JP2003238591A - アポトーシス誘導剤、アポトーシス誘導活性を有する化合物、抗がん剤、薬剤スクリーニング方法および薬剤スクリーニングキット - Google Patents
アポトーシス誘導剤、アポトーシス誘導活性を有する化合物、抗がん剤、薬剤スクリーニング方法および薬剤スクリーニングキットInfo
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- JP2003238591A JP2003238591A JP2002044335A JP2002044335A JP2003238591A JP 2003238591 A JP2003238591 A JP 2003238591A JP 2002044335 A JP2002044335 A JP 2002044335A JP 2002044335 A JP2002044335 A JP 2002044335A JP 2003238591 A JP2003238591 A JP 2003238591A
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Abstract
ニングにおいて好適に使用できるアポトーシス誘導剤、
がん治療に極めて有効な抗がん剤、抗がん剤等の新規薬
剤を効率よく選択可能な薬剤スクリーニング方法等の提
供。 【解決手段】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチド、および、該アミノ酸配列において1若
しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列のいずれかからなりアポトーシス誘導活性
を有するポリペプチドを含むアポトーシス誘導剤であ
る。
Description
し、さらに詳しくは、抗がん剤としてまたは抗がん剤の
スクリーニングに利用できるアポトーシス誘導剤、抗が
ん剤、抗がん剤等の新規薬剤の選択に利用できる薬剤ス
クリーニング方法、および薬剤スクリーニングキットに
関する。
死亡原因の中で四分の一以上を占め、これに対する抗が
ん剤も数多く開発されている。しかし、従来の抗がん剤
の多くは、副作用が強かったり、抗がん作用が十分でな
いなどの問題があり、がん細胞のみを根元的に撲滅する
ような治療薬は未だ得られていない。そこで副作用が弱
く、抗がん作用の強い抗がん剤の開発が強く望まれてい
る。
ーは、高度に保存された100アミノ酸残基からなるサ
イクリンボックスとよばれるモチーフを共通にもつcycl
inAからKおよびTの12種類のサイクリンで構成され
ている。これらのサイクリンには、細胞周期を制御する
ものや、基本転写因子の構成因子として転写・修復を行
うもの、RNA Pol.IIによる転写活性化と転写伸長に
関与するものなどがあることが知られている。
clin G1は、がん抑制遺伝子P53によって転写が誘導
(Okamoto K他EMBO J 13,4816-4822,1994)されるた
め、DNA損傷やストレスによってP53依存的に発現が
上昇することが知られている。また、このcyclin G1
は、哺乳動物細胞の増殖(Skotzko M他 Cancer Res.55,5
493-5498,1995 、Smith ML他Exp Cell Res.,230,61-68,
1997)、DNA修復(ShimizuA他Biochem Biophys Res Co
mmun.24,529-523,1998)、やアポトーシス(Okamoto K他O
ncogene 18,4606-4615,1999)などに関与しているとの報
告があるので、これらの現象において、p53遺伝子(以
下「p53」と略称することがある)のメディエーター
としてその機能を果たしていると考えられる。
の遺伝子の転写を活性化する。例えば、CDK阻害因子p2
1WAF1/CIP1を誘導してG1期停止を、14−3−3σを誘
導してG2/M期停止を、Bax、IGF−BP3およ
びp53AIP1を誘導してアポト一シスを、GADD45やp
53R2を誘導してDNA修復を、それぞれ行う。さら
に、前記p53は、該p53自身の負の制御因子であるMd
m2の転写も活性化し、フィードバック制御を行う。し
たがって、前記p53は、これら下流の遺伝子の働きによ
り、細胞周期の停止、DNA修復、アポトーシスなどの機
能を果たしている。
分化や発生(Raff MC.他Nature 356,397-400,1992)、
自己反応性T細胞の除去(Jacobson MD.他Cell 7,347-35
4,1997)あるいは細胞のがん化を防ぐ(Tompson CB.他Sc
ience 267,1456-1462,1995)際に起こる真核生物に普遍
的な現象である。アポトーシスを引き起こす要因には、
腫瘍壊死因子TNF、FASリガンド、グルココルチコイドや
ストレスなどがある。また、神経成長因子NGFやサイト
カインの除去、放射線照射や抗がん剤などによっても誘
導される。p53依存型PAG608、転写因子c−JunやASK1遺
伝子の過剰発現がアポトーシスを誘導するという報告も
ある。例えば、ASK1(apoptosis signa1-regulatingkin
ase 1)は上皮細胞株で過剰発現させると、MAPキナ
ーゼファミリーであるJNK/SAPKが活性化することによ
ってアポトーシスを誘導する。また、cyclin G1との相
同性が高いcyclin Iの機能は、ほとんど不明である。
ーの一員であり、cyclin G1およびcyclin Iと高い相
同性を持つことが知られている。(Horne MC 他J Biol
Chem.271,6050-6061,1996)。しかし、cyclin G2の発
現は、cyclin G1とは異なり、野生型p53をもたない細
胞でも、アクチノマイシンDのストレスによって誘導さ
れるとの報告がある(Horne MC他J Biol Chem.272,1265
0-12661,1997)。また、細胞の増殖抑制や細胞周期の停
止によってcyclin G2の発現が上昇することも報告され
ている(Bates S他Oncogene 13 1103-1109,1996)。し
たがって、cyclinG2は、cyclin G1とは異なる機能を
有すると考えられていたが、その機能については、報告
されていない。
る前記がん治療に関する問題を解決し、以下の目的を達
成することを課題とする。すなわち、本発明は、抗がん
剤としてまたは抗がん剤等のスクリーニングにおいて好
適に使用できるアポトーシス誘導剤、がん治療に極めて
有効な抗がん剤、抗がん剤等の新規薬剤を効率よく選択
可能な薬剤スクリーニング方法、および抗がん剤等の新
規薬剤の選択に好適な薬剤スクリーニングキットを提供
することを目的とする。
G2の過剰発現がアポトーシス誘導するとの知見を得
た。本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであ
り、前記課題を解決するための手段は以下の通りであ
る。 <1> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および、該アミノ酸配列において1若しくは
複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポリペプ
チドのいずれかを含むことを特徴とするアポトーシス誘
導剤である。 <2> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部であるアミノ酸配列が、N末端領域および中間
領域の少なくともいずれかをさらに含む請求項1に記載
のアポトーシス誘導剤である。 <3> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部であるアミノ酸配列が、N末端領域および中間
領域を含む前記<2>に記載のアポトーシス誘導剤であ
る。 <4> アポトーシス誘導剤が、がん細胞特異的にアポ
トーシスを誘導する前記<3>に記載のアポトーシス誘
導剤である。 <5> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および、該アミノ酸配列において1若しくは
複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポリペプ
チドのいずれかをコードする核酸を含むことを特徴とす
るアポトーシス誘導剤である。 <6> 核酸がベクター中に挿入されている前記<5>
に記載のアポトーシス誘導剤である。 <7> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドに結合することを特徴とするアポトーシス誘導
活性を有する化合物である。 <8> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドを含む複合体に結合することを特徴とするアポ
トーシス誘導活性を有する化合物。 <9> cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを
含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および、該アミノ酸配列において1若しくは
複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポリペプ
チドのいずれかを有効成分として含有することを特徴と
する抗がん剤である。 <10> cyclin G2の少なくともサイクリンボックス
を含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポ
リペプチド、および、該アミノ酸配列において1若しく
は複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ
ノ酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポリペ
プチドのいずれかをコードする核酸を有効成分として含
有することを特徴とする抗がん剤である。 <11> cyclin G2の少なくともサイクリンボックス
を含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポ
リペプチド及び該ポリペプチドを含む複合体のいずれか
に結合する化合物を有効成分として含有することを特徴
とする抗がん剤である。 <12> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のア
ポトーシス誘導剤を用いることを特徴とする薬剤スクリ
ーニング方法である。 <13> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のア
ポトーシス誘導剤を含むことを特徴とする薬剤スクリー
ニングキットである。
アポトーシス誘導剤は、cyclin G2の少なくともサイク
リンボックスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配
列からなるポリペプチド、および、該アミノ酸配列にお
いて1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付
加されたアミノ酸配列のいずれかからなりアポトーシス
誘導活性を有するポリペプチドを含む。
類や、他の真核生物に存在するサイクリンファミリーに
属するタンパク質であり、ヒトcyclin G2は、以下の配
列番号1のアミノ酸配列により表される344アミノ酸残
基を有するタンパク質である。
vyleqeer fqprekglsl ieatpendnt lcpglrnakv edlrslan
ff gsctetfvla vnildrflal mkvkpkhlsc igvcsfllaa riv
eedcnip sthdvirisq ckctasdikr mekiiseklh yeleattal
n flhlyhtiil chtserkeil sldkleaqlk acncrlifsk akps
vlalcl lnlevetlks velleilllv kkhskindte ffywrelvsk
claeysspec ckpdlkklvw ivsrrtaqnl hnsyysvpel ptipe
ggcfd esesedsced mscgeeslss sppsdqectf ffnfkvaqtl
cfps
から第165番目のアミノ酸配列が、「サイクリンボック
ス」と称される保存性のある領域であり、第281番目か
ら第334番目のアミノ酸配列が、「PEST領域」と称され
る領域である。本明細書においては、前記「サイクリン
ボックス」と「PEST領域」の間の配列を「中間領域」と
称し、前記「サイクリンボックス」よりN末端側の配列
を「N末端領域」と称することとする。
少なくとも前記サイクリンボックスを含む一部であるア
ミノ酸配列からなるポリペプチドを有するものであって
もよく、若しくはcyclin G2の全部であるアミノ酸配列
からなるポリペプチドを有するものであってもよい。ま
た、該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり
アポトーシス誘導活性を有するポリペプチドを有するも
のも含まれる。前記ポリペプチドは、糖鎖等の各種修飾
を受けているものであってもよい。
損したポリペプチドは、HeLa細胞およびKD細胞におい
て、ほとんどアポトーシスを誘導しないのに対し、前記
サイクリンボックスのみからなるポリペプチドであって
も、前記細胞において約30%の細胞にアポトーシスを誘
導する。したがって、cyclin G2の一部であるアミノ酸
配列のうち、少なくとも前記サイクリンボックスを含む
一部であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを有する
ものは、アポトーシス誘導活性を有する。アポトーシス
誘導活性の観点からは、前記一部配列が、サイクリンボ
ックスに加えて前記N末端領域を含むポリペプチド、お
よび、サイクリンボックスに加えて前記中間領域を含む
ポリペプチドが好ましく、前記一部配列がサイクリンボ
ックスに加えてN末端領域および中間領域の双方を含む
ポリペプチド、ならびに、前記cyclin G2全部であるポ
リペプチドが特に好ましい。
活性の観点からは、cyclin G2の少なくとも前記N末端
領域、サイクリンボックスおよび中間領域を含む一部で
あるアミノ酸配列、ならびに、cyclin G2の全部である
アミノ酸配列からなるポリペプチドを含むものが好まし
い。すなわち、前記好ましい態様のアポトーシス誘導剤
は、初代培養細胞のような正常細胞にはアポトーシス誘
導をほとんど起こさず、がん細胞特異的にアポトーシス
を誘導するという、抗がん剤として極めて優れた効果を
有することが本発明者らにより明らかにされた。従来の
抗がん剤の多くは、通常は静止期にある正常細胞より
も、静止期に入らず常に増殖を続けるがん細胞が、抗が
ん剤を取り込みやすいことを利用してがん細胞を殺傷す
る薬剤である。しかし、この場合、分裂する正常細胞に
も薬剤が取り込まれるため、抗がん剤が正常細胞をも殺
傷し、副作用が大きい。これに対し、正常細胞に取り込
まれても正常細胞を殺傷しにくい薬剤は、副作用の程度
が低く、極めて優れた抗がん剤になり得る。前記好まし
い態様のアポトーシス促進剤は、がん細胞特異的にアポ
トーシスを誘導する。なお、本明細書において、「がん
細胞特異的にアポトーシスを誘導する」とは、正常細胞
およびがん細胞において前記アポトーシス誘導剤が過剰
に存在している場合に、正常細胞に比して、がん細胞に
おいて有意に高い確率でアポトーシスが誘導されること
をいう。
p53に依存せず、独立に機能することができることが本
発明者らにより明らかにされた。この点で前記アポトー
シス誘導剤は、cyclin G1とは、その機能が大きく異な
っている。また、cyclin G2はcyclin G1にはないPEST
配列をもつことから、cyclin G2はその機能が不要にな
った場合には、速やかに分解されるタンパク質であると
考えられる。これらのことから、cyclin G2のほうがcy
clin G1よりも多様な場面で働き、また細胞に対してよ
り強く作用する因子である可能性が示唆される。
れて細胞にアポトーシスを起こすことができるため、そ
れ自体、アポトーシスを制御する機能により各種疾患の
治療薬として、特にがん細胞にアポトーシスを起こす機
能により抗がん剤として利用できる他、アポトーシスを
制御する抗がん剤等の新規薬剤のスクリーニングに利用
することができる。特に前記がん細胞に特異的なアポト
ーシスを誘導するポリペプチドをターゲットとする物質
をスクリーニングすることは、細胞のがん化を制御する
物質の選択に特に有効である。
は、cyclin G2の少なくともサイクリンボックスを含む
一部若しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリペプ
チド、および、該アミノ酸配列において1若しくは複数
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
列からなりアポトーシス誘導活性を有するポリペプチド
のいずれかをコードする核酸を含む。
るものであれば特に制限はなく、縮退した塩基配列を有
するものを含む。前記がん細胞特異的にアポトーシスを
誘導するポリペプチドをコードする核酸は、抗がん剤と
して使用される観点から特に好ましい。
れ、細胞内でコードするポリペプチドを過剰発現するこ
とにより、アポトーシスを誘導する。したがって、前記
アポトーシス誘導剤は抗がん剤として利用することがで
きる。前記アポトーシス誘導剤の細胞への導入方法とし
ては、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択するこ
とができ、例えば、レトロウイルスベクターや、アデノ
ウイルスベクターを利用してトランスフェクションする
方法や、エレクトロポレーションを用いた物理的方法等
が挙げられる。
チドをコードする核酸が予めベクターに挿入されている
ものであってもよい。
ターの中から適宜選択することができ、例えば、レトロ
ウイルスベクター、アデノウイルスベクター等が挙げら
れる。
ーシス誘導剤をHeLa細胞等にレトロウイルス等を用いて
導入し、過剰発現させ、その細胞の形態変化の観察、FA
CS解析、シトクロムCのリリースまたはCaspase−3の活
性を測定すること等により分析することができる。
本発明のアポトーシス誘導活性を有する化合物は、cycl
in G2の少なくともサイクリンボックスを含む一部若し
くは全部であるアミノ酸配列からなるポリペプチドに結
合する化合物であるか、該ポリペプチドを含む複合体に
結合する化合物であり、かつ、アポトーシス誘導活性を
有する化合物であれば特に制限はない。前記ポリペプチ
ドを含む複合体としては、cyclin G2とPP2A−B’
αとの複合体等が挙げられる。また、アポトーシス誘導
活性を有する化合物としては、該ポリペプチドと協同し
て機能する因子や、該因子に結合する化合物であっても
よい。
G2の少なくともサイクリンボックスを含む一部若しく
は全部であるアミノ酸配列からなるポリペプチド、およ
び、該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり
アポトーシス誘導活性を有するポリペプチドのいずれか
を有効成分として含有する。
clin G2の少なくともサイクリンボックスを含む一部若
しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
および、該アミノ酸配列において1若しくは複数のアミ
ノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から
なりアポトーシス誘導活性を有するポリペプチドのいず
れかをコードする核酸を有効成分として含有する。
clin G2の少なくともサイクリンボックスを含む一部若
しくは全部であるアミノ酸配列からなるポリペプチド及
び該ポリペプチドを含む複合体のいずれかに結合する化
合物を有効成分として含有する。これらの抗がん剤は、
経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内、皮内、皮下、筋肉内等
に投与することができる形状のものが好ましく、投与す
べき有効量は、投与方法、患者の年齢、体重等を考慮
し、適宜選択することができる。投与方法は、前記有効
成分ががん細胞に到達できる方法であれば特に制限はな
く、公知の薬剤運搬方法のなかから適宜選択することが
できる。前記抗がん剤は、前記薬剤運搬方法にあわせて
適宜担体、ベクター、補助剤等を有していてもよい。剤
型としては、注射剤、吸入剤、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散在、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム
剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられ、公知の製剤方法を用
いることができる。
ニング方法は、本発明のアポトーシス誘導剤を用いて薬
剤を選択する方法であれば特に制限はないが、本発明の
アポトーシス誘導剤を用いて細胞にアポトーシスを誘導
する工程を含むものが好ましい。具体的には、本発明の
アポトーシス誘導剤を細胞にトランスフェクションし、
細胞内で過剰発現させることにより細胞にアポトーシス
を誘導する工程において、候補となる薬剤を作用させ、
細胞がアポトーシスを起こす割合の変化により薬剤を選
択する方法などが挙げられる。
としては、特に制限はないが、前記がん細胞特異的なア
ポトーシスを誘導するポリペプチドをターゲットとし
て、このアポトーシス活性を制御する物質をスクリーニ
ングすることは、細胞のがん化を制御する物質をスクリ
ーニングする観点から特に有効である。
酸化酵素(cyclin dependent kinase)と結合してその
キナーゼ活性を制御するサブユニットとして働き、その
サイクリン−CDK複合体が標的因子をリン酸化する場合
があることが知られている(Sarucevic B他 J Biol Che
m.272,33327-33337,1997)ことから、cyclin G2のサイ
クリンボックスに未知のCDK様因子が結合し、アポトー
シス誘導に関与する因子をリン酸化することでアポトー
シスが誘導されることも考えられる。この未知のCDK様
因子も前記スクリーニングする薬剤として挙げられる。
クリーニングキットは、前記本発明のアポトーシス誘導
剤を含むこと以外は、特に制限はなく、目的に応じて適
宜選択したその他の成分を含有することができる。な
お、その他の成分としては、例えば、宿主細胞や、Casp
ase−3の活性測定手段等が挙げられる。
は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
料および方法について述べる 1)細胞培養およびガンマ線照射方法
B、HT1080、m5sおよびBosc23細胞は、5%ウシ胎児血清
(Fetal calf serum、FCS)、100μg/mlのストレプト
マイシン(streptomycin)および100U/mlのペニシリン
(penicillin)を含むDulbecco'smodifided eagle's培
地(DMEM)で、37℃に設定された5%CO2インキュベ
ーターにおいて培養した。KD、WI38およびTig−1細胞は
10%FCSを含む同じ培地で培養した。ガンマ線照射する
ため、細胞は10cmディッシュに50%コンフルエントにな
るように播き、翌日Gammacell 40 Exactor Research Ir
radiator(MDS Nordion、Ontario、Canada)で10GyのCs13
7ガンマ線照射後、直ちに培地を交換した。胸腺細胞は5
週齢のマウス(C57BL/6)から分離し、10%FCS、RPMI1
640を用いて37℃に設定された5%CO2インキュベータ
ーにおいて培養した。細胞は、1×10 6per mlになるよう
に播き、10Gyのガンマ線を照射したときを0時間とし
た。
胞を6cmディッシュに70%コンフルエントになるように
播き、一晩培養した。翌日、5μgのDNA、20μ1のLIP
OFECTAMINTM Regent(GIBCO BRL、LIFE TECHNOLOGIE
STM)および600μ1のOPTI-MEMI Reduced Serum Medium
(GIBCO BRL、LIFE TECHNOLOGIESTM)を混合して室温で
30分間静置した。その後、調製溶液にOPTI−MEMI培地を
加え全量を2.5 mlとして、あらかじめPBSとOPTI−MEMI
培地とで洗浄しておいたデイッシュヘ播き、6時間培養
した。その後、2.5mlの10%FCSを含む培地を加えさらに
18時間培養した。リポフェクション24時間後に5%FCSを
含む培地に交換し、さらに一晩培養した後、解析に用い
た。
に、以下の方法でウイルス液を調製した。6cmディッシ
ュ10枚に70%コンフルエントになるようBosc23細胞を播
き、翌日pCL−AmphoとpBabeベクターまたはpBabe−cycl
in G2発現ベクターとのDNAを2μgずつ1:1になる
ようにして、リボフェクションを行った。翌日、上清を
回収して遠心により細胞を除去したものをウイルス液と
した。このウイルス液を培地に加えることにより、遺伝
子導入を行った。
の確認 1〜2×106個の細胞を回収し、PBSで洗浄した。細胞ペ
レットに100μlの細胞溶解バッファー(10mM Tris−HC
1〔pH7.4〕、10m MEDTA〔pH8.0〕、0.5%TritonX-10
0)を加え溶解した。4℃にて10分間静置し、16,000rpm
で5分間遠心して上清を回収した。回収した上清に2μ1
のRNaseAを加え37℃で1時間インキュベートした後、2μ
1のproteinase K溶液を加え50℃で30分間さらにインキ
ュベートした。30分後、20μ1の5M NaClと120μ1のイソ
プロパノールを加え、−20℃で一晩静置した。翌日、1
6,000rpmで15分間遠心し、ペレットを70%エタノールで
洗浄後、十分に乾燥させて20μ1のTE(Tris-EDTA)に融解
した。そして、各試料に1μ1の6×ゲルローディング液
(0.25%BPB、40%ショ糖)を加え、1.5%アガロースゲ
ルで電気泳動した後、エチジウムブロマイド(1μg/m
1)によりゲルを染色してUVトランスイルミネーターを
用いてDNAの蛍光を検出した。
ーシスの確認 1〜2×106個の細胞を回収し、PBSで十分に洗浄した。細
胞ペレットに1mlの細胞溶解バッファー(300mMスクロ
ース、10mM HEPES〔pH7.4〕、50mM KCl、5mMEGTA、5mM
MgCl2、1mM DTT、1mM PMSF、10μg/ml Aprotinin)
を加え十分に溶解後氷上に30分間静置した。これ以降の
操作についてはすべて4℃で行った。ピペッティングに
よって細胞を十分に粉砕し、2,000gで10分間遠心後、回
収したペレットを核分画とした。上清についてはさらに
13,000gで10分間遠心し、回収したペレットをミトコン
ドリア分画とした。残りの上清を細胞質分画としてウエ
スタンブロットに用いた。
し、氷上で10分間反応させた。その後、CPP32/caspase
−3 Colorimetric Protease Assay Kit(MBL)を用いて
caspase−3の活性を測定した。活性は、分光光度計によ
って波長400nmの吸光度を測定し、サンプルとコントロ
ールとの吸光度を比較することで、caspase活性を算出
した。
ometryを用いた。70%エタノールで細胞を固定後、PI-R
Nase(250μg/ml propidium iodide、10μg/ml RNas
e)に懸濁し室温で1時間インキュベートした。次に、ナ
イロンメッシュで濾過した後、調製サンプルはCellQues
t programによるFACscan(Becton−Dickinson)を用い
て解析した。
組み換えグルタチオンセファローストランスフェラーゼ
(GST)−ヒトcyclin G2およびGST−マウスcyclin G2
を抗原として、ニュージーランド白ウサギを免疫するこ
とで作成された(Ichijo H他 Science 275,90-94,199
7)。
た。細胞をPBS(Dulbecco’sPBS)で洗浄後、プロテア
ーゼ阻害剤(100mM PMSF、1μg/ml Leupeptine、1μg
/ml Pepstatin A)を含むlysis buffer(50mM Tris−H
Cl[pH7.5]、200mM NaC1、1mMEGTA、0.2%NP−40、10
%Glycero1)を用いてタンパク質を抽出した。タンパク
質の濃度は、プロテインアッセイキット(Bio−Rad、He
rcules)を用いて定量した。サンプルのタンパク質の濃
度を等しく調整した後、同量のSDS gel-loadingbuffer
(Sambrook J, Fritsch EF and Maniatis T. Molecular
cloning. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, NY,1989)を回収したサンプル溶液に1
/6量ずつ加え熱変性した後、10%SDSポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動(PAGE)を行った。トランスファーに
は、ImmobilonTM membranes(MilliPore、Bedford、M
A)を使用し、10%スキムミルクを含むTBSTbuffer(20m
M Tris−HCl[pH7.5]、150mM NaC1、0.05%Tween20)
で終夜ブロッキングを行った後、抗体を加えさらに2〜6
時問反応させた。TBSTで3回洗浄した後、Horse Radish
Peroxidase(HRP)を結合させた2次抗体を含むTBST/10
%スキムミルクと2時間反応させた。その後、TBSTで3回
洗浄し、RENAISSENSETM chemiluminescence reagents
(Dupon/NEN、Boston、MA)の化学発光により目的のタ
ンパク質のバンドを観察した。
およびコンストラクトの作成 cyclin G2の欠失変異体はcyclin G2cDNAを鋳型に
してPCR法により増幅した。PCRプライマーの設計
は、cyclin G2をN末端域(5'primer:5'-ATGAAG GAT
TTG GGG GCA GA−3':配列番号2)、サイクリンボック
ス領域(5'primer:5'-GTG TCC AGG ATT GAG AAA TGC C
−3':配列番号3、3'primer:5'TAT AAT AGT ATG GTA
TAA GTG−3':配列番号4)、中間領域(5'primer:5'-
CAC TTATAC CAT ACT ATT ATA−3':配列番号5、3' pri
mer: 5'-GAG GTT CTG GGC TGTGCG CCT-3':配列番号
6)、C末端PEST領域(3'primer:5'-CTA AGA TGG AAA
GCA CAG TG−3':配列番号7)に分けて設計した。5'末
端にスクリーニング用の制限酵素サイトAscIを、3'末端
にはNotIをあらかじめ挿入した。増幅PCR産物はQIA
quick Gel Extraction kit(QIAGEN)によって精製
し、レトロウイルス発現用ベクターでSV40をプロモータ
ーにもつpBabe−puroベクターに挿入した。得られたpla
smid DNAはQIAGEN Plasmid Purification Kit(QIAGE
N)により精製し、リポフェクションに用いた。
の機能を調べるため、DNA損傷にともなって、cyclin
G2の発現が誘導されるか否かを調べた。5週齢のマウ
スC57BL/6の胸腺細胞に10Gyのガンマ線を照射後、時間
経過にともなうcyclin G1 およびcyclin G2の発現誘
導をノーザンブロットおよびウエスタンブロットによっ
て調べた。図1Aは、RNA抽出後、ノーザンブロット
を行った結果を表し、図1Bは、SDS−PAGEを行い、抗cy
clin G1、抗cyclin G2、および抗Ig−G抗体によりウ
エスタンブロットを行った結果を表す。
発現が上昇し、6時間後には発現量がピークに達した。
それに対して、cyclin G2は、ガンマ線照射後6時間目
から発現が上昇し始め、24時間後にはピークに達した
(図1Aおよび1B)。すなわち、cyclin G1はより初期
に発現が誘導され、cyclin G2は後期に誘導されること
が判った。
現誘導へのp53の関与を調べた。ヒトがん細胞由来の細
胞株で野生型p53をもつMCF−7細胞と、p53を欠失した
Saos−2細胞とにそれぞれ10Gyのガンマ線を照射した。
その後、時間経過にともなって細胞からタンパク質を抽
出し、抗cyclin G1、抗cyclin G2、抗p53、および抗
Tubulin抗体によりウエスタンブロットを行った。結果
は図1Cに表す。
みられたが、Saos−2細胞では観られなかった。それに
対して、cyclin G2の発現誘導は、MCF−7細胞およびSa
os−2細胞のいずれにおいてもガンマ線照射後に観られ
た(図1C)。このようにp53を欠失したSaos−2細胞に
おいてもDNA損傷においてcyclin G2の発現誘導が起
こることから、cyclin G2はcyclin G1とは異なり、p
53に依存せず発現が誘導されることが判った。
ベクターpBabe−puroにマウスまたはヒトcyclin G1お
よびG2のcDNAをそれぞれ挿入したコンストラクト
を作成し、レトロウイルスによりHeLa細胞とm5s細胞に
導入し、過剰発現させたところ、HeLa細胞、m5s細胞と
もに生存細胞数が減少した。また、neo耐性遺伝子をも
つベクター(pRC−CMV)にcyclin G2を挿入し、HeLa細
胞にトランスフェクション後、G418で選択を行い、コロ
ニーを形成させたところ、cyclin G2を発現したクロー
ンは得られなかった。HeLa細胞、m5s細胞ともにコロニ
ーは全く形成されなかった(図示せず)。以上のことか
ら、HeLa細胞でcyclin G2を過剰発現させると細胞死を
起こすことが判った。
イルスベクターpBabe-hcyclin G2をHeLa細胞へ感染さ
せ、cyclin G2の過剰発現によって細胞死が誘導される
際の細胞の形態変化を観察した。HeLa細胞に、レトロウ
イルスベクターpBabe−cyclin G2と空のベクターpBabe
−puroとをそれぞれを導入し、24時間後および36時間後
に細胞の形態を撮影した写真を図2に示す。時間はHeLa
細胞にレトロウイルスベクターでcyclin G2を導入した
後の時間を示す。感染後24時間でアポトーシス細胞に特
徴的な体積の縮小および核の凝縮が観察され、36時間後
には、ほぼすべての細胞は細胞死を起こした。
ーでHeLa細胞へ導入し、発現させ、導入後24時間目に細
胞をヘキスト33342で染色し、蛍光顕微鏡下で核の形態
を観察したところ、cyclin G2を過剰発現させた場合
に、核およびクロマチンの凝縮と断片化が観察された
(図3A)。
ったところ、細胞が死んでいくにつれて、アポトーシス
の際に一般的にみられる180bpのヌクレオソーム単位に
切断されたDNAラダーが確認された(図3B)。時間は
HeLa細胞にレトロウイルスベクターでcyclin G2を導入
した後の時間を示す。以上の結果からcyclin G2の過剰
発現による細胞死が、アポトーシスによるものであるこ
とが判った。
過剰発現させたが、アポトーシスは起こらなかった(図
示せず)。このことおよび前記実施例1の結果から、cyc
linG1はDNA損傷後の初期に行われる細胞周期停止や
DNA修復において主に機能し、cyclin G2は後期にア
ポトーシスの誘導に関与しているといったように、機能
の役割分担が考えられる。
のリリースとcaspase−3の関与>cyclin G2の過剰発現
によるアポトーシスの誘導経路がミトコンドリアを介し
たものであるかどうかを確認するため、シトクロムCの
リリースを調べた。
よびHeLa細胞にレトロウイルスベクターでcyclin G2を
導入し、導入後24時間後および48時間後にその発現をウ
エスタンブロットにより分析した。この結果、いずれの
細胞においてもcyclin G2が発現していた(図4A)。
細胞質へのリリースをウエスタンブロットにより分析し
た。その結果HeLa細胞では感染後12時間目からシトクロ
ムCのリリースがみられたが、Tig−1細胞では観られな
かった(図4B)。
spase阻害剤によって抑制されるかどうかを調べた。上
述した方法と同様にcyclin G2を導入した後、DEVD−FM
K(CPP32/caspase−3阻害剤)の最終濃度を0、1、4お
よび8μMになるように培地に加えた。24時間後にトリパ
ンブルー染色によって細胞数をカウントした結果、HeLa
細胞では4μMの濃度のときに最も生存細胞数が上昇した
(図4C)。しかし、Tig−1細胞ではDEVD−FMKの濃度を
あげても細胞の生死に影響は観られなかった(図4D)。
ウイルスベクターでcyclin G2を導入後、培地に4μMの
DEVD−FMKを添加し、時間経過にともなう生存細胞数を
調べた。cyclin G2だけを発現させた場合は、導入後48
時間で細胞はほぼすべて細胞死を起こしたが、DEVD−FM
Kを加えると、アポトーシス細胞はcyclin G2だけを導
入した場合と比べて約50%減少した(図4E)。これに対
し、Tig−1細胞ではこのような変化は観られなかった
(図4F)。
G2によるアポトーシスの誘導は、ミトコンドリアを介
してcaspase−3を活性化する経路を通じて行われ、シト
クロムCより下流のApaf−1およびcaspase−9を活性化す
ることによって、最終的にDNAのヌクレオソームの断
片化というプロセスに至ることを示唆するものである。
は、正常繊維芽細胞であるTig−1細胞においては、cycl
in G2が発現されているにもかかわらず、シトクロムC
の細胞質へのリリースが起こらないことを示す。
によるアポトーシスの誘導に必要な領域を決定するため
に、cyclinG2の欠失変異体を作成した。cyclin G2を
N末端領域、サイクリンボックス、中間領域、C末端PE
ST領域の4つの領域に分けてコンストラクトを作成し
(図5A)、レトロウイルスベクターを用いてHeLa細胞と
KD細胞に過剰発現させた。cyclin G2欠失変異体の作成
の模式図を図5Aに表す。また、HeLa細胞およびKD細胞に
おける各cyclin G2欠失変異体のアポトーシス誘導能に
関し、細胞にレトロウイルスベクターで各変異体を導入
後、細胞集団を回収してFACS解析を行い、sub−G1集団
(細胞周期のG1期のピークより弱いシグナルを発して、
グラフでは左側に集団となって観察される細胞群)をア
ポトーシス細胞として、その割合の測定結果を図5Aに表
す。また、HeLa細胞およびKD細胞におけるcyclin G2の
各欠質変異体の発現をウエスタンブロットにより確認し
た結果を図5Bに表す。
を欠失させても完全長のcyclin G2の場合と同様に約60
%程度の細胞がアポトーシスを起こした。さらに、C末
端PEST領域およびN末端領域を欠失させると約50%の細
胞が、C末端PEST領域および中間領域を欠失させると約
30%の細胞が、サイクリンボックス部分のみ発現させて
も約20%の細胞がアポトーシスを起こした。これに対
し、サイクリンボックスを欠失させるとアポトーシスは
誘導されなかった(図5A)。したがって、cyclinG2の
アポトーシス誘導にはサイクリンボックスが必要であ
り、中心的な役割を果たしていると考えられる。しか
し、一方では、サイクリンボックスのみのコンストラク
トを過剰発現させた場合には、全長を発現させた場合と
比べてアポトーシスの頻度が低下したことから、サイク
リンボックス以外の部分もアポトーシスに関与している
と考えられる。
ス部分のみ残した欠失変異体を発現させた場合には、He
La細胞におけると同程度である約20%の細胞がアポトー
シスを起こした。しかし、少なくともサイクリンボック
スと中間領域とを含むcyclinG2欠失変異体を発現させ
た場合には、KD細胞はHeLa細胞における場合より、顕著
に低い割合でアポトーシスを起こした。特に、N末端領
域、サイクリンボックス、及び中間領域を含むポリペプ
チドや、全長cyclin G2は、HeLa細胞では60%程度
のアポトーシスを誘導したのに対し、KD細胞ではそれ
ぞれ30%程度および10%以下のアポトーシスしか誘導し
なかった。このことから、少なくともサイクリンボック
スと中間領域とを含むcyclin G2の一部または全部であ
るアミノ酸配列からなるポリペプチドは、癌細胞特異的
にアポトーシスを誘導することがわかった。
代培養細胞であるTig−1およびKDと、がん由来の細胞株
であるHeLa、Saos−2、MCF−7、KB、HT1080、SW837およ
びT24細胞とにおいて、cyclin G2によるアポトーシス
が誘導されるかどうかを調べた。レトロウイルスベクタ
ーを用いて各細胞にcyclin G2を発現させ、ウエスタン
ブロットによって発現を確認した(図6A)。次に、cycl
in G2を発現させた各細胞について、cyclin G2導入後
36時間目に細胞をFACSにかけ、sub−G1集団をアポトー
シス細胞としてその割合を図6Bに示した。その結果、が
ん由来の細胞株であるHeLa、Saos−2、MCF−7、KB、HT1
080およびT24細胞でアポトーシスが誘導されたのに対
し、初代培養細胞であるTig−1およびKDにおいてはアポ
トーシスが誘導されなかった。また、継代細胞であるWI
38においては、低い割合でアポトーシスが誘導された。
ポトーシスを誘導した際のcaspase3の活性化とシトクロ
ムCの細胞質への放出を測定した。cyclin G2を導入後2
4時間、および、36時間または48時間で、細胞抽出液を
調製し、caspase−3の活性を測定した結果を図7Aに表
す。また、cyclin G2を導入後24時間、および36時間ま
たは48時間で、細胞質分画を抽出してウエスタンブロッ
トを行い、細胞質へのシトクロムCの放出を測定した結
果を図7Bに表す。
B細胞などアポトーシスが強く誘導された細胞株でシト
クロムCのリリースとcaspase−3の活性化が確認された
(図7)。
伝子でトランスフォームさせると、DNA損傷などの刺
激に対して感受性が高くなりアポトーシスを誘導しやす
くなることが報告されている(Rao,l.他 Proc Natl Aca
d Sci. USA 89, 7742-7746,1992)。それに対して、HeL
a細胞やJurkat細胞といったがん由来の細胞株と初代培
養細胞との融合細胞ではシトクロムCのリリースが阻害
されることにより、アポトーシスの誘導が抑制されるこ
とが知られている(Duelli DM 他 Nature CellBiol. 2,
859-861, 2000)。これらの事実は、初代培養細胞には
アポトーシスを抑制する未知の因子が存在し、細胞がが
ん化することでその抑制機構が機能しなくなったことを
示唆する。cyclin G2の過剰発現によるアポトーシスが
がん由来の細胞株でより誘導されやすいのは、こうした
理由によるのではないかと思われる。
を解決することができ、抗がん剤としてまたは抗がん剤
等のスクリーニングにおいて好適に使用できるアポトー
シス誘導剤、がん治療に極めて有効な抗がん剤、抗がん
剤等の新規薬剤を効率よく選択可能な薬剤スクリーニン
グ方法、および抗がん剤等の新規薬剤の選択に好適な薬
剤スクリーニングキットを提供することができる。
in G2の発現を表すノーザンブロットおよびウエスタン
ブロットの写真である。
誘導される細胞死を表す写真である。
おける核の凝縮および電気泳動の結果による断片化を表
す写真である。
−1細胞のアポトーシスにおける、シトクロムC放出とca
spase−3の関与を表す写真およびグラフである。
同定に関し、cyclin G2の欠失変異体の模式図、HeLa細
胞およびKD細胞におけるアポトーシス誘導活性を表すグ
ラフ、および、HeLa細胞およびKD細胞における発現を表
すウエスタンブロットの写真である。
表すウエスタンブロットの写真、およびcyclin G2によ
るアポトーシス誘導を表すグラフである。
るcaspase−3の活性化を表すグラフおよびシトクロムC
の放出を表すウエスタンブロットの写真である。
Claims (13)
- 【請求項1】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチド、および、該アミノ酸配列において1若
しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポ
リペプチドのいずれかを含むことを特徴とするアポトー
シス誘導剤。 - 【請求項2】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部であるアミノ酸配列が、N末端領域およ
び中間領域の少なくともいずれかをさらに含む請求項1
に記載のアポトーシス誘導剤。 - 【請求項3】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部であるアミノ酸配列が、N末端領域およ
び中間領域を含む請求項2に記載のアポトーシス誘導
剤。 - 【請求項4】 アポトーシス誘導剤が、がん細胞特異的
にアポトーシスを誘導する請求項3に記載のアポトーシ
ス誘導剤。 - 【請求項5】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチド、および、該アミノ酸配列において1若
しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポ
リペプチドのいずれかをコードする核酸を含むことを特
徴とするアポトーシス誘導剤。 - 【請求項6】 核酸がベクター中に挿入されている請求
項5に記載のアポトーシス誘導剤。 - 【請求項7】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチドに結合することを特徴とするアポトーシ
ス誘導活性を有する化合物。 - 【請求項8】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチドを含む複合体に結合することを特徴とす
るアポトーシス誘導活性を有する化合物。 - 【請求項9】 cyclin G2の少なくともサイクリンボッ
クスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列からな
るポリペプチド、および、該アミノ酸配列において1若
しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有するポ
リペプチドのいずれかを有効成分として含有することを
特徴とする抗がん剤。 - 【請求項10】 cyclin G2の少なくともサイクリンボ
ックスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列から
なるポリペプチド、および、該アミノ酸配列において1
若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加され
たアミノ酸配列からなりアポトーシス誘導活性を有する
ポリペプチドのいずれかをコードする核酸を有効成分と
して含有することを特徴とする抗がん剤。 - 【請求項11】 cyclin G2の少なくともサイクリンボ
ックスを含む一部若しくは全部であるアミノ酸配列から
なるポリペプチド及び該ポリペプチドを含む複合体のい
ずれかに結合する化合物を有効成分として含有すること
を特徴とする抗がん剤。 - 【請求項12】 請求項1から6のいずれかに記載のア
ポトーシス誘導剤を用いることを特徴とする薬剤スクリ
ーニング方法。 - 【請求項13】 請求項1から6のいずれかに記載のア
ポトーシス誘導剤を含むことを特徴とする薬剤スクリー
ニングキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002044335A JP2003238591A (ja) | 2002-02-21 | 2002-02-21 | アポトーシス誘導剤、アポトーシス誘導活性を有する化合物、抗がん剤、薬剤スクリーニング方法および薬剤スクリーニングキット |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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