JP2003268007A - 重合装置の内部清掃タイミング決定方法 - Google Patents

重合装置の内部清掃タイミング決定方法

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JP2003268007A
JP2003268007A JP2002074307A JP2002074307A JP2003268007A JP 2003268007 A JP2003268007 A JP 2003268007A JP 2002074307 A JP2002074307 A JP 2002074307A JP 2002074307 A JP2002074307 A JP 2002074307A JP 2003268007 A JP2003268007 A JP 2003268007A
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tank
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Koji Toyooka
孝司 豊岡
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合装置の内部に付着した付着物の清掃を行
なうタイミングを精度よく決定する重合装置の内部清掃
タイミング決定方法を提供する。 【解決手段】 清掃タイミング決定するのに必要なパラ
メータであるジャケットを循環する前の温水の供給温度
Tjin、循環後の排出温度Tjout、供給管を循環する温
水の流量Fw、および槽内の温度Tcとがポリマー合成過
程の第1昇温過程で測定されて演算処理部に入力され
る。演算処理部では、測定された各パラメータを利用し
て境膜伝熱係数hを算出して実験により予め求めた境膜
伝熱係数の目標下限値hminとを比較し、境膜伝熱係数
hが目標下限値hminを下回ったときに、槽内の清掃が
必要であると判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリマーを合成
する重合装置の内部清掃を行なうタイミングを精度よく
決定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】モノマー混合物を重合装置の槽内に投入
し、重合反応させてポリマーの合成を複数回にわたって
繰り返し行なうと、槽内壁に合成されるポリマーなどの
付着物が累積的に付着する。付着物が槽内壁に付着し続
けると、槽の外周に付設した温度調節手段としてのジャ
ケットに流通する温度調節用流体の熱伝達効率(伝熱係
数)が低下し、ポリマー合成過程における槽内の重合温
度の制御が困難となる。
【0003】そこで従来の重合装置においては、人的な
経験則に基づいて所定のポリマー合成回数ごとに定期的
に槽内の清掃を人手によって行なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
人的な経験則に基づく槽内の清掃タイミングの決定で
は、次のような問題がある。
【0005】すなわち、槽内壁に付着する付着物の量は
常に一定ではなく、所定回数のポリマーを合成した後の
清掃時点では、予想をはるかに下回る付着量であること
もある。したがって、清掃を行なう必要のない程度の付
着物の量であっても、槽内壁を定期的に清掃しなければ
ならないといった問題がある。
【0006】また、槽内の清掃は、清掃作業員2,3人
がかりで1日かかり、無駄に装置を停止することとな
る、結果、ポリマーの生産効率の低下を招くといった不
都合も生じる。さらに、槽内の清掃には薬剤などを利用
する関係上、必要以上に清掃作業員を危険な状態にさら
すことになるといった不都合も生じている。
【0007】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、重合装置の内部の清掃タイミングを
精度よく決定する重合装置の内部清掃タイミングの決定
方法を提供することを主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、このような
目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、請求項1に記載の発明は、ポリマーを合成する過程
で重合装置の槽壁部分における伝熱係数を測定し、その
値に基づいて重合装置の内部清掃の必要性を判断するこ
とを特徴とするものである。
【0009】(作用・効果)ポリマーを合成する過程で
重合装置の槽壁部分の伝熱係数が測定される。この測定
された伝熱係数の変化量によって重合装置の内部清掃の
タイミングが決定される。つまり、槽内壁にポリマーな
どの付着物が付着すると重合装置の外部から冷却などを
実行したときに伝熱効率が低下する。したがって、重合
装置の槽壁部分の伝熱係数を測定すると、槽内壁部分の
付着物の付着状態を判断することができるので、重合装
置の内部清掃のタイミングを精度よく判断し、効率よく
清掃を行なうことができる。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の重合装置の内部清掃タイミング決定方法におい
て、前記伝熱係数は、重合装置の槽内の内部温度を上昇
させる昇温過程で測定することを特徴とするものであ
る。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の重合装置の内部清掃タイミング決定方法におい
て、前記伝熱係数は、重合装置の槽内の内部温度を冷却
する冷却過程で測定することを特徴とするものである。
【0012】(作用・効果)ポリマーを合成する過程に
おいて、槽内の温度を上昇させる昇温過程(請求項2)
で、または冷却過程(請求項3)で伝熱係数が測定され
る。つまり、ポリマー合成過程で槽内の温度と温度調節
手段としてのジャケットに流通する温度調節用流体の温
度との比較により求まる温度偏差が大きな時点で伝熱係
数が測定されるので、伝熱係数が求めやすくなり、一層
精度よく請求項1に記載の方法を好適に実施することが
できる。
【0013】本発明は次のような解決手段も開示してい
る。
【0014】(1)槽内にモノマー混合物を投入してポ
リマーを合成する重合装置であって、前記ポリマーを合
成する過程で重合装置の槽壁部分における伝熱係数を測
定する測定手段と、前記測定手段で測定した伝熱係数に
基づいて重合装置の内部清掃の必要性を知らせる報知手
段とを備えたことを特徴とする重合装置。
【0015】モノマー混合物を重合装置の槽内に投入
し、重合反応させてポリマーの合成を複数回にわたって
繰り返し行なうと、槽内壁に合成されるポリマーなどの
付着物が累積的に付着する。付着物が槽内壁に付着し続
けると、槽の外周に付設した温度調節手段としてのジャ
ケットに流通する温度調節用流体の熱伝達効率(伝熱係
数)が低下し、ポリマー合成過程における槽内の重合温
度の制御が困難となる。
【0016】そこで従来の重合装置においては、人的な
経験則に基づいて所定のポリマー合成回数ごとに定期的
に槽内の清掃を人手によって行なっている。
【0017】しかしながら、従来の人的な経験則に基づ
く槽内の清掃タイミングの決定では、次のような問題が
ある。
【0018】すなわち、槽内壁に付着する付着物の量は
常に一定ではく、所定回数のポリマーを合成した後の清
掃時点では、予想をはるかに下回る付着量であることも
ある。したがって、清掃を行なう必要のない程度の付着
物の量であっても、槽内壁を定期的に清掃しなければな
らないといった問題がある。
【0019】前記(1)の発明によれば、重合装置の槽
壁部分の伝熱係数が測定される。つまり、伝熱係数を測
定することにより重合装置の、例えば槽の熱伝達状況を
知ることができ、ひいては槽内壁に付着した付着物の状
況を判断することができる。この槽内壁の付着物の状況
を報知手段によって作業員に知らせることで、重合装置
の内部清掃を精度よく行なうことができる。
【0020】なお、報知手段としては、例えば、槽内壁
に付着した付着物の量をレベルゲージで表示してポリマ
ーの種類に応じたレベルで槽内の清掃の必要性を判断で
きたり、伝熱係数を数値表示したりするなどの表示手段
や、清掃の必要性があることを警告音として発するよう
な手段などが挙げられる。
【0021】
【発明の実施の形態】本実施例では、エマルジョン重合
による一括重合でポリマーを製造する場合を例に採って
重合装置の内部清掃タイミングを決定する方法について
説明する。エマルジョン重合に使用されるモノマー混合
物には、例えば、ブチルアクリレート(BA)、アクリ
ル酸(AA)を使用している。
【0022】以下、図面を参照してこの発明の一実施例
を説明する。図1は本実施例に使用する重合装置である
攪拌機およびその周辺構成を示す概略構成図、図2は伝
熱係数を求める演算処理を示すフローチャート、図3は
攪拌槽内の温度変化パターンと温度調節手段であるジャ
ケットに循環させる温度調節用流体の温度変化パターン
を示した図である。
【0023】先ず、本実施例で使用する装置の攪拌機と
その周辺構成について、図1を参照して説明する。攪拌
機1は、底部が椀状をした攪拌槽2と、その中心部の上
方から片持ち支持された回転軸3に攪拌翼4(図1では
格子翼)が取り付けられている。この回転軸3は、図示
しない回転駆動手段に連接されている。また、攪拌槽2
内の重合温度をコントロールするための温度調節手段と
してのジャケット5が攪拌槽2の外周に付設されてい
る。
【0024】また、攪拌槽2の底部には、攪拌槽2内の
温度を測定する温度センサS3が挿通されている。
【0025】ジャケット5には、その内部に温度調節用
流体を供給・排出循環させるための供給管R1がジャケ
ットの上・下部に連通接続されている。この供給管R1
のジャケット入口側には攪拌槽2内の温度を上昇させる
ために、例えば温水をジャケット5に供給するように水
温を上昇させる熱交換器6が設けられている。また、供
給管R1には、攪拌槽2を冷却するために供給管R1を
循環する温水を排出するためのバルブV1が設けられて
いるとともに、バルブV1を開放して温水を排出したと
きに冷却水を供給するための冷却管R2がバルブV2を
介して供給管R1に連通接続されている。
【0026】温度調節用流体をジャケット5に供給する
側(図1ではジャケット5の下部近傍)の供給管R1に
は温度センサS1が、排出する側(図1ではジャケット
5の上部近傍)には温度センサS2および流量計F(図
1では左側)とがそれぞれ配備されている。
【0027】また、実施例装置は、攪拌槽2の内部温度
をコントロールするための制御部7が設けられている。
この制御部7には、ポリマー製造条件に応じた重合温度
が操作部8から予め設定入力され、この入力条件に応じ
てポリマー製造過程ごとにシーケンシャルに重合温度を
コントロールしている。具体的には、熱交換器6に流通
する蒸気流量をバルブV3の開度でもって操作して温水
の温度を上昇させてジャケット5に供給したり、バルブ
V1の開度を操作して供給管R1から排出する温水の量
を調節するとともに、バルブV2の開度を操作して供給
管R1に冷却水を供給する供給量を調節したりして攪拌
槽2内の温度をコントロールしている。
【0028】また、制御部7は、演算処理部9を備えて
いる。演算処理部9には温度センサS1〜S3の測定値
(温度調節用流体の温度Tjin、Tjoutおよび攪拌槽2
内の温度Tc)と流量計Fから測定される供給管R1を
循環している温度調節用流体の流量Fwとが入力され、
この入力された各測定値に基づいて攪拌槽2の伝熱係数
(例えば、槽内壁とモノマー混合物である内容物との境
膜伝熱係数)が求められる。なお、この伝熱係数の算出
方法については後述する。
【0029】上述の実施例装置でエマルジョン重合によ
る一括重合でポリマーを製造する場合、その製造過程
が、図3に示すように、第1昇温過程、誘導過程、反応
過程、第2昇温過程、熟成過程、および冷却過程の6つ
の過程からなっており、これら過程ごとにジャケット5
に循環させる温度調節用流体の温度Tj(実線で示す)
を調節して攪拌槽2内の温度Tc(点線で示す)をコン
トロールしている。
【0030】第1昇温過程は、攪拌槽2にモノマー混合
物を投入してから攪拌槽2内の温度を設定重合温度の6
0℃にするために85℃の温水をジャケット5に供給し
ている。なお、ジャケット5を循環する温水の供給側と
排出側の温度偏差が安定(図3に示すD部分)するとと
もに、槽2内の温度が設定重合温度の60℃よりも5℃
低い55℃になった時点から冷却を行なう。つまり、ジ
ャケット5による温度調節では時定数が大きいので、槽
2内が設定重合温度の60℃に到達した時点から冷却を
行なったのでは、槽2内が設定重合温度を越えるので、
槽内が60℃に到達する時点を予測して冷却を行なう。
【0031】誘導過程は、槽2内が設定重合温度の60
℃に到達した時点からであって、この時点で開始剤を槽
2内に投入してラジカルを発生させる。
【0032】反応過程は、槽2内を設定重合温度に維持
しながらモノマー混合物を重合反応させる。
【0033】第2昇温過程は、所定時間経過後および所
定量(97〜98%)のポリマー合成が終了した時点か
ら、槽2内の温度を設定重合温度よりも高くして重合反
応を促進させるように、ジャケット5に温水を循環させ
る。
【0034】熟成過程は、槽2内の温度を設定重合温度
よりも高く設定した状態で、ポリマー合成を100%に
到達させる。
【0035】冷却過程は、ポリマー合成が100%に到
達する時点を予測して槽2内の冷却を行なう。
【0036】次に、上述の装置を利用したポリマー製造
過程から、本実施例では槽内の温度とジャケット5に流
通する温度調節用流体の温度との比較により求まる温度
偏差が大きくなる第1昇温過程から各種パラメータを測
定し、演算処理部9で境膜伝熱係数を求め、この求まっ
た境膜伝熱係数に基づいて槽2内の清掃タイミングを決
定する方法について、図2のフローチャートを参照して
説明する。
【0037】<ステップS1> 供給温度と排水温度の温
度偏差が安定したか 図3の第1昇温過程で85℃の温水をジャケット5に供
給・循環し始め、ジャケット5の供給口側の温度センサ
S1で温水の供給温度と、排出側の温度センサS2でジ
ャケット5を循環した温水の排出温度のそれぞれを一定
周期で測定して演算処理部9に入力する。
【0038】演算処理部9は、温水の供給温度と排出温
度の温度偏差を求める。この温度偏差が経時的に変化す
る場合は、温度偏差が安定(一定になる)するまで温水
の供給温度と排出温度を一定周期で測定して温度偏差を
求め続ける。温度偏差が安定した場合は、その時点から
境膜伝熱係数の測定が可能となったものと判断し、ステ
ップS2に進む。
【0039】<ステップS2> パラメータの測定 供給温度と排出温度の温度偏差が安定した時点から演算
処理部9で境膜伝熱係数(h)を求めるのに必要なパラ
メータである、温水の供給温度(TjinN)、排出温度
(ToutN)、供給管R1を循環する温水の流量(Fw
N)、および槽内温度(TcN)を温度センサS1〜S3
および流量計Fのそれぞれで複数回測定する。なお、各
パラメータの末尾に示す「N」は、測定回数を示すもの
であって、本実施例では、例えば1秒周期で計10回測
定する。これら測定値は、演算処理部9に入力される。
【0040】<ステップS3> パラメータの平均処理 ステップS2で測定された10回分の供給温度(Tjin
10)、排出温度(Tout10)、流量(Fw10)、お
よび槽内温度(Tc10)のそれぞれを平均処理し、供
給温度(Tjin)、排出温度(Tout)、流量(Fw)、
および槽内温度(Tc)を算出する。
【0041】<ステップS4> 伝熱量(Qf)の算出 ステップS3で求めた各平均値を利用してジャケット5
から槽2内への伝熱量(Qf)が算出される。具体的に
は、供給温度(Tjin)と排出温度(Tout)との比較に
より求まる温度偏差、温水の流量(Fw)、および温水
の比熱(Cp)の積から求める。つまり、この関係は次
式(1)で表すことができる。
【0042】 Qf(W)=(Tjin−Tout)×Fw×Cp … (1)
【0043】<ステップS5> 総括伝熱係数(U)の算
出 総括伝熱係数(U)を算出するために、次式(2)に示
す伝熱量(Qf)を求める演算式を利用して算出する。
【0044】
【数1】
【0045】すなわち、伝熱量(Qf)は、総括伝熱係
数(U)、槽内のモノマー混合物と槽内壁とが接する面
積である伝熱面積(A)、および対数平均温度差との積
から求まるものである。したがって、伝熱量(Qf)は
式(1)から求まり、伝熱面積および対数平均温度差
(供給温度(Tjin)と排出温度(Tout)の経時的な温
度偏差)は実測から求まるので、これらのパラメータか
ら未知数である総括伝熱係数(U)が求められる。
【0046】<ステップS6> 境膜伝熱係数(h)の算
出 境膜伝熱係数(h)を算出するために、次式(3)に示
す総括伝熱係数(U)を求める演算式を利用して算出す
る。
【0047】1/U=1/h+δ/X … (3)
【0048】すなわち、総括伝熱係数(U)は、境膜で
の熱抵抗の逆数(h:境膜伝熱係数)と槽壁での熱抵抗
の逆数(δは槽壁の厚み、Xは槽壁の熱伝導率)との総
和により求まるものである。したがって、ステップS5
で求まる総括伝熱係数(U)と、槽壁の厚み(δ)と槽
壁の熱伝達率(X)の既定値とから、未知数である境膜
伝熱係数(h)が求められる。
【0049】<ステップS7> 境膜伝熱係数の比較処理 ステップS6で算出された境膜伝熱係数(h)と、予め
実験によって求めた境膜伝熱係数の目標下限値(hmi
n)とを比較する。実測により得た各種パラメータを利
用して求まった境膜伝熱係数(h)が目標下限値(hmi
n)を上回る場合は、槽内壁へのポリマーの付着量が少
なく、ジャケット5からの熱伝達が効率よく行なわれて
いると判断される。したがって、この時点のポリマーの
製造が完了しても、槽2内の清掃を行なうことなく、次
のポリマーを連続して製造することができる。
【0050】逆に、求まった境膜伝熱係数(h)が目標
下限値(hmin)を下回る場合、槽内壁へのポリマーの
付着量が多く、ジャケット5からの熱伝達が低下してい
ると判断され、ステップS8に進む。
【0051】なお、本実施例では、境膜伝熱係数の目標
下限値(hmin)を次のようにして求めている。
【0052】実験用の重合装置(例えば、容量が1リッ
トルのもの)を使用し、製造対象のポリマーを同一製造
条件(例えば、設定重合温度が60℃など)で製造す
る。このとき、図4の実線Aに示すように、経時的に変
化する重合率を求め、この求まった重合率を時間微分す
る。
【0053】重合率を時間微分することによって、図5
の実線Bに示すような変化パターンが得られ、この変化
パターンが経時的に変化する重合反応にともなう発熱量
の変化パターンと同一となる。この変化パターンから製
造するポリマーの量(例えば、3000Kg)に換算し
たうえで、図6の実線Cに示すようにトータルの発熱量
(Q)を求める。
【0054】ここで重合反応過程における最大発熱量
(Qmax)の時点において、発熱量をジャケット5に移
動することができる総括伝熱係数の最小値を下限値(U
min)と仮定することによって、境膜伝熱係数(hmin)
を算出することができる。具体的には、式(1)におい
て、Qmax=Umin×A×Δt(Δtは対数平均温度差で
ある)とし、未知数の総括伝熱係数の下限値(Umin)
を求める。
【0055】この求まった総括伝熱係数の下限値(Umi
n)を式(3)に入力することによって、未知数の境膜
伝熱係数の目標下限値(hmin)が求められている。
【0056】<ステップS8> 清掃の必要性の警告 第1昇温過程で求めた境膜伝熱係数(U)が目標下限値
(Umin)を下回ることによって、清掃が必要な程度の
付着物が槽内壁に付着しているとして制御部7が判定
し、重合装置の内部清掃が必要であるとする命令信号を
発してオペレータに知らせる。例えば、監視モニター画
面上に清掃の必要性を示す警告を表示したり、操作部8
のパネル上に警告灯の点灯や警告音を発したりしてオペ
レータに清掃の必要性を知らせる。
【0057】以上のように、温度変化の大きな第1昇温
過程で測定して得た各種パラメータを利用し、伝熱係数
としての境膜伝熱係数(h)を求めるとともに、この境
膜伝熱係数(h)と実験により予め求めた境膜伝熱係数
の目標下限値(hmin)とを比較する。この比較の結
果、境膜伝熱係数(h)が目標下限値(hmin)を下回
ることが確認されれば、槽内壁に付着物が多量に付着し
ており、ジャケット5からの熱伝達率が低下しているこ
とが判断できる、結果、槽2内の清掃の必要性を精度よ
く判断することがきる。
【0058】本発明は、上記の実施例に限らず、次のよ
うに変形実施することもできる。 (1)上記実施例の制御部7は、攪拌槽2の重合温度を
製造過程ごとにシーケンシャルにコントロールしていた
が、この形態に限定されるものではなく、温度センサS
1〜S3で測定した実測値と予め実験により求めた目標
値とから温度偏差を求め、この温度偏差に応じた温度調
節用流体を供給管R1からジャケット5に供給・循環さ
せるようにしてもよい。
【0059】(2)上記実施例では、第1昇温過程から
各種パラメータを測定して境膜伝熱係数hを求めていた
が、他の過程から各種パラメータを測定して境膜伝熱係
数hを求めてもよい。なお、伝熱量Qfを求めるに当た
り、槽内の温度とジャケット5に流通する温度調節用流
体の温度の比較から求まる温度偏差の大きな第1、第2
昇温過程、および冷却過程から各種パラメータを測定す
るのが好ましい。
【0060】また、清掃タイミングを判断するのに境膜
伝熱係数hを利用したが、同等の物理量を有する伝熱係
数を利用して清掃タイミングを判断してもよい。
【0061】(3)上記実施例では、エマルジョン重合
による一括重合を行なう場合を例に採って説明したが、
滴下重合、2段重合、および均一系の溶液重合などにも
適用することができる。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ポリマーを合成する過程で重合装置に壁部分
の伝熱係数を測定し、この測定した伝熱係数の変化量を
参照することにより、重合装置の壁部分に付着したポリ
マーなどの付着物の状態を判断することができる、結
果、重合装置の内部清掃タイミングを精度よく決定する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る攪拌装置の概略全体構成を示した
図である。
【図2】演算処理部における清掃タイミングを決定する
演算処理を示したフローチャートである。
【図3】実施例装置に係るポリマー製造工程を示した図
である。
【図4】境膜伝熱係数の目標下限値を求める過程を示し
た図である。
【図5】境膜伝熱係数の目標下限値を求める過程を示し
た図である。
【図6】境膜伝熱係数の目標下限値を求める過程を示し
た図である。
【符号の説明】
S1〜S3… 温度センサ F … 流量計 V1、V2… バルブ R1 … 供給管 R2 … 冷却管 1 … 攪拌機 2 … 攪拌槽 7 … 制御部 8 … 操作部 9 … 演算処理部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマーを合成する過程で重合装置の槽
    壁部分における伝熱係数を測定し、その値に基づいて重
    合装置の内部清掃の必要性を判断することを特徴とする
    重合装置の内部清掃タイミング決定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の重合装置の内部清掃タ
    イミング決定方法において、 前記伝熱係数は、重合装置の槽内の内部温度を上昇させ
    る昇温過程で測定することを特徴とする重合装置の内部
    清掃タイミング決定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の重合装置の内部清掃タ
    イミング決定方法において、 前記伝熱係数は、重合装置の槽内の内部温度を冷却する
    冷却過程で測定することを特徴とする重合装置の内部清
    掃タイミング決定方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005224750A (ja) * 2004-02-16 2005-08-25 Sankio Chemical Co Ltd 熱交換装置及び熱交換方法
CN112867672A (zh) * 2018-10-31 2021-05-28 大日本印刷株式会社 加热杀菌系统的清洗方法以及清洗装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005224750A (ja) * 2004-02-16 2005-08-25 Sankio Chemical Co Ltd 熱交換装置及び熱交換方法
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