JP2003250522A - フザリウム属菌生菌製剤及びその製造方法 - Google Patents

フザリウム属菌生菌製剤及びその製造方法

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JP2003250522A
JP2003250522A JP2002052268A JP2002052268A JP2003250522A JP 2003250522 A JP2003250522 A JP 2003250522A JP 2002052268 A JP2002052268 A JP 2002052268A JP 2002052268 A JP2002052268 A JP 2002052268A JP 2003250522 A JP2003250522 A JP 2003250522A
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producing
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Susumu Shimoda
進 下田
Mitsunori Maeda
光紀 前田
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Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無農薬有機農産物生産用の土壌改良剤として
の利用が注目されているゼオライト等の粘土鉱物粉末を
担体として用い、長期間保存することができる未乾燥フ
ザリウム属菌生菌製剤や、その低コスト製造方法を提供
すること。 【解決手段】 植物病害に対して防除効果を有するフザ
リウム(Fusarium)属菌を液体培養し、脱水処理後のペ
レット状若しくは懸濁状の胞子又は芽胞状菌体とゼオラ
イト等の粘土鉱物粉末担体とを、その水分含量が5〜2
5重量%となるように混合、例えば、胞子又は芽胞状菌
体の湿重量の3〜100倍の粘土鉱物粉末担体を混合
し、未乾燥フザリウム属菌生菌製剤を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物病害に対して
防除効果を有する、産業上有用なフザリウム属菌の生菌
製剤及びその製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】土壌にはフザリウム(Fusarium)属菌を
はじめとして多くの伝染性植物病原菌が生息しており、
植物の生育に多大な影響を与えている。例えば、フザリ
ウム属に属する植物病原菌の防除方法として、病原性の
フザリウム属菌を熱や薬剤などで直接殺菌する防除法で
はなく、非病原性のフザリウム属菌を前接種することに
よる作物の抵抗性を誘導したり、あるいは、非病原性の
フザリウム属菌の処理による生物的な競合を利用した防
除法等が注目されている。
【0003】抵抗性の誘導による病原性フザリウム属菌
の防除法としては、例えば、トマト萎凋病菌(Fusarium
oxysporum f. sp. lycopersici)によるトマト萎凋病
に対して、フザリウム・オキシスポラム・エフ・エスピ
ー・ククメリナム(Fusariumoxysporum f. sp. cucumer
inum)の前接種による発病抑制効果が大きいことが報告
されている(山口健一、飯田 格 他:日植病夏期関東
部会講演要旨 1993年)。また、フザリウム・オキ
シスポラム・エフ・エスピー・バテイタス(Fusarium o
xysporum f. sp. batatas)の感染によるサツマイモつ
る割れ病に対して、サツマイモ導管部から分離した非病
原性フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporu
m)のさし芽切り口浸漬などの前接種が、発病抑制効果
が高いと報告されている(小川 奎、駒田 旦:日植病
報、50,1984年)。
【0004】生物的な競合による病原性フザリウム属菌
の防除法としては、例えば、イネに対して弱病原性のフ
ザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)を
用いてイネ種子を処理することにより、イネばか苗病、
イネごま葉枯病及びイネいもち病に対して高い発病抑制
効果が得られることが知られている(特開平5−652
09号公報)。
【0005】しかし、これらの有用なフザリウム属菌を
用いた微生物農薬を実用化する際の大きな問題は、製造
後の流通、輸送、保管を経て、使用する段階まで、農薬
としての効果を示すに必要な一定の菌数を維持できるか
にある。
【0006】そこで、これらの点を解決するために、非
病原性フザリウム属菌をはじめとする農業用有用微生物
の安定化およびその製剤化の検討が行われている。フザ
リウム属菌の製剤化に関しては、例えばゼオライト系基
材に吸着させ、含水量10%以下になるまで自然乾燥さ
せたフザリウム生菌製剤(特開昭63−227507号
公報)、D−ソルビトールを主体としこれに少量のグル
タミン酸塩を添加した分散媒にフザリウムの生菌体を分
散し、真空凍結乾燥させたフザリウム生菌製剤(特開昭
63−227507号公報)、フザリウム属菌をバーク
炭に吸着させたフザリウム属固定資材(特開平3−11
2909号公報)、キチン質含有物と混合したフザリウ
ム生菌製剤(特開平6−24924号公報)、フザリウ
ム菌の液体培養物を白土または炭酸カルシウムと混合
し、水分を5〜30%に乾燥させたフザリウム生菌製剤
(特開平8−294385号公報)、フザリウム属菌の
芽胞を主体とする生菌体を含む液をセピオライト、アタ
パルジャイト等の層−リボン構造を有する粘度鉱物と混
合し乾燥したフザリウム生菌製剤(特開平11−209
211号公報)、フザリウム属菌の胞子または芽胞状菌
体とデンプンとを含む製剤(特開2001−72522
号公報)等が知られている。
【0007】他方、ゼオライトは、ケイ酸塩のケイ素の
一部がアルミニウムに置換された形の縮合酸塩であり、
SiO4―AlO4の連結四面体が頂点を共有してつくる
三次元網目構造中の空孔にアルカリ金属、アルカリ土類
金属、水分子が入った構造を有し、骨格のケイ素とアル
ミニウムの比、又は陽イオンの種類、数等によって各種
の構造のゼオライトが存在することが知られている。ゼ
オライトには、吸着性、吸湿性(調湿性)、陽イオン交
換性などの特性があり、また無公害であるため土壌改良
剤、水質浄化剤などその利用が注目され、用途はさまざ
まな分野に広がっており、特に、根の旺盛な発育、土壌
のイオン交換容量の増大、良好な肥保ち、保水性の増
加、病害虫の予防、残留農薬の作物への移行抑制等の作
用を有することから、無農薬有機農産物生産用の土壌改
良剤としての利用が注目されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無農薬有機農
産物生産用の土壌改良剤としての利用が注目されている
ゼオライト系基材を担体として用いた従来のフザリウム
生菌製剤は、ゼオライト系基材の保水性が低いため、乾
燥工程が必要であり、工業的レベルでは生産コストの上
昇要因になるとされ(特開2001−72522号公報
[0008]参照)、また、フザリウム菌の生菌体をゼ
オライト系基材に吸着させた製剤は、クレー、タルク等
に吸着させたものより菌の生存性が高いが、室温で保存
すると生菌数が急激に減少するとされていた(特開平1
1−209211号公報[0008]参照)。
【0009】本発明の課題は、無農薬有機農産物生産用
の土壌改良剤としての利用が注目され、経済性に優れた
ゼオライト等の粘土鉱物粉末を担体として用い、長期間
保存することができる未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
や、その低コスト製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、イネに対し
て病原性が無く、イネばか苗病、イネごま葉枯病、イネ
いもち病に対して高い病害防除効果を有し、農業生産に
有用である前記弱病原性フザリウム・モニリフォルメ
と、無農薬有機農産物生産用の土壌改良剤としての優れ
た作用と、経済性に優れたゼオライトとを用いた、長期
間保存することができるフザリウム属菌生菌製剤の低コ
スト製造方法について鋭意検討した結果、フザリウム属
菌の液体培養物から脱水処理により得られたペレット状
若しくは懸濁状の胞子又は芽胞状菌体とゼオライトと
を、その水分含量が5〜30重量%となるように混合す
ることにより調製した、水分含量を調整しただけの未乾
燥フザリウム属菌生菌製剤が、乾燥処理を施したフザリ
ウム属菌生菌製剤に比べて優れた保存安定性を示し、長
期間保存しても優れた生菌率を示すことを見出し、本発
明を完成させるに至った。
【0011】すなわち本発明は、植物病害に対して防除
効果を有するフザリウム(Fusarium)属菌を液体培養
し、脱水処理後のペレット状若しくは懸濁状の胞子又は
芽胞状菌体と粘土鉱物粉末担体とを、その水分含量が5
〜30重量%となるように混合することを特徴とする未
乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法(請求項1)
や、ペレット状若しくは懸濁状の胞子又は芽胞状菌体の
湿重量の3〜100倍の粘土鉱物粉末担体を混合するこ
とを特徴とする請求項1記載の未乾燥フザリウム属菌生
菌製剤の製造方法(請求項2)や、粘土鉱物粉末担体
が、ゼオライトであることを特徴とする請求項1又は2
記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法(請求
項3)や、展着剤、結合剤から選ばれる1又は2種以上
の添加剤を配合することを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法
(請求項4)や、植物病害に対して防除効果を有するフ
ザリウム(Fusarium)属菌がフザリウム・オキシスポラ
ム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・モニリフォル
メ(Fusarium moniliforme)、フザリウム・ロゼウム(F
usarium roseum)又はフザリウム・ソラニ(Fusarium so
lani)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法(請求
項5)や、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium mon
iliforme)が、フザリウム・モニリフォルメ(FERM
P−18726)であることを特徴とする請求項5記
載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法(請求項
6)や、請求項1〜6のいずれか記載の製造方法によっ
て得られる未乾燥フザリウム属菌生菌製剤(請求項7)
や、請求項7記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤を栽
培作物に用いることを特徴とする植物病害の防除方法
(請求項8)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の未乾燥フザリウム属菌生
菌製剤の製造方法としては、植物病害に対して防除効果
を有するフザリウム属菌を液体培養し、脱水処理後のペ
レット状若しくは懸濁状の胞子又は芽胞状菌体と粘土鉱
物粉末担体とを、その水分含量が5〜30重量%となる
ように混合する方法であれば特に制限されるものではな
く、用いられるフザリウム属菌としては、植物病害に対
して防除効果を有するフザリウム属に属する真菌であれ
ばどのようなものでもよく、例えばフザリウム・オキシ
スポラム、フザリウム・モニリフォルメ、フザリウム・
ロゼウム、フザリウム・ソラニ、その他の非病原性又は
弱病原性のフザリウム属に属する菌を具体的に挙げるこ
とができるが、中でもフザリウム・モニリフォルメ(F
ERM P−18726)を好適に例示することができ
る。
【0013】植物病害に対して防除効果を有するフザリ
ウム属菌の液体培養に用いる培地としては、フザリウム
属菌を液体培養することにより胞子又は芽胞状菌体が得
られるものであれば任意に選択することができ、例えば
ポテト−デキストロール培地、ポテト−スクロース培
地、ツァペック−ドックス培地などを具体的にあげるこ
とができる。これらの液体培地を滅菌した後にフザリウ
ム属菌を接種し、25〜30℃の温度で3〜10日間振
盪培養することにより芽胞濃度の高い培養物を得ること
ができる。
【0014】フザリウム属菌の胞子や芽胞状菌体を含む
液体培養物は、次いで濾過、遠心分離等の脱水処理に付
され、培養液画分が除去されたペレット状若しくは懸濁
状の胞子又は芽胞状菌体を主体とする生菌体が得られ
る。粘土鉱物粉末担体に混合・吸着されるこれら生菌体
は、胞子や芽胞状菌体からなるものが好ましいが、厚膜
胞子や菌糸体が多少含まれていてもよく、また、必要に
応じて、脱水処理後のこれら生菌体に、フザリウム属菌
生菌製剤の水分調節のために、水を加えることもでき
る。
【0015】本発明に用いられる粘土鉱物粉末担体とし
ては、ケイ酸塩化合物を含む鉱石を原料とする粉末状担
体であればどのようなものでもよく、ゼオライト、クレ
ー、タルク、珪藻土、ベントナイト等を具体的に例示す
ることができる。上記ゼオライト(沸石)としては、粉
末状、粒状の天然ゼオライト、合成ゼオライトのいずれ
も用いることができ、上記クレーとしては、パイロフィ
ライトクレー、カオリンクレー、珪石クレーを例示する
ことができ、これらは乾式粉砕又は湿式粉砕のいずれに
よって調製したものでもよく、上記タルクとしては、滑
石を粉砕したアルカリ性(pH8〜9.5)の担体であ
ればどのようなものでもよく、上記珪藻土としては、珪
藻土を乾燥、焼成、高温焼成などで処理したものであれ
ば特に制限されず、上記ベントナイトとしては、粘土鉱
物のモンモリロナイトを主成分にケイ酸、ケイ酸塩、炭
酸塩、硫酸塩などの鉱物の粉砕物を挙げることができ
る。これら粘土鉱物粉末担体としては、粒径0.01〜
100μm、好ましくは1〜50μmの粒度の粉末を例
示することができる。これら粘土鉱物粉末担体の中で
も、無農薬有機農産物生産用の土壌改良剤としての利用
が注目されているゼオライトを用いることが好ましい。
【0016】本発明の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
は、フザリウム属菌のペレット状若しくは懸濁状の胞子
又は芽胞状菌体を含む生菌体とゼオライト等の粘土鉱物
粉末担体とを、その水分含量が5〜30重量%、好まし
くは10〜20重量%となるように混合、好ましくは均
一に混合することにより調製することができる。水分含
量が5〜30重量%となるように混合する場合、優れた
保存安定性を示し、長期間保存しても優れた生菌率を示
す生菌製剤を調製することができる。これに対して、水
分含量が5%未満となるように混合する場合、混合前の
生菌体をあらかじめ乾燥して水分含量を低下させておく
か、混合前の生菌体に対する粘土鉱物粉末担体の配合割
合を大きくしておく必要があり、混合前の生菌体をあら
かじめ乾燥すると、生菌数が減少することから好ましく
なく、混合前の生菌体に対する粘土鉱物粉末担体の配合
割合を大きくすると、製剤中の生菌数が相対的に減少す
ることから施用量が多くなり好ましくない。反対に、水
分含量が30%を超えるように混合する場合、混合前の
生菌体に対する粘土鉱物粉末担体の配合割合が小さく、
製剤中での生菌率が保存中に低下する上に、水分含量が
30%を超えると製剤にケーキングが認められることか
ら好ましくない。
【0017】本発明の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
は、乾燥処理が施されていない生菌製剤である点にも特
徴を有し、乾燥処理が施されていないことから、優れた
保存安定性を示し、長期間保存しても優れた生菌率を示
す生菌製剤を低コストで調製することができる。ここで
乾燥処理とは、自然乾燥、通風乾燥、熱風乾燥、凍結乾
燥などの通常の乾燥処理をいう。そして、かかる本発明
の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤を調製するには、上記
のように、フザリウム属菌のペレット状若しくは懸濁状
の胞子又は芽胞状菌体を含む生菌体とゼオライト等の粘
土鉱物粉末担体とを、その水分含量が5〜30重量%と
なるように混合すればよく、粘土鉱物粉末担体の含水率
にもよるが、通常、3000回転・10分間遠沈操作に
よる脱水処理後の生菌体の重量(湿重量;乾燥菌体重量
と水の重量との合計)の3〜100倍、好ましくは5〜
10倍の重量の粘土鉱物粉末担体を配合することによ
り、水分含量が5〜30重量%、好ましくは10〜20
重量%となるように混合することができる。
【0018】本発明の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
は、上記フザリウム属菌の生菌体と粘土鉱物粉末担体と
からなるものでもよいが、必要に応じて、展着剤、結合
剤等の添加剤を1種又は2種以上配合することができ
る。これらの添加剤はフザリウム属菌や施用植物に対し
て無害であるか、あるいは悪影響を及ぼさないものが好
ましい。上記展着剤としては、主成分である界面活性剤
により表面張力を低下させ湿展性を付与するものであれ
ば特に制限されるものではなく、例えばポリオキシエチ
レンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の公知のノニ
オン界面活性剤や、脂肪酸の低級アルキルエステルのス
ルホン酸塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等の公知の
アニオン界面活性剤を挙げることができ、これらは2種
類以上を混合して用いることができる。また、上記結合
剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナト
リウム塩、ショ糖、デンプン、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコールなどを挙げることができ、これら
は2種類以上を混合して用いることができる。添加剤の
配合割合は、通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜
10重量%とすることができる。
【0019】本発明の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
は、上記のように、室温で製造ができ、かつ乾燥工程を
要しないことから低コストで製造でき、また乾燥処理フ
ザリウム属菌生菌製剤に比べて、保存安定性に優れ、長
期間保存後においても生菌数に優れている。
【0020】本発明の植物病害の防除方法としては、上
記本発明の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤を栽培作物に
用いる防除方法であれば特に制限されるものではなく、
通常、水和剤、粉末状水和剤、粒状水和剤の薬液形態
で、作物の種子や苗を浸漬処理する方法や作物に散布す
る方法等を挙げることができる。上記栽培作物として
は、イネ、コムギ、ダイズ、キュウリ、トマト、テンサ
イ、ジャガイモ、サツマイモ等を挙げることができる。
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではな
い。実施例では、供試菌として非病原性フザリウム・モ
ニリフォルメ(FERM P−18726)を用いた。
また、ゼオライトとしてジークライト株式会社製「ゼオ
ライトSGW−B3」を用いた。
【0022】実施例1 ポテト−デキストロース培地に非病原性フザリウム・モ
ニリフォルメを接種して、25℃で7日間振盪培養後、
その培養物をガーゼで濾過することにより菌糸片を除
き、胞子(芽胞状菌体)懸濁液を得た。3000回転、
10分間遠沈操作後、含水率約80%の胞子ペレットを
得た。この胞子ペレット0.5g(5.8×109
子)を5gのゼオライトに滴下し、均一に混合した。こ
れらの操作により水分含量11.8重量%の約5.5g
の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤を得た。
【0023】実施例2 ポテト−デキストロース培地に非病原性フザリウム・モ
ニリフォルメを接種して、25℃で7日間振盪培養後、
その培養物をガーゼで濾過することにより菌糸片を除
き、胞子(芽胞状菌体)懸濁液を得た。3000回転、
10分間遠沈操作後、含水率約80%の胞子ペレットを
得た。この胞子ペレット0.5g(5.8×109
子)を0.5mlの水に懸濁し、5gのゼオライトに滴
下し、均一に混合した。これらの操作により水分含量1
9.2重量%の約6gの未乾燥フザリウム属菌生菌製剤
を得た。
【0024】実施例3 ポテト−デキストロース培地に非病原性フザリウム・モ
ニリフォルメを接種して、25℃で7日間振盪培養後、
その培養物をガーゼで濾過することにより菌糸片を除
き、胞子(芽胞状菌体)懸濁液を得た。3000回転、
10分間遠沈操作後、含水率約80%の胞子ペレットを
得た。この胞子ペレット0.5g(1.0×1010
子)を1.0mlの水に懸濁し、5gのゼオライトに滴
下し、均一に混合した。これらの操作により水分含量2
5.4重量%の約6.5gの未乾燥フザリウム属菌生菌
製剤を得た。
【0025】比較例1 ポテト−デキストロース培地に非病原性フザリウム・モ
ニリフォルメを接種して、25℃で7日間振盪培養後、
その培養物をガーゼで濾過することにより菌糸片を除
き、胞子(芽胞状菌体)懸濁液を得た。3000回転、
10分間遠沈操作後、含水率約80%の胞子ペレットを
得た。この胞子ペレット0.2g(3.0×109
子)を水30mlに再懸濁し、ゼオライト2gを加えて
よく混合した。遠沈操作により得た混合物をシャーレ内
に広げ、7℃で7日間自然乾燥後、破砕した。これらの
操作により約2gの乾燥処理フザリウム属菌生菌製剤を
得た。
【0026】試験例1 実施例1〜3、比較例1で調製した各製剤の調整直後の
製剤0.1g当たりに生存している菌数を希釈平板法に
て調査し、生菌率を算出した。その結果、表1に示した
通り、実施例1、実施例2及び実施例3の未乾燥生菌製
剤は比較例1の乾燥生菌製剤と比較して、いずれの製剤
も菌の生菌率が高いことがわかった。
【0027】
【表1】
【0028】試験例2 実施例1〜3、比較例1で調製した各製剤を密閉容器に
入れ、7℃で保存した。経時的に製剤0.1g当たりに
生存している菌数を希釈平板法にて調査し、生菌率を算
出した。その結果、表2に示した通り、実施例1、実施
例2及び実施例3の未乾燥生菌製剤は、比較例1の乾燥
生菌製剤と比較して、いずれの製剤も少なくとも同等以
上の高い長期保存安定性が得られることがわかった。特
に、実施例2の未乾燥生菌製剤では90日という長期保
存後においても生菌数の減少が認められず、特に優れた
長期保存安定性が得られることがわかった。
【0029】
【表2】
【0030】試験例3 実施例3及び比較例1で調製した各製剤を密閉容器に入
れ、15℃で保存した。経時的に製剤0.1g当たりに
生存している菌数を希釈平板法にて調査し、生菌率を算
出した。その結果、表3に示すとおり、実施例3の製剤
は、比較例1の製剤に比べて高い保存安定性が得られる
ことがわかった。
【0031】
【表3】
【0032】実施例4 ゼオライトの水分含量と製剤の物性について検討を行う
ため、各10gのゼオライトに、その水分含量が5%、
10%、20%、30%及び35%になるように水を加
えてよく混合した。ここで、実際の水の添加量は、常温
におけるゼオライトの水分含量4%を考慮して添加し
た。尚、常温におけるゼオライトの水分含量は、常温で
の重量測定後、シリカゲルを入れたデシケーター内に
て、常温減圧下で十分乾燥させた後の重量測定を行い、
両者を比較することにより常温における水分含量4%を
算出した。
【0033】試験例4 水分含量別にゼオライト製剤の混合時のケーキングの有
無について調査した。また、混合後のゼオライト製剤各
1gをコルベン内の水100mlに入れ、懸濁性につい
て調査した。その結果、水分含量30%以下では、ケー
キングも認められず、また懸濁性も良好であった。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】本発明のフザリウム属菌生菌製剤は、フ
ザリウム属菌の胞子または芽胞状菌体をゼオライトに混
合しているため、フザリウム(Fusarium)属菌の胞子ま
たは芽胞状菌体を安定して長期間保存することが可能で
ある。また、本発明のゼオライト製剤は乾燥工程を必要
としないため、乾燥時の胞子の死滅がなく、また、工業
化にあたっては設備投資およびランニングコストの軽減
が可能であり、低コストでの製造が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B065 AA65X AC20 BB01 BC03 BC26 BD05 BD18 BD22 CA47 4H011 AA01 BA01 BB21 BC18 BC19 DA02 DA03 DC05 DC06 DD04 DH10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物病害に対して防除効果を有するフザ
    リウム(Fusarium)属菌を液体培養し、脱水処理後のペ
    レット状若しくは懸濁状の胞子又は芽胞状菌体と粘土鉱
    物粉末担体とを、その水分含量が5〜30重量%となる
    ように混合することを特徴とする未乾燥フザリウム属菌
    生菌製剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 ペレット状若しくは懸濁状の胞子又は芽
    胞状菌体の湿重量の3〜100倍の粘土鉱物粉末担体を
    混合することを特徴とする請求項1記載の未乾燥フザリ
    ウム属菌生菌製剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 粘土鉱物粉末担体が、ゼオライトである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の未乾燥フザリウ
    ム属菌生菌製剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 展着剤、結合剤から選ばれる1又は2種
    以上の添加剤を配合することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 植物病害に対して防除効果を有するフザ
    リウム(Fusarium)属菌がフザリウム・オキシスポラム
    (Fusarium oxysporum)、フザリウム・モニリフォルメ
    (Fusarium moniliforme)、フザリウム・ロゼウム(Fus
    arium roseum)又はフザリウム・ソラニ(Fusarium sola
    ni)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記
    載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium
    moniliforme)が、フザリウム・モニリフォルメ(FE
    RM P−18726)であることを特徴とする請求項
    5記載の未乾燥フザリウム属菌生菌製剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の製造方法
    によって得られる未乾燥フザリウム属菌生菌製剤。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の未乾燥フザリウム属菌生
    菌製剤を栽培作物に用いることを特徴とする植物病害の
    防除方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009034397A3 (en) * 2007-09-11 2010-03-11 Kalliope Papadopoulou The fungus fusarium solani strain 'fs-k' and its use in the biological control of plant pathogens and in the enhancement of plant growth and productivity
JP2015231351A (ja) * 2014-06-10 2015-12-24 アクアサービス株式会社 硫黄細菌を担持させた袋状微生物製剤およびそれを用いた環境浄化方法
WO2024154589A1 (ja) * 2023-01-18 2024-07-25 関西ペイント株式会社 微生物担持樹脂粒子

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