JP2003284974A - 粉体塗装用ノズル、粉体塗装装置および粉体塗装方法 - Google Patents

粉体塗装用ノズル、粉体塗装装置および粉体塗装方法

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JP2003284974A
JP2003284974A JP2002090251A JP2002090251A JP2003284974A JP 2003284974 A JP2003284974 A JP 2003284974A JP 2002090251 A JP2002090251 A JP 2002090251A JP 2002090251 A JP2002090251 A JP 2002090251A JP 2003284974 A JP2003284974 A JP 2003284974A
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powder coating
powder
nozzle
paint
air
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JP2002090251A
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English (en)
Inventor
Seiki Kato
誠喜 加藤
Hideo Yano
秀夫 矢野
Yukio Ichikawa
幸男 市川
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹部など従来の静電粉体塗装では困難であっ
た部分にも良好な塗膜を形成する。 【解決手段】 粉体塗装用ノズル10の内部に設けられ
た粉体塗料通路10aの入口10c側断面積に対する出
口10b側断面積の比が11以上であることを特徴とす
る粉体塗装用ノズル10または粉体塗装用ノズル10か
ら帯電させた粉体塗料をアースまたは粉体塗料と逆極性
に帯電された被塗物11に向かって吐出して被塗物11
を塗装する粉体塗装方法であって、粉体塗料を吐出する
粉体塗装用ノズル10の粉体出口10bにおけるエア流
速が5m/min以下であることを特徴とする粉体塗装
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉体塗装用ノズル、
粉体塗装装置および粉体塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉体塗装は、粉体塗料をスプレーするこ
とによって様々な製品表面に塗装するものである。一般
的に多く使用される粉体塗装は静電粉体塗装法である。
静電粉体塗装装置は、塗料供給部と、粉体塗料を帯電さ
せるための高電圧部と、スプレー部から構成されてい
る。スプレー部はスプレーガンの先端にノズルを具備し
ており、粉体塗料がこのノズルを通って被塗物に向かっ
て吐出される。塗料供給部は、粉体塗料を流動化状態に
保持できる塗料タンクよりエア搬送によりスプレーガン
まで搬送するものである。
【0003】粉体塗料を帯電は、一般的に、外部電圧に
よる電場域から粉体塗料に電荷を与えるか、摩擦によっ
て粉体塗料に電荷を与える方法で行われる。帯電した粉
体塗料は、スプレーガンに供給されるエアの流れによ
り、アースされた被塗物に向かって吐出される。
【0004】粉体塗装は、粉体塗料が溶媒を含まず固形
分のみで形成されているので有害物が排出される恐れが
ない、塗料の飛散粘着による作業環境汚染もなく、比較
的簡単に回収でき再利用することができ、排水処理問題
も発生せず、溶媒を利用しないため広範囲の合成樹脂が
利用でき、厚膜塗装が可能である、など多数の長所を有
している。しかも、電荷を利用しているので、塗料の付
き回り性がよく、複雑な形状に適用できる利点も有して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複雑な
形状に適用できるといっても、被塗物の形状によっては
塗膜形成が困難であったり、時には塗膜形成ができない
というものも存在する。特に凹部、内面コーナー部、
溝、突出し部がある形状では、特に塗装が困難である。
【0006】理由としては、ファラデーゲージ効果と呼
ばれる現象が影響されていると考えられている。これは
高電圧より発生する電気力線が常に最短のアースされた
部分に向かう特徴があり、その結果凹部などは電気力線
が角に集中し、内部まで電気力線が浸透しない。その結
果弱い静電力しかなく塗着しずらいということである。
また同時に凹部内部はエアの流れが乱流になることによ
って塗料付着を妨げられ、塗膜形成ができなくなるので
ある。
【0007】これらの問題を解決するためには、さらに
高電圧にして粉体塗料への帯電量を増やしたり、吐出量
を増加してエア流速を上げ凹部内部まで充分に塗料供給
がされるようにすることが有効と考えられるが、高電圧
にするとファラデーゲージ効果がより顕著となり角部へ
の厚膜化や静電反発現象などを引き起こし、外観不良を
もたらす欠点がある。一方、塗料濃度を増加させるため
には、搬送エア量を上げることが必要となり、その結
果、吐出される塗料の流速が上がり、付着した塗料が逆
に吹き飛ばされ塗膜が透ける不具合をもたらす。
【0008】ファラデーゲージ領域への塗着向上が可能
な方法として摩擦帯電法がある。これは高電圧部を持た
ないことにより強力な電場を持たないのでファラデーゲ
ージ効果の減衰が可能である。しかし帯電塗料が製品と
吸引する力が弱いという欠点があるため、凹部の内部ま
で塗着を望もうとすると粉体塗料を搬送するエアの流速
を増大したりしなくてはならず、静電的な吸引力とエア
搬送力とのバランスが崩れ、逆に付着しようとする塗料
を妨げたりする問題点が生ずる。また、成膜膜厚速度が
遅いため塗装時間が長いという欠点もある。
【0009】本発明は上記課題を解決したもので、凹部
など従来の静電粉体塗装では困難であった部分にも良好
な塗膜を形成できる粉体塗装用ノズルを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、本発明の請求項1において講じた技術的手段
(以下、第1の技術的手段と称する。)は、静電粉体塗
装のスプレー部の先端部に取り付けて使用する粉体塗装
用ノズルであって、該粉体塗装用ノズルの内部に設けら
れた粉体塗料通路の入口側断面積に対する出口側断面積
の比が11以上であることを特徴とする粉体塗装用ノズ
ルである。
【0011】上記第1の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0012】すなわち、ノズルの粉体塗料通路の入口側
断面積に対する出口側断面積の比が11以上であるの
で、ノズルから吐出する粉体塗料の速度を極めて遅くで
きる。この結果、静電吸引力のみを利用して粉体塗料を
被塗物に付着することができるので、凹部など従来の静
電粉体塗装では困難であった部分にも良好な塗膜を形成
できる。
【0013】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技
術的手段と称する。)は、請求項1記載の粉体塗装用ノ
ズルと、該粉体塗装用ノズルが先端部に取り付けられる
スプレー部と、粉体塗料を帯電させる高電圧部と、前記
スプレー部に粉体塗料を供給する粉体供給部と、該粉体
供給部から前記スプレー部に粉体塗料を供給するエア流
量および前記粉体塗装用ノズルから粉体塗料を被塗物に
向かって吐出するためのエア流量を制御する制御部とが
設けられていることを特徴とする粉体塗装装置である。
【0014】上記第2の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0015】すなわち、ノズルから吐出する粉体塗料の
流速を極めて遅くすることができる粉体塗装用ノズルを
使用しているので、静電吸引力のみを利用して粉体塗料
を被塗物に付着することができるため、凹部など従来の
静電粉体塗装では困難であった部分にも良好な塗膜を形
成できる。
【0016】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技
術的手段と称する。)は、粉体塗料を吐出する粉体塗装
用ノズルと、該粉体塗装用ノズルが先端部に取り付けら
れるスプレー部と、粉体塗料を帯電させる高電圧部と、
前記スプレー部に粉体塗料を供給する粉体供給部と、該
粉体供給部から前記スプレー部に粉体塗料を供給するエ
ア流量および前記粉体塗装用ノズルから粉体塗料を被塗
物に向かって吐出するためのエア流量を制御する制御部
とが設けられている粉体塗装装置を使用して、前記粉体
塗装用ノズルから帯電させた粉体塗料をアースまたは粉
体塗料と逆極性に帯電された前記被塗物に向かって吐出
して前記被塗物を塗装する粉体塗装方法であって、前記
粉体塗料を吐出する前記粉体塗装用ノズルの粉体出口に
おけるエア流速が5m/min以下であることを特徴と
する粉体塗装方法である。
【0017】上記第3の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0018】すなわち、粉体塗装用ノズルの粉体出口に
おけるエア流速が5m/min以下であるので、静電吸
引力のみを利用して粉体塗料を被塗物に付着することが
できるため、凹部など従来の静電粉体塗装では困難であ
った部分にも良好な塗膜を形成できる。
【0019】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技
術的手段と称する。)は、前記粉体供給部から前記スプ
レー部に粉体塗料を供給するエアの流速が15m/mi
n以上であることを特徴とする請求項3記載の粉体塗装
方法である。
【0020】上記第4の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0021】すなわち、スプレー部に粉体塗料を供給す
るエアの流速が15m/min以上であるので、ノズル
から吐出するエア流速が遅くても粉体供給部からスプレ
ー部に粉体塗料を安定に供給できる。
【0022】上記技術的課題を解決するために、本発明
の請求項5において講じた技術的手段(以下、第5の技
術的手段と称する。)は、粉体塗装用ノズルに旋回しな
がら供給される旋回流エアが供給されることを特徴とす
る請求項3または4記載の粉体塗装方法である。
【0023】上記第5の技術的手段による効果は、以下
のようである。
【0024】すなわち、ノズルに旋回流エアが供給され
ているので、ノズルから吐出するエア流速が遅くても重
力による粉体塗料が落下を防止できる。
【0025】
【発明の実施の形態】上記課題を解決するために、本発
明者は種々検討を重ねた結果、ほとんど静電吸引力のみ
を利用し塗料を塗着させることによって従来塗装が困難
であった凹部などの低ファラデーゲージ領域においても
塗装可能であることを発見し、本発明に至った。
【0026】スプレーガンから塗料を吐出する場合に
は、塗料タンクからスプレーガンまでエアで搬送するこ
とが一般的である。このエアは、塗料を吸引するために
必要な吐出エアと安定な吐出を補助する搬送エアの混合
エアから成立っている。そして、混合エアの流速がある
一定以上ないと搬送ホース内に塗料が堆積したり、息継
ぎをしたりして安定な吐出ができないことがわかってい
る。しかし、このある一定以上の流速で粉体塗料がスプ
レーガンから吐出される場合には、塗料粒子は吐出方向
に運動エネルギーがかかり、それが凹部などの低ファラ
デーゲージ領域での静電吸引力が弱い部分の塗着の妨げ
となっていることが判明した。
【0027】そこで、本発明者は、搬送に必要なホース
内流速は確保した上で、装着したノズルによりスプレー
ガンから吐出される塗料は、ほぼ無風状態レベルまで風
速を減衰させ、ほとんど静電吸引力のみを利用し塗料を
塗着させることができる静電粉体塗装を実現した。これ
によって塗料粒子が空気力学的な力より開放され、従来
塗装が困難であった凹部などの低ファラデーゲージ領域
においても良好な塗膜を形成できるようになった。
【0028】以下、本発明の実施例について、図面に基
づいて説明する。図1は本発明の実施形態の粉体塗装シ
ステムの説明図である。図2はその粉体塗装システムの
スプレー部の粉体塗料通路の説明図である。図2はノズ
ルの形状とノズルとスプレー部の結合状態を説明するも
ので、スプレー部は一部のみを図示している。本粉体塗
装システムは、スプレーガン1、ノズル10、粉体供給
部2、制御部3、電極ピン4、流動用エア管路5、吐出
エア管路6、搬送エア管路7、パターンエア管路8、粉
体塗料供給管路20、高電圧電線9などから構成されて
いる。
【0029】スプレーガン1は、その先端部1bにノズ
ル10を取り付けて粉体塗料をアースされた被塗物11
に向かって吐出するスプレー部である。スプレーガン1
の先端には、高電圧部である電極ピン4が設けられてお
り、電極ピン4は高電圧電線9を介して制御部3と連結
されている。電極ピン4は絶縁部4aで被覆されてい
る。スプレーガン1の内部には円筒状の粉体塗料通路1
aが設けられている。スプレーガン1の先端部1bは円
筒形状であり、内周側が粉体塗料通路1aである。
【0030】ノズル10の一方端側には円筒形状の取付
部10dが設けられ、スプレーガン1の先端部1bの外
周にはめ込んで取り付けられている。ノズル10の他方
端側には取付部10dに連続する減速部10eが設けら
れている。減速部10eの内部にはテーパー状の粉体塗
料通路10aが設けられている。
【0031】スプレーガン1に供給された粉体塗料は粉
体塗料通路1aから粉体塗料通路10aを通って外部に
吐出される。本実施形態では、粉体塗料通路1aの粉体
塗料の出口が粉体塗料通路10aの入口10cとなって
おり、粉体塗料通路1aの流通断面積が粉体塗料通路1
0aの入口側断面積となっている。一方、粉体塗料通路
10aのスプレーガン1と反対側の端部が出口10bと
なっており、その流通断面積が粉体塗料通路10aの出
口側断面積である。粉体塗料通路1aの径(入口10c
の径)A、出口10bの径B、入口10cと出口10b
の間隔をCとすると、粉体塗料通路の入口側断面積に対
する出口側断面積の比mは、m=B/Aで計算され
る。また粉体塗料通路10aの出口側断面積と入口側断
面積の差を入口と出口の距離で除した値Qは、Q=(π
×(B/2)−π×(A/2) )/Cで計算され
る。
【0032】粉体供給部2は、流動エア部2a、多孔質
板2b、供給タンク2cと、供給タンク2cの上部に設
けられたインジェクタ12と、インジェクタ12から鉛
直下方に設けられ供給タンク2cに挿入された吸い上げ
管13から構成されている。供給タンク2cには粉体塗
料14が貯蔵されており、吸い上げ管13は粉体塗料1
4中に挿入されている。流動エア部2aは、供給タンク
2cの下方に多孔質板2bを介して設けられ、流動用エ
ア管路5を介して制御部3に連結されている。多孔質板
2bは、供給タンク2c中の粉体塗料14が流動エア部
2aに落ちないように、かつ流動エア部2aと供給タン
ク2cの間が通気可能になっている。インジェクタ12
は、吐出エア管路6を介して制御部3に連結されと共
に、搬送エア管路7を介して制御部3に連結されてい
る。一方、インジェクタ12は粉体塗料供給管路20を
介してスプレーガン1に連結されている。
【0033】制御部3は、高電圧電線9を介して電極ピ
ン4に印加する電圧を制御すると共に、流動用エア管路
5、吐出エア管路6、搬送エア管路7、パターンエア管
路8に供給するエア流量を制御する機能を内部に有して
いる。
【0034】制御部3よりエアが流動用エア管路5を介
して流動エア部2aに供給される。流動エア部2aに供
給されたエアは流動板2を介して供給タンク2cに供給
され、粉体塗料14が吸い上げやすいように流動され
る。
【0035】制御部3よりエアが吐出エア管路6を介し
てインジェクタ12に送られ、吸い上げ管13を介して
粉体塗料14をインジェクタ12に吸い上げる。インジ
ェクタ12に吸い上げられた粉体塗料は制御部3より搬
送エア管路7を介してインジェクタ12に送られたエア
により、粉体塗料供給管路20を介してスプレーガン1
に供給される。スプレーガン1にはパターンエア管路8
を介して制御部3よりエアが供給されている。
【0036】図3は旋回流について説明する説明図であ
り、図4は旋回流創出部の説明図であり、図4(a)は
側面図、図4(b)はGG断面図である。スプレーガン
1の内部には円筒管1cが設けられ、円筒管1cの内側
が粉体塗料通路1aとなっている。円筒管1cの外部に
は円筒管形状のパターンエア通路1dが形成されてい
る。パターンエア管路8からスプレーガン1に供給され
たエアはパターンエア通路1dを通る。
【0037】円筒管1cの一方端には旋回流創出部30
が当接して設けられている。旋回流創出部30には大径
部31と小径部32が設けられ、その内部には共に粉体
塗料通路1aと同じ径の粉体塗料通路30aが設けられ
ている。粉体塗料通路30aは粉体塗料通路1aの一部
を構成している。小径部32には、大径部31から所定
距離離れた位置にリング部33が設けられている。リン
グ部33にはエアが流通可能なように切欠部33aが設
けられている。リング部33と大径部31の間の小径部
32にエア孔34が設けられている。エア孔34は粉体
塗料通路30aの長手方向に直交する方向で、かつ粉体
塗料通路30aの周辺にエアが吐出するように設けられ
ている。
【0038】リング部33の外径はパターンエア通路1
dの外径と等しく、小径部32の外径は円筒管1cの外
径に等しく、リング部33と大径部31の間には第2パ
ターンエア通路35が形成されている。パターンエア通
路1dに供給されたエアは、切欠部33aを介して第2
パターンエア通路35に供給される。第2パターンエア
通路35に供給されたエアは、エア孔34から粉体塗料
通路30aに供給される。粉体塗料通路1aから粉体塗
料通路30aに吐出エアと搬送エアが供給されており、
ノズル10の粉体塗料通路10aに供給されている。エ
ア孔34から粉体塗料通路30aに供給されたエアは、
吐出エアと搬送エアの流れ方向と直交し、かつ周辺に供
給されるので、旋回流となる。こうして、パターンエア
管路8を介して供給されるエアは、スプレーガン1から
吐出されるエアのパターンを旋回流にする役割を有して
いる。このエアは、吐出エアパターンを旋回流にするこ
とによって、スプレーガン1から吐出される粉体塗料の
流速が低下したとき、粉体塗料が重力によって落下する
ことを防止している。粉体塗料が重力によって落下する
と、ノズル内に粉体塗料が堆積する不具合が発生する。
【0039】スプレーガン1に供給された粉体塗料は粉
体塗料通路1aを介してノズル10の粉体塗料通路10
aに供給される。このとき、粉体塗料通路1aの先端に
設けられた電極ピン4の高電圧により粉体塗料が帯電さ
れる。粉体塗料通路10aがテーパー状に広がっている
ので、通路断面積が大きくなることによるエア流速の低
下により、粉体塗料通路10aに供給された粉体塗料の
流速が低下される。ノズル10には、パターンエア管路
8からスプレーガン1に供給された旋回流エアも供給さ
れており、粉体塗料の落下が防止されている。こうし
て、流速が低下された粉体塗料がノズル10の出口10
bから吐出される。
【0040】この粉体塗装システムを用いて、ノズル1
0の形状を変えて試験した結果を、実施例、比較例とし
て示す。吐出エア管路6、搬送エア管路7、パターンエ
ア管路8には、それぞれ0.08MPa、0.02MP
a、0.03MPaのゲージ圧力でを供給した。このと
き粉体塗料供給管路20中のエアの流速を測定したとこ
ろ15m/minであった。粉体塗料通路1aの径Aは
30mmである。粉体塗料として、ポリエステル系粉体
塗料(ポリエステル樹脂48wt%、液状エポキシ樹脂
2.9wt%、硬化剤15wt%、顔料28wt%を代
表成分とする平均粒径25μmの粉体塗料)を使用し
た。電極ピン4には−80kVの電圧を印加した。被塗
物はインタミレバーとブレーキブースタを使用した。
【0041】表1に示す形状のノズルを用いて実施例、
比較例の試験を行った。いずれも4秒間塗装し、被塗物
の塗料付着状況を見て評価した。具体的な評価方法は、
被塗物のD部(インタミレバーの第1ケーブル取付
部)、E部(インタミレバーの第2ケーブル取付部)、
F部(ブレーキブースタのタンデムマスタ取付部)を切
り出して、その部分を樹脂埋め込み後、断面を表出させ
顕微鏡にて付着塗料断面を観察して行った。なお、それ
ぞれの場合のノズル10の粉体出口におけるエア流速を
測定し、ノズル出口流速とした。エア流速の測定は 熱
線式風速測定器によって行った。ここでノズル出口流速
とは粉体塗料の吐出方向すなわち図2の粉体塗料通路1
aの長手方向のエアの流速である。粉体塗料はエアによ
って運ばれるので、粉体塗料の吐出流速はエア流速に等
しい。
【0042】
【表1】 図5、6はそれぞれD部の実施例1、比較例1の塗料付
着状況を説明する説明断面図である。D部は厚さ3mm
の鋼板の端部をUターン状に折り曲げた形状で、元の部
分と折り曲げられた部分の平行状態部分の間隔は3mm
であり、折り曲げられた部分の端部からの長さは25m
mである。比較例1では折り曲げ部分の内側であるD1
点には塗料の層は見えなかった。スプレーガン1は左側
にあり、スプレーガン1の出口がP方向に向けられて粉
体塗料が吐出される。スプレーガン1と対向する位置に
あるD2点の塗料層厚さと上記のD1点の塗料層厚さを
比較して、D2点の塗料層厚さに対するD1点の塗料層
厚さを測定して評価した。
【0043】図7、8はそれぞれE部の実施例1、比較
例1の塗料付着状況を説明する説明断面図である。E部
は厚さ20mmの鋼板の端部に直径8mmでの貫通孔2
1が存在する部分である。比較例1では貫通孔21の中
央部であるE1点には塗料の層は見えなかった。スプレ
ーガン1は左側にあり、スプレーガン1の出口がP方向
に向けられて粉体塗料が吐出される。スプレーガン1側
に対向している位置にあるE2点の塗料層厚さと上記の
E1点の塗料層厚さを比較して、E2点の塗料層厚さに
対するE1点の塗料層厚さを測定して評価した。
【0044】図9、10はそれぞれF部の実施例1、比
較例1の塗料付着状況を説明する説明断面図である。F
部は厚さ30mmの鋼板に直径40mm、深さ20mm
の凹部22がある。比較例1では凹部22の側面でそこ
から18mmの位置であるF1点には塗料の層は見えな
かった。スプレーガン1は左側にあり、スプレーガン1
の出口がP方向に向けられて粉体塗料が吐出される。ス
プレーガン1と対向する位置にあるF2点の塗料層厚さ
と上記のF1点の塗料層厚さを比較して、F2点の塗料
層厚さに対するF1点の塗料層厚さを測定して評価し
た。
【0045】図5〜10では見やすくするために実際よ
り厚く塗料層を描いている。試験結果を表1に示してい
る。実施例1では塗料層厚比はD、E、F部とも25%
以上あり形状によらず良好な塗装ができている。しか
し、上記したように比較例1ではD、E部では0%、F
部でも20%であった。
【0046】実施例1〜5のようにm値が11以上の場
合、最も小さいD部でも13.6%以上の塗料層厚比が
得られる。しかし、比較例1のようにm値が2より小さ
い場合、D、E部の塗料層厚比は0%であった。D部の
ような、通常の方法では塗料が付着しない部分にの塗着
できることにより、この部分が腐食するなどして劣化す
ることができる。この結果、本発明は未塗着部分をなく
すことができるので、実用上の効果は極めて大きい。
【0047】また実施例1〜5のようにQ値が5.9c
/cm以上の場合、最も小さいD部でも13.6%
以上の塗料層厚比が得られる。さらに望ましくは実施例
1〜3のようにQ値が10.2cm/cm以上の場
合、D部でも15.0%以上の塗料層厚比が得られる。
しかし、比較例1のようにQ値が3.7cm/cmよ
り小さい場合、D、E部の塗料層厚比は0%であった。
【0048】さらに実施例1〜5のようにノズル出口流
速が5m/min以下の場合、D部でも13.6%以上
の塗料層厚比が得られる。望ましくはノズル出口流速が
4m/min以下の場合、D部でも15%以上の塗料層
厚比が得られる。さらに望ましくはノズル出口流速が3
m/min以下の場合、D部でも20%以上の塗料層厚
比が得られる。しかし、比較例1のようにノズル出口流
速が90cm/minより大きい場合、D、E部の塗料
層厚比は0%であった。
【0049】上記したように、ノズル出口流速が5m/
min以下であるので、静電吸引力のみを利用して粉体
塗料を被塗物に付着することができるため、凹部など従
来の静電粉体塗装では困難であった部分にも良好な塗膜
を形成できる。このときパターンエア管路8からノズル
10に供給されるエアによりノズル10の粉体塗料通路
10a内に旋回流エアが流れているので、ノズル10か
ら吐出するエア流速が遅くても重力による粉体塗料が落
下を防止できる。なお、実施例では旋回流エアにより粉
体塗料が落下を防止しているが、粉体塗料が落下を防止
できるなら他のエアパターンや他の方法を適用すること
ができる。旋回流エアはノズル出口流速にほとんど影響
することなく粉体塗料の落下を防止できる効果を奏す
る。
【0050】またノズルの粉体塗料通路の入口側断面積
に対する出口側断面積の比mが11以上であるので、ノ
ズルから吐出する粉体塗料の速度を極めて遅くでき、静
電吸引力のみを利用して粉体塗料を被塗物に付着するこ
とができるため、凹部など従来の静電粉体塗装では困難
であった部分にも良好な塗膜を形成できる。
【0051】ここで粉体塗料通路10aの出口側断面積
と入口側断面積の差を入口と出口の距離で除した値Qを
6cm/cm以上にすると、入口と出口の距離Cを短
くしてもノズルから吐出する粉体塗料の速度を極めて遅
くできるので、小型のノズルを用いて、凹部など従来の
静電粉体塗装では困難であった部分にも良好な塗膜を形
成できる。
【0052】電極ピン位置については、特に限定されな
いが、電極ピン位置と被塗物との距離を近づける方が望
ましいので、できる限りノズル先端の位置が望ましい。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明は、静電粉体塗装
のスプレー部の先端部に取り付けて使用する粉体塗装用
ノズルであって、該粉体塗装用ノズルの内部に設けられ
た粉体塗料通路の入口側断面積に対する出口側断面積の
比が11以上であることを特徴とする粉体塗装用ノズル
またはそのノズルを使用した粉体塗装装置または粉体塗
料を吐出する粉体塗装用ノズルと、該粉体塗装用ノズル
が先端部に取り付けられるスプレー部と、粉体塗料を帯
電させる高電圧部と、前記スプレー部に粉体塗料を供給
する粉体供給部と、該粉体供給部から前記スプレー部に
粉体塗料を供給するエア流量および前記粉体塗装用ノズ
ルから粉体塗料を被塗物に向かって吐出するためのエア
流量を制御する制御部とが設けられている粉体塗装装置
を使用して、前記粉体塗装用ノズルから帯電させた粉体
塗料をアースまたは粉体塗料と逆極性に帯電された前記
被塗物に向かって吐出して前記被塗物を塗装する粉体塗
装方法であって、前記粉体塗料を吐出する前記粉体塗装
用ノズルの粉体出口におけるエア流速が5m/min以
下であることを特徴とする粉体塗装方法であるので、凹
部など従来の静電粉体塗装では困難であった部分にも良
好な塗膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の粉体塗装システムの説明図
【図2】実施形態の粉体塗装システムのスプレー部の粉
体塗料通路の説明図
【図3】旋回流について説明する説明図
【図4】旋回流創出部の説明図であり、図4(a)は側
面図、図4(b)はGG断面図である。
【図5】D部の実施例1の塗料付着状況を説明する説明
断面図
【図6】D部の比較例1の塗料付着状況を説明する説明
断面図
【図7】E部の実施例1の塗料付着状況を説明する説明
断面図
【図8】E部の比較例1の塗料付着状況を説明する説明
断面図
【図9】F部の実施例1の塗料付着状況を説明する説明
断面図
【図10】F部の比較例1の塗料付着状況を説明する説
明断面図
【符号の説明】
1…スプレーガン(スプレー部) 2…粉体供給部 3…制御部 4…電極ピン(高電圧部) 10…粉体塗装用ノズル 10a…粉体塗料通路 10c…入口 10b…出口 11…被塗物 20…粉体塗料供給管路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AA02 AA09 AA31 AA83 AA85 EA02 4F034 AA01 BA01 BA14 BB25 BB28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電粉体塗装のスプレー部の先端部に取
    り付けて使用する粉体塗装用ノズルであって、該粉体塗
    装用ノズルの内部に設けられた粉体塗料通路の入口側断
    面積に対する出口側断面積の比が11以上であることを
    特徴とする粉体塗装用ノズル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の粉体塗装用ノズルと、該
    粉体塗装用ノズルが先端部に取り付けられるスプレー部
    と、粉体塗料を帯電させる高電圧部と、前記スプレー部
    に粉体塗料を供給する粉体供給部と、該粉体供給部から
    前記スプレー部に粉体塗料を供給するエア流量および前
    記粉体塗装用ノズルから粉体塗料を被塗物に向かって吐
    出するためのエア流量を制御する制御部とが設けられて
    いることを特徴とする粉体塗装装置。
  3. 【請求項3】 粉体塗料を吐出する粉体塗装用ノズル
    と、該粉体塗装用ノズルが先端部に取り付けられるスプ
    レー部と、粉体塗料を帯電させる高電圧部と、前記スプ
    レー部に粉体塗料を供給する粉体供給部と、該粉体供給
    部から前記スプレー部に粉体塗料を供給するエア流量お
    よび前記粉体塗装用ノズルから粉体塗料を被塗物に向か
    って吐出するためのエア流量を制御する制御部とが設け
    られている粉体塗装装置を使用して、前記粉体塗装用ノ
    ズルから帯電させた粉体塗料をアースまたは粉体塗料と
    逆極性に帯電された前記被塗物に向かって吐出して前記
    被塗物を塗装する粉体塗装方法であって、前記粉体塗料
    を吐出する前記粉体塗装用ノズルの粉体出口におけるエ
    ア流速が5m/min以下であることを特徴とする粉体
    塗装方法。
  4. 【請求項4】 前記粉体供給部から前記スプレー部に粉
    体塗料を供給するエアの流速が15m/min以上であ
    ることを特徴とする請求項3記載の粉体塗装方法。
  5. 【請求項5】 粉体塗装用ノズルに旋回しながら供給さ
    れる旋回流エアが供給されることを特徴とする請求項3
    または4記載の粉体塗装方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107427065A (zh) * 2015-07-22 2017-12-01 深圳麦克韦尔股份有限公司 电子烟及其电源装置

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CN107427065A (zh) * 2015-07-22 2017-12-01 深圳麦克韦尔股份有限公司 电子烟及其电源装置

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