JP2003251473A - 金属又は合金材の摩擦撹拌接合方法 - Google Patents

金属又は合金材の摩擦撹拌接合方法

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JP2003251473A
JP2003251473A JP2002059519A JP2002059519A JP2003251473A JP 2003251473 A JP2003251473 A JP 2003251473A JP 2002059519 A JP2002059519 A JP 2002059519A JP 2002059519 A JP2002059519 A JP 2002059519A JP 2003251473 A JP2003251473 A JP 2003251473A
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Japan
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aluminum alloy
metal
friction stir
stir welding
rotor
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Takeshi Matsumoto
松本  剛
Noritaka Eguchi
法孝 江口
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一合金種と同じ施工条件で高速で接合でき
ると共に、高品質の継手を得ることができる金属又は合
金材の摩擦撹拌接合方法を提供する。 【解決手段】 組成が異なるために固相線温度が異なる
2種のアルミニウム合金板1,2を重ね合わせて摩擦撹
拌接合する。この場合に、固相線温度が低い方のアルミ
ニウム合金板1の表面に回転子3を接触させ、回転子3
の回転による摩擦熱により2種のアルミニウム合金板
1,2を軟化させて接合する。固相線温度が低い方のア
ルミニウム合金板1は、そのO材の引張り強さが他方の
O材の引張り強さよりも高いことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
アルミニウム合金等の金属又は合金材(ベース金属同
一)同士の摩擦撹拌接合方法に関し、特に、組成が異な
るために固相線温度が異なる2種類の金属又は合金材
(アルミニウム又はアルミニウム合金材)同士を接合す
る摩擦撹拌接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の輸送機器分野を中心に、種々
の特性を有するアルミニウム合金材が適材適所で用いら
れており、それらを接合して組み立てる技術が必要とさ
れている。例えば、自動車等のボディパネル及び構造部
材には、JIS5000系(Al−Mg系)合金、又は
6000系(Al−Mg−Si系)合金が使用されてお
り、部位によって両合金を使い分ける場合、これらの組
成が異なるアルミニウム合金同士を接合する必要性が生
じてくる。
【0003】このような接合に適した方法として、摩擦
撹拌接合がある(特開平10−328855号公報、特
開2000−225476号公報)。摩擦撹拌接合は、
接合部位に回転子を挿入し、回転子の回転により軟化し
た部位を撹拌することにより接合する非溶融接合方法で
ある。このため、溶融溶接の場合にしばしば発生する問
題点、即ち、組成が異なる合金の組合せによっては、溶
接割れ感受性が高くなるという問題点を回避することが
できる。
【0004】そして、特開平10−137952号公報
には、アルミニウム材と異種金属材との接合方法とし
て、強度が高い方の被接合材にプローブ(回転子)を接
触させる技術が開示されている。一方、特開平11−5
8040号公報には、異種金属製ワーク同士の摩擦撹拌
接合方法として、融点が異なる金属製ワーク同士を重ね
合わせ、当接部位置よりも高融点ワーク側に温度のピー
クを形成しながら摩擦撹拌接合する方法が開示されてい
る。即ち、この従来技術においては、高融点側の被溶接
材に回転子を接触させ、その回転により高融点ワーク側
から回転子を挿入して摩擦撹拌接合している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ベース
金属は同一であるが組成が異なる(合金種が異なる)部
材同士を接合する場合、同一合金種同士における回転工
具の移動速度、挿入方向、回転速度などの施工条件で施
工すると、撹拌が十分に行われなくなり、内部に空孔状
の欠陥が生じたり、接合強度が低下するなどの問題点が
多発し、継手の信頼性が低いという問題点があった。ま
た、その問題点を克服するためには、回転子の移動速度
を遅くしなければならず、生産性が低くなるという難点
がある。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、同一合金種と同じ施工条件で高速で接合で
きると共に、高品質の継手を得ることができる金属又は
合金材の摩擦撹拌接合方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属又は合
金材の摩擦撹拌接合方法は、ベースとなる金属は同一で
あるが、組成が異なるために固相線温度が異なる2種の
金属又は合金材を重ね合わせ、固相線温度が低い方の金
属又は合金材の表面に回転子を接触させ、前記回転子の
回転による摩擦熱により前記2種の金属又は合金材を軟
化させて接合することを特徴とする。なお、前記金属又
は合金材は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合
金材である。また、固相線温度が低い方の金属又は合金
材は、そのO材の引張り強さが他方のO材の引張り強さ
よりも高いことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の
実施例方法を示す模式図である。2枚のアルミニウム合
金板1,2は、組成が相違するため、その固相線温度は
相違する。本実施例においては、アルミニウム合金板1
の固相線温度t1の方がアルミニウム合金板2の固相線
温度t2よりも低い(t1<t2)。そして、この固相
線温度が低い方のアルミニウム合金板1の表面に回転子
3を接触させ、回転子3をアルミニウム合金板1に押圧
しつつ回転させてその摩擦熱によりアルミニウム合金板
1を軟化させ、回転子3をアルミニウム合金板1に挿入
する。そして、更にアルミニウム合金板2を回転子3の
回転による摩擦熱により軟化させ、両者の軟化部を回転
子3の回転により撹拌して、アルミニウム合金板1,2
を摩擦撹拌接合する。
【0009】一般に、塑性流動エネルギーは、その材料
の固相線温度に近いほど高くなり、温度が高くなるほ
ど、塑性流動エネルギーが充填され、固相のまま撹拌し
やすくなる。本発明は、この点に着目し、塑性流動エネ
ルギーの高い材料とそのエネルギーを利用し、より高品
質で高効率な摩擦撹拌接合方法を得るものである。
【0010】即ち、固相線温度t1が低いアルミニウム
合金板1と固相線温度t2が高いアルミニウム合金板2
とを重ね合わせ、固相線温度が低い方のアルミニウム合
金板1の表面から回転子3を挿入することにより、接合
部の昇温の過程で、固相線温度t1が低い方のアルミニ
ウム合金板1がその固相線温度t1の近傍に先に達し、
より大きな塑性流動エネルギーが得られる。この塑性流
動エネルギは、アルミニウム合金板2の塑性流動に対す
る駆動力となって、接合部における撹拌がより激しく生
じ、接合部において材料が混合しやすくなり、その結
果、撹拌組織が微細化して継手部の機械的性質を高める
ことができる。また、短時間で混合できるため、摩擦撹
拌に要する時間を短縮することができる。
【0011】逆に、固相線温度が高い方のアルミニウム
合金板2に回転子3を接触させ、アルミニウム合金板2
側から回転子3を挿入した場合、昇温過程で、先ず、固
相線温度t1が低いアルミニウム合金板1が軟化する
が、回転子3が接触している側のアルミニウム合金板2
はその固相線温度t2が高いため、得られる塑性流動エ
ネルギーは低く、十分な撹拌部を得るために多くの時間
と労力が必要になる。
【0012】なお、本発明は、上記実施例に限定され
ず、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金以外の
金属又は合金にも適用することができる。また、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金板を使用する場合、固相線
温度が低い方の金属又は合金材(図1のアルミニウム合
金板1)は、そのO材における引張り強さが他方(図1
のアルミニウム合金板2)のO材における引張り強さよ
りも高いことが好ましい。摩擦撹拌接合された継手の強
度を支配するものは、回転子3が挿入される表面側のア
ルミニウム合金板1の強度であり、また、摩擦撹拌接合
の際に発生する熱によってアルミニウム合金板1の接合
部近傍の部位は、焼き鈍しの状態(O材)となってしま
うため、O材での強度が高い品種をアルミニウム合金板
1として使用することにより、より高い継手強度を得る
ことができる。例えば、回転子3と接触するアルミニウ
ム合金板1として、Al−Mg系合金である5000系
アルミニウム合金を使用し、反対側のアルミニウム合金
板2として、Al−Mg−Si系合金である6000系
アルミニウム合金を使用することにより、より高い継手
強度を得ることができる。
【0013】
【実施例】次に、本実施例の効果について、本発明の範
囲から外れる比較例と比較して説明する。組成が異なる
アルミニウム合金として、下記表1に示す組成及び固相
線温度のアルミニウム合金A乃至Cを使用した。そし
て、本発明の実施例1乃至3として、表2に示すよう
に、表1のアルミニウム合金A乃至Cの板を回転子側の
方が固相線温度が低いものとなるように配置し、比較例
4乃至6として表1のアルミニウム合金A乃至Cの板を
回転子側の方が固相線温度が高いものとなるように配置
した。そして、この固相線温度が異なるアルミニウム合
金板に対し、重ねあわせた状態で、摩擦撹拌接合した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】このようにして、摩擦撹拌接合による溶接
試験を実施した結果、継手部の引張強度を表2に合わせ
て示す。なお、表2の「引張試験結果」欄においては、
固相線温度が低いアルミニウム合金同士(同種)を摩擦
撹拌接合した場合の継手部の引張り強度と比較して、同
等であった場合を◎、若干劣っていたが許容範囲であっ
た場合を○、劣っていた場合を△で示した。
【0017】この表2に示すように、実施例1乃至3の
継手部の引張強度は、いずれも、同種のアルミニウム合
金材同士を摩擦撹拌接合した場合とほぼ同等の結果が得
られた。これに対し、比較例4乃至6では、継手部の引
張強度は、同種材の摩擦撹拌接合よりも劣る結果となっ
た。従って、本発明の異種材の摩擦撹拌接合によれば、
同種材同士の摩擦撹拌接合と同一の処理条件で、同程度
の継手性能が得られることが確認された。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
組成が異なる2種類の金属又は合金を摩擦撹拌接合する
場合に、同種材同士の摩擦撹拌接合による継手強度と同
等の継手性能を得ることができ、その組合せでの施工条
件の多様化による煩雑さがなく、容易に施工条件を見い
だすことができ、溶接効率が優れていると共に、接合信
頼性が高く、強度及び剛性も高い接合部を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例方法を示す模式図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースとなる金属は同一であるが、組成
    が異なるために固相線温度が異なる2種の金属又は合金
    材を重ね合わせ、固相線温度が低い方の金属又は合金材
    の表面に回転子を接触させ、前記回転子の回転による摩
    擦熱により前記2種の金属又は合金材を軟化させて接合
    することを特徴とする金属又は合金材の摩擦撹拌接合方
    法。
  2. 【請求項2】 前記金属又は合金材は、アルミニウム又
    はアルミニウム合金材であることを特徴とする請求項1
    に記載の金属又は合金材の摩擦撹拌接合方法。
  3. 【請求項3】 固相線温度が低い方の金属又は合金材
    は、そのO材の引張り強さが他方のO材の引張り強さよ
    りも高いことを特徴とする請求項2に記載の金属又は合
    金材の摩擦撹拌接合方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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