JP2003227392A - ピエゾアクチュエータ制御装置、ピエゾアクチュエータ制御方法および燃料噴射制御システム - Google Patents

ピエゾアクチュエータ制御装置、ピエゾアクチュエータ制御方法および燃料噴射制御システム

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JP2003227392A JP2002025666A JP2002025666A JP2003227392A JP 2003227392 A JP2003227392 A JP 2003227392A JP 2002025666 A JP2002025666 A JP 2002025666A JP 2002025666 A JP2002025666 A JP 2002025666A JP 2003227392 A JP2003227392 A JP 2003227392A
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康行 榊原
Hidetsugu Takemoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピエゾスタックが放電中に充電に切り替えら
れる場合でもピエゾスタックのエネルギーが一定に保持
されるピエゾアクチュエータ制御装置、ピエゾアクチュ
エータ制御方法を提供する。 【解決手段】 ピエゾスタック51の電圧は比較回路に
よりサンプルホールド回路75に記憶された電圧と比較
され、ピエゾスタック51の電圧がサンプルホールド回
路75に記憶されている電圧に到達すると、制御回路7
0は、ピエゾスタック51の充電段階を終了する。これ
により、ピエゾスタック51に充電されるエネルギーを
放電前に充電されたエネルギーと等しくすることができ
る。制御回路70によりピエゾスタック51の充電段階
が終了されたとき、ピエゾスタック51の電圧は前回の
噴射時における電圧と概ね同一に制御されており、ピエ
ゾスタック51の静電容量が等しければピエゾスタック
51に充電された電気的エネルギーも等しくすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピエゾアクチュエ
ータ制御装置、ピエゾアクチュエータ制御方法および燃
料噴射制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】ピエゾアクチュエータはPZTなどの圧
電材料の圧電作用を利用したものであり、容量性素子で
あるピエゾスタックが充放電により伸長または縮小して
ピストンなどを直線駆動する。例えば、内燃機関の燃料
噴射装置において噴孔を開閉する弁部材の駆動をピエゾ
アクチュエータにより直接または間接に行うものが公知
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ピエゾアクチュエータ
は温度特性を有しており、ピエゾスタックの静電容量は
温度によって変化する。これによりピエゾアクチュエー
タの変位量も温度によって変化する。そのため、ピエゾ
スタックに投入されるエネルギーを一定に保持すること
により、ピエゾスタックの温度特性を補償することが知
られている。例えば、ピエゾアクチュエータの変位量の
温度特性を補償する駆動方法として、図23に示すよう
なピエゾアクチュエータ制御装置100の駆動回路を用
いて一定のエネルギーでピエゾアクチュエータを駆動す
る方法が考えられる。ピエゾアクチュエータでは、ピエ
ゾスタック101A〜101Dの充電が進むにつれてピ
エゾスタック101A〜101Dの両端間の電圧が上昇
する。そのため、スイッチング素子102がオンされて
いる期間にインダクタ103に印加される電圧は徐々に
低下する。これにより、誘電起電力も徐々に低下するた
め、スイッチング素子102がオンされている期間にお
いてインダクタ103に流れる電流の勾配すなわちピエ
ゾスタック101A〜101Dへの充電電流の勾配もピ
エゾスタック101A〜101Dの充電が進むにつれて
小さくなる。
【0004】この場合、スイッチング素子102がオン
されている期間を一定とすることにより、スイッチング
素子102がオン/オフされる一周期中におけるピエゾ
スタック101A〜101Dの充電電流のピーク値は充
電が進むにつれて低下する。すなわち、ピエゾスタック
101A〜101Dの充電が進むにつれて、ピエゾスタ
ック101A〜101Dの両端間の電圧とは逆に充電電
流が三角波形をとりながら全体的に減少する。
【0005】一方、ピエゾスタック101A〜101D
の静電容量が増大すると、増大による影響はピエゾスタ
ック101A〜101Dの両端間の電圧の上昇速度を抑
制する方向へ作用する。このようなピエゾスタック10
1A〜101Dの両端間の電圧の上昇速度を抑制する方
向への作用は、インダクタ103へ印加される電圧の低
下速度を抑制する方向へ作用するため、全体的にみた充
電電流の減少速度を抑制する方向に作用する。これはピ
エゾスタック101A〜101Dへの充電速度を増大さ
せる方向へ作用するため、ピエゾスタック101A〜1
01Dの静電容量が増大する場合であっても、ピエゾス
タック101A〜101Dの両端間の電圧の上昇速度は
大きく抑制されることがない。
【0006】その結果、ピエゾスタック101A〜10
1Dの静電容量が増大する場合であっても、全体的にみ
た充電電流については、減少速度は大きく抑制されるこ
とがない。しかも、ピエゾスタック101A〜101D
の両端間の電圧の上昇速度の抑制作用は、ピエゾスタッ
ク101A〜101Dへのエネルギー供給速度を減少す
る方向へ作用し、充電電流の減少抑制作用はピエゾスタ
ック101A〜101Dへのエネルギー供給速度を増大
する方向へ作用する。そのため、これらが相殺され供給
エネルギーの経時変化はピエゾスタック101A〜10
1Dの静電容量の変動にかかわらず概ね一定となる。
【0007】ところで、近年、ピエゾアクチュエータの
高速応答性という利点を活用した燃料噴射装置による近
接多段噴射が検討されている。そのため、燃料噴射装置
による燃料の噴射間隔を短縮する必要があり、燃料の噴
射が終了しピエゾアクチュエータのピエゾスタック10
1A〜101Dにエネルギーが残存している状態で次の
噴射のための充電を実施しなければならない。すなわ
ち、ピエゾスタック101A〜101Dの放電段階の途
中に充電段階へ切り替えるという制御が必要となる。
【0008】しかしながら、上述した従来の技術の場
合、ピエゾスタック101A〜101Dへの充電の初期
条件としてピエゾスタック101A〜101Dの電圧が
「0」でないと所定の時間で所定のエネルギーを充電す
るという制御は困難である。そのため、燃料噴射装置か
らの燃料の噴射間隔をピエゾスタック101A〜101
Dの放電時間よりも短縮できないという問題がある。
【0009】そこで、本発明の目的は、ピエゾスタック
が放電中に充電に切り替えられる場合でもピエゾスタッ
クのエネルギーが一定に保持されるピエゾアクチュエー
タ制御装置、ピエゾアクチュエータ制御方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、近接多段噴射
時における燃料の噴射間隔が短縮される燃料噴射制御シ
ステムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
ピエゾアクチュエータ制御装置または請求項11記載の
ピエゾアクチュエータ制御方法によると、ピエゾスタッ
クから放電される前のピエゾスタックの電圧を記憶す
る。そして、ピエゾスタックが放電から充電へ切り替え
られたとき、ピエゾスタックの充電電圧が記憶された電
圧に到達するとピエゾスタックへの充電を停止する。こ
れにより、ピエゾスタックに充電されるエネルギーを放
電前に充電されたエネルギーと等しくすることができ
る。これは、ピエゾスタックが放電中に充電へ移行する
という極めて短期間ではピエゾスタックの温度は大きく
変化せず、ピエゾスタックの静電容量は概ね一定となる
からである。ピエゾスタックに充電されるエネルギーE
は、ピエゾスタックの静電容量をCとし充電電圧をVと
すると、E=CV2/2で表される。すなわち、静電容
量Cが一定であるとき、電圧Vを一定にするとピエゾス
タックに充電されるエネルギーEも一定となる。したが
って、ピエゾスタックが放電される前の電圧までピエゾ
スタックに充電することにより、ピエゾスタックに充電
されるエネルギーを一定に保持することができる。
【0011】本発明の請求項2記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項12記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、ピエゾスタックの充電が停止さ
れてから所定の期間が経過した後のピエゾスタックの充
電電圧が記憶される。これにより、充電が終了し電圧が
安定した状態でピエゾスタックの充電電圧を記憶するこ
とができる。そのため、ピエゾスタックの充電を停止す
るための到達電圧として安定した電圧を使用することが
できる。
【0012】本発明の請求項3記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項13記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、記憶された充電電圧を補償して
いる。ピエゾスタックの充電が停止された後に発生する
例えばピエゾアクチュエータの損失や仕事により、充電
の停止から所定の期間が経過した後にピエゾアクチュエ
ータの電圧を記憶すると、記憶される電圧は充電の終了
直後と比較して低下することがある。そこで、このよう
な場合、ピエゾスタックへの充電が停止されたときの充
電電圧と記憶した充電電圧との差を、記憶した充電電圧
に加えている。したがって、ピエゾスタックの充電が停
止された後に充電電圧に損失が生じる場合であっても、
ピエゾスタックに充電されるエネルギーを一定に制御す
ることができる。
【0013】本発明の請求項4記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項14記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、ピエゾスタックの充電が停止さ
れたときのピエゾスタックの充電電圧が記憶される。そ
のため、ピエゾスタックへの充電が停止された後に発生
する損失などの影響を受けることなく、ピエゾスタック
に充電されるエネルギーを一定に制御することができ
る。
【0014】本発明の請求項5記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項15記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、ピエゾスタックの放電と充電と
が繰り返される場合、ピエゾスタックには最初に記憶さ
れた充電電圧まで充電される。ピエゾスタックの最初の
放電がされる前の充電停止後に記憶された充電電圧は、
最初の充電が停止されたときの電圧、最初の充電の停止
から所定の期間の経過後の電圧、または最初の充電の停
止から所定の期間経過後の電圧に損失分を補償した電圧
のいずれでもよい。
【0015】ピエゾスタックの放電中に充電に切り替わ
る制御が繰り返される場合、最初に記憶された電圧を記
憶し、それ以降の充電が停止される到達電圧として用い
ることにより、ピエゾスタックに充電されるエネルギー
を一定に制御することができる。
【0016】本発明の請求項6記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項16記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、あらかじめ設定された所定期間
が経過するとピエゾスタックへの充電は停止される。そ
のため、ピエゾスタックが放電中に充電に切り替わる制
御がされる場合、放電の途中にピエゾスタックに残存し
ている充電エネルギーに加え、あらかじめ設定された所
定期間分の充電エネルギーをピエゾスタックに充電する
ことができる。
【0017】本発明の請求項7記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項17記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、所定期間はピエゾスタックの放
電が開始されてからピエゾスタックへの充電が開始され
るまでの期間である。そのため、ピエゾスタックには放
電したエネルギーと同量のエネルギーを充電することが
できる。したがって、ピエゾスタックに充電されるエネ
ルギーは放電前に充電されていたエネルギーと同一のエ
ネルギーとなり、ピエゾスタックに充電されるエネルギ
ーを一定に制御することができる。
【0018】本発明の請求項8記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項18記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、所定期間はピエゾスタックの放
電が開始されてからピエゾスタックへの充電が開始され
るまでの期間に損失分のエネルギーを補充可能な期間を
加えたものである。したがって、損失が発生する場合で
も、ピエゾスタックに充電されるエネルギーは放電前に
充電されていたエネルギーと同一のエネルギーとなり、
ピエゾスタックに充電されるエネルギーを一定に制御す
ることができる。
【0019】本発明の請求項9記載のピエゾアクチュエ
ータ制御装置または請求項19記載のピエゾアクチュエ
ータ制御方法によると、駆動信号のパルス幅を短縮して
ピエゾスタックの充電状態が保持されている期間を補正
している。ピエゾスタックの放電中に充電へ切り替える
ことにより、ピエゾスタックのエネルギーが0となるま
で放電が継続しない。そのため、ピエゾスタックに残存
するエネルギー量によっては、その後のピエゾスタック
の充電のために要する期間が相対的に短くなることがあ
る。その結果、ピエゾスタックへの充電が停止されてか
ら放電を開始するまでの期間(ピエゾスタックが充電状
態に保持されている期間)が長くなる。そこで、駆動信
号のパルス幅を短縮することにより、ピエゾスタックへ
の充電が停止されてから放電が開始されるまでの期間を
補正することができる。
【0020】本発明の請求項10記載のピエゾアクチュ
エータ制御装置または請求項20記載のピエゾアクチュ
エータ制御方法によると、駆動信号のパルスの間隔を延
長してピエゾスタックが充電される期間を補正してい
る。ピエゾスタックの放電中に充電へ切り替えることに
より、ピエゾスタックのエネルギーが0となるまで放電
が継続しない。そのため、ピエゾスタックに残存するエ
ネルギー量によっては、その後のピエゾスタックの充電
のために要する期間が相対的に短くなることがある。そ
こで、駆動信号のパルスの間隔を延長することにより、
例えば燃料噴射装置に適用した場合、駆動信号の立ち上
がりから噴射が開始されるまでの期間を補正することが
できる。
【0021】本発明の請求項21記載の燃料噴射制御装
置によると、燃料噴射装置の駆動手段に設けられている
ピエゾアクチュエータは請求項1から10のいずれか一
項記載のピエゾアクチュエータ制御装置により制御され
る。そのため、近接多段噴射のようにピエゾスタックが
放電中に充電に切り替えられる場合でも、ピエゾスタッ
クに充電されるエネルギーを一定に保持することができ
る。したがって、燃料噴射装置からの燃料の噴射間隔を
ピエゾスタックの放電時間よりも短縮することができ、
近接多段噴射時における燃料の噴射間隔を短縮すること
ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す
複数の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例による燃料噴射制御
システムを適用したディーゼルエンジンのコモンレール
式の燃料噴射システムを図2に示す。ディーゼルエンジ
ンの各気筒にはそれぞれ燃料噴射装置としてのインジェ
クタ1が設けられており、インジェクタ1には供給ライ
ン2を経由してコモンレール3から高圧の燃料が供給さ
れる。そのため、インジェクタ1から各気筒の燃焼室内
へはコモンレール3の内部の燃料の圧力に等しい圧力の
燃料が噴射される。コモンレール3には燃料タンク4の
燃料が高圧ポンプ5により加圧給送される。給送された
燃料は、コモンレール3の内部に蓄圧状態で蓄えられ
る。コモンレール3に蓄えられている燃料の一部は、イ
ンジェクタ1の制御油圧としても用いられる。コモンレ
ール3からインジェクタ1へ供給された制御油圧として
用いられる燃料は、低圧の還流路6を経由して燃料タン
ク4に還流される。
【0023】コモンレール3には圧力センサ3aが設け
られており、コモンレール3の内部の燃料圧力は圧力セ
ンサ3aにより検出されECU7に出力される。ECU
7は圧力センサ3aにより検出されたコモンレール3内
部の燃料の圧力に基づいて調量弁8を制御し、コモンレ
ール3へ給送される燃料の流量を調整する。これによ
り、ECU7は他のセンサから入力される信号に基づい
て判断されるエンジンの運転状態に合わせて、コモンレ
ール3内の燃料の圧力が適正となるように制御する。
【0024】図3に示すように、インジェクタ1はハウ
ジング、弁部材30および駆動手段としてのバルブ駆動
部40を備えている。ハウジングはハウジング本体10
とノズルボディ11とを有している。ノズルボディ11
内には弁部材30が摺動可能に保持されている。ノズル
ボディ11には単数または複数の噴孔12が形成されて
いる。弁部材30はノズルボディ11の噴孔12入口側
に形成されている弁座部13に着座可能な当接部31を
有している。当接部31が弁座部13から離座すること
により噴孔12への燃料の流れが開放され、噴孔12か
ら燃料が噴射される。当接部31が弁座部13へ着座す
ることにより噴孔12への燃料の流れが閉塞され、噴孔
12からの燃料の噴射が停止される。
【0025】ハウジング本体10には、バルブ駆動部4
0を構成するピエゾアクチュエータ50および制御弁4
1が収容されている。ハウジング本体10には、ピエゾ
収容部21、油圧室22、低圧室23、制御室24およ
び背圧室25が形成されている。ピエゾ収容部21には
ピエゾアクチュエータ50が収容されている。ピエゾア
クチュエータ50の端部はピエゾピストン42と当接し
ており、ピエゾピストン42の反ピエゾアクチュエータ
側の端部は油圧室22に面している。ピエゾアクチュエ
ータ50はピエゾアクチュエータ制御装置60に接続さ
れており、ピエゾアクチュエータ制御装置60はECU
7からの指令に基づいてピエゾアクチュエータ50を駆
動する駆動信号を出力する。ピエゾアクチュエータ50
が伸長すると、ピエゾアクチュエータ50に当接してい
るピエゾピストン42は図3の下方へ移動し、油圧室2
2の燃料を加圧する。ピエゾピストン42の移動は油圧
室22の油圧により変位量が拡大されて制御ピストン4
3へ伝達される。制御ピストン43の反油圧室側の端部
は制御弁41と当接している。制御弁41は半球形状に
形成され、球面状の部分が制御室24の内壁に形成され
ている弁座部24aに着座可能である。制御弁41の平
面状の部分は、高圧通路14から制御室24へ連通する
高圧ポート15を閉塞可能である。コモンレール3から
高圧通路14へ供給された燃料は、高圧ポート15を経
由して制御室24および背圧室25へ導入される。低圧
室23には低圧通路16が連通しており、制御室24か
ら低圧ポート17を経由して排出された燃料は低圧通路
16および還流路6を経由して燃料タンク4へ還流され
る。制御弁41が弁座部24aから離座または弁座部2
4aへ着座することにより、低圧ポート17が開閉され
る。
【0026】背圧室25は、弁部材30の反噴孔側の端
部に形成されている。背圧室25には高圧通路14から
コモンレール3内の圧力と同一の燃料が導入されてい
る。背圧室25にはスプリング26が配設されており、
背圧室25に導入された高圧の燃料とスプリング26の
付勢力とにより弁部材30は当接部31が弁座部13へ
着座する方向すなわち噴孔12を閉塞する方向へ付勢さ
れている。
【0027】次に、上記の構成のインジェクタ1の作動
について説明する。ピエゾアクチュエータ50が伸長し
ていないとき、ピエゾアクチュエータ50に当接するピ
エゾピストン42は、油圧室22に配設されているスプ
リング27の付勢力により図3の上方へ移動している。
そのため、制御ピストン43を介して制御弁41を図3
の下方へ付勢する力は小さくなり、制御室24内の燃料
の圧力により制御弁41に作用する油圧によって制御弁
41は弁座部24aに着座している。これにより、制御
室24の燃料の圧力はコモンレール3内の燃料の圧力と
等しくなり、制御室24に連通している背圧室25の燃
料の圧力もコモンレール3内の燃料の圧力と等しくな
る。
【0028】このとき、弁部材30の周囲の燃料により
当接部31が弁座部13から離座する方向すなわち噴孔
開放方向へ弁部材30に作用する力は、背圧室25の燃
料の圧力およびスプリング26の付勢力により噴孔閉塞
方向へ弁部材30に作用する力よりも小さい。そのた
め、当接部31は弁座部13に着座し、噴孔12からの
燃料の噴射は停止されている。
【0029】ECU7からの指令によりピエゾアクチュ
エータ50が伸長すると、ピエゾアクチュエータ50の
伸長にともなってピエゾピストン42は図3の下方へ移
動する。ピエゾピストン42の移動により油圧室22の
燃料は加圧され、油圧室22の油圧を介してピエゾピス
トン42の駆動力は制御ピストン43へ伝達される。ピ
エゾピストン42の移動量の増大にともなって油圧室2
2の油圧は増大し、制御ピストン43を制御弁41方向
へ付勢する力が制御室24の油圧により制御弁41に作
用する力よりも大きくなると、制御弁41は弁座部24
aから離座する。制御弁41が弁座部24aから離座す
ると、制御室24の燃料は低圧ポート17を経由して低
圧室23へ流出する。そのため、制御室24の油圧は低
下し、これにともない背圧室25の油圧も低下する。そ
して、背圧室25の燃料の圧力およびスプリング26の
付勢力により噴孔閉塞方向へ弁部材30に作用する力が
弁部材30の周囲の燃料により噴孔開放方向へ弁部材3
0に作用する力よりも小さくなると、弁部材30は図3
の上方へリフトし、当接部31は弁座部13から離座す
る。その結果、噴孔12から燃料の噴射が開始される。
【0030】ピエゾアクチュエータ50が収縮すると、
油圧室22の油圧が低下し制御ピストン43を制御弁4
1方向へ付勢する力が低下する。そのため、制御室24
の油圧により制御弁41は弁座部24aに着座し、制御
室24から低圧室23への燃料の流出は停止される。こ
れにより、制御室24の油圧は再び上昇し、これにとも
ない背圧室25の油圧も上昇する。そして、背圧室25
の燃料の圧力およびスプリング26の付勢力により噴孔
閉塞方向へ弁部材30に作用する力が弁部材30の周囲
の燃料により噴孔開放方向へ弁部材30に作用する力よ
りも大きくなると、弁部材30は図3の下方へ移動し、
当接部31は弁座部13へ着座する。その結果、噴孔1
2から燃料の噴射が停止される。ピエゾアクチュエータ
50の伸長または縮小を繰り返すことにより、噴孔12
からの燃料の噴射が断続される。
【0031】次に、ピエゾアクチュエータ制御装置60
について詳細に説明する。図1には一本のインジェクタ
に対応する一つのピエゾアクチュエータを駆動するピエ
ゾアクチュエータ制御装置60の駆動回路を示してい
る。ピエゾアクチュエータ制御装置60は、電源である
バッテリ61に接続されている。バッテリ61から供給
された直流電圧は、DC/DCコンバータ62により数
十から数百Vの電圧に変換される。DC/DCコンバー
タ62の出力端には並列にバッファコンデンサ63が接
続されている。また、DC/DCコンバータ62の出力
端には、例えばMOSFETを用いたスイッチング素子
64およびスイッチング素子65が接続されている。ス
イッチング素子64およびスイッチング素子65にはそ
れぞれ逆方向にダイオード641、651が接続されて
いる。また、ピエゾアクチュエータ制御装置60の駆動
回路には、駆動回路を流れる電流を制限するためのイン
ダクタ66、ピエゾアクチュエータ50のピエゾスタッ
ク51、ピエゾスタック51を選択するスイッチング素
子(以下、選択スイッチ素子という)67、選択スイッ
チ素子67の逆方向に接続されたダイオード671、な
らびに電流検出用の抵抗68が接続されている。
【0032】スイッチング素子64、インダクタ66、
ピエゾスタック51、選択スイッチ素子67および抵抗
68は直列に接続されており、充電回路を形成してい
る。また、スイッチング素子65、インダクタ66、ピ
エゾスタック51、ダイオード671および抵抗68は
直列に接続されており放電回路を形成している。電流検
出用の抵抗68には比較回路71が接続され、比較回路
71は所定の電流値に相当する基準電圧を保持するバッ
ファ711との比較結果を出力する。同様に、抵抗68
には比較回路72が接続され、比較回路72は抵抗68
を流れる電流が「0」となったことを検出する。駆動回
路には時間計測回路73が接続されており、比較回路7
1から出力された信号を受けて抵抗68を流れる電流が
所定の電流値に達するまでの時間を計測する。
【0033】さらに、駆動回路にはピエゾスタック51
の電圧を高インピーダンスで受けるバッファ回路74、
ピエゾスタック51の電圧を記憶する記憶手段としての
サンプルホールド回路75、ならびに比較回路76が接
続されている。比較回路76は、サンプルホールド回路
75の記憶電圧と充電時のピエゾスタック51の電圧と
を比較してピエゾスタック51の電圧がサンプルホール
ド回路75に記憶された電圧に到達すると、記憶された
電圧に到達したことを示す「1レベル」信号を出力す
る。
【0034】駆動回路には制御手段としての制御回路7
0が接続されている。制御回路70は、DC/DCコン
バータ62、スイッチング素子64、スイッチング素子
65、選択スイッチ素子67、比較回路71、比較回路
72、時間計測回路73、サンプルホールド回路75、
比較回路76に接続されており、ECU7から入力され
る指令に基づいて駆動信号を出力し、駆動信号に基づい
て各部を所定のシーケンスにしたがって制御する。制御
回路70はスイッチング素子64、スイッチング素子6
5および選択スイッチ素子67などを制御することによ
り充放電切替手段としても機能する。
【0035】次に、ピエゾアクチュエータ制御装置60
の作動について説明する。ピエゾアクチュエータ制御装
置60の作動にともなう各部の波形を図4に示し、ピエ
ゾアクチュエータ制御装置60によるピエゾアクチュエ
ータ駆動方法のフローを図5に示す。
【0036】制御回路70から出力される駆動信号の立
ち上がりエッジが検出され駆動信号が「1レベル」とな
ると(S101)、制御回路70は充電回路を構成する
スイッチング素子64およびピエゾスタック51の選択
スイッチ素子67を「オン」にする。また、制御回路7
0によりスイッチング素子64および選択スイッチ素子
67が「オン」にされると、時間計測回路73はスイッ
チング素子64が「オン」されている時間の計測を開始
し、かつ制御回路70から出力された駆動信号が「1レ
ベル」となった時間をカウントする(S102)。
【0037】スイッチング素子64が「オン」されるこ
とにより、バッファコンデンサ63からスイッチング素
子64、インダクタ66、ピエゾスタック51、選択ス
イッチ素子67および抵抗68から形成される充電回路
に充電電流が流れる。この充電電流はインダクタ66の
作用により時間とともに増加する。抵抗68で検出され
た電流値は比較回路71に入力され、所定の電流値に到
達した時点で比較回路71からの出力信号が「1レベ
ル」となる。比較回路71からの出力信号が「1レベ
ル」となると(S103)、制御回路70はスイッチン
グ素子64を「オフ」にするとともに、時間計測回路7
3は計測を終了し計測されたスイッチング素子64が
「オン」されていた時間Tiを制御回路70に出力す
る。制御回路70はこの時間Tiを記憶する(S10
4)。
【0038】スイッチング素子64が「オフ」にされた
後も、インダクタ66の作用により充電電流はダイオー
ド651、インダクタ66、ピエゾスタック51、選択
スイッチ素子67、抵抗68から形成される充電回路に
おいて電流は徐々に減少しながら流れ続ける。充電回路
を流れる電流値は抵抗68に接続されている比較回路7
2で検出され、比較回路72はその電流値が「0」とな
った時点で「1レベル」信号を制御回路70へ出力す
る。比較回路72から出力される信号が「1レベル」に
なると(S105)、制御回路70は再びスイッチング
素子64を「オン」にする。そして、制御回路70は、
2回目以降にスイッチング素子64を「オン」にする時
間がS104で記憶されている1回目にスイッチング素
子64が「オン」された時間Tiとなるように制御す
る。時間Tiが経過すると、制御回路70はスイッチン
グ素子64を「オフ」にする(S106)。記憶されて
いた時間Tiが経過した後、制御回路70がスイッチン
グ素子64を「オフ」にすると、S104と同様に充電
回路を流れる電流値は徐々に減少する。この多重スイッ
チング動作は、後述する制御フラグが「1」とならない
限り(S107)、制御回路70から出力された駆動信
号が「1レベル」となった時間からあらかじめ設定され
ている所定の時間Ttが経過するまで継続される。すな
わち、S102でカウントが開始されてから所定の時間
Ttが経過するまで、S105からS106の処理が繰
り返される(S108)。所定の時間Ttが経過する
と、ピエゾスタック51の充電段階が終了する。ピエゾ
スタック51が充電されることにより、ピエゾアクチュ
エータ50は伸長し、図3に示すピエゾピストン42は
図3の下方へ駆動される。これにより、上記のように噴
孔12から燃料が噴射される。
【0039】充電段階が終了した時点において、ピエゾ
スタック51に充電された電気的なエネルギーは、上述
のようにピエゾスタック51の静電容量の変化あるいは
インダクタ66の性能のばらつきに関係なく概ね一定と
することができる。ピエゾスタック51に充電された電
気的なエネルギーの大きさは、E=CV2/2により電
圧Vを用いて表すことができる。充電段階が終了し、あ
らかじめ設定されている時間Twが経過すると、ピエゾ
スタック51の電圧Vはバッファ回路74を介してサン
プルホールド回路75で記憶される(S109)。
【0040】一方、制御回路70から出力される駆動信
号の立ち下がりエッジが検出され駆動信号が「0レベ
ル」となると(S101)、放電段階が開始される。ま
た、これと同時に制御回路70から出力された駆動信号
が「0レベル」となった時間が時間計測回路73により
カウントされる(S111)。放電段階の作動手順は上
述の充電段階と概ね同一である。制御回路70は、放電
段階中に駆動信号の「1レベル」が検出されたか、すな
わち放電段階の途中に充電段階へ移行したか否かを判断
する(S112)。駆動信号の「1レベル」が検出され
ない場合、制御回路70は放電用のスイッチング素子6
5を「オン」にする。スイッチング素子65が「オン」
されると、ピエゾスタック51、インダクタ66、スイ
ッチング素子65、抵抗68およびダイオード671か
ら形成される放電回路に放電電流が流れる。S104で
記憶された時間Tiに対応する間、スイッチング素子6
5は「オン」にされ、時間Tiが経過するとスイッチン
グ素子65は「オフ」にされる(S113)。
【0041】スイッチング素子65が「オフ」にされる
と、インダクタ66の作用によりピエゾスタック51か
ら放電される電流は、ピエゾスタック51、インダクタ
66、ダイオード641、バッファコンデンサ63、抵
抗68およびダイオード671から形成される放電回路
へ流れる。これにより、電気的なエネルギーがバッファ
コンデンサ63に回収されつつ、放電回路を流れる電流
は徐々に減少する。放電回路を流れる電流は抵抗68に
接続されている比較回路72により検出され、放電回路
を流れる電流値が「0」となった時点で比較回路72か
らの出力が「0レベル」となる。ピエゾスタック51の
放電時、充電時とは電流の向きが逆であるため、比較回
路72からの出力も充電時とは逆となる。
【0042】比較回路72から「0レベル」の信号が出
力されると(S114)、制御回路70は再びスイッチ
ング素子65を「オン」にし、S104で記憶された時
間Tiが経過するとスイッチング素子65を「オフ」に
する。この多重スイッチング動作は、ピエゾスタック5
1の電圧が「0」とならない限り(S115)、制御回
路70から出力された駆動信号が「0レベル」となった
時間からあらかじめ設定されている所定の時間Ttが経
過するまで継続される。すなわち、S111でカウント
が開始されてから所定の時間Ttが経過するまで、S1
12からS115の処理が繰り返される(S116)。
所定の時間Ttが経過すると、ピエゾスタック51の放
電段階が終了する。制御回路70は、比較回路72から
の出力により所定の時間Ttが経過する前にピエゾスタ
ックの電圧が「0」となることを検出すると(S11
5)、スイッチング素子65を「オフ」にし、放電段階
を終了する(S117)。ピエゾスタック51が放電さ
れることにより、ピエゾアクチュエータ50は縮小し、
図3に示すピエゾピストン42は図3の上方へ移動す
る。これにより、上記のように噴孔12からの燃料の噴
射が停止される。
【0043】ところで、エンジンから要求される燃料の
噴射が近接多段噴射となると、ピエゾアクチュエータ5
0が駆動される間隔が短くなる。この場合、放電段階が
終了する前に制御回路70から出力される駆動信号が
「1レベル」となり、上述のように充放電時間を一定に
しても充放電されるエネルギーを一定にした駆動が成立
しなくなる。そこで、以下に、ピエゾスタック51の放
電段階の途中で駆動信号が「1レベル」となり充電段階
へ移行する場合について説明する。
【0044】制御回路70は、S112においてあらか
じめ設定されている所定の時間Ttが経過する前に駆動
信号の「1レベル」を検出すると、制御フラグを「1レ
ベル」とし、近接多段噴射へ移行し駆動間隔が短縮され
放電段階の途中に充電段階へ移行したと判断する(S1
21)。しかし、放電段階においてインダクタ66の作
用により放電回路を流れる電流が「0」になるまで充電
段階へ移行することができない。そのため、比較回路7
2により検出される放電回路の電流値が「0」となるま
で放電段階を継続する(S122)。制御回路70は、
比較回路72の出力により放電回路の電流値が「0」と
なったことを検出すると、S106へ進みスイッチング
素子64をS104で記憶された時間Tiだけ「オン」
にし、充電電流が「0」となるまでスイッチング素子6
4を「オフ」にするという充電段階を繰り返す。
【0045】制御フラグが「1レベル」のとき(S10
7)、ピエゾスタック51の電圧は比較回路によりS1
04でサンプルホールド回路75に記憶された電圧と比
較される(S123)。そして、ピエゾスタック51の
電圧がサンプルホールド回路75に記憶されている電圧
に到達すると、比較回路76の出力は「1レベル」とな
る。制御回路70は、比較回路76の「1レベル」が出
力されると、ピエゾスタック51の充電段階を終了する
(S117)。
【0046】制御回路70によりピエゾスタック51の
充電段階が終了されたとき、ピエゾスタック51の電圧
は前回の噴射時における電圧と概ね同一に制御されてお
り、ピエゾスタック51の静電容量が等しければピエゾ
スタック51に充電された電気的エネルギーも等しくす
ることができる。
【0047】(第2実施例)本発明の第2実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置およびピエゾアクチュエ
ータ制御方法について説明する。なお、第1実施例のピ
エゾアクチュエータ制御装置60の駆動回路を構成する
各素子には同一の符号を付している。
【0048】第2実施例では、図1に示すサンプルホー
ルド回路75に電圧を記憶するタイミングを、図6およ
び図7に示すように充電段階の終了と同時としている。
ピエゾスタック51の充電段階が終了した後に発生する
ピエゾスタック51の変位などによる仕事あるいは内部
損失などが生じる場合、ピエゾスタック51の充電段階
の終了後、時間とともにピエゾスタック51の電圧が低
下する。そこで、サンプルホールド回路75に電圧を記
憶するタイミングを充電段階の終了と同時とすることに
より、電圧低下の影響を受けることなく、ピエゾスタッ
ク51への充電をする際において充電エネルギーの誤差
を低減することができる。
【0049】(第3実施例)本発明の第3実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置60およびピエゾアクチ
ュエータ制御方法について説明する。なお、第1実施例
のピエゾアクチュエータ制御装置60の駆動回路を構成
する各素子には同一の符号を付している。
【0050】第3実施例では、図1に示すサンプルホー
ルド回路75に記憶される電圧は、図8および図9に示
すように損失分が補償されて記憶されている。第2実施
例で説明したように、ピエゾスタック51の充電の終了
から所定の時間経過後にサンプルホールド回路75にお
いてピエゾスタック51の電圧を記憶する場合、ピエゾ
スタック51の電圧が低下する場合がある。
【0051】そのため、第3実施例では、損失により低
下した電圧を上乗せした電圧値をサンプルホールド回路
75の出力として比較回路76でピエゾスタック51の
電圧を検出している。したがって、ピエゾスタック51
の充電終了の損失により低下した電圧を補償した電圧に
よりピエゾスタック51の電圧を比較することができ、
ピエゾスタック51への充電をする際において充電エネ
ルギーの誤差を低減することができる。
【0052】(第4実施例)本発明の第4実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置およびピエゾアクチュエ
ータ制御方法について説明する。なお、第1実施例と実
質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省
略する。
【0053】第4実施例では、ピエゾスタック51の放
電段階の途中に充電段階へ切り替える制御が2回以上繰
り返される場合について説明する。図10は制御回路7
0から3回の駆動信号が出力される場合を示している。
ここで、制御回路70から出力される1回目、2回目、
3回目の駆動信号に対応する充電段階または放電段階
を、それぞれ1回目、2回目、3回目の充電段階または
放電段階とする。なお、ピエゾスタック51の充電段階
の動作手順および放電段階の動作手順は第1実施例と同
一であるので説明を省略する。
【0054】第1実施例の場合、充電段階の終了はピエ
ゾスタック51の電圧が前回の充電段階の前すなわち前
回の充電段階の終了時にサンプルホールド回路75に記
憶した電圧に到達した時点としている。すなわち、2回
目の充電段階は、1回目の充電段階が終了した後にピエ
ゾスタック51の電圧として記憶された電圧に到達した
時点で終了される。このとき、2回目の充電段階終了時
におけるピエゾスタック51の電圧にはサンプルホール
ド回路75および比較回路76の誤差が含まれている。
そのため、さらに放電段階の途中に充電段階へ切り替え
られる制御が継続された場合、例えば2回目の放電段階
の途中で3回目の充電段階へ移行する場合、前回充電段
階すなわち2回目の充電段階終了時のピエゾスタック5
1の電圧を記憶することになる。このとき、3回目の充
電段階終了時におけるピエゾスタック51の電圧には2
回目の充電終了時と同様のサンプルホールド回路75お
よび比較回路76の誤差が含まれる。このように、放電
段階の途中に充電段階に切り替えられる制御が繰り返さ
れる場合、誤差が増大することになる。
【0055】そこで、第4実施例では、放電段階の途中
に充電段階へ切り替えられる制御が2回以上継続する場
合、1回目の充電段階の終了時においてサンプルホール
ド回路75に記憶した電圧値を2回目以降の充電段階の
終了時における比較電圧として用いている。したがっ
て、サンプルホールド回路75および比較回路76の誤
差の影響が低減され、一定のエネルギーを正確にピエゾ
スタック51へ充電することができる。
【0056】(第5実施例)本発明の第5実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置およびピエゾアクチュエ
ータ制御方法について説明する。なお、第1実施例によ
るピエゾアクチュエータ制御装置の駆動回路を構成する
各素子には同一の符号を付し、説明を省略している。
【0057】図11に示すように、第5実施例によるピ
エゾアクチュエータ制御装置80の駆動回路にはピエゾ
スタック51の放電または充電が開始されてからの時間
を計測する期間計測手段としての時間計測回路77が接
続され、サンプルホールド回路は接続されていない。制
御回路81は、ECU7から入力された指令に基づいて
駆動信号を出力し、駆動信号に基づいて各部を所定のシ
ーケンスにしたがって制御する。
【0058】第5実施例によるピエゾアクチュエータ制
御装置80の駆動回路の作動について説明する。ピエゾ
アクチュエータ制御装置80の作動にともなう各部の波
形を図12に示し、ピエゾアクチュエータ制御装置80
によるピエゾアクチュエータ駆動方法のフローを図13
に示す。制御回路81から出力された駆動信号の立ち上
がりエッジが検出され駆動信号が「1レベル」となると
(S501)、充電段階が開始される。充電段階(S5
02〜S508)は第1実施例と同一であるので説明を
省略する。
【0059】制御回路81から出力された駆動信号の立
ち下がりエッジが検出され駆動信号が「0レベル」とな
ると(S501)、放電段階が開始されると同時に時間
計測回路77により駆動信号が「0レベル」となってか
らの時間がカウントされる(S511)。制御回路81
は、放電段階中に駆動信号の「1レベル」が検出された
か、すなわち放電段階の途中に充電段階へ移行したか否
かを判断する(S512)。駆動信号の「1レベル」が
検出されない場合、制御回路81は放電用のスイッチン
グ素子65を「オン」にする。スイッチング素子65が
「オン」されると、ピエゾスタック51、インダクタ6
6、スイッチング素子65、抵抗68およびダイオード
671から形成される放電回路に放電電流が流れる。S
504で記憶されている時間Tiに対応する間、スイッ
チング素子65は「オン」にされ、時間Tiが経過する
とスイッチング素子65は「オフ」にされる(S51
3)。
【0060】スイッチング素子65が「オフ」にされる
と、インダクタ66の作用によりピエゾスタック51か
ら放電される電流は、ピエゾスタック51、インダクタ
66、ダイオード641、バッファコンデンサ63、抵
抗68およびダイオード671から形成される放電回路
へ流れる。これにより、電気的なエネルギーがバッファ
コンデンサ63に回収されつつ、放電回路を流れる電流
は徐々に減少する。放電回路を流れる電流は抵抗68に
接続されている比較回路72により検出され、放電回路
を流れる電流値が「0」となった時点で比較回路72か
らの出力が「0レベル」となる。ピエゾスタック51の
放電時、充電時とは電流の向きが逆であるため、比較回
路72からの出力も充電時とは逆となる。比較回路72
から「0レベル」の信号が出力されると(S514)、
時間計測回路77へ比較回路72からの出力信号が入力
されるごとに、時間計測回路77は放電が開始されてか
らの時間を更新しながら記憶する(S515)。
【0061】また、比較回路72から「0レベル」の信
号が出力されると、制御回路81は再びスイッチング素
子65を「オン」にし、S504で記憶された時間Ti
が経過するとスイッチング素子65を「オフ」にする。
この多重スイッチング動作は、ピエゾスタック51の電
圧が「0」とならない限り(S516)、制御回路81
から出力された駆動信号が「0レベル」となった時間か
らあらかじめ設定されている所定の時間Ttが経過する
まで継続される。すなわち、S511でカウントが開始
されてから所定の時間Ttが経過するまで、S512か
らS516の処理が繰り返される(S517)。所定の
時間Ttが経過すると、ピエゾスタック51の放電段階
が終了する。ピエゾスタック51の充電時または放電時
におけるピエゾスタック51の電気的なエネルギーの時
間的変化は、図12に示すように時間に対し概ね直線的
な変化となる。制御回路81は、比較回路72からの出
力により所定の時間Ttが経過する前にピエゾスタック
51の電圧が「0」となることを検出すると(S51
6)、スイッチング素子65を「オフ」にし、放電段階
を終了する(S518)。
【0062】ところで、エンジンから要求される燃料の
噴射が近接多段噴射となると、ピエゾアクチュエータ5
0が駆動される間隔が短くなる。この場合、放電段階が
終了する前に制御回路81から出力される駆動信号が
「1レベル」となり、上述のように充放電時間を一定に
しても充放電されるエネルギーを一定にした駆動が成立
しなくなる。そこで、以下に、ピエゾスタック51の放
電段階の途中で駆動信号が「1レベル」となり充電段階
へ移行する場合について説明する。
【0063】制御回路81は、S512においてあらか
じめ設定されている所定の時間Ttが経過する前に駆動
信号の「1レベル」を検出すると、制御フラグを「1レ
ベル」とし、近接多段噴射へ移行し駆動間隔が短縮され
放電段階の途中に充電段階へ移行したと判断する(S5
21)。しかし、放電段階においてインダクタ66の作
用により放電回路を流れる電流が「0」になるまで充電
段階へ移行することができない。そのため、比較回路7
2により検出される放電回路の電流値が「0」となるま
で放電段階を継続する(S522)。制御回路81は、
比較回路72の出力により放電回路の電流値が「0」と
なったことを検出すると、ピエゾスタック51の放電が
開始されてからS522において放電回路の電流が
「0」となるまでの放電時間Tdを時間計測回路77か
ら読み取り、充電段階へ移行する。そして、S506へ
進み、制御回路81はスイッチング素子64をS504
で記憶された時間Tiだけ「オン」にし、充電電流が
「0」となるまでスイッチング素子64を「オフ」にす
るという充電段階を繰り返す。このとき、充電段階を継
続する時間は、あらかじめ設定されている所定の時間T
tではなく、時間計測回路77により計測され更新され
ているピエゾスタック51の放電時間Tdとする。
【0064】以上のように、第5実施例では、ピエゾス
タック51の充電時または放電時におけるエネルギーの
変化は時間に対して直線的であることから、ピエゾスタ
ック51の充電段階では放電段階において放電されたエ
ネルギーに対応するエネルギーが充電されている。した
がって、ピエゾスタック51の放電段階の途中に充電段
階へ切り替えられる場合でも、ピエゾスタック51に充
電されるエネルギーを概ね同一に制御することができ
る。
【0065】(第6実施例)本発明の第6実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置およびピエゾアクチュエ
ータ制御方法について説明する。なお、第5実施例によ
るピエゾアクチュエータ駆動回路を構成する各素子には
同一の符号を付し、説明を省略している。
【0066】第6実施例では、図14および図15に示
すようにピエゾスタック51の充電時間Tdには損失分
が補償するための充電時間Td1が加算されている。充
電時間Td1を加算した充電時間Td+Td1に応じて
ピエゾスタック51に充電を実施することにより、ピエ
ゾスタック51の充電終了後における伸びなどの仕事あ
るいは内部損失などにより低下したエネルギーを補償す
ることができる。したがって、ピエゾスタック51への
充電をする際において充電エネルギーの誤差を低減する
ことができる。
【0067】(第7実施例)本発明の第7実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置およびピエゾアクチュエ
ータ制御方法について説明する。なお、第1実施例によ
るピエゾアクチュエータ制御装置の駆動回路を構成する
各素子には同一の符号を付し、説明を省略している。
【0068】図16に示すように、第7実施例によるピ
エゾアクチュエータ制御装置90の駆動回路にはピエゾ
スタック51の充電または放電が開始されてからの時間
を計測する時間計測回路78が接続されている。制御回
路91は、ECU7から入力された指令に基づいて駆動
信号を出力し、駆動信号に基づいて各部を所定のシーケ
ンスにしたがって制御する。
【0069】図17は同一のパルス幅の駆動信号の波形
において噴射間隔を短縮した場合の各部の波形図であ
る。制御回路91から同一のパルス幅T1の駆動信号を
出力した場合、放電段階の途中に充電段階へ移行する。
そのため、前回の放電段階後にはピエゾスタック51に
エネルギーが残存する。これにより、ピエゾスタック5
1が所定のエネルギーとなるまで充電するために要する
時間は放電段階の時間Tdと等しくなる。このピエゾス
タック51が所定のエネルギーとなるまでに要する時間
は通常の充電段階に要する時間よりも短くなる。このと
き、ピエゾスタック51の電圧およびエネルギーの平坦
部、すなわち充電段階が終了してから放電段階が開始さ
れるまでの時間は、前回の放電段階前における当該時間
Te1と今回の充電段階終了後の当該時間Te2とでは
Te1<Te2の関係となる。その結果、今回のピエゾ
スタック51の放電段階にともなう燃料の噴射率は図1
7に示すように変化し、後の噴射では噴射量が増大する
おそれがある。そこで、第7実施例ではパルス幅を補正
することにより噴射量の増大を抑制している。
【0070】第7実施例によるピエゾアクチュエータ制
御装置90の駆動回路の作動について説明する。ピエゾ
アクチュエータ制御装置90の作動にともなう各部の波
形を図18に示し、ピエゾアクチュエータ制御装置90
によるピエゾアクチュエータ駆動方法のフローを図19
に示す。
【0071】制御回路91から出力された駆動信号の立
ち上がりまたは立ち下がりのエッジの検出(S70
1)、充電段階(S702〜S708)ならびに放電段
階(S711〜S717)は上記の複数の実施例と同一
であるので説明を省略し、ピエゾスタック51の放電段
階の途中で駆動信号が「1レベル」となり充電段階へ移
行する場合について説明する。
【0072】制御回路91は、S712においてあらか
じめ設定されている所定の時間Ttが経過する前に駆動
信号の「1レベル」を検出すると、制御フラグを「1レ
ベル」とし、近接多段噴射へ移行し駆動間隔が短縮され
放電段階の途中に充電段階へ移行したと判断する(S7
21)。しかし、放電段階においてインダクタ66の作
用により放電回路を流れる電流が「0」になるまで充電
段階へ移行することができない。そのため、比較回路7
2により検出される放電回路の電流値が「0」となるま
で放電段階を継続する(S722)。制御回路91は、
比較回路72の出力により放電回路の電流値が「0」と
なったことを検出すると、時間計測回路78により時間
Tt2の計測を開始するとともに充電段階へ移行する。
そして、S706へ進み、制御回路91はスイッチング
素子64をS504で記憶された時間Tiだけ「オン」
にし、充電電流が「0」となるまでスイッチング素子6
4を「オフ」にするという充電段階を繰り返す。このと
き、比較回路76によりピエゾスタック51の電圧はS
704においてサンプルホールド回路75に記憶されて
いる電圧と比較される。そして、ピエゾスタック51の
電圧がサンプルホールド回路75に記憶されている電圧
に到達した時点で比較回路76の出力は「1レベル」と
なる。比較回路76から「1レベル」の信号が出力され
ると、制御回路91は充電段階を終了し、これと同時に
時間計測回路78は時間Tt2の計測を停止する。
【0073】この時点においてピエゾスタック51の電
圧は前回の噴射時における電圧とほぼ同一の電圧に制御
されている。そのため、ピエゾスタック51の静電容量
が同一である場合、ピエゾスタック51には前回の充電
段階の終了時におけるエネルギーと同一のエネルギーが
充電されたことになる。このとき、この充電段階の時間
Tt2はあらかじめ設定されている所定時間Ttよりも
短い。そのため、制御回路91はTtとTt2との差分
だけ放電開始の時間を短く補正し、駆動信号のパルス幅
をT2に補正する。この結果、ピエゾスタック51の電
圧およびエネルギーの平坦部における時間はTe1とし
て一定となり、噴射ごとに噴射量が変化することを防止
できる。
【0074】また、異なるパルス幅の駆動信号が入力さ
れる場合でも、放電段階の途中で充電段階へ移行する場
合はピエゾスタック51に残存するエネルギーにより充
電段階に必要な時間が短くなることには変わりない。そ
のため、上記と同様にパルス幅を補正することにより噴
射量を適正に制御することができる。
【0075】(第8実施例)本発明の第8実施例による
ピエゾアクチュエータ制御装置の作動について説明す
る。なお、第7実施例によるピエゾアクチュエータ制御
装置の駆動回路を構成する各素子には同一の符号を付
し、説明を省略している。
【0076】図20は制御回路91から出力される駆動
信号のパルス間隔が放電段階の時間よりも長い場合、す
なわち放電段階の途中で充電段階に移行する制御をしな
い場合における各部の波形図である。充電段階および放
電段階の時間を150μs(マイクロ秒)とし、駆動信
号の間隔を200μsとしている。駆動信号の間隔は放
電段階の時間よりも長いので、放電段階の開始から次回
の充電段階の終了までの時間は、200μs+150μ
s=350μsとなる。
【0077】ここで、駆動信号の間隔を短縮し、放電段
階の開始から次回の充電段階の終了までの時間を110
μs短縮することを目標とする場合について説明する。
通常であれば、図21に示すように駆動信号の間隔を1
10μs短縮し90μsの間隔にすれば、上記の条件に
設定することが可能と思われる。しかし、90μsは放
電段階として必要な150μsよりも短くなる。すなわ
ち、ピエゾスタック51は放電段階の途中で充電段階へ
移行する制御となる。そのため、放電段階の開始から充
電段階の終了までの時間は180μsとなる。その結
果、初期設定のように駆動信号の間隔が200μsのと
き、放電段階の開始から充電段階の終了までの時間35
0μsに比較して170μsの短縮となり、目標である
110μsの短縮よりも大幅な短縮となっている。これ
により、実際の燃料の噴射間隔も短縮され、燃料の噴射
タイミングが所定の時期よりもずれるという結果を招
く。
【0078】そこで、図22に示すように、駆動信号の
間隔を補正することにより目標とする駆動信号の間隔の
短縮を図る。この手法による補正は、ECU7から制御
回路91へ入力される駆動信号の間隔が放電段階の時間
よりも短い場合に有効である。ECU7から制御回路9
1へ入力される噴射信号の間隔をTaとし、放電段階の
時間をTdとすると、補正する駆動信号の間隔Tbは次
式で表される。 Tb=(Ta+Td)/2
【0079】図22に示す例の場合、Ta=90μs、
Td=150μsであるため、Ta<Tdとなり上記の
補正による制御が有効となる。したがって、Tb=12
0μsとなる。補正後の駆動信号の間隔Tbが120μ
sであり、これは放電段階の途中で充電段階へ切り替え
られる制御となる。そのため、放電段階と充電段階に要
する時間はそれぞれ120μsとなる。その結果、放電
段階の開始から充電段階の終了までの時間は240μs
となる。これは、駆動信号の間隔が200μsである場
合における放電段階の開始から充電段階の終了までの時
間350μsに比較して110μsの短縮となる。した
がって、当所の駆動信号の間隔200μsから90μs
への短縮分に相当する110μsと等しい時間に補正す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置の駆動回路を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置を適用した燃料噴射制御システムを示す模式
図である。
【図3】本発明の第1実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置を適用したインジェクタを示す模式的な断面
図である。
【図4】本発明の第1実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図で
ある。
【図5】本発明の第1実施例によるピエゾアクチュエー
タ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図6】本発明の第2実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図で
ある。
【図7】本発明の第2実施例によるピエゾアクチュエー
タ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の第3実施例によるピエゾアクチュエー
タ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図で
ある。
【図9】本発明の第3実施例によるピエゾアクチュエー
タ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図10】本発明の第4実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図
であって、制御回路から3回駆動信号が出力される場合
の波形を示す図である。
【図11】本発明の第5実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の駆動回路を示す模式図である。
【図12】本発明の第5実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図
である。
【図13】本発明の第5実施例によるピエゾアクチュエ
ータ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図14】本発明の第6実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図
である。
【図15】本発明の第6実施例によるピエゾアクチュエ
ータ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図16】本発明の第7実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の駆動回路を示す模式図である。
【図17】比較のために同一のパルス幅の駆動信号の波
形において噴射間隔を短縮した場合の各部の波形を示す
模式図である。
【図18】本発明の第7実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置の作動にともなう各部の波形を示す模式図
である。
【図19】本発明の第7実施例によるピエゾアクチュエ
ータ駆動方法の流れを示すフロー図である。
【図20】比較のために放電段階の途中で充電段階に移
行する制御をしない場合における各部の波形を示す模式
図である。
【図21】比較のために駆動信号の間隔を110μs短
縮し90μsの間隔したときの各部の波形を示す模式図
である。
【図22】本発明の第8実施例によるピエゾアクチュエ
ータ制御装置により補正を実施した後の各部の波形を示
す模式図である。
【図23】従来のピエゾアクチュエータ制御装置の駆動
回路を示す模式図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ(燃料噴射装置) 7 ECU 10 ハウジング本体(ハウジング) 11 ノズルボディ(ハウジング) 12 噴孔 30 弁部材 40 バルブ駆動部(駆動手段) 50 ピエゾアクチュエータ 51、71 ピエゾスタック 60、80、90 ピエゾアクチュエータ制御装置 70、81、91 制御回路(制御手段) 75 サンプルホールド回路(記憶手段) 77、78 時間計測回路(期間計測手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 47/00 F02M 47/00 F 51/00 51/00 E 51/06 51/06 N H01L 41/083 H01L 41/08 P 41/09 U (72)発明者 榊原 康行 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 竹本 英嗣 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC09 BA13 BA19 CC01 CC05T CC08T CC14 CC67 CC68U CD26 CE27 CE29 DA09 DA10 DC18 3G301 HA02 JA14 LB11 LC05 MA03 MA23 MA27 ND02 PG02A

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピエゾアクチュエータに設けられている
    ピエゾスタックを充放電することにより前記ピエゾアク
    チュエータを駆動するピエゾアクチュエータ制御装置で
    あって、 前記ピエゾスタックを充電または放電に切り替える充放
    電切替手段と、 前記ピエゾスタックが放電される前の前記ピエゾスタッ
    クの充電電圧を記憶する記憶手段と、 前記充放電切替手段により前記ピエゾスタックの放電中
    に充電へ切り替えられるとき、前記ピエゾスタックが放
    電される前に前記記憶手段に記憶された電圧に到達する
    と前記ピエゾスタックへの充電を停止する制御手段と、 を備えることを特徴とするピエゾアクチュエータ制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記記憶手段は、前記ピエゾスタックの
    充電が停止されてから所定の期間が経過した後の前記ピ
    エゾスタックの充電電圧を記憶することを特徴とする請
    求項1記載のピエゾアクチュエータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記記憶手段で記憶さ
    れた前記ピエゾスタックの充電電圧が前記ピエゾスタッ
    クの充電停止時の充電電圧よりも小さいとき、それらの
    差を前記記憶手段に記憶された充電電圧に加えることを
    特徴とする請求項2記載のピエゾアクチュエータ制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記記憶手段は、前記ピエゾスタックの
    充電が停止されたときの前記ピエゾスタックの充電電圧
    を記憶することを特徴とする請求項1記載のピエゾアク
    チュエータ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記ピエゾスタックの
    充放電を繰り返し実行するとき、前記記憶手段に最初に
    記憶された充電電圧まで充電することを特徴とする請求
    項1から4のいずれか一項記載のピエゾアクチュエータ
    制御装置。
  6. 【請求項6】 ピエゾアクチュエータに設けられている
    ピエゾスタックを充放電することにより前記ピエゾアク
    チュエータを駆動するピエゾアクチュエータ制御装置で
    あって、 前記ピエゾスタックに充電または放電が開始されてから
    経過した期間を計測する期間計測手段と、 前記期間計測手段で計測された期間があらかじめ設定さ
    れた所定期間を経過すると、前記ピエゾスタックへの充
    電を停止する制御手段と、 を備えることを特徴とするピエゾアクチュエータ制御装
    置。
  7. 【請求項7】 前記所定期間は、前記ピエゾスタックの
    放電が開始されてから前記ピエゾスタックへの充電が開
    始されるまでの期間であることを特徴とする請求項6記
    載のピエゾアクチュエータ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記所定期間は、前記ピエゾスタックの
    放電が開始されてから前記ピエゾスタックへの充電が開
    始されるまでの期間に、損失分のエネルギーを補充可能
    な期間を加えたものであることを特徴とする請求項6記
    載のピエゾアクチュエータ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、前記充放電切替手段を
    駆動するための駆動信号を出力する駆動信号出力手段を
    有し、前記駆動信号出力手段から出力される駆動信号の
    パルス幅を短縮して前記ピエゾスタックの充電状態が保
    持されている期間を補正することを特徴とする請求項1
    から8のいずれか記載のピエゾアクチュエータ制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記制御手段は、前記充放電切替手段
    を駆動するための駆動信号を出力する駆動信号出力手段
    を有し、前記駆動信号出力手段から出力される駆動信号
    のパルス間隔を延長して前記ピエゾスタックの放電が開
    始されてから充電が終了するまでの期間を補正すること
    を特徴とする請求項1から8のいずれか記載のピエゾア
    クチュエータ制御装置。
  11. 【請求項11】 ピエゾスタックを充放電することによ
    り駆動されるピエゾアクチュエータにおいて、前記ピエ
    ゾスタックが放電されている放電段階の途中で前記ピエ
    ゾスタックが充電される充電段階に切り替えられるピエ
    ゾアクチュエータ制御方法であって、 前記放電段階となる前の前記ピエゾスタックの充電電圧
    を記憶し、記憶された充電電圧に到達すると前記充電段
    階を終了することを特徴とするピエゾアクチュエータ制
    御方法。
  12. 【請求項12】 前記充電段階が終了してから所定の期
    間が経過した後の前記ピエゾスタックの充電電圧が記憶
    されることを特徴とする請求項11記載のピエゾアクチ
    ュエータ制御方法。
  13. 【請求項13】 記憶された充電電圧が前記充電段階終
    了時における前記ピエゾスタックの充電電圧よりも小さ
    いとき、それらの差を記憶された充電電圧に加えること
    を特徴とする請求項12記載のピエゾアクチュエータ制
    御方法。
  14. 【請求項14】 前記充電段階が終了したときにおける
    前記ピエゾスタックの充電電圧が記憶されることを特徴
    とする請求項11記載のピエゾアクチュエータ制御方
    法。
  15. 【請求項15】 前記充電段階と前記放電段階とが繰り
    返し実行されるときであって、前記放電段階の途中で前
    記充電段階に切り替えられるときに前記充電段階を終了
    する到達電圧は、最初の放電段階前に記憶された充電電
    圧であることを特徴とする請求項11から14のいずれ
    か一項記載のピエゾアクチュエータ制御方法。
  16. 【請求項16】 ピエゾスタックを充放電することによ
    り駆動されるピエゾアクチュエータにおいて、前記ピエ
    ゾスタックが放電されている放電段階の途中で前記ピエ
    ゾスタックが充電される充電段階に切り替えられるピエ
    ゾアクチュエータ制御方法であって、 あらかじめ設定された所定期間が経過すると前記充電段
    階を終了することを特徴とするピエゾアクチュエータ制
    御方法。
  17. 【請求項17】 前記所定の期間は、前記放電段階が開
    始されてから前記充電段階が開始されるまでの期間であ
    ることを特徴とする請求項16記載のピエゾアクチュエ
    ータ制御方法。
  18. 【請求項18】 前記所定の期間は、前記放電段階が開
    始されてから前記充電段階の開始されるまでの期間に、
    前記充電段階の終了後に損失されたエネルギーを補充可
    能な期間を加えた期間であることを特徴とする請求項1
    6記載のピエゾアクチュエータ制御方法。
  19. 【請求項19】 前記ピエゾスタックの前記充電段階ま
    たは前記放電段階を切り替える駆動信号のパルス幅を短
    縮し、前記ピエゾスタックの充電状態が保持されている
    期間を補正することを特徴とする請求項11から18の
    いずれか一項記載のピエゾアクチュエータ制御方法。
  20. 【請求項20】 前記ピエゾスタックの前記充電段階ま
    たは前記放電段階を切り替える駆動信号のパルス間隔を
    延長し、前記ピエゾスタックの放電が開始されてから充
    電が終了するまでの期間を補正することを特徴とする請
    求項11から18のいずれか一項記載のピエゾアクチュ
    エータ制御方法。
  21. 【請求項21】 噴孔が形成されているハウジング、前
    記ハウジングの内部に軸方向へ往復移動可能に収容され
    前記噴孔を開閉する弁部材、ならびにピエゾアクチュエ
    ータが設けられ前記弁部材を駆動する駆動手段を有する
    燃料噴射装置と、 前記ピエゾアクチュエータを制御する請求項1から10
    のいずれか一項記載のピエゾアクチュエータ制御装置
    と、 を備えることを特徴とする燃料噴射制御システム。
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