JP2003283348A - 信号処理装置、信号受信装置、および信号処理方法 - Google Patents

信号処理装置、信号受信装置、および信号処理方法

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JP2003283348A
JP2003283348A JP2002079806A JP2002079806A JP2003283348A JP 2003283348 A JP2003283348 A JP 2003283348A JP 2002079806 A JP2002079806 A JP 2002079806A JP 2002079806 A JP2002079806 A JP 2002079806A JP 2003283348 A JP2003283348 A JP 2003283348A
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祐一 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FM受信においてマルチパスノイズの除去は
困難であった。 【解決手段】 マルチパス検出部30は、IFデータメ
モリ62に格納されたIFデータのマルチパスノイズを
検出する。置換区間検出部40は、マルチパス区間を検
出し、その先頭および末尾のアドレスをそれぞれ置換開
始アドレス72および置換終了アドレス74として出力
する。コピー処理部60は、置換終了アドレス74以降
に格納されたIFデータを一時記憶メモリ64に退避す
る。置換処理部50は、置換波形78を生成して、置換
開始アドレス72を先頭にしてIFデータメモリ62に
格納し、置換波形幅80をコピー処理部60に与える。
コピー処理部60は、一時記憶メモリ64に退避したデ
ータを、置換終了アドレス74に置換波形幅80を加え
たアドレスを先頭にしてIFデータメモリ62に格納す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、信号処理技術に
関し、特にノイズを検出して低減する信号処理装置、信
号受信装置、および信号処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などの移動体に搭載されるFM受
信機では、オーディオ信号受信の際に、周囲にある山や
高層建築物などの障害物からの電磁波の反射に起因して
マルチパスノイズが発生する。このマルチパスノイズ
は、反射体によって反射された間接波が受信アンテナか
ら直接受信される直接波と合波し、直接波と間接波との
位相関係に依存して直接波の一部が反射波によって打ち
消されることによって生じる。マルチパスノイズが発生
すると、FM受信機から出力される音声信号の品質が著
しく低下する。
【0003】FMの中間周波数信号に現れるマルチパス
ノイズを除去する方法として、適応フィルタを用いた波
形等化処理方法が特許第3011948号公報に開示さ
れている。この方法は、基準信号との偏差が小さくなる
よう適応的にフィルタ係数を更新し、一定振幅の出力信
号を得ることによりマルチパス歪みを除去する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】FM放送受信では、F
M受信波を中間周波数信号に変換するフロントエンドに
おいて、振幅リミッタを利用して、雑音やパルスノイズ
などで生じるAM分を除去し、S/N比を向上に妨害信
号を抑制することが行われる。このようにフロントエン
ド部に振幅リミッタが存在する場合に、前述の適応フィ
ルタによる波形等化処理を適用すると、振幅歪みが取り
除かれたデータを適応フィルタにかけることになる。そ
もそも基準信号との偏差がない状態では適応フィルタの
動作に意味がないため、マルチパスによる位相歪みがほ
とんど解消されず、効果が得られない。
【0005】本発明はこうした状況に鑑みてなされたも
ので、その目的は、ノイズにより生じた位相歪みを低減
することのできる信号処理技術の提供にある。また別の
目的は、FM受信におけるマルチパスノイズを低減する
信号受信技術の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のある態様は信号
処理装置に関する。この装置は、入力信号に対して、ノ
イズを含む区間の波形を所定の置換波形で置き換える波
形置換処理部と、置き換えにより生じる区間幅の差に応
じて前記入力信号のデータをシフトして出力信号を生成
するシフト処理部とを含む。
【0007】入力信号の波形のうち、ノイズを含む波形
が所定の置換波形で置き換えられ、その置換波形の後に
残りの信号がコピーしてつなげられ、最終的に出力信号
となる。つまり、出力信号の波形データは、入力信号の
波形データと比べると、置き換えのあった区間の後は、
見かけ上、ノイズを含む波形と置換波形の波形幅の差の
分だけ時間軸上にシフトしたように見える。データ処理
上は、入力信号の波形データを格納するメモリ内でアド
レスをシフトさせてデータをコピーすることによりこの
シフト処理が行われる。このシフトは、時間軸上で短く
なる方向にも長くなる方向にも起こりうる。
【0008】ここで、所定の置換波形はノイズを低減す
るよう作用する波形であり、たとえばあらかじめ用意さ
れた人工の信号波形でもよく、入力信号のノイズの発生
していない区間からコピーされた波形であってもよい。
なお、置き換え後の入力信号のシフト量は、ノイズを含
む波形と置換波形の波形幅の差分に正確に等しくする必
要はなく、設計の都合上、ある程度のずれを許容する趣
旨である。
【0009】前記波形置換処理部は、前記入力信号のシ
フトの量を累積して記憶するシフト量記憶部と、累積し
たシフト量により前記置換波形の波長数を決定する波長
数決定部とを含んでもよい。シフト量の累積により、置
き換え後の信号が時間軸上で元の入力信号よりも短くな
りすぎた場合は、次回の置き換えの際、置換波形の波長
数を増やし、置き換え後の信号が元の入力信号よりも長
くなりすぎた場合は、置換波形の波長数を減らすか、あ
るいは置き換えを行わずに、単にノイズを含む波形をカ
ットして残りの波形をつなげてもよい。これにより、波
形の置き換えによって生じる実時間との誤差が累積する
のを防ぐことができる。
【0010】ノイズが検出された時点の前後においてゼ
ロクロスポイントを検出することによりノイズを含む区
間を算出する置換区間算出部をさらに含んでもよい。ノ
イズ検出時点の直前のゼロクロスポイントと、ノイズ検
出時点から2つ後のゼロクロスポイントを検出し、これ
らのゼロクロスポイント間をノイズ区間として検出して
もよい。このノイズ区間を正弦波で置き換えることによ
り、位相ずれを起こさずに波形を置き換えることができ
る。
【0011】入力信号の各フレームをフレームの境界で
オーバーラップさせて記憶するフレームメモリをさらに
含み、前記波形置換処理部および前記シフト処理部はこ
のオーバーラップのあるフレームごとに、フレーム内の
信号に対して、波形の置き換え処理およびシフト処理を
行ってもよい。あるフレームの先頭部を、1つ前のフレ
ームの最後のゼロクロスポイントまでオーバーラップさ
せてもよい。これにより、ノイズがフレームの境界部に
生じた場合でも、ノイズ区間を1フレーム内で検出する
ことができる。
【0012】本発明の別の態様は信号受信装置に関す
る。この装置は、受信されたFM送信電波を中間周波数
信号に変換するフロントエンド部と、前記中間周波数信
号を入力信号としてノイズの低減された出力信号を生成
する信号処理部と、前記出力信号をもとにFM復調信号
を出力するFM検波部と、前記FM復調信号をステレオ
復調して出力するステレオ復調部とを含み、前記信号処
理部は、前記入力信号に対して、ノイズを含む区間の波
形を所定の置換波形で置き換える波形置換処理部と、置
き換えにより生じる区間幅の差に応じて前記入力信号の
データをシフトして前記出力信号を生成するシフト処理
部とを含む。
【0013】本発明のさらに別の態様は信号処理方法に
関する。この方法は、FMの中間周波数信号に対して、
マルチパスノイズを含む1波長の区間を検出するノイズ
検出工程と、前記区間の波形を所定の置換波形で置き換
える波形置換工程と、置き換えにより生じる実時間との
ずれ量を累積して記憶する工程とを含み、前記波形置換
工程は、累積した実時間とのずれの量により前記置換波
形の波長数を調整する。
【0014】前記波形置換工程は、1波長分以上短くな
る方向に実時間とのずれが生じた場合には、前記1波長
の区間の波形を2波長分の前記置換波形により置き換え
てもよい。前記波形置換工程は、1波長分以上長くなる
方向に実時間とのずれが生じた場合には、前記1波長の
区間の波形を単にカットして残りの信号につなげてもよ
い。実時間とのずれが1波長分以下である場合は、前記
1波長のノイズ波形を1波長分の前記置換波形により置
き換えてもよい。
【0015】なお、以上の構成要素の任意の組み合わ
せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変
換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、実施の形態に係るFM受
信装置の構成を示す。受信アンテナ10により受信され
たFM送信電波はフロントエンド部12において中間周
波数(IF)信号に変換される。A/Dコンバータ14
はこのIF信号をデジタル信号に変換する。IF波形処
理部16は、デジタル化されたIF信号のノイズを低減
するための信号処理部であり、後述のように、波形の置
換処理とシフト処理を行う。FM検波部18はIF波形
処理部16により処理されたIF信号をFM復調してス
テレオコンポジット信号(以下、単にコンポジット信号
という)を出力する。ステレオ復調部22は、このコン
ポジット信号をステレオ復調してオーディオ信号を出力
する。
【0017】図2は、IF波形処理部16による波形の
置換処理とシフト処理を説明する図である。同図のグラ
フは、1フレームのIF信号について波形の時間変化を
概念的に表したものである。置き換え前のIF波形は、
マルチパスノイズの発生していない区間A92、マルチ
パスノイズの発生している1波長分の区間B94、およ
びマルチパスノイズの発生していない区間C96がこの
順に続いている。マルチパスが検出されると、マルチパ
スを含む区間B94のノイズ波形90が置換波形98に
置き換えられる。置換波形98の区間D100は、ノイ
ズ波形90の区間B94より短いことも長いこともあ
る。ノイズを含まない区間A92の波形はそのままであ
るが、ノイズ波形90の後ろに続いていた区間C96の
波形は、時間軸方向にシフトして置換波形98の後ろに
つなげられる。区間D100と区間B94の長さの差分
をシフト量とよぶ。マルチパスを検出する度にこのよう
な置き換えを繰り返していくと、このシフト量が累積し
て実時間との誤差を生じる。そこで後述のように置換波
形98の波長数を調整して累積誤差の増大を抑制する。
【0018】図3は、IF波形処理部16の機構構成図
である。IF波形処理部16は、主な構成として、マル
チパス検出部30、置換区間検出部40、置換処理部5
0、およびコピー処理部60を含み、アドレスパス66
およびデータパス68を介して、IFデータメモリ62
および一時記憶メモリ64に接続し、アドレスを指定し
てデータの読み書きを行うことができる。
【0019】IFデータメモリ62は、デジタル化され
たIF信号の1フレーム分のデータを保持するフレーム
メモリである。もっともこの1フレームの先頭には、後
述のように一つ前のフレームのデータの一部を重複して
もたせている。
【0020】マルチパス検出部30は、IFデータメモ
リ62の先頭からIFデータを順次読み出し、マルチパ
スノイズを検出する。マルチパス検出方法の一例を述べ
る。IF信号の包絡線を計算してその値が閾値を超えた
かどうかを判定してマルチパスの検出を行う。具体的に
は、次式により包絡線env(n)を計算する。 env(n)=[({y(n)}+2{y(n−
1)}+{y(n−2)})/2]^(1/2) ここでyはIF信号の振幅を表し、各サンプルの位相が
90度ずれるようにサンプリングし、n=1、2、3、
・・・とする。このenv(n)がある閾値を超えた場
合にマルチパスと判定する。また次式のようにenv2
(n)を計算し、この値がある閾値を超えたかどうかを
判定してマルチパスを検出してもよい。 env2(n)={y(n)}+2{y(n−1)}
+{y(n−2)}
【0021】マルチパス検出部30は、マルチパスが検
出された時点でのIFデータのアドレスを検出時アドレ
ス70として出力し、置換区間検出部40に与える。
【0022】置換区間検出部40は、マルチパスノイズ
を含む1波長の区間(以下、この区間をノイズ区間とい
い、ノイズ区間内の1波長の波形をノイズ波形という)
を検出し、ノイズ波形の先頭および末尾のアドレスをそ
れぞれ置換開始アドレス72および置換終了アドレス7
4として出力する。さらにコピー処理部60は、置換終
了アドレス74以降に格納されたIFデータを一時記憶
メモリ64に退避する。置換処理部50は、正弦波によ
る置換波形78を生成し、置換開始アドレス72を先頭
にして置換波形78をIFデータメモリ62に格納し、
置換波形78の置換波形幅80をコピー処理部60に与
える。最後にコピー処理部60は、一時記憶メモリ64
に退避してあった残りのIFデータを、置換終了アドレ
ス74に置換波形幅80を加えたアドレスを先頭にして
IFデータメモリ62に格納する。置換波形78の波形
幅は、ノイズ波形の波形幅よりも長い場合もあるため、
波形の置き換えによりメモリ不足が生じないように、I
Fデータメモリ62の容量は1フレーム分より多めに設
けられる。
【0023】このように置き換え処理されたIFデータ
は、始めのIFデータから見ると、置換区間以降の信号
データがシフトしたように見えるので、コピー処理部6
0の処理をシフト処理とも呼ぶ。ここでは、置換処理の
後にシフト処理を行う構成のため、一時記憶メモリ64
に置換区間以降の信号データが退避されたが、先にシフ
ト処理を行い、その後で置換処理を行う構成も可能であ
り、その場合は、一時記憶メモリ64の構成を省くこと
ができる。また、置換波形は正弦波でなくてもよく、マ
ルチパスを含んでいない前後の波形を利用してもよい。
【0024】置換区間検出部40の機能構成を詳しく説
明する。カウンタ42は、検出時アドレス70を初期値
としてアドレスのカウントダウンおよびカウントアップ
を行う。ゼロクロス検出部46は、IFデータメモリ6
2から、カウンタ42がカウントするアドレスのIFデ
ータを読み出し、IF信号の振幅がゼロになるゼロクロ
スポイントを検出する。ゼロクロス検出部46はゼロク
ロスを検出すると、カウンタ42にゼロクロス検出信号
を与える。カウンタ42は、ゼロクロス検出部46から
のゼロクロス検出信号によりカウントダウンとカウント
アップを切り替える。切り替わり判定部44は、カウン
タ42が出力するアドレスを監視して、カウントダウン
からカウントアップへの切り替わりを検出すると、その
ときのアドレスを置換開始アドレス72として出力し、
カウントアップからカウントダウンへの切り替わりを検
出すると、そのときのアドレスを置換終了アドレス74
として出力する。
【0025】カウンタ42およびゼロクロス検出部46
は、ノイズ区間を検出するために、次のように動作す
る。まず始めにカウンタ42は検出時アドレス70を初
期値としてアドレスのカウントダウンを行い、ゼロクロ
ス検出部46はIFデータメモリ62からそのアドレス
に格納されているIFデータを取得する。そのカウント
ダウンの過程でゼロクロスが検出されると、そのアドレ
スからカウントアップに切り替わる。切り替わり判定部
44はその切り替わりを検出して、そのときのアドレス
を置換開始アドレス72として出力する。これによりマ
ルチパスノイズの発生する直前のゼロクロスポイントが
ノイズ区間の開始点として検出されたことになる。
【0026】その後、カウンタ42は置換開始アドレス
72から始めてアドレスのカウントアップを行い、ゼロ
クロス検出部46はIFデータメモリ62からそのアド
レスに格納されているIFデータを取得する。そのカウ
ントアップの過程で一回目のゼロクロスが検出される。
カウンタ42は、一回目のゼロクロス検出信号はキャン
セルし、カウントアップを継続する。ゼロクロス検出部
46は続いて二回目のゼロクロスを検出し、カウンタ4
2は、二回目のゼロクロス検出信号を受けて、そのとき
のアドレスからカウントダウンに切り替える。切り替わ
り判定部44はその切り替わりを検出して、そのときの
アドレスを置換終了アドレス74として出力する。これ
によりマルチパスノイズの発生から2つ目のゼロクロス
ポイントがノイズ区間の終了点として検出されたことに
なる。
【0027】このように1波長のノイズ区間を検出する
ために、ゼロクロス検出部46は合計3回のゼロクロス
検出を行い、カウンタ42は、カウントアップ時のみ1
回目のゼロクロス検出信号をキャンセルする。ただし、
ゼロクロスを検出する過程において、1つ前のゼロクロ
スのアドレスと検出されたゼロクロスのアドレスとが近
い場合、より具体的に言えば、検出されたゼロクロスの
間隔が、想定される周波数偏移から割り出すことができ
るゼロクロスの間隔よりも短い場合には、検出されたゼ
ロクロスを無視して次のゼロクロス点を探索する。
【0028】次に置換処理部50の機能構成を詳しく説
明する。カウンタ52は、置換開始アドレス72および
置換終了アドレス74をそれぞれ初期値、終了値として
アドレスのカウントアップを行う。加算器51は置換終
了アドレス74と置換開始アドレス72の差を計算して
置換幅76を出力する。置換波形生成部58は、置換波
形78を生成し、カウンタ52により指定されたIFデ
ータメモリ62のアドレスに置換波形78を書き込み、
置換波形78の置換波形幅80を出力する。
【0029】生成波長数決定部56は、置換波形生成部
58が生成する置換波形78の波長数を累積シフト量記
憶部54が記憶する累積シフト量にもとづいて決定す
る。累積シフト量記憶部54は、置換波形生成部58か
ら出力される置換波形幅80と、加算器51から出力さ
れる置換幅76との差分を加算器55から得て、その差
分をシフト量として累積する。このシフト量は、置換波
形78とノイズ波形の波形幅の差であり、この差が置き
換え後のIF信号の時間誤差として累積する。累積シフ
ト量記憶部54は累積するシフト量を記憶し、生成波長
数決定部56は、後述のように、累積シフト量を置換波
形78の1波長分と比較して、累積する時間のずれを解
消する方向で置換波形78の波長数を決定する。
【0030】IFデータメモリ62には、IF信号のデ
ータがフレーム単位で格納されており、フレーム内でマ
ルチパスが検出された場合に、置換処理とシフト処理が
行われる。フレームの境界部でマルチパスが検出された
場合、ゼロクロスポイントがそのフレーム内になかった
場合、上述の置換区間検出部40による区間検出方法で
はマルチパスノイズを含む1波長分の区間が検出できな
いことになる。そこで、IFデータメモリ62に格納さ
れるフレームの先頭には一つ前のフレームのデータの一
部を重複してもたせている。具体的には、フレームの境
界から直前のゼロクロスポイントまでさかのぼった分を
オーバーラップさせている。これによりフレームの境界
でマルチパスが発生している場合でも、フレーム内でノ
イズ区間が検出され、置換処理を行うことができる。
【0031】図4は、IF信号のデータをオーバーラッ
プのあるフレームに分割する処理を説明する図である。
IF信号のフレーム2のデータは、フレーム2の本来の
データBに、フレーム1の末尾のデータAが先頭に追加
されたものである。以下のフレーム3、・・・、N−
1、Nについても同様である。
【0032】図5は、オーバーラップのあるフレームを
合成してIF信号を再構築する処理を説明する図であ
る。フレーム1について、次のフレーム2の先頭にオー
バーラップさせたデータEの直前までのデータCを抽出
し、以下のフレームについても同様にオーバーラップの
直前までのデータを抽出し、それらを集めてIF信号を
再構築する。
【0033】図6は、IF波形処理部16によるフレー
ム内でのマルチパスノイズ低減手順を説明するフローチ
ャートである。マルチパス検出部30はIFデータメモ
リ62に格納されたIFデータのフレームにおいてマル
チパスを検出する(S10)。そのフレームにマルチパ
スが検出されない場合(S10のN)、そのフレームに
ついての処理を終了する。
【0034】マルチパスが検出された場合(S10の
Y)、累積シフト量記憶部54に記憶された累積シフト
量が置換波形78の波長と比べられ、マイナス1波長以
下であるかどうか判定される(S12)。累積シフト量
がマイナス1波長以下である場合(S12のY)、置換
処理後のIF信号の実時間とのずれが1波長分以上短く
なる方にずれているため、2波長分の置換処理を行う
(S14)。すなわち、生成波長数決定部56は置換波
形78の波長数を2に決定し、置換波形生成部58は2
波長の置換波形78を生成して、ノイズ波形を置き換
え、コピー処理部60は残りのIFデータをシフトさせ
る。累積シフト量記憶部54は、2波長分の置換波形7
8の置換波形幅80から1波長分のノイズ波形の置換幅
76を引いた値を新たなシフト量としてそれまでの累積
シフト量に加算するため、累積シフト量は約1波長分増
加する(S16)。ここで約1波長分というのは、置換
波形78とノイズ波形の波長は必ずしも同じではないか
らである。
【0035】累積シフト量がマイナス1波長以下でない
場合(S12のN)、次に累積シフト量が1波長以上で
あるかどうかが判定される(S18)。累積シフト量が
1波長以上である場合(S18のY)、置換処理後のI
F信号の実時間とのずれが1波長分以上長くなる方にず
れているため、置き換えは行わず、単にノイズ波形をカ
ットする(S20)。すなわち、生成波長数決定部56
は置換波形78の波長数を0に決定し、置き換えを行わ
ず、コピー処理部60は置換開始アドレス72に残りの
IFデータをシフトさせる。累積シフト量記憶部54
は、0波長の置換波形78の置換波形幅80すなわちゼ
ロから1波長分のノイズ波形の置換幅76を引いた値を
新たなシフト量としてそれまでの累積シフト量に加算す
るため、累積シフト量はノイズ波形の1波長分だけ減少
する(S22)。
【0036】累積シフト量が1波長以上でない場合(S
18のN)、ステップS12において、累積シフト量は
マイナス1波長より大きいことがわかっているから、累
積シフト量の絶対値は1波長未満である。この場合、1
波長分の置換処理を行う(S24)。すなわち、生成波
長数決定部56は置換波形78の波長数を1に決定し、
置換波形生成部58は1波長の置換波形78を生成し
て、ノイズ波形を置き換え、コピー処理部60は残りの
IFデータをシフトさせる。累積シフト量記憶部54
は、1波長分の置換波形78の置換波形幅80から1波
長分のノイズ波形の置換幅76を引いた値を新たなシフ
ト量としてそれまでの累積シフト量に加算する(S2
6)。
【0037】以上述べたように、実施の形態によれば、
マルチパス伝搬したFMのIF信号に対してマルチパス
ノイズを含む波形の置換処理を行い、置換区間後のIF
信号のデータをシフトさせることにより、振幅リミッタ
の存在する従来型のフロントエンドであってもマルチパ
ス歪みを低減することが可能である。また累積するシフ
ト量に応じて置換波形の波長数を調整するため、シフト
処理によりIF信号の実時間とのずれが増大するのを防
ぐことができる。
【0038】以上、本発明を実施の形態をもとに説明し
た。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成
要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例
が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあ
ることは当業者に理解されるところである。また各構成
要素は機能ブロックとして図示されており、これらの機
能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、ま
たはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現で
きることは、当業者には理解されるところである。
【発明の効果】本発明によれば、ノイズを検出してノイ
ズによる信号の歪みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係るFM受信装置の構成図であ
る。
【図2】 図1のIF波形処理部によるIF信号のノイ
ズ波形の置き換え処理と波形のシフト処理を説明する図
である。
【図3】 図1のIF波形処理部の機能構成図である。
【図4】 IF信号のデータをオーバーラップのあるフ
レームに分割する処理の説明図である。
【図5】 オーバーラップのあるフレームを合成してI
F信号を再構築する処理の説明図である。
【図6】 図1のIF波形処理部によるマルチパスノイ
ズ低減手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 受信アンテナ、 12 フロントエンド部、 1
4 A/Dコンバータ、 16 IF波形処理部、 1
8 FM検波部、 20 ステレオ復調部、30 マル
チパス検出部、 40 置換区間検出部、 44 切り
替わり判定部、 46 ゼロクロス検出部、 50 置
換処理部、 54 累積シフト量記憶部、 56 生成
波長数決定部、 58 置換波形生成部、 60 コピ
ー処理部、 62 IFデータメモリ、 64 一時記
憶メモリ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平 正明 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5K052 AA01 AA11 BB04 CC04 DD03 EE12 EE19 FF27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号に対して、ノイズを含む区間の
    波形を所定の置換波形で置き換える波形置換処理部と、 置き換えにより生じる区間幅の差に応じて前記入力信号
    のデータをシフトして出力信号を生成するシフト処理部
    とを含むことを特徴とする信号処理装置。
  2. 【請求項2】 前記波形置換処理部は、前記入力信号の
    シフトの量を累積して記憶するシフト量記憶部と、累積
    したシフト量により前記置換波形の波長数を決定する波
    長数決定部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の
    信号処理装置。
  3. 【請求項3】 ノイズが検出された時点の前後において
    ゼロクロスポイントを検出することによりノイズを含む
    区間を算出する置換区間算出部をさらに含むことを特徴
    とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
  4. 【請求項4】 入力信号の各フレームをフレームの境界
    でオーバーラップさせて記憶するフレームメモリをさら
    に含み、前記波形置換処理部および前記シフト処理部は
    このオーバーラップのあるフレームごとに、フレーム内
    の信号に対して、波形の置き換え処理およびシフト処理
    を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記
    載の信号処理装置。
  5. 【請求項5】 受信されたFM送信電波を中間周波数信
    号に変換するフロントエンド部と、 前記中間周波数信号を入力信号としてノイズの低減され
    た出力信号を生成する信号処理部と、 前記出力信号をもとにFM復調信号を出力するFM検波
    部と、 前記FM復調信号をステレオ復調して出力するステレオ
    復調部とを含み、 前記信号処理部は、 前記入力信号に対して、ノイズを含む区間の波形を所定
    の置換波形で置き換える波形置換処理部と、 置き換えにより生じる区間幅の差に応じて前記入力信号
    のデータをシフトして前記出力信号を生成するシフト処
    理部とを含むことを特徴とする信号受信装置。
  6. 【請求項6】 FMの中間周波数信号に対して、マルチ
    パスノイズを含む1波長の区間を検出するノイズ検出工
    程と、 前記区間の波形を所定の置換波形で置き換える波形置換
    工程と、 置き換えにより生じる実時間とのずれ量を累積して記憶
    する工程とを含み、 前記波形置換工程は、累積した実時間とのずれの量によ
    り前記置換波形の波長数を調整することを特徴とする信
    号処理方法。
  7. 【請求項7】 前記波形置換工程は、1波長分以上短く
    なる方向に実時間とのずれが生じた場合には、前記1波
    長の区間の波形を2波長分の前記置換波形により置き換
    えることを特徴とする請求項6に記載の信号処理方法。
  8. 【請求項8】 前記波形置換工程は、1波長分以上長く
    なる方向に実時間とのずれが生じた場合には、前記1波
    長の区間の波形を単にカットして残りの信号につなげる
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の信号処理方
    法。
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