JP2003236566A - 過酸化水素の残留濃度制御装置 - Google Patents
過酸化水素の残留濃度制御装置Info
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Abstract
計を用いたりして、処理水中の残留過酸化水素濃度を一
定値以下又は、一定範囲内に制御する過酸化水素の残留
濃度制御装置を提供する。 【解決手段】 過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化
水素を添加し、オゾン反応槽にて被処理水とオゾンガス
とを気液接触させて処理水における過酸化水素の残留濃
度を制御するに当たり、過酸化水素の添加量の制御が可
能な薬注ポンプと、被処理水の流量を検出する流量計
と、オゾン反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力するバイオセンサーと、バイオセ
ンサーの出力信号と流量計の流量信号とに基づいて、処
理水の過酸化水素の残留濃度を所定値以下にするように
薬注ポンプを制御する制御装置とを備える。
Description
O2)添加処理を用いた促進酸化処理に、オゾン処理や
紫外線(UV)処理を組み合わせて、過酸化水素の残留
濃度を制御する過酸化水素の残留濃度制御装置に関す
る。
ら、従来の上下水道や産業排水の処理に過酸化水素添加
処理、紫外線処理、活性炭処理等を付加した高度処理が
検討又は導入され始めている。これらの高度処理プロセ
スでは、その処理目的に応じて様々な処理プロセスが併
用されている。例えば、浄水処理(上水道)では臭気や
トリハロメタン前駆物質(トリハロメタン生成能)除去
のためにオゾンと活性炭処理が併用されている。下水の
二次処理水では再利用や親水、修景用水等の用途のため
に臭気や色度除去、塩素代替殺菌を目的としてオゾン処
理又は紫外線処理が用いられている。また、有機物負荷
が高い産業排水、埋め立て地の侵出水等では、CODM
n(化学的酸素要求量)やダイオキシン等に代表される
難分解性有機物の除去率向上のため、生物処理、過酸化
水素処理、紫外線処理が適宜組み合わせられている。
水などを処理対象としたオゾン処理プロセスに、過酸化
水素処理を追加した代表的な促進酸化処理(AOP)の
処理工程図である。ここで、砂ろ過槽1は、水中に懸濁
する浮遊物質(SS分)を除去するもので、被処理水の
特性に応じて凝集剤の添加が行われることもある。砂ろ
過槽1で浮遊物質が除去された砂ろ過水は過酸化水素添
加槽2に送り込まれる。過酸化水素添加槽2では、過酸
化水素貯留槽3から薬液が供給され、砂ろ過水に過酸化
水素の添加、混合を行い、オゾン反応槽4へ送水する。
段に設置される目的は、過酸化水素の酸化力による有機
物の分解と、過酸化水素から生成したヒドロペルオキシ
イオン(HO2 −)とオゾンとの反応により生成される
ヒドロキシラジカル(HO・)の供給源であり、酸化処
理目的よりもラジカルの供給源としての比重を高めるこ
とにある。ヒドロキシラジカルの酸化還元電位(2.8
7V)は、オゾン(O 3、2.07V)より高く、非常
に反応性に富んでいる。
との気液接触によりオゾン処理を行うものである。オゾ
ンガスの発生は、乾燥空気又は乾燥酸素を原料にオゾン
発生設備(図示せず)にて行われるが、両者の使い分け
は要求されるオゾンガス濃度による。すなわち、低濃度
排水を処理する場合には空気を原料に低濃度オゾンガス
(0〜25g/m3)が用いられ、高濃度排水を処理す
る場合には酸素を原料として中、高濃度オゾンガス(2
5〜300g/m3)が用いられている。
香族系高分子有機物に代表される難分解性有機物やそれ
らを成分とするCODMn、トリハロメタン前駆物質、
臭気、色度等は、オゾン処理だけでは酸化、分解できな
いことがある。
P)の一手法である過酸化水素とオゾン処理を併用した
処理プロセスでは、オゾン処理の前段で添加された過酸
化水素及びその水溶液中の解離物のヒドロペルオキシイ
オン(HO2 −)とオゾンとの反応により、反応性の非
常に高いヒドロキシラジカル(HO・)を生成し、前記
の難分解性有機物を酸化、分解する。なお、オゾン反応
槽4から排出される排オゾンガスは、排オゾン分解塔
(図示せず)にて無害化処理された後、大気中に放出さ
れる。排オゾン分解塔における排オゾン分解剤には、活
性炭や加温したマンガン系の触媒が用いられる。
によっては、オゾン反応槽4の後段に紫外線反応槽5が
設置され、紫外線ランプを点灯することにより紫外線処
理が実施されることもある。その処理工程図を図10
(b)に示す。紫外線反応槽5の役割は、紫外線照射に
よりオゾン処理水中に残存するオゾンや過酸化水素が分
解することによって生じる反応性が高いヒドロキシラジ
カルの生成を促進させ、さらなる難分解性有機物の分解
効率の向上及ぴ殺菌、脱色を行うことにある。ただし、
紫外線処理を適用する場合、被処水中の透過率が低い場
合や紫外線ランプの表面が汚れてくると、その処理効果
が低減するので、注意が必要である。
ン反応槽4から排出される排オゾンガスを有効利用する
ために、この排オゾンガスを紫外線反応槽5に戻し、排
オゾン吸収及びさらなるヒドロキシラジカルの生成を促
進させることがある。また、図10(d)に示したよう
に、過酸化水素添加槽2の後に紫外線反応槽5を設置
し、過酸化水素添加処理と紫外線処理とを組合せた促進
酸化処理方法も存在する。
対象物質である難分解性有機物は、従来の高度処理より
も処理対象物質が除去され、最終的に下水や河川等の公
共水域へ放流される。
水素添加処理における過酸化水素添加率は、オゾン処理
や紫外線処理におけるヒドロキシラジカルの生成を優先
して、当量反応よりも過剰に添加されており、しばしば
処理水中に高濃度にて残留することがあった。過酸化水
素の有害性を示すデータとして、LD50(半数致死
量)はラットに対する皮内注射で約700mg/kg、
静脈注射で約21mg/kgの数値が報告さている。
酸化水素は、食品添加物としては微弱ながら発ガン性が
認められたため、1980年10月より使用基準が改定
され、最終食品の完成前に分解又は除去することになっ
た。過酸化水素は前記のように強い酸化剤であり、また
残留性が高く生物に対して有害性であるため、高濃度に
残留していると環境や生態系に悪影讐を与える虞れがあ
る。このため、河川等の公共水域へそのまま放流するこ
とは望ましくない。そこで、処理水中に高濃度に残留す
る過酸化水素を除去するため、活性炭処理槽などの除外
施設を設置する方法も考えられるが、除外施設の設備費
や維持管理費にコストがかかるという問題があった。
ことは、過酸化水素の添加率が適正に制御されていない
ことを意味し、また薬注費のコスト増にもつながるため
処理コスト面からも好ましくない。このため、適切な過
酸化水素の添加制御方去やオンラインでの検出方法が求
められていた。しかし、過酸化水素をオンラインで、か
つ、リアルタイムで測定できるセンサーが存在しなかっ
たため、適切な添加制御は実施されていなかった。
されたもので、過酸化水素の有する酸化力と生物阻害性
を用いて、微生物に対する過酸化水素の有害性(活性低
下、呼吸阻害等)応答を利用したバイオセンサーを応用
し、又は残留過酸化水素濃度に起因する酸化還元電位計
を用いたりして、処理水中の残留過酸化水素濃度を一定
値以下又は、一定範囲内に制御する過酸化水素の残留濃
度制御装置を提供することを目的とする。
セスにおいて過酸化水素(H2O2)が関与するヒドロ
キシラジカル(HO・)の生成反応を示す。水中におけ
る過酸化水素の挙動、オゾン(O3)とヒドロペルオキ
シイオン(HO2 −)によるヒドロキシラジカル(HO
・)の生成、オゾンによるヒドロキシラジカルの生成反
応は、それぞれ以下の通りである。 H2O2→H++HO2 − ……(1) HO2 −+O3→HO・+・O2 −+O2 ……(2)
るヒドロキシラジカル(HO・)の生成量は過酸化水素
(H2O2)及びオゾン量に依存することが分かる。
(2)式の反応で生成したヒドロキシラジカルが有機物
(RH)と迅速に反応する。 HO・+RH→R・+H2O ……(3) (直鎖系有機物) →RHOH・ ……(3)’(芳香族系有機物) R・ + O3(O2)→酸化生成物 ……(4) (直鎖系有機物) RHOH・+O3(O2)→酸化生成物 ……(4)’(芳香族系有機物)
直鎖の有機物ラジカル(R・)を生成し、芳香族化合物
では付加反応により同じく有機物ラジカル(RHOH
・)を生成する。これらの有機ラジカルがオゾン又は酸
素と反応して酸化物を与える。
ある場合、溶存オゾン及び残留過酸化水素は、紫外線の
有するエネルギーによりそれぞれヒドロキシラジカルを
生成する。容存オゾンと紫外線によるヒドロキシラジル
の生成反応は、以下の通りである。 O3+hν(λ<310nm)→O+O2 ……(5) O+H2O→2HO・ ……(6)
ラジカルの生成反応は、以下の通りである。 H2O2+hν→2HO・ ……(7)
過酸過水素(H2O2)は反応性の高いヒドロキシラジ
カル(HO・)の生成に大きく関与していることが分か
る。このため、過酸化水素の添加率及び残留濃度を適切
に監視、制御することは、促進酸化処理システム(AO
Ps)の効率的な処理及び処理コスト削減に大きく寄与
するものである。
素添加槽にて被処理水に過酸化水素を添加し、オゾン反
応槽にて過酸化水素添加槽から流出する被処理水にオゾ
ンガスを供給して被処理水とオゾンガスとを気液接触さ
せて処理水における過酸化水素の残留濃度を制御する過
酸化水素の残留濃度制御装置において、過酸化水素添加
槽に対する過酸化水素の添加量の制御が可能な薬注ポン
プと、被処理水の流量を検出する流量計と、オゾン反応
槽から流出する処理水の過酸化水素濃度に対応する信号
を出力するバイオセンサーと、バイオセンサーの出力信
号と流量計の流量信号とに基づいて、処理水の過酸化水
素の残留濃度を所定値以下にする過酸化水素添加量を演
算し、この演算結果に従って過酸化水素が添加されるよ
うに薬注ポンプを制御する制御装置とを備えたことを特
徴とするものである。
にて被処理水に過酸化水素を添加し、紫外線反応槽にて
過酸化水素添加槽から流出する被処理水に紫外線を照射
して被処理水中に生じるヒドロキシラジカルの生成を促
進させて処理水における過酸化水素の残留濃度を制御す
る過酸化水素の残留濃度制御装置において、過酸化水素
添加槽に対する過酸化水素の添加量の制御が可能な薬注
ポンプと、被処理水の流量を検出する流量計と、紫外線
反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度に対応する
信号を出力するバイオセンサーと、バイオセンサーの出
力信号と流量計の流量信号とに基づいて、処理水の過酸
化水素の残留濃度を所定値以下にする過酸化水素添加量
を演算し、この演算結果に従って過酸化水素が添加され
るように薬注ポンプを制御する制御装置とを備えたこと
を特徴とするものである。
にて被処理水に過酸化水素を添加し、オゾン反応槽にて
過酸化水素添加槽から流出する被処理水にオゾンガスを
供給して被処理水とオゾンガスとを気液接触させ、紫外
線反応槽にて紫外線反応槽から流出する被処理水に紫外
線を照射して被処理水中に生じるヒドロキシラジカルの
生成を促進させて処理水における過酸化水素の残留濃度
を制御する過酸化水素の残留濃度制御装置において、過
酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制御が可
能な薬注ポンプと、被処理水の流量を検出する流量計
と、紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力するバイオセンサーと、バイオセ
ンサーの出力信号と流量計の流量信号とに基づいて、処
理水の過酸化水素の残留濃度を所定値以下にする過酸化
水素添加量を演算し、この演算結果に従って過酸化水素
が添加されるように薬注ポンプを制御する制御装置とを
備えたことを特徴とするものである。
にて被処理水に過酸化水素を添加し、オゾン反応槽にて
過酸化水素添加槽から流出する被処理水にオゾンガスを
供給して被処理水とオゾンガスとを気液接触させて処理
水における過酸化水素の残留濃度を制御する過酸化水素
の残留濃度制御装置において、過酸化水素添加槽に対す
る過酸化水素の添加量の制御が可能な薬注ポンプと、被
処理水の流量を検出する流量計と、オゾン反応槽から流
出する処理水の過酸化水素濃度に対応する信号を出力す
る酸化還元電位計と、酸化還元電位計の出力信号と流量
計の流量信号とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留
濃度を所定値以下にする過酸化水素添加量を演算し、こ
の演算結果に従って過酸化水素が添加されるように薬注
ポンプを制御する制御装置とを備えたことを特徴とする
ものである。
にて被処理水に過酸化水素を添加し、紫外線反応槽にて
過酸化水素添加槽から流出する被処理水に紫外線を照射
して被処理水中に生じるヒドロキシラジカルの生成を促
進させて処理水における過酸化水素の残留濃度を制御す
る過酸化水素の残留濃度制御装置において、過酸化水素
添加槽に対する過酸化水素の添加量の制御が可能な薬注
ポンプと、被処理水の流量を検出する流量計と、紫外線
反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度に対応する
信号を出力する酸化還元電位計と、酸化還元電位計の出
力信号と流量計の流量信号とに基づいて、処理水の過酸
化水素の残留濃度を所定値以下にする過酸化水素添加量
を演算し、この演算結果に従って過酸化水素が添加され
るように薬注ポンプを制御する制御装置とを備えたこと
を特徴とするものである。
にて被処理水に過酸化水素を添加し、オゾン反応槽にて
過酸化水素添加槽から流出する被処理水にオゾンガスを
供給して被処理水とオゾンガスとを気液接触させ、紫外
線反応槽にてオゾン反応槽から流出する被処理水に紫外
線を照射して被処理水中に生じるヒドロキシラジカルの
生成を促進させて処理水における過酸化水素の残留濃度
を制御する過酸化水素の残留濃度制御装置において、過
酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制御が可
能な薬注ポンプと、被処理水の流量を検出する流量計
と、紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力する酸化還元電位計と、酸化還元
電位計の出力信号と流量計の流量信号とに基づいて、処
理水の過酸化水素の残留濃度を所定値以下にする過酸化
水素添加量を演算し、この演算結果に従って過酸化水素
が添加されるように薬注ポンプを制御する制御装置とを
備えたことを特徴とするものである。
実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係
る過酸化水素の残留濃度制御装置の第1の実施形態の制
御系統図である。図中、従来の制御装置の説明に用いた
図10と同一の符号を付したものはそれぞれ同一の要素
を示している。
の残留濃度を制御して処理水を流出させる経路に、砂ろ
過槽1、過酸化水素添加槽2及びオゾン反応槽4が順次
配設されている。このうち、砂ろ過槽1は水中に懸濁す
る浮遊物質を除去するもので、被処理水の特性に応じて
凝集剤の添加が行われたりもする。砂ろ過槽1と過酸化
水素添加槽2との間に流量計8が設けられている。過酸
化水素添加槽2は過酸化水素貯留槽3から薬液を添加し
てここで混合するもので、薬液の添加には薬注ポンプ6
が用いられる。オゾン反応槽4は過酸化水素が添加され
た被処理水とオゾンガスとの気液触媒によりオゾン処理
を行うものである。このオゾン反応槽4から処理水を流
出させる経路にバイオセンサー7が設けられている。ま
た、バイオセンサー7によって検出された過酸化水素濃
度、流量計8によって検出された被処理水の流量に基づ
いて、過酸化水素の添加率Dを演算して、この添加率D
となるように薬注ポンプ6に制御信号Pを出力する制御
装置9を備えている。上記のように構成された制御系統
の詳しい動作を、特に従来の処理工程と異なる部分を中
心にして以下に説明する。
された過酸化水素添加率Dに基づき過酸化水素添加槽2
に添加する過酸化水素添加量Pを調整するものである。
流量計8は、被処理水量を測定するものであり、測定値
Qを制御装置9に出力している。過酸化水素添加槽2
は、過酸化水素の酸化力による有機物の分解と、過酸化
水素から生成したヒドロペルオキシイオン(HO2 −)
とオゾンとの反応により生成されるヒドロキシラジカル
(HO・)の供給源であり、ラジカルの供給源としての
比重が高い。過酸化水素添加槽2にて過酸化水素処理が
実施され、残留過酸化水素を含んだ被処理水が後段に示
すオゾン反応槽4にてオゾン接触、反応が行われる。
るオゾンの直接反応(オゾン分子が有概物などの被酸化
性物質を酸化する反応)の他に、オゾンの間接反応(残
留過酸化水素などとオゾンとの反応によりヒドロキシラ
ジカル(HO・)が生成され、そのヒドロキシラジカル
が有概物などの被酸化性物質を酸化する反応)が競合し
て起こる。本実施形態では、過酸化水素添加槽2にてラ
ジカル供給源である過酸化水素が常時添加されているた
め、オゾンの間接反応が優先して起こる。
ゾン分解によりヒドロキシラジカルが生成されオゾンの
間接反応が起こるが、その反応割合はごく僅かである。
過酸化水素と溶存オゾンによりヒドロキシラジカルの生
成反応は、上記(1)、(2)式に示した通りである。
これの式を再度下記に示す。 H2O2→H++HO2 − ……(1) HO2 −+O3→HO・+・O2 −+O2 ……(2)
るヒドロキシラジカル(HO・)の生成量は、過酸化水
素及びオゾン量に依存することが分かる。バイオセンサ
ー7は、オゾン反応槽4の出口(処理水)における残留
過酸化水素濃度Zを酸素透過電流として検出するもので
ある。本実施形態ではバイオセンサー7として、溶存酸
素電極の表面に微生物膜を付加し、微生物膜に鉄酸化細
菌を固定したものを用いているが、微生物膜に酵母菌を
固定した生物化学的酸素要求量(BOD)センサーや、
微生物膜に硝化菌を固定したバイオセンサーも利用でき
る。バイオセンサー7では処理水の一部を採水し、それ
を試料水としている。本実施形態で用いるバイオセンサ
ー7は、残留過酸化水素濃度Zとして0.05mg/L
まで検出することが可能である。次に、本実施形態で用
いているバイオセンーの概要について説明する。
の詳細な構成は、特開2000−321233号公報な
どに示されている。バイオセンサー7は、有害物質(本
実施形態は過酸化水素が相当する)による微生物に対す
る呼吸阻害作用を応用したものであり、有害物質により
微生物の活性が低下すると微生物による酸素消費量が減
少するため、微生物膜を透過する酸素量が増大し、結果
的に酸素電極の出力電流(バイオセンサー出力)が増大
することを応用している。
離した第1鉄イオン、Fe2+)の有無と過酸化水素
(H2O2)濃度に対するバイオセンサー7の出力Eと
の関係示した線図である。バイオセンサー7を構成する
微生物膜に固定されている鉄酸化細菌は、エネルギー源
(基質)である第1鉄イオン(Fe2+)が供給され、
溶存酸素が十分にあり、有害物質が全くない条件下では
最大活性を示す。つまり前記の条件の時にバイオセンサ
ーの出力Eが最小(Elow)となる。鉄酸化細菌によ
る酸素消費及び第1鉄イオン(Fe2+)の酸化反応を
以下に示す。
積したFe(OH)3は、定期的な酸洗浄により除去可
能である。
1鉄イオンを添加した状態において、処理水中の残留過
酸化水素(H2O2)濃度とバイオセンサーの出力Eの
状態変化を、図2を用いて詳細に説明する。
し、試料水過酸化水素濃度=0である時刻t0〜t1の
期間 試料水には、H2O2及びエネルギー源であるFe2+
が含まれていないため、微生物(鉄酸化細菌)による酸
素消費はごく僅かなため、酸素は微生物膜を透過する。
このため、溶存酸素電極の近傍の溶存酸素はほぼ飽和状
態のままであり、従ってバイオセンサー7の出力Eは最
大値に近いレベル(Ehi、状態A)を示す。
濃=0である時刻t1〜t2の期間 エネルギー源であるFe2+が添加され、微生物の活性
向上による酸素消費のため、微生物膜を透過する酸素量
は減少し、溶存酸素電極近傍の溶存酸素濃度が低下す
る。このため、バイオセンサー7の出力Eは最小値に近
いレベル(Elow、状態B)を示す。
濃=「高」である時刻t2〜t3の期間 エネルギー源であるFe2+を添加した状態で過酸化水
素濃度が高い試料水が流入すると、過酸化水素の生物阻
害性により、微生物(鉄酸化細菌)の呼吸が低下し酸素
消費量が低下する。このため、微生物膜を透過する酸素
量は増大し、溶存酸素電極近傍の溶存酸素濃度は再び飽
和に近い状態になり、バイオセンサー7の出力Eは増加
し始める。さらに、過酸化水素濃度が高くなり、微生物
の活性が失われる程度まで増加すると微生物による酸素
消費がほとんどなくなり、バイオセンサー7の出力Eは
最大値(Emax、状態C)となる。このときバイオセ
ンサー7における微生物の活性が失われた状態での出力
Eは、Ehiにほぽ等しくなる。つまり、Emax=E
hiとなる。
濃=「低」である時刻t3以降の期間 試料水の過酸化水素濃度が低くなると、過酸化水素によ
る生物阻害性の影響が弱まり、微生物(鉄酸化細菌)の
活性がある程度回復し、呼吸量回復により酸素消費量が
噌加する。このため、微生物膜を透過する酸素量は減少
し、溶存酸素電極近傍の溶存酸素濃度は飽和濃度より減
少する。従って、バイオセンサー7の出力Eは中ぐらい
のレベル(Emid、状態D)になる。
避けられないが、定期的にゼロ校正(試料水は純水の
み、Fe2+の添加はなく溶存酸素が飽和態、出力E
o)及びスパン校正(試料水は純水、Fe2+の供給は
ないが溶存酸素が飽和状態、出力出sp)と、定期洗浄
(酸洗浄)を行っており、各状態におけるバイオセンサ
ー7における出力Eの絶対値はほぼ安定している。
なければ、バイオセンサー7におけるゼロ校正の出力E
は、図3における状態Bとほぽ同等(Elow=Eo)
である。また同様に、試料水に生物阻害性物質が全く含
まれていなければ、バイオセンサー7におけるスパン校
正の出力Eは、図2における状態とほぼ同等(Esp≒
Ehi)である。ここで、通常Elow=0.05μ
A、Ehi=0.8μA程度である。
7が残留過酸化水素の応答し始める点(検出下限値)Z
low及び、バイオセンサー7が残留過酸化水素により
活性を失う点(検出上限値)Zhiは、本実施形態では
以下の値が得られている。 Zlow=0.05mg/L(出力E:Elow=0.
05μAに相当) Zhi=1.0mg/L(出力E:Ehi=0.8μA
に相当)
物阻害性物質がなく溶存酸素が飽和状態、硫酸第一鉄添
加、図2に示す状態B)において、過酸化水素濃度に対
する応答性を示したものである。
サー7の出力Eが得られており、残留過酸化水素濃度の
上限目標値Zuに対応するバイオンサー7の出力はE
u、残留過酸化水素濃度の下限目標値Zdに対応するバ
イオセンサー7の出力はEdである。
Eと図3に示した特性図から、制御装置9にて処理水中
の残留過酸化水素濃度Ziを換算し、残留過酸化水素濃
度の目標値Sとの比較、及ぴ、現在の過酸化水素添加率
Di、被処理水量の測定値Qi、新たな過酸化水素添加
率Dn及びそれに対応した過酸化水素添加量Pnを演算
している。本実施形態の制御装置9には、残留過酸化素
濃度の上限目標値Zu=0.3mg/Lと下限目標値Z
d=0.1mg/Lがそれぞれ設定されており、また、
それらに対応するバイオセンサー7の出力は、それぞれ
Eu=0.45μA、Ed=0.17μAである。
0.1μA≦E≦0.45μAを満たすように過酸化水
素添加率Dnを演算し、薬注ポンプ6における過酸化水
素添加量Pnをフィードバック制御している。もちろ
ん、Zd及ぴZuは、Zlow≦Zd<Zu≦Zhiを
満たす任意の範囲で設定、制御可能である。また、残留
過酸化水素濃度の上限目標値Zuのみを設定し、例えぱ
Zu=0.1mg/Lとして処理水中の残留過酸化水素
濃度を0.1mg/L以下に制御することも可能であ
る。なお、制御装置9が正常に動作している場合、バイ
オセンサー7の状態は図2に示す状態Dに相当する。
濃度制御装置の第1の実施形態によれば、処理水中に残
留する過酸化水素濃度を、0.05mg/L以上1.0
mg/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、反
応に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され、薬
注コストを削減することができる。また、河川など公共
水域に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度
を、生物環境に悪影響を及ぼすことがない濃度以下に制
御することができる。
きるため、促進酸化処理システム(AOPs)に必要不
可欠なオゾン処理によるヒドロキシラジカル(HO・)
の生成、供給反応が途絶えることはない。このため、難
分解性有機物の分解など常に効率的な促進酸化処理シス
テムが継続される。以上により、促進酸化処理システム
における薬注コストの削減と、生物環境に与える影響の
低減とを併せた効率的な処理が達成される。
制御装置の第2の実施形態の制御系統図である。図中、
第1の実施形態を示す図1と同一の要素には同一の符号
を付してその説明を省略する。この実施形態はオゾン反
応槽4の代わりに紫外線反応槽5を用いた点が図1と構
成を異にし、これ以外は図1と全く同様に構成されてい
る。
動作について、特に、図1と構成を異にする部分を中心
にして説明する。この実施形態は、「過酸化水素+紫外
線」処理を用いた促進酸化処理であり、濁質分が少なく
光の透過率が比較的高い有機性排水やスペースの制約上
オゾン反応槽及び関連機器の設置が困難な場合に適用さ
れることが多い。過酸化水素と紫外線との反応によりヒ
ドロキシラジカルの生成は、上記(7)式に示した通り
である。この式を再度下記に示す。 H2O2+hν→2HO・……(7)
ルの生成には紫外線が必要不可欠なため、本実施形態で
は透明度の高い地下水における汚染物質の浄化(塩素系
有機溶剤の分解、除去)に適用している。本実施形態に
おいても、第1の実施形態と同様にバイオセンサー7の
出力Eと図3に示した特性図から、制御装置9にて処理
水中の残留過酸化水素濃度Ziを換算し、残留過酸化水
素濃度の目標値Sとの比較、及ぴ現在の過酸化水素添加
率Di、被処理水量の測定値Qi、新たな過酸化水素添
加率Dn及びそれに対応した過酸化水素添加量Pnを演
算している。
素濃度の上限目標値Zu=0.3mg/Lと下限目標値
Zd=0.1mg/Lがそれぞれ設定されており、また
それらに対応するバイオセンサー7の出力は、それぞれ
Eu=0.45μA、Ed=0.17μAである。つま
り、バイオセンサー7の出力Eが、0.17μA≦E≦
0.45μAを満たすように過酸化水素添加率Dnを演
算し、薬注ポンプ6における過酸化水素添加量Pnをフ
ィードバック制御している。もちろん、第1の実施形態
と同様に、Zd及ぴZuは、Zlow≦Zd<Zu≦Z
hiを満たす任意の範囲で設定、制御可能である。ま
た、残留過酸化水素濃度の上限目標値Zuのみを設定
し、例えばZu=0.1mg/Lとして処理水中の残留
過酸化水素濃度を0.1mg/L以下に制御することも
可能である。
濃度制御装置の第2の実施形態によれば、処理水中に残
留する過酸化水素濃度を、0.05mg/L以上1.0
mg/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、反
応に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され、薬
注コストを削減することができる。また、河川など公共
水域に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度
を、生物環境に悪影響を及ぼすことがない濃度以下に制
御することができる。また、第1の実施形態の効果に加
えて、より一層ラジカル生成による反応の促進が期待で
きる。
制御装置の第3の実施形態の制御系統図である。図中、
第1の実施形態を示す図1と同一の要素には同一の符号
を付してその説明を省略する。この実施形態はオゾン反
応槽4の下流側に紫外線反応槽5を設け、この紫外線反
応槽5の下流側にバイオセンサー7を設置した点が図1
と構成を異にし、これ以外は図1と全く同様に構成され
ている。
動作について、特に、図1と構成を異にする部分を中心
にして説明する。この実施形態に係る紫外線反応槽5の
役割又は目的は、オゾン反応槽4の処理水中に残留する
溶存オゾンや過酸化水素に対して、紫外線照射を行いヒ
ドロキシラジカル(HO・)の生成を促進させ、難分解
性有機物等に対する処理効果をより一層向上させること
である。
応は上記の(5)、(6)、(7)式に示した通りであ
る。これらの式を再度下記に示す。容存オゾンと紫外線
によるヒドロキシラジカルの生成反応は、以下の通りで
ある。 O3+hν(λ<310nm)→O+O2 ……(5) O+H2O→2HO・ ……(6)
ラジカルの生成反応は、以下の通りである。 H2O2+hν→2HO・ ……(7)
紫外線」処理を用いた促進酸化処理は、第1の実施形態
に示した「過酸化水素+オゾン」併用の促進酸化処理と
比較して、より難分解性有機物の処理を対象とし、さら
に有機物の分解率向上のために適用されている。
素の存在量がヒドロキシラジカルの生成反応に大きく関
与していることが分かる。特に本実施形態の「過酸化水
素+オゾン+紫外線」併用処理は、ヒドロキシラジカル
の生成経路及び機会が増えるため、残留過酸化水素温度
を適切に監視、制御することは第1の実施形態以上に重
要なことである。本実施形態では、バイオセンサー7が
紫外線反応槽5の後段に設置されており、第1の実施形
態と同様に処理水中の残留過酸化水素濃度の検出及び制
御が可能である。
様であるため詳細な説明は省略するが、本実施形態にお
いても、バイオセンサー7の出力Eと図3に示した特性
図から、制御装置9にて処理水中の残留過酸化水素濃度
Ziを換算し、残留過酸化水素濃度度の目標値Sとの比
較、及び現在の過酸化水素添加率Di、被処理水量の測
定値Qi、新たな過化水素添加率Dn及びそれに対応し
た過酸化水素添加量Pnを演算している。本実施形態の
制御装置9には、残留過酸化素濃度の上限目標値Zu=
0.3mg/Lと下限目標値Zd=0.1mg/Lがそ
れぞれ設定されており、また、それらに対応するバイオ
センサー7の出力は、それぞれEu=0.45μA、E
d=0.17μAである。
0.17μA≦E≦0.45μAを満たすように過酸化
水素添加率Dnを演算し、薬注ポンプ6における過酸化
水素添加量Pnをフィードバック制御している。もちろ
ん第1の実施形態と同様に、Zd及びZuは、Zlow
≦Zd<Zu≦Zhiを満たす任意の範囲で設定、制御
可能である。また、残留過酸化水素濃度の上限目標値Z
uのみを設定し、例えばZu=0.1mg/Lとして処
理水中の残留過酸化水素濃度を0.1mg/L以下に制
御することも可能である。
濃度制御装置の第3の実施形態によれば、処理水中に残
留する過酸化水素濃度を、0.05mg/L以上1.0
mg/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、反
応に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され、薬
注コストを削減することができる。また河川など公共水
域に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度
を、生物環境に悪影響を及ぼすことがない濃度以下に制
御することができる。このため、本実施形態では難分解
性有機物等に対する処理効果の向上を達成しつつ第1の
実施形態や第2の実施形態と同様の効果が得られる。
溶存オゾン濃度も低減できるため、残貿過酸化水素濃度
制御との相乗効果により、河川など公共水に放流される
処理水が生物環境に及ぼす影響をさらに低減できる。ま
た紫外線処理を併用することにより未吸収の排オゾンガ
スの分解が促進され、排オゾン吸収率の向上が期待でき
る。
る薬注コストの削減と、生物環境に与える影響の低減と
を併せた効率的な処理が達成される。
制御装置の第4の実施形態の制御系統図である。図中、
第1の実施形態を示す図1と同一の要素には同一の符号
を付してその説明を省略する。この実施形態は図1に示
したバイオセンサー7の代わりに酸化還元電位計(OP
R計)10を用いた点が第1の実施形態と相違し、これ
以外は全て第1の実施形態と同一に構成されている。上
記のように構成された本実施形態の動作について、特
に、第1の実施形態と構成を異にする部分を中心にして
以下に説明する。
出口(処理水)における残留過酸化水素濃度Zを酸化還
元電位(mV)として検出するものである。
過酸化水素濃度Zと、酸化還元電位計10の出力Vとの
関係を示す。残留過酸化水素濃度Zに対応した酸化還元
電位計の出力Vが得られており、残留過酸化水素濃度の
上限目標値Zuに対応する酸化還元電位計10の出力は
Vu、残留過酸化水素濃度の下限目標値Zdに対応する
酸化還元電位計10の出力はVdである。
値Zlow及ぴ、検出上限値Zhiは、本実施形態では
以下の値が得られている。 Zlow=0.0mg/L(出力V:Vo=422mV
に相当) Zhi=0.5mg/L (出力V:Vc=220mV
に相当) 検出上限値をZhi=0.5mg/Lと定めたのは、残
留過酸化水素濃度Zが0.5mg/L以上になると、酸
化還元電位計10の出力Vがほとんど変化(低下)しな
いためである。つまり、図7に示したように、酸化遺元
電計10では残留過酸化水素濃度Zとして0.5mg/
L以下が定量可能である。
力Vと図7に示した特性図から、制御装置9にて処理水
中の残留過酸化水素濃度Ziを換算し、残留過酸化水素
濃度の目標値Sとの比較、及ぴ現在の過酸化水素添加率
Di、被処理水量の測定値Qi、新たな過酸化水素添加
率Dn及びそれに対応した過酸化水素添加量Pnを演算
している。
素濃度の上限目標値Zu=0.3mg/Lと、下限目標
値Zd=0.1mg/Lがそれぞれ設定されており、ま
た、それらに対応する酸化還元電位計10の出力は、そ
れぞれVu=230mV、Vd=300mvである。制
御装置9では、酸化還元電位計10の出力Vが、230
mV≦V≦300mVを満たすように過酸化水素添加率
Dnを演算し、薬注ポンプ6における過酸化水素量Pn
をフィードバック制御している。
水)水温はほぼ一定であり、水中の無機イオン量及び組
成は、ほぼ一定であるため、無機イオンによるバックグ
ランドの影響は無視することができる。もちろん、Zd
及びZuは、Zlow≦Zd<Zu≦Zhiを満たす任
意の範囲で設定、制御可能である。また、残留過酸化水
素濃度の上限目標値Zuのみを設定し、例えばZu=
0.1mg/Lとして処理水中の残留過酸化水素濃度を
0.1mg/L以下に制御することも可能である。
濃度制御装置の第4の実施形態によれば、処理水中に残
留する過酸化水素濃度を、0.0mg/L以上0.5m
g/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、反応
に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され、薬注
コストを削減することができる。また河川など公共水域
に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度を、
生物環境に悪影響を及ぼすことがない濃度以下に制御す
ることができる。
様に促進酸化処理システムにおける薬注コストの削減
と、生物環境に与える影響の低減と、難分解性有機物等
に対する処理効果の向上が達成できる。さらに、酸化還
元電位計は電気化学的な測定法を用いるため、生物膜を
用いたバイオセンサーより水環境に対する耐久性、共存
物質の影響を受けにくいという特性がある。
制御装置の第5の実施形態の制御系統図である。図中、
第2の実施形態を示す図4と同一の要素には同一の符号
を付してその説明を省略する。この実施形態は図4に示
したバイオセンサー7の代わりに酸化還元電位計(OP
R計)10を用いた点が第2の実施形態と相違し、これ
以外は全て第2の実施形態と同一に構成されている。上
記のように構成された本実施形態の動作について、特
に、第2の実施形態と構成を異にする部分を中心にして
以下に説明する。
理を用いた促進酸化処理で、濁質分が少なく光の透過率
が比較的高い有機性排水やスペースの制約上オゾン反応
槽及び関連機器の設置が困難な場合に適用されることが
多い。ここで、酸化還元電位計10は第4の実施形態と
同様に、オゾン反応槽4の出口(処理水)における残留
過酸化水素濃度Zを酸化還元電位(mV)として検出す
るものである。
過酸化水素濃度Zと、本実施形態で用いている酸化還元
電位計10の出力Vとの関係を示す。残留過酸化水素濃
度Zに対応した酸化還元電位計の出力Vが得られてお
り、残留過酸化水素濃度の上限目標Zuに対応する酸化
還元電位計10の出力はVu、残留過酸化水素濃度の下
限目標値Zdに対応する酸化還元電位計10の出力はV
dである。また、酸化還元電位計10による検出下限値
Zlow及ぴ、検出上限値Zhiは、本実施形態では以
下の値が得られている。 Zlow=0.0mg/L(出力V:Vo=422mV
に相当) Zhi=O.5mg/L (出力V:Vc=220mV
に相当)
めたのは、残留過酸化水素濃度Zが0.5mg/L以上
になると、酸化還元電位計10の出力Vがほとんど変化
(低下)しないためである。つまり、図7に示したよう
に、酸化還元電位計10では残留過酸化水素濃度Zとし
て0.5mg/L以下が定量可能である。本実施形態で
は、酸化還元電位計10の出力Vと図7に示した特性図
から、制御装置9にて処理水中の残留過酸化水素濃度Z
iを換算し、残留過酸化水素濃度の目標値Sとの比較、
及ぴ現在の過酸化水素添加率Di、被処理水量の測定値
Qi、新たな過酸化水素添加率Dn及ぴそれに対応した
過酸化水素添加量Pnを演算している。
水素濃度の上限目標値Zu=0.3mg/Lと、下限目
標値Zd=0.1mg/Lがそれぞれ設定されており、
またそれらに対応する酸化還元電位計10の出力は、そ
れぞれVu=230mV、300mVである。制御装置
9では、酸化還元電位計10の出力Vが、230mV≦
V≦300mVを満たすように過酸化水素添加率Dnを
演算し、薬注ポンプ6における過酸化水素量Pnをフィ
ードバック制御している。
水)の水温はほぼ一定であり、水中の無機イオン量及び
組成はほぼ一定であるため、無機イオンによバックグラ
ンドの影響は無視することができる。もちろん、Zd及
びZuは、Zlow≦Zd<Zu≦Zhiを満たす任意
の範囲で設定、制御可能である。また、残留過酸化水素
濃度の上限目標値Zuのみを設定し、例えばZu=0.
1mg/Lとして処理水中の残留過酸化水素濃度を0.
1mg/L以下に制御することも可能である。
に残留する過酸化水素濃度を、0.0mg/L以上0.
5mg/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、
反応に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され薬
注コストを削減することができる。また河川など公共水
域に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度
を、生物環境に悪形響を及ぼすことがない濃度以下に制
御することができる。
に促進酸化処理システムにおける薬注コストの削減と、
生物環境に与える影響の低減と、難分解性有機物等に対
する処理効果の向上が図られる。
定法を用いるため、生物膜を用いたバイ才センサーより
水環境に対する耐久性、共存物質の影響を受けにくいと
いう特性がある。また、第4の実施形態の効果に加え
て、より一層のラジカル生成による反応の促進が期待で
きる。
制御装置の第6の実施形態の制御系統図である。図中、
第3の実施形態を示す図5と同一の要素には同一の符号
を付してその説明を省略する。この実施形態は図5に示
したバイオセンサー7の代わりに酸化還元電位計10を
設け、その酸化還元電位(ORP)を指標として用いた
ものである。上記のように構成された本実施形態の動作
について、特に、第3の実施形態と構成を異にする部分
を中心にして以下に説明する。
出口(処理水)における残留過酸化水素濃度Zを酸化還
元電位(mV)として検出するものである図7に一例と
して、定常状態における残留過酸化水素濃度Zと、本実
施形態で用いている酸化還元電位計10の出力Vとの関
係を示す。
電位の出力Vが得られており、残留過酸化水素濃度の上
限目標値Zuに対応する酸化還元電位計10の出力はV
u、残留過酸化水素濃度の下限目標値Zdに対応する酸
化還元電位計10の出力はVdである。また、酸化還元
電位計10による検出下限値Zlow及ぴ、検出上限値
Zhiは、本実施形態では以下の値が得られている。
に相当) Zhi=0.5mg/L (出力V:Vc=220mV
に相当) 検出上限値をZhi=0.5mg/Lと定めたのは、残
留過酸化水素濃度Zが0.5mg/L以上になると、酸
化還元電位計10の出力Vがほとんど変化(低下)しな
いためである。つまり、図7に示したように、酸化還元
電位計10では残留過酸化水素濃度Zとして0.5mg
/L以下が定量可能である。本実施形態では、酸化還元
電位計10の出力Vと図7に示した特性図から、制御装
置9にて処理水中の残留過酸化水素濃度Ziを換算し、
残留過酸化水素濃度の目標値Sとの比較、及び現在の過
酸化水素添加率Di、被処理水量の測定値Qi、新たな
過酸化水素添加率Dn及びそれに対応した過酸化水素添
加量Pnを演算している。
素濃度の上限目標値Zu=0.3mg/Lと、下限目標
値Zd=0.1mg/Lがそれぞれ設定されており、ま
た、それらに対応する酸化還元電位計10の出力は、そ
れぞれVu=230mV、Vd=300mVである。
力Vが、230mV≦V≦300mVを満たすように過
酸化水素添加率Dnを演算し、薬注ポンプ6における過
酸化水素量Pnをフィードバック制御している。なお、
本実施形態における原水(被処理水)水温はほぽ一定で
あり、中の無機イオン量及び組成はほぼ一定であるた
め、無機イオンによるバックグランドの影響は無視する
ことができる。もちろん、Zd及ぴZuは、Zlow≦
Zd<Zu≦Zhiを満たす任意の範囲で設定、制御可
能である。また、残留過酸化水素濃度の上限目標値Zu
のみを設定し、例えば、Zu=0.1mg/Lとして処
理水中の残留過酸化水素濃度を0.1mg/L以下に制
御することも可能である。
に残留する過酸化水素濃度を、0.0mg/L以上0.
5mg/L以下の範囲で任意に設定、制御できるため、
反応に寄与しない余分な過酸化水素の添加が抑制され薬
注コストを削減することができる。また河川など公共水
域に放流される場合でも、処理水中の過酸化水素濃度
を、生物環境に悪形響を及ぼすことがない濃度以下に制
御することができる。
に促進酸化処理システムにおける薬注コストの削減と、
生物環境に与える影響の低減と、難分解性有機物等に対
する処理効果の向上が達成される。
定法を用いるため、生物膜を用いたバイオセンサーより
水環境に対する耐久性、共存物質の影響を受けにくいと
いう特性がある。
発明によれば、過酸化水素の有する酸化力と生物阻害性
を用いて、微生物に対する過酸化水素の有害性(活性低
下、呼吸阻害等)応答を利用したバイオセンサーを応用
したり、あるいは、残留過酸化水素濃度に起因する酸化
還元電位(ORP)を指標としたりして、処理水中の残
留過酸化水素濃度を一定値以下又は、一定範囲内に制御
する過酸化水素の残留濃度制御装置を提供することがで
きる。
第1の実施形態の制御系統図。
ために、エネルギー源の有無と過酸化水素濃度に対応す
るバイオセンサーの出力と時間との関係示した線図。
性を示した線図。
第2の実施形態の制御系統図。
第3の実施形態の制御系統図。
第4の実施形態の制御系統図。
電位計の過酸化水素濃度に対する応答性を示した線図。
第5の実施形態の制御系統図。
第6の実施形態の制御系統図。
図。
Claims (6)
- 【請求項1】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、オゾン反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水にオゾンガスを供給して被処理水と
オゾンガスとを気液接触させて処理水における過酸化水
素の残留濃度を制御する過酸化水素の残留濃度制御装置
において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記オゾン反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力するバイオセンサーと、 前記バイオセンサーの出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。 - 【請求項2】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、紫外線反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水に紫外線を照射して被処理水中に生
じるヒドロキシラジカルの生成を促進させて処理水にお
ける過酸化水素の残留濃度を制御する過酸化水素の残留
濃度制御装置において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力するバイオセンサーと、 前記バイオセンサーの出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。 - 【請求項3】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、オゾン反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水にオゾンガスを供給して被処理水と
オゾンガスとを気液接触させ、紫外線反応槽にて前記オ
ゾン反応槽から流出する被処理水に紫外線を照射して被
処理水中に生じるヒドロキシラジカルの生成を促進させ
て処理水における過酸化水素の残留濃度を制御する過酸
化水素の残留濃度制御装置において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力するバイオセンサーと、 前記バイオセンサーの出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。 - 【請求項4】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、オゾン反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水にオゾンガスを供給して被処理水と
オゾンガスとを気液接触させて処理水における過酸化水
素の残留濃度を制御する過酸化水素の残留濃度制御装置
において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記オゾン反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力する酸化還元電位計と、 前記酸化還元電位計の出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。 - 【請求項5】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、紫外線反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水に紫外線を照射して被処理水中に生
じるヒドロキシラジカルの生成を促進させて処理水にお
ける過酸化水素の残留濃度を制御する過酸化水素の残留
濃度制御装置において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力する酸化還元電位計と、 前記酸化還元電位計の出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。 - 【請求項6】過酸化水素添加槽にて被処理水に過酸化水
素を添加し、オゾン反応槽にて前記過酸化水素添加槽か
ら流出する被処理水にオゾンガスを供給して被処理水と
オゾンガスとを気液接触させ、紫外線反応槽にて前記オ
ゾン反応槽から流出する被処理水に紫外線を照射して被
処理水中に生じるヒドロキシラジカルの生成を促進させ
て処理水における過酸化水素の残留濃度を制御する過酸
化水素の残留濃度制御装置において、 前記過酸化水素添加槽に対する過酸化水素の添加量の制
御が可能な薬注ポンプと、 被処理水の流量を検出する流量計と、 前記紫外線反応槽から流出する処理水の過酸化水素濃度
に対応する信号を出力する酸化還元電位計と、 前記酸化還元電位計の出力信号と前記流量計の流量信号
とに基づいて、処理水の過酸化水素の残留濃度を所定値
以下にする過酸化水素添加量を演算し、この演算結果に
従って過酸化水素が添加されるように前記薬注ポンプを
制御する制御装置と、 を備えたことを特徴とする過酸化水素の残留濃度制御装
置。
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