JP2003247651A - 液封式安全器 - Google Patents

液封式安全器

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JP2003247651A
JP2003247651A JP2002051573A JP2002051573A JP2003247651A JP 2003247651 A JP2003247651 A JP 2003247651A JP 2002051573 A JP2002051573 A JP 2002051573A JP 2002051573 A JP2002051573 A JP 2002051573A JP 2003247651 A JP2003247651 A JP 2003247651A
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propylene glycol
water
filling liquid
weight
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JP2002051573A
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English (en)
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Kenro Yasumatsu
建郎 安松
Toshihiro Mori
智弘 森
Hidemasa Nonaka
英正 野中
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充填液の液面の高さ管理における省力化及びコ
ストダウンを図る。 【解決手段】充填液10の液面10a上方に空間9を形
成してある密封タンク12に、ガス導管から分岐した分
岐管13を、その分岐管出口14が前記充填液10中に
位置するように接続するとともに、前記空間9と外部雰
囲気とを連通するガス放出管17を接続してある液封式
安全器Dであって、前記充填液10として多価アルコー
ル液を収容してある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液封式安全器に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種の液封式安全器は、ガス導管の整
圧に利用されるものであり、ガス導管の圧力が設定圧力
を越えると、ガスが、ガス導管から分岐した分岐管の充
填液中に位置させてある分岐管出口より、分岐管出口と
充填液間の液圧に抗して充填液の液面上に放出され、そ
して、その液面上方の空間からガス放出管を経て外部雰
囲気(例えば大気)へと放出されて、ガス導管の圧力が
設定圧力以下に維持される。
【0003】そして、従来、このような液封式安全器で
は、充填液としては水が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水は、
その蒸気圧が比較的高いため、充填液として水を用いる
と、水が蒸発しその液面(水位)が低下し易いのだが、
充填液の液面が低下すると、分岐管出口と充填液間の液
圧が減少し、ガス導管では、設定圧力を越えていない低
い圧力のガスでも、分岐管出口からガス放出管を経て外
部雰囲気に放出されてしまうようになるという不具合が
生じる。このため、充填液として収容される水の水位
が、設定圧力に対応する高さよりも低くなると、設定圧
力に対応する水位になるように、水の給水を行うメンテ
ナンス作業が必要となるが、先述のように、水の場合そ
の蒸気圧が高いことから水位が低下し易いため、かかる
メンテナンス作業を頻繁に行う必要があると共に、その
管理コストが高くなるという問題がある。
【0005】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、充填液の液面の高さ管理におけ
る省力化及びコストダウンを図ることができる液封式安
全器を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、密封タンク
内の充填液の飽和蒸気圧と、その密封タンク内の空間に
連通する外部雰囲気の蒸気圧とに差があるが故に、充填
液の液面が変動することに着目し、鋭意開発研究した結
果、以下のような特徴構成に至った。
【0007】請求項1記載の発明の特徴構成は、充填液
の液面上方に空間を形成してある密封タンクに、ガス導
管から分岐した分岐管を、その分岐管出口が前記充填液
中に位置するように接続するとともに、前記空間と外部
雰囲気とを連通するガス放出管を接続してある液封式安
全器であって、前記充填液として多価アルコール液を収
容してあるところにある。
【0008】〔作用及び効果〕多価アルコール類は、そ
の沸点や融点から、液封式安全器が通常用いられる温度
範囲においては液体であり、しかも、その蒸気圧が非常
に低いことから、非常に蒸発し難い性質を有している。
そこで、充填液として多価アルコール液を収容してある
と、充填液が蒸発するなどしてその液面が変動する割合
は水の場合に比べて低くなる。よって、充填液の液面の
高さを一定に維持するために、給液や排液などのメンテ
ナンスを従来のように頻繁に行う必要性はなく、充填液
の液面の高さ管理における省力化及びコストダウンを図
ることができるようになる。尚、多価アルコールは化学
的に安定であり、例えば、外部雰囲気と連通する空間内
に含まれる水分を吸着したとしても、変質してしまうよ
うなおそれもなく、長期的に安定して使用することが可
能でもある。また、多価アルコール類は、一般に、比重
が水と近いものが多く、従来の液封式安全器をそのまま
使用することも可能である。そして、多価アルコール類
は比較的安価なものが多く経済的でもある。
【0009】請求項2記載の発明の特徴構成は、上記請
求項1記載の特徴構成に加えて、前記多価アルコール液
のプロピレングリコール濃度が、50重量%以上である
ところにある。
【0010】〔作用及び効果〕発明の実施の形態の欄に
て詳説するように、前記多価アルコール液のプロピレン
グリコール濃度が50重量%以上であると、水100%
の場合に比べて、液面の高さの変動が少なく、充填液の
液面位置を一定に保つために必要となるメンテナンス作
業の必要性を確実に低減することができるようになる。
また、プロピレングリコールは殺菌性があるために、密
封タンクの内面に微生物が発生し難く、充填液の液面を
介しての蒸発や吸湿のみならず、密封タンクの内面に発
生する藻等を介して充填液が蒸発や吸湿するおそれも低
減され、より確実に液面の高さの変動を防止できるよう
にもなる。
【0011】請求項3記載の発明の特徴構成は、上記請
求項1又は2記載の特徴構成に加えて、前記充填液の液
面を被覆可能な被覆物を、前記充填液に浮揚させてある
ところにある。
【0012】〔作用及び効果〕充填液の液面を被覆可能
な被覆物を、前記充填液に浮揚させてあるので、被覆物
によって、充填液の液面と空間との接触界面が小さくな
り、充填液と外部雰囲気(大気等)との接触面積が減少
する。よって、充填液の重量の増減はより抑制され、充
填液の液面の高さ位置の変動をより防止することができ
るようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本実施形態では、一例として、本
発明に係る液封式安全器Dを以下のような都市ガス供給
システムにて都市ガスの整圧用に利用する場合をあげて
説明する。
【0014】図1に例示する都市ガス供給システムで
は、都市ガスが、ガバナ建物B内に設けられるガス圧力
調整設備Aにより圧力を調整され、ガスメータ9及びガ
ス栓27を介してガス圧力調整設備Aに接続される二次
側のガス導管(以下、二次側配管という)2を通して、
ガス消費器Cに供給される。
【0015】前記ガス圧力調整設備Aでは、その一次側
のガス導管(以下、一次側配管という)1に、ガス遮断
装置3を設けてある引込管4が、絶縁継手5を介して、
接続してあり、次のような圧力調整機構を経て、一次側
配管1から二次側配管2にガスが通流するように構成し
てある。つまり、図1に示すように、一次側配管1から
二次側配管2には、第1ガバナ6と緊急遮断弁7とを介
してガスが通流するようにすると共に、第2ガバナ8を
介してガスが通流する経路をも、第1ガバナ6と緊急遮
断弁7とに対して並列に設けてある。前記第1ガバナ6
では、二次側配管2内のガス圧力が一次側配管1内のガ
ス圧力(本実施形態では約0.15MPa)よりも低い
第1設定供給圧力(本実施形態では約2.1kPa)に
なるようにガス流量が調整され、二次側配管2にガスが
供給される。また、前記緊急遮断弁7は、二次側配管2
内のガス圧力が、第1設定供給圧力よりも高い設定圧力
(本実施形態では約2.6kPa)を越えると第1ガバ
ナ6を介する二次側配管2へのガスの通流を遮断するも
のである。そして、前記第2ガバナ8は、緊急遮断弁7
により第1ガバナ6を介する二次側配管2へのガスの通
流を遮断したときに、二次側配管2内のガス圧が第2設
定供給圧力(本実施形態では約1.9kPa)となるよ
うに流量を調整しながら、二次側配管2にガスを供給す
るものである。そして、前記液封式安全器Dを、第1ガ
バナ6及び第2ガバナ8の下流側の二次側配管2に設
け、設定圧力(本実施形態では、2.75kPa)を越
える二次側配管2のガスを外部雰囲気(本実施形態では
大気)に放出し、二次側配管2のガス圧力を設定圧力以
下に、維持できるように構成してある。
【0016】この液封式安全器Dは、図2に詳しく示す
ように、縦長の密封タンク12内に充填液10として多
価アルコール液を、その液面10a上方に空間9が形成
されるように、貯留し収容してある。しかも、この密封
タンク12には、二次側配管(ガス導管の一例)2から
分岐した分岐管13を、その分岐管出口14が前記充填
液10中に位置するように接続するとともに、前記空間
9と外部雰囲気(本実施形態では大気)とを連通するガ
ス放出管17を接続してある。前記分岐管13を前記密
封タンク12に接続するにあたっては、前記液面10a
と前記分岐管出口14間の液圧が、前記設定圧力(本実
施形態では、2.75kPa)に等しくなるべく、前記
分岐管出口14を前記充填液10中に位置させてある。
例えば、充填液10の密度をd(g/cm3 )、前記液
面10aと前記分岐管出口14間の距離をLmmとする
と、圧力d×Lが2.75kPaとなるようにしてあれ
ばよい。また、前記ガス放出管17は、その一端側が、
密封タンク12の頂部12aに設けてあるガス放出口1
5を介して空間9に連通すると共に、その他端側が、ガ
バナ建物B外の外部雰囲気(本実施形態では大気)に連
通するように、設けてある。このガス放出管17の外部
雰囲気側には活性炭筒部16を設けてあり、ガスは活性
炭筒部16にて脱臭されてから外部雰囲気に放出され
る。尚、このガス放出管17と前記密閉タンク12と
は、一体型に形成してあってもよいし、別体型に形成し
てあってもよい。そして、前記密封タンク12には、そ
の内部に収容される充填液10の液面10aの高さ位置
がわかるように、前記充填液10に連通するガラス製の
液面計11を備えさせてあり、また、その頂部12aに
形成してある充填液10の給排液用開口18をキャップ
19で塞いである。因みに、充填液10として収容され
る多価アルコール液の比重が水に近いと、従来の液面計
11をそのまま用いても、従来と同じ方法で正確に点検
することができ好適である。尚、多価アルコール液とし
ては、その粘性が低いものほど、液面計11の内面に付
着することなく、液面計11でその液面の高さを正確に
確認でき、より好ましい。また、多価アルコールは親水
性のため液面計11の内面が汚れ難いことも考えられ
る。このように構成される液封式安全器Dでは、設定圧
力を越える二次側配管2のガスは、分岐管13の分岐管
出口14から充填液10の液圧に抗してその液面10a
より空間9に出て、そして空間9に連通するガス放出管
17を経て、外部雰囲気に放出されるようになり、二次
側配管2のガス圧力が設定圧力以下に維持できるような
る。
【0017】そして、充填液10として多価アルコール
液を用いてあるので、その液面10aの高さがあまり変
動しなくなり、給排液用開口18から給排液作業を行う
等のメンテナンスの必要性を低減させることができるよ
うになる。以下、その理由について詳説する。
【0018】発明者らは、密封タンク12内の充填液1
0の飽和蒸気圧と、その密封タンク12内の空間9に連
通する外部雰囲気の蒸気圧とに差があるが故に、充填液
10の液面が変動することに着目し、鋭意開発研究した
結果、充填液10として多価アルコール液を収容してあ
れば、その液面の高さの変動を防止できることを見いだ
したのである。
【0019】つまり、充填液10として収容される多価
アルコール水溶液の飽和蒸気圧と、外部雰囲気における
蒸気圧とが等しければ、多価アルコール水溶液中からそ
の液面上方の空間への水分の蒸発と、その液面上方の空
間から多価アルコール水溶液中への水分の溶解(つまり
吸湿)とがほぼ平衡となり、充填液10の液面の高さが
ほぼ変動しないと考えられる。
【0020】充填液10はほぼ密閉状態の密封タンク1
2に収容されており、しかも多価アルコール類は不揮発
性で、水が揮発性であることから、密封タンクにおける
多価アルコール水溶液の飽和蒸気圧Pは式(1)のよう
に表される。 P=P1×a1×γ1 +P2×a2×γ2 式(1) 尚、ここで、P1:多価アルコールの飽和蒸気圧、P
2:水の飽和蒸気圧、a1:多価アルコール水溶液にお
ける多価アルコールのモル分率、a2:多価アルコール
水溶液における水のモル分率、γ1 :多価アルコールの
活量係数、γ2 :水の活量係数を意味する。また、ここ
では、便宜上γ1 =γ2 ≒1(ラウールの法則が成立す
る)と仮定する。また、水の飽和蒸気圧に対して多価ア
ルコールの飽和蒸気圧は遙かに小さいので(例えば20
℃で、水:2388Pa、プロピレングリコール:1
0.7Pa)、P1×a1の項は無視でき、式(2)の
ように近似できる。 P=P2×a2 式(2)
【0021】一方、外部雰囲気では、相対湿度をx%、
その水蒸気の蒸気圧をP(H2 O)、その温度における
水の飽和蒸気圧P2とすると、式(3)の関係が成立す
る。 x=(P(H2 O)/P2)×100 式(3) 式(3)を変形すると、式(4)のようになる。 P(H2 O)=(x/100)×P2 式(4)
【0022】ところで、液封式安全器では、ガス放出管
を介して、密封タンクの液面上方の空間が外部雰囲気と
連通しているため、外部雰囲気の蒸気圧と、多価アルコ
ール水溶液の飽和蒸気圧との差が小さいほど、多価アル
コール水溶液の蒸発や吸湿が少ないと考えられる。よっ
て、多価アルコール水溶液中の水のモル分率が、外部雰
囲気における相対湿度をx%としたときに、x/100
であれば、上記多価アルコール水溶液液面での蒸発・吸
湿の平衡状態が成立し、充填液の液面の高さがほぼ変動
しなくなるものと思われる。
【0023】一例として、図3に、上記関係より求め
た、大気(外部雰囲気の一例)の相対湿度と、それと平
衡する飽和蒸気圧を有するプロピレングリコール水溶液
中のプロピレングリコール濃度(重量%)との関係を示
す。例えば、液封式安全器を設置する環境の年間平均相
対湿度がわかっていれば、図3より求まるその年間平均
相対湿度に平衡するプロピレングリコール濃度のプロピ
レングリコール水溶液を充填液として収容してあれば、
比較的早期に前述のような平衡状態が成立し、ほとんど
充填液の液面の高さが変動することなく維持され、一
層、充填液の液面の高さ管理における省力化及びコスト
ダウンを期待することができる。尚、前記多価アルコー
ル液が多価アルコール水溶液であるとともに、その多価
アルコール水溶液の飽和蒸気圧と前記外部雰囲気の蒸気
圧がほぼ等しくなればよく、このような関係は、予めこ
のような関係を満たすような水のモル分率の多価アルコ
ール水溶液を充填液として収容するのが最も好ましい
が、充填液を収容後、所定時間経過後に、結果としてこ
のような関係を満たしていても勿論よい。
【0024】以下、多価アルコールの一例として、エチ
レングリコール、プロピレングリコールを用いて試験1
〜3を行い、検証した。
【0025】(試験1)容積500ccのビーカーに、
多価アルコール液の一例として、エチレングリコール液
(エチレングリコール濃度100重量%)、及び、プロ
ピレングリコール液(プロピレングリコール濃度100
重量%)それぞれを500g入れ、室内の冷暗所に放置
し、その重量の増減を調べた。比較例として、水(水道
水100%)についても同様の試験を行った。
【0026】その結果を、図4に示す。図4は、重量増
減(g)及び重量増減率(g/m2・h)の経時変化を
示すグラフである。図4中、実線が重量増減の経時変化
を、破線が重量増減率の経時変化を示し、Et,Pr,
Waは夫々エチレングリコール液、プロピレングリコー
ル液、水の試験結果である。
【0027】水はほぼ一定速度で蒸発し、平均重量増減
率は−95g/m2 ・h程度であった。
【0028】これに対し、エチレングリコール液は、1
00h程度までは60g/m2 ・h程度の速度で吸湿に
よる重量増加が見られ、100h以降では引き続き重量
が増加するもののその重量増加率は低下し、400h以
上経ってもわずかではあるが吸湿による重量の増加が続
いていた(429h時点での含水率11% つまりエチ
レングリコール濃度89重量%)。尚、エチレングリコ
ールの水に対する比重が約1.11であるため、吸湿に
よって水を多く含む層(上部)と水をあまり含まない層
(下部)の2層に多少分離していることが確認された。
【0029】また、プロピレングリコール液は、100
h程度までは140g/m2 ・h程度の速度で吸湿によ
る重量増加が見られたが、100h以降では引き続き重
量が増加するもののその重量増加率は低下し、400h
以上経ってもわずかではあるが吸湿による重量の増加が
続いていた(429h時点での含水率21% つまりプ
ロピレングリコール濃度79重量%)。尚、プロピレン
グリコールの水に対する比重が約1.038であるた
め、エチレングリコール液でみられたような2層に分離
する現象はみられなかった。
【0030】よって、エチレングリコール液及びプロピ
レングリコール液共に吸湿により重量が増加し、その液
面が上昇することがわかったが、一定時間経過後で各液
の重量増減量の絶対値を比較すると、エチレングリコー
ル液及びプロピレングリコール液は水の場合よりも小さ
く、また、100h経過後では、重量増減率の絶対値に
ついても、エチレングリコール液及びプロピレングリコ
ール液は水の場合よりも小さいことがわかる。このこと
から、一定時間経過後で比較すると、液面の高さ位置の
変化量は、水の場合よりも、エチレングリコール液及び
プロピレングリコール液の方が少なくなり、充填液とし
て、エチレングリコール液及びプロピレングリコール液
等の多価アルコール液を用いると、充填液の液面位置を
一定に保つために必要となるメンテナンス作業の必要性
を、水を用いる場合に比べて確かに低減できることがわ
かる。また、エチレングリコール液及びプロピレングリ
コール液の場合には、時間の経過とともに吸湿による重
量増減率が低下していることから、予め初期の段階で水
を混合して希釈しておけば、一層、液面の高さ位置の変
動を抑制できるのではないかと思われ、次の(試験2)
を行った。
【0031】(試験2)容積500ccのビーカーに、
多価アルコール液の一例として、エチレングリコール液
(エチレングリコール濃度100重量%)、エチレング
リコール水溶液(エチレングリコール濃度95,90,
80重量%)、プロピレングリコール液(プロピレング
リコール濃度100重量%)、プロピレングリコール水
溶液(プロピレングリコール濃度90,80,70重量
%)それぞれを400g入れ、室内の冷暗所に放置し、
その重量の増減及びその液面の変化を調べた。尚、比較
例として、水(水道水100%)についても同様の試験
を行った。その結果を図5〜7に示す。図5は重量増減
(g)の経時変化を示すグラフ、図6は重量増減率の経
時変化を示すグラフ、図7は液面の高さ(mm)の経時
変化を示すグラフである。尚、図5,6,7何れにおい
ても、Et100%:エチレングリコール液(エチレン
グリコール濃度100重量%)、Et95%:エチレン
グリコール水溶液(エチレングリコール濃度95重量
%)、Et90%:エチレングリコール水溶液(エチレ
ングリコール濃度90重量%)、Et80%:エチレン
グリコール水溶液(エチレングリコール濃度80重量
%)、Pr100%:プロピレングリコール液(プロピ
レングリコール濃度100重量%)、Pr90%:プロ
ピレングリコール水溶液(プロピレングリコール濃度9
0重量%)、Pr80%:プロピレングリコール水溶液
(プロピレングリコール濃度80重量%)、Pr70
%:プロピレングリコール水溶液(プロピレングリコー
ル濃度70重量%)、Wa:水の試験結果である。
【0032】水はほぼ一定速度で蒸発し、平均重量増減
率は−85g/m2 ・h程度であった。試験1と同様の
傾向が確認されたが、試験1のときと数値が異なるのは
試験1と試験2とでは、温度等の試験環境が多少異なる
ためである(以下同様)。
【0033】これに対し、エチレングリコール液(Et
100%)は、100h程度までは90g/m2 ・h程
度の速度で吸湿による重量増加が見られ、100h以降
では引き続き重量が増加するもののその重量増加率は低
下し、400h以上経ってもわずかではあるが重量の増
加が続いており(457h時点での含水率13% つま
りエチレングリコール濃度87重量%)、やはり試験1
と同様の傾向が確認された。また、エチレングリコール
水溶液(Et95%)でもエチレングリコール液(Et
100%)と同様の結果であった。そして、エチレング
リコール水溶液(Et90%),(Et80%)と、初
期のエチレングリコール濃度が低くなるに従って、吸水
量が減少し液の重量増加は少なくなるものの、エチレン
グリコール水溶液(Et80%)でも蒸発による液の減
少は見られなかった。
【0034】そして、プロピレングリコール液(Pr1
00%)では、100h程度までは155g/m2 ・h
程度の速度で吸湿による重量増加が見られたが、100
h以降では引き続き重量が増加するもののその重量増加
率は低下し、400h以上経ってもわずかではあるが重
量の増加が続いており(457h時点での含水率23%
つまりプロピレングリコール濃度77重量%)、やは
り試験1と同様の傾向が確認された。また、プロピレン
グリコール水溶液(Pr90%),(Pr80%)と、
初期のプロピレングリコール濃度が低くなるに従って、
吸水量が減少し液の重量増加は少なくなり、プロピレン
グリコール水溶液(Pr70%)では、わずかに重量減
少がみられた。これはプロピレングリコール水溶液(P
r70%)中の水分の蒸発によるものと思われるが、水
分の蒸発によってプロピレングリコール水溶液が濃縮す
れば再び吸湿が開始されるために、液面の高さは今後も
ほとんど変動しないことが予想される。プロピレングリ
コール水溶液(Pr70%)の場合の蒸発量は、水の場
合の3%(蒸発防止効果97%)であった。この結果か
ら、プロピレングリコール水溶液(プロピレングリコー
ル濃度70%)では、室温大気開放条件では液面の高さ
の変動はほぼ起きないことが分かった。同様に、エチレ
ングリコール水溶液でもこのような液面の高さの変動は
ほぼ起きないエチレングリコール濃度があると思われる
が、エチレングリコールよりもプロピレングリコールの
方が水に近い比重で、2層に分離する現象がみられない
ことなどから、充填液としては、プロピレングリコール
濃度70%前後のプロピレングリコール水溶液を用いる
と、液面の水位の変動があまりなく、充填液の液面位置
を一定に保つために必要となるメンテナンス作業の必要
性を確実に低減することができると思われる。
【0035】一方、試験2を行った試験環境では、大気
(外部雰囲気の一例)の相対湿度は約64%であった。
このことから、前述のようにラウールの法則が成立する
と仮定すると、プロピレングリコール水溶液のモル分率
が0.64で、液面上方の空間への水分の蒸発と、その
液面上方の空間からプロピレングリコール水溶液中への
水分の溶解(つまり吸湿)とがほぼ平衡状態に達するも
のと思われる。すると、水の分子量18、プロピレング
リコールの分子量76から、このような平衡状態が成立
するプロピレングリコール濃度は、約70重量%となる
が、確かに、上述の試験2の結果から、プロピレングリ
コール濃度70重量%のプロピレングリコール水溶液で
は、液面がほとんど変動しておらず、多価アルコール水
溶液中の水のモル分率が、前記外部雰囲気における相対
湿度をx%としたときに、x/100であれば、液面上
方の空間への水分の蒸発と、その液面上方の空間から多
価アルコール水溶液中への水分の溶解(つまり吸湿)と
がほぼ平衡状態に達し、液面の高さがほとんど変動しな
いことが確認できた。従って、先述したように、前記多
価アルコール液が多価アルコール水溶液であるととも
に、その多価アルコール水溶液の飽和蒸気圧と前記外部
雰囲気の蒸気圧がほぼ等しければ充填液の液面の高さが
ほとんど変動することがなく、例えば、プロピレングリ
コール水溶液の場合には、日本では相対湿度が最も高く
ても約80%程度であることを考慮して、図3に示す関
係から、プロピレングリコール濃度が50%重量%以上
であればよい。
【0036】(試験3)次に、図1,2に例示する都市
ガス供給システムの液封式安全器Dの充填液として、
(A)プロピレングリコール水溶液(プロピレングリコ
ール濃度80%)、(B)プロピレングリコール水溶液
(プロピレングリコール濃度70%)を実際に用いて、
その液面の高さの変動について調べた。その結果を図8
に示す。
【0037】図8から分かるように、(A)プロピレン
グリコール水溶液(プロピレングリコール濃度80%)
では、初期段階で液面の高さが多少上昇するものの、そ
の後は安定していた。また、(B)プロピレングリコー
ル水溶液(プロピレングリコール濃度70%)では、液
面の高さが多少変動するものの、ほぼ初期段階の液面高
さ近辺を変動していた。尚、試験3を行った試験環境で
は、大気(外部雰囲気の一例)の相対湿度も約64%程
度であった。
【0038】この結果から、(試験2)の結果のとお
り、プロピレングリコール濃度70%前後のプロピレン
グリコール水溶液を用いると、確かに、液面の高さがあ
まり変動することなく、充填液の液面位置を一定に保つ
ために必要となるメンテナンス作業の必要性を、水を用
いる場合に比べて確かに低減できることがわかる。ま
た、いずれのプロピレングリコール水溶液(A)(B)
も比重が水に近く、従来の液面計をそのまま用いて、従
来と同じ方法で正確に点検することができ、また、液面
計が汚れたりすることなく、その液面の高さを正確に確
認できた。さらに、密閉タンクの壁面には、藻等がほと
んど発生しておらず、プロピレングリコールの殺菌性の
ために、密封タンクの内面に微生物が発生し難く、密封
タンクの内面に発生する藻等を介して充填液が蒸発や吸
湿するおそれも低減され、より確実に液面の高さの変動
を防止できるようにもなることも、確認された。
【0039】〔別実施形態〕以下に他の実施形態を説明
する。 〈1〉 図9(a),(b),(c)に例示するよう
に、充填液10に被覆物21を浮揚させ、充填液10の
液面10aを被覆物21により被覆させてあってもよ
い。この場合には、被覆物21によって、充填液10の
液面10aと空間9との接触界面が小さくなり、充填液
10と外部雰囲気(大気等)との接触面積が減少するた
め、充填液10の重量の増減はより抑制され、充填液1
0の液面10aの高さ位置の変動をより防止することが
できるようになる。前記被覆物21は、充填液10に浮
揚可能なものであれば如何なるものでもよく、例えばポ
リプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等の高分子樹脂か
ら、充填液10よりも見かけ比重が小さくなるように形
成してあればよい。そして、被覆物21の形状について
も、球状や板状や角柱状等如何なるものでもよい。ま
た、図9(a),(b),(c)に例示するように、被
覆物21により液面10aを被覆させてあればよいが、
その液面を被覆する面積がより大きい方が充填液10と
外部雰囲気(大気等)との接触面積が少なくなりより好
ましく、被覆物21として球状のものを用いる場合に
は、図9(b)に例示するように、その赤道面がほぼ液
面10aとなるように構成してあれば好適である。 〈2〉 充填液として収容される多価アルコール液は、
エチレングリコールやプロピレングリコールからなるも
のに限らず、分子中に2個以上の水酸基をもつアルコー
ルからなるものであれば、如何なるものでもよく、例え
ば、ジエチレングリコールやヘキシレングリコールやグ
リセリン等を用いてなるものでもよく、また、複数の多
価アルコールを用いてなるものでもよく、更には、水以
外の成分を含有するものであってもよい。尚、多価アル
コールに限らず、ブチルアルコールやアミルアルコール
等の一価のアルコールを用いることもできる。 〈3〉 尚、先の実施形態では、本発明に係る液封式安
全器を都市ガスの整圧用に利用する一例について説明し
たが、本発明に係る液封式安全器は各種ガス導管の整圧
用に利用でき、都市ガス以外の気体配管系に利用しても
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】都市ガス供給システムの概要を示す構成図
【図2】液封安全器の一構成例を示す断面図
【図3】大気(外部雰囲気の一例)の相対湿度と、それ
と平衡する飽和蒸気圧を有するプロピレングリコール水
溶液中のプロピレングリコール濃度との関係を示すグラ
【図4】試験1の結果:重量増減及び重量増減率の経時
変化を示すグラフ
【図5】試験2の結果:重量増減の経時変化を示すグラ
【図6】試験2の結果:重量増減率の経時変化を示すグ
ラフ
【図7】試験2の結果:液面の高さの経時変化を示すグ
ラフ
【図8】試験3の結果:液面の高さの経時変化を示すグ
ラフ
【図9】液封安全器の別構成例を示す要部断面図
【符号の説明】
D 液封式安全器 9 空間 10 充填液 10a 充填液の液面 12 密封タンク 13 分岐管 14 分岐管出口 17 ガス分岐管 21 被覆物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野中 英正 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充填液の液面上方に空間を形成してある
    密封タンクに、ガス導管から分岐した分岐管を、その分
    岐管出口が前記充填液中に位置するように接続するとと
    もに、前記空間と外部雰囲気とを連通するガス放出管を
    接続してある液封式安全器であって、 前記充填液として多価アルコール液を収容してある液封
    式安全器。
  2. 【請求項2】 前記多価アルコール液のプロピレングリ
    コール濃度が、50重量%以上である請求項1記載の液
    封式安全器
  3. 【請求項3】 前記充填液の液面を被覆可能な被覆物
    を、前記充填液に浮揚させてある請求項1又は2記載の
    液封式安全器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5048870B2 (ja) * 2010-01-27 2012-10-17 パナソニック株式会社 燃料電池システム及びその運転方法
CN105485379A (zh) * 2016-01-18 2016-04-13 四川理工学院 一种垃圾微波裂解过压保护液封装置
CN106763919A (zh) * 2016-12-09 2017-05-31 大连福佳·大化石油化工有限公司 一种火炬水封罐装置

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