JP2003256756A - 作業空間診断方法及び作業空間診断装置 - Google Patents

作業空間診断方法及び作業空間診断装置

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JP2003256756A
JP2003256756A JP2002059087A JP2002059087A JP2003256756A JP 2003256756 A JP2003256756 A JP 2003256756A JP 2002059087 A JP2002059087 A JP 2002059087A JP 2002059087 A JP2002059087 A JP 2002059087A JP 2003256756 A JP2003256756 A JP 2003256756A
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JP2002059087A
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Masaru Hotehama
勝 保手浜
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易に現在の作業空間に対する身体負担を評
価し、その身体負担を解消或いは軽減可能な改善提案が
可能な作業空間診断方法及び装置を提供する。 【解決手段】 作業空間に関する空間データを受け付け
る空間データ入力手段3と、使用者の身体データを受け
付ける身体データ入力手段4と、空間データに基づいて
コンピュータ仮想空間上に作業空間を形成する作業空間
形成手段6と、作業空間の形成されたコンピュータ仮想
空間上において、身体データによって規定されるコンピ
ュータマネキンを、予めモデル化された行動パターンに
従って行動させる行動生成手段2と、行動生成手段2が
生成したコンピュータマネキンの行動に基づいて作業空
間の評価値及び総合評価値を夫々計算する評価値導出手
段7と総合評価値導出手段8と、診断対象の作業空間と
少なくとも1つの提案作業空間に対する評価値または総
合評価値を出力する出力手段9とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業空間の評価及
びその評価に基づく作業空間の改善提案をコンピュータ
処理によって行う作業空間診断方法及び作業空間診断装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】普段使用している台所等の既存の作業空
間において所定の作業(調理等)を行う際に、気が付か
ないか或いは軽微なので我慢している身体負担が発生し
ている場合がある。これらの身体負担の内、作業空間の
レイアウト変更や使用機器の変更等により改善される場
合があるが、具体的に身体負担を認識して改善点を把握
し改善策を見つけることや、その改善策に対する改善効
果を事前に客観的に把握することについて、具体的な手
法やそれを支援する技術は確立されていなかった。従っ
て、作業空間の使用者が身体負担を認識していたとして
もその作業空間に対する改善提案を簡易に取得できる手
段はなかった。
【0003】尚、住居のリフォーム時に建築設計士等が
依頼者の現状の不満点などを聞き取り調査してリフォー
ム設計の参考とする場合があるが、実際に依頼者の身体
負担を測定できたとしても、リフォーム後における身体
負担の軽減度合いを事前に把握するのは極めて困難であ
った。従って、リフォーム後においても同じ身体負担が
残っていたり、新たな身体負担が発生する虞もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題
点を解消すべく、簡易に現在の作業空間に対する身体負
担を評価し、更に、その身体負担を解消或いは軽減可能
な改善提案が可能な作業空間診断方法並びに作業空間診
断装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明に係る作業空間診断方法の第一の特徴構成は、
特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、診断対
象の作業空間の寸法及び設備に関する空間データを受け
付ける第1空間データ入力工程と、前記作業空間を使用
する使用者の身体データを受け付ける身体データ入力工
程と、前記第1空間データ入力工程で入力された空間デ
ータに基づいてコンピュータ仮想空間上に前記診断対象
の作業空間を形成する第1作業空間形成工程と、前記第
1作業空間形成工程で形成されたコンピュータ仮想空間
上において、前記身体データ入力工程で入力された身体
データによって規定されるコンピュータマネキンを、予
めモデル化された行動パターンに従って行動させる第1
行動生成工程と、所定の評価項目について、前記第1行
動生成工程によって導出されたコンピュータマネキンの
行動に基づいて評価値を計算する第1評価値導出工程
と、前記第1評価値導出工程で計算された評価値に基づ
いて修正された前記空間データを受け付ける第2空間デ
ータ入力工程と、前記第2空間データ入力工程で入力さ
れた空間データに基づいてコンピュータ仮想空間上に提
案作業空間を形成する第2作業空間形成工程と、前記第
2作業空間形成工程で形成されたコンピュータ仮想空間
上において、前記コンピュータマネキンを、前記行動パ
ターンに従って行動させる第2行動生成工程と、前記所
定の評価項目について、前記第2行動生成工程によって
導出されたコンピュータマネキンの行動に基づいて前記
評価値を計算する第2評価値導出工程と、前記第1評価
値導出工程及び少なくとも1回の前記第2評価値導出工
程で夫々計算された前記診断対象の作業空間と少なくと
も1通りの前記提案作業空間についての前記評価値を含
む出力データを出力する出力工程と、を有している点に
ある。
【0006】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加え
て、前記第1評価値導出工程で計算された評価値に基づ
いて所定の総合評価項目における総合評価値を計算する
第1総合評価値導出工程と、前記第2評価値導出工程で
計算された評価値に基づいて前記総合評価値を計算する
第2総合評価値導出工程とを有し、前記出力工程におい
て、前記出力データの一部または全部に代えて、或い
は、前記出力データに追加して、前記第1総合評価値導
出工程及び少なくとも1回の前記第2総合評価値導出工
程で夫々計算された前記診断対象の作業空間と少なくと
も1通りの前記提案作業空間についての前記総合評価値
を含む第2出力データを出力する点にある。
【0007】同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項3に記載した如く、上記第二の特徴構成に加え
て、前記総合評価項目として、前記作業空間における前
記使用者の、快適性、使い易さ、作業効率、安全性の少
なくとも一つを含み、前記評価項目として、コンピュー
タマネキンの姿勢、関節角度、視野、到達度、作業時
間、移動距離、消費エネルギ、衝突回数、血圧変動、心
拍変動の内の前記総合評価値を計算可能な項目が含まれ
る点にある。
【0008】同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項4に記載した如く、上記第一、第二及び第三の
特徴構成に加えて、前記所定の評価項目として、少なく
とも前記コンピュータマネキンの作業時間が含まれ、前
記第1行動生成工程及び前記第2行動生成工程におい
て、前記行動パターンを規定する行為コマンドの時系列
データと、前記時系列データで特定される動作における
前記行為コマンドで特定される動作の動作時間情報と無
関係に決定される前記コンピュータマネキンの所定人体
部位の変位情報を入力する初期入力ステップと、前記時
系列データと前記変位情報に基づいて、前記各行為コマ
ンドに所定のPTS法で規定された要素動作を割り付け
るPTS適用ステップと、前記PTS適用ステップで割
り付けた要素動作で決定される所要時間値またはその所
要時間値の組み合わせから前記行為コマンドで特定され
る動作の動作時間情報を導出する動作時間情報導出ステ
ップと、を夫々実行し、前記第1評価値導出工程におい
て、前記第1行動生成工程で導出された前記動作時間情
報に基づいて前記作業時間を導出し、前記第2評価値導
出工程において、前記第2行動生成工程で導出された前
記動作時間情報に基づいて前記作業時間を導出する点に
ある。
【0009】ここで、PTSとは、Predeterm
ined Time Standardの略称であり、
人間の行う一連の作業をPTS法で規定される要素動作
の組み合わせで構成し、予めPTS法で定められた時間
標準の値を用いて各要素動作の時間値を定め、これを集
計することによって一連の作業に要する時間を客観的に
求める手法の総称である。PTS法としては、要素動作
の種類や個数、各要素動作の時間値の時間決定因子や時
間標準の違いによって、種々のものが提案されており、
代表的なものとして、MODAPTS法、MTM−II
法、MSD法、MTA法、BMT法、MTM法、WF法
等がある。
【0010】同第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項5に記載した如く、上記第一乃至第四の何れか
の特徴構成に加えて、前記所定の評価項目として、少な
くとも前記コンピュータマネキンの血圧変動と心拍変動
の何れか一方が含まれ、前記第1行動生成工程及び前記
第2行動生成工程において、前記行動パターンを規定す
る行為コマンドで特定される各動作の動作時間情報を算
出する動作時間算出工程を実行し、前記第1評価値導出
工程及び前記第2評価値導出工程において前記血圧変動
と前記心拍変動の少なくとも何れか一方を導出する際
に、前記行為コマンドで特定される各動作の運動強度指
標を導出する運動強度特定工程と、前記動作時間算出工
程で算出された前記動作時間情報と、前記運動強度特定
工程で特定された運動強度指標を少なくとも入力データ
として、前記行為コマンドで特定される動作に伴う血圧
及び心拍数の少なくとも何れか一方を時系列に沿って算
出する心臓循環器系変動算出工程と、を実行する点にあ
る。
【0011】同第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項6に記載した如く、上記第一乃至第五の何れか
の特徴構成に加えて、前記第1空間データ入力工程にお
いて、前記空間データの一部または全部を、前記身体デ
ータ入力工程において、前記身体データの一部または全
部を、所定の通信ネットワークを介して、診断依頼者の
コンピュータ端末より受け付け、前記出力工程において
前記出力データを、前記通信ネットワークを介して、前
記診断依頼者のコンピュータ端末に送信する点にある。
【0012】同第七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項7に記載した如く、上記第一乃至第六の何れか
の特徴構成に加えて、前記診断対象の作業空間から前記
提案作業空間への変更に要する費用見積額を受け付ける
費用見積入力工程を有し、前記出力データに前記費用見
積入力工程で受け付けた前記費用見積額が含まれる点に
ある。
【0013】同第八の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項8に記載した如く、上記第七の特徴構成に加え
て、前記第1空間データ入力工程において受け付ける前
記空間データに前記費用見積額の上限が含まれる点にあ
る。
【0014】同第九の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項9に記載した如く、上記第七または第八の特徴
構成に加えて、前記診断対象の作業空間から前記提案作
業空間への変更内容を予め類型化し、各類型に係る施工
費をデータベース化した費用データベースを用いて前記
費用見積額を計算する費用見積額計算工程を有し、前記
費用見積額計算工程で計算された前記費用見積額が前記
費用見積入力工程で受け付けられる点にある。
【0015】同第十の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項10に記載した如く、上記第一乃至第九の何れ
かの特徴構成に加えて、前記診断対象の作業空間から前
記提案作業空間への変更に伴い、前記作業空間内で使用
される機器を別の機器に変更する場合に、前記出力デー
タに変更に係る前記機器の特定と前記別の機器の紹介デ
ータが含まれる点にある。
【0016】本発明に係る作業空間診断装置の第一の特
徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項11に記載した
如く、診断対象の作業空間の寸法及び設備に関する空間
データと提案作業空間の寸法及び設備に関する空間デー
タを受け付ける空間データ入力手段と、前記作業空間を
使用する使用者の身体データを受け付ける身体データ入
力手段と、前記空間データ入力手段が受け付けた空間デ
ータに基づいてコンピュータ仮想空間上に前記診断対象
の作業空間と前記提案作業空間を各別に形成する作業空
間形成手段と、前記作業空間形成手段が形成したコンピ
ュータ仮想空間上において、前記身体データ入力手段が
受け付けた身体データによって規定されるコンピュータ
マネキンを、予めモデル化された行動パターンに従って
行動させる行動生成手段と、所定の評価項目について、
前記行動生成手段が生成したコンピュータマネキンの行
動に基づいて評価値を計算する評価値導出手段と、前記
評価値導出手段が計算した評価値に基づいて所定の総合
評価項目における総合評価値を計算する総合評価値導出
手段と、前記評価値導出手段が夫々計算した前記診断対
象の作業空間と少なくとも1通りの前記提案作業空間に
ついての前記評価値を含む出力データと、前記総合評価
値導出手段が夫々計算した前記診断対象の作業空間と少
なくとも1通りの前記提案作業空間についての前記総合
評価値を含む出力データの少なくとも何れか一方の出力
データを出力する出力手段と、を有している点にある。
【0017】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項12に記載した如く、上記第一の特徴構成に加
えて、前記行動生成手段が前記行動パターンを規定する
行為コマンドで特定される各動作の動作時間情報を算出
する動作時間算出手段を備え、前記動作時間算出手段
が、前記行為コマンドの時系列データと、前記時系列デ
ータで特定される動作における前記行為コマンドで特定
される動作の動作時間情報と無関係に決定される前記コ
ンピュータマネキンの所定人体部位の変位情報を入力す
る初期入力部と、前記時系列データと前記変位情報に基
づいて、前記各行為コマンドに所定のPTS法で規定さ
れた要素動作を割り付けるPTS適用部と、前記PTS
適用部が割り付けた要素動作で決定される所要時間値ま
たはその所要時間値の組み合わせから前記行為コマンド
で特定される動作の動作時間情報を導出する動作時間情
報導出部とを備えて構成される点にある。
【0018】同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項13に記載した如く、上記第一または第二の特
徴構成に加えて、前記行動生成手段が、前記行動パター
ンを規定する行為コマンドで特定される各動作の動作時
間情報を算出する動作時間算出手段を備え、前記評価値
導出手段が、前記行為コマンドで特定される各動作の運
動強度指標を導出する運動強度特定手段と、前記動作時
間算出手段が算出した前記動作時間情報と、前記運動強
度特定手段が特定した運動強度指標を少なくとも入力デ
ータとして、前記行為コマンドで特定される動作に伴う
血圧及び心拍数の少なくとも何れか一方を時系列に沿っ
て算出する心臓循環器系モデルと、を備えている点にあ
る。
【0019】同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項14に記載した如く、上記第一、第二及び第三
の特徴構成に加えて、前記空間データ入力手段が前記空
間データの一部または全部を、所定の通信ネットワーク
を介して、診断依頼者のコンピュータ端末から受信可能
に構成され、前記身体データ入力手段が、前記身体デー
タの一部または全部を、前記通信ネットワークを介し
て、前記診断依頼者のコンピュータ端末から受信可能に
構成され、前記出力手段が前記出力データを、前記通信
ネットワークを介して、前記診断依頼者のコンピュータ
端末に送信可能に構成されている点にある。
【0020】同第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項15に記載した如く、上記第一乃至第四の何れ
かの特徴構成に加えて、前記診断対象の作業空間から前
記提案作業空間への変更に要する費用見積額を受け付け
る費用見積入力手段を備え、前記出力データに前記費用
見積入力手段が受け付けた前記費用見積額が含まれる点
にある。
【0021】同第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項16に記載した如く、上記第五の特徴構成に加
えて、前記診断対象の作業空間から前記提案作業空間へ
の変更内容を予め類型化し、各類型に係る施工費をデー
タベース化した費用データベースと、前記費用データベ
ースを用いて前記費用見積額を計算する費用見積額計算
手段とを備え、前記費用見積入力手段は前記費用見積額
計算手段が計算した前記費用見積額を受け付け可能に構
成されている点にある。
【0022】以下に上記特徴構成の作用並びに効果を説
明する。本発明に係る作業空間診断方法の第一の特徴構
成によれば、第1空間データ入力工程で受け付けた診断
対象の作業空間に関する空間データに基づいて第1作業
空間形成工程において診断対象の作業空間をコンピュー
タ仮想空間上に形成することができる。更に、身体デー
タ入力工程で受け付けた身体データに基づいて、第1行
動生成工程及び第2行動生成工程で行動生成されるコン
ピュータマネキンの属性が決定される。従って、第1作
業空間形成工程で形成されたコンピュータ仮想空間上の
診断対象の作業空間における使用者を模擬したコンピュ
ータマネキンの行動が第1行動生成工程によって生成さ
れるので、第1評価値導出工程において、その行動に基
づいて所定の評価項目に対する診断対象の作業空間と使
用者の関係における評価値が計算される。その結果、評
価者は、評価値に基づいて具体的に使用者に如何なる身
体負担が発生しているかを客観的に認識でき、且つ、そ
の評価値から作業空間のどの部分がその身体負担に影響
を与えているかを把握できるので、作業空間の改善提案
を具体的且つ容易に実行できる。
【0023】更に、評価者が第1評価値導出工程で計算
された評価値に基づいて提案作業空間を設計すると、そ
の設計データによって第1空間データ入力工程で受け付
けた診断対象の作業空間に関する空間データが修正さ
れ、第2空間データ入力工程で受け付けられ、第2作業
空間形成工程において、新たな提案作業空間がコンピュ
ータ仮想空間上に形成される。従って、第2作業空間形
成工程で形成されたコンピュータ仮想空間上の提案作業
空間における使用者を模擬したコンピュータマネキンの
行動が第2行動生成工程によって生成されるので、第2
評価値導出工程において、その行動に基づいて同じ評価
項目に対する提案作業空間と使用者の関係における評価
値が計算される。その結果、評価者は、提案作業空間に
おいて現状の作業空間での身体負担が解消或いは軽減さ
れ、作業空間の改善がなされているか、更に、当該改善
提案によって新たな身体負荷が発生することが無いかを
具に確認することができる。つまり、評価者は提案作業
空間の評価を即座に受け取るので、必要に応じて提案作
業空間の設計を繰り返し、第2空間データ入力工程と第
2作業空間形成工程と第2行動生成工程と第2評価値導
出工程を実行させることにより、最適な提案作業空間を
簡単且つ迅速に設計することができる。
【0024】更に、出力工程において、現状の作業空間
と提案された作業空間の夫々の評価値が出力されるの
で、作業空間の使用者或いは診断依頼者は提案作業空間
においてどの程度の改善効果があるかを客観的に認識す
ることができ、その提案を受諾するかの否かの判断が容
易となる。また、提案作業空間が複数ある場合において
も、その比較が容易にできる。
【0025】ところで、評価項目が評価者にとって有意
義なものであっても、評価項目の一部または全部が専門
的であったり過度に詳細な内容である場合に、その評価
値が作業空間の使用者或いは診断依頼者にとって改善効
果の把握に直接役立たない場合があり得る。上記作業空
間診断方法の第二の特徴構成によれば、かかる場合にお
いても、作業空間についての総合的な評価が可能な総合
評価項目についての総合評価値が、診断対象の作業空間
と少なくとも1通りの提案作業空間について計算され、
出力工程で出力されるので、作業空間の使用者或いは診
断依頼者は提案作業空間においてどの程度の改善効果が
あるかをより良く客観的に認識することができ、その提
案を受諾するかの否かの判断が更に容易となる。また、
提案作業空間が複数ある場合においても、その比較が更
に容易にできる。
【0026】上記作業空間診断方法の第三の特徴構成に
よれば、一般の作業空間の使用者や診断依頼者にとって
現状の作業空間や提案作業空間に対する評価の容易な快
適性、使い易さ、作業効率、安全性の4つの総合評価項
目を任意の組み合わせで用いることができる。つまり、
かかる4つの総合評価項目の内の特定の項目に注目して
診断する場合には、当該総合評価項目を選択すれば良
く、また、より総合的な診断を望む場合には4つの総合
評価項目の全部を選択すれば良い。また、前記評価項目
としてコンピュータマネキンの姿勢と関節角度の少なく
とも何れか一方が含まれると、快適性の総合評価値を求
めることができ、前記評価項目としてコンピュータマネ
キンの視野と到達度の少なくとも何れか一方が含まれる
と、使い易さの総合評価値を求めることができ、前記評
価項目としてコンピュータマネキンの作業時間、移動距
離、消費エネルギの少なくとも何れか一つが含まれる
と、作業効率の総合評価値を求めることができ、前記評
価項目としてコンピュータマネキンの衝突回数、血圧変
動、心拍変動の少なくとも何れか一つが含まれると、安
全性の総合評価値を求めることができる。ここで、到達
度とは、コンピュータマネキンを予めモデル化された行
動パターンに従って行動させたときに、目的物にコンピ
ュータマネキンの手などの人体部位が到達できたか否か
の指標である。例えば、吊り戸棚の把手の位置が高すぎ
て背の低い人の手が届かない場合等の評価が可能とな
る。また、衝突回数とは、コンピュータマネキンを予め
モデル化された行動パターンに従って行動させたときに
発生するコンピュータマネキンの人体部位と作業空間内
の物体との衝突であって、当該行動パターンにおいて意
図していない衝突の回数である。
【0027】上記作業空間診断方法の第四の特徴構成に
よれば、作業空間の評価項目としてコンピュータマネキ
ンの作業時間の評価値(作業にかかる動作時間や動作速
度)が第1評価値導出工程及び第2評価値導出工程で計
算されるため、診断対象の作業空間及び提案作業空間を
使用者の作業時間の観点、即ち作業効率の観点から評価
することが可能となる。
【0028】また、作業時間の評価値計算の基礎となる
動作時間情報を導出する第1行動生成工程及び第2行動
生成工程のPTS適用ステップにおいて、コンピュータ
マネキンの一連の動作を定義する行為コマンドの時系列
データの各行為コマンドが、一旦PTS法で規定された
要素動作に置き換えられるため、当該PTS法固有の時
間決定手法で規定される各要素動作の所要時間値から、
各行為コマンドの動作時間情報(動作時間や動作速度)
が客観的に求まり、その動作時間情報を用いることで、
人手で各行為コマンドの動作時間情報(動作時間や動作
速度)を入力せずとも、コンピュータマネキンの動作を
コンピュータ仮想空間上で可視化する際の動作時間或い
は動作スピードとしてPTS法で客観的に定まる値を使
用して実現することができる。この結果、人手による各
行為コマンドの動作時間情報入力に起因する問題点、つ
まり、入力値にバラツキが生じたり、入力値が実際に人
間が行動する時間を正当に評価しないなどの問題が解消
される。
【0029】ここで、PTS法では、各要素動作の所要
時間値を決定するに、適用するPTS法で予め規定され
た客観的な時間決定基準が存在するため、第1動作時間
情報導出ステップ及び第2動作時間情報導出ステップに
おいて、対応する行為コマンド及び変位情報から当該時
間決定基準に適合するものを抽出して、各所要時間値を
求めることができる。
【0030】上記作業空間診断方法の第五の特徴構成に
よれば、作業空間の評価項目としてコンピュータマネキ
ンの血圧変動と心拍変動の何れか一方の評価値(作業に
かかる血圧変動や心拍変動)が第1評価値導出工程及び
第2評価値導出工程で計算されるため、診断対象の作業
空間及び提案作業空間を使用者の心臓循環系の身体負荷
の観点、即ち安全性の観点から評価することが可能とな
る。
【0031】また、動作時間算出工程においてコンピュ
ータマネキンの一連の動作を定義する行為コマンドの時
系列データの各行為コマンドに対応した各動作の動作時
間情報(作業にかかる動作時間や動作速度)が、人手で
入力せずとも一定の算出基準に則って客観的且つ自動的
に算出され、運動強度特定工程において各行為コマンド
で対応した各動作の運動強度指標が導出され、心臓循環
器系変動算出工程において、これら動作時間情報と運動
強度指標が入力データとして受け付けられることから、
運動強度指標の時系列データ、つまり、運動強度指標の
時間的変化を得ることができ、当該運動強度指標の時間
的変化に基づいて血圧及び心拍数の少なくとも何れか一
方を時系列に沿って算出することができる。ここで、運
動強度指標は、RMR(Relative Metab
olic Rate、エネルギ代謝率)やMETS(M
etabolic Equivalent、代謝当量)
等の運動強度を表す指標であり、RMRやMETSは運
動に伴う酸素摂取量の変化によって表すことができる。
従って、本願発明者は心臓循環器系変動算出工程で用い
る適当な心臓循環器系モデルを設定することで、運動強
度指標の時系列データに基づいて血圧及び心拍数の時系
列に沿った計算が可能と判断し、時系列で組み合わされ
る各行為コマンドに対して動作時間情報と運動強度指標
を求めれば運動強度指標の時系列データが得られるの
で、これらを心臓循環器系モデルに入力することで行動
生成システムに対してコンピュータマネキンの動作に伴
う心臓負担評価が実行できる構成としたものである。以
上の結果、コンピュータマネキンを用いた作業空間診断
時の行動シミュレーションにおいて、寸法適合性や関節
トルク評価等に加えて、高齢者の負担評価等に重要な血
圧・心拍の変動も予測可能となる。これにより、例えば
立ち眩み等の危険予知が可能となり、作業者と作業空間
の適合性評価、特に安全性評価の精度が向上する。
【0032】上記作業空間診断方法の第六の特徴構成に
よれば、診断依頼者は評価者と直接対面することなく、
作業空間の診断結果とその改善提案を通信ネットワーク
を介して受け取ることができる。従って、手軽に作業空
間の診断を依頼できる環境が整備されることから、当該
依頼が増え、作業空間の改善に係るリフォーム依頼や機
器の取り替え需要の増加が期待できる。また、診断依頼
者とリフォーム業者や機器メーカとの間の仲介を行うこ
とで仲介料収入が期待できるというビジネスモデルも構
築される。
【0033】上記作業空間診断方法の第七の特徴構成に
よれば、出力工程において、診断対象の作業空間から提
案作業空間への変更に要する費用見積額が出力データと
して出力されるので、作業空間の使用者或いは診断依頼
者は提案作業空間においてどの程度の改善効果があるか
を改善費用との対比において客観的に認識することがで
き、その提案を受諾するかの否かの判断がより容易とな
る。また、提案作業空間が複数ある場合においても、そ
の比較が容易にできる。
【0034】上記作業空間診断方法の第八の特徴構成に
よれば、評価者は第2空間データ入力工程で受け付けら
れる空間データの提案作業空間を設計するにあたり、予
め作業空間の変更にかかる費用の上限を念頭においた改
善提案が可能となるので、不必要に高額の提案作業空間
の設計を行うことが未然に防止される。また、このよう
にして設計された提案作業空間は、診断依頼者にとって
実現可能なものとして受け入れられ易くなるので、作業
空間の改善に係るリフォーム依頼や機器の取り替え需要
の増加が期待できる。また、診断依頼者とリフォーム業
者や機器メーカとの間の仲介を行うことで仲介料収入が
期待できるというビジネスモデルも構築される。
【0035】上記作業空間診断方法の第九の特徴構成に
よれば、評価者の恣意に左右されない客観的な費用見積
額が費用見積額計算工程で計算される。また、評価者は
費用見積に要する時間を節約できるので、第1空間デー
タ入力工程から出力工程に至る処理時間の短縮が図れ、
診断依頼者は早期に診断結果及び改善提案を受け取るこ
とができる。また、費用見積額が評価者の恣意に左右さ
れないので、評価者が違っても費用見積額に差異が生じ
ることもなく統一的な処理が図れる。また、提案作業空
間が複数ある場合において、各提案作業空間に対する費
用見積額が同一基準に基づいて統一的に計算されている
ことから、提案作業空間相互間の費用見積額の相対的な
対比における精度の向上が図れる。
【0036】上記作業空間診断方法の第十の特徴構成に
よれば、診断依頼者に提供される出力データに変更に伴
い導入される機器の紹介データが含まれるので、提案作
業空間による改善提案に機器の変更が伴うか否かが分か
り、診断依頼者は当該紹介データを参考にして提案作業
空間に対する評価を行うことができる。また、予め導入
機器の情報が与えれらることで、実際のリフォーム作業
に入ってから機種変更等の作業が発生するのを防止或い
は軽減できる。
【0037】本発明に係る作業空間診断装置の第一の特
徴構成によれば、上記第一の特徴構成の作業空間診断方
法における、第1空間データ入力工程と第2空間データ
入力工程、身体データ入力工程、第1作業空間形成工程
と第2作業空間形成工程、第1行動生成工程と第2行動
生成工程、第1評価値導出工程と第2評価値導出工程、
及び、出力工程は、空間データ入力手段、身体データ入
力手段、作業空間形成手段、行動生成手段、評価値導出
手段、及び、出力手段によって、夫々実行可能であり、
上記第二の特徴構成の作業空間診断方法における、第1
総合評価値導出工程と第2総合評価値導出工程、及び、
出力工程は、総合評価値導出手段及び出力手段によって
夫々実行可能である。従って、本特徴構成の作業空間診
断装置を用いることにより、上記第一または第二の特徴
構成の作業空間診断方法が実現され、当該方法における
上記作用効果が発揮される。
【0038】上記作業空間診断装置の第二の特徴構成に
よれば、上記第四の特徴構成の作業空間診断方法の第1
行動生成工程及び第2行動生成工程における初期入力ス
テップ、PTS適用ステップ、及び、動作時間情報導出
ステップは、初期入力部、PTS適用部、及び、動作時
間情報導出部によって夫々実行可能である。従って、本
特徴構成の作業空間診断装置を用いることにより、上記
第四の特徴構成の作業空間診断方法が実現され、当該方
法における上記作用効果が発揮される。
【0039】上記作業空間診断装置の第三の特徴構成に
よれば、上記第五の特徴構成の作業空間診断方法の第1
行動生成工程及び第2行動生成工程における動作時間算
出工程、第1評価値導出工程及び第2評価値導出工程に
おける運動強度特定工程、及び、心臓循環器系変動算出
工程は、動作時間算出手段、運動強度特定手段、及び、
心臓循環器系モデルによって夫々実行可能である。従っ
て、本特徴構成の作業空間診断装置を用いることによ
り、上記第五の特徴構成の作業空間診断方法が実現さ
れ、当該方法における上記作用効果が発揮される。
【0040】上記作業空間診断装置の第四の特徴構成に
よれば、上記第六の特徴構成の作業空間診断方法が実現
され、当該方法における上記作用効果が発揮される。
【0041】上記作業空間診断装置の第五の特徴構成に
よれば、上記第七の特徴構成の作業空間診断方法におけ
る費用見積入力工程が費用見積入力手段によって実行可
能である。従って、本特徴構成の作業空間診断装置を用
いることにより、上記第七の特徴構成の作業空間診断方
法が実現され、当該方法における上記作用効果が発揮さ
れる。
【0042】上記作業空間診断装置の第六の特徴構成に
よれば、上記第九の特徴構成の作業空間診断方法におけ
る費用見積額計算工程及び費用見積入力工程が、費用デ
ータベースと費用見積額計算手段、及び、費用見積入力
手段によって夫々実行可能である。従って、本特徴構成
の作業空間診断装置を用いることにより、上記第九の特
徴構成の作業空間診断方法が実現され、当該方法におけ
る上記作用効果が発揮される。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明に係る作業空間診断方法
(以下、適宜「本発明方法」という。)及び作業空間診
断装置(以下、適宜「本発明装置」という。)の実施の
形態を、図面に基づいて説明する。
【0044】〈第1実施形態〉本発明装置1は、コンピ
ュータ仮想空間上においてコンピュータマネキンの行動
を生成する行動生成システム10を用い、診断対象の作
業空間とその作業空間を使用する使用者との間の適合関
係を診断する装置であり、本発明方法は本発明装置1に
より実行される。行動生成システム10は、コンピュー
タ処理によって、人の作業動作を簡易な操作及び形式で
記述した入力データに基づいて、コンピュータマネキン
にその作業動作を模擬させるべく、コンピュータマネキ
ンの対象物に対する動作を複数種の行為コマンドを時系
列で組み合わせて定義して、前記行為コマンドで特定さ
れる前記コンピュータマネキンの動作を所定の合成アル
ゴリズムによって合成することでコンピュータマネキン
の行動を生成し、コンピュータ画面上の仮想空間内に可
視化するコンピュータシステムであり、後述する動作時
間導出手段11とともに、本発明装置1における行動生
成手段2を構成する。
【0045】図1に示すように、本発明装置1は、作業
空間の寸法及び設備に関する空間データを受け付ける空
間データ入力手段3と、使用者の身体データを受け付け
る身体データ入力手段4と、作業空間での行動種別を受
け付ける行動種別入力手段5と、空間データ入力手段3
が受け付けた空間データに基づいてコンピュータ仮想空
間上に作業空間を形成する作業空間形成手段6と、作業
空間形成手段6が形成したコンピュータ仮想空間上にお
いて、身体データ入力手段4が受け付けた身体データに
よって規定されるコンピュータマネキンを、行動種別入
力手段5が受け付けた行動種別の予めモデル化された行
動パターンに従って行動させる行動生成手段2と、所定
の複数の評価項目について、行動生成手段2が生成した
コンピュータマネキンの行動に基づいて評価値を計算す
る評価値導出手段7と、評価値導出手段7が計算した評
価値に基づいて所定の複数の総合評価項目における総合
評価値を計算する総合評価値導出手段8と、評価値導出
手段7が計算した評価値を含む出力データと総合評価値
導出手段8が計算した総合評価値を含む出力データを出
力可能な出力手段9とを備えて構成される。
【0046】尚、本発明装置1の各手段2〜9は、本発
明装置1を構成する1または複数台のコンピュータ上
で、当該コンピュータシステムのハードウェア資源を利
用しながら本発明方法を実現するコンピュータプログラ
ムを実行することにより、ソフトウェア的に実現され
る。
【0047】先ず、上記各手段2〜9によって実行され
る本発明方法について説明する。尚、本第1実施形態で
は、画面表示は本発明装置1を構成するコンピュータの
表示画面上に表示される場合を例に説明する。図2に示
すように、本発明方法は一つの作業空間に対して実行さ
れる一連の処理工程(基本セット)を異なる作業空間に
対して各別に実行することで実現される。先ず、診断対
象となる現状の作業空間に対して、作業空間の寸法及び
設備に関する空間データを受け付ける第1空間データ入
力工程#11と、使用者の身体データを受け付ける第1
身体データ入力工程#12と、作業空間での行動種別を
受け付ける第1行動種別入力工程#13と、第1空間デ
ータ入力工程#11で入力された空間データに基づいて
コンピュータ仮想空間上に作業空間を形成する第1作業
空間形成工程#14と、第1作業空間形成工程#14で
形成されたコンピュータ仮想空間上において、第1身体
データ入力工程#12で入力された身体データによって
規定されるコンピュータマネキンを、第1行動種別入力
工程#13で入力された行動種別の予めモデル化された
行動パターンに従って行動させる第1行動生成工程#1
5と、所定の複数の評価項目について、第1行動生成工
程#15によって導出されたコンピュータマネキンの行
動に基づいて評価値を計算する第1評価値導出工程#1
6と、第1評価値導出工程#16で計算された評価値に
基づいて所定の複数の総合評価項目における総合評価値
を計算する第1総合評価値導出工程#17と、第1評価
値導出工程#16で計算された評価値を含む出力データ
と第1総合評価値導出工程#17で計算された総合評価
値を含む出力データを出力する第1出力工程#18が、
順次実行される。
【0048】診断対象となる現状の作業空間に対して一
連の処理工程#11〜#18(第1の基本セット)が実
行されると、第1出力工程#18で表示された各評価項
目の評価値と各総合評価項目の総合評価値に基づいて、
評価者が現状の作業空間の改善点を把握して使用者に対
して改善提案を行うべく作業空間の設計変更を行う。例
えば、作業空間がキッチンの場合では、各種調理機器、
冷蔵庫、シンク、カウンター、食器棚、収納等の配置や
大きさを変更したり、調理機器等の機種を変更したり、
大幅にキッチンのレイアウトを変更したり等を行う。そ
の結果として、現状の作業空間に対して評価者の提案作
業空間が設計され、その提案作業空間に対して、同様の
一連の処理工程#21〜#28(第2の基本セット)が
実行される。
【0049】第2の基本セットでは、提案作業空間の寸
法及び設備に関する空間データを受け付ける第2空間デ
ータ入力工程#21と、第2空間データ入力工程#21
で入力された空間データに基づいてコンピュータ仮想空
間上に作業空間を形成する第2作業空間形成工程#24
と、第2作業空間形成工程#24で形成されたコンピュ
ータ仮想空間上において、第1身体データ入力工程#1
2で入力された身体データによって規定されるコンピュ
ータマネキンを、第1行動種別入力工程#13で入力さ
れた行動種別の予めモデル化された行動パターンに従っ
て行動させる第2行動生成工程#25と、所定の複数の
評価項目について、第2行動生成工程#25によって導
出されたコンピュータマネキンの行動に基づいて評価値
を計算する第2評価値導出工程#26と、第2評価値導
出工程#26で計算された評価値に基づいて所定の複数
の総合評価項目における総合評価値を計算する第2総合
評価値導出工程#27と、第2評価値導出工程#26で
計算された評価値を含む出力データと第2総合評価値導
出工程#27で計算された総合評価値を含む出力データ
を出力する第2出力工程#28が、順次実行される。
【0050】尚、各基本セットでは、同じ使用者と同じ
行動種別に対し、診断対象の現状の作業空間と提案作業
空間を対照比較するため、第2の基本セットにおいて
は、身体データを受け付ける第2身体データ入力工程#
22と作業空間での行動種別を受け付ける第2行動種別
入力工程#23は実行されずに、第1身体データ入力工
程#12と第1行動種別入力工程#13で受け付けられ
たデータがそのまま使用される。
【0051】また、第2出力工程#28で表示された各
評価項目の評価値と各総合評価項目の総合評価値に基づ
いて、評価者が提案作業空間の設計内容の確認を行う。
つまり、提案作業空間で初期の改善がなされているかを
確認し、他の評価項目で評価値が悪化していないかの確
認を行う。ここで、提案作業空間で初期の改善がなされ
ていないか、別の評価項目で改善点が新たに発生した場
合には、第2の提案作業空間を設計して初期の改善がな
されるまで順次第3以降の基本セットが実行される。ま
た、初めから提案作業空間が複数ある場合にも、その数
に応じて順次第3以降の基本セットが実行される。
【0052】最後に複数の基本セットが実行された後、
現状の作業空間と一つ以上の提案作業空間に対する各総
合評価値を各作業空間とともに一括して比較できる形態
で総合表示する総合出力工程#19を実行する。
【0053】第1と第2以降の基本セットの相互間で対
応する各工程は、作業空間が異なるだけで実行する処理
内容は同じである。以下、第1の基本セットにおける各
工程#11〜#18と総合出力工程#19において説明
する。
【0054】第1空間データ入力工程#11は空間デー
タ入力手段3によって実行される。具体的には、空間デ
ータ入力用のGUI(グラフィカルユーザインターフェ
ース)を提供し、当該インターフェースから例えば評価
者によって入力された空間データを所定の記憶装置内に
記憶する。空間データ入力手段3は、当該インターフェ
ースとしてコンピュータ表示画面上に、図3に示すよう
な総合入力画面100を表示させ、入力枠101内に対
象空間名(本第1実施形態ではキッチン)が選択または
入力され、選択ボタン102のクリックにより簡易入力
が選択されると、図4に示すようなキッチンのタイプ選
択画面104が表示される。ここで、診断対象の作業空
間に最も近いキッチンタイプが選択されると、再び総合
入力画面100上で選択ボタン103のクリックにより
詳細入力が選択されると、図5に示すような選択された
キッチンタイプの各部の寸法入力画面105が表示され
る。この寸法入力画面105上で各部の寸法が入力され
ると、当該入力値に基づいて作成されたキッチンの原型
が3次元のコンピュータ仮想空間内に配置された図6に
示すような機器配置画面106が表示される。表示され
た機器配置画面106上で、機器選択ボタン107を選
択すると、選択された機器(例えば、シンク、冷蔵庫、
コンロ、食器棚、電子レンジ、食器洗い乾燥機等)の詳
細入力画面が現れ、選択された機器のメーカ名、型番、
寸法、タイプ等の属性データの入力画面が表示される。
ここで、例えば、冷蔵庫が選択されて、メーカ名が入力
されると機器データベース12にアクセスして登録され
ている冷蔵庫の型番が選択可能となり、型番が選択され
ると機器データベース12に登録されている当該型番の
冷蔵庫の外形寸法やタイプ(冷蔵室、冷凍室、野菜室等
の配置やドアの開き方向や把手の位置等)が検索され
る。次に、選択されたメーカ名及び型番の冷蔵庫をマウ
ス等のポインティングデバイスを用いて機器配置画面1
06上に配置する入力作業が、キッチン内に存在する全
ての機器について行なわれると、空間データが完成し、
所定の記憶装置内に記憶される。ここで、機器データベ
ース12に登録されている機器の外形寸法等のデータは
各機器メーカから提供されるCADデータを基に作成さ
れるか、直接当該CADデータが使用される。また、か
かるCADデータの整備されていない機器については、
選択された機器の外形寸法やタイプ等を直接入力すれば
よい。
【0055】第1身体データ入力工程#12は身体デー
タ入力手段4によって実行される。具体的には、身体デ
ータ入力手段4は身体データ入力用のGUI(グラフィ
カルユーザインターフェース)を提供し、当該インター
フェースから例えば評価者によって入力された身体デー
タを所定の記憶装置内に記憶する。身体データ入力手段
4は、当該インターフェースとしてコンピュータ表示画
面上に表示された図3に示す総合入力画面100上の選
択ボタン108のクリックにより簡易入力が選択される
と、図7に示すような個人特性入力画面110が表示さ
れる。個人特性入力画面110上からは、例えば、使用
者の性別、年齢、身長、体重、安静時血圧の上下値、安
静時心拍、筋力レベル(力がある、普通、力がない等の
区別)が入力される。総合入力画面100上の選択ボタ
ン109のクリックにより詳細入力が選択されると、簡
易入力の入力値に加えて、使用者の人体部位の詳細な寸
法入力が可能な個人特性入力画面が表示される。簡易入
力時には、性別、年齢、身長、体重の各入力値から標準
体型に基づいて各人体部位の寸法が計算される。このよ
うにして身体データ入力手段4に入力された、または、
身体データ入力手段4が計算した身体データが所定の記
憶装置内に記憶される。
【0056】第1行動種別入力工程#13は行動種別入
力手段5によって実行される。具体的には、行動種別入
力手段4は行動種別入力用のGUI(グラフィカルユー
ザインターフェース)を提供し、当該インターフェース
から例えば評価者によって入力された行動種別を所定の
記憶装置内に記憶する。行動種別入力手段5は、当該イ
ンターフェースとしてコンピュータ表示画面上に表示さ
れた図3に示す総合入力画面100上の選択ボタン11
1のクリックにより簡易入力が選択されると、第1空間
データ入力工程#11で入力された対象空間に対応して
予めモデル化された複数種の行動パターンの中から特定
の行動種別を選択可能な行動種別入力画面が表示され
る。行動種別入力画面上からは、例えば、キッチンに対
応した行動種別である調理(標準)、調理(和風中
心)、調理(洋風中心)、調理(電子レンジ中心)等が
選択される。行動パターンが予めモデル化されていない
場合は、総合入力画面100上の選択ボタン112のク
リックにより詳細入力が選択されると、後述する行動生
成システム10の作業記述部41よって提供される作業
記述用のGUI(グラフィカルユーザインターフェー
ス)が表示され、行動パターンの生成入力が支援され
る。
【0057】第1作業空間形成工程#14は、作業空間
形成手段6によって実行される。作業空間形成手段6
は、第1空間データ入力工程#11で空間データ入力手
段3が所定の記憶装置に記憶した空間データを読み出し
て、その空間データに基づいてコンピュータ仮想空間上
に作業空間を形成する。
【0058】第1行動生成工程#15は、行動生成手段
2を構成する行動生成システム10と動作時間算出手段
11の協働によって実行される。行動生成手段2は、図
1に示すように、行動生成システム10と動作時間算出
手段11を備えてなり、行動生成システム10は、図8
に示すように、作業記述部41、行為選択部42、一つ
または複数の行為ファイル43、人データベース44、
物データベース45、動作決定ルール46、姿勢データ
ベース47、及び、可視化部48の各部で構成されてい
る。また、動作時間算出手段11は、行動生成システム
10から出力される行為コマンドの時系列データから各
行為コマンドで特定される動作に要する動作時間や動作
速度等の動作時間情報を時系列に沿って算出する手段で
あり、図9に示すように、初期入力部21、デフォルト
値設定部22、PTS適用部23、動作時間情報導出部
24、及び、動作時間情報変更部25を備えて構成され
る。更に、PTS適用部23はMOD値導出部26を備
え、MOD値導出部26は移動動作判定部27と歩数計
算部28を備える。
【0059】第1行動生成工程#15において、図10
に示すように、行動生成システム10が、先ず、第1身
体データ入力工程#12で所定の記憶装置に入力された
身体データを読み出し、その身体データに基づいてコン
ピュータマネキンのカスタマイズを行う。つまり、体格
や運動能力について作業空間の使用者を模擬するコンピ
ュータマネキンを形成する。そして、動作時間算出手段
11が、行動生成システム10から出力される行為コマ
ンドの時系列データから各行為コマンドで特定される動
作に要する動作時間や動作速度等の動作時間情報を時系
列に沿って算出する動作時間算出工程を実行する。ここ
で、行動生成システム10から出力される行為コマンド
の時系列データは、第1行動種別入力工程#13で選択
された行動種別の行動パターンについて予め作成された
行為ファイル43に記録されている時系列データを用い
る。また、動作時間算出工程で使用する仮想空間は、第
1作業空間形成工程#14で形成された作業空間であ
る。
【0060】動作時間算出工程では、初期入力部21
は、所定の作業を記述した行為コマンドの時系列データ
と、その時系列データで特定される動作における動作時
間情報と無関係に決定されるコンピュータマネキンの所
定人体部位の変位情報を、行動生成システム10から入
力する。具体的には、初期入力部21は、図10に示す
第1入力ステップと第2入力ステップを夫々実行する。
ここで、第1入力ステップは行動生成システム10から
行為コマンドの時系列データを入力し、所定の記憶装置
に格納する処理を実行し、第2入力ステップは、行動生
成システム10から、その時系列データで特定される動
作における動作時間情報と無関係に決定されるコンピュ
ータマネキンの所定人体部位の変位情報を入力し、前記
記憶装置に格納する処理を実行する。
【0061】尚、所定人体部位とは、頭、首、肩、背
中、腰、重心位置、手足の各関節等の各部位である。ま
た、それらの変位情報とは、高さ、移動距離、回転角等
の情報であり、変位には、基準位置や基準姿勢からの変
位と、特定動作の前後での変位が有り得る。
【0062】行為コマンドの種類及び機能は、対象とな
る行動生成システム10により異なるが、本実施形態で
は、「Reach」、「握る」、「移動」、「離す」、
「姿勢」、「見る」、「引く」、「置く」、「点火」と
いう九つの行為コマンドを用いて一連の作業を記述す
る。
【0063】次に、各行為コマンドの動作内容について
簡単に説明する。「Reach」コマンドは、コンピュ
ータマネキンの所定人体部位を対象物に向けて移動させ
る行為で、本実施形態では所定人体部位である「手」を
対象物に届くように伸ばす等の移動させる行為を実行す
る。また、「Reach」コマンドは、コンピュータマ
ネキンの特性と対象物の特性との間の関係によって行為
の詳細動作が変化する条件判断付きコマンドであり、条
件によって、把持物を持ち替える等の準備動作、歩行動
作、体を捻る・しゃがむ等の姿勢変更を伴う場合があ
る。「握る」コマンドは、「Reach」コマンドで対
象物に届いた手で対象物を把持する行為を実行する。
「移動」コマンドは、「握る」コマンドで把持した対象
物を移動する行為を実行する。「離す」コマンドは、
「握る」コマンドによってコンピュータマネキンの手が
把持した対象物を解放する行為を実行する。「姿勢」コ
マンドは、コンピュータマネキンの姿勢を変更する行為
を実行する。具体的には、登録されている姿勢に変更す
ることにより実行する。「見る」コマンドは、コンピュ
ータマネキンの正面方向と見る対象物との位置関係に応
じてコンピュータマネキンの頭部を回転させながら対象
物に視線を合わせる行為を実行する。「引く」コマンド
は、「握る」コマンドによってコンピュータマネキンの
手が把持した対象物を体に引き寄せる行為を実行する。
「置く」コマンドは、「握る」コマンドによってコンピ
ュータマネキンの手が把持した対象物を指定された位置
まで移動させて置く行為を実行する。また、「置く」コ
マンドは、「Reach」コマンドと同様に、コンピュ
ータマネキンの特性と指定位置との間の関係によって行
為の詳細動作が変化する条件判断付きコマンドであり、
条件によって、準備動作、歩行動作、姿勢変更を伴う場
合がある。「点火」コマンドは、家事作業を模擬する場
合に特有のコマンドで、コンロを点火する行為を実行す
る。「点火」コマンドは、コンピュータマネキンの特性
と対象物(点火スイッチ)の位置との間の関係によって
行為の詳細動作が変化する条件判断付きコマンドであ
り、条件によって姿勢変更を伴う場合がある。
【0064】デフォルト値設定部22は、図10に示す
デフォルト値設定ステップを実行する。デフォルト値設
定ステップにおいて、第1入力ステップで初期入力部2
1に入力した行為コマンドの時系列データの動作時間情
報に、所定のデフォルト値が設定される。尚、デフォル
ト値設定部22は、行動生成システム10側の一機能と
して設けても構わない。また、行動生成システム10が
デフォルト値設定機能を予め具備している場合は、動作
時間算出手段11側に別途同機能を設ける必要はない。
かかる場合は、デフォルト値設定ステップは、動作時間
算出工程の実行前に処理されても構わない。
【0065】行動生成システム10側では、動作時間情
報にデフォルト値が設定されると、そのデフォルト状態
の時系列データに基づいて所定の合成アルゴリズムによ
ってコンピュータマネキンの動作を合成し、その合成さ
れた動作からコンピュータマネキンの所定人体部位の変
位情報を抽出し、第2入力ステップにおいて、抽出され
た変位情報を初期入力部21に入力する。
【0066】本実施形態では、行動生成システム10側
に動作時間算出手段11に必要な変位情報を抽出する機
能が一般的な機能として具備されている場合を想定して
いるが、行動生成システム10側に当該変位情報抽出機
能がない場合は、行動生成システム10の外部に、例え
ば、動作時間算出手段11内に設けても構わない。この
点については、別実施形態において詳述する。
【0067】PTS適用部23は、図10に示すPTS
適用ステップを実行する。PTS適用ステップにおい
て、初期入力部21に入力された時系列データと変位情
報に基づいて、時系列データ中の各行為コマンドにPT
S法で規定された要素動作を割り付ける。本実施形態で
は、PTS法としてMODAPTS法を用いる。要素動
作を割り付けるにあたり、行為コマンド毎に特定される
MODAPTS法で規定される要素動作の種別を決定
し、その各要素動作の所要時間値に相当するMOD値を
決定する。
【0068】ここで、PTSとは、Predeterm
ined Time Standardの略称であり、
人間の行う一連の作業をPTS法で規定される要素動作
の組み合わせで構成し、予めPTS法で定められた時間
標準の値を用いて各要素動作の時間値を定め、これを集
計することによって一連の作業に要する時間を客観的に
求める手法の総称である。PTS法としては、要素動作
の種類や個数、各要素動作の時間値の時間決定因子や時
間標準の違いによって、種々のものが提案されており、
代表的なものとして、MODAPTS法、MTM−II
法、MSD法、MTA法、BMT法、MTM法、WF法
等がある。
【0069】また、MODAPTS法とは、Modul
ar Arrangement of Predete
rmined Time Standardsを基礎と
して開発されたPTS法で、オーストラリアのPTS協
会が、アメリカの工業会で発達した作業動作時間測定法
であるMTM(Methods Time Measu
rement)を改良して作り上げた極めて簡便な評価
法である。
【0070】尚、MODAPTS法で規定された要素動
作は、指、手、腕の移動動作と、移動動作の終わりにな
される指、手、腕の終局動作と、移動動作と終局動作の
何れにも含まれない補助動作の三つに分類される。移動
動作はMxで表され、xMODの移動動作を行う。xは
MOD値で要素動作の所要時間値を表し、MODは人間
の動作の最小単位を意味しており、1MODは0.12
9秒の動作時間に相当する。尚、Mは「Move」の略
称である。また、終局動作は、対象物に手を伸ばした
後、それを掴む動作Gxと、対象物を移動させた後、そ
れを目的の場所に置く動作Pxの2種類があり、xはM
OD値である。Gは「Get」の略称、Pは「Put」
の略称である。Gx、PxはxMODの終局動作を行う
が、Gxの場合、掴みの難易度に応じてG0、G1また
はG3となり、Pxの場合、置く際の難易度に応じてP
0、P2またはP5となる。
【0071】補助動作は、L1、E2、R2、D3、F
3、A4、C4、W5、B17、S30の10種類があ
る。尚、各数字はMOD値であり、各補助動作を行うと
きの所要時間値に相当する。L1は移動動作に対する重
量補正で、重量物を移動する場合に、片手の実際にかか
る重量が2〜6kgまでの場合にはL1で置く動作Px
の補正を行う。つまり、所要時間値として1MODが加
算される。また、重量が6kgを超える場合は、4kg
毎に1MODを加算する。Lは「Load Facto
r」の略称である。E2は視線移動と焦点合わせ動作で
ある。Eは「Eye Use」の略称である。R2は物
の掴み直し動作である。Rは「Regrasp」の略称
である。D3は瞬間的判断とそれに伴う指の動作であ
る。Dは「Decide and React」の略称
である。F3は足首の動作で、踵を床につけたままでの
1回のペダル操作である。Fは「Foot Actio
n」の略称である。A4は指や手での加圧操作である。
Aは「Apply Pressure」の略称である。
C4は手または腕の1回転のクランク動作である。Cは
「Crank」の略称である。W5は1歩当りの歩行動
作である。Wは「Walk」の略称である。B17は立
ち姿勢から体を屈めて元の姿勢に戻る、或いは、屈んだ
姿勢から立ち上がって元の姿勢に戻る動作。Bは「Be
nd andArise」の略称である。S30は立ち
姿勢から椅子に座って再び立つ、或いは、椅子に座った
姿勢から立ち上がって再び座る動作である。Sは「St
andArise」の略称である。
【0072】このように、MODAPTS法が極めて簡
易なPTS法であり、要素動作及びその時間値の規定数
が他のPTS法に比べて少なく、且つ、時間決定基準が
簡単であるので、行為コマンドや変位情報から各要素動
作の所要時間値を決定するルールが簡単化でき、また、
必要な変位情報も簡単化できるため、PTS適用部23
や初期入力部21の構成を簡単化できる。
【0073】次に、PTS適用部23の具体的な動作、
つまりPTS適用ステップについて説明する。PTS適
用部23は、初期入力部21に入力された時系列データ
の各行為コマンドに対して、各別にMODAPTS法の
要素動作を割り付ける。行為コマンド毎に割り付けられ
る要素動作の候補は予め決まっていて、その選択とMO
D値を行為コマンドの詳細データとその行為コマンドに
対応する動作に係る変位情報から求める。MOD値はM
OD値導出部26が決めるが、MOD値そのものを決め
る場合と、予めMOD値の決まった要素動作を何回繰り
返すかの繰り返し回数を決める場合がある。1回の要素
動作の所要時間値を求めるか、一連の同じ要素動作の所
要時間値を求めるかの違いである。以下、行為コマンド
別に説明する。
【0074】「Reach」コマンドの場合は、条件判
断付きコマンドであり、準備動作、歩行動作、姿勢変更
に対して夫々要素コマンドを割り付ける。把持物を持ち
替える等の準備動作については、当該準備動作が存在す
る場合に、移動動作のMxを割り付け、MOD値導出部
26の移動動作判定部27がそのときの手首、肘、肩、
胴または腰の関節動作或いは回転動作の変位情報からM
OD値xを特定する。具体的には、表1に示す判定表に
基づいて決定する。
【0075】
【表1】
【0076】表1の見かたは、表中の「0」がその人体
部位の関節動作または回転動作が無い場合、「1」が有
る場合を意味し、「2」は胴または腰の回転角度が別途
定義する範囲内(例えば、±30度以内)となる回転動
作が有る場合を意味する。「−」はその人体部位の回転
動作の有無を考慮しないことを意味する。これより、例
えば、手首、肘、肩、胴または腰の何れも変位しない場
合は、要素動作がM1となりMOD値xは1となる。ま
た、肩と胴または腰は変位しないが肘が曲がる場合は、
要素動作がM3となりMOD値xは3となる。
【0077】「Reach」コマンドに歩行動作が存在
する場合には、補助動作のW5を割り付け、そのW5動
作を歩数回繰り返すようにする。MOD値導出部26の
歩数計算部28は、補助動作のW5が割り付けられる
と、コンピュータマネキンのその歩行動作における重心
の移動距離と歩幅を変位情報から求め、或いは、変位情
報として入力された重心の移動距離と歩幅を用いて、重
心の移動距離を歩幅で除して歩数を算出する。
【0078】「Reach」コマンドは、最終的に対象
物に手を届くまでの動作であり、何らかの姿勢変更を伴
う。姿勢変更の種類には、コンピュータマネキンと対象
物との相対的な位置関係によって、手首、肘、肩の関節
動作以外にしゃがむ動作や体の捻り動作を含む場合があ
り、しゃがむ動作を伴う場合には、補助動作のB17を
割り当てる。尚、B17動作は1往復の動作であるの
で、この場合は繰り返し回数として0.5を割り当て
る。最終的に手を対象物に触れるまでの動作には、移動
動作のMxを割り当てて、MOD値導出部26の移動動
作判定部27がそのときの手首、肘、肩の関節動作或い
は回転動作の変位情報からMOD値xを特定する。具体
的には、手首、肘、肩の関節動作と体の捻り動作を考慮
して、表1の判定表に基づいて判定する。
【0079】「握る」コマンドの場合、PTS適用部2
3は終局動作のG1を割り当てる。この場合、MOD値
は1で固定である。
【0080】「移動」コマンドの場合、PTS適用部2
3は移動動作のMxを割り当てて、MOD値導出部26
の移動動作判定部27がそのときの手首、肘、肩、胴ま
たは腰の関節動作或いは回転動作の変位情報からMOD
値xを特定する。具体的には、「Reach」コマンド
の準備動作や姿勢変更と同様に、表1の判定表に基づい
て判定する。
【0081】「離す」コマンドの場合、PTS適用部2
3は移動動作のM1を割り当てる。「離す」コマンドは
「握る」コマンドによってコンピュータマネキンの手が
把持した対象物を解放する行為であるので、手首関節の
回転動作を伴うとして、MOD値として1を一意的に割
り当てている。
【0082】「姿勢」コマンドの場合、PTS適用部2
3は補助動作のB17と移動動作のMxの少なくとも何
れか一方を割り当てる。具体的には、腰のZ座標(高
さ)が50cm以上変化する姿勢変更の場合に、B17
が割り当てられる。但し、B17動作は1往復の動作で
あるので、この場合は繰り返し回数として0.5を一意
的に割り当てる。その他の姿勢変更の場合には、移動動
作のMxが割り当てられ、MOD値導出部26の移動動
作判定部27がそのときの手首、肘、肩、胴または腰の
関節動作或いは回転動作の変位情報から表1の判定表に
基づいてMOD値xを特定する。
【0083】「見る」コマンドの場合、PTS適用部2
3は補助動作のE2を割り当てて、その繰り返し回数を
MOD値導出部26が算出する。具体的には、MOD値
導出部26は変位情報として入力された頭部の回転角度
を30度で除して、繰り返し回数を求める。つまり、頭
部の回転角度が30度当り1回のE2動作を割り当て
る。
【0084】「引く」コマンドの場合、PTS適用部2
3は移動動作のMxを割り当てて、MOD値導出部26
の移動動作判定部27がそのときの手首、肘、肩、胴ま
たは腰の関節動作或いは回転動作の変位情報から表1の
判定表に基づいてMOD値xを特定する。
【0085】「置く」コマンドの場合、「Reach」
コマンドと同様に、条件判断付きコマンドであり、準備
動作、歩行動作、姿勢変更に対して夫々要素コマンドを
割り付ける。具体的な処理方法も実質的に「Reac
h」コマンドと同様である。相違点としては、姿勢変更
の最後に終局動作のP0を追加する点であるが、これは
MOD値が0であるので、所要時間値の計算には影響を
与えない。
【0086】「点火」コマンドの場合、点火状態(コン
ロの火炎)の確認の為に体を捻りながら点火動作をする
場合があるので、PTS適用部23は、当該捻りが有る
場合には、M7とP0を割り当て、当該捻りが無い場合
にはP0を割り当てる。また、当該捻りの有無は初期入
力部21に入力された胴または腰部の変位情報である回
転の有無により判定する。
【0087】尚、MOD値導出部26の移動動作判定部
27における判定基準(表1の判定表)、歩数計算部2
8における計算式、及び、MOD値導出部26の他の計
算式等は、本発明装置1を構成するコンピュータシステ
ムの記憶装置に格納されている。
【0088】動作時間情報導出部24は、図10に示す
動作時間情報導出ステップを実行する。動作時間情報導
出ステップにおいて、PTS適用部23が時系列データ
の各行為コマンドに割り付けた要素動作の各MOD値を
合計して、各行為コマンドの動作時間を算出する。ここ
で、同じ要素動作が複数回繰り返されている場合や、半
分だけの場合は、その要素動作のMOD値にそれらの繰
り返し回数を乗じて合計を求める。尚、行為コマンドが
条件判断付きコマンドの場合には、準備動作、歩行動
作、姿勢変更の夫々の有無に応じて各別に要素動作の各
MOD値を合計して動作時間を算出する。また、動作時
間に代えて動作速度を設定する行為コマンドの場合は、
MOD値及びMOD値の決定に使用したコンピュータマ
ネキンの重心移動距離等の変位情報から動作速度を算出
する。例えば、「Reach」コマンドの歩行動作にお
いて、歩行速度を入力するように設定されている場合が
相当する。
【0089】動作時間情報変更部25は、図10に示す
動作時間情報変更ステップを実行する。動作時間情報変
更ステップにおいて、初期入力部21に入力された時系
列データの各行為コマンドに対して動作時間や動作速度
等の動作時間情報を、デフォルト値設定部22が設定し
たデフォルト値から、動作時間情報導出部24が算出し
た動作時間情報に変更して、行動生成システム10及び
評価値導出手段7に出力する。
【0090】上記各ステップの実行により動作時間算出
工程が終了すると、行動生成システム10は、人手によ
って当該動作時間情報を入力することなく、動作時間算
出手段11によって算出された動作時間情報に基づい
て、第1行動種別入力工程#13で選択された行動種別
の行動パターンに係る行為コマンドの時系列データを処
理し、第1作業空間形成工程#14で形成された作業空
間においてカスタマイズされたコンピュータマネキンの
行動を生成することができ、更に、コンピュータ画面上
の仮想空間内にその行動を可視化することができる。
【0091】次に、本実施形態で想定される行動生成シ
ステム10について説明する。行動生成システム10
は、既存のコンピュータマネキンの行動生成システム
(コンピュータマネキンの取る目標姿勢を予めマウス等
のコンピュータの入力装置を用いてコンピュータ画面上
で作成しておき、各目標姿勢間の動作を、例えばインバ
ースキネマティクス等の動作合成アルゴリズムで生成
し、別途入力した動作時間でコンピュータマネキンをコ
ンピュータ画面上の仮想空間内で動作させるべく可視化
(アニメーション)を行う)をベースに、作業動作入力
の簡易化と、それを実現するための行為コマンド、特に
条件判断付き行為コマンドの導入を図り、図8に使用す
ように、行為コマンドの実行に必要な人データベース4
4、物データベース45、動作決定ルール46等を新た
に導入した構成のものを想定する。但し、行動生成シス
テム10として、条件判断付き行為コマンドを使用しな
いシステムであっても構わない。
【0092】作業記述部41は、コンピュータマネキン
にさせる作業動作を入力する入力手段である。機能とし
ては、作業記述用のGUI(グラフィカルユーザインタ
ーフェース)をコンピュータ画面上に提供し、オペレー
タのマウス操作やキー入力操作等により「ヒューマ
ン」、「場所」、「目標物」、「目的」が順に指定され
ると、一連の作業動作を自動的に定義して、コンピュー
タマネキンの対象物に対する動作の概略を規定した入力
データを生成する。
【0093】ここで、「ヒューマン」はコンピュータマ
ネキンの名称を指定するもので、具体的には、フィギュ
アファイル名を指定する。コンピュータマネキンの「目
的」は、コンピュータマネキンにさせる作業動作の種別
を規定するものであり、「目標物」は、指定された目的
で特定される動作の直接の対象物である。また、「場
所」は、指定された目的で特定される動作を、指定され
た目標物に対して行う「場所」であり、当該目的動作に
付随する一連の動作に含まれる行為において、直接の対
象物となる場合がある。例えば、「場所」が「冷蔵庫の
上段」であり、「目的」が「取り出す」である場合に、
「取り出す」という目的動作に付随する後述する各種行
為の対象物が「冷蔵庫の上扉」であることが、「場所」
によって定義づけられる。従って、コンピュータマネキ
ンの動作の対象となる対象物として、「目標物」と「場
所」が指定される。
【0094】尚、指定された「ヒューマン」、「場所」
の特性を人データベース44、物データベース45から
参照し、図11に示すように、指定されたヒューマンが
持っている物、及び、指定された場所にある物を「目標
物」の候補として自動的にリストアップするように構成
され、「目標物」の指定の簡易化が図られている。更
に、図11に示すように、「目的」の指定も、指定され
た目標物の特性の一つとして設定されているアフォード
動作を物データベース45から参照し、その目標物に適
した「目的」動作を自動的にリストアップするように構
成され、「目的」の指定の簡易化が図られている。ここ
で、アフォードとはJ.ギブソンが提唱した認知科学や
人工知能分野で注目されているアフォーダンス理論(知
覚理論)における概念で、物体がその物体に作用する主
体に対して行為を引き出すことを意味している。
【0095】行為選択部42は、作業記述部41で生成
された入力データの「目的」で特定される動作を、9種
類の「行為」の中から選択された複数の「行為」を組み
合わせて定義する。ここで、9種類の「行為」は、「R
each」、「握る」、「移動」、「離す」、「姿
勢」、「見る」、「引く」、「置く」、「点火」という
九つの行為コマンドを用いて選択される。各行為コマン
ドの概略は既に説明した通りである。
【0096】ここで、各行為コマンドの動作主体たるコ
ンピュータマネキンは、入力データの「ヒューマン」で
指定されたコンピュータマネキンであり、入力データの
「目標物」で直接的に指定された対象物或いは入力デー
タの「場所」で間接的に指定された対象物が、各行為コ
マンドで特定される行為の対象物となる。つまり、各行
為コマンドにおいて、「ヒューマン」で指定されたコン
ピュータマネキンの所定人体部位がその対象物に対して
所定の動作を実行することになる。
【0097】「Reach」コマンドは、上述のよう
に、コンピュータマネキンの特性と対象物の特性との間
の関係によって行為の詳細動作が変化する条件判断付き
コマンドであり、準備動作、歩行動作、姿勢変更に分解
されるので、行為選択部42は、動作決定ルール46を
参照して、コンピュータマネキンの特性と対象物の特性
との間の関係を判断して、「Reach」行為の詳細動
作を決定する。以下、その処理手順及び動作決定ルール
46について説明する。
【0098】先ず、使用できる手の判断を動作決定ルー
ル46の以下の持ち方判定基準に基づいて決定する。具
体的には、人データベース44からコンピュータマネキ
ンの利き腕情報を読み出すとともに、物データベース4
5から、「Reach」行為の対象物と現在少なくとも
左右何れかの手に何か物を持っている場合にはその把持
物の特性(持ち方の制約)を読み出す。次に、図12に
示す持ち方判定表に従い、現在の手の状況(何も持って
いない(free)、利き手で持っている、逆手で持っ
ている、両手で持っている)と対象物の持ち方の制約に
基づいて、対象物の持ち方、または、必要な準備動作を
決定する。準備動作として、「置くor持ち替えるor
離す」が選択された場合であって、把持物の持ち方の制
約が、利き手のみで且つ軌道規則がない場合は「置く」
動作を、どちらの手でもよく且つ軌道規則がない場合は
「持ち替える」を、そして、軌道規則がある場合は「離
す」動作を、夫々準備動作とする。
【0099】上記要領で決定された準備動作が、「置
く」の場合はエラーメッセージを表示しプログラムを終
了する。また、「持ち替える」の場合は、例えば、右手
から左手に持ち替える場合は、把持物と左手をコンピュ
ータマネキンの背中のサイトから所定距離オフセットし
た位置まで移動(後述する行為コマンドの一つ)させ
る。このとき背中のサイトから所定距離オフセットした
位置には仮想物体(座標系のみ存在して見えない物体)
を用意しておき、その仮想物体に対して左手を移動させ
る。次に左手を握り(後述する行為コマンドの一つ)、
右手を離す(後述する行為コマンドの一つ)という動作
を実行する。また「離す」の場合は、単に把持物を持っ
ている方の手を離す。
【0100】上記持ち方判定及び準備動作の決定が終わ
ると、コンピュータマネキンの移動または姿勢変更の有
無の判断及び姿勢変更の内容を、動作決定ルール46の
以下の移動・姿勢変更判定基準に基づいて決定する。以
下の判定で使用するコンピュータマネキンの特性及び対
象物の特性は人データベース44と物データベース45
から夫々予め或いは適時に読み出される。
【0101】先ず、対象物の特性の一つである移動可能
性が否の場合、例えば、対象物が冷蔵庫等の一般に固定
状態の重量物である場合(但し、冷蔵庫を移動させる作
業の場合では移動可能性は可となる)について説明す
る。
【0102】対象物の特性の一つである立ち位置サイト
のグローバルXY座標が、コンピュータマネキンの特性
の一つである重心サイトのグローバルXY座標と一致し
ていない場合は、当該座標が一致するまでコンピュータ
マネキンを移動し、一致している場合は当該移動を行わ
ない。ここで、グローバルとは仮想空間内の絶対座標で
あり、XYは仮想空間内の水平面内の位置座標であり、
Zは垂直方向の座標つまり高さである。更に、対象物の
特性の一つである握り点Z座標がコンピュータマネキン
の特性の一つである腰サイトZ座標より大きければ姿勢
変更を行わず、前記握り点Z座標がマネキンの特性の一
つである膝サイトZ座標より大きく、前記腰サイトZ座
標以下であれば、コンピュータマネキンの背中を10°
曲げる姿勢変更を決定し、前記握り点Z座標が膝サイト
Z座標以下であれば、コンピュータマネキンの背中を9
0°曲げるとともに腰高さを起立時より6分の1下げる
姿勢変更を決定する。
【0103】次に、対象物の特性の一つである移動可能
性が可の場合、例えば、対象物がコップ、鍋、缶等の可
搬物である場合について説明する。先ず、図13に示す
移動・姿勢判定表を参照して、移動・姿勢変更の有無及
び姿勢変更内容を決定する。図13の縦軸は対象物の握
り点とコンピュータマネキンの身体部位との高さ位置関
係を示し、横軸は対象物の握り点までの距離とコンピュ
ータマネキンの腕の長さとの関係を示している。また、
表中の数字は、姿勢変更がある場合の内容を示してお
り、上段が背中の曲げ角度で、下段が起立時の腰高さを
1とした時の腰高さの変更割合を示す負号は腰高さを下
げる場合、正号は腰高さを上げる場合を意味している。
【0104】また、図13に示す移動・姿勢判定表の腕
の長さは、肩口から掌までの長さを掌サイトと肘サイト
の差で求まる長さと肩サイトと肘サイトの差で求まる長
さの和に対して、図14に示す腕の長さ補正係数mを乗
じて求める。図14において、筋力レベルは腕の筋力レ
ベルを意味し、コンピュータマネキンの特性の一つであ
る。また、質量は対象物の特性の一つである。
【0105】この補正係数mを導入することで、筋力の
強いコンピュータマネキンが手を伸ばして掴む物でも、
筋力の弱いコンピュータマネキンは一度移動して対象物
に近づいてから対象物を掴むというように、筋力レベル
に応じた動作の変化が現れる。また、対象物が軽けれ
ば、コンピュータマネキンが手を伸ばして掴む物でも、
対象物が重ければ、コンピュータマネキンは一度移動し
て対象物に近づいてから対象物を掴むというように、対
象物の重さ(質量)に応じた動作の変化が現れる。更
に、対象物が重くても筋力が強ければ手を伸ばすだけの
動作が、対象物が重くなくても筋力が弱ければコンピュ
ータマネキンは一度移動して対象物に近づいてから対象
物を掴むというように、対象物の重さ(質量)とコンピ
ュータマネキンの筋力レベルとの相対的な関係で動作の
変化が現れる。
【0106】ここで、移動・姿勢判定表による判定結果
が「移動」である場合、対象物との距離が腕の長さの半
分になるまでコンピュータマネキンを移動する。そし
て、対象物の握り点Z座標がコンピュータマネキンの腰
サイトZ座標より大きければ姿勢変更は行わない。ま
た、前記握り点Z座標がコンピュータマネキンの膝サイ
トZ座標より大きく且つコンピュータマネキンの腰サイ
トZ座標以下の場合は、コンピュータマネキンの背中を
10°曲げる姿勢変更を決定し、前記握り点Z座標が膝
サイトZ座標以下であれば、コンピュータマネキンの背
中を90°曲げるとともに腰高さを起立時より6分の1
下げる姿勢変更を決定する。更に、移動・姿勢判定表に
よる判定結果が「姿勢変更」有りの場合は、コンピュー
タマネキンの移動は行わずに表中の姿勢変更の内容に従
い、判定結果が「変更無し」の場合は移動も姿勢変更も
行わない。
【0107】姿勢変更の内容としては、背中の曲げと腰
高さの変更に加えて、腰の捻りと体全体の回転があり、
右手の場合は図15に示す捻りの有無の判定図に基づい
て姿勢変更有無及び変更内容(腰の捻りまたは体全体の
回転角度)を決定する。具体的には、コンピュータマネ
キンの重心サイトを基準にコンピュータマネキンの正面
方向を0°として右回転を正方向、左回転を負方向とし
て対象物の握り点までの必要回転角度に基づいて、姿勢
変更有無及び変更内容が決定される。以下、右手の場合
について説明する。左手の場合は極性が正負反転する。
【0108】先ず、コンピュータマネキンのXYグロー
バル座標及び方向と対象物のXYグローバル座標から必
要回転角度を算出する。この必要回転角度が−45°よ
り大きく90°以下の場合は、捻り及び体全体の回転は
行わない。必要回転角度が90°より大きく135°以
下の場合は、(必要回転角度−90°)だけ腰を捻る。
つまり、必要回転角度が90°になるように腰を捻るこ
とになる。必要回転角度が−90°より大きく−45°
以下の場合は、(必要回転角度+45°)だけ腰を捻
る。つまり、必要回転角度が−45°になるように腰を
捻ることになる。必要回転角度が−180°より大きく
−90°以下の場合は、(必要回転角度+45°)だけ
体全体を回転させるとともに、腰を左に45°捻る。つ
まり、必要回転角度が−45°になるように体全体を回
転させ腰を捻ることになる。必要回転角度が135°よ
り大きく180°以下の場合は、(必要回転角度−90
°)だけ体全体を回転させるとともに、腰を右に90°
捻る。つまり、必要回転角度が90°になるように体全
体を回転させ腰を捻ることになる。
【0109】以上、「Reach」コマンド及びその条
件判断に用いられる動作決定ルール46の説明を行った
が、「置く」コマンドについては全く同様の動作決定ル
ール46が適用される。また、「点火」コマンドについ
ては、腰の捻りと体全体の回転を伴う姿勢変更だけが上
記要領で判定される。「Reach」、「置く」及び
「点火」コマンド以外の六つの行為コマンドは条件判断
を伴わないコマンドであり、動作決定ルール46は使用
されない。
【0110】「握る」コマンドは、具体的には、対象物
の特性の一つである対象物の握り方と関連付けられた手
の形を変更する。次に、対象物の特性の有する一変数
で、手に持たれているか否かを示す把持オブジェクト変
数を把持状態に設定する。尚、手の形は、後述する姿勢
データベース47に登録されてあり、対象物の握り方で
検索可能となっている。
【0111】「移動」コマンドは、実際には、対象物を
移動させることで、その対象物を把持する手を、対象物
の移動軌跡に沿って同時に移動させ、あたかもコンピュ
ータマネキンの手が対象物を把持しながら移動させてい
るように見せる。具体的には、対象物を把持する手とそ
の対象物との間の連結に係る拘束条件をオンにする。こ
れにより手が対象物に追従して移動することになる。次
に、対象物の位置変更、或いは、対象物のジョイント角
度の変更(例えば、冷蔵庫の扉等の場合)を行い、前記
連結の拘束条件をオフにする。
【0112】「引く」コマンドは、「移動」コマンドと
ほぼ同様の処理を実行する。相違点は、対象物の位置変
更先が、「引く」コマンドでは、コンピュータマネキン
の背中サイトからオフセットした位置に限定される点で
ある。
【0113】「離す」コマンドは、具体的には、手の形
を「握る」コマンド実行前のものに変更し、把持オブジ
ェクト変数を解放状態に設定する。
【0114】「姿勢」コマンドは、具体的には、コンピ
ュータマネキンの全ての拘束条件をオフにし、姿勢を所
定の姿勢名のものに変更し、全ての拘束条件をオンにす
る。このコマンドは、他の行為コマンドではコンピュー
タマネキンの動作が決定できない場合や、中間姿勢を指
定する場合等に使用する。尚、姿勢名と姿勢ファイルと
の関連は後述する姿勢データベース47に登録されてあ
り、姿勢名で検索可能となっている。
【0115】「見る」コマンドは、具体的には、視点オ
ブジェクトを見る対象物まで位置変更し、視点オブジェ
クトの拘束条件をオンにし、更に、コンピュータマネキ
ンの視点(正面方向)の視点オブジェクトに対する拘束
条件をオンにする。このようにして、見る対象物の移動
に対して視線を追従させることができる。
【0116】行為選択部42は、作業記述部41で生成
された入力データで特定される動作を、上述した九つの
行為コマンドを用いて定義し、行為ファイル43として
行動生成システム10に付属する所定の記憶装置内に保
存する。行為ファイル43を構成するデータ項目とし
て、入力データで特定される目的動作、場所、目標物の
他、時系列に並べられた各行為コマンドについて、実行
順序を示す番号、行為コマンド名、各行為の動作対象と
なる対象物(一般には場所または目標物の何れか)、動
作時間を夫々一組にして入力される。但し、「Reac
h」コマンド、「置く」コマンドの動作時間は、準備動
作、歩行、姿勢変更に分割して指定する。また、動作時
間に代えて動作速度を指定するようにしても構わない。
これらの動作時間や動作速度等の動作時間情報は、動作
時間算出手段11の動作時間情報変更部25によって変
更された動作時間情報が行為選択部42に入力される。
尚、行為ファイル43として最終的に保存される前の段
階では、動作時間算出手段11に対して変位情報を提供
するために、動作時間情報として、動作時間算出手段1
1のデフォルト値設定部22によって設定されたデフォ
ルト値が入力される。
【0117】このように生成された行為ファイル43を
順次前記記憶装置内に蓄積することで、登録済みの行為
ファイル43に合致する入力データが作業記述部41で
生成された場合に、行為選択部42は当該行為ファイル
43を読み出して、その行為ファイル中の各行為コマン
ドを逐次実行すれば良く、シミュレーション時間の低減
が図られる。
【0118】人データベース44は、行為選択部42の
処理において必要なコンピュータマネキンの特性に関す
るデータを定義する。人データベース44を構成するデ
ータ項目は、例えば、名称、各人体部位の寸法(身長、
手足の長さ等)、各人体部位の位置(重心等)筋力レベ
ル、利き腕(利き手)等である。名称は入力データのヒ
ューマンで指定されたコンピュータマネキンの名称に対
応し、フィギュアファイル名を指定する。筋力レベル
は、コンピュータマネキンの腕の筋力レベルを規定する
もので、本実施形態の場合は、例えば弱い、普通、強い
の三段階で規定し、夫々に数字の1,2,3が割り当て
られている。利き腕は、コンピュータマネキンの利き腕
が左右何れであるかを指定するもので、本実施形態の場
合は、右に0、左に1を割り当てている。
【0119】物データベース45は、行為選択部42の
処理において必要な対象物(目標物、場所)の特性に関
するデータを定義する。物データベース45を構成する
データ項目は、例えば、名称、位置、置く可能性、質
量、軌道規則、持ち方、移動可能性、握り方、状況等で
ある。
【0120】名称は目標物や場所で指定される対象物の
フィギュアファイル名を指定する。位置は、対象物のど
の面が下面かを指定する接地面、接触点(握り点)、立
ち位置等の位置関係を指定する。置く可能性は、その対
象物がどこかに置かれる可能性の有無を指定する。軌道
規則はその対象物が移動する時の軌道規則の有無を指定
する。持ち方はその対象物が左右何れの手で持つべきか
を指定する。例えば、どちらの手でも構わない場合は
0、利き手に限定される場合は1、逆手に限定される場
合は2、両手に限定される場合は3のように四通りに区
分する。更に、右手或いは左手に限定する場合を加えて
も構わない。移動可能性はその対象物が移動可能か否か
を指定する。握り方はその対象物の握り方を定義するも
ので、その対象物を把持するときの手の形を表すデータ
を姿勢データベース47から検索可能な握り方名を指定
する。状況は対象物の状態を表すもので対象物に応じて
設定される。例えば、対象物がコップの場合では液体の
有無、また、対象物が冷蔵庫の場合では扉の開閉状態等
が設定できる。
【0121】更に、物データベース45は、オプション
として対象物がアフォードする動作を設定できる。例え
ば、缶の場合に「取り出す」等を指定すると、作業記述
部41で「目標物」に缶が指定されると、「目的」の候
補として「取り出す」がリストアップされる。また、上
記以外にもアフォード動作を設定することで、動作の記
述の簡易化が図れる。
【0122】姿勢データベース47は、行為選択部42
の処理において利用される、握り方名と手の形との関
連、及び、姿勢名と姿勢ファイルとの関連を定義する。
【0123】可視化部48は行為選択部42で定義され
た一連の動作のアニメーションを作成する。つまり、作
業記述部41で指定されたコンピュータマネキンの動作
を、行為選択部42で定義された行為コマンドの時系列
の組み合わせに従って、或いは、登録された行為ファイ
ル43に記述されている行為コマンドの時系列の組み合
わせに従って、具体的な動作動作を所定の合成アルゴリ
ズムによって合成してコンピュータ画面上の仮想空間内
に表示させる。具体的な動作の合成処理は既存の行動生
成システムの機能を使用するので、詳細な説明は割愛す
る。
【0124】可視化部48は、アニメーションを作成す
る前に各行為の所要時間を指定するように構成されてお
り、指定された行為所要時間に基づいてアニメーション
を作成する。
【0125】行動生成システム10は、ハードウェアと
しては、高解像度モニタを備えた3次元コンピュータグ
ラフィックス描画機能の有するコンピュータシステム上
で動作する。人データベース44、物データベース4
5、動作決定ルール46、姿勢データベース47は、行
動生成システム10に付属する所定の記憶装置に格納さ
れている。ソフトウェアとしては、ベースに一般的なO
S(オペレーティングシステム)とベースとなる行動生
成システム及び動作合成アルゴリズムが存在し、作業記
述部41、行為選択部42、可視化部48が上記コンピ
ュータ上でソフトウェア処理によって実現される。具体
的には、上記で説明した各部42,8の処理を、人デー
タベース44、物データベース45、動作決定ルール4
6、姿勢データベース47等を必要に応じて読み書きし
ながら実行する本発明に係るコンピュータマネキン用の
行動生成用プログラムの各処理に対応するプログラムス
テップが、上記コンピュータによって適時実行されるこ
とで、作業記述部41、行為選択部42、可視化部48
が構成される。
【0126】第1行動生成工程#15が終了すると、第
1評価値導出工程#16が評価値導出手段7によって実
行される。第1評価値導出工程#16では、所定の複数
の評価項目について、第1行動生成工程#15によって
導出されたコンピュータマネキンの行動に基づいて評価
値を計算する。ここで、評価項目として、コンピュータ
マネキンの姿勢、関節角度、視野、到達度、作業時間、
移動距離、消費エネルギ、衝突回数、血圧変動、心拍変
動を採用する。
【0127】図16に示すように、評価値導出手段7
は、作業姿勢評価部29、関節角度評価部30、視野評
価部31、到達度評価部32、作業時間評価部33、移
動距離評価部34、消費エネルギ評価部35、衝突回数
評価部36、血圧変動評価部37、心拍変動評価部3
8、評価値正規化部39、及び、心臓負担予測手段40
を備えて構成される。
【0128】作業姿勢評価部29は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作
成されたアニメーション結果に対し、作業姿勢評価部2
9の有するOWAS(Ovaco Working P
osture Analysing System)評
価機能を用いて、コンピュータマネキンの作業姿勢を分
析評価しOWAS評価値を導出する。OWAS評価値の
導出に際し、各時刻におけるコンピュータマネキンの手
が把持する把持物の重量を、行動生成システム10の物
データベース45を参照して、手先に与える外力(負
荷)の設定を行う。そして、コンピュータマネキンの全
動作の作業時間に対するOWAS評価値が3または4に
なる時間の百分率を算出し、100から減算した値を正
規化前の姿勢評価値とする。
【0129】関節角度評価部30は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作
成されたアニメーション結果において、コンピュータマ
ネキンの全動作の作業時間に対し、肩の関節角度(肩と
肘を結ぶ線と肩から鉛直下方に伸びる線との成す角度)
及び肘の関節角度(肩と肘を結ぶ線と肘と手首を結ぶ線
との成す角度)が表2に示す関節可動域以外となってい
る時間の百分率を算出し、100から減算した値を正規
化前の関節角度評価値とする。尚、表2に示す性別、年
齢に関する情報は身体データ入力手段4から入力される
身体データから抽出する。また、表2に示す肘及び肩の
関節可動域は、実際の関節可動域の両端つまり屈曲側及
び伸展側の夫々10%の領域を不快範囲として除外した
範囲を示している。
【0130】
【表2】
【0131】視野評価部31は、行動生成システム10
が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作成さ
れたアニメーション結果に対し、コンピュータマネキン
の視野において対象物が見えない割合を百分率で算出
し、100から減算した値を正規化前の視野評価値とす
る。
【0132】到達度評価部32は、行動生成システム1
0が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作成
されたアニメーション結果において、「Reach」コ
マンドが適用された総回数に対し、対象物に到達できな
かった回数の割合を百分率で算出し、100から減算し
た値を正規化前の視野評価値とする。尚、到達できたか
否かの判定は、コンピュータマネキンの掌の中心サイト
と対象物の握り点サイトの距離の変位情報を基に、その
距離と所定の閾値(例えば50mm)との大小比較によ
り行う。
【0133】作業時間評価部33は、動作時間算出手段
11によって算出された動作時間情報に基づいて、コン
ピュータマネキンの全動作の作業時間を算出し、正規化
前の作業時間評価値とする。
【0134】移動距離評価部34は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作
成されたアニメーション結果に対し、コンピュータマネ
キンの重心の各時刻間における水平及び垂直移動距離を
算出し、正規化前の移動距離評価値とする。正規化され
た水平及び垂直移動距離を加重平均し(例えば、水平移
動距離に0.7、垂直移動距離に0.3を乗じて加算す
る)、正規化後の移動距離評価値とする。
【0135】消費エネルギ評価部35は、行動生成シス
テム10が生成したコンピュータマネキンの動作に基づ
き作成されたアニメーション結果に対し、下記の数1に
基づいて消費エネルギを算出し、正規化前の消費エネル
ギ評価値とする。
【0136】
【数1】消費エネルギ(kcal)=体重(kg)×作
業時間(h)×MET値
【0137】ここで、体重は、身体データ入力手段4か
ら入力される身体データから抽出する。作業時間は、作
業時間評価部33によって算出された値を使用する。M
ET値は、コンピュータマネキンの動作に対する運動強
度指標としての代謝当量であり、後述する心臓負担予測
手段40の運動強度特定手段13が行為コマンド毎に割
り当てたMET値の合計を使用する。
【0138】衝突回数評価部36は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に基づき作
成されたアニメーション結果において、衝突が発生した
回数をカウントし、100から衝突1回当り10を減算
した値を正規化前の衝突回数評価値とする。
【0139】血圧変動評価部37は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に対し、心
臓負担予測手段40が算出した血圧の時間的変化におい
て、安静時血圧より所定値(例えば10mmHg)低い
血圧を閾値として、その閾値を下回っている回数をカウ
ントし、100から1回当り10を減算した値を正規化
前の血圧変動評価値とする。尚、安静時血圧は、身体デ
ータ入力手段4から入力される身体データから抽出す
る。
【0140】心拍変動評価部38は、行動生成システム
10が生成したコンピュータマネキンの動作に対し、心
臓負担予測手段40が算出した心拍数の時間的変化にお
いて、安静時心拍数より所定値(例えば30回/分)高
い心拍数を閾値として、その閾値を上回っている回数を
カウントし、100から1回当り10を減算した値を正
規化前の心拍変動評価値とする。尚、安静時心拍数は、
身体データ入力手段4から入力される身体データから抽
出する。
【0141】評価値正規化部39は、下記の数2に示す
導出式により、各評価項目について正規化後の評価値を
算出する。尚、数2における平均値、標準偏差を算出す
るために各評価項目の評価値はCSV形式でデータ蓄積
を行う。但し、データ蓄積が十分になされる以前は、評
価項目毎に所定の平均値と標準偏差のデフォルト値を使
用する。
【0142】
【数2】正規化後評価値=50+(正規化前評価値−平
均値)/標準偏差
【0143】次に、消費エネルギ評価部35、血圧変動
評価部37、及び、心拍変動評価部38に対して、ME
T値、血圧の時間的変化、及び、心拍数の時間的変化を
夫々提供する心臓負担予測手段40について説明する。
図16に示すように、心臓負担予測手段40は、運動強
度特定手段13、運動タイプ特定手段14、及び、心臓
循環器系モデル15を備えて構成される。
【0144】運動強度特定手段13は、行動生成システ
ム10が出力する行為コマンドの時系列データ及び変位
情報を入力し、その行為コマンドの時系列データで特定
される動作の運動強度指標を導出する(運動強度特定工
程)。また、運動タイプ特定手段14は、行動生成シス
テム10が出力する行為コマンドの時系列データを入力
し、その行為コマンドの時系列データから各行為コマン
ドで特定される動作に対して、等尺性収縮運動(Iso
metric Exercize)、等張性収縮運動
(Isotonic Exercize)、及び、心臓
位置の急激な上下移動を伴う上下移動運動(Rapid
Change)の3タイプからなる運動タイプの少な
くとも一つを割り当てる。運動強度特定手段13及び運
動タイプ特定手段14は夫々、行為コマンドから運動強
度指標への第1変換テーブル、行為コマンドから運動タ
イプへの第2変換テーブルを備えて構成される。
【0145】尚、本実施形態では、運動強度指標として
METS(Metabolic Equivalen
t、代謝当量)を用いる。METSは作業時酸素代謝量
を安静時酸素代謝量で除した値であり、1METは安静
時代謝量を表しており、酸素摂取量にして3.5ml/
kg/分に相当する。
【0146】以下、上記行為コマンドから運動強度指標
(MET値)への変換、及び、行為コマンドから運動タ
イプへ変換の手順について、表3及び表4を参照しなが
ら行為コマンド別に説明する。
【0147】
【表3】
【0148】
【表4】
【0149】「Reach」コマンドの場合は、条件判
断付きコマンドであり、準備動作、歩行動作、姿勢変更
に対して夫々、表3の変換テーブル(第1変換テーブル
の一部と第2変換テーブル)に従って、MET値及び運
動タイプが割り当てられる。把持物を持ち替える等の準
備動作については、当該準備動作が存在する場合に、運
動強度指標として1MET、運動タイプとして等張性収
縮運動が夫々割り当てられる。歩行動作が存在する場合
は、運動強度指標として3MET、運動タイプとして等
張性収縮運動が夫々割り当てられる。また、姿勢変更に
しゃがむ動作が含まれている場合は、運動強度指標とし
て1MET、運動タイプとして上下移動運動が夫々割り
当てられる。尚、「Reach」コマンドが準備動作や
歩行動作を伴うか否かは、前述のPTS適用部23での
MOD値導出時の条件判断結果を利用してもよく、ま
た、独自に同様の判断を変位情報に基づいて行ってもよ
い。
【0150】「握る」、「移動」、「離す」及び「見
る」コマンドの場合、表3の変換テーブルに基づいて、
運動強度指標として1MET、運動タイプとして等張性
収縮運動が夫々割り当てられる。
【0151】「姿勢」コマンドの場合、前述のPTS適
用部23でのMOD値導出時と同様に、腰の高さが50
cm以上変化するか否かの判定を行い、表3の変換テー
ブルに基づいて、当該変化を伴う場合は、運動強度指標
として1MET、運動タイプとして上下移動運動が夫々
割り当てられ、当該変化を伴わない場合は、運動強度指
標として1MET、運動タイプとして等張性収縮運動が
夫々割り当てられる。尚、「姿勢」コマンドが当該変化
を伴うか否かは、前述のPTS適用部23でのMOD値
導出時の条件判断結果を利用してもよく、また、独自に
同様の判断を変位情報に基づいて行ってもよい。
【0152】「引く」コマンドの場合、運動強度指標と
してのMET値は表4に基づいて決定され、運動タイプ
として等張性収縮運動が割り当てられる。表4によるM
ET値の割り当ては、「引く」コマンド動作の対象物の
重さと、前述のPTS適用部23での表1の判定表に基
づくMOD値(Mx)の導出結果との両方に基づいて行
う。表4では、対象物の重さが重いほど、また、MOD
値xが大きい(動作時間が長い)ほどMET値(運動強
度指標)が大きくなるように規定されている。尚、表4
適用におけるMOD値(Mx)は前述のPTS適用部2
3での表1の判定表に基づくMOD値(Mx)の導出結
果を利用するが、別途独自に表1の判定表を適用してM
OD値(Mx)を導出しても構わない。
【0153】「置く」コマンドの場合は、条件判断付き
コマンドであり、準備動作、歩行動作、姿勢変更に対し
て夫々、表3と表4の変換テーブルに従って、MET値
及び運動タイプが割り当てられる。把持物を持ち替える
等の準備動作については、当該準備動作が存在する場合
に、運動強度指標としてのMET値は表4に基づいて決
定され、運動タイプとして等張性収縮運動が割り当てら
れる。尚、表4の適用は「引く」コマンドの場合と同様
である。歩行動作が存在する場合は、運動強度指標とし
て3MET、運動タイプとして等張性収縮運動が夫々割
り当てられる。また、姿勢変更にしゃがむ動作が含まれ
ている場合は、運動強度指標として1MET、運動タイ
プとして上下移動運動が夫々割り当てられる。尚、「置
く」コマンドが準備動作や歩行動作を伴うか否かは、前
述のPTS適用部23でのMOD値導出時の条件判断結
果を利用してもよく、また、独自に同様の判断を変位情
報に基づいて行ってもよい。
【0154】「点火」コマンドの場合は、条件判断付き
コマンドであり、点火状態(コンロの火炎)の確認の為
に体を捻りながら点火動作をする場合があるので、当該
捻りが有る場合には、運動強度指標として3MET、運
動タイプとして等尺性収縮運動が夫々割り当てられ、当
該捻りが無い場合には、運動強度指標として2MET、
運動タイプとして等尺性収縮運動が夫々割り当てられ
る。尚、「点火」コマンド動作は、基本的に指先または
手先だけの動作であるので、運動タイプとして等尺性収
縮運動が夫々割り当てられている。
【0155】ところで、上述の運動強度特定手段13及
び運動タイプ特定手段14において、行動生成システム
10から変位情報を入力し、動作時間算出手段11から
は一部の判断結果を入力する構成としているが、実際の
コンピュータのプログラム処理においては、行動生成シ
ステム10から変位情報の入力を受けずに、変位情報に
基づく必要な判断は、全て動作時間算出手段11で行わ
れる同様の判断結果を利用するのが好ましい。
【0156】尚、本実施形態では、個人特性情報とし
て、年齢、性別、体重、安静時血圧、及び、安静時心拍
数が、身体データ入力手段4から入力される身体データ
から抽出され、心臓循環器系モデル15に入力される。
【0157】次に、心臓循環器系モデル15の構成及び
動作について説明する。心臓循環器系モデル15は、行
為コマンドによって相互に対応づけられた動作時間情報
と運動強度指標と運動タイプ、及び、身体データ入力手
段4から入力された個人特性情報を入力データとして受
け付け、行為コマンドの時系列データによって規定され
るコンピュータマネキンの動作に伴う血圧及び心拍数を
時系列に沿って算出する心臓循環器系変動算出工程を実
行する。具体的には、図17に示すように、入力部5
0、基準血圧算出部51、圧受容器部52、神経応答部
53、心拍数算出部54、心拍出量算出部55、1回拍
出量算出部56、血管抵抗算出部57、血圧変動算出部
58、血圧算出部59、酸素摂取量算出部60、必要酸
素摂取量算出部61、化学受容器部62、及び、化学受
容器遅延部63を備えて構成されている。
【0158】入力部50は、動作時間算出手段11、運
動強度特定手段13及び運動タイプ特定手段14によっ
て算出または導出された、行為コマンドの時系列データ
における各行為コマンドの動作時間情報と運動強度指標
(MET値)と運動タイプが行為コマンド毎に時系列に
相互に関連付けられて、また、個人特性入力手段5によ
って入力された個人特性情報が、夫々入力されると、各
部に必要なデータを提供する。ここで、各行為コマンド
の動作時間情報と運動強度指標と運動タイプが行為コマ
ンド毎に時系列に相互に関連付けられて入力されるの
で、行為コマンド毎の運動強度指標と運動タイプが、夫
々の経過時間が動作時間情報の動作時間で与えられる時
系列データとして認識される。
【0159】基準血圧算出部51は、入力部50に入力
された運動強度指標(MET値)と個人特性情報の安静
時血圧に基づいて、基準血圧を以下の数3で表される算
出式により算出する。但し、各血圧の単位は「mmH
g」である。尚、数3の算出式は、被験者実験より安静
時血圧に対して運動強度指標が1MET増す毎に基準血
圧が15mmHg増えると仮定して導出されている。こ
こで、基準血圧は、上記仮定のもとに、血圧に影響を与
える他の因子を排除して運動強度指標と一定の相関関係
をもって変化する血圧シミュレーションの基準値として
設定したものである。
【0160】
【数3】基準血圧=(MET値−1)×15+安静時血
【0161】圧受容器部52は、血圧変動を刺激として
受容して応答する人体の感覚器官(圧受容器)を模擬し
たもので、ここでは、心臓循環器系モデル15内部の演
算処理で使用する単位時間にして1時間単位前に血圧算
出部59で算出された血圧を基準血圧算出部51で算出
された現時点における基準血圧から引いた差を圧刺激と
して算出する。
【0162】そして、神経応答部53は、前記圧受容器
の圧刺激に対する応答部分を模擬したもので、圧受容器
部52が出力する血圧差(mmHg)に0.4を乗じた
値を心拍数補正量(回/分)として出力する。ここで
は、被験者実験より、血圧を1mmHg増やすために心
拍数が0.4回/分増えると仮定している。
【0163】心拍数算出部54は、心拍数算出部54が
出力した1時間単位前の心拍数に、神経応答部53と化
学受容器遅延部63が夫々出力する各心拍数補正量を足
した値を新たな心拍数として出力する。尚、心拍数の単
位は「回/分」である。
【0164】心拍出量算出部55は、心拍数算出部54
が算出した心拍数(回/分)と1回拍出量算出部56が
算出した心拍1回当りの血液の拍出量(ml/回)を乗
じて1分間当りの心拍出量(ml/分)を算出する。
【0165】1回拍出量算出部56は、入力部50に入
力された運動強度指標(MET値)と運動タイプと個人
特性情報の年齢及び安静時心拍数に基づいて、心拍1回
当りの血液の拍出量(ml/回)を数4に示す算出式に
より算出する。
【0166】
【数4】A=148−安静時心拍数×0.935 B=A−8.34+酸素摂取量比
【0167】ここで、Aは運動タイプが等尺性収縮運動
の場合の1回拍出量で、Bは運動タイプが等張性収縮運
動の場合の1回拍出量である。酸素摂取量比は、(酸素
摂取量/最大酸素摂取量)×100で与えられる。体重
1kg当りの毎分の酸素摂取量(ml/kg/分)は
(3.5×MET値)で与えられ、体重1kg当りの毎
分の最大酸素摂取量(ml/kg/分)は、年齢25歳
以下では、定数46.2で与えられ、年齢26以上で
は、(57.7−0.46×年齢)で与えられる。
【0168】血管抵抗算出部57は、入力部50に入力
された運動タイプと必要酸素摂取量算出部61で算出さ
れた必要酸素摂取量(ml/分)に基づいて、血管抵抗
(mmHg・分/ml)を算出する。運動タイプが等尺
性収縮運動の場合は、血管抵抗は定数0.0196で与
えられ、運動タイプが等張性収縮運動の場合は、血管抵
抗は(0.0196−必要酸素摂取量×0.00000
2)で与えられる。
【0169】血圧変動算出部58は、入力部50に入力
された運動強度指標(MET値)と運動タイプと個人特
性情報の年齢に基づいて、数5または数6より血圧変動
(mmHg)を算出する。具体的には、行為コマンドの
「Reach」、「置く」、「姿勢」において、運動タ
イプとして上下移動運動が含まれている場合に、血圧変
動算出部58が起動される。尚、上下移動運動が立ち上
がり動作の場合は数5が適用され、しゃがみ動作の場合
は数6が適用される。
【0170】
【数5】血圧変動=(2C/t0)×t (0
≦t≦t0/2) 血圧変動=−(2C/t0)×t+2C (t0/2<t
≦t0) C=−(5V+35) t0=20+0.1×年齢
【0171】
【数6】血圧変動=(2D/t0)×t (0
≦t≦t0/2) 血圧変動=−(2D/t0)×t+2D (t0/2<t
≦t0) D=(5V+35) t0=20+0.1×年齢
【0172】数5及び数6において、Vは立ち上がり或
いはしゃがみ速度(m/秒)で、動作時間情報から与え
られる。また、tは立ち上がり或いはしゃがみ動作を開
始してからの経過時間(秒)であり、t0は血圧変動の
回復時間(秒)で、C及びDは夫々回復時間の中間点で
の血圧変動(mmHg)である。数5の場合、つまり、
立ち上がり時は、血圧変動は回復時間の中間点まで直線
的に減少し、その中間点から直線的に回復する三角波形
で表される。数6の場合、つまり、しゃがみ時はその逆
である。
【0173】血圧算出部59は、心拍出量算出部55が
算出した心拍出量(ml/分)と血管抵抗算出部57が
算出した血管抵抗(mmHg・分/ml)と、血圧変動
算出部58が算出した血圧変動(mmHg)とに基づい
て、数7により血圧を算出する。ここで、運動タイプが
等尺性収縮運動または等張性収縮運動の場合は、血圧変
動算出部58は起動されないので、血圧変動は0であ
る。
【0174】
【数7】血圧=心拍出量×血管抵抗+血圧変動
【0175】酸素摂取量算出部60は、心拍出量算出部
55が算出した心拍出量(ml/分)に基づいて酸素摂
取量(ml/分)を算出する。具体的には、酸素摂取量
は(0.185×心拍出量−452)で与えられる。
【0176】必要酸素摂取量算出部61は、入力部50
に入力された運動強度指標(MET値)に基づいて、各
行為コマンドで規定される動作に必要な1分間当りの必
要酸素摂取量(ml/分)を算出する。具体的には、必
要酸素摂取量は(3.5×MET値×体重)で与えられ
る。ここで、体重(kg)は予め設定された標準体重を
使用するか、或いは、個人特性情報の一つとして入力部
50に入力されたものを使用する。
【0177】化学受容器部62と化学受容器遅延部63
は、化学刺激を受容して応答する人体の感覚器官(化学
受容器)を模擬したもので、ここでは、必要酸素摂取量
算出部61が算出した必要酸素摂取量に対する不足酸素
量を化学刺激として受容し、その反応として一定の時間
遅れでその不足酸素量を補うように心拍数を補正すると
仮定する。具体的には、化学受容器部62が必要酸素摂
取量から必要酸素摂取量が算出した酸素摂取量を差し引
いて不足酸素量を算出し、化学受容器遅延部63が、そ
の不足酸素量に係数0.01を乗じて心拍数補正量(回
/分)を求め、それを一定時間(本実施形態では5秒)
遅れで出力する。
【0178】心臓循環器系モデル15は、上記した各部
50〜63の演算処理を前記コンピュータ上で実行する
各プログラムステップにより構成され、具体的には、当
該各プログラムステップを前記入力データに基づいて前
記時間単位毎に循環的に実行することにより、血圧及び
心拍数を時系列に沿って算出することができる。
【0179】第1評価値導出工程#16が終了すると、
第1総合評価値導出工程#17が総合評価値導出手段8
によって実行される。総合評価値導出手段8は、評価値
導出手段7が導出したコンピュータマネキンの姿勢、関
節角度、視野、到達度、作業時間、移動距離、消費エネ
ルギ、衝突回数、血圧変動、心拍変動の10項目の評価
項目についての正規化後の各評価値に対し、予めAHP
(階層化意志決定法)を用いて設定された各評価項目の
重み付けによる加重平均により、快適性、使い易さ、作
業効率、安全性の4項目の総合評価項目についての総合
評価値を計算する。
【0180】ここで、快適性の総合評価値はコンピュー
タマネキンの姿勢と関節角度の評価値から算出し、使い
易さの総合評価値はコンピュータマネキンの視野と到達
度の評価値から算出し、作業効率の総合評価値はコンピ
ュータマネキンの作業時間と移動距離と消費エネルギの
評価値から算出し、安全性の総合評価値はコンピュータ
マネキンの衝突回数と血圧変動と心拍変動の評価値から
算出する。
【0181】更に、総合評価値導出手段8は、算出され
た4項目の総合評価値に対し、予めAHPを用いて設定
された各総合評価項目の重み付けによる加重平均によ
り、全総合評価値を計算する。
【0182】第1総合評価値導出工程#17が終了する
と、第1出力工程#18が出力手段9によって実行され
る。第1出力工程#18では、出力手段9が、図18に
示す評価結果画面113を本発明装置1のコンピュータ
表示画面上に表示するとともに、第1評価値導出工程#
16で導出された10項目の評価値と、第1総合評価値
導出工程#17で導出された4項目の総合評価値を、そ
の評価結果画面113上の表示枠114内に表示させ
る。また、4項目の総合評価値のレーダーチャートを表
示枠115内に表示させる。
【0183】また、出力手段9は、評価結果画面113
上において、第1行動生成工程#15で生成されたコン
ピュータマネキンの動作に基づき作成されたアニメーシ
ョン結果を表示枠116内に動画表示することができ
る。また、そのアニメーション結果から得られるコンピ
ュータマネキンの各時刻における視野画像を、前記アニ
メーション結果の動画表示と連動させて表示枠117内
に動画表示できる。また、第1評価値導出工程#16に
おいて作業姿勢評価部29が導出した各時刻におけるO
WAS評価値を表示枠118内に、関節角度評価部30
が導出した所定の人体部位(肩、肘、膝、足首等)の各
時刻における関節角度が関節可動域内にあるかの判定
(例えば、緑色表示が関節可動域内、赤色表示が関節可
動域外)を表示枠119内に、心臓負担予測手段40が
算出した血圧と心拍数の時間的変化を表示枠120内
に、前記アニメーション結果の動画表示と連動させて夫
々表示できる。
【0184】以上、第1空間データ入力工程#11から
第1出力工程#18までが実行され、診断対象の現状作
業空間についての診断が終了すると、評価者はその診断
結果に基づいて提案作業空間の設計を行い、上記した要
領で第2回目以降の診断処理(基本セット)を実行す
る。
【0185】ここで、診断結果に基づく現状作業空間か
ら提案作業空間への設計変更として、例えば、以下のよ
うな変更手法が適用される。姿勢評価値が悪い場合に、
第1出力工程#18でアニメーション結果の動画表示と
連動して表示されるOWAS評価値が3または4となる
作業個所を要改善個所と判断し、例えばシンクやコンロ
等の高さを調整する。関節角度評価値が悪い場合は、ア
ニメーション結果の動画表示と連動して表示される関節
角度が関節可動域外となる作業個所を要改善個所と判断
し、また、到達度評価値や視野評価値が悪い場合は、ア
ニメーション結果の動画表示や視野画像の表示から要改
善個所を判断し、例えば上戸棚の位置を下げたり、上戸
棚のタイプを下方向にスライド可能なものに変更する。
作業時間評価値、移動距離評価値、消費エネルギ評価値
が悪い場合は、例えば、シンク、冷蔵庫、コンロ間の移
動距離が短くなるようにレイアウト変更する。血圧変動
評価値、心拍変動評価値が悪い場合は、例えば、立ち上
がりやしゃがみ動作の少なくなるようにレイアウト変更
する。また、衝突回数評価値が悪い場合は、アニメーシ
ョン結果の動画表示から衝突個所を確認して、衝突しに
くいレイアウトに変更する。
【0186】全ての複数の作業空間(現状作業空間と一
つ以上の提案作業空間)について上記各基本セットが終
了すると、総合出力工程#19が実行される。総合出力
工程#19は出力手段9によって実行される。総合出力
工程#19では、出力手段9が、図19に示す総合評価
結果画面121を本発明装置1のコンピュータ表示画面
上に表示するとともに、その総合評価結果画面121上
に、各基本セットの総合評価値導出工程#17、#27
等で導出された4項目の総合評価値のレーダーチャート
と対応する各作業空間のレイアウト図(透視図や平面図
等)を出力データとして表示させる。尚、各作業空間の
レイアウト図は、各基本セットの作業空間形成工程#1
4、#24等で形成された3次元仮想空間データに基づ
いて作成されるか、或いは、キッチンタイプの変更を伴
う場合には、各基本セットの空間データ入力工程#1
1、#21等で選択されたキッチンタイプの標準レイア
ウト図を利用してもよい。
【0187】また、提案作業空間に機器の変更(取り替
え)が含まれる場合に、当該機器に係る紹介データを、
総合出力工程#19において表示する出力データに含め
るようにするのも好ましい。ここで、紹介データは、提
案作業空間に新たに追加された機器について、機器デー
タベース12を検索して必要なデータを抽出して所定の
フォーマットに編集することで作成される。尚、紹介デ
ータに機器のメーカ名を匿名にすることで、出力データ
を診断依頼者に見せる場合に、診断依頼者のメーカ名に
対する先入観のない判断が可能となる。
【0188】〈第2実施形態〉第2実施形態では、本発
明装置1は、図20に示すように、上記第1実施形態の
構成に加えて、診断対象の作業空間から提案作業空間へ
の変更内容、及び、当該変更に要する費用見積額を受け
付ける費用見積入力手段16と、当該変更内容を予め類
型化し、各類型に係る施工費(材料費、労務費、運搬費
等)をデータベース化した費用データベース17と、費
用データベースを用いて費用見積額を計算する費用見積
額計算手段18とを備える。
【0189】評価者は、費用見積入力手段16がコンピ
ュータ表示画面上に表示する変更内容入力用画面上で、
変更内容の類型及びその詳細を入力することができる。
費用見積入力手段16が入力された変更内容に基づい
て、費用見積額計算手段18が費用データベースを検索
し、全ての変更内容に係る施工費を抽出して、それらの
累計から費用見積額を計算する。計算された費用見積額
は費用見積入力手段16に出力され、費用見積入力手段
16は受け取った費用見積額を出力手段9に入力する。
【0190】出力手段9は、受け取った費用見積額をそ
の提案作業空間と対応づけて所定の記憶装置に記憶し、
総合出力工程#19において、総合評価結果画面121
上に、各基本セットの総合評価値導出工程#17、#2
7等で導出された4項目の総合評価値のレーダーチャー
トと対応する各作業空間のレイアウト図及び費用見積額
を表示させる。尚、現状の作業空間に対しては、当然な
がら費用見積額は表示されない。これにより、複数の提
案作業空間が存在する場合には、総合評価結果画面12
1上において、作業空間の設計変更による改善効果とそ
れに要する費用を相互に対比して、提案作業空間の費用
対効果を確認することができる。
【0191】費用データベース17は、例えば、機器メ
ーカや作業空間の変更工事を請け負う工務店等とインタ
ーネットを介して接続され、機器メーカや工務店に、取
り扱い可能な機器について、機器名、メーカ名、工事業
者名、機器の主要寸法、機器のCADファイル名、機器
のCADデータ、機器納入時の予算(材料費、標準労務
費等)を登録してもらい、それらを類型化して検索可能
にデータベース化することにより構築される。
【0192】更に、費用見積入力手段16は、評価者か
らの費用見積額の入力も受け付けるので、評価者が独自
に計算した費用見積額を単に受け付けて、総合出力工程
#19において表示することも可能である。この場合、
費用見積額の部分的な計算を上記要領で、費用見積額計
算手段18にさせることは可能である。
【0193】〈第3実施形態〉第3実施形態では、図2
1に示すように、本発明装置1は、インターネット上で
作業空間診断サービスを提供可能に構成されている。本
発明装置1は、上記第1または第2実施形態の構成にお
ける空間データ入力手段3、身体データ入力手段4、行
動種別入力手段5、及び、出力手段9が夫々、インター
ネット(通信ネットワークの一例)70を介して、診断
依頼者のコンピュータ端末71とデータ送受信可能に構
成されている。空間データ入力手段3、身体データ入力
手段4、行動種別入力手段5、及び、出力手段9の内の
インターネット70を介してデータ送受信する部分が、
上記第1または第2実施形態の構成に対して追加されて
おり、当該部分は作業空間診断サービスのホームページ
等を提供するウェブサーバを用いて共通に構成される。
【0194】ここで、第1空間データ入力工程#11、
第1身体データ入力工程#12、第1行動種別入力工程
#13、及び、総合出力工程#19が、インターネット
70を介してコンピュータ端末71との間で実行され
る。つまり、各画面表示や入力操作が、本発明装置1を
構成するコンピュータの表示画面上ではなく、診断依頼
者のコンピュータ端末71の表示画面上で行われる。こ
れに対し、第1出力工程#18及び第2基本セット以降
の、つまり、提案作業空間に対する、第2空間データ入
力工程#21、第2身体データ入力工程#22、第2行
動種別入力工程#23、等は、上記第1実施形態と全く
同様に本発明装置1を構成するコンピュータの表示画面
上で実行される。後者の第1出力工程#18及び第2基
本セット以降の各入力及び出力工程は、評価者の用に供
する処理であるので、診断依頼者との間でデータ送受信
を行う必要が無いからである。尚、第1出力工程#18
における評価結果画面113の画面表示は、必要に応じ
てコンピュータ端末71の表示画面上で出力しても構わ
ない。
【0195】尚、後者の第1出力工程#18及び第2基
本セット以降の各入力及び出力工程についても、所定の
通信ネットワーク(インターネットやイントラネットや
社内LAN等)を介して、評価者のコンピュータ端末と
の間で行っても構わない。
【0196】ここで、上記各手段3,4,5,9を、各
画面表示や入力操作のための各種データを所定のデータ
形式(例えば、HTML(Hyper Text Ma
rkup Language)やXML(Extens
ible Markup Language)等で記述
されたデータ)と所定の通信プロトコル(例えば、HT
TP(Hyper Text Transfer Pr
otocol))によるWEB形式で、データ送受信可
能な構成とすることで、コンピュータ端末71にインス
トールされている汎用のブラウザソフトウェアを起動さ
せることで、各画面表示や入力操作がコンピュータ端末
71上で可能となる。
【0197】尚、第1空間データ入力工程#11または
第1身体データ入力工程#12において、空間データや
身体データの入力において、全ての項目を充足できない
場合は、空間データの一部または身体データの一部だけ
を入力して、不足のデータを空間データ入力手段3また
は身体データ入力手段4側で、標準データ等を使用して
空間データや身体データを完成させるようにしても構わ
ない。
【0198】これにより、診断依頼者は、インターネッ
ト71を介して遠隔地から作業空間診断サービスを依頼
し、その結果を受け取ることができる。
【0199】以下に別実施形態を説明する。 〈1〉上記実施形態において採用した10項目の評価項
目及び4項目の総合評価項目は、必ず全てを採用する必
要はなくそれらの一部であっても構わない。また、他の
評価項目や総合評価項目を追加しても構わない。従っ
て、採用する評価項目に応じて、評価値導出手段7及び
総合評価値導出手段8の構成も適宜変更可能である。
【0200】〈2〉上記実施形態において、行動種別入
力手段5による第1行動種別入力工程#13は実行され
なくても構わない。第1空間データ入力工程#11で入
力された空間データに基づいて自動的に行動種別を選択
するようにしても構わない。
【0201】〈3〉総合評価値導出手段8による各総合
評価値導出工程#17、#27等は必ずしも実行されな
くても構わない。この場合、各出力工程#18、#28
等及び総合出力工程#19において評価項目の評価値を
表示する。
【0202】〈4〉各空間データ入力工程#11、#2
1等、各身体データ入力工程#12、#22等、各行動
種別入力工程#13、#23等、各出力工程#18、#
28等、及び、総合出力工程#19における各種入力画
面及び各種出力表示画面の構成及び表示内容は、上記実
施形態のものに限定されるものではない。
【0203】〈5〉各空間データ入力工程#11、#2
1等、各身体データ入力工程#12で扱われる空間デー
タ及び身体データの内容や入力手順は、上記実施形態の
ものに限定されるものではない。例えば、上記第2実施
形態において、費用見積額が総合出力工程#19におい
て出力表示される場合に、例えば、第1空間データ入力
工程#11において、当該費用見積額の上限を受け付
け、空間データの一部とする構成も好ましい。かかる構
成によって、例えば、当該上限値が第1出力工程#18
において、診断対象の作業空間に対する評価値や総合評
価値とともに表示されれば、評価者はその上限を念頭に
おいて、提案作業空間の設計が可能となる。
【0204】〈6〉上記実施形態において、作業空間と
してキッチンを例に説明したが、本発明装置1及び本発
明方法は、キッチン以外の作業空間にも適用できる。
【0205】〈7〉上記実施形態では、動作時間算出手
段11のPTS適用部23、運動強度特定手段13及び
運動タイプ特定手段14で用いられる変位情報は、行動
生成システム10側で抽出された変位情報が動作時間算
出手段11の初期入力部21、運動強度特定手段13及
び運動タイプ特定手段14に入力されて利用されていた
が、この場合、各行為コマンドに対して動作時間情報の
デフォルト値を用いて行動生成システム10側で一旦コ
ンピュータマネキンの動作を合成してかかる変位情報を
抽出していた。これに対し、行動生成システム10側で
動作の合成を実行することなく、行為コマンドの時系列
データから直接、変位情報を抽出して、その変位情報を
PTS適用部23、運動強度特定手段13及び運動タイ
プ特定手段14で用いるようにしても構わない。
【0206】具体的には、本別実施形態(「第4実施形
態」という。)の動作時間算出手段80は、図22に示
すように、初期入力部81、変位情報抽出部82、PT
S適用部83、及び、動作時間情報導出部84を備えて
構成される。更に、PTS適用部83はMOD値導出部
85を備え、MOD値導出部85は移動動作判定部86
と歩数計算部87を備える。各手段81〜87が、動作
時間算出手段80を構成するコンピュータのハードウェ
ア資源を利用しながらソフトウェア的に実現される点
は、第1実施形態の場合と同様である。
【0207】初期入力部81は、行為コマンドの時系列
データを、行動生成システム10から入力する点は、第
1実施形態の初期入力部21と同じであるが、行動生成
システム10から変位情報の入力は行わない。具体的に
は、初期入力部81は、図23に示す動作時間算出工程
に含まれる入力ステップを前記コンピュータ上で実行す
ることにより実現される。ここで、入力ステップは行動
生成システム10から行為コマンドの時系列データを入
力し、前記コンピュータシステムの記憶装置に格納する
処理を実行する。
【0208】変位情報抽出部82は、初期入力部81に
入力された時系列データの各行為コマンドから直接、P
TS適用部83で使用する変位情報を抽出する。具体的
には、変位情報抽出部82は、図23に示す動作時間算
出工程に含まれる変位情報抽出ステップを前記コンピュ
ータ上で実行することにより実現される。ここで、抽出
される変位情報は、第1実施形態で初期入力部21に入
力される変位情報とは異なる。そのため、PTS適用部
83のMOD値導出部85、移動動作判定部86、歩数
計算部87の各アルゴリズムも第1実施形態のものと一
部において異なる。従って、具体的にどのような変位情
報が抽出されるかについては、後述のPTS適用部83
の動作説明において合わせて説明する。尚、変位情報抽
出ステップは、後述のPTS適用ステップで各行為コマ
ンド毎に変位情報が必要となる度に、各別に実行して
も、PTS適用ステップの前に予め必要な全ての変位情
報を抽出するようにしても構わない。
【0209】PTS適用部83は、図23に示す動作時
間算出工程に含まれるPTS適用ステップを前記コンピ
ュータ上で実行することにより実現される。PTS適用
ステップにおいて、初期入力部81に入力された時系列
データと変位情報抽出部82が抽出した変位情報に基づ
いて、時系列データ中の各行為コマンドにPTS法で規
定された要素動作を割り付ける。本第4実施形態も、P
TS法としてMODAPTS法を用いる。要素動作を割
り付けるにあたり、行為コマンド毎に特定されるMOD
APTS法で規定される要素動作の種別を決定し、その
各要素動作の所要時間値に相当するMOD値を決定す
る。
【0210】次に、PTS適用部83の具体的な動作、
つまりPTS適用ステップについて説明する。PTS適
用部83は、初期入力部81に入力された時系列データ
の各行為コマンドに対して、各別にMODAPTS法の
要素動作を割り付ける。行為コマンド毎に割り付けられ
る要素動作の候補は予め決まっていて、その選択とMO
D値を行為コマンドの詳細データとその行為コマンドに
対応する動作に係る変位情報から求める。MOD値はM
OD値導出部85が決めるが、MOD値そのものを決め
る場合と、予めMOD値の決まった要素動作を何回繰り
返すかの繰り返し回数を決める場合がある。1回の要素
動作の所要時間値を求めるか、一連の同じ要素動作の所
要時間値を求めるかの違いである。以下、行為コマンド
別に説明する。PTS適用部83は、MODAPTS法
を適用するので、行為コマンド毎に割り付けられる要素
動作の種別は第1実施形態の場合と同じであるが、その
要素動作の各MOD値の決定方法が一部の行為コマンド
において第1実施形態と異なる。
【0211】「Reach」コマンドの場合は、条件判
断付きコマンドであり、準備動作、歩行動作、姿勢変更
に対して夫々要素コマンドを割り付ける。把持物を持ち
替える等の準備動作については、当該準備動作が存在す
る場合に、移動動作のMxを割り付け、MOD値導出部
85の移動動作判定部86が、変位情報抽出部82がそ
のときの手のサイト原点と対象物の握り点のサイト原点
から計算した変位情報である手の移動距離から、MOD
値xを特定する。具体的には、表5に示す判定表に基づ
いて決定する。
【0212】
【表5】
【0213】「Reach」コマンドに歩行動作が存在
する場合には、補助動作のW5を割り付け、そのW5動
作を歩数回繰り返すようにする。MOD値導出部85の
歩数計算部87は、補助動作のW5が割り付けられる
と、変位情報抽出部82が現在の重心位置と移動後の立
ち位置から計算した変位情報であるコンピュータマネキ
ンのその歩行動作における重心の移動距離と、予め設定
した歩幅(例えば80cm)を用いて、重心の移動距離
を歩幅で除して歩数を算出する。尚、歩幅データはコン
ピュータマネキンに合わせて変更可能である。例えば、
高齢者の場合は歩幅を80cmより短く設定する。
【0214】「Reach」コマンドは、何らかの姿勢
変更を伴う。姿勢変更の種類には、コンピュータマネキ
ンと対象物との相対的な位置関係によって、手首、肘、
肩の関節動作以外にしゃがむ動作や体の捻り動作を含む
場合があり、しゃがむ動作を伴う場合には、補助動作の
B17を割り当てる。尚、B17動作は1往復の動作で
あるので、この場合は繰り返し回数として0.5を割り
当てる。最終的に手を対象物に触れるまでの動作には、
移動動作のMxを割り当てて、MOD値導出部85の移
動動作判定部86が、変位情報である手の移動距離から
MOD値xを特定する。具体的には、変位情報抽出部8
2がそのときの手のサイト原点と対象物の握り点のサイ
ト原点から計算した変位情報である手の移動距離から、
表4の判定表に基づいて判定する。但し、しゃがむ動作
を伴う場合には、補助動作のB17が別途割り当てられ
るので、この分の動作時間を補正すべく、変位情報抽出
部82は、手のサイト原点をしゃがむ動作での腰の移動
距離だけ垂直方向に移動した後に手の移動距離を計算す
る。
【0215】「握る」コマンドの場合、PTS適用部8
3は終局動作のG1を割り当てる。この場合、MOD値
は1で固定である。第1実施形態と同じである。
【0216】「移動」コマンドの場合、PTS適用部8
3は移動動作のMxを割り当てて、MOD値導出部85
の移動動作判定部86が変位情報であるそのときの手の
移動距離からMOD値xを特定する。具体的には、「R
each」コマンドの準備動作や姿勢変更と同様に、表
5の判定表に基づいて判定する。
【0217】「離す」コマンドの場合、PTS適用部8
3は移動動作のM1を割り当てる。第1実施形態と同じ
である。
【0218】「姿勢」コマンドの場合、PTS適用部8
3は補助動作のB17と移動動作のMxの少なくとも何
れか一方を割り当てる。具体的には、変位情報抽出部8
2が「姿勢」コマンド実行前の膝関節の角度から「姿
勢」コマンド実行後の膝関節の角度への変位量を変位情
報として計算し、その変位量(膝関節の角度変化)が例
えば45度以下の場合は、しゃがみ動作なしと判定して
B17を割り当てず、その変位量が45度を越える場合
はB17を割り当てる。但し、B17動作は1往復の動
作であるので、この場合は繰り返し回数として0.5を
一意的に割り当てる。その他の姿勢変更の場合には、移
動動作のMxが割り当てられ、変位情報抽出部82が
「姿勢」コマンド実行前の手首、肘、肩、胴または腰の
関節角度から「姿勢」コマンド実行後の各関節の関節角
度への変位量を変位情報として計算し、MOD値導出部
85の移動動作判定部86が、その変位量から各関節の
回転動作の有無を計算し、表1の判定表に基づいてMO
D値xを特定する。表1の判定表の見方は第1実施形態
と同じである。
【0219】「見る」コマンドの場合、PTS適用部8
3は補助動作のE2を割り当てて、その繰り返し回数を
MOD値導出部85が算出する。具体的には、変位情報
抽出部82が頭の正面方向を基準に現在の頭のサイト原
点と対象物のサイト原点との成す角度を変位情報として
抽出し、MOD値導出部85はその変位情報(頭部の回
転角度に相当)を30度で除して、繰り返し回数を求め
る。つまり、頭部の回転角度が30度当り1回のE2動
作を割り当てる。
【0220】「引く」コマンドの場合、PTS適用部8
3は移動動作のMxを割り当てて、MOD値導出部85
の移動動作判定部86が、変位情報抽出部82がそのと
きの手のサイト原点と対象物の握り点のサイト原点から
計算した変位情報である手の移動距離から、表5の判定
表に基づいてMOD値xを特定する。
【0221】「置く」コマンドの場合、「Reach」
コマンドと同様に、条件判断付きコマンドであり、準備
動作、歩行動作、姿勢変更に対して夫々要素コマンドを
割り付ける。具体的な処理方法も実質的に「Reac
h」コマンドと同様である。相違点としては、姿勢変更
の最後に終局動作のP0を追加する点であるが、これは
MOD値が0であるので、所要時間値の計算には影響を
与えない。
【0222】「点火」コマンドの場合、点火状態(コン
ロの火炎)の確認の為に体を捻りながら点火動作をする
場合があるので、PTS適用部83は、当該捻りが有る
場合には、M7とP0を割り当て、当該捻りが無い場合
にはP0を割り当てる。また、当該捻りの有無は「点
火」コマンドの条件判断式の中の捻り動作の有無により
判定する。
【0223】尚、MOD値導出部85の移動動作判定部
86における判定基準(表1及び表4の判定表)、歩数
計算部87における計算式、及び、MOD値導出部85
の他の計算式等は、動作時間算出手段80を構成するコ
ンピュータシステムの記憶装置に格納されている。
【0224】動作時間情報導出部84は、図23に示す
動作時間算出工程に含まれる動作時間情報導出ステップ
を前記コンピュータ上で実行することにより実現され
る。動作時間情報導出ステップにおいて、PTS適用部
83が時系列データの各行為コマンドに割り付けた要素
動作の各MOD値を合計して、各行為コマンドの動作時
間等の動作時間情報を算出する。第1実施形態の場合と
同様である。本第4実施形態では、動作時間情報導出部
84が算出した動作時間情報を行動生成システム10に
出力する。
【0225】〈8〉上記各実施形態では、PTS法とし
てMODAPTS法を用いたが、MTM法等の他のPT
S法を用いても構わない。この場合、要素動作は使用す
るPTS法に規定された使用することになり、所要時間
値の算出手法もそのPTS法に準拠して行うことにな
り、PTS適用部23、83のMOD値導出部26、8
5の具体的な構成は、当該PTS法の算出基準に合わせ
て変更する。
【0226】〈9〉上記各実施形態では、動作時間算出
手段11、80の動作時間算出の対象となる行為コマン
ドは、行動生成システム10の行為コマンドを想定した
が、コンピュータマネキンの一連の作業を記述可能なコ
マンドであれば、上記実施形態で例示した行為コマンド
に限定されるものではない。
【0227】〈10〉MOD値導出部26、85におけ
るMOD値導出のための判定基準、つまり、変位情報と
MOD値の関係は、上記各実施形態のものに限定される
ものではない。例えば、MOD値として、MODAPT
S法で規定された整数値に限らず、小数点以下の値を含
むようにしても構わない。
【0228】〈11〉上記実施形態では、運動タイプ特
定手段14は、各行為コマンド、条件判断付きコマンド
の場合は各要素コマンド、に対して一つの運動タイプを
割り当てていたが、人体を上肢下肢に分けて、または、
上肢を更に左右に分けて、変位情報に基づいて部位毎に
運動タイプを割り当てるようにして精度の向上を図るよ
うにするのも好ましい。この場合、心臓循環器系モデル
15の1回拍出量算出部56、血管抵抗算出部57、血
圧変動算出部58、血圧算出部59が夫々の出力値を計
算する場合に、分割した人体部位毎に異なる運動タイプ
で算出した結果を加重平均する等の処理を行うようにす
るのも好ましい。更に、運動タイプとして、上記3タイ
プに限定されるものではない。
【0229】〈12〉心臓循環器系モデル15は、必ず
しも上記実施形態の構成に限定されるものではない。心
臓循環器系モデル15の各構成要素の一部または全部が
異なってもよく、また、各部の入出力関係が異なって
も、更に、各構成要素の算出式が異なっていても構わな
い。
【0230】〈13〉上記実施形態では、運動強度特定
手段13は表3及び表4に基づいてMET値を割り当て
る場合を示したが、表3及び表4中の各MET値は、適
宜変更可能である。更に、上記実施形態では、運動強度
指標としてMETSを用いたが、RMR等の他の運動強
度指標を用いても構わない。この場合、使用する心臓循
環器系モデル15は入力データとしてRMR等を受け付
けるモデルに変更する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業空間診断装置の第1実施形態
を示すブロック構成図
【図2】本発明に係る作業空間診断方法の処理手順を示
す流れ図
【図3】空間データ入力用、身体データ入力用、行動種
別入力用の総合入力画面の一例を示す説明図
【図4】作業空間のタイプ選択画面の一例を示す説明図
【図5】作業空間の寸法入力画面の一例を示す説明図
【図6】作業空間の機器配置画面の一例を示す説明図
【図7】作業空間使用者の個人特性入力画面の一例を示
す説明図
【図8】行動生成システムの一実施形態を示すブロック
構成図
【図9】動作時間算出手段の一実施形態を示すブロック
構成図
【図10】動作時間算出工程の処理手順を示す流れ図
【図11】作業記述用の入力データの入力項目を説明す
る説明図
【図12】動作決定ルールの一部を構成する持ち方判定
【図13】動作決定ルールの一部を構成する移動・姿勢
判定表
【図14】移動・姿勢判定表における腕の長さ算出に使
用する補正係数mと、コンピュータマネキンの筋力レベ
ル及び対象物の質量との関係を示す表
【図15】動作決定ルールの一部を構成する捻り・体全
体の回転の有無及び変更内容を説明する判定図
【図16】評価値導出手段の一実施形態を示すブロック
構成図
【図17】心臓循環器系モデルの一実施形態を示すブロ
ック構成図
【図18】評価項目の評価値及び総合評価項目の総合評
価値を表示する評価結果画面の一例を示す説明図
【図19】複数の作業空間に対する総合評価項目の総合
評価値を対比可能に表示する総合評価結果画面の一例を
示す説明図
【図20】本発明に係る作業空間診断装置の第2実施形
態を示すブロック構成図
【図21】本発明に係る作業空間診断装置の第3実施形
態を示すブロック構成図
【図22】動作時間算出手段の別実施形態を示すブロッ
ク構成図
【図23】動作時間算出工程の別実施形態における処理
手順を示す流れ図
【符号の説明】
1: 本発明に係る作業空間診断装置 2: 行動生成手段 3: 空間データ入力手段 4: 身体データ入力手段 5: 行動種別入力手段 6: 作業空間形成手段 7: 評価値導出手段 8: 総合評価値導出手段 9: 出力手段 10: 行動生成システム 11、80: 動作時間算出手段 12: 機器データベース 13: 運動強度特定手段 14: 運動タイプ特定手段 15: 心臓循環器系モデル 16: 費用見積入力手段 17: 費用データベース 18: 費用見積額計算手段 21、81: 初期入力部 22: デフォルト値設定部 82: 変位情報抽出部 23、83: PTS適用部 24、84: 動作時間情報導出部 25: 動作時間情報変更部 26、85: MOD値導出部 27、86: 移動動作判定部 28、87: 歩数計算部 29: 作業姿勢評価部 30: 関節角度評価部 31: 視野評価部 32: 到達度評価部 33: 作業時間評価部 34: 移動距離評価部 35: 消費エネルギ評価部 36: 衝突回数評価部 37: 血圧変動評価部 38: 心拍変動評価部 39: 評価値正規化部 40: 心臓負担予測手段 41: 作業記述部 42: 行為選択部 43: 行為ファイル 44: 人データベース 45: 物データベース 46: 動作決定ルール 47: 姿勢データベース 48: 可視化部 50: 入力部 51: 基準血圧算出部 52: 圧受容器部 53: 神経応答部 54: 心拍数算出部 55: 心拍出量算出部 56: 1回拍出量算出部 57: 血管抵抗算出部 58: 血圧変動算出部 59: 血圧算出部 60: 酸素摂取量算出部 61: 必要酸素摂取量算出部 62: 化学受容器部 63: 化学受容器遅延部 70: インターネット(通信ネットワーク) 71: 診断依頼者のコンピュータ端末

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 診断対象の作業空間の寸法及び設備に関
    する空間データを受け付ける第1空間データ入力工程
    と、 前記作業空間を使用する使用者の身体データを受け付け
    る身体データ入力工程と、 前記第1空間データ入力工程で入力された空間データに
    基づいてコンピュータ仮想空間上に前記診断対象の作業
    空間を形成する第1作業空間形成工程と、 前記第1作業空間形成工程で形成されたコンピュータ仮
    想空間上において、前記身体データ入力工程で入力され
    た身体データによって規定されるコンピュータマネキン
    を、予めモデル化された行動パターンに従って行動させ
    る第1行動生成工程と、 所定の評価項目について、前記第1行動生成工程によっ
    て導出されたコンピュータマネキンの行動に基づいて評
    価値を計算する第1評価値導出工程と、 前記第1評価値導出工程で計算された評価値に基づいて
    修正された前記空間データを受け付ける第2空間データ
    入力工程と、 前記第2空間データ入力工程で入力された空間データに
    基づいてコンピュータ仮想空間上に提案作業空間を形成
    する第2作業空間形成工程と、 前記第2作業空間形成工程で形成されたコンピュータ仮
    想空間上において、前記コンピュータマネキンを、前記
    行動パターンに従って行動させる第2行動生成工程と、 前記所定の評価項目について、前記第2行動生成工程に
    よって導出されたコンピュータマネキンの行動に基づい
    て前記評価値を計算する第2評価値導出工程と、 前記第1評価値導出工程及び少なくとも1回の前記第2
    評価値導出工程で夫々計算された前記診断対象の作業空
    間と少なくとも1通りの前記提案作業空間についての前
    記評価値を含む出力データを出力する出力工程と、を有
    していることを特徴とする作業空間診断方法。
  2. 【請求項2】 前記第1評価値導出工程で計算された評
    価値に基づいて所定の総合評価項目における総合評価値
    を計算する第1総合評価値導出工程と、 前記第2評価値導出工程で計算された評価値に基づいて
    前記総合評価値を計算する第2総合評価値導出工程とを
    有し、 前記出力工程において、前記出力データの一部または全
    部に代えて、或いは、前記出力データに追加して、前記
    第1総合評価値導出工程及び少なくとも1回の前記第2
    総合評価値導出工程で夫々計算された前記診断対象の作
    業空間と少なくとも1通りの前記提案作業空間について
    の前記総合評価値を含む第2出力データを出力する請求
    項1に記載の作業空間診断方法。
  3. 【請求項3】 前記総合評価項目として、前記作業空間
    における前記使用者の、快適性、使い易さ、作業効率、
    安全性の少なくとも一つを含み、前記評価項目として、
    コンピュータマネキンの姿勢、関節角度、視野、到達
    度、作業時間、移動距離、消費エネルギ、衝突回数、血
    圧変動、心拍変動の内の前記総合評価値を計算可能な項
    目が含まれる請求項2に記載の作業空間診断方法。
  4. 【請求項4】 前記所定の評価項目として、少なくとも
    前記コンピュータマネキンの作業時間が含まれ、 前記第1行動生成工程及び前記第2行動生成工程におい
    て、 前記行動パターンを規定する行為コマンドの時系列デー
    タと、前記時系列データで特定される動作における前記
    行為コマンドで特定される動作の動作時間情報と無関係
    に決定される前記コンピュータマネキンの所定人体部位
    の変位情報を入力する初期入力ステップと、 前記時系列データと前記変位情報に基づいて、前記各行
    為コマンドに所定のPTS法で規定された要素動作を割
    り付けるPTS適用ステップと、 前記PTS適用ステップで割り付けた要素動作で決定さ
    れる所要時間値またはその所要時間値の組み合わせから
    前記行為コマンドで特定される動作の動作時間情報を導
    出する動作時間情報導出ステップと、を夫々実行し、 前記第1評価値導出工程において、前記第1行動生成工
    程で導出された前記動作時間情報に基づいて前記作業時
    間を導出し、 前記第2評価値導出工程において、前記第2行動生成工
    程で導出された前記動作時間情報に基づいて前記作業時
    間を導出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1
    項に記載の作業空間診断方法。
  5. 【請求項5】 前記所定の評価項目として、少なくとも
    前記コンピュータマネキンの血圧変動と心拍変動の何れ
    か一方が含まれ、 前記第1行動生成工程及び前記第2行動生成工程におい
    て、 前記行動パターンを規定する行為コマンドで特定される
    各動作の動作時間情報を算出する動作時間算出工程を実
    行し、 前記第1評価値導出工程及び前記第2評価値導出工程に
    おいて前記血圧変動と前記心拍変動の少なくとも何れか
    一方を導出する際に、 前記行為コマンドで特定される各動作の運動強度指標を
    導出する運動強度特定工程と、 前記動作時間算出工程で算出された前記動作時間情報
    と、前記運動強度特定工程で特定された運動強度指標を
    少なくとも入力データとして、前記行為コマンドで特定
    される動作に伴う血圧及び心拍数の少なくとも何れか一
    方を時系列に沿って算出する心臓循環器系変動算出工程
    と、を実行することを特徴とする請求項1〜4の何れか
    1項に記載の作業空間診断方法。
  6. 【請求項6】 前記第1空間データ入力工程において、
    前記空間データの一部または全部を、前記身体データ入
    力工程において、前記身体データの一部または全部を、
    所定の通信ネットワークを介して、診断依頼者のコンピ
    ュータ端末より受け付け、 前記出力工程において前記出力データを、前記通信ネッ
    トワークを介して、前記診断依頼者のコンピュータ端末
    に送信する請求項1〜5の何れか1項に記載の作業空間
    診断方法。
  7. 【請求項7】 前記診断対象の作業空間から前記提案作
    業空間への変更に要する費用見積額を受け付ける費用見
    積入力工程を有し、 前記出力データに前記費用見積入力工程で受け付けた前
    記費用見積額が含まれる請求項1〜6の何れか1項に記
    載の作業空間診断方法。
  8. 【請求項8】 前記第1空間データ入力工程において受
    け付ける前記空間データに前記費用見積額の上限が含ま
    れる請求項7に記載の作業空間診断方法。
  9. 【請求項9】 前記診断対象の作業空間から前記提案作
    業空間への変更内容を予め類型化し、各類型に係る施工
    費をデータベース化した費用データベースを用いて前記
    費用見積額を計算する費用見積額計算工程を有し、 前記費用見積額計算工程で計算された前記費用見積額が
    前記費用見積入力工程で受け付けられる請求項7または
    8に記載の作業空間診断方法。
  10. 【請求項10】 前記診断対象の作業空間から前記提案
    作業空間への変更に伴い、前記作業空間内で使用される
    機器を別の機器に変更する場合に、 前記出力データに変更に係る前記機器の特定と前記別の
    機器の紹介データが含まれる請求項1〜9の何れか1項
    に記載の作業空間診断方法。
  11. 【請求項11】 診断対象の作業空間の寸法及び設備に
    関する空間データと提案作業空間の寸法及び設備に関す
    る空間データを受け付ける空間データ入力手段と、 前記作業空間を使用する使用者の身体データを受け付け
    る身体データ入力手段と、 前記空間データ入力手段が受け付けた空間データに基づ
    いてコンピュータ仮想空間上に前記診断対象の作業空間
    と前記提案作業空間を各別に形成する作業空間形成手段
    と、 前記作業空間形成手段が形成したコンピュータ仮想空間
    上において、前記身体データ入力手段が受け付けた身体
    データによって規定されるコンピュータマネキンを、予
    めモデル化された行動パターンに従って行動させる行動
    生成手段と、 所定の評価項目について、前記行動生成手段が生成した
    コンピュータマネキンの行動に基づいて評価値を計算す
    る評価値導出手段と、 前記評価値導出手段が計算した評価値に基づいて所定の
    総合評価項目における総合評価値を計算する総合評価値
    導出手段と、 前記評価値導出手段が夫々計算した前記診断対象の作業
    空間と少なくとも1通りの前記提案作業空間についての
    前記評価値を含む出力データと、前記総合評価値導出手
    段が夫々計算した前記診断対象の作業空間と少なくとも
    1通りの前記提案作業空間についての前記総合評価値を
    含む出力データの少なくとも何れか一方の出力データを
    出力する出力手段と、を有していることを特徴とする作
    業空間診断装置。
  12. 【請求項12】 前記行動生成手段が前記行動パターン
    を規定する行為コマンドで特定される各動作の動作時間
    情報を算出する動作時間算出手段を備え、 前記動作時間算出手段が、前記行為コマンドの時系列デ
    ータと、前記時系列データで特定される動作における前
    記行為コマンドで特定される動作の動作時間情報と無関
    係に決定される前記コンピュータマネキンの所定人体部
    位の変位情報を入力する初期入力部と、 前記時系列データと前記変位情報に基づいて、前記各行
    為コマンドに所定のPTS法で規定された要素動作を割
    り付けるPTS適用部と、 前記PTS適用部が割り付けた要素動作で決定される所
    要時間値またはその所要時間値の組み合わせから前記行
    為コマンドで特定される動作の動作時間情報を導出する
    動作時間情報導出部とを備えて構成されることを特徴と
    する請求項11に記載の作業空間診断装置。
  13. 【請求項13】 前記行動生成手段が、前記行動パター
    ンを規定する行為コマンドで特定される各動作の動作時
    間情報を算出する動作時間算出手段を備え、 前記評価値導出手段が、 前記行為コマンドで特定される各動作の運動強度指標を
    導出する運動強度特定手段と、 前記動作時間算出手段が算出した前記動作時間情報と、
    前記運動強度特定手段が特定した運動強度指標を少なく
    とも入力データとして、前記行為コマンドで特定される
    動作に伴う血圧及び心拍数の少なくとも何れか一方を時
    系列に沿って算出する心臓循環器系モデルと、を備えて
    いることを特徴とする請求項11または12に記載の作
    業空間診断装置。
  14. 【請求項14】 前記空間データ入力手段が前記空間デ
    ータの一部または全部を、所定の通信ネットワークを介
    して、診断依頼者のコンピュータ端末から受信可能に構
    成され、 前記身体データ入力手段が、前記身体データの一部また
    は全部を、前記通信ネットワークを介して、前記診断依
    頼者のコンピュータ端末から受信可能に構成され、 前記出力手段が前記出力データを、前記通信ネットワー
    クを介して、前記診断依頼者のコンピュータ端末に送信
    可能に構成されている請求項11,12または13に記
    載の作業空間診断装置。
  15. 【請求項15】 前記診断対象の作業空間から前記提案
    作業空間への変更に要する費用見積額を受け付ける費用
    見積入力手段を備え、 前記出力データに前記費用見積入力手段が受け付けた前
    記費用見積額が含まれる請求項11〜14の何れか1項
    に記載の作業空間診断装置。
  16. 【請求項16】 前記診断対象の作業空間から前記提案
    作業空間への変更内容を予め類型化し、各類型に係る施
    工費をデータベース化した費用データベースと、 前記費用データベースを用いて前記費用見積額を計算す
    る費用見積額計算手段とを備え、 前記費用見積入力手段は前記費用見積額計算手段が計算
    した前記費用見積額を受け付け可能に構成されている請
    求項15に記載の作業空間診断装置。
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