JP2003261374A - 精錬炉用カーボン含有れんが、及び、該れんがを配設してなる精錬炉 - Google Patents

精錬炉用カーボン含有れんが、及び、該れんがを配設してなる精錬炉

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JP2003261374A
JP2003261374A JP2002061798A JP2002061798A JP2003261374A JP 2003261374 A JP2003261374 A JP 2003261374A JP 2002061798 A JP2002061798 A JP 2002061798A JP 2002061798 A JP2002061798 A JP 2002061798A JP 2003261374 A JP2003261374 A JP 2003261374A
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brick
carbon
bricks
refining furnace
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Shigeki Uchida
茂樹 内田
Uei Hayashi
▲ウェイ▼ 林
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Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 羽口れんがのスポーリングによる損傷、特に
地金差しによるスポーリング損傷を抑制し、耐用性を向
上させる、精錬炉用カーボン含有れんが及び該れんがを
配設した精錬炉を提供する。 【解決手段】 精錬炉の底部に配設される、精錬炉用ガ
スの通過孔を有する羽口れんが及び該羽口れんがを囲む
羽口周囲れんが群のカーボン含有れんがであって、前記
羽口れんが及び羽口周囲れんが群のカーボン含有量を、
それぞれCt及びCbと表したとき、「100質量%>C
t>0質量%」及び「100質量%>Cb>0質量%」であ
り、かつ、下記の式(1)から求められるΔLが60以下
になるCt及びCbの組み合わせからなる精錬炉用カー
ボン含有れんが、及び、該れんがを炉底に配設した精錬
炉。 式(1):ΔL=−225.921+15.951Ct+0.905Cb−0.304Ct2+0.189Cb2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含Cr溶鉄製造,
普通鋼製造,ステンレス鋼製造などの精錬用転炉および
溶融還元炉等の、溶融金属中に炉の底部よりガスを吹き
込む「羽口れんが」とそれを囲む「羽口周囲れんが群」に係
る精錬炉用カーボン含有れんが、及び、該れんがを配設
してなる精錬炉に関する。
【0002】
【従来の技術】精錬用転炉等では、底部に精錬用のガス
吹き込み口を有する羽口れんがが用いられている。羽口
からは低温度のガスが吹き込まれるため、羽口れんが自
身及び/又は羽口周囲れんが群との間に大きな温度差が
生じやすい。また、ガスのバックアタックも生じるた
め、羽口れんがは大きく損傷しやすい。この問題に関連
して、従来から以下の技術が開示されている。
【0003】特開昭54−54904号公報には、「羽
口周囲れんがとして、炭素7〜35重量%を含み、マグ
ネシヤ又はマグネシアドロマイトを骨材に使用した、マ
グネシア・カーボン質又はマグネシアドロマイト・カー
ボン質不焼成れんがを用い、このれんがによるれんが積
みを有する製鋼用酸素吹錬容器」が開示されている。該
公報によれば、吹錬用羽口の周囲におけるれんが積みの
耐久性が増強される旨記載されている。
【0004】特開昭57−5811号公報には、「鱗状
黒鉛:5〜100重量%,常用の他の耐火物原料:95
〜0重量%配合し、有機結合剤を用いた上下吹き転炉用
耐火物」が開示されている。該公報によれば、この耐火
物を羽口及び羽口周辺の内張りに適用したところ、耐ス
ポーリング性が向上し、今まで以上の耐用性が得られる
旨記載されている。
【0005】特開平1−162714号公報には、「全
炭素含有量が5重量%以上10重量%以下で残部がMg
Oクリンカから成る、ピッチ変性フェノール樹脂結合不
焼成MgO−Cれんがを、炉壁および/または炉底の一
部または全部に内張りしたことを特徴とする高温用転
炉」が開示されている。該公報によれば、高温における
MgOとCとの反応を抑制しながら耐熱スポーリング性
を確保し、含Cr溶鋼による化学的侵食と、溶鋼中への
カーボンピックアップ防止を図り、転炉鉄皮の熱変形防
止を図ることができる旨記載されている。
【0006】特開平5−70819号公報には、「炉底
にガス吹き込み用羽口を有する転炉における炉底のワー
ク煉瓦張り構造において、電融マグネシアを含むマグネ
シアカーボン煉瓦による一層張り領域と、マグネシア源
が焼結マグネシアであるマグネシアカーボン煉瓦による
二層張り領域よりなり、前記一層張り領域が炉底外周端
部の少なくとも1箇所から他端部の少なくとも1箇所に
渡って連続して形成され、前記二層張り領域が複数の領
域に分割されていることを特徴とする転炉々底の煉瓦張
り構造」が開示されている。該公報によれば、羽口周辺
の煉瓦の損耗も抑えられると共に、炉底煉瓦の耐用期間
を大幅に延ばすことができる旨記載されている。
【0007】特開平7−82004号公報には、「黒鉛
3〜10重量%含有する長尺のマグネシア−カーボンれ
んがからなることを特徴とするステンレス製鋼転炉炉床
用耐火物」が開示されている。該公報によれば、長尺品
により横目地無しで炉床を厚く施工することができるよ
うになったため、目地近傍での損傷加速が回避でき、炉
床の耐用向上が可能になった旨記載されている。
【0008】特開平10−280027号公報には、
「精錬用ガスを吹き込む羽口ノズルと羽口ノズルを囲む
羽口煉瓦とからなる精錬用羽口において、羽口ノズルが
黒鉛パイプと、それに内挿された金属パイプと、前記黒
鉛パイプの外面側に設けられた長繊維強化断熱層体から
なる精錬用羽口」が開示されている。該公報によれば、
羽口の異常溶損がなくなり、周辺煉瓦の冷却も抑制さ
れ、羽口の損耗速度を低減でき、精錬炉の炉体寿命の延
長に寄与できる旨記載されている。
【0009】特開平11−209169号公報には、
「粒径が0.3mm以下の膨張黒鉛を15〜40重量
%,残部がマグネシアを主体とする耐火材料からなるマ
グネシア・カーボンれんがを、炉底の全部または一部に
使用したことを特徴とする転炉炉底部ライニング」が開
示されている。該公報によれば、耐食性を維持しつつ、
耐スポーリング性の大幅な向上が得られる旨記載されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のような開示があ
るにも関わらず、依然として、精錬炉用羽口れんがの耐
用が向上していない。そこで、本発明者等は、実炉にお
ける羽口れんがの損傷状況を仔細に検討し解析した結
果、特に、スポーリングによる損傷が大きく、スポーリ
ングによって、一気に稼動面から数10mmないし10
0mmを超える範囲で損傷が生じていることがわかっ
た。更に、羽口れんがと羽口周囲れんがとの間には、操
業中に溶鉄が侵入する地金差し現象があり、これが羽口
れんがのスポーリング損傷と関連することを見出した。
【0011】すなわち、れんが間に侵入した溶鉄は、操
業中に固まったり溶けたりする。また、一度地金差しが
起これば、引き続き溶鉄が侵入し、れんが間の隙間奥深
くに入っていくことになる。かくして、一種のクサビを
打ち込んだ状態になり、れんが強度を超えた負荷がれん
が間に加わり、容易に亀裂生成,れんが剥落といったス
ポーリングが起こることになる。上記事実から、羽口れ
んがと羽口周囲れんがとの間の隙間を小さくし、地金差
しが起こらないようにすることが重要であることがわか
った。一方、前記公報に開示されているいずれの技術に
よっても、地金差しによるスポーリング損傷を軽減でき
ないことがわかった。
【0012】本発明は、上記事情を鑑みて提案されたも
のであり、羽口れんがのスポーリングによる損傷、特に
地金差しによるスポーリング損傷を抑制し、耐用性を向
上させる、精錬炉用カーボン含有れんが及びこのれんが
を配設した精錬炉を提供することを目的にしている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下の手段を採用している。すなわち、本
発明に係る精錬炉用カーボン含有れんがは、『精錬炉の
底部に配設される、精錬炉用ガスの通過孔を有するカー
ボン含有の羽口れんが及び該羽口れんがを囲むカーボン
含有の羽口周囲れんが群のカーボン含有れんがであっ
て、前記羽口れんが及び羽口周囲れんが群のカーボン含
有量を、それぞれ“Ct”及び“Cb”と表したとき、
「100質量%>Ct>0質量%」及び「100質量%
>Cb>0質量%」であり、かつ、下記の式(1)から求
められる“ΔL”が60以下になる“Ct”及び“C
b”の組み合わせからなること』を特徴とする(請求項
1)。 式(1): ΔL=−225.921+15.951Ct+0.905Cb−0.304Ct2
+0.189Cb2
【0014】また、本発明に係る精錬炉用カーボン含有
れんがは、『前記精錬炉用カーボン含有れんがは、カー
ボン以外に、マグネシア,ドロマイト,カルシア,マグ
ネシア−クロミア,スピネルを単独で又は複数組み合わ
せて用い、その量はカーボンと併せて100質量%にな
るようにし、かつ、添加物として、Al,Mg,Al−
Mg,Si,Al−Si,B4C,BN,TiO2,Zr
2を単独または複数用い、該添加物を外掛けで0〜1
0質量%添加してなること』を特徴とする(請求項2)。
【0015】一方、本発明に係る精錬炉は、『上記請求
項1,2に記載の精錬炉用カーボン含有れんがを精錬炉
の底部に配設してなること』を特徴とする(請求項3)。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
するが、それに先立って、本発明について、更に詳細に
説明する。
【0017】本発明は、操業中に羽口れんがと羽口周囲
れんがとの間に生じる隙間を小さくし、地金差しが起こ
らないようにしたことに特徴がある。さらには、れんが
特性を考慮して、羽口れんがと羽口周囲れんがとの最適
な組み合わせを選択して、隙間を小さくすることを考え
た。まず、本発明者等は、地金差しが生じるための条件
を検討した。地金差しが起こるためには、れんが間の隙
間が一定の大きさ以上であることが必要であり、また、
溶鉄が侵入するためには、その部位の温度が高く溶鉄を
固化させないことが必要である。すなわち、隙間部の温
度と隙間寸法によって、地金差しが規定されると考えら
れた。
【0018】そこで、本発明者等は、解析的に推定し
た。静水圧と表面張力とのバランスだけを考慮した場
合、溶鉄が侵入する下限界の隙間寸法“d”は、以下の
式(2)で表される。 式(2):d=−(4σ cosθ)/(ρgh) [ここで、“σ”は溶鉄の表面張力,“θ”は溶鉄と耐
火物との接触角,“ρ”は溶鉄密度,“g”は重力加速
度,“h”は精錬炉内溶鉄高さである。]
【0019】上記式(2)において、“d”を小さくする
ような現実的で、かつ比較的厳しい数値を入れて計算す
ると、「d=20μm」になった。一方、実際の操業で
は、ガスによる上底吹きの精錬処理が行われるので、静
水圧の条件を設定するのは妥当ではない。そこで、本発
明者等は、実炉で地金差しが生じたケースの詳細解析お
よびれんが間に隙間を適当に設けた実験炉を用いた解析
により、限界の隙間寸法を設定できた。すなわち、隙間
寸法は60μm以下,望ましくは40μm以下,さらに
望ましくは20μm以下が好ましいことがわかった。
【0020】次に、隙間部温度の下限界を設定した。溶
鉄が隙間部に侵入し、隙間部で冷やされて凝固すると考
えると、隙間部の温度は鉄の固相線温度以上が必要であ
る。固相線温度は、溶鉄中のカーボン量によって異なっ
た値を示すが、カーボン含有れんがと接触すると、溶鉄
中には、れんが中のカーボンが速やかに溶解する。した
がって、カーボンが十分に含有されたときの固相線温度
1130℃が下限界温度になる。すなわち、隙間部温度
が1130℃以上のとき地金差しが生じ、逆に、113
0℃以下では、隙間寸法が大きくとも溶鉄は隙間奥深く
までは侵入しないと考えられる。さらに、当然である
が、溶鉄が炉内になければ、隙間がいくら開いていて
も、地金差しは生じない。
【0021】以上をまとめると、以下の〜を同時に
満たす条件が生じれば、地金差しが生じ、逆に、以下の
〜のいずれか1つでも満たさないとすれば、地金差
しは生じないと考えられる。 :60μmを超える隙間寸法。 :1130℃を超える隙間部温度。 :溶鉄が炉内に存在すること。
【0022】そこで、上記との条件、すなわち、溶
鉄が炉内に存在し、隙間部温度が1130℃を超えてい
るときの隙間寸法を見積もり、隙間寸法を60μm以下
にできる条件を検討することにした。検討に当たって
は、まず、コンピュータと市販のソフト(MSC社製の
「MSC.MARCソフト」)を用いて、有限要素法による解析を
行い、妥当な条件を設定したところで、実験炉,実炉を
用いた確認実験を行った。解析は、以下の1)〜5)の手
順,内容に依った。
【0023】1) 解析に用いるためのれんが特性値の設
定を行った。れんが特性値として、熱伝導率,比熱,密
度,熱膨張率,弾性率,ポアソン比,クリープ量等のデ
ータが挙げられる。しかし、本発明者等は鋭意検討した
結果、隙間寸法に大きく関与する特性値は、れんがの
“熱膨張率”と“熱伝導率”であることを確認した。さ
らには、カーボン含有のれんがでは、これら熱伝導率と
熱膨張率は、カーボンの含有量に関連付けられることも
わかった。すなわち、カーボン量によって、隙間寸法を
コントロールできることがわかった。
【0024】2) 羽口れんがと羽口周囲れんがとを解析
しやすい形にモデル化した。各製鉄所では、いろいろな
形状,大きさの羽口れんが及び羽口周囲れんがが適用さ
れている。そこで、形状,大きさが大きく異なるものを
数種選んで検討を行い、それぞれから得られる隙間寸法
についての結果を整理したところ、いずれの羽口れんが
及び羽口周囲れんがもカバーできる隙間寸法の条件を設
定できた。
【0025】3) 操業条件を設定し、解析に取り入れ
た。操業条件、特に、操業温度,精錬等の処理時間,出
鋼から次の出鋼までの時間,出鋼後の待機時間,羽口れ
んが内を通るガスの吹き込み量,ガス温度等,各製鉄所
により様々の操業条件が取られている。本発明者等は、
各製鉄所ごとの条件を取り入れて鋭意検討した結果、隙
間寸法の条件に大きくは影響しないことがわかり、本発
明が適用できた。
【0026】4) 羽口れんがには、単管羽口れんが,多
重管羽口れんが及び多管羽口れんががあるが、いずれも
同結果で整理できることがわかったので、いずれに適用
しても良い。なお、単管羽口れんが,多重管羽口れん
が,多管羽口れんがについては、後に図1の(a)〜(c)
を参照して詳細に説明するが、これらは、いずれも細管
の精錬炉用ガスの通過孔(精錬用ガス吹き孔)を有する
“カーボン含有羽口れんが”であり、本発明は、このい
ずれの“カーボン含有羽口れんが”にも当てはまること
がわかった。
【0027】5) 羽口周囲れんが群は、羽口れんがを中
心にしてその周囲を取り囲むれんがであり、後に図3の
(a)〜(c)を参照して説明するが、羽口れんがに直接接
するれんがだけでなく、さらに外側まで含めたれんが群
であり、炉底に配設されるれんが群である。
【0028】以上1)〜5)の手順,内容に基づき解析を
行い、その結果、『精錬炉の底部に設けられ、精錬炉用
ガスの通過孔を有するカーボン含有の「羽口れんが」と、
羽口れんがを囲むカーボン含有の「羽口周囲れんが群」に
関して、「羽口れんが」及び「羽口周囲れんが群」のカーボ
ン含有量をそれぞれ“Ct”及び“Cb”と表したと
き、「100質量%>Ct>0質量%」及び「100質
量%>Cb>0質量%」であって、以下の式(1)から求
められる“ΔL(μm単位の隙間寸法を表す)”が60以
下になる“Ct”及び“Cb”の組み合わせからなる精
錬炉用カーボン含有れんが』が得られた。 式(1): ΔL=−225.921+15.951Ct+0.905Cb−0.304Ct2
+0.189Cb2
【0029】ここで、ΔL(隙間寸法:μm単位)が60
μm以下で、式(1)を満たす“Ct:羽口れんがのカー
ボン量(質量%)”と“Cb:羽口周囲れんがのカーボン
量(質量%)”との組み合わせについて、図2を参照して
詳細に説明する。図2は、本発明の上記組み合わせを説
明するための図であって、わかりやすくするために「5
0質量%>Ct>0質量%」及び「50質量%>Cb>
0質量%」の範囲について図示しているが、本発明は、
この範囲に限定されるものではなく、「100質量%>
Ct>0質量%」及び「100質量%>Cb>0質量
%」の範囲であることは、前記した通りである。
【0030】図2から、ΔLが60μm以下で式(1)を
満たすCt,Cbの組み合わせは、図2の斜線領域であ
る。すなわち、本発明において、Ct,Cbの組み合わ
せを設定できる範囲は、この斜線領域である。また、図
2中の実線および破線は、羽口れんがと羽口周囲れんが
のカーボン量を適当に設定したときの間隙寸法を表す線
であり、実線:60μm、および、破線:40μm,20μ
m,10μm,5μmは、隙間寸法がそれぞれ“60μm,4
0μm,20μm,10μm,5μm”のときのCtおよびC
bの可能な組み合わせを図示している。
【0031】例えば、羽口周囲れんがのカーボン量(C
b)を“20質量%”に設定した場合、隙間寸法(ΔL)
を60μm以下にできる羽口れんがのカーボン量(Ct)
は、図2の一点鎖線で示した領域になる。すなわち、約
18.7質量%以下のカーボン量(Ct)および約34質
量%以上のカーボン量(Ct)が妥当な組み合わせにな
る。逆に、図2に示す斜線領域内で、羽口れんがのカー
ボン量(Ct)と羽口周囲れんがのカーボン量(Cb)とを
組み合わせれば、隙間寸法(ΔL)を推算できることにな
る。例えば、羽口周囲れんがのカーボン量(Cb)を“2
0質量%”とし、羽口れんがのカーボン量(Ct)を“1
2.5質量%”に設定すれば、隙間寸法(ΔL)は“約2
0μm”であることが推定できる。
【0032】なお、本発明に係る精錬炉用カーボン含有
れんがにおいて、隙間寸法(ΔL)は60μm以下であれ
ば良いので、図2に示した実線:60μm,破線:40μ
m,20μm,10μm,5μmに限定されるものではな
い。すなわち、図2に示す斜線領域内であれば、任意の
隙間寸法(ΔL)とすることができる。
【0033】以下に、本発明に係る「羽口れんが(カーボ
ン含有羽口れんが)」について、図1を参照して説明す
る。図1は、ガス通過パイプ3を有する羽口れんがであ
って、該羽口れんがを稼動面側から見た断面図である。
このうち、(a)は、単管羽口れんが1a(ガス通過パイ
プ3が単管からなるカーボン含有羽口れんが)、(b)
は、多重管羽口れんが1b(ガス通過パイプ3が同心円
の多重管からなるカーボン含有羽口れんが)、(c)は、
多管羽口れんが1c(ガス通過パイプ3の単管を複数配
列した多管からなるカーボン含有羽口れんが)の断面図
である。図1の(a)〜(c)は、上記したように、羽口れ
んがを稼動面側から見た断面図になっており、この断面
形状が稼動面から背面に向かってほぼ続いている。した
がって、断面によってその特徴を示すことができる。な
お、断面の外形は、図ではすべて正方形になっている
が、これらは長方形,円形のいずれでも良い。
【0034】図1の(a)〜(c)について更に説明する
と、図1(a)は、単管羽口れんが1aである。図中の符
号2は断熱層であり、これは、ガスによるれんが部分の
急冷却を抑制するために設けられるが、この断熱層3は
あっても無くても良い。図1(b)は、多重管羽口れんが
1bであり、複数のガス通過パイプ3が同心円を構成し
ている。ここでは3重管の例を示した。図1(c)は、多
管羽口れんが1cであり、ここでは、9個のガス通過パ
イプ3を整列して図示したが、個数,配列は任意に選ぶ
ことができる。
【0035】図1の(a)〜(c)において、ガス通過パイ
プ3としては、ステンレス管を用いることができる。な
お、図1(a)〜(c)中の符号4は、ガス通過孔である。
このガス通過孔4は、空洞であっても、あるいは、高通
気率を持つ耐火材料によって充填されていてもよい。
【0036】次に、本発明に係る羽口れんがと羽口周囲
れんが群によって築炉された精錬炉の炉底構造につい
て、図3を参照して説明する。図3は、羽口れんがと羽
口周囲れんが群によって築炉された精錬炉の炉底を説明
する図であって、このうち、図3(a)は、羽口周囲れん
が5を平行に並べた「平行積みの方法」によって築炉さ
れた炉底である。1個の羽口周囲れんが5は、図中の線
で囲まれた最小領域で表した。この図3(a)では、羽口
周囲れんが5を、一例として、炉底の中央部は横方向に
平行に並べ、図の上下部分は縦方向に平行に並べてい
る。また、4本の羽口れんが1が設置されている。な
お、羽口周囲れんが5において、これら縦と横の位置関
係は逆であっても良いし、また、羽口れんが1の設置位
置や本数も任意に選べる。図3(b)は、羽口周囲れんが
5を「真円巻きの方法」によって築炉された炉底であ
る。図では、羽口れんが1は中央に1本ある。羽口れん
が1の設置位置は、中央部以外に任意に選べる。例え
ば、円の中心を通る直線上に並べることもできる。図3
(c)は、羽口周囲れんが5を「網代(アジロ)積みの方
法」によって築炉された炉底である。図では、2本の羽
口れんが1が設置されているが、任意の位置に設置でき
る。
【0037】本発明において、上記図3の(a)〜(c)の
3種類の築炉方法を互いに組み合わせて用いることもで
きる。例えば、炉底中央部は「平行積みの方法」でれん
が(羽口周囲れんが5)を並べ、外周部を「真円巻きの方
法」で巻くこともできる。
【0038】本発明に係る精錬炉用カーボン含有れんが
は、定法により作製できる。すなわち、カーボン以外
に、マグネシア,ドロマイト,カルシア,マグネシア−
クロミア,スピネルを単独でまたは複数組み合わせて、
カーボンと併せて100質量%になるようにし、また、
添加物として、Al,Mg,Al−Mg,Si,Al−
Si,B4C,BN,TiO2,ZrB2を単独または複
数用い、外掛けで0〜10%添加した配合物を適当量の
バインダーを用いて混練し、成形後300℃以下のベー
キング処理を行い、製品とすることができる。ここで、
添加物の量が外掛けで10質量%を超えると、添加物の
影響によりれんがの熱膨張率が大きくなり、隙間寸法を
式(1)のごとく設定できないばかりでなく、式(1)から
求められる隙間寸法を超え、容易に地金差しによるスポ
ーリングが生じ、望ましくないことがわかった。
【0039】以上の解析結果から、数点の羽口れんがと
羽口周囲れんが群との組み合わせを選び、実験炉及び実
炉で確認テストを行った。その結果、隙間寸法“ΔL”
を60μm以下にする式(1)の羽口れんが及び羽口周囲
れんがのカーボン量は、妥当な結果を与えることが確認
できた。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施例(本発明品1〜30)を
比較例(比較品1〜30)と共に挙げ、本発明に係る精錬
炉用カーボンれんが(羽口れんが及び羽口周囲れんが)、
該れんがを炉底に配設した精錬炉について、具体的に説
明する。
【0041】<実施例(本発明品1〜30),比較例(比
較品1〜30)>本発明による羽口れんが及び羽口周囲
れんが、該れんがを炉底に配設した精錬炉の実施例であ
る本発明品1〜15を表1に、同本発明品16〜30を
表2に示す。また、比較例である比較品1〜15を表3
に、同比較品16〜30を表4に示す。なお、羽口れん
がの構造は前記図1の(a)〜(c)、炉底構造は前記図3
の(a)〜(c)のいずれかであり、それぞれ表中に示し
た。
【0042】表1〜4中、「地金差し浸透量」は、使用後
の羽口れんがと羽口周囲れんがとの間に認められた“地
金の浸透深さ(mm)を示す量”である。また、「羽口ラ
イフ」は、使用回数(チャージ数)で羽口の損傷量(損傷長
さ)を割った値(mm/ch)を求め、表4中の比較品2
2を“1”にしたときの、それぞれの羽口ライフの程度
を指数化した値(耐用指数)である。この耐用指数の数字
が大きいほど良好であることを示し、例えば、指数が
“2”であるとすると、比較品22に比べ“2倍”の耐
用を示したことを表す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表1および表2から、本発明で特定する
「式(1)から求められるΔLが“60μm以下”になる
CtとCbとの組み合わせ」の範囲内である本発明品1
〜30は、地金差し浸透量が“0”であって、地金差し
によるスポーリング損傷が発生せず、比較品22に比べ
“2倍以上”の耐用を示した。これに対して、表3およ
び表4から、本発明で特定する上記範囲外の比較品1〜
30では、いずれも地金差しによるスポーリング損傷が
生じ、れんがの耐用に劣るものであった。
【0048】
【発明の効果】以上詳記したとおり、精錬炉用のカーボ
ン含有れんがに関して、羽口れんがに適用できるカーボ
ン量と羽口周囲れんが群に適用できるカーボン量には、
最適な組み合わせがあり、本発明は、その組み合わせを
定量的に示したことを特徴とする。すなわち、本発明
は、「式(1)から求められるΔLが“60μm以下”に
なるCtとCbとの組み合わせ」を特徴とし、これによ
り、羽口れんがと羽口周囲れんが群との間の隙間を小さ
く設定することができ、その結果として、隙間への地金
差しによるスポーリング損傷は生じなくなり、羽口れん
がの耐用が大幅に向上する。さらに、羽口れんがの耐用
が大幅に向上することにより、補修頻度の減少,羽口交
換の減少を実現することができ、それに伴う精錬の稼働
率向上に寄与できるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス通過パイプを有する羽口れんがを稼動面側
から見た断面図であって、このうち、(a)は単管羽口れ
んが、(b)は多重管羽口れんが、(c)は多管羽口れんが
の断面図である。
【図2】本発明の「式(1)から求められる“ΔL”が6
0μm以下になるCtとCbとの組み合わせ」を説明す
る図である。
【図3】羽口れんがと羽口周囲れんが群によって築炉さ
れた炉底を説明する図であって、このうち、(a)は羽口
周囲れんがを平行に並べた「平行積みの方法」によっ
て、(b)は同れんがを「真円巻きの方法」によって、
(c)は同れんがを「網代(アジロ)積みの方法」によっ
て、それぞれ築炉された炉底を示す図である。
【符号の説明】
1 羽口れんが(カーボン含有羽口れんが) 1a 単管羽口れんが 1b 多重管羽口れんが 1c 多管羽口れんが 2 断熱層 3 ガス通過パイプ 4 ガス通過孔 5 羽口周囲れんが
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA16 AA22 AA36 AA46 AA50 AA54 AA60 AA62 AA63 AA64 BA27 GA14 GA19 GA27 HA10 4K051 AA02 AB05 BB02 BB07 BE03 4K070 AA01 AA02 AA03 AA04 AA08 AB09 AB10 BA06 BA07 CC01 CC03 CG06 EA30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精錬炉の底部に配設される、精錬炉用ガ
    スの通過孔を有するカーボン含有の羽口れんが及び該羽
    口れんがを囲むカーボン含有の羽口周囲れんが群のカー
    ボン含有れんがであって、 前記羽口れんが及び羽口周囲れんが群のカーボン含有量
    を、それぞれ“Ct”及び“Cb”と表したとき、10
    0質量%>Ct>0質量%及び100質量%>Cb>0
    質量%であり、かつ、下記の式(1)から求められる“Δ
    L”が60以下になる“Ct”及び“Cb”の組み合わ
    せからなることを特徴とする精錬炉用カーボン含有れん
    が。 式(1): ΔL=−225.921+15.951Ct+0.905Cb−0.304Ct2
    +0.189Cb2
  2. 【請求項2】 前記精錬炉用カーボン含有れんがは、カ
    ーボン以外に、マグネシア,ドロマイト,カルシア,マ
    グネシア−クロミア,スピネルを単独で又は複数組み合
    わせて用い、その量はカーボンと併せて100質量%に
    なるようにし、かつ、添加物として、Al,Mg,Al
    −Mg,Si,Al−Si,B4C,BN,TiO2,Z
    rB2を単独または複数用い、該添加物を外掛けで0〜
    10質量%添加してなることを特徴とする請求項1に記
    載の精錬炉用カーボン含有れんが。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の精錬炉
    用カーボン含有れんがを精錬炉の底部に配設してなるこ
    とを特徴とする精錬炉。
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