JP2003240699A - ポリマーアロイの界面厚み測定方法、及びポリマーアロイの界面厚み測定装置 - Google Patents

ポリマーアロイの界面厚み測定方法、及びポリマーアロイの界面厚み測定装置

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JP2003240699A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリマーアロイの界面厚みを正確に測定す
る。 【解決手段】 カンチレバー及び探針を有するプローブ
と試料台とを備え、探針を試料台上のポリマーアロイか
らなる試料に対して相対的に移動させることにより試料
の表面観察を行う走査型プローブ型顕微鏡を用いてポリ
マーアロイの界面厚みを測定する、ポリマーアロイの界
面厚み測定方法において、カンチレバー及び探針の振幅
減衰率により探針の試料への押し込み量を設定して、試
料の少なくとも1ヶ所以上で、探針の押し込み量を変化
させてポリマーアロイの位相像を測定し、位相像からポ
リマーアロイの仮の界面厚みを求め、仮の界面厚みと、
上記位相像測定時の振幅減衰率との相関関係を導出し、
記相関関係において、振幅減衰率をゼロとした時の仮の
界面厚みの値を真の界面厚みとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーアロイの
界面厚み測定方法、及びポリマーアロイの界面厚み測定
装置に関し、詳しくは、ブレンドポリマーや共重合ポリ
マー等のポリマーアロイの界面厚みの測定に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、ブレンドポリマーや共重合ポリマ
ー等のポリマーアロイの観察手法としては、一般的に、
走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(T
EM)が用いられている。これらの電子顕微鏡観察にお
いて、モルフォロジー観察等のために、試料に染色が施
されることがある。
【0003】例えば、二重結合を有するポリマーと二重
結合を有さないポリマーがブレンドされた試料では、付
加反応を起こし二重結合部分に付加するオスミウム酸あ
るいはヌテニウム酸が染料として用いられる。走査型電
子顕微鏡では、付加したオスミウム酸・ルテニウム酸が
白色を呈し、また透過型電子顕微鏡では黒色に呈するの
で、これにより、二重結合を有するポリマーと二重結合
を有さないポリマーを区別して観察している。
【0004】また、上記のような染色技術に依存しない
顕微鏡観察手法として、走査型プローブ顕微鏡が挙げら
れる。走査型プローブ顕微鏡は、試料台にセットされた
試料に対して探針が相対的に移動し、カンチレバーのた
わみ、振動位相変化、振幅変化、共振周波数変化等を検
知することで試料の表面状態を観察している。例えば、
特開平9−297148号では、プローブのたわみ測定
が容易な顕微鏡用プローブが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて界
面の状態を距離と濃淡で断面のプロファイルを描き、そ
の断面プロファイルからポリマー界面の厚みを測定しよ
うとすると、分解能や超薄切片の厚み制御が困難とな
り、正確にポリマー界面の厚みを測定できないという問
題がある。
【0006】具体的には、走査型電子顕微鏡では、空間
分解能が悪く正確な界面厚みを測定することが困難であ
る。また、透過型電子顕微鏡では、試料を超薄切片化
(約数十mm〜百数十mm)する必要があるが、その厚
み制御はほぼ不可能であり、その厚みの違いによって得
られた界面厚みデータに大きく左右するため、正確な界
面厚みを測定できない。即ち、透過型電子顕微鏡は試料
の透過像を観察しているため試料が厚いと界面が不鮮明
になり、見かけ上界面が厚く観察され、逆に試料が薄い
と電子が透過し過ぎて界面が薄く観察され、実際の界面
厚みを測定することが困難である。
【0007】一方、走査型プローブ顕微鏡では、探針の
形状・押し込み量が画像分解能に大きく関与するが、従
来の走査型プローブ顕微鏡の測定方法では探針の押し込
み量が不明であるため正確な界面厚みを測定できなかっ
た。
【0008】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
のであり、ポリマーアロイの界面厚みを正確に測定する
ことができるポリマーアロイの界面厚み測定方法、及び
ポリマーアロイの界面厚み測定装置を提供することを課
題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、カンチレバー及び探針を有するプローブ
と試料台とを備え、探針を試料台上のポリマーアロイか
らなる試料に対して相対的に移動させることにより試料
の表面観察を行う走査型プローブ型顕微鏡を用いてポリ
マーアロイの界面厚みを測定する、ポリマーアロイの界
面厚み測定方法であって、上記カンチレバー及び探針の
振幅減衰率により探針の試料への押し込み量を設定し
て、上記試料の少なくとも1ヶ所以上で、上記探針の押
し込み量を変化させてポリマーアロイの位相像を測定
し、上記位相像からポリマーアロイの仮の界面厚みを求
め、上記仮の界面厚みと、上記位相像測定時の振幅減衰
率との相関関係を導出し、上記相関関係において、振幅
減衰率をゼロとした時の仮の界面厚みの値を真の界面厚
みとすることを特徴とするポリマーアロイの界面厚み測
定方法を提供している。
【0010】このように、上記カンチレバー及び探針の
振幅減衰率により探針の試料への押し込み量を変化させ
て設定し、上記試料の少なくとも1ヶ所以上で、ポリマ
ーアロイの位相像を測定し、上記位相像からポリマーア
ロイの仮の界面厚みを求め、該仮の界面厚みと位相像測
定時の振幅減衰率とから導出された相関関係より真の界
面厚みを得ている。このため、探針形状や試料凹凸の影
響を受けることなく、あらゆるポリマーアロイについ
て、硬相と柔相との実際の界面厚みを正確に測定するこ
とができる。
【0011】具体的には、上記試料の少なくとも1ヶ所
以上で探針の押し込み量を1点以上変化させ、それぞれ
の位相像を測定する。押し込み量は、圧電素子で共振振
動させているカンチレバー及び探針の振幅減衰率により
設定する。例えば、振幅減衰率を大きくすると探針の押
し込み量は深く分解能が悪くなり、逆に減衰率を小さく
すると押し込み量は浅くなり分解能が上がる。このよう
に、探針の押し込み量を変化させることにより任意に画
像分解能を変化させている。ただし、押し込み量(深
さ)の絶対値は算出できない。上記のようなカンチレバ
ー及び探針により入出力の位相差を検出し、これにより
ポリマーアロイの位相像を得ている。硬相では位相のず
れが少なく、柔相では位相のずれが多くなることから、
位相像において硬相、柔相、及び硬相と柔相の界面を可
視化することができる。
【0012】また、上記位相像からポリマーアロイの仮
の界面厚みを求める。具体的には、上記位相像において
任意のドメインに対して接線を引き、該接線に対する垂
線上の断面プロファイルを導出し、該断面プロファイル
から得られる曲線における2つの変曲点により、上記仮
の界面厚みを求めていることが好ましい。得られた位相
像からポリマーアロイの海島構造のドメイン(島)とマ
トリックス(海)の任意の界面に接線を引き、その接線
に対して垂線を引く。その垂線上の断面プロファイル
(縦軸:位相差、横軸:距離)を取り出す。この断面プ
ロファイルから得られた2つの変曲点間における横軸上
の距離を各押し込み量での仮の界面厚みとする。なお、
仮の界面厚みは、1つの位相像について1点以上測定
し、その平均値を代表させるのが好ましい。
【0013】さらに、上記仮の界面厚みと、上記位相像
測定時の振幅減衰率との相関関係を導出し、上記相関関
係において、振幅減衰率をゼロとした時の仮の界面厚み
の値を真の界面厚みとする。具体的には、上記で得られ
た仮の界面厚みを縦軸に、各振幅減衰率(押し込み量)
を横軸にとりプロットし、1次の近似曲線を引き相関式
を導出する。1次相関式において、振幅減衰率をゼロ
(カンチレバーの押し込み量をゼロ)とした時の仮の界
面厚みの値、即ち、そのy切片の値が、探針形状や試料
凹凸の影響を受けない、真の界面厚みとなる。
【0014】上記探針は錐形状としていることが好まし
い。これにより、より精度良く界面厚みを測定すること
ができる。
【0015】本発明は、走査型プローブ顕微鏡(SP
M)のダイナミックフォースモード(DFM:別名タッ
ピングAFM)を用い、探針の押し込み量と分解能の関
係を応用するのが好ましい。DFMの原理として、ま
ず、原子間力顕微鏡(AFM)では探針が試料表面の原
子間力を検出あるいは表面をなぞった時のカンチレバー
のたわみを検出することにより試料表面の凹凸を検出し
ている。それに対しDFMではカンチレバー先の振幅及
び位相を検出している。試料表面凹凸の検出には、探針
が試料に接触しスキャンする際、表面凹凸により振幅が
変化するが、この変化を元に戻すようなスキャナーへの
フィードバック制御をすることにより表面形状を測定す
る。この際、振幅の設定は探針が試料に触れていない状
態での振幅を1とし、試料に接触させたとき、どの程度
振幅を減少させるか振幅減衰率によって設定する。その
設定値により探針と試料表面に働く原子間力を検知して
測定することが可能であり、あるいは試料を探針でタッ
ピングしながら測定することができ、振幅減衰率を任意
に変え、いろいろな探針の押し込み深さで測定すること
が可能である。ポリマーアロイ(ポリマーブレンド)を
観察するには、試料表面をタッピングし、圧電素子とカ
ンチレバー先の位相のずれを検出することによって、物
性の違いを画像化(一般に位相像という)し、ポリマー
アロイを観察している。
【0016】さらに、上記発明はDFM以外の下記の
〜の測定方法でも応用可能である。 マイクロ粘弾性モード(VE−AFMあるいはVE−
DFM) AFMあるいはDFM測定で表面形状測定と同時に、試
料に探針を任意量押し込み、カンチレバーまたは試料を
周期的に共振させ相対的な物性のマッピングを測定する
方法。 摩擦力顕微鏡(FFM) 表面形状測定中に探針と試料との間に働く摩擦力(カン
チレバーの横方向のたわみ)を測定する方法。 横振動FFM(LM−FFM) 試料を横方向に周期的に共振させることにより生じるカ
ンチレバーの横方向のたわみを検出することにより、表
面凹凸やスキャン方向に依存しない高品質なFFM像が
得られる方法。
【0017】また、本発明は、ポリマーアロイからなる
試料に対して相対的に移動可能なカンチレバー及び探針
を有するプローブと、試料を載置する試料台とを有する
と共に、上記探針の試料に対する押し込み量をカンチレ
バー及び探針の振幅減衰率により設定して上記ポリマー
アロイの位相像を測定する構成としている走査型プロー
ブ顕微鏡と、上記位相像からポリマーアロイの仮の界面
厚みを求める位相像解析手段と、上記仮の界面厚みと、
上記位相像測定時の振幅減衰率との相関関係を導出し、
該相関関係より真の界面厚みを算出する演算手段とを備
えることを特徴とするポリマーアロイの界面厚み測定装
置を提供している。
【0018】上記のように、探針の試料への押し込み量
を設定可能な走査型プローブ顕微鏡により測定されたポ
リマーアロイの位相像を解析し、仮の界面厚みを求める
位相像解析手段を備え、仮の界面厚みと振動減衰率との
相関関係より真の界面厚みを算出する演算手段を備えて
いるため、探針形状や試料凹凸の影響を受けないポリマ
ーアロイの各相の界面厚みを正確に測定することができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。ポリマーアロイの界面厚み測定装置
は、ポリマーアロイの位相像を測定する走査型プローブ
顕微鏡と、位相像からポリマーアロイの仮の界面厚みを
求める位相像解析手段(図示せず)と、仮の界面厚みと
位相像測定時の振幅減衰率との相関関係を導出し、該相
関関係より真の界面厚みを算出する演算手段(図示せ
ず)とを備えている。
【0020】走査型プローブ顕微鏡10は、図1(A)
に示すように、ポリマーアロイからなる試料Sに対して
相対的に移動可能なカンチレバー11及び探針12を有
するプローブ13と、表面観察を行う試料Sを載置する
試料台14とを有すると共に、図1(B)(C)に示す
ように、探針12の試料Sに対する押し込み量をカンチ
レバー11及び探針12の振幅減衰率により任意に変化
させて設定してポリマーアロイの位相像を測定する構成
としている。なお、探針12は、その先端12aが試料
Sに押し込まれるような錐形状としている。
【0021】以下、本発明のポリマーアロイの界面厚み
測定方法について詳述する。まず、走査型プローブ型顕
微鏡10を用いて、圧電素子で共振振動させているカン
チレバー11及び探針12の振幅減衰率により探針12
の試料Sへの押し込み量を設定して、カンチレバー11
及び探針12により入出力の位相差を検出し、これによ
り位相像を得る。試料Sの少なくとも1ヶ所以上で、探
針12の押し込み量を変化させてポリマーアロイの位相
像を測定する。
【0022】次に、位相像解析手段により、走査型プロ
ーブ顕微鏡で測定された位相像からポリマーアロイの仮
の界面厚みを求める。詳しくは、得られた位相像におい
て任意のドメインに対して接線を引き、該接線に対する
垂線上の断面プロファイルを導出し、該断面プロファイ
ルから得られる曲線における2つの変曲点により、仮の
界面厚みを求める。
【0023】仮の界面厚みの求め方について、具体的
に、模式図を用いて説明する。図2に走査型プローブ顕
微鏡で得られた位相像のイメージ図を示す。探針の押し
込み量を変化させることにより任意に画像分解能を変化
させており、カンチレバー及び探針により入出力の位相
差を検出し、位相のずれが少ない硬相21(図中の黒点
模様部)、位相のずれが多い柔相22(図中の白色部)
とが示されている。得られた位相像からポリマーアロイ
の海島構造において、柔相22であるドメイン(島)D
と、硬相21であるマトリックス(海)Mの任意の界面
に接線Lを引き、その接線Lに対して垂線Hを引く。そ
の垂線H上の断面プロファイル(縦軸:位相差、横軸:
距離d(垂線H上の位置))を取り出す。
【0024】図3に上記で得られた断面プロファイルを
示す。この断面プロファイルから得られ曲線Cにおける
2つの変曲点X1、X2間の横軸上の距離Yを各押し込
み量での仮の界面厚みとする。なお、仮の界面厚みは、
1つの位相像について1点以上測定し、その平均値を代
表させるのが好ましい。
【0025】さらに、演算手段により、仮の界面厚み
と、位相像測定時の振幅減衰率との相関関係を導出し、
相関関係において、振幅減衰率をゼロとした時の仮の界
面厚みの値を真の界面厚みとする。具体的には、図4に
示すように、図3に示す上記のような方法で得られた仮
の界面厚みを縦軸に、その位相像を測定した時の各振幅
減衰率(押し込み量)を横軸にとりプロットし、1次の
近似曲線を引き相関式を導出する。図4では、5つの振
幅減衰率の各値に対して、それぞれ5つの仮の界面厚み
を求め、5点プロットし、一次近似曲線tを得ている。
1次近似曲線tにおいて、振幅減衰率をゼロとした時の
仮の界面厚みの値、即ち、そのy切片の値を、真の界面
厚みとしている。本実施形態では、真の界面厚みは1
9.1nmとなっている。
【0026】このように、カンチレバー11及び探針1
2の振幅減衰率により探針12の試料Sへの押し込み量
を変化させて設定し、試料Sの少なくとも1ヶ所以上
で、ポリマーアロイの位相像を測定し、位相像からポリ
マーアロイの仮の界面厚みを求め、該仮の界面厚みと位
相像測定時の振幅減衰率とから導出された相関関係より
真の界面厚みを得ている。このため、探針12の形状や
試料Sの凹凸の影響を受けることなく、あらゆるポリマ
ーアロイについて、硬相21と柔相22との実際の界面
厚みを正確に測定することができる。
【0027】以下、本発明の実施例について詳述する。
下記の表1に示すように、天然ゴム(NR)を60ph
rに固定し、ガラス転移点(Tg)の異なる4種類のス
チレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)40phr
と、各種加硫剤を配合し、ロールにて十分に分散させ、
加硫したゴムを試料〜として用いた。また、試料
〜の各試料の位相像を図5に示す。
【0028】
【表1】
【0029】上記実施形態と同様の方法により、得られ
た位相像から仮の界面厚みを求め、各試料〜につい
て、仮の界面厚みと振幅減衰率の関係を図6にプロット
した。プロット点より各試料〜について一次近似曲
線を引き、各一次曲線において、振幅減衰率がゼロとな
るときの界面厚みの値を、真の界面厚みとした。図6よ
り得られた真の界面厚みの値を下記の表2に示す。な
お、各振幅減衰率での仮の界面厚みの値は40点の平均
値を用いた。
【0030】
【表2】
【0031】また、各試料〜の100%モジュラス
と上記SPMを用いた方法で得られた真の界面厚みの関
係を図7に示す。さらに、各試料〜について高分解
能固体13C−NMR測定から水素核の緩和時間を測定
した水素核スピン拡散により測定した界面厚みと、上記
SPMを用いた方法で得られた真の界面厚みの関係を図
8に示す。
【0032】図5の各位相像より判断すると、>>
≧の順にドメイン(島)が微分散しているので、N
RとSBRの相容性は、<<≦の順に相容性が
良くなっていることが確認できた。また、図6、表2よ
り、SBRのTgが低いほど、NRとの相容性が上が
り、界面厚みが厚くなる傾向であることが確認できた。
【0033】さらに、図7より、界面が厚いほどモジュ
ラスが高くなることがわかり、物性と界面の関係が明ら
かになった。また、図8より、水素核スピン拡散により
測定した界面厚みと、上記SPMを用いた方法で得られ
た真の界面厚みとは相関があり、正確に界面厚みが測定
できることが確認できた。なお、物性との相関で考える
と、SPMの方が精度が良いと考えられる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、カンチレバー及び探針の振幅減衰率により探
針の試料への押し込み量を変化させて設定し、試料の少
なくとも1ヶ所以上で、ポリマーアロイの位相像を測定
し、位相像からポリマーアロイの仮の界面厚みを求め、
該仮の界面厚みと位相像測定時の振幅減衰率とから導出
された相関関係より真の界面厚みを得ている。このた
め、探針形状や試料凹凸の影響を受けることなく、あら
ゆるポリマーアロイについて、硬相と柔相との実際の界
面厚みを正確に測定することができる。
【0035】従って、従来の方法に比べ、非常に簡便か
つ精度良く、界面厚みを測定することができ、今まで解
明できなかったブレンドポリマーあるいは共重合ポリマ
ーの物性発現メカニズムの解明に役立てることができ
る。さらに、カーボンブラック、その他無機充填剤等の
モルフォロジーが物性に及ぼす有力な情報を与え、機能
性材料、複合材料開発、動的な劣化解析の1つの手法と
して有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明のポリマーアロイの界面厚み
測定装置の走査型顕微鏡を示し、(B)(C)は探針の
試料への押し込み状態を示す図である。
【図2】 位相像の測定結果の模式図である。
【図3】 図2の位相像の断面プロファイルを示す図で
ある。
【図4】 仮の界面厚みと振幅減衰率の関係を示す図で
ある。
【図5】 実施例の各試料の位相像を示す図である。
【図6】 実施例の各試料の仮の界面厚みと振幅減衰率
の関係を示す図である。
【図7】 界面厚みとモジュラスの関係を示す図であ
る。
【図8】 13C−NMR水素核スピン拡散とSPM界
面厚みの関係を示す図である。
【符号の説明】
10 走査型プローブ型顕微鏡 11 カンチレバー11 12 探針 13 プローブ S 試料

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンチレバー及び探針を有するプローブ
    と試料台とを備え、探針を試料台上のポリマーアロイか
    らなる試料に対して相対的に移動させることにより試料
    の表面観察を行う走査型プローブ型顕微鏡を用いてポリ
    マーアロイの界面厚みを測定する、ポリマーアロイの界
    面厚み測定方法であって、 上記カンチレバー及び探針の振幅減衰率により探針の試
    料への押し込み量を設定して、上記試料の少なくとも1
    ヶ所以上で、上記探針の押し込み量を変化させてポリマ
    ーアロイの位相像を測定し、 上記位相像からポリマーアロイの仮の界面厚みを求め、 上記仮の界面厚みと、上記位相像測定時の振幅減衰率と
    の相関関係を導出し、 上記相関関係において、振幅減衰率をゼロとした時の仮
    の界面厚みの値を真の界面厚みとすることを特徴とする
    ポリマーアロイの界面厚み測定方法。
  2. 【請求項2】 上記位相像において任意のドメインに対
    して接線を引き、該接線に対する垂線上の断面プロファ
    イルを導出し、該断面プロファイルから得られる曲線に
    おける2つの変曲点により、上記仮の界面厚みを求めて
    いる請求項1に記載のポリマーアロイの界面厚み測定方
    法。
  3. 【請求項3】 上記探針は錐形状としている請求項1ま
    たは請求項2に記載のポリマーアロイの界面厚み測定方
    法。
  4. 【請求項4】 ポリマーアロイからなる試料に対して相
    対的に移動可能なカンチレバー及び探針を有するプロー
    ブと、試料を載置する試料台とを有すると共に、上記探
    針の試料に対する押し込み量をカンチレバー及び探針の
    振幅減衰率により設定して上記ポリマーアロイの位相像
    を測定する構成としている走査型プローブ顕微鏡と、 上記位相像からポリマーアロイの仮の界面厚みを求める
    位相像解析手段と、 上記仮の界面厚みと、上記位相像測定時の振幅減衰率と
    の相関関係を導出し、該相関関係より真の界面厚みを算
    出する演算手段とを備えることを特徴とするポリマーア
    ロイの界面厚み測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007532916A (ja) * 2004-04-14 2007-11-15 ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド プローブベース機器を用いて定量的測定を獲得する方法および装置
JP2008256373A (ja) * 2007-03-30 2008-10-23 Hoya Corp 蒸着膜評価方法およびそれを用いる光学部材の製造方法
JP2010190876A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Mitsui Chemicals Inc オレフィンコポリマーの解析方法、評価方法および製造方法

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