重複情報を保持してい
る。そのような実施形態においては、キャッシング・プ
ロキシ２０２がローカルにキャッシュされたコンテンツ
の変更に伴い、マスター・キャッシュ２０４を更新す
る。その結果、マスター・キャッシュ２０４は現在の単
位量コンテンツの重複状況を把握し、そのリストを管理
することができる。

【００９５】ある実施形態においては、キャッシング・
プロキシ２０２が、ローカルにキャッシュされたコンテ
ンツのいずれを削除すべきかを決定する処理において、
リストにアクセスする。他の実施形態においては、マス
ター・キャッシュ２０４が、複製された単位量コンテン
ツを削除すべきキャッシング・プロキシ２０２を選択
し、そのキャッシング・プロキシ２０２に対し単位量コ
ンテンツの削除を指示する。更に他の実施形態において
は、上述の２つのアプローチが組み合わせて利用されて
も良い。これらの実施形態において、冗長性の制御のた
めの処理は、キャッシング・プロキシ２０２の動作効率
に影響を与える。したがって、各キャッシング・プロキ
シ２０２は、緊急の利用のために一定量の記憶領域を確
保しており、キャッシュの複製処理を背景処理として実
行することにより、常に必要なキャッシュを利用可能な
状態に維持する。

【００９６】本発明は具体的な実施形態を用いて説明さ
れているが、請求項に記載の発明の、より広範な思想お
よび技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、上記の実
施形態に様々な修正および変形を加えることができるこ
とは言うまでもない。すなわち、発明の詳細な説明およ
び図面は、本発明の理解のための例示であって、本発明
を制限するものではない。

【００９７】

【発明の効果】上述のキャッシュ・ハンドオフ・システ
ム１０によれば、ネットワーク・アーキテクチャ１２内
の移動ノード１８によって要求されたストリ−ミング・
コンテンツの効率的な管理が可能となる。この効率的な
管理は、コンテンツ要求に対するコンテンツの提供にお
けるネットワーク・アーキテクチャ１２のパフォーマン
スの最適化と、コンテンツ要求に対する応答がなされて
いる間に行われる移動ノード１８のローミングによって
新たに生じる、トラフィックの最小化を含む。移動ノー
ド１８のサブネット間のローミングに対して、能動的に
キャッシュ処理のハンドオフを実行することで、そのよ
うなローミングが行われている間に提供されるストリー
ミング・コンテンツのサービス品質の最適化が行われ
る。さらに、移動ノード１８のローミングに応じてキャ
ッシング・プロキシとの間の論理的近接性を維持するこ
とで、ネットワーク・アーキテクチャ１２を介したスト
リーミング・コンテンツの通信経路の最適化も実現され
る。また、キャッシュ・ハンドオフ・システム１０は、
コンテンツ要求に対して応答するばかりでなく、移動ノ
ード１８のローミングに応じて、キャッシング・プロキ
シにキャッシュされたコンテンツの単位量コンテンツを
生成し、それらを管理することにより、キャッシュの冗
長性を最適化する。したがって、本発明に係るキャッシ
ュ・ハンドオフ・システム１０により、移動ノード１８
がネットワーク・アーキテクチャ１２内をローミングす
る際に、移動ノード１８に高品質のストリーミング・コ
ンテンツを提供するための効率的かつ効果的なシステム
が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 キャッシュ・ハンドオフ・システムの実施形
態を示すブロック図である。

【図２】 キャッシュ・ハンドオフ・システムの他の実
施形態を示すブロック図である。

【図３】 キャッシュ・ハンドオフ・システムの一実施
形態を示す流れ図である。

【図４】 図３に示されたキャッシュ・ハンドオフ・シ
ステムの一実施形態を示す流れ図の続きである。

【図５】 キャッシュ・ハンドオフ・システムの他の実
施形態を示す流れ図である。

【符号の説明】

１０・・・キャッシュ・ハンドオフ・システム、１２・
・・ネットワーク・アーキテクチャ、１４・・・第１サ
ブネット、１６・・・第２サブネット、１８・・・移動
ノード、２０・・・第１キャッシング・プロキシ、２２
・・・第２キャッシング・プロキシ、３０・・・第１モ
ビリティ・エージェント、３２・・・第２モビリティ・
エージェント、２０２・・・キャッシング・プロキシ、
２０４・・・マスター・キャッシュ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ムハンマド ムカラム ビン タリク アメリカ合衆国，カリフォルニア州 95128，サンノゼ，ティー トゥリー コ ート 670 (72)発明者 アツシ タケシタ アメリカ合衆国，カリフォルニア州 94087，サニーヴェール，ミケランジェロ ドライヴ 996 Ｆターム(参考） 5B082 HA02 HA08 5K030 GA01 HB21 HC09 JL01 JT09 MB18 5K067 AA23 BB21 CC08 DD51 EE02 EE10 EE16 EE24 HH23 JJ35 JJ39 JJ52 KK15

Claims (30)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ａ）第１サブネットに含まれる移動ノー
   ドに対して、要求に応じて、第１キャッシング・プロキ
   シを用いてストリーミング・コンテンツを提供する過程
   と、 ｂ）前記移動ノードを第２サブネットに移動するステッ
   プと、 ｃ）前記ストリーミング・コンテンツの提供に対する前
   記要求を、前記第１キャッシング・プロキシから第２キ
   ャッシング・プロキシに引き渡す過程と、 ｄ）前記移動ノードに対し、前記第２キャッシング・プ
   ロキシを用いて、前記要求に応じた前記ストリーミング
   ・コンテンツの提供を引き続き行う過程とを備えること
   を特徴とするキャッシュ可能なストリーミング・コンテ
   ンツの管理方法。
2. 【請求項２】 前記ステップｃ）は、前記移動ノード
   の移動を前記第１キャッシング・プロキシに通知するこ
   とを最初の動作として含むことを特徴とする請求項１に
   記載の管理方法。
3. 【請求項３】 前記ステップｃ）は、前記第１キャッシ
   ング・プロキシを用いて、前記第２サブネット内におけ
   る移動ノードのデータ記憶場所として、前記第２キャッ
   シング・プロキシを特定することを特徴とする請求項１
   に記載の管理方法。
4. 【請求項４】 前記ステップｃ）は、前記第２キャッシ
   ング・プロキシを特定するためのキャッシュの問い合わ
   せを開始する動作を含むことを特徴とする請求項１に記
   載の管理方法。
5. 【請求項５】 前記ステップｃ）は、前記第１キャッシ
   ング・プロキシを用いて、前記ハンドオフを開始する動
   作を含むことを特徴とする請求項１に記載の管理方法。
6. 【請求項６】 ａ）第１サブネット内に位置する移動ノ
   ードの要求に応じて、キャッシング・プロキシを用い
   て、ストリーミング・コンテンツを供給するステップ
   と、 ｂ）前記キャッシング・プロキシによって供給された前
   記ストリーミング・コンテンツをキャッシュするステッ
   プと、 ｃ）前記移動ノードが第２サブネットに移動した場合、
   前記キャッシング・プロキシとは異なる他のキャッシン
   グ・プロキシに前記要求をハンドオフするステップと、 ｄ）前記キャッシング・プロキシを用いた前記ストリー
   ミング・コンテンツのキャッシングを中断するステップ
   と、 ｅ）前記キャッシング・プロキシにキャッシュされた前
   記ストリーミング・コンテンツの断片を、単一のサイズ
   にするために、定量化するステップとを備えることを特
   徴とするキャッシュ可能なストリーミング・コンテンツ
   の管理方法。
7. 【請求項７】 前記ステップｅ）は、 前記断片のいくつかを破棄する動作と、 前記断片に対し追加するための、前記ストリーミング・
   コンテンツの追加部分を予め取得する動作と、 前記断片に何ら変更を加えない動作の少なくともいずれ
   か１つの動作を含むことを特徴とする請求項６に記載の
   管理方法。
8. 【請求項８】前記ステップｅ）は、複数の単位量に等し
   くなるように、前記断片のサイズを修正する動作を含む
   ことを特徴とする請求項６に記載の管理方法。
9. 【請求項９】 前記各ステップに加えて、 ｆ）前記定量化された断片を、少なくとも１つの他のキ
   ャッシング・プロキシに無作為にキャッシュされた他の
   定量化された断片と共に利用するための連係を行うステ
   ップをさらに含むことを特徴とする請求項６に記載の管
   理方法。
10. 【請求項１０】 前記各ステップに加えて、 ｆ）ＵＲＩ（Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｉｄ
    ｅｎｔｉｆｉｅｒ）と、前記定量化された断片を代表し
    て示す少なくとも１つの単位量のコンテンツの識別子
    を、マスター・キャッシュおよび他のキャッシング・プ
    ロキシの少なくともいずれか１つに送信するステップを
    さらに含むことを特徴とする請求項６に記載の管理方
    法。
11. 【請求項１１】 前記定量化された断片は少なくとも１
    つの単位量のコンテンツを含み、前記各ステップに加え
    て、 ｆ）複製された単位量のコンテンツが他のキャッシング
    ・プロキシに無作為にキャッシュされることを選択的に
    認めるステップをさらに含むことを特徴とする請求項６
    に記載の管理方法。
12. 【請求項１２】 前記各ステップに加えて、 ｆ）ＵＲＩ（Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｉｄ
    ｅｎｔｉｆｉｅｒ）と、前記定量化された断片を代表し
    て示す少なくとも１つの単位量のコンテンツの識別子
    を、キャッシュ・ダイジェストに格納するステップをさ
    らに含むことを特徴とする請求項６に記載の管理方法。
13. 【請求項１３】 前記各ステップに加えて、 ｆ）動作上の統計を用いて、前記断片をランク付けする
    ステップと、 ｇ）前記ランク付けの結果を用いて、断片の複製の度合
    いを制御するステップとをさらに含むことを特徴とする
    請求項６に記載の管理方法。
14. 【請求項１４】 ａ）移動ノードによるストリーミング
    ・コンテンツに対する要求に応答し、前記移動ノードの
    位置に対し論理的近接性を有するキャッシング・プロキ
    シを、前記移動ノードの移動状況情報に登録するステッ
    プと、 ｂ）前記キャッシング・プロキシに、前記移動ノードが
    新しい位置に移動したことを通知するステップと、 ｃ）前記新しい位置に対し論理的近接性を有するハンド
    オフ先のキャッシング・プロキシを特定するステップ
    と、 ｄ）前記キャッシング・プロキシから前記ハンドオフ先
    のキャッシング・プロキシへの、前記ストリーミング・
    コンテンツに対する前記要求のキャッシュ処理のハンド
    オフを開始するステップと、 ｅ）前記ハンドオフ先のキャッシング・プロキシを、前
    記移動ノードの移動状況情報に登録するステップとを備
    えることを特徴とするキャッシュ可能なストリーミング
    ・コンテンツの管理方法。
15. 【請求項１５】 前記ステップａ）は、前記キャッシン
    グ・プロキシの信用証明および前記移動ノードの識別情
    報を、ホームエージェントに送信する動作を含むことを
    特徴とする請求項１４に記載の管理方法。
16. 【請求項１６】 前記ステップａ）は、前記キャッシン
    グ・プロキシの信用証明および前記移動ノードの識別情
    報を、移動状況情報登録サーバに送信する動作を含むこ
    とを特徴とする請求項１４に記載の管理方法。
17. 【請求項１７】 前記ステップｂ）は、前記キャッシン
    グ・プロキシに前記移動ノードの新しい位置を通知する
    動作を含み、 前記ステップｃ）は、前記ハンドオフ先のキャッシング
    ・プロキシを特定するために、前記キャッシング・プロ
    キシを用いて、キャッシュの問い合わせを開始する動作
    を含むことを特徴とする請求項１４に記載の管理方法。
18. 【請求項１８】 前記ステップｄ）は、前記ストリーミ
    ング・コンテンツに対する前記要求の信用証明および詳
    細情報を、前記ハンドオフ先のキャッシング・プロキシ
    に送信する動作を含むことを特徴とする請求項１４に記
    載の管理方法。
19. 【請求項１９】 前記ステップｅ）は、前記キャッシュ
    処理のハンドオフの成功を確認する動作と、 前記キャッシング・プロキシからの前記ストリーミング
    ・コンテンツの更なる転送を中断する動作とを含むこと
    を特徴とする請求項１４に記載の管理方法。
20. 【請求項２０】 前記ステップａ）およびステップｂ）
    は、ＳＩＰ（Ｓｅｓｓｉｏｎ Ｉｎｉｔｉａｔｉｏｎ
    Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）を利用して実行されることを特徴と
    する請求項１４に記載の管理方法。
21. 【請求項２１】 前記移動ノードとの通信は、移動ＩＰ
    （ＩｎｔｅｒｎｅｔＰｒｏｔｏｃｏｌ）を利用して実行
    されることを特徴とする請求項１４に記載の管理方法。
22. 【請求項２２】 第１サブネットおよび第２サブネット
    を含むネットワーク・アーキテクチャ内で移動ノードに
    より要求された、キャッシュ可能なストリーミング・コ
    ンテンツを管理するためのキャッシュ・ハンドオフ・シ
    ステムであって、 前記第１サブネットで動作可能な移動ノードの要求に応
    じてストリーミング・コンテンツを供給する、前記第１
    サブネットで動作可能な第１キャッシング・プロキシ
    と、 前記第２サブネットで動作可能な第２キャッシング・プ
    ロキシとを具備し、 前記第１キャッシング・プロキシは、前記移動ノードの
    前記第２サブネットへの移動に伴って、前記第２キャッ
    シング・プロキシへの、前記要求に関するキャッシュ処
    理のハンドオフを開始することが可能であり、 前記第２キャッシング・プロキシは、前記キャッシュ処
    理のハンドオフに応じて、前記要求されたストリーミン
    グ・コンテンツを中断すること無く供給し続けることが
    可能であることを特徴とするキャッシュ・ハンドオフ・
    システム。
23. 【請求項２３】 前記ネットワーク・アーキテクチャ内
    で動作可能な、移動状況情報登録サーバをさらに具備
    し、 前記第１キャッシング・プロキシおよび第２キャッシン
    グ・プロキシのいずれか一つを、前記ストリーミング・
    コンテンツを供給する装置として、前記移動ノードの移
    動状況情報に登録することを特徴とする請求項２２に記
    載のキャッシュ・ハンンドオフ・システム。
24. 【請求項２４】 前記第１キャッシング・プロキシおよ
    び第２キャッシング・プロキシの少なくとも一つが、前
    記移動ノードのホームエージェントを発見することが可
    能であることを特徴とする請求項２２に記載のキャッシ
    ュ・ハンドオフ・システム。
25. 【請求項２５】 前記第１キャッシング・プロキシは、
    前記移動ノードの位置情報に基づいて、前記キャッシュ
    処理のハンドオフを受け取る装置として、前記第２キャ
    ッシング・プロキシを選択することが可能であることを
    特徴とする請求項２２に記載のキャッシュ・ハンドオフ
    ・システム。
26. 【請求項２６】 前記移動ノードは、前記第１キャッシ
    ング・プロキシと第２キャッシング・プロキシとの間の
    前記キャッシュ処理のハンドオフの指示を行うことが可
    能であることを特徴とする請求項２２に記載のキャッシ
    ュ・ハンドオフ・システム。
27. 【請求項２７】 前記移動ノードは、前記第２サブネッ
    ト内の前記第２キャッシング・プロキシを特定するため
    の、キャッシュの問い合わせの開始が可能であることを
    特徴とする請求項２２に記載のキャッシュ・ハンドオフ
    ・システム。
28. 【請求項２８】 前記第１キャッシング・プロキシは、
    前記キャッシュ処理のハンドオフが成功した場合、前記
    要求されたストリーミング・コンテンツの供給を中断す
    ることが可能であることを特徴とする請求項２２に記載
    のキャッシュ・ハンドオフ・システム。
29. 【請求項２９】 前記第１キャッシング・プロキシは、
    前記ストリーミング・コンテンツの供給を中断するに先
    立って、前記ストリーミング・コンテンツの断片をキャ
    ッシュすることが可能であり、 前記断片は、少なくとも一つの単位量のコンテンツから
    構成されるように、定量化されていることを特徴とする
    請求項２８に記載のキャッシュ・ハンドオフ・システ
    ム。
30. 【請求項３０】 第１キャッシング・プロキシおよび第
    ２キャッシング・プロキシの動作を調整することが可能
    なマスター・キャッシュをさらに具備し、 前記第１キャッシング・プロキシおよび第２キャッシン
    グ・プロキシは、それぞれに無作為にキャッシュされて
    いるストリーミング・コンテンツの識別情報を、前記マ
    スター・キャッシュに送信することが可能であることを
    特徴とする請求項２２に記載のキャッシュ・ハンドオフ
    ・システム。