JP2003229180A - 鉛蓄電池の充電制御方法 - Google Patents

鉛蓄電池の充電制御方法

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JP2003229180A
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charging voltage
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Masashi Iwata
政司 岩田
Satoshi Watanabe
聡 渡邊
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Japan Storage Battery Co Ltd
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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極格子に実質上Sbを含まない鉛合金格子
を用いた制御弁式(シール式)鉛蓄電池に第一段目の充
電電圧Vを蓄電池の平衡電圧+80mV以上とし、第
二段目以降の充電電圧V〜Vを蓄電池の平衡電圧+
70mV以下とする多段充電制御方式を適用した場合に
寿命改善効果が認められるもののばらつきの大きい問題
がある。 【解決手段】 前記、多段充電制御方式において、蓄電
池温度に応じて、第二段目の充電電圧V〜Vを補正
する充電制御方法であって、前記、充電電圧V〜V
を温度勾配係数により補正する方式において、温度によ
り異なる温度勾配係数を適用し、前記、温度勾配係数を
D(mV/℃)としたとき、蓄電池温度が40℃未満の
場合、−3≦D≦−1、40℃以上の場合、−1<D≦
+1の関係を適用することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御弁式(シール
式)鉛蓄電池の充電制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非常用予備電源あるいは電力貯蔵システ
ムに使用される制御弁式(シール形)鉛蓄電池の充電
は、負荷と蓄電池とを並列に接続させた状態で、常時負
荷へ電力を供給しながら、同時に蓄電池へも自己放電を
補うに必要な電流が流れるようにした常時インバータ給
電方式(フロート方式)と、常時は蓄電池を負荷から切
り離し、独立して自己放電を補うのに必要な電流で充電
を行い、非常時にインバータを介して蓄電池から負荷を
供給する常時商用給電方式(トリクル方式)および整流
機能とインバータ機能を1つの回路で実現した双方向電
力変換器を使用して、蓄電池を充電する場合は整流回路
として、蓄電池からの供給時にはインバータ回路として
作動させる双方向方式がある。いずれにしても、充電
は、定電圧充電方式が適用されており、その電圧は通
常、蓄電池の平衡電圧よりも1セル当り約100mV以
上高い値に設定されている。このように一般的には充電
電圧が高く設定されているために前記電圧には負の温度
勾配係数(−3mV/℃程度)のみが設けられているの
が普通であった。
【0003】このような使用条件での蓄電池の劣化の主
要因は、正極格子の腐食である。すなわち、正極格子
は、開回路の状態でも電位の高い正極活物質と常時接し
ているため、常に腐食される環境にある。充電時には充
電過電圧が加わるため、腐食はさらに加速される。格子
は、集電体としての機能と活物質を保持する機能を持っ
ているが、腐食が進めば、これらの機能が低下して蓄電
池の容量を低下させることになる。
【0004】したがって、蓄電池を常時充電すること
は、蓄電池の自己放電を絶えず補い、非常時に所要電力
を供給できるというメリットと同時に、格子腐食を加速
して、蓄電池寿命を短くするというデメリットを生じる
ので、これら両者をうまくバランスさせて、蓄電池機能
を最大限に発揮させるようにすることが蓄電池の長寿命
化に対して重要である。
【0005】また、特に、正極格子に実質上Sbを含ま
ない鉛合金を用いた蓄電池では、非常用予備電源あるい
は電力貯蔵システム用途のように絶えず充電電位におか
れるような場合には、上記の腐食の問題以外に、正極格
子の酸化が進みすぎるため、放電時にその部分が優先的
に放電し、正極格子と活物質との界面に硫酸鉛の絶縁層
が形成され容量が低下するといった問題が生じることが
ある。特に、電力貯蔵システムのように外部の負荷を平
準化するために蓄電池の放電頻度が高い場合にはその影
響が大きい。
【0006】上記劣化要因を抑制する方法として充電時
の充電電圧を充電状態によって変化させる多段充電制御
方式が検討されている。すなわち、平衡電位+80mV
を超える高い電位を正極板に印加する時間を短くする
程、正極格子の腐食および正極活物質の劣化を抑制でき
ることが明らかになり、第一段目の充電電圧は蓄電池の
平衡電圧+80mV以上とし、ほぼ充電された時点で、
第二段目の充電電圧を平衡電位+70mV以下とする方
式が提案されている。この方式は、前記制御弁式(シー
ル式)鉛蓄電池の寿命改善に効果はあるもののばらつき
が大きく安定した結果が得られない問題がある。すなわ
ち、第二段目の充電電圧を低く設定することから前記電
圧を細かく調整する必要が生じた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、発明
者が実質上Sbを含まない正極格子を用いた制御弁式
(シール式)鉛蓄電池に多段充電制御方式を適用した場
合の充電時の蓄電池温度の影響について試験を行い、得
た知見に基づき上記問題を解決することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決する手段
として、請求項1によれば、実質上Sbを含まない正極
格子を用いた制御弁式(シール式)鉛蓄電池に、第一段
目の充電電圧Vを蓄電池の平衡電圧+80mV以上と
し、第二段目以降の充電電圧V〜Vを蓄電池の平衡
電圧+70mV以下とする多段充電制御方式を適用する
において、蓄電池温度に応じて前記、充電電圧V〜V
を補正することを特徴とするものである。
【0009】充電特性は蓄電池温度によって変化する。
すなわち、鉛蓄電池温度が高くなれば、充電過電圧(一
種の充電抵抗のようなもの)が下がるため同じ充電電圧
でも充電電流が大きくなり過充電傾向になる。一方、温
度が低くなると充電過電圧が高くなり同じ充電電圧でも
充電電流が小さくなり、充電不足の傾向になる。したが
って、蓄電池温度に応じて充電電圧を補正し、充電電流
をいつもほぼ一定に保つ必要がある。
【0010】請求項2によれば、充電電圧V〜V
温度勾配係数により補正する方式において、前記温度勾
配係数を蓄電池温度によって異なる係数を適用すること
を特徴とするものである。
【0011】蓄電池温度が高い場合、上述したように充
電過電圧が低くなり過充電傾向になるので、温度勾配係
数を乗じて充電電圧を下げるのが好ましいのであるが、
温度が高い場合、蓄電池の平衡電圧が高くなり、充電電
圧V〜Vと平衡電圧との電圧差が小さくなり充電電
流が小さくなる傾向にあると共に、自己放電も増加する
のでそれを補う充電電流が必要で、温度勾配係数を大き
くとり、充電電圧を下げ過ぎると充電不足が発生するこ
とがある。したがって、蓄電池温度および設定する充電
電圧に応じて適切な温度勾配係数を選定する必要があ
る。
【0012】請求項3によれば、前記、温度勾配係数を
D(mV/℃)(としたときに、蓄電池温度が40℃未
満の場合、−3≦D≦−1、40℃以上の場合、−1<
D≦+1の関係を適用することを特徴とするものであ
る。
【0013】本発明によれば、蓄電池温度によって異な
る温度勾配係数を適用することであるが、具体的には、
蓄電池温度が40℃未満では、自己放電がそれほど大き
くないので正極格子の腐食を抑制することを重点にお
き、−3≦D≦−1mV/℃、の範囲の温度勾配係数を
乗じて充電電圧を低くすることが有効である。一方、4
0℃以上においては蓄電池の平衡電圧が高くなり、同じ
充電電圧を適用しても充電電流が小さくなる傾向にあ
り、さらに自己放電も促進されるので、充電電圧を低く
し過ぎると充電不足の傾向になる。したがって、−1<
D≦+1mV/℃の範囲の温度勾配係数を適用し、充電
電圧が低くなり過ないようにするのが好ましい。
【0014】なお、平衡電圧とは、厳密には満充電状態
における電解液(希硫酸)の濃度と蓄電池温度に依存す
る蓄電池の起電力のことである。簡易的には蓄電池の電
解液比重+0.84(V)から平衡電圧を求めることが
可能で、本願においてもそのように定義している。
【0015】ここでの満充電状態とはJIS規格C87
02−1の6.1に記載の条件で充電された状態をい
う。
【0016】ここでの正極格子に実質上Sbを含まない
とは、JIS H2105で規定される鉛地金の不純物
として含有されるSbの基準量以下のことを言う。
【0017】
【実施の形態】本発明は、第一段目の充電電圧Vを蓄
電池の平衡電圧+80mV以上とし、第二段目以降の充
電電圧V〜Vを蓄電池の平衡電圧+70mV以下と
する多段充電制御方式において、蓄電池温度に応じて充
電電圧V〜Vを補正することを特徴とするもので、
前記、充電電圧V〜Vを温度勾配係数により補正す
る方式を以下に具体的に示す。
【0018】蓄電池温度が基準温度からずれた場合に第
二段目の充電電圧を変化させる方法は、下式による。
【0019】A=−D(B−C) ここで、Aは第二段目の基準充電電圧に加算あるいは減
算する電圧(mV)、Bは充電時の蓄電池温度(℃)、
Cは基準温度(℃)、通常、25℃が用いられる、D
(mV/℃)は温度勾配係数をそれぞれ表す。
【0020】Aを求める一例を以下に示す。
【0021】充電時の蓄電池温度Bを50℃、基準温度
を25℃、基準温度での第二段目の充電電圧を2.22
V、温度勾配係数は蓄電池が40℃以上であるので−
0.8mV−1mV/℃を適用すると、加算あるいは減
算する電圧A(mV)は下記のようになる。
【0022】A=−0.8(50−25)=−20mV したがって、蓄電池温度50℃における補正充電電圧
は、2.22V−20mV/1000=2.20Vとな
る。
【0023】以上のように蓄電池温度が50℃になった
場合に、温度勾配係数−0.8を乗じ、第二段目の充電
電圧を2.22V(基準温度:25℃)から2.20V
に下げることによって充電電流が低減され過充電が回避
でき、しかも充電電圧が下がり過ぎないので充電不足に
もならず多段充電制御方式が良好に機能する。
【0024】
【実施例】本発明の効果を具体的に示すために実施例に
基づいて以下に説明する。
【0025】鉛−0.06質量%カルシウム−1.5質
量%スズ合金格子に活物質を充填して化成した正極板と
負極板とを、ガラス繊維セパレータを介し、交互に積層
して極板群を形成し、比重1.32(20℃)の希硫酸
を吸収、保持させて、2V−50Ahの制御弁式(シー
ル式)鉛蓄電池を作製した。なお、この蓄電池の25℃
における平衡電圧は2.16Vである。
【0026】上記蓄電池について第二段目の充電電圧V
および温度勾配係数を変えて50℃での加速寿命試験
を行った。その内容を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】次に、試験条件を示す。 〔試験条件〕 第一段目の充電電圧(V):2.30V(平衡電圧+
140mV) 上記電圧で最大充電電流10A(0.2CA)で12時
間の充電を行い、ほぼ満充電状態とした後、上記補正後
の充電電圧で各蓄電池の充電を行い、1カ月毎に25℃
の環境下で放電電流10A、終止電圧1.7Vの放電を
行い、蓄電池の性能評価を行った。容量が初期の80%
以下になった時点を寿命とした。その試験結果を表2に
示す。寿命は、容量が初期の80%以上を維持した月数
で表した。
【0029】
【表2】
【0030】表2に示すように、基本充電電圧2.20
Vにおいて、温度勾配係数−2mVを乗じたものは、本
発明の条件を逸脱したもので、充電電圧が平衡電圧より
低く、当然、充電不足で短寿命であった。−0.9mV
を乗じたものも、基本充電電圧が2.20Vと低いので
平衡電圧を僅か上回る程度であり、若干充電不足傾向に
あったが、正極格子の腐食は抑制された。温度勾配係数
を0mV、すなわち、温度勾配係数を乗じなかったもの
は50℃という温度条件では適切な充電電圧であり良好
な寿命特性を示した。
【0031】一方、基本充電電圧2.22Vにおいて
は、温度勾配係数−2mVを乗じたものは、基本充電電
圧2.22Vの中では補正後の充電電圧が最も低いもの
で若干充電不足気味であったが正極格子の腐食は抑制さ
れた。−0.9mVを乗じたものは、適切な充電電圧で
最も良好な寿命特性を示した。0mV、すなわち、温度
勾配係数を乗じなかった場合、この中では補正後の充電
電圧が高いので若干過充電傾向で格子の腐食が見られ、
−0.9mVを乗じたものより若干寿命特性が劣った。
【0032】以上のように、多段充電制御方式を制御弁
式(シール式)鉛蓄電池に適用する場合に、蓄電池温度
によって二段目の充電電圧V〜Vを補正することに
よって温度にかかわらずほぼ一定の充電電流がえられ、
常時充電を行う方式において、蓄電池の自己放電を絶え
ず補い、非常時に所要電力を供給できるというメリット
と同時に、格子腐食を加速して、蓄電池寿命を短くする
というデメリットとがうまくバランスされ、安定した寿
命性能が得られる。
【0033】特に、正極格子に実質上Sbを含まない鉛
合金を用いた蓄電池では、正極格子の酸化が進み過ぎる
ため、放電時にその部分が優先的に放電し、正極格子と
活物質との界面に硫酸鉛の絶縁層が形成され容量が低下
するといった問題が、大幅に抑制され放電頻度の高い使
用条件でより効果的である。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように、実質上Sbを含
まない正極格子を用いた制御弁式(シール式)鉛蓄電池
に、第一段目の充電電圧Vを蓄電池の平衡電圧+80
mV以上とし、第二段目以降の充電電圧V〜Vを蓄
電池の平衡電圧+70mV以下とする多段充電制御方式
を適用するにおいて、蓄電池温度に応じて前記、充電電
圧V〜Vを補正する充電制御方法であって、前記、
充電電圧V〜Vを温度勾配係数により補正する方式
において、温度により異なる温度勾配係数を適用し、前
記、温度勾配係数をD(mV/℃)としたとき、蓄電池
温度が40℃未満の場合、−3≦D≦−1、40℃以上
の場合、−1<D≦+1の関係を適用することによっ
て、安定した寿命性能が得られ、その工業的効果が大で
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質上Sbを含まない正極格子を用いた
    制御弁式(シール式)鉛蓄電池に、第一段目の充電電圧
    を蓄電池の平衡電圧+80mV以上とし、第二段目
    以降の充電電圧V〜Vを蓄電池の平衡電圧+70m
    V以下とする多段充電制御方式を適用するにおいて、蓄
    電池温度に応じて前記、充電電圧V〜Vを補正する
    ことを特徴とする充電制御方法。
  2. 【請求項2】 前記、充電電圧V〜Vを温度勾配係
    数により補正する方式において、前記温度勾配係数を蓄
    電池温度によって異なる係数を適用することを特徴とす
    る請求項1に記載の充電制御方法。
  3. 【請求項3】 前記、温度勾配係数をD(mV/℃)と
    したとき、蓄電池温度が40℃未満の場合、−3≦D≦
    −1、40℃以上の場合、−1<D≦+1の関係を適用
    することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電制御
    方法。
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