JP2003284316A - 電気流体力学ポンプ - Google Patents

電気流体力学ポンプ

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JP2003284316A
JP2003284316A JP2002082217A JP2002082217A JP2003284316A JP 2003284316 A JP2003284316 A JP 2003284316A JP 2002082217 A JP2002082217 A JP 2002082217A JP 2002082217 A JP2002082217 A JP 2002082217A JP 2003284316 A JP2003284316 A JP 2003284316A
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ring
electrode
shaped electrode
electrohydrodynamic pump
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JP2002082217A
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Ryoichi Hanaoka
良一 花岡
Shinzo Takada
新三 高田
Rumiko Shimizu
留美子 清水
Yoshitake Nakagami
芳武 仲神
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気流体力学ポンプの外径をより小さくする。 【解決手段】一対の電極のうちリング状電極1の相手側
の対向電極17の外径をリング状電極1のそれより小さ
く形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電界によって解
離イオンが発生する流体に直流電界をかけることによっ
てその流体を流動させる電気流体力学ポンプに関し、特
に、外径の小さい電気流体力学ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】流体を移動させるポンプには、羽根やピ
ストンによる機械式のものが一般に用いられるが、機械
式ポンプは、摩擦や振動などによる騒音が発生し易いと
ともに、その騒音を防ぐためのメンテナンスも必要であ
る。最近になって、電界によって解離イオンが発生する
流体に直流電界をかけると流体が流動することが知られ
るようになり、現在この現象を応用した電気流体力学ポ
ンプの実用化研究が盛んになされている。
【0003】図11は、従来の電気流体力学ポンプの構
成を示す断面図である。ギャップ4を介して対向する一
対の電極がリング状電極1と平板電極2とからなり、こ
の一対の電極間に解離イオンが発生する流体3が充填さ
れている。リング状電極1は、図示されていない直流電
源に接続され、平板電極2は接地されている。図11に
おいて、リング状電極1に直流電圧が印加されると、ポ
ンピング作用が発生し流体3が矢印3Aのように流れ
る。すなわち、ギャップ4に解離イオンが発生し、電極
界面にヘテロチャージ層が形成される。すなわち、電極
と異なった極性の電荷層が流体側に形成される。このヘ
テロチャージ層のイオンと電極との間のクーロン力によ
って流体に圧力が加わり、リング状電極1の中空孔5に
流体ジェットが形成され、それがポンプ圧力を形成す
る。
【0004】なお、電気流体力学ポンプには、流体内に
電荷を外部から強制的に注入し、そのクーロン力によっ
て流体を移動させるタイプのものもあるが、図11は、
流体内に電荷を外部から注入しないタイプのものであ
る。図11において、解離イオンが発生する流体3とし
ては、例えば、ジエチルグリコールモノブチルエーテル
アセテート(以下、BCRAと略称する)、ドデカン二
酸−nブチル(以下、DBDNと略称する)などがあ
り、それらのポンプ効果が大きい。
【0005】図12は、図11の電気流体力学ポンプに
おける各種の流体の流速を示す特性線図である。この場
合における図11のギャップ4の間隙長dは2mmであ
る。縦軸は、リング状電極1の上部出口1Aからz軸
(中心軸)上を1mm行った点における流体3の流速U
であり、横軸は、リング状電極1の印加電圧Vである。
特性線3Aは、流体3がBCRAでかつ印加電圧Vが正
または負の場合、特性線3Bは、流体3がDBDNでか
つ印加電圧Vが負の場合である。また、特性線3Cは、
流体3がフッ素変性シリコーン油(以下、FS−Oil
と略称する)でかつ印加電圧Vが正の場合、特性線3D
は、流体3が変圧器油(以下、Tr−Oilと略称す
る)でかつ印加電圧Vが正または負の場合である。
【0006】図12において、流体3がBCRAの場
合、特性線3Aのように電圧の極性にかかわらず流体3
が中空孔5から上方へ噴出し、印加電圧Vが20kVで
1.5m/sという大きい速度になる。一方、流体3が
Tr−Oilの場合は、特性線3Dのようにあまり大き
な流速が得られず、印加電圧Vが20kVで正負の場合
とも0.015m/sの流速にしかならない。流体3が
DBDNの場合、印加電圧Vが負のときに中空孔5から
上方へ流体3が噴出し、印加電圧Vが正のときには逆に
中空孔5から平板電極2の方へ流体3が吸い込まれる。
一方、流体3がFS−Oilの場合、印加電圧Vが負の
ときに中空孔5から平板電極2の方へ流体3が吸い込ま
れ、印加電圧Vが正のときに中空孔5から上方へ流体3
が噴出する。これは、電界によって、DBDNの場合は
正の電荷が流体中に生成され、FS−Oilの場合は負
の電荷(フッ素原子)が流体中に生成されることによ
る。
【0007】図13は、図11の電気流体力学ポンプに
おける各種の流体のポンプ圧力Pを示す特性線図であ
る。縦軸はリング状電極1の上部出口1Aにおける流体
3のポンプ圧力Pであり、横軸はリング状電極1の印加
電圧Vである。特性線6Aは、流体3がBCRAでかつ
印加電圧Vが正または負の場合、特性線6Bは、流体3
がDBDNでかつ印加電圧Vが負の場合である。また、
特性線6Cは、流体3がFS−Oilでかつ印加電圧V
が正の場合、特性線6Dは、流体3がTr−Oilでか
つ印加電圧Vが正または負の場合である。
【0008】図13において、流体3がBCRA、ある
いは、DBDNの場合に高いポンプ圧力が得られる。ま
た、FS−OilやTr−Oilの場合は、あまり高い
ポンプ圧力は得られない。また、BCRAの場合には印
加電圧Vの極性効果はほとんどない。図14は、従来の
異なる電気流体力学ポンプの構成を示す断面図である。
図11における電気流体力学ポンプの構成に加えて、リ
ング状電極1の上部にノズル11を形成する絶縁体11
Bが載せられている。絶縁体11Bの両側には間隙長g
のギャップ7Bを介して対向するもう一対の電極、すな
わち、リング状電極7と平板電極8が設けられてある。
リング状電極7は絶縁体11Bに直接取り付けられ、平
板電極8は絶縁支え12を介して絶縁体11Bに取り付
けられている。また、絶縁体11Bにはノズル11に連
通するもう一つのノズル9が設けられ、このノズル9は
リング状電極7の中空孔7Aのところで開口している。
リング状電極7には図示されていないもう一つの直流電
源が接続され、平板電極8は接地されている。
【0009】図14において、リング状電極1に直流電
圧を印加すると、図11の場合と同様にして流体3が矢
印3Aのように流れる。流体3の流れはさらにノズル1
1を通過して上部出口11Aからz軸(中心軸)方向へ
噴出する。その際に、リング状電極7にも直流電圧を印
加すると、流体3がリング状電極7の中空孔7Aを介し
てノズル9を通過し、矢印10のような流れが形成され
る。流体3は、ノズル11の内部で合流するので旋回す
るようになり流速が大きくなる。ノズル11の上部出口
11A付近をすぼめておくことによって、流速はさらに
大きくなる。
【0010】図15は、流体3がBCRAの場合の図1
1および図14の電気流体力学ポンプにおける上部出口
付近の流速分布を示す特性線図である。縦軸は流体3の
流速Uであり、横軸は中心軸からの放射方向距離rであ
る。特性線13は、図14の電気流体力学ポンプの場合
の特性であり、ギャップ4,7Bのそれぞれの間隙長
d,gを2mmとし、リング状電極1,7にそれぞれ正
の直流電圧18kVが加えられた。流速Uは、ノズル1
1の上部出口11Aから中心軸にそって上方へ20mm
行った位置(軸方向距離z=20mm)の値である。一
方、特性線14は、図11の電気流体力学ポンプの場合
の特性であり、ギャップ4の間隙長dを2mmとし、リ
ング状電極1に正の直流18kVが加えられた。流速U
は、リング状電極1の上部出口1Aからz軸にそって上
方へ20mm行った位置(軸方向距離z=20mm)の
値である。特性線13より分かるように、図14の電気
流体力学ポンプの場合はノズル11の中心軸付近で流速
Uが特に大きくなっている。すなわち、図14の電気流
体力学ポンプは、高速な流体3をシャープに噴出させる
ことができ、図11の電気流体力学ポンプの場合より加
速されている。これは、ノズル11内で流体3を旋回さ
せているためで、それによって、電気流体力学ポンプの
能力を向上させている。
【0011】図16は、流体3がBCRAの場合の図1
1および図14の電気流体力学ポンプにおける上部出口
の中心軸上の流速分布を示す特性線図である。縦軸は流
体3の規格化速度であり、横軸は中心軸にそって上部出
口から上方への軸方向距離zである。規格化速度は、上
部出口付近の位置、すなわち、z=1mmの位置におけ
る値を1としてある。特性線15は、図14の電気流体
力学ポンプの場合の特性であり、間隙長d,gをそれぞ
れ2mmとし、リング状電極1,7にそれぞれ正の直流
18kVが加えられた。一方、特性線16は、図11の
電気流体力学ポンプの場合の特性であり、間隙長dを2
mmとし、リング状電極1に正の直流18kVが加えら
れた。特性線15より分かるように、図14の電気流体
力学ポンプの場合はノズル11の中心軸付近での規格化
速度は、軸方向距離zが増えてもその低下の割合が少な
く、図11の電気流体力学ポンプの場合より流体3が上
部出口11Aから勢い良く噴出することを示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の電気流体力学ポンプは、外径が大きいと
いう問題点があった。すなわち、電気流体力学ポンプは
騒音が発生しないとともにメンテナンスも不要であると
いうメリットを有するが、従来の電気流体力学ポンプ
は、一対の電極のうち、リング状電極1に対向する相手
側の電極が平板状なので外径が大きくなり、ストレート
な流れの流体を送る場合でも広い場所が必要であった。
そのために、設備費がかかり経済的な問題があった。
【0013】この発明の目的は、電気流体力学ポンプの
外径をより小さくすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、電界によって解離イオンが発生
する流体が互いに対向する一対の電極間に充填されると
ともに、前記一対の電極のうち一方の電極がリング状電
極からなり、前記一対の電極間に直流電圧を印加するこ
とによって前記リング状電極の中空孔から前記流体を噴
出させてなる電気流体力学ポンプにおいて、前記一対の
電極のうち前記リング状電極と対向する相手側電極の外
径を前記リング状電極のそれより小さく形成させてなる
ようにするとよい。それによって、従来、平板電極で外
径の大きかった相手側電極の外径が小さくなり、電気流
体力学ポンプ全体の外径が小さくて済む。
【0015】また、かかる構成において、前記リング状
電極の中空孔を円錐状に形成し、前記中空孔の開口径が
大きい側を前記相手側電極と対向させてなるようにして
もよい。それによって、一対の電極間における流体の流
れの傾斜角度が少なくて済み、流れの抵抗が減る。した
がって、リング状電極の中空孔から噴出する流体の流速
がより大きくなる。
【0016】また、かかる構成において、前記リング状
電極の中空孔にノズルを連通させるとともに直流電圧が
印加されたもう一対の電極から噴出する流体を前記ノズ
ルの内部で合流させ、前記ノズルの出口から前記流体を
旋回させながら噴出させてなるようにしてもよい。流体
同士の合流によって、ノズルの上部出口から噴出する流
体の速度がさらに大きくなる。
【0017】また、かかる構成において、前記流体が絶
縁性の流体にアルコールを添加させたものからなるよう
にしてもよい。それによって、絶縁性の流体中でも電界
によって解離イオンが発生し、絶縁性の流体でもポンプ
圧力が発生する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明を実施例に基づい
て説明する。図1は、この発明の実施例にかかる電気流
体力学ポンプの構成を示す断面図である。リング状電極
1の下部に相手側電極である棒状の対向電極17が配さ
れ、絶縁支え18を介して絶縁性の円筒体19に固定さ
れている。絶縁支え18は、周回形状ではなく流体3が
矢印3Aのように流れるのを妨げない構造になってい
る。円筒体19の上部には、リング状電極1の中空孔5
と連通する開口穴20が明けられ、この開口穴20が流
体3の上部出口20Aとなっている。対向電極17は、
その外径がリング状電極1の外径より小さくなっている
とともに、電界があまり高くならないようにその端部が
丸められてある。さらに、対向電極17は、その中心軸
がリング状電極1の中心軸と合うように配されるととも
に、リング状電極1との間に間隙長Dのギャップ4が設
けられ、流体3が流れ易いようになっている。さらに、
対向電極17は接地され、図示されていない直流電源で
もっでリング状電極1に直流電圧が印加されている。図
1のその他は、図11の従来の構成と同じであり、従来
と同じ部分は同一参照符号を付けることによって詳細な
説明は省略する。
【0019】図1の電気流体力学ポンプは、対向電極1
7がリング状電極1の外径より小さくなったので、図1
1の従来の場合より外径が縮小された。すなわち、図1
1の場合では流体3が直角に曲げられていたが、図1の
場合は流体3の流れがほぼストレートであり、全体的に
コンパクトである。図2は、流体3がBCRAの場合に
図1の電気流体力学ポンプで得られる流速を調べた結果
を示す特性線図である。図1におけるギャップ長Dは4
mmにしてある。縦軸は上部出口20Aにおける流体3
の流速Uであり、横軸はリング状電極1の印加電圧Vで
ある。特性線21Aは、印加電圧が負の場合、特性線2
1Bは、印加電圧が正の場合である。流速Uは、印加電
圧の極性にはあまり依存しないが、印加電圧Vに依存し
てほぼ直線的に増加している。
【0020】図3は、流体3がBCRAの場合に図1の
電気流体力学ポンプで得られるポンプ圧力を示す特性線
図である。縦軸は上部出口20Aにおける流体3のポン
プ圧力Pであり、横軸はリング状電極1の印加電圧Vで
ある。特性線22Aは、印加電圧が負の場合、特性線2
2Bは、印加電圧が正の場合であり、印加電圧が高くな
ると、負の場合のポンプ圧力Pの方が正の場合より増加
するようになる。
【0021】図4は、流体3がBCRAの場合に図1の
電気流体力学ポンプに流れる電流を示す特性線図であ
る。縦軸はリング状電極1と対向電極17との間に流れ
る電流Iであり、横軸はリング状電極1の印加電圧Vで
ある。特性線23Aは、印加電圧が負の場合、特性線2
3Bは印加電圧が正の場合である。電流Iの値は非常に
小さく、例えば、印加電圧Vが30kVの場合に流れる
電流Iが約100μAであり、消費電力が数W程度で済
む。
【0022】図5は、図1の電気流体力学ポンプが組み
込まれた流体の循環装置を示す断面図である。循環パイ
プ26の途中に図1の構成の電気流体力学ポンプ24お
よび流量計25が介装され、循環パイプ26の中に流体
3としてBCRAが充填されている。循環パイプ26の
内直径は8mm、循環パイプ26の縦幅,横幅はそれぞ
れ400mm,160mmである。リング状電極1に直
流電圧を印加することにより流体3の流れが矢印3Aの
ように発生し、流体3が循環するようになる。図1で触
れたように、電気流体力学ポンプ24は流体3の流れが
ほぼストレートでありコンパクトである。この循環装置
は、機器の冷却用や潤滑用、洗浄用として使用されると
ともに、流体の輸送用、噴水用としても使用でき、小型
でかつ低騒音な装置とすることができる。
【0023】図6は、図5の循環装置を循環する流体の
流量を調べた結果を示す特性線図である。縦軸は流量Q
であり、横軸はリング状電極1の印加電圧Vである。特
性線26Aは、印加電圧が負の場合であり、特性線26
Bは、印加電圧が正の場合である。図7は、この発明の
異なる実施例にかかる電気流体力学ポンプの構成を示す
断面図である。対向電極27が球形状であり、かつ、対
向電極27の外径がリング状電極1のそれより小さくな
っている。また、対向電極27の中心がリング状電極1
の中心軸と合うように配されている。図7のその他の構
成は、図1と同じである。対向電極27によって、ギャ
ップ4中に電界が形成され、解離イオンが発生するよう
になる。リング状電極1への印加電圧Vに対する流体3
の流速Uおよびポンピング圧力Pは、図1の場合とほぼ
同じである。
【0024】図8は、この発明のさらに異なる実施例に
かかる電気流体力学ポンプの構成を示す断面図である。
対向電極28が円柱形状であり、かつ、対向電極28の
外径がリング状電極1のそれより小さくなっている。ま
た、対向電極28の中心軸がリング状電極1のそれと合
うように配されている。対向電極28の端面はフラット
であるが、電界があまり高くならないように縁部に丸み
が付けられている。図8のその他の構成は、図1と同じ
である。対向電極28によって、ギャップ4中に電界が
形成され、解離イオンが発生するようになる。なお、リ
ング状電極1へ印加電圧Vに対する流体3の流速Uおよ
びポンピング圧力Pは、図1の場合とほぼ同じである。
【0025】上述のように、リング状電極1の相手側電
極の形状は、リング状電極1の外径より大きくならなけ
れば任意である。一方、リング状電極1も以下に示すよ
うに中空孔が形成されていれば任意である。図9は、こ
の発明のさらに異なる実施例にかかる電気流体力学ポン
プの構成を示す断面図である。リング状電極1の中空孔
31の内面が円錐形状に形成され、中空孔31の下側の
開口径が上側のそれより大きくなっている。図9のその
他の構成は、図1と同じである。流体3が円錐形状の中
空孔31内面を沿って流れるので、その傾斜角度が少な
くて済み、流れの抵抗が減る。したがって、リング状電
極1の中空孔31から上部へ噴出する流体3の流速がよ
り大きくなる。
【0026】図10は、この発明のさらに異なる実施例
にかかる電気流体力学ポンプの構成を示す断面図であ
る。図1における電気流体力学ポンプの構成に加えて、
リング状電極1の上部にノズル11を形成する絶縁体1
1Bが載せられている。絶縁体11Bの両側にはギャッ
プ7Bを介して対向するもう一対の電極、すなわち、リ
ング状電極7と平板電極8が設けられてある。リング状
電極7は絶縁体11Bに埋め込まれ、平板電極8は絶縁
性の囲い30に固定されている。また、絶縁体11Bに
はノズル11に連通するもう一つのノズル9が設けら
れ、このノズル9はリング状電極7の中空孔7Aのとこ
ろで開口している。リング状電極7は図示されていない
もう一つの直流電源に接続され、平板電極8は接地され
ている。
【0027】図10の構成が図14の従来のそれと異な
る点は、図14における平板電極2の代わりにリング状
電極1の外径より小さい対向電極17が配されているこ
とである。それによって、電気流体力学ポンプの外径が
従来より縮小されるとともに、流体3の流速もノズル1
1の内部で流体3が合流するので旋回するようになり、
図1の場合より大きくなる。
【0028】なお、この発明にかかる図10の構成は図
の構成に限定されるものではなく、図7ないし図9にお
けるリング状電極1の上部に図10のようなノズル11
を載せた構成にしてもよい。また、上述の実施例におい
て、流体3を絶縁油とし、その流体3に1%程度のアル
コールを添加させてもよい。流体3が絶縁油だけの場合
はイオン解離し難いが、絶縁油にアルコールを添加させ
ることによってイオン解離し易くなり、絶縁性の流体3
でも流れを形成することができる。すなわち、FS−O
ilやTr−Oilの場合に1%のエタノール、あるい
は、1%のメタノールを添加すると流速を大きくするこ
とができることが分かった。それによって、絶縁性の流
体でも送液することができるようになり、この電気流体
力学ポンプの適用範囲が拡大する。
【0029】なお、特開平6−165542において、
フロン系媒体にエタノールを添加することが公知となっ
ているが、これは流体の電気伝導度を高めるためにエタ
ノールを添加し、それによって、流体の流れを確保して
いる。本発明は、純伝導ポンピングのメカニズムを利用
したもので、前述のように、電界によって電極界面にヘ
テロチャージ層を形成させ、このヘテロチャージ層のイ
オンと電極との間のクーロン力によって流体に圧力を加
え、それによって、リング状電極の中空孔に流体ジェッ
トを形成さている。そのために、必ずしも流体の電気伝
導度を高める必要はない。また、本発明における流体3
としては、必ずしも液体である必要はなく、イオン解離
し易い気体や、イオン解離し易い粉体など含んだ混合気
体であってもよい。
【0030】
【発明の効果】この発明は前述のように、一対の電極の
うちリング状電極と対向する相手側電極の外径を前記リ
ング状電極のそれより小さく形成させてなるようにする
ことによって、電気流体力学ポンプ全体の外径が小さく
て済み、経済性が向上する。また、かかる構成におい
て、前記リング状電極の中空孔を円錐状に形成し、前記
中空孔の開口径が大きい側を前記相手側電極と対向させ
てなるようにすることによって、リング状電極の中空孔
から噴出する流体の流速がより大きくなり、電気流体力
学ポンプを縮小することができる。
【0031】また、かかる構成において、前記リング状
電極の中空孔にノズルを連通させるとともに直流電圧が
印加されたもう一対の電極から噴出する流体を前記ノズ
ルの内部で合流させ、前記ノズルの出口から前記流体を
旋回させながら噴出させてなるようにすることによっ
て、リング状電極の中空孔から噴出する流体の流速がさ
らに大きくなり、電気流体力学ポンプの能力を向上させ
ることができる。
【0032】また、かかる構成において、前記流体が絶
縁性の流体にアルコールを添加させたものからなるよう
にすることによって、絶縁性の流体でも送液することが
できるようになり、この電気流体力学ポンプの適用範囲
が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる電気流体力学ポンプ
の構成を示す断面図
【図2】流体がBCRAの場合に図1の電気流体力学ポ
ンプで得られる流速を調べた結果を示す特性線図
【図3】流体がBCRAの場合に図1の電気流体力学ポ
ンプで得られるポンプ圧力を示す特性線図
【図4】流体がBCRAの場合に図1の電気流体力学ポ
ンプに流れる電流を示す特性線図
【図5】図1の電気流体力学ポンプが組み込まれた流体
の循環装置を示す断面図
【図6】図5の循環装置を循環する流体の流量を調べた
結果を示す特性線図
【図7】この発明の異なる実施例にかかる電気流体力学
ポンプの構成を示す断面図
【図8】この発明のさらに異なる実施例にかかる電気流
体力学ポンプの構成を示す断面図
【図9】この発明のさらに異なる実施例にかかる電気流
体力学ポンプの構成を示す断面図
【図10】この発明のさらに異なる実施例にかかる電気
流体力学ポンプの構成を示す断面図
【図11】従来の電気流体力学ポンプの構成を示す断面
【図12】図11の電気流体力学ポンプにおける各種の
流体の流速を示す特性線図である
【図13】図11の電気流体力学ポンプにおける各種の
流体のポンプ圧力を示す特性線
【図14】従来の異なる電気流体力学ポンプの構成を示
す断面図
【図15】流体がBCRAの場合の図11および図14
の電気流体力学ポンプにおける上部出口付近の流速分布
を示す特性線図
【図16】流体がBCRAの場合の図11および図14
の電気流体力学ポンプにおける上部出口の中心軸上の流
速分布を示す特性線図
【符号の説明】
1,7,29:リング状電極、2,8:平板電極、3:
流体、4:ギャップ、5,31:中空孔、9,11:ノ
ズル、11A,20A:上部出口、17,27,28:
対向電極、24:電気流体力学ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花岡 良一 石川県金沢市森山2丁目11番1号 (72)発明者 高田 新三 石川県石川郡野々市町柳町110番地2 (72)発明者 清水 留美子 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 仲神 芳武 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 3H075 AA02 CC34 DB10 DB49

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電界によって解離イオンが発生する流体が
    互いに対向する一対の電極間に充填されるとともに、前
    記一対の電極のうち一方の電極がリング状電極からな
    り、前記一対の電極間に直流電圧を印加することによっ
    て前記リング状電極の中空孔から前記流体を噴出させて
    なる電気流体力学ポンプにおいて、前記一対の電極のう
    ち前記リング状電極と対向する相手側電極の外径を前記
    リング状電極のそれより小さく形成させてなることを特
    徴とする電気流体力学ポンプ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の電気流体力学ポンプにお
    いて、前記リング状電極の中空孔を円錐状に形成し、前
    記中空孔の開口径が大きい側を前記相手側電極と対向さ
    せてなることを特徴とする電気流体力学ポンプ。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の電気流体力学ポ
    ンプにおいて、前記リング状電極の中空孔にノズルを連
    通させるとともに直流電圧が印加されたもう一対の電極
    から噴出する流体を前記ノズルの内部で合流させ、前記
    ノズルの出口から前記流体を旋回させながら噴出させて
    なることを特徴とする電気流体力学ポンプ。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の電気
    流体力学ポンプにおいて、前記流体が絶縁性の流体にア
    ルコールを添加させたものからなることを特徴とする電
    気流体力学ポンプ。
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