JP2003287786A - 採光情報の取得方法 - Google Patents
採光情報の取得方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】専門家(プロフェッショナル)の設定した採光
条件を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採光
情報の取得方法および採光条件の設定方法並びにそのシ
ステムを提供すること。 【解決手段】採光情報取得用のモデル物体を用い、採光
情報の取得を目的とする採光状況下で前記モデル物体か
らの反射光を得、これから得られたデジタルデータを等
高線画像として出力し、これを以って当該採光状況にお
ける採光情報とすることを特徴とする採光情報の取得方
法並びにそのシステム。
条件を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採光
情報の取得方法および採光条件の設定方法並びにそのシ
ステムを提供すること。 【解決手段】採光情報取得用のモデル物体を用い、採光
情報の取得を目的とする採光状況下で前記モデル物体か
らの反射光を得、これから得られたデジタルデータを等
高線画像として出力し、これを以って当該採光状況にお
ける採光情報とすることを特徴とする採光情報の取得方
法並びにそのシステム。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、採光情報の取得技
術に関し、より具体的には、専門家(いわゆる、プロフ
ェッショナル)の設定した採光(ライティング)条件
を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採光情報
の取得技術に関する。 【0002】 【従来の技術】スタジオ内での写真撮影や、ショーウィ
ンドウにおけるディスプレイあるいは美術館等における
展示物の照明では、対象物(写真撮影におけるモデル,
ディスプレイされるモデルや商品,展示される美術品
等)を、撮影者や展示者の意図に合わせて効果的に照明
することが重要である。以下、このような場合の照明に
ついて、スタジオ内での写真撮影を例にとって説明す
る。 【0003】スタジオ内での写真撮影においては、専門
の撮影者(いわゆる,プロのカメラマン)が、通常、複
数の光源,光反射材料等を用いて、それらの配置や光源
の明るさを種々検討して、撮影の意図に合うような採光
(ライティング)が可能なように設定を行う。以下の説
明では、このような複数の光源,光反射材料等の配置
や、その明るさの設定状況などを総合して、採光情報と
呼ぶことにする。また、これが、別の場所等における採
光状態の再現を意図して用いられる場合には、これを採
光条件と呼ぶことにする。 【0004】一般に、スタジオ内での写真撮影において
は、上述のような複数の光源,光反射材料等の配置や、
その明るさの設定状況を確定する(つまり、採光状態を
最適化する)ためには、専門家の指導の下での試行錯誤
が繰り返され、多くの労力と時間が費やされるのが普通
である。また、ある場所において設定された(最適化さ
れた)採光状態は、場所を移すことによって大抵は失わ
れてしまい、場所を移した場合には、その新たな場所で
また最初から、前回と同様の試行錯誤が繰り返されると
いうことも、従来は当たり前のこととなっていた。 【0005】しかしながら、種々の目的により、専門家
を含む大勢の作業者が作成した優れた(最適化された)
採光状態は、これを簡単な操作で別の場所に再現するこ
とは、多いに意味のあることである。例えば、ポートレ
ート撮影や、カタログ作成の場合などにおける商品の写
真撮影では、モデルや商品は変化するとしても、採光状
態としては大きな変更を要しない。そこで、異なる場所
において写真撮影を行う場合などに、モデル的な採光状
態を定めておき、この情報を用いてどこででも、上述の
モデル的な採光状態を再現できるようにしておくことが
有効であるのは明らかである。 【0006】上述のようなモデル的な採光状態をキチン
と再現するようにできれば、これは教育・研究(主とし
て、写真,絵画,彫刻等)の分野においても極めて有効
であり、従来は指導者の主観に左右されることが多かっ
た、これらの分野においても客観的な指導・研究が実現
できる可能性を有するものである。さらに、美術品の巡
回展示などが行われる場合に、一度設定した良好な採光
状態を、別の展示場でも簡単に再現できれば、これは、
展示の質を維持することができるばかりでなく、展示に
要する準備時間と所要経費の大幅な削減をもたらすこと
にもなるという効果が得られる。 【0007】しかしながら、従来はこのような採光状態
の評価ないし定量化はほとんど行われてはおらず、わず
かに、例えば特開平7−36086号公報に開示されて
いる「自動ライティング装置及び該装置を用いた自動ラ
イティングシステム」が知られているにすぎない。な
お、このシステムは、光電センサを組み込んだ模擬被写
体を所定位置にセットして、その周囲に配置した複数の
光源,光反射材料等の位置,明るさ等を調整して、最終
的に設定された採光状態を上記センサにより読み取って
記録・蓄積することにより、種々の撮影パターンに対応
するモデル的な採光状態を、自動的に設定可能とすると
いうものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、前述の模擬被写体に組み込まれている光電センサ
は、限られた方向からの入射光しか検知できない固定的
なものであることから、多彩な変化が起こり得る複数の
光源,光反射材料等の位置,明るさ等を詳細に、また任
意の部分に着目して読み取ることは不可能であり、ま
た、前述の模擬被写体はその形状が半球形であり、かつ
架台上にセットされているため、下方からの照明に対応
することができない。 【0009】さらに、上記従来技術においては、前記光
電センサにより得られる情報は、オペレータの視覚との
対応が希薄な情報、すなわち、画像様の情報を含まない
数値データの羅列に終わる可能性が高く、採光状態の微
妙な差が問題になるというような評価(例えば、ポート
レート写真撮影のような場合)には、適用することが難
しいという問題もある。 【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、従来の技術における問題
を解消し、専門家(プロフェッショナル)の設定した採
光条件を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採
光情報の取得方法を提供することにある。 【0011】また、本発明の他の目的は、光質,光源の
配置等の光源情報に加え、CIE表色系における測色値
と色度値をも用いて、特に色再現を忠実に行うようにし
た採光情報の取得方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、以下の説明において明らかにされる。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る採光情報の取得方法は、採光情報取得
用のモデル物体を用い、採光情報の取得を目的とする採
光状況下で前記モデル物体からの反射光を得、これから
得られたデジタルデータを以って当該採光状況における
採光情報とすることを特徴とする。 【0013】ここで、本発明に係る採光情報の取得方法
においては、前記モデル物体として、所定の鏡面光沢度
を有する、凹部を有しない曲面体を用いることを特徴と
する。また、本発明に係る採光情報の取得方法において
は、前記モデル物体からの反射光に基づくデジタルデー
タを輝度データに変換し、このデータを基に作成した等
高線画像を前記採光情報とすることを特徴とする。 【0014】さらに、本発明に係る採光情報の取得方法
においては、前記等高線画像に対応する採光条件とし
て、前記等高線画像中の各領域についてのCIE表色系
における測色値と色度値を求めて、これらの値を前記採
光情報とすることを特徴とする。またさらに、本発明に
係る採光情報の取得方法においては、前記等高線画像
を、前記CIE表色系における測色値と色度値ごとにカ
ラー表示することを特徴とする。 【0015】また、本発明に係る採光情報の取得方法を
写真撮影に適用する場合に用いるためのモデル物体は、
その表面の光沢度が所定値以下である、灰色曲面体で構
成されることを特徴とする。ここで、前記表面の光沢度
はJISZ8741に規定される45度鏡面光沢度で1
20以下であり、かつ、前記曲面体の曲率半径が3〜1
5cmであることが好ましい。 【0016】また、本発明に係る採光条件の設定方法
は、上述の採光情報の取得方法により得た採光情報を基
に、これを再現するように採光条件を設定することを特
徴とする。より具体的には、本発明に係る採光条件の設
定方法においては、前記等高線画像を再現するように採
光条件を設定するか、あるいは、前記等高線画像中の各
領域についてのCIE表色系における測色値と色度値を
再現するように採光条件を設定することが好ましい。 【0017】また、本発明は、前述の採光情報の取得方
法により得た採光情報を基に、これを再現するように採
光条件を設定する採光条件の設定システムとしても具体
化することが可能である。ここで、本発明に係る採光条
件の設定システムにおいては、前記等高線画像を再現す
るように採光条件を設定するか、あるいは、前記等高線
画像中の各領域についてのCIE表色系における測色値
と色度値を再現するように採光条件を設定するように、
制御する手段を有することが好ましい。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、添付の図面に基づいて、本
発明の実施の形態を詳細に説明する。 【0019】図1は、本発明の一実施形態に係る採光情
報の取得方法に用いる被写体(採光情報取得用被写体、
以下、単に被写体という)の一例を示すものである。こ
の被写体11は、表面に光沢灰色塗料を塗布した楕円体
であり、人間の顔(頭部)程度の大きさを有するもので
ある。なお、ここでは、上記楕円体の表面の光沢度はJ
ISZ8741に規定される45度鏡面光沢度で、10
0としている。 【0020】図2は、本実施形態に係る採光情報の取得
方法の動作フロー図である。採光情報を取得しようとす
る際には、上述の被写体を所定の位置にセットし、これ
に対して、前述のように、専門家(プロフェッショナ
ル)により採光条件を設定してもらう(ステップ2
1)。ここで、採光条件の設定に際しては、光源の光
質,位置(方向,高さ,角度等),形状,面積,数等を
考慮する。また、反射板等の補助的な光源(二次光源)
についても、同様の点を考慮する。 【0021】採光条件が設定できたら、この条件を規定
するための採光情報の取得動作に移る。ステップ22で
は、上述の被写体(灰色の楕円体)11を撮影する。ス
テップ23では、撮影画像をデジタルデータ化する。な
お、このデジタルデータ化は、銀塩写真の場合は現像後
の画像をスキャナで読み取ることで行うが、デジタルカ
メラによる撮影の場合は、ステップ22の撮影を行った
段階で、デジタル化されたデータが得られるのは、いう
までもない。 【0022】ステップ24では、撮影画像をパソコン
(パーソナルコンピュータ)上で、例えばアドビシステ
ムズ社の市販ソフトであるPhotoshop(商品名)を用い
て開き、L* a* b* データを得、これについて等高線
画像作成ソフトのプログラムを実行して、例えば、輝度
(L* )を10段階に分割した等高線画像(bmpファ
イル形式)を作成する。 【0023】ステップ25では、上述の10段階の輝度
による等高線画像をカラー表示に対応させて、プリント
出力する。このプリントを、標準採光条件を示す資料と
して保存し、以後の再現性のチェックにおける基準(標
準)資料とする。以上が、採光条件を規定するための採
光情報の取得動作である。 【0024】次に、上で取得した採光情報を用いての採
光条件の再現について、図3を用いて説明する。まず、
ステップ31で、採光情報の取得動作で得た画像を参照
しながら、採光条件である、光源の光質,位置(方向,
高さ,角度等),形状,面積,数等、さらには、反射板
等の補助的な光源(二次光源)について、上で取得した
採光情報が得られるように、すなわち、採光条件が再現
できるようにこれらの配置を決定する。 【0025】ステップ32〜35では、ステップ22〜
25の処理と同じ処理で、この採光条件の下での、等高
線画像をカラー表示したプリントを出力させる。次に、
ステップ36では、前述の基準(標準)資料のプリント
と、再現しようとして決定した採光条件におけるプリン
トとの比較検討を行う。比較の結果が、許容範囲である
と判定された場合には、ここで決定された採光条件を、
再現された採光条件として採用する。 【0026】一方、ステップ36での比較検討の結果
が、許容範囲ではなく差異があると判定された場合に
は、ステップ35で得られた画像を参照して採光条件を
修正し、ステップ32〜35を再度実行する。そして、
得られた結果(プリント)について、ステップ36で前
述の基準(標準)資料のプリントと、新たに設定した採
光条件におけるプリントとの比較検討を行う。 【0027】比較の結果が、許容範囲であると判定され
た場合には、ここで決定された修正された採光条件を、
再現された採光条件として採用する。また、比較検討の
結果が、まだ許容範囲ではないと判定された場合には、
ステップ35で得られた修正された採光条件に基づく画
像を参照して採光条件を再度修正して、ステップ31以
降を繰り返す。 【0028】通常は、上述の処理を1〜2回繰り返すこ
とで、所望の採光条件を再現することが可能である。こ
の理由は、視覚的に非常に判りやすい、カラー画像を用
いた資料に基づく比較であることによるものであり、採
光条件というような定量化が極めて困難な情報を具体的
に把握可能とした、本発明(本実施形態)の効果が、こ
こに明瞭に示される。 【0029】上述の、基準(標準)資料のプリントと、
再現しようとして決定した採光条件におけるプリントと
のそれぞれのサンプルを、図4および図5に、模式図と
して示す。なお、実施形態において用いた原図は、人が
判断しやすいように、10段階の輝度を、高い方から順
に、白,赤,橙,黄,黄緑,緑,青緑,青,紫,黒の各
色に対応させているものであるが、ここでは、それをハ
ッチングの相違で表現している(図8参照)。 【0030】また、図4および図5において、各(a)
は前述の被写体(灰色の楕円体)11を撮影した、その
ままの画像であり、また、各(b)はこの画像を前述の
処理で輝度による等高線画像にして、輝度のレベルを色
の差(但し、前述のように、ここでは、ハッチングで差
を示している)として出力した画像のうちの標準露光の
画像、また、各(c)は(b)に比べて1/2絞り絞っ
て撮影した画像を、それぞれ示している。 【0031】図4および図5における各(a)の画像か
ら読み取れる情報としては、ここでは、正面斜め上方か
らのメインライトの画像41,51と、正面上方からの
トップライト42,52と、正面左右両側方からのサブ
ライト43a,43b;53a,53bが組み合わされ
た採光条件を用いていることがわかるので、この情報
と、各照明手段のセット位置,角度等に関する情報とを
参照することにより、各照明手段のセット状態が、ある
程度の正確さで把握可能となる。 【0032】ところが、図4および図5において、それ
ぞれ(a),(b),(c)を比較すると、これらはい
ずれも、採光条件を決定した(照明器具等を設定した)
オペレータから見れば、目標とする採光条件を再現でき
ていると考えられる状況にあるものを撮影したものであ
るにもかかわらず、図上では、図4および図5間にかな
り大きな差が認められるものとなっている点に注意する
必要がある。 【0033】すなわち、例えば、図4および図5におけ
る各(a)同士の比較(これは、目視の状況にかなり近
いと考えられるものである)では、エリア41と51と
の明るさにやや差があるように見える他にはあまり明確
な差はなく、かなりの精度で採光条件が再現されている
ようにも見えるが、各(b)同士の比較(これは、輝度
の差を拡大して示しているものである)では、差がかな
り具体的に読み取れる状況になっている。 【0034】例えば、図4および図5における各(b)
に矢印で示す、44,54の部分では、図4ではほぼ同
心円状に輝度が滑らかに変化しているのに対して、図5
では輝度の部分的に高い部分(54’)がある上に、4
4,54の両部分の形状も大きく異なっており、全体と
してはかなり明るいが、周辺部近くでは急に暗くなると
いうような採光条件になっていることが具体的に読み取
れる。 【0035】上述のような採光条件の差は、図4および
図5における各(a)同士の比較ではわかりにくい。被
写体を実際の人間の顔にした場合などには、上述のモデ
ル的な被写体(灰色の楕円体)の場合よりは判りやすく
なる面もあるものの、逆に、目,鼻,唇などの顔の造作
の凹凸構造に左右される面(あるいは、それが微妙に移
動すること)が影響して、判断の正確性については、必
ずしも良化するとはいえない面もある。 【0036】それに対して、図4および図5における各
(b)に示す画像では、輝度差を適度に拡大して表示し
ているため、単純な楕円体を撮影しただけの画像であり
ながら、採光条件のわずかな差を適確に表現することが
可能となっており、本実施形態に係る方法が、この種の
差を見出す際には極めて有効なツールとなっているとい
うことができる。 【0037】また、上述の図4および図5における各
(c)に示す画像は、前述の通り、各(b)に示す画像
に対して1/2絞り絞って撮影した画像であるが、この
ように露光量を変化させた画像を並列に、つまり画像
(b)と(c)とを並べて観察することによって、前述
のような判断をより適確に下すことが可能になるという
効果が得られる。 【0038】以下に、別の実施形態を示す。図6および
図7は、図6に示す採光条件が設定された後に、右側に
レフ板(反射板)を1枚追加して、ポートレート撮影に
おける側面の描写をソフトな感じにするように修正した
状況(図7)を比較するための図である。被写体として
は、前述の被写体(灰色の楕円体)11を用いている。 【0039】前述の場合と同様に、ここでも、各(a)
は前述の被写体(灰色の楕円体)11のそのままの画像
であり、各(b)はこの画像を前述の処理で輝度による
等高線画像にして、輝度のレベルを色の差(ただし、こ
こでも、ハッチングの差異で表現している)として出力
した画像のうちの標準露光の画像、また、各(c)は
(b)に比べて1/2絞り絞って撮影した画像を、それ
ぞれ示している。 【0040】図6および図7に示す画像を比較すると、
ここでも、各(a)では上述のレフ板の追加の影響がそ
れ程はっきりとは認められず、わずかに、図7(a)に
おいて、右側面が明るく見える程度(71参照)である
のに対して、各(b)および各(c)では、その効果が
はっきりと確認可能に表現されており(62,63;7
2,73参照)、本発明に係る採光情報の取得方法が、
この種の差を見出す際には極めて有効なツールとなって
いるということが理解されよう。 【0041】上述のように、本実施形態に係る採光情報
の取得方法により取得した採光情報は、採光条件の微妙
な差を検出して示すことが可能である。実際の採光条件
の設定時には、デジタルカメラ等で撮影した画像を順
次、前述のように処理して、カラー画像をプリント出力
しては前述の基準(標準)資料と比較するという動作
を、所定の条件が得られるまで繰り返す。 【0042】この場合、目標が非常に明確に与えられる
ことになるので、照明手段の位置等を修正する方向が具
体的に得られることになり、照明器具等を調整するオペ
レータにとっての無駄な動作が減少し、また、修正に要
する時間が大幅に短縮されることになる。これが本発明
の最大の具体的効果である。 【0043】なお、上記実施形態の説明においては、専
門家により設定された採光条件を記録した前述の基準
(標準)資料と、この条件を再現しようとするオペレー
タの設定した採光条件を記録した再現資料とを、いずれ
もカラー画像としてプリントアウトして比較する例を示
したが、基準(標準)資料だけをカラー画像としてプリ
ントアウトしておき、オペレータの設定した採光条件に
ついては、ポータブルタイプのパソコン(パーソナルコ
ンピュータ)上で、処理済み画像を表示してこれと比較
するようにすれば、機動性を大巾に向上させることがで
きる。 【0044】また、上記実施形態の説明においては、本
発明をスタジオにおける写真撮影を例に挙げて説明した
が、本発明に係る採光情報の取得方法、あるいは、この
結果を用いて行う採光条件の設定方法は、このような写
真撮影に限定されるものではなく、この他にも、例え
ば、美術館等における展示物の照明やショウウィンドウ
におけるディスプレイ、さらには個人の住宅の室内照明
などの定量的な評価,再現設定にも、幅広く応用可能な
ものである。 【0045】そのような場合には、目的に応じて、評価
つまり採光情報の取得方法に用いるモデル被写体の形
状,大きさ,表面の色や光沢度などを、適宜選定して用
いることが好ましい。また、輝度による等高線画像の分
割段数も、適宜決定することが好ましい。さらに、輝度
以外の光学的特性(CIE表色系における測色値と色度
値)を用いるようにすることが有効な場合もある。 【0046】上記各実施形態はいずれも本発明の一例を
示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
適宜の変更または改良を行ってもよいことはいうまでも
ない。 【0047】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、専門家(いわゆる、プロフェッショナル)の設
定した採光条件を、可能な範囲で忠実に再現するために
有効な採光情報の取得方法および採光条件の設定方法並
びにそのシステムを実現することができるという顕著な
効果を奏するものである。 【0048】より具体的には、専門家の設定した採光条
件を特殊な被写体を用いて記録した画像をデジタル化し
て、例えば輝度のレベルに着目した等高線画像としてカ
ラー表示するようにすることで、微妙な明るさ、つまり
採光の情報を、極めて適確に取得することが可能になる
という実用的な効果が得られるものである。また、この
情報を基に、所望の採光条件を精度よく再現することが
ように可能になり、写真撮影やそれ以外の多方面におけ
る応用も可能になる。
術に関し、より具体的には、専門家(いわゆる、プロフ
ェッショナル)の設定した採光(ライティング)条件
を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採光情報
の取得技術に関する。 【0002】 【従来の技術】スタジオ内での写真撮影や、ショーウィ
ンドウにおけるディスプレイあるいは美術館等における
展示物の照明では、対象物(写真撮影におけるモデル,
ディスプレイされるモデルや商品,展示される美術品
等)を、撮影者や展示者の意図に合わせて効果的に照明
することが重要である。以下、このような場合の照明に
ついて、スタジオ内での写真撮影を例にとって説明す
る。 【0003】スタジオ内での写真撮影においては、専門
の撮影者(いわゆる,プロのカメラマン)が、通常、複
数の光源,光反射材料等を用いて、それらの配置や光源
の明るさを種々検討して、撮影の意図に合うような採光
(ライティング)が可能なように設定を行う。以下の説
明では、このような複数の光源,光反射材料等の配置
や、その明るさの設定状況などを総合して、採光情報と
呼ぶことにする。また、これが、別の場所等における採
光状態の再現を意図して用いられる場合には、これを採
光条件と呼ぶことにする。 【0004】一般に、スタジオ内での写真撮影において
は、上述のような複数の光源,光反射材料等の配置や、
その明るさの設定状況を確定する(つまり、採光状態を
最適化する)ためには、専門家の指導の下での試行錯誤
が繰り返され、多くの労力と時間が費やされるのが普通
である。また、ある場所において設定された(最適化さ
れた)採光状態は、場所を移すことによって大抵は失わ
れてしまい、場所を移した場合には、その新たな場所で
また最初から、前回と同様の試行錯誤が繰り返されると
いうことも、従来は当たり前のこととなっていた。 【0005】しかしながら、種々の目的により、専門家
を含む大勢の作業者が作成した優れた(最適化された)
採光状態は、これを簡単な操作で別の場所に再現するこ
とは、多いに意味のあることである。例えば、ポートレ
ート撮影や、カタログ作成の場合などにおける商品の写
真撮影では、モデルや商品は変化するとしても、採光状
態としては大きな変更を要しない。そこで、異なる場所
において写真撮影を行う場合などに、モデル的な採光状
態を定めておき、この情報を用いてどこででも、上述の
モデル的な採光状態を再現できるようにしておくことが
有効であるのは明らかである。 【0006】上述のようなモデル的な採光状態をキチン
と再現するようにできれば、これは教育・研究(主とし
て、写真,絵画,彫刻等)の分野においても極めて有効
であり、従来は指導者の主観に左右されることが多かっ
た、これらの分野においても客観的な指導・研究が実現
できる可能性を有するものである。さらに、美術品の巡
回展示などが行われる場合に、一度設定した良好な採光
状態を、別の展示場でも簡単に再現できれば、これは、
展示の質を維持することができるばかりでなく、展示に
要する準備時間と所要経費の大幅な削減をもたらすこと
にもなるという効果が得られる。 【0007】しかしながら、従来はこのような採光状態
の評価ないし定量化はほとんど行われてはおらず、わず
かに、例えば特開平7−36086号公報に開示されて
いる「自動ライティング装置及び該装置を用いた自動ラ
イティングシステム」が知られているにすぎない。な
お、このシステムは、光電センサを組み込んだ模擬被写
体を所定位置にセットして、その周囲に配置した複数の
光源,光反射材料等の位置,明るさ等を調整して、最終
的に設定された採光状態を上記センサにより読み取って
記録・蓄積することにより、種々の撮影パターンに対応
するモデル的な採光状態を、自動的に設定可能とすると
いうものである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、前述の模擬被写体に組み込まれている光電センサ
は、限られた方向からの入射光しか検知できない固定的
なものであることから、多彩な変化が起こり得る複数の
光源,光反射材料等の位置,明るさ等を詳細に、また任
意の部分に着目して読み取ることは不可能であり、ま
た、前述の模擬被写体はその形状が半球形であり、かつ
架台上にセットされているため、下方からの照明に対応
することができない。 【0009】さらに、上記従来技術においては、前記光
電センサにより得られる情報は、オペレータの視覚との
対応が希薄な情報、すなわち、画像様の情報を含まない
数値データの羅列に終わる可能性が高く、採光状態の微
妙な差が問題になるというような評価(例えば、ポート
レート写真撮影のような場合)には、適用することが難
しいという問題もある。 【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、従来の技術における問題
を解消し、専門家(プロフェッショナル)の設定した採
光条件を、可能な範囲で忠実に再現するために有効な採
光情報の取得方法を提供することにある。 【0011】また、本発明の他の目的は、光質,光源の
配置等の光源情報に加え、CIE表色系における測色値
と色度値をも用いて、特に色再現を忠実に行うようにし
た採光情報の取得方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、以下の説明において明らかにされる。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る採光情報の取得方法は、採光情報取得
用のモデル物体を用い、採光情報の取得を目的とする採
光状況下で前記モデル物体からの反射光を得、これから
得られたデジタルデータを以って当該採光状況における
採光情報とすることを特徴とする。 【0013】ここで、本発明に係る採光情報の取得方法
においては、前記モデル物体として、所定の鏡面光沢度
を有する、凹部を有しない曲面体を用いることを特徴と
する。また、本発明に係る採光情報の取得方法において
は、前記モデル物体からの反射光に基づくデジタルデー
タを輝度データに変換し、このデータを基に作成した等
高線画像を前記採光情報とすることを特徴とする。 【0014】さらに、本発明に係る採光情報の取得方法
においては、前記等高線画像に対応する採光条件とし
て、前記等高線画像中の各領域についてのCIE表色系
における測色値と色度値を求めて、これらの値を前記採
光情報とすることを特徴とする。またさらに、本発明に
係る採光情報の取得方法においては、前記等高線画像
を、前記CIE表色系における測色値と色度値ごとにカ
ラー表示することを特徴とする。 【0015】また、本発明に係る採光情報の取得方法を
写真撮影に適用する場合に用いるためのモデル物体は、
その表面の光沢度が所定値以下である、灰色曲面体で構
成されることを特徴とする。ここで、前記表面の光沢度
はJISZ8741に規定される45度鏡面光沢度で1
20以下であり、かつ、前記曲面体の曲率半径が3〜1
5cmであることが好ましい。 【0016】また、本発明に係る採光条件の設定方法
は、上述の採光情報の取得方法により得た採光情報を基
に、これを再現するように採光条件を設定することを特
徴とする。より具体的には、本発明に係る採光条件の設
定方法においては、前記等高線画像を再現するように採
光条件を設定するか、あるいは、前記等高線画像中の各
領域についてのCIE表色系における測色値と色度値を
再現するように採光条件を設定することが好ましい。 【0017】また、本発明は、前述の採光情報の取得方
法により得た採光情報を基に、これを再現するように採
光条件を設定する採光条件の設定システムとしても具体
化することが可能である。ここで、本発明に係る採光条
件の設定システムにおいては、前記等高線画像を再現す
るように採光条件を設定するか、あるいは、前記等高線
画像中の各領域についてのCIE表色系における測色値
と色度値を再現するように採光条件を設定するように、
制御する手段を有することが好ましい。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、添付の図面に基づいて、本
発明の実施の形態を詳細に説明する。 【0019】図1は、本発明の一実施形態に係る採光情
報の取得方法に用いる被写体(採光情報取得用被写体、
以下、単に被写体という)の一例を示すものである。こ
の被写体11は、表面に光沢灰色塗料を塗布した楕円体
であり、人間の顔(頭部)程度の大きさを有するもので
ある。なお、ここでは、上記楕円体の表面の光沢度はJ
ISZ8741に規定される45度鏡面光沢度で、10
0としている。 【0020】図2は、本実施形態に係る採光情報の取得
方法の動作フロー図である。採光情報を取得しようとす
る際には、上述の被写体を所定の位置にセットし、これ
に対して、前述のように、専門家(プロフェッショナ
ル)により採光条件を設定してもらう(ステップ2
1)。ここで、採光条件の設定に際しては、光源の光
質,位置(方向,高さ,角度等),形状,面積,数等を
考慮する。また、反射板等の補助的な光源(二次光源)
についても、同様の点を考慮する。 【0021】採光条件が設定できたら、この条件を規定
するための採光情報の取得動作に移る。ステップ22で
は、上述の被写体(灰色の楕円体)11を撮影する。ス
テップ23では、撮影画像をデジタルデータ化する。な
お、このデジタルデータ化は、銀塩写真の場合は現像後
の画像をスキャナで読み取ることで行うが、デジタルカ
メラによる撮影の場合は、ステップ22の撮影を行った
段階で、デジタル化されたデータが得られるのは、いう
までもない。 【0022】ステップ24では、撮影画像をパソコン
(パーソナルコンピュータ)上で、例えばアドビシステ
ムズ社の市販ソフトであるPhotoshop(商品名)を用い
て開き、L* a* b* データを得、これについて等高線
画像作成ソフトのプログラムを実行して、例えば、輝度
(L* )を10段階に分割した等高線画像(bmpファ
イル形式)を作成する。 【0023】ステップ25では、上述の10段階の輝度
による等高線画像をカラー表示に対応させて、プリント
出力する。このプリントを、標準採光条件を示す資料と
して保存し、以後の再現性のチェックにおける基準(標
準)資料とする。以上が、採光条件を規定するための採
光情報の取得動作である。 【0024】次に、上で取得した採光情報を用いての採
光条件の再現について、図3を用いて説明する。まず、
ステップ31で、採光情報の取得動作で得た画像を参照
しながら、採光条件である、光源の光質,位置(方向,
高さ,角度等),形状,面積,数等、さらには、反射板
等の補助的な光源(二次光源)について、上で取得した
採光情報が得られるように、すなわち、採光条件が再現
できるようにこれらの配置を決定する。 【0025】ステップ32〜35では、ステップ22〜
25の処理と同じ処理で、この採光条件の下での、等高
線画像をカラー表示したプリントを出力させる。次に、
ステップ36では、前述の基準(標準)資料のプリント
と、再現しようとして決定した採光条件におけるプリン
トとの比較検討を行う。比較の結果が、許容範囲である
と判定された場合には、ここで決定された採光条件を、
再現された採光条件として採用する。 【0026】一方、ステップ36での比較検討の結果
が、許容範囲ではなく差異があると判定された場合に
は、ステップ35で得られた画像を参照して採光条件を
修正し、ステップ32〜35を再度実行する。そして、
得られた結果(プリント)について、ステップ36で前
述の基準(標準)資料のプリントと、新たに設定した採
光条件におけるプリントとの比較検討を行う。 【0027】比較の結果が、許容範囲であると判定され
た場合には、ここで決定された修正された採光条件を、
再現された採光条件として採用する。また、比較検討の
結果が、まだ許容範囲ではないと判定された場合には、
ステップ35で得られた修正された採光条件に基づく画
像を参照して採光条件を再度修正して、ステップ31以
降を繰り返す。 【0028】通常は、上述の処理を1〜2回繰り返すこ
とで、所望の採光条件を再現することが可能である。こ
の理由は、視覚的に非常に判りやすい、カラー画像を用
いた資料に基づく比較であることによるものであり、採
光条件というような定量化が極めて困難な情報を具体的
に把握可能とした、本発明(本実施形態)の効果が、こ
こに明瞭に示される。 【0029】上述の、基準(標準)資料のプリントと、
再現しようとして決定した採光条件におけるプリントと
のそれぞれのサンプルを、図4および図5に、模式図と
して示す。なお、実施形態において用いた原図は、人が
判断しやすいように、10段階の輝度を、高い方から順
に、白,赤,橙,黄,黄緑,緑,青緑,青,紫,黒の各
色に対応させているものであるが、ここでは、それをハ
ッチングの相違で表現している(図8参照)。 【0030】また、図4および図5において、各(a)
は前述の被写体(灰色の楕円体)11を撮影した、その
ままの画像であり、また、各(b)はこの画像を前述の
処理で輝度による等高線画像にして、輝度のレベルを色
の差(但し、前述のように、ここでは、ハッチングで差
を示している)として出力した画像のうちの標準露光の
画像、また、各(c)は(b)に比べて1/2絞り絞っ
て撮影した画像を、それぞれ示している。 【0031】図4および図5における各(a)の画像か
ら読み取れる情報としては、ここでは、正面斜め上方か
らのメインライトの画像41,51と、正面上方からの
トップライト42,52と、正面左右両側方からのサブ
ライト43a,43b;53a,53bが組み合わされ
た採光条件を用いていることがわかるので、この情報
と、各照明手段のセット位置,角度等に関する情報とを
参照することにより、各照明手段のセット状態が、ある
程度の正確さで把握可能となる。 【0032】ところが、図4および図5において、それ
ぞれ(a),(b),(c)を比較すると、これらはい
ずれも、採光条件を決定した(照明器具等を設定した)
オペレータから見れば、目標とする採光条件を再現でき
ていると考えられる状況にあるものを撮影したものであ
るにもかかわらず、図上では、図4および図5間にかな
り大きな差が認められるものとなっている点に注意する
必要がある。 【0033】すなわち、例えば、図4および図5におけ
る各(a)同士の比較(これは、目視の状況にかなり近
いと考えられるものである)では、エリア41と51と
の明るさにやや差があるように見える他にはあまり明確
な差はなく、かなりの精度で採光条件が再現されている
ようにも見えるが、各(b)同士の比較(これは、輝度
の差を拡大して示しているものである)では、差がかな
り具体的に読み取れる状況になっている。 【0034】例えば、図4および図5における各(b)
に矢印で示す、44,54の部分では、図4ではほぼ同
心円状に輝度が滑らかに変化しているのに対して、図5
では輝度の部分的に高い部分(54’)がある上に、4
4,54の両部分の形状も大きく異なっており、全体と
してはかなり明るいが、周辺部近くでは急に暗くなると
いうような採光条件になっていることが具体的に読み取
れる。 【0035】上述のような採光条件の差は、図4および
図5における各(a)同士の比較ではわかりにくい。被
写体を実際の人間の顔にした場合などには、上述のモデ
ル的な被写体(灰色の楕円体)の場合よりは判りやすく
なる面もあるものの、逆に、目,鼻,唇などの顔の造作
の凹凸構造に左右される面(あるいは、それが微妙に移
動すること)が影響して、判断の正確性については、必
ずしも良化するとはいえない面もある。 【0036】それに対して、図4および図5における各
(b)に示す画像では、輝度差を適度に拡大して表示し
ているため、単純な楕円体を撮影しただけの画像であり
ながら、採光条件のわずかな差を適確に表現することが
可能となっており、本実施形態に係る方法が、この種の
差を見出す際には極めて有効なツールとなっているとい
うことができる。 【0037】また、上述の図4および図5における各
(c)に示す画像は、前述の通り、各(b)に示す画像
に対して1/2絞り絞って撮影した画像であるが、この
ように露光量を変化させた画像を並列に、つまり画像
(b)と(c)とを並べて観察することによって、前述
のような判断をより適確に下すことが可能になるという
効果が得られる。 【0038】以下に、別の実施形態を示す。図6および
図7は、図6に示す採光条件が設定された後に、右側に
レフ板(反射板)を1枚追加して、ポートレート撮影に
おける側面の描写をソフトな感じにするように修正した
状況(図7)を比較するための図である。被写体として
は、前述の被写体(灰色の楕円体)11を用いている。 【0039】前述の場合と同様に、ここでも、各(a)
は前述の被写体(灰色の楕円体)11のそのままの画像
であり、各(b)はこの画像を前述の処理で輝度による
等高線画像にして、輝度のレベルを色の差(ただし、こ
こでも、ハッチングの差異で表現している)として出力
した画像のうちの標準露光の画像、また、各(c)は
(b)に比べて1/2絞り絞って撮影した画像を、それ
ぞれ示している。 【0040】図6および図7に示す画像を比較すると、
ここでも、各(a)では上述のレフ板の追加の影響がそ
れ程はっきりとは認められず、わずかに、図7(a)に
おいて、右側面が明るく見える程度(71参照)である
のに対して、各(b)および各(c)では、その効果が
はっきりと確認可能に表現されており(62,63;7
2,73参照)、本発明に係る採光情報の取得方法が、
この種の差を見出す際には極めて有効なツールとなって
いるということが理解されよう。 【0041】上述のように、本実施形態に係る採光情報
の取得方法により取得した採光情報は、採光条件の微妙
な差を検出して示すことが可能である。実際の採光条件
の設定時には、デジタルカメラ等で撮影した画像を順
次、前述のように処理して、カラー画像をプリント出力
しては前述の基準(標準)資料と比較するという動作
を、所定の条件が得られるまで繰り返す。 【0042】この場合、目標が非常に明確に与えられる
ことになるので、照明手段の位置等を修正する方向が具
体的に得られることになり、照明器具等を調整するオペ
レータにとっての無駄な動作が減少し、また、修正に要
する時間が大幅に短縮されることになる。これが本発明
の最大の具体的効果である。 【0043】なお、上記実施形態の説明においては、専
門家により設定された採光条件を記録した前述の基準
(標準)資料と、この条件を再現しようとするオペレー
タの設定した採光条件を記録した再現資料とを、いずれ
もカラー画像としてプリントアウトして比較する例を示
したが、基準(標準)資料だけをカラー画像としてプリ
ントアウトしておき、オペレータの設定した採光条件に
ついては、ポータブルタイプのパソコン(パーソナルコ
ンピュータ)上で、処理済み画像を表示してこれと比較
するようにすれば、機動性を大巾に向上させることがで
きる。 【0044】また、上記実施形態の説明においては、本
発明をスタジオにおける写真撮影を例に挙げて説明した
が、本発明に係る採光情報の取得方法、あるいは、この
結果を用いて行う採光条件の設定方法は、このような写
真撮影に限定されるものではなく、この他にも、例え
ば、美術館等における展示物の照明やショウウィンドウ
におけるディスプレイ、さらには個人の住宅の室内照明
などの定量的な評価,再現設定にも、幅広く応用可能な
ものである。 【0045】そのような場合には、目的に応じて、評価
つまり採光情報の取得方法に用いるモデル被写体の形
状,大きさ,表面の色や光沢度などを、適宜選定して用
いることが好ましい。また、輝度による等高線画像の分
割段数も、適宜決定することが好ましい。さらに、輝度
以外の光学的特性(CIE表色系における測色値と色度
値)を用いるようにすることが有効な場合もある。 【0046】上記各実施形態はいずれも本発明の一例を
示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
適宜の変更または改良を行ってもよいことはいうまでも
ない。 【0047】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、専門家(いわゆる、プロフェッショナル)の設
定した採光条件を、可能な範囲で忠実に再現するために
有効な採光情報の取得方法および採光条件の設定方法並
びにそのシステムを実現することができるという顕著な
効果を奏するものである。 【0048】より具体的には、専門家の設定した採光条
件を特殊な被写体を用いて記録した画像をデジタル化し
て、例えば輝度のレベルに着目した等高線画像としてカ
ラー表示するようにすることで、微妙な明るさ、つまり
採光の情報を、極めて適確に取得することが可能になる
という実用的な効果が得られるものである。また、この
情報を基に、所望の採光条件を精度よく再現することが
ように可能になり、写真撮影やそれ以外の多方面におけ
る応用も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る採光情報の取得方
法に用いる被写体の一例を示す図である。 【図2】 本実施形態に係る採光情報の取得方法の動作
フロー図である。 【図3】 同、取得した採光情報を用いての採光条件の
再現方法の動作フロー図である。 【図4】 基準(標準)資料のプリント(a)と、その
等高線画像((b)および(c))の模式図である。 【図5】 再現しようとして設定した採光条件における
プリント(a)とその等高線画像((b)および
(c))の模式図である。 【図6】 ある条件で設定された採光条件におけるプリ
ント(a)とその等高線画像((b)および(c))の
模式図を示す図である。 【図7】 図6の状態にさらに反射板を追加した状態に
おけるプリント(a)とその等高線画像((b)および
(c))の模式図を示す図である。 【図8】 原図の色表示と図4〜図7で用いたハッチン
グの対応関係を示す図である。 【符号の説明】 11 モデル被写体 12 台座 21〜25,31〜36 処理ステップ 41〜44,51〜54,54’,62,63,71〜
73 画像の着目部分
法に用いる被写体の一例を示す図である。 【図2】 本実施形態に係る採光情報の取得方法の動作
フロー図である。 【図3】 同、取得した採光情報を用いての採光条件の
再現方法の動作フロー図である。 【図4】 基準(標準)資料のプリント(a)と、その
等高線画像((b)および(c))の模式図である。 【図5】 再現しようとして設定した採光条件における
プリント(a)とその等高線画像((b)および
(c))の模式図である。 【図6】 ある条件で設定された採光条件におけるプリ
ント(a)とその等高線画像((b)および(c))の
模式図を示す図である。 【図7】 図6の状態にさらに反射板を追加した状態に
おけるプリント(a)とその等高線画像((b)および
(c))の模式図を示す図である。 【図8】 原図の色表示と図4〜図7で用いたハッチン
グの対応関係を示す図である。 【符号の説明】 11 モデル被写体 12 台座 21〜25,31〜36 処理ステップ 41〜44,51〜54,54’,62,63,71〜
73 画像の着目部分
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】採光情報取得用のモデル物体を用い、採光
情報の取得を目的とする採光状況下で前記モデル物体か
らの反射光を得、これから得られたデジタルデータを以
って当該採光状況における採光情報とすることを特徴と
する採光情報の取得方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002092876A JP2003287786A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 採光情報の取得方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002092876A JP2003287786A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 採光情報の取得方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003287786A true JP2003287786A (ja) | 2003-10-10 |
Family
ID=29237571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002092876A Withdrawn JP2003287786A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 採光情報の取得方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003287786A (ja) |
-
2002
- 2002-03-28 JP JP2002092876A patent/JP2003287786A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050607 |