JP2003232727A - 水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法 - Google Patents

水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法

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Akiyo Suzuki
陽代 鈴木
Daijiro Kobori
大二郎 小堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルホン酸基含有有機化合物の含有量が1mg
/l未満の水溶液でもスルホン酸基含有有機化合物の定量
分析が可能な、赤外線吸収スペクトル法による水溶液中
のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法を提供する
こと。 【解決手段】 赤外線吸収スペクトル法による定量分析
法において、スルホン酸基含有有機化合物が溶解してい
る水溶液に、内部標準物質を添加して混合液を調製し、
次いで該混合液の水分を除去して得られた測定試料を用
いて内部標準法で定量分析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶液中のスルホ
ン酸基含有有機化合物の定量分析法に関するものであ
り、詳しくはスルホン酸基含有有機化合物からなるイオ
ン交換樹脂を用いる高純度水製造装置の性能評価及び構
築に必要な水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定
量分析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、陽イオン交換樹脂及び陰イオ
ン交換樹脂を用いた超純水製造装置や復水脱塩装置等の
高純度水製造装置が知られており、陽イオン交換樹脂と
しては、スルホン酸基含有有機化合物であるポリスチレ
ンスルホン酸を主成分とするものが多く用いられてい
る。該高純度水製造装置の性能評価及び構築を精密に行
うには、イオン交換樹脂から溶出し、高純度水中に1mg
/l未満の微量成分として存在するポリスチレンスルホン
酸の定量分析を精度良く行う必要がある。このような水
溶液中の有機物質の定量分析法としては、一般的に、高
速液体クロマトグラフィーやGC−MSが知られてい
る。
【0003】しかし、高速液体クロマトグラフィーは測
定感度が悪いため、上記のような低濃度のポリスチレン
スルホン酸を分析するには試料が高濃度、例えば1.0
mg/l以上になるように濃縮する必要がある。このように
高倍率に濃縮された試料は、Na、K、Ca及びFe等
の無機物質、有機物質及び微粒子等からなり含有の有無
について予測が不可能な物質である夾雑物質を含むた
め、該夾雑物質が、例えばカラムを閉塞させてカラム圧
を上げたり、試料や標準物質のピーク形状に異常を来し
たり、ピークの検出自体に異常を来したりする等の様々
な不都合を生じさせる。
【0004】また、GC−MSの場合は、ポリスチレン
スルホン酸のような分子量1000以上の物質は一般的
に測定できず、また、質量で検出するため、何が含まれ
ているか不明な試料の場合には、確かにその質量のピー
クが目的物質であるかの特定が困難であり、測定精度が
悪い。
【0005】そこで、上記以外の有機物質の定量分析方
法を考える必要があり、このような方法として、検量線
法を用いた赤外線吸収スペクトル法が考えられる。な
お、赤外線吸収スペクトルによって水溶液中の対象物質
を定量分析する場合には、水自体が非常に大きい赤外吸
光を有するためそのまま測定することができない。従っ
て、水分を除去するため、通常、赤外吸光に不活性であ
る有機溶媒を用いて対象物質を抽出する等の工程が必要
になる。しかし、このように、有機溶媒で抽出する方法
では、ポリスチレンスルホン酸が親水性であるため、有
機溶媒への抽出が困難であり、実質的に測定を行うこと
ができない。そこで、測定板等に試料を滴下しそのまま
乾燥させ水分を蒸発させる方法が考えられる。
【0006】
【非特許文献1】「SEPARATION REPOR
T TSK−GEL PWタイプによる水溶性高分子
のGFC測定」,東ソー株式会社,昭和63年2月,p
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、該水分
を蒸発させる方法は操作が簡便であるが、測定板等の表
面に残る測定試料の広がりや厚さのコントロールが不可
能になり、ポリスチレンスルホン酸濃度と赤外吸光度に
相関性がなくなり、実質的に定量が不可能であるという
問題がある。このように、従来、超純水等の水溶液中の
微量のスルホン酸基含有有機化合物を簡易に且つ精度よ
く定量する方法は知られていなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、スルホン酸基含
有有機化合物の含有量が1mg/l未満の水溶液でもスルホ
ン酸基含有有機化合物の定量分析が可能な、赤外線吸収
スペクトル法による水溶液中のスルホン酸基含有有機化
合物の定量分析法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を行った結果、スルホン酸基含有有
機化合物が溶解している水溶液に、特定の内部標準物質
を添加し、得られる混合液中の水分を除去して得られる
測定試料を用いて、内部標準法で赤外線吸収スペクトル
法を用いれば、スルホン酸基含有有機化合物の微量定量
方法が可能であることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明は、赤外線吸収スペクト
ル法による定量分析法において、スルホン酸基含有有機
化合物が溶解している水溶液に、内部標準物質を添加し
て混合液を調製し、次いで該混合液の水分を除去して得
られた測定試料を用いて内部標準法で定量分析すること
を特徴とする水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の
定量分析法を提供するものである。
【0011】また、本発明は、赤外線吸収スペクトル法
による定量分析法において、スルホン酸基含有有機化合
物が溶解している水溶液に、内部標準物質を添加して混
合液を調製し、該混合液を測定板上に滴下し、次いで該
混合液の水分を除去して得られた測定試料を用いて内部
標準法で定量分析することを特徴とする水溶液中のスル
ホン酸基含有有機化合物の定量分析法を提供するもので
ある。
【0012】また、本発明は、赤外線吸収スペクトル法
による定量分析法において、スルホン酸基含有有機化合
物が溶解している水溶液を測定板上に滴下した後、該水
溶液に内部標準物質を添加して該測定板上において混合
液を調製し、次いで該混合液の水分を除去して得られた
測定試料を用いて内部標準法で定量分析することを特徴
とする水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分
析法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る水溶液中のスルホン
酸基含有有機化合物の定量分析法は、水溶液中のスルホ
ン酸基含有有機化合物を、特定の内部標準物質を用いる
ことにより、赤外線吸収スペクトル法の内部標準法で定
量分析するものである。
【0014】本発明で用いられるスルホン酸基含有有機
化合物としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ジ
ビニルベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸等が挙げ
られる。スルホン酸基含有有機化合物はスルホン酸基を
有し、赤外線吸収スペクトル法においてスルホン酸基に
特有のピークを数本有するため、夾雑物質のピークに重
ならないピークを選択することができる。従って、夾雑
物質の影響を受け難く、後述の内部標準物質のピークと
干渉しないピークを選択することができるため、赤外線
吸収スペクトル分析を行い易い。また、スルホン酸基含
有有機化合物は、特有ピークがシャープで強度が十分に
大きい点及び−SO3Na等の塩を形成してもピークが
ほとんどシフトしない点からも好ましい。
【0015】本発明において、スルホン酸基含有有機化
合物は、水に溶解して水溶液となっているものが試料と
して用いられるが、該水溶液には夾雑物質が含まれてい
てもよい。夾雑物質としては、例えば、Cl-、Na+
NO3 -等が挙げられる。Na +、Cl-等は赤外吸収がな
く影響を受けないため、また、NO3 -は赤外吸収はある
がそのピークがスルホン酸基のピークと重ならないた
め、さらに、有機物質は赤外吸収はあるが上記のように
ピークを選択すれば影響を受けないため、含まれていて
もよい。また、スルホン酸基含有有機化合物を水に溶解
して試料溶液を調製する場合は、溶解に用いられる水は
特に限定されないが、純水より水質の悪いものを用いる
と高濃度に濃縮したときに夾雑物質のピークが目的ピー
クよりはるかに大きく重なり、目的ピークが完全に隠れ
てしまうため、超純水又は純水を用いることが好まし
い。本発明で用いられるスルホン酸基含有有機化合物が
溶解している水溶液の、スルホン酸基含有有機化合物の
濃度は、通常0.05mg/l以上、好ましくは0.1mg/l
以上である。なお、スルホン酸基含有有機化合物の濃度
が0.05mg/l未満となる場合は、測定板への試料の滴
下、乾燥の回数を増やしたり、適宜、試料溶液にエバポ
レーションを行ったりすることにより、スルホン酸基含
有有機化合物が0.05mg/l以上となるように前処理す
ると、測定精度が良くなるため好ましい。
【0016】本発明において用いられる内部標準物質と
しては、夾雑物質の影響を受け難く、且つスルホン酸基
含有有機化合物のピークと重なり合いを生じることが少
ないものが好ましい。具体的には、プロピオン酸塩、プ
ロピオン酸、酢酸塩、酢酸、酪酸塩又は酪酸等のカルボ
ン酸基含有有機物や、テトラメチルアンモニウム塩、セ
チルトリメチルアンモニウム塩、ジドデシルアミン、ト
リクロロアニリン等のアミン又はアンモニウム化合物等
が挙げられる。
【0017】これら内部標準物質のうち、カルボン酸基
含有有機物はスルホン酸基含有有機化合物が溶解してい
る水溶液と添加、混合しても共に負電荷を有するため電
気的に互いに反発するが、アミン又はアンモニウム化合
物はスルホン酸基含有有機化合物と電荷が正と負である
ため電気的に互いに引き付けあって結合する。このた
め、測定試料上にある混合液から乾燥等により水分を除
去すると、内部標準物質がカルボン酸基含有有機物であ
る場合は残渣にスルホン酸基含有有機化合物の多い部分
とカルボン酸基含有有機物の多い部分とが生じることが
あるが、内部標準物質がアミン又はアンモニウム化合物
である場合は残渣の組成が残渣のいずれの部分において
も均一になるためこのような組成のバラツキは生じな
い。なお、アミン又はアンモニウム化合物は、スルホン
酸基含有有機化合物と上記のように結合してもピークが
ほとんどシフトしない。すなわち、上記結合物のピーク
はアミン又はアンモニウム化合物のピークとスルホン酸
基含有有機化合物のピークとに明確に分離して観察され
るため、分析が容易である。このように、内部標準物質
は、カルボン酸基含有有機物とアミン又はアンモニウム
化合物との2つに分類することができる。
【0018】残渣の組成の均一性について、図13及び
図14を用いて説明する。図13は部位により組成が不
均一である残渣の例1aを示す写真であり、当該残渣は
ポリスチレンスルホン酸10mg/l、プロピオン酸ナトリ
ウム5mg/lの混合液の水分を除去して得られたものであ
る。図14は部位によらず組成が均一である残渣の例1
bを示す写真であり、当該残渣はポリスチレンスルホン
酸10mg/l、塩化テトラメチルアンモニウム100mg/l
の混合液の水分を除去して得られたものである。図13
に示す残渣1aにおいて、その周辺部分2はポリスチレ
ンスルホン酸の濃度が高く、周辺部分2より中央よりの
部分3はプロピオン酸ナトリウムの濃度が高くなってい
るため、残渣の組成の均一性が残渣1bに比べると低
い。一方、図14に示す残渣1bでは、残渣1bの全体
4を通じてポリスチレンスルホン酸と塩化テトラメチル
アンモニウムとの濃度の差異は実質的に存在せず、残渣
の組成の均一性が極めて高い。
【0019】内部標準物質がカルボン酸基含有有機物で
ある場合、このうちのプロピオン酸塩は、試料中にナト
リウムやカリウムが含まれている場合でもピークシフト
が起きないため好ましく、また、1070〜1080cm
-1、1230〜1240cm-1及び1290〜1300cm
-1に強い吸収帯を有するため、特にポリスチレンスルホ
ン酸の内部標準物質として用いられると、上記3点のピ
ークがポリスチレンスルホン酸の1025〜1045cm
-1の波数域にあるピーク又は1125〜1135cm-1
波数域にあるピークと干渉しない明確なピークとなるた
め好ましい。プロピオン酸塩の具体例としては、プロピ
オン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等が挙げられ
る。
【0020】また、内部標準物質がアミン又はアンモニ
ウム化合物である場合、このうちのテトラメチルアンモ
ニウム塩は、940〜960cm-1及び1480〜150
0cm -1に強い吸収帯を有するため、特にポリスチレンス
ルホン酸の内部標準物質として用いられると、上記のピ
ークがポリスチレンスルホン酸の1000〜1015cm
-1の波数域にあるピーク又は1025〜1045cm-1
波数域にあるピークと干渉しない明確なピークとなるた
め好ましい。特にテトラメチルアンモニウム塩の具体例
としては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラ
メチルアンモニウムが挙げられる。
【0021】本発明において赤外線吸収スペクトル法で
内部標準法を用いてスルホン酸基含有有機化合物の濃度
を測定する方法は、スルホン酸基含有有機化合物が溶解
している水溶液に、内部標準物質を添加して混合液を調
製し、次いで該混合液の水分を除去して得られた測定試
料を用いるものである。具体的には、スルホン酸基含有
有機化合物が溶解している水溶液に、内部標準物質を添
加して混合液を調製し、該混合液を測定板上に滴下し、
次いで該混合液の水分を除去して得られた測定試料を用
いる第1の方法と、スルホン酸基含有有機化合物が溶解
している水溶液を測定板上に滴下した後、該水溶液に内
部標準物質を添加して該測定板上において混合液を調製
し、次いで該混合液の水分を除去して得られた測定試料
を用いる第2の方法とが挙げられる。
【0022】第1の方法について説明する。まず、スル
ホン酸基含有有機化合物が溶解している水溶液に、上記
内部標準物質を添加して混合液を調製する。なお、第1
の方法で用いられる内部標準物質としては、上記のカル
ボン酸基含有有機物、アミン又はアンモニウム化合物の
いずれも用いることができるが、このうちカルボン酸基
含有有機物を用いることが好ましい。その理由は、内部
標準物質がアミン又はアンモニウム化合物であるとスル
ホン酸基含有有機化合物と結合して混合液中で析出する
おそれがあり、混合液の分取による再現性が悪くなり易
いためである。
【0023】なお、混合液を調製する際は、検量線を作
成する試料及びスルホン酸基含有有機化合物の濃度が未
知の試料の全ての混合液において、内部標準物質の濃度
を実質的に等しくする。検量線を作成する場合に用いら
れる検量線作成用の混合液としては、例えば、スルホン
酸基含有有機化合物の標準物質を0.1mg/l、0.5mg
/l、1.0mg/l、2.5mg/l、5.0mg/lとなるように
含むと共に、それぞれが内部標準物質を例えば、4mg/l
の一定値で含んだ5種類のものとする方法が挙げられ
る。内部標準物質の添加量としては、特に制限されない
が、概ね検量線作成用標準物質のスルホン酸基含有有機
化合物の濃度範囲内で、且つ中央濃度値からやや高めの
濃度値の範囲内で適宜選択されたものが、後述する相対
強度が1.0前後にすることができる点で好適である。
【0024】なお、内部標準物質が特にアミン又はアン
モニウム化合物である場合は、混合液として、例えば、
スルホン酸基含有有機化合物の標準物質を濃度が0.1
mg/l、0.2mg/l、0.5mg/l、1.0mg/l、2.0mg
/lとなるように含むと共に、それぞれがアミン又はアン
モニウム化合物を例えば、10mg/lの一定値で含んだ5
種類のものとする方法が挙げられる。この場合は、混合
液におけるアミン又はアンモニウム化合物の濃度が、混
合液中の検量線作成用標準物質のスルホン酸基含有有機
化合物の濃度より通常3〜150倍、好ましくは5〜1
00倍、さらに好ましくは5〜30倍高いと、残渣の部
位による組成の均一性が高くなるため望ましい。
【0025】上記のように混合液を調製したら、次い
で、該混合液の水分を除去して測定試料を作製する。本
発明において測定試料とは、そのまま赤外吸光分析装置
に設置するだけで赤外線吸収スペクトルの測定が可能な
状態とした試料をいう。
【0026】測定試料の調製方法としては、例えば、混
合液の一定量を撥水性板、撥水性シート等の測定板上に
滴下し、そのまま放置して乾燥させて混合液中の水分を
除去して撥水性板等の上に固形物の測定試料を調製する
方法が挙げられる。混合液の採取量としては、例えば5
〜100μlとし、これを数回滴下すればよい。
【0027】ここで、撥水性板としては、反射法、AT
R(全反射)法や透過法で使用可能な板状物が用いら
れ、例えば、SUS板上にフッ素コートした板やシリコ
ーン基板等のウェハー等が挙げられる。また、撥水性シ
ートとしては、滴下された混合液中の水分を吸収せず、
且つ、透過法で使用可能なシート状物が用いられ、例え
ば、ポリエチレンシートやPTFEシートが挙げられ
る。また、混合液の乾燥方法としては、撥水板や撥水性
シートに滴下した状態でこのまま放置して乾燥してもよ
いし、混合液中の溶質の化学変化や撥水板等の変性等が
生じない範囲内で加熱乾燥してもよい。また、上述の滴
下及び乾燥を繰り返すと、試料の濃縮を容易に行えるた
め好ましい。
【0028】測定試料を作製したら、該測定試料を赤外
吸光分析装置に設置して、赤外線吸収スペクトルを測定
する。測定方法としては、特に限定されないが、撥水性
板を用いたものや撥水性シートを用いたもの等の測定試
料の形態に合わせて、反射法、ATR法又は透過法を採
用すればよい。ただし、検量線の作成及び該検量線を用
いて未知の試料の測定を行う場合は、全ての試料の測定
方法を統一することが好ましい。
【0029】また、第1の方法において、前記測定板が
撥水性板または撥水性シートであり、前記混合液の水分
の除去方法がそのまま放置して乾燥させる方法である
と、化学変化を起こし難いため好ましい。また、前記調
製する混合液の量が一定量であると、残渣部分の面積が
一定となり、均一な測定ができるため好ましい。
【0030】次に、第2の方法について説明する。第2
の方法と第1の方法との相違点は、第1の方法では、予
め調製した混合液を測定板上に滴下して測定試料を作製
するのに対し、第2の方法では測定板上において混合液
を調製して測定試料を作製する点にある。第2の方法で
は、該相違点についてのみ説明する。
【0031】第2の方法では、まず、スルホン酸基含有
有機化合物が溶解している水溶液を測定板上に滴下し、
次に、該水溶液に内部標準物質を添加して測定板上にお
いて混合液を調製する。なお、第2の方法で用いられる
内部標準物質としては、上記のカルボン酸基含有有機
物、アミン又はアンモニウム化合物のいずれも用いるこ
とができるが、このうちアミン又はアンモニウム化合物
を用いることが好ましい。その理由は、内部標準物質が
アミン又はアンモニウム化合物であるとスルホン酸基含
有有機化合物と結合し、測定板上の残渣のいずれの部分
においても組成が均一になるため、測定部位の違いによ
りスルホン酸基含有有機化合物とアミン又はアンモニウ
ム化合物との濃度の比率の違いが生じ難く、測定精度が
高くなるからである。
【0032】なお、第2の方法における混合液の調製
は、測定板上にスルホン酸基含有有機化合物の標準物質
を滴下した後、該標準物質上に内部標準物質を添加する
ことにより行うが、特にプロピオン酸を内部標準物質と
して用いる場合には、得られる混合液中のスルホン酸基
含有有機化合物と内部標準物質との濃度の比率は第1の
方法に比べて内部標準物質の濃度が高くなるようにする
ことが好ましい。具体的には、例えば、まず、スルホン
酸基含有有機化合物の標準物質を濃度が0.1mg/l、
0.2mg/l、0.5mg/l、1.0mg/l、2.0mg/lとな
るようにしたものをそれぞれ別の測定板上に20μlず
つ滴下した後、これらの標準物質に濃度10mg/lの内部
標準物質をそれぞれの測定板上に20μlずつ滴下し、
5種類の混合液を調製する方法が挙げられる。
【0033】内部標準物質の添加量としては、特に制限
されないが、概ね検量線作成用標準物質のスルホン酸基
含有有機化合物の濃度範囲内で、且つ中央濃度値からや
や高めの濃度値の範囲内で適宜選択されたものが、後述
する相対強度が1.0前後にすることができる点で好適
である。ただし、内部標準物質が特にアミン又はアンモ
ニウム化合物である場合は、混合液中のアミン又はアン
モニウム化合物の濃度が、滴下された検量線作成用標準
物質のスルホン酸基含有有機化合物の濃度より通常3〜
150倍、好ましくは5〜100倍、さらに好ましくは
5〜30倍高くなるようにすると、残渣の部位によらず
残渣の組成の均一性が高くなり、分析精度が高くなるた
め望ましい。
【0034】第2の方法において、混合液を調製する際
に、検量線を作成する試料及びスルホン酸基含有有機化
合物の濃度が未知の試料の全ての混合液において内部標
準物質の濃度を実質的に等しくする点、測定板上におい
て調製した混合液の水分を除去して測定試料を作製する
方法、測定板の種類、赤外線吸収スペクトルの測定方法
等は第1の方法と同様である。
【0035】第2の方法の具体的な方法としては、例え
ば、スルホン酸基含有有機化合物が溶解している水溶液
の一定量を撥水性板、撥水性シート等の測定板上に滴下
した後、該水溶液に内部標準物質を添加して該撥水性
板、撥水性シート上において混合液を調製し、そのまま
放置して乾燥させて混合液中の水分を除去して測定試料
を作製する方法が挙げられる。
【0036】また、第2の方法において、前記測定板が
撥水性板または撥水性シートであり、前記混合液の水分
の除去方法がそのまま放置して乾燥させる方法である
と、化学変化を起こし難いため好ましい。
【0037】また、本発明では、光学顕微鏡の機能を具
備し、可視光光路と赤外光光路とを同一光路にする光路
調整が可能であると共に、前記同一光路を通過する赤外
光の試料への照射範囲を透光部に絞り込むことが可能な
赤外光照射範囲絞り込み手段を備える公知の赤外吸光分
析装置を用い、前記光学顕微鏡で前記測定試料の表面を
観察することにより前記測定試料のうち赤外線吸収スペ
クトルを採るために適した部分を該光学顕微鏡の視野範
囲内に置いた後、該視野範囲内の前記適した部分に赤外
光が照射されるように前記透光部を配置して前記測定試
料表面における赤外光照射範囲を特定することが好まし
い。
【0038】ここで、赤外光照射範囲絞り込み手段とし
ては、例えば、赤外光を遮断可能な遮断板の一部に孔部
を設けて該孔部を透光部としたものや、複数の可動な前
記遮断板をカメラの絞りのように組み合わせて遮断板が
存在しない部分を透光部としたもの等が挙げられる。こ
のうち、複数の可動な遮断板を組み合わせたものは、透
光部の形状や大きさを変化させることができるため好ま
しい。複数の可動な遮断板を組み合わせたものとして
は、例えば、光学顕微鏡の視野範囲内における上下左右
方向且つ光路に対する直交方向にそれぞれ1枚ずつ可動
な遮断板を配しており、これら遮断板を視野範囲内にお
ける上下左右方向に移動させることにより、透光部を1
0〜250μm×10〜250μmの矩形にすることがで
きるものが挙げられる。また、上記の遮断板として可視
光の透過が可能なものを用いると、光学顕微鏡での視野
範囲が確保され、赤外光照射範囲の特定作業が容易にな
るため好ましい。
【0039】本発明において、上記のように測定試料表
面における赤外光照射範囲を特定することが好ましい理
由は、以下のとおりである。すなわち、本発明において
測定試料は、板又はシート上に形成される0.5〜2mm
φ程度の残渣として得られることが多く、残渣であるた
めに同一の測定試料でも部位により厚みが異なることが
多い。一方、赤外吸収強度は、通常、厚みの大きい部分
において赤外吸収強度が強く得られる。このため、本発
明においては、測定試料のうちなるべく厚みの大きい部
分に赤外光を当てて強度の大きいスペクトルを得ること
が好ましいからである。
【0040】測定試料を赤外線吸収スペクトル分析する
と、波数−吸光度のチャートが得られ、該チャートより
スルホン酸基含有有機化合物及び内部標準物質のピーク
のうち互いに干渉しない所定ピークを選んでそれぞれの
ピーク高さ又はピーク面積を求める。スルホン酸基含有
有機化合物のピークとしては、例えば、スルホン酸基含
有有機化合物がポリスチレンスルホン酸であれば、10
00〜1015cm-1、1025〜1045cm-1又は11
25〜1135 cm-1の波数域にあるピークが挙げられ
る。このうち、内部標準物質がプロピオン酸塩である場
合は、1025〜1045cm-1又は1125〜1135
cm-1の波数域にあるピークがスルホン酸基含有有機化
合物のピークと重ならないため好ましい。また、内部標
準物質がテトラメチルアンモニウム塩である場合は、1
000〜1015cm-1又は1025〜1045cm-1の波
数域にあるピークがスルホン酸基含有有機化合物のピー
クと重ならないため好ましい。
【0041】また、内部標準物質のピークとしては、例
えば、内部標準物質がプロピオン酸塩であれば、107
0〜1080cm-1、1230〜1240cm-1又は129
0〜1300cm-1の波数域にあるピークが挙げられる。
また、内部標準物質がテトラメチルアンモニウム塩であ
れば、940〜960cm-1又は1480〜1500cm -1
の波数域にあるピークが挙げられる。スルホン酸基含有
有機化合物のピーク及び内部標準物質のピークは、それ
ぞれ1個ずつ選んでもよいし、一方又は両方のピークに
おいて複数個選んでもよい。
【0042】次に、検量線を作成する場合の試料につい
て、スルホン酸基含有有機化合物及び内部標準物質の所
定ピークにおけるそれぞれのピーク高さ又はピーク面積
を求めたら、スルホン酸基含有有機化合物のピーク高さ
を内部標準物質のピーク高さで割って、内部標準物質に
対するスルホン酸基含有有機化合物のピーク高さの相対
強度を求めるか、又はピーク高さに代えてピーク面積で
同様に計算してピーク面積の相対強度を求める。次い
で、得られた相対強度をスルホン酸基含有有機化合物の
濃度に対してプロットして、検量線を求める。検量線の
作成方法としては、最小二乗法で求める方法が好まし
い。
【0043】検量線を求めたら、次に、スルホン酸基含
有有機化合物の濃度が未知の測定試料について同様にし
て測定し、ピーク高さの相対強度又はピーク面積の相対
強度を求める。得られた相対強度値を上記検量線に当て
はめると、未知の濃度の試料におけるスルホン酸基含有
有機化合物の濃度を求めることができる。
【0044】本発明に係る水溶液中のスルホン酸基含有
有機化合物の定量分析法は、イオン交換樹脂を用いる高
純度水製造装置の性能評価及び構築に必要な水溶液中の
スルホン酸基含有有機化合物の定量分析法に使用でき
る。
【0045】なお、本発明において規定される赤外線吸
収スペクトルのピーク1000〜1015cm-1、102
5〜1045cm-1、1125〜1135cm-1、1070
〜1080cm-1、1230〜1240cm-1、1290〜
1300 cm-1、940〜960cm-1及び1480〜1
500cm-1は、それぞれ当該範囲付近のピークも含む。
すなわち、吸収ピーク位置は、試料の状態や測定条件等
により若干シフトする場合があるが、このような場合の
ピークも含むことを意味する。
【0046】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、これは単に例示であって本発明を制限する
ものではない。
【0047】参考例1 <ポリスチレンスルホン酸のIRチャートの作成>超純
水中にポリスチレンスルホン酸を10.0mg/lの濃度で
含む標準液を調製した。該標準液をマイクロピペット
(SHIBATA製デジフィットA)で50μl採り、
フッ素コート板(堀場製作所製ピンポイント測定用サン
プルプレートFX-210)上に滴下し、クリーンベンチ内に
おいて常温で4時間放置して自然乾燥させ、残渣を得
た。該フッ素コート板の残渣を測定試料とし、下記測定
条件の下で赤外吸光分析装置で反射法により赤外線吸収
スペクトルのチャートを得た。なお、測定試料から赤外
線吸収スペクトルを得た手順は次のとおりである。ま
ず、可視光を用いた光学顕微鏡の機能を備えている赤外
顕微鏡を用いて残渣のうち赤外吸収スペクトルを測定す
る場所を特定した。この顕微鏡は、可視光を透過し赤外
光を透過しないシート4枚を赤外光光路に対し略直交す
る方向に備え、該シートを光学顕微鏡の視野範囲内にお
ける上下左右の4方向に移動させて得られる透光部を1
0〜250μm×10〜250μmの範囲内で任意に変更
できる構造になっているものである。次に、上記4枚の
シートを光学顕微鏡の視野範囲内で移動させて測定試料
である残渣のうち最も厚みがあると思われる部分のみに
赤外光が照射されるように透光部を形成し、赤外光をこ
の透光部を介して測定試料に照射し最も厚みがあると思
われる部分の赤外線吸収スペクトルを得た。チャート
は、ポリスチレンスルホン酸の1010cm-1、1043
cm-1及び1131cm-1のピークが明確に現れていた。得
られたIRチャートを図1に示す。 (測定条件) 赤外吸光分析装置:日本バイオラボラトリーズ株式会社製FT−IR FTS1 75C(付属装置:赤外顕微鏡 UMA500) 測定面積 :250μm×250μm 積算回数(バックグランド及び測定):128 スペクトル形式 :吸光度(Abs) 測定モード :反射法
【0048】参考例2 <プロピオン酸ナトリウムのIRチャートの作成>超純
水中にプロピオン酸ナトリウムを8.0mg/lの濃度で含
む標準液を調製した。該標準液を参考例1と同様に処理
して赤外線吸収スペクトルのチャートを得た。チャート
は、プロピオン酸ナトリウムの1002cm-1、1077
cm-1、1238cm-1及び1296cm-1のピークが明確に
現れていた。得られたIRチャートを図2に示す。
【0049】実施例1 <検量線の作成>超純水中にポリスチレンスルホン酸を
それぞれ0.1mg/l、0.5mg/l、1.0mg/l、2.5
mg/l、5.0mg/lの濃度で含み、且つ、それぞれがさら
にプロピオン酸ナトリウムを4.0mg/lの濃度で含む5
種類の標準混合液を調製した。それぞれの標準混合液に
ついて参考例1と同様に処理して赤外線吸収スペクトル
のチャートを得た。各標準試料のチャートは、ポリスチ
レンスルホン酸の1043cm-1及び1131cm-1のピー
クと、プロピオン酸ナトリウムの1077cm-1、123
8cm-1及び1296cm-1のピークとが他のピークと重な
ることなく明確に現れていた。5種類の標準混合液のう
ち、ポリスチレンスルホン酸が2.5mg/l且つプロピオ
ン酸ナトリウムが4.0mg/lの標準溶液のIRチャート
を図3に示す。得られたピークのうち、ポリスチレンス
ルホン酸の1043cm-1のピーク(ピークA)、プロピ
オン酸ナトリウムの1077cm-1(ピークB)及び12
96cm -1のピーク(ピークC)について、ピーク高さ及
びピーク面積を測定した。また、1077cm-1のピーク
高さに対する1043cm-1のピーク高さの相対強度(A
1/B1)、1296cm-1のピーク高さに対する1043
cm-1のピーク高さの相対強度(A1/C1)、1077cm
-1のピーク面積に対する1043cm-1のピーク面積の相
対強度(A2/B2)及び1296cm-1のピーク面積に対
する1043cm-1のピーク面積の相対強度(A2/C2
を求めた。ピーク高さに関する結果を表1に示し、ピー
ク面積に関する結果を表2に示す。次に、表1の結果に
基づき、ポリスチレンスルホン酸濃度に対するA1/B1
の結果からA1/B1の検量線aを求め、また、A1
1、A2/B2及びA2/C2についても表1又は表2の
結果に基づきA1/B1と同様にして求めてそれぞれ検量
線b、検量線c及び検量線dを作成した。A1/B1及び
1/C1のデータ並びに検量線a及び検量線bを図4に
示す。また、A2/B2及びA2/C2のデータ並びに検量
線c及び検量線dを図5に示す。検量線は最小二乗法で
求めた。
【0050】検量線を求めたら、次に、スルホン酸基含
有有機化合物の濃度が未知の水溶液を準備し、これにプ
ロピオン酸ナトリウムを4.0mg/lとなるように添加し
て混合液を調製する。次いで、該混合液について参考例
1と同様に処理して赤外線吸収スペクトルのチャートを
得、ピーク高さの相対強度又はピーク面積の相対強度を
求める。得られた相対強度値を上記検量線に当てはめる
と、未知の濃度の試料におけるスルホン酸基含有有機化
合物の濃度を求めることができる。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】参考例3 <塩化テトラメチルアンモニウムのIRチャートの作成
>ポリスチレンスルホン酸に代えて塩化テトラメチルア
ンモニウムを用いた以外は参考例1と同様に処理して赤
外線吸収スペクトルのチャートを得た。チャートは、塩
化テトラメチルアンモニウムの950cm-1及び1489
cm-1のピークが明確に現れていた。得られたIRチャー
トを図6に示す。
【0054】実施例2 <検量線の作成>超純水中にポリスチレンスルホン酸を
それぞれ0.1mg/lの濃度で含むように調製した水溶液
を、マイクロピペット(SHIBATA製デジフィット
A)で20μl採り、フッ素コート板(堀場製作所製ピ
ンポイント測定用サンプルプレート FX-210)上に滴下
した。さらに、ポリスチレンスルホン酸の濃度を、0.
2mg/l、0.5mg/l、1.0mg/l、2.0mg/lに変えた
ポリスチレンスルホン酸水溶液についても同様の操作を
行い、5種類の濃度のポリスチレンスルホン酸水溶液が
滴下してあるフッ素コート板を作製した。次に、10.
0mg/lの塩化テトラメチルアンモニウム水溶液をマイク
ロピペット(SHIBATA製デジフィットA)で20
μlずつ採り、上記5種類の濃度のポリスチレンスルホ
ン酸水溶液が滴下してあるフッ素コート板上にそれぞれ
滴下し、マイクロピペットで吸引及び吐出をくり返して
よく混合した後、クリーンベンチ内において常温で4時
間放置して自然乾燥させ、残渣を得た。それぞれの残渣
について、参考例1と同様にして赤外線吸収スペクトル
のチャートを得た。各標準試料のチャートは、ポリスチ
レンスルホン酸の1010cm-1のピークと、塩化テトラ
メチルアンモニウムの950cm-1のピークとが他のピー
クと重なることなく明確に現れていた。5種類の標準試
料のうち、ポリスチレンスルホン酸が0.1mg/l且つ塩
化テトラメチルアンモニウムが10.0mg/lの標準溶液
のIRチャートを図7に、ポリスチレンスルホン酸が
0.2mg/l且つ塩化テトラメチルアンモニウムが10.
0mg/lの標準溶液のIRチャートを図8に、ポリスチレ
ンスルホン酸が0.5mg/l且つ塩化テトラメチルアンモ
ニウムが10.0mg/lの標準溶液のIRチャートを図9
に、ポリスチレンスルホン酸が1.0mg/l且つ塩化テト
ラメチルアンモニウムが10.0mg/lの標準溶液のIR
チャートを図10に、ポリスチレンスルホン酸が2.0
mg/l且つ塩化テトラメチルアンモニウムが10.0mg/l
の標準溶液のIRチャートを図11に示す。得られたピ
ークのうち、ポリスチレンスルホン酸の1010cm-1
ピーク(ピークD)、塩化テトラメチルアンモニウムの
950cm-1(ピークE)について、ピーク高さ及びピー
ク面積を測定した。また、950cm-1のピーク高さに対
する1010cm-1のピーク高さの相対強度(D/E)を
求めた。ピーク高さに関する結果を表3に示す。次に、
表3の結果に基づき、ポリスチレンスルホン酸濃度に対
するD/Eの結果からD/Eの検量線eを作成した。D
/Eの検量線eを図12に示す。検量線は実施例1と同
様に最小二乗法で求めた。
【0055】検量線を求めたら、次に、スルホン酸基含
有有機化合物の濃度が未知の水溶液を撥水性板上に滴下
し、この水溶液上に10.0mg/lの塩化テトラメチルア
ンモニウム水溶液を20μl滴下し、マイクロピペット
で吸引及び吐出をくり返してよく混合した後、クリーン
ベンチ内において常温で4時間放置して自然乾燥させ、
残渣を得る。この残渣について、赤外線吸収スペクトル
のチャートを得、ピーク高さの相対強度又はピーク面積
の相対強度を求める。得られた相対強度値を上記検量線
に当てはめると、未知の濃度の試料におけるスルホン酸
基含有有機化合物の濃度を求めることができる。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本発明に係る水溶液中のスルホン酸基含
有有機化合物の定量分析法は、特定の内部標準物質を見
出すことにより、赤外線吸収スペクトル法においても内
部標準法を採用することができるため、夾雑物質が存在
する超純水中等に1mg/l未満で存在する微量のスルホン
酸基含有有機化合物であっても定量分析が可能になる。
特に、本発明では内部標準法を採用したため、測定試料
を調製するために水溶液中から多量の水分を除去するこ
とにより測定板等の表面に残る測定試料の広がりや厚さ
が異なっていても、また位置、大きさ、測定範囲等を変
えても内部標準物質とスルホン酸基含有有機化合物は同
じ割合で存在する。このため、測定試料の相対強度は、
通常の条件下では同じとなり、検量線を用いての定量分
析が可能になる。さらに、本発明に係る方法は、赤外線
吸収スペクトル法であるため、液体クロマトグラフィー
やGC−MSのように、高濃度の濃縮によりピークが夾
雑物質の影響を強く受けたり、カラムが劣化したりする
ことがない。
【0058】また、本発明に係る水溶液中のスルホン酸
基含有有機化合物の定量分析法において、内部標準物質
としてアミン又はアンモニウム化合物を用いると、混合
液中でスルホン酸基含有有機化合物とアミン又はアンモ
ニウム化合物とが電気的に結合して残渣の組成が均一に
なるため、残渣の測定部位の違いによるスルホン酸基含
有有機化合物と内部標準物質との濃度 の比率の違
いが生じ難く、分析精度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたIRチャートである。
【図2】参考例2で得られたIRチャートである。
【図3】実施例1の標準試料で得られたIRチャートで
ある。
【図4】実施例1の標準試料のピーク高さにおける相対
強度及び検量線を示すグラフである。
【図5】実施例1の標準試料のピーク面積における相対
強度及び検量線を示すグラフである。
【図6】参考例3で得られたIRチャートである。
【図7】実施例2のポリスチレンスルホン酸が0.1mg
/lの標準試料で得られたIRチャートである。
【図8】実施例2のポリスチレンスルホン酸が0.2mg
/lの標準試料で得られたIRチャートである。
【図9】実施例2のポリスチレンスルホン酸が0.5mg
/lの標準試料で得られたIRチャートである。
【図10】実施例2のポリスチレンスルホン酸が1.0
mg/lの標準試料で得られたIRチャートである。
【図11】実施例2のポリスチレンスルホン酸が2.0
mg/lの標準試料で得られたIRチャートである。
【図12】実施例2の標準試料のピーク高さにおける相
対強度及び検量線を示すグラフである。
【図13】部位により組成が不均一である残渣の例を示
す写真である。
【図14】部位によらず組成が均一である残渣の例を示
す写真である。
【符号の説明】
1a、1b 残渣 2 残渣の周辺部分 3 残渣の中央よりの部分 4 残渣の全体
フロントページの続き Fターム(参考) 2G059 AA01 BB04 BB08 CC12 DD04 DD13 DD20 EE01 EE02 EE12 FF03 HH01 HH02 HH06 MM12

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線吸収スペクトル法による定量分析
    法において、スルホン酸基含有有機化合物が溶解してい
    る水溶液に、内部標準物質を添加して混合液を調製し、
    次いで該混合液の水分を除去して得られた測定試料を用
    いて内部標準法で定量分析することを特徴とする水溶液
    中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  2. 【請求項2】 赤外線吸収スペクトル法による定量分析
    法において、スルホン酸基含有有機化合物が溶解してい
    る水溶液に、内部標準物質を添加して混合液を調製し、
    該混合液を測定板上に滴下し、次いで該混合液の水分を
    除去して得られた測定試料を用いて内部標準法で定量分
    析することを特徴とする水溶液中のスルホン酸基含有有
    機化合物の定量分析法。
  3. 【請求項3】 前記測定板が撥水性板または撥水性シー
    トであり、前記滴下する混合液の量が一定量であり、前
    記混合液の水分の除去方法がそのまま放置して乾燥させ
    る方法であることを特徴とする請求項2記載の水溶液中
    のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  4. 【請求項4】 前記スルホン酸基含有有機化合物がポリ
    スチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項記載の水溶液中のスルホン酸基含有有
    機化合物の定量分析法。
  5. 【請求項5】 前記内部標準物質がカルボン酸基含有物
    質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    記載の水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分
    析法。
  6. 【請求項6】 前記内部標準物質が、プロピオン酸塩で
    あることを特徴とする請求項5記載の水溶液中のスルホ
    ン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  7. 【請求項7】 前記ポリスチレンスルホン酸の赤外線吸
    収スペクトルのピークとして、1025〜1045cm-1
    の波数域にあるピーク又は1125〜1135cm-1の波
    数域にあるピークを用い、前記プロピオン酸塩の赤外線
    吸収スペクトルのピークとして、1070〜1080cm
    -1の波数域にあるピーク、1230〜1240cm-1の波
    数域にあるピーク又は1290〜1300 cm-1の波数
    域にあるピークを用いることを特徴とする請求項6記載
    の水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析
    法。
  8. 【請求項8】 赤外線吸収スペクトル法による定量分析
    法において、スルホン酸基含有有機化合物が溶解してい
    る水溶液を測定板上に滴下した後、該水溶液に内部標準
    物質を添加して該測定板上において混合液を調製し、次
    いで該混合液の水分を除去して得られた測定試料を用い
    て内部標準法で定量分析することを特徴とする水溶液中
    のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  9. 【請求項9】 前記測定板が撥水性板または撥水性シー
    トであり、前記混合液の水分の除去方法がそのまま放置
    して乾燥させる方法であることを特徴とする請求項8記
    載の水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析
    法。
  10. 【請求項10】 前記スルホン酸基含有有機化合物がポ
    リスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項
    1、8、9のいずれか1項記載の水溶液中のスルホン酸
    基含有有機化合物の定量分析法。
  11. 【請求項11】 前記内部標準物質がアミン又はアンモ
    ニウム化合物であることを特徴とする請求項1、8〜1
    0のいずれか1項記載の水溶液中のスルホン酸基含有有
    機化合物の定量分析法。
  12. 【請求項12】 前記内部標準物質が、テトラメチルア
    ンモニウム塩であることを特徴とする請求項11記載の
    水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  13. 【請求項13】 前記ポリスチレンスルホン酸の赤外線
    吸収スペクトルのピークとして、1000〜1015cm
    -1の波数域にあるピーク又は1025〜1045cm-1
    波数域にあるピークを用い、前記テトラメチルアンモニ
    ウム塩の赤外線吸収スペクトルのピークとして、940
    〜960cm-1の波数域にあるピークを用いることを特徴
    とする請求項12記載の水溶液中のスルホン酸基含有有
    機化合物の定量分析法。
  14. 【請求項14】 前記赤外線吸収スペクトル法で用いら
    れる測定法が、反射法、ATR法又は透過法であること
    を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の水溶
    液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
  15. 【請求項15】 光学顕微鏡の機能を具備し、可視光光
    路と赤外光光路とを同一光路にする光路調整が可能であ
    ると共に、前記同一光路を通過する赤外光の試料への照
    射範囲を透光部に絞り込むことが可能な赤外光照射範囲
    絞り込み手段を備える赤外吸光分析装置を用い、前記光
    学顕微鏡で前記測定試料の表面を観察することにより前
    記測定試料のうち赤外線吸収スペクトルを採るために適
    した部分を該光学顕微鏡の視野範囲内に置いた後、該視
    野範囲内の前記適した部分に赤外光が照射されるように
    前記透光部を配置して前記測定試料表面における赤外光
    照射範囲を特定することを特徴とする請求項14記載の
    水溶液中のスルホン酸基含有有機化合物の定量分析法。
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