JP2003222843A - 液晶表示装置、大型映像情報機器、及び液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い駆動電圧で駆動できるとともに、明るく
かつ視野角の広い反射型液晶表示装置、及びその製造方
法を得る。また、屋外で外光により使用しても十分明る
い表示が可能となる大型映像情報機器を得る。 【解決手段】 電極が形成された二枚の平板間に、コレ
ステリック液晶よりなる液晶層を挟持してなる液晶表示
装置において、上記液晶層３１，３２，３３は、特定の
波長を選択反射する右旋回のコレステリック液晶を包み
込んだマイクロカプセル３１ａ，３２ａ，３３ａと、上
記波長と同一の波長を選択反射する左旋回のコレステリ
ック液晶を包み込んだマイクロカプセル３１ｂ，３２
ｂ，３３ｂとを同一の溶媒中に混合したもので構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置、及び
液晶表示装置の製造方法に関するものであり、特にコレ
ステリック液晶を用いた反射型液晶表示装置に関するも
のである。また、この液晶表示装置を用いた大型映像情
報機器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図９は例えば特開２０００−１４７５４
７号公報に記載された、コレステリック液晶を用いた従
来の反射型液晶表示装置を示す断面構成図である。図に
おいて、１１〜１３、２１〜２３は透明基板、１１０，
１２０，１３０，２１０，２２０，２３０は各透明基板
上に設けられた透明電極、３１は青色表示層、３２は緑
色表示層、３３は赤色表示層、４０は光吸収層、５１は
青色セル、５２は緑色セル、５３は赤色セルである。青
色セル５１、緑色セル５２、赤色セル５３はそれぞれ透
明基板間に、青色の波長の光を選択反射するコレステリ
ック液晶からなる表示層３１、緑色の波長の光を選択反
射するコレステリック液晶からなる表示層３２、及び赤
色の波長の光を選択反射するコレステリック液晶からな
る表示層３３を形成したものであり、これら各セル５
１，５２，５３は積層され、さらに赤色セル５３の裏面
に黒色の光吸収層４０が形成されている。コレステリッ
ク液晶は分極した分子が螺旋構造を持つ液晶であり、螺
旋軸方向から螺旋ピッチに対応した光が当たると、その
光を反射する機能を有す。そこで上記のような構成の表
示装置において、透明電極により表示層に電圧を印加
し、液晶分子の螺旋軸の向きを透明基板に垂直な向きに
揃えると、透明基板を通過して入射した光の内、コレス
テリック液晶の螺旋ピッチに対応した波長の光が反射さ
れる。各セルの透明電極に印加する電圧を制御すること
により各セルは選択反射状態と透明状態とが切換えられ
る。その結果、各表示層の加法混色によって多色表示を
行うことが可能となる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】自然界の光には、右回
り旋光（右円偏光）と左回り旋光（左円偏光）の光が
１：１の割合で混在している。コレステリック液晶の選
択反射特性はその螺旋構造に起因して生じるため、螺旋
のねじれ方向に依存にした円偏光二色性を示し、左旋回
のコレステリック液晶は左円偏光を反射し、右円偏光を
透過する。また、右旋回のコレステリック液晶は右円偏
光を反射し、左円偏光を透過する。図９に示すような従
来のコレステリック液晶を用いた反射型液晶表示装置に
おいては、各表示層に用いられるコレステリック液晶は
螺旋のねじれ方向が同じものが用いられていたため、右
回りに螺旋状に分子が配向して液晶状態をとっている場
合、螺旋ピッチと対応した波長の光の内の右円偏光は反
射されるが、左円偏光は透過する。その結果、５０％の
反射率しか得られず、色鮮やかな明るい表示を行うこと
ができなかった。

【０００４】これを解決するためには、右回りに螺旋状
に分子が配向し易いコレステリック液晶と、左回りに螺
旋状に分子が配向し易いコレステリック液晶とを混ぜて
セル内に注入することが考えられるが、このような右旋
回のコレステリック液晶と左旋回のコレステリック液晶
とを直接混合すると、どちらの向きにもきれいな螺旋状
の配向ができず、選択反射特性を利用した上記のような
反射型液晶表示装置を得ることができなかった。

【０００５】そこで、特開平７−２８７２１４号公報に
は、図１０に示すように、右旋回のコレステリック液晶
を高分子中に分散させ、光または熱により硬化させた高
分子分散コレステリック液晶３０ａと、同じ波長に対し
て選択反射特性を有する左旋回のコレステリック液晶を
高分子中に分散させ、光または熱により硬化させた高分
子分散コレステリック液晶３０ｂとを積層することによ
り、同一セル内に、左回りと右回りの両方の配向をする
コレステリック液晶層を形成して反射率を上げる方法が
示されている。

【０００６】また、特開平１０−１４２５９３号公報に
は、図１１に示すように、二枚の透明基板１０１，１０
２（または２０１，２０２）間にコレステリック液晶層
３０ａ（または３０ｂ）を注入した液晶セル５０ａ及び
５０ｂを積層形成し、上記二層のセル５０ａ，５０ｂ間
に、各セル内のコレステリック液晶層３０ａ，３０ｂの
螺旋ねじれ方向が同一の場合は円偏光を逆向きに変える
部材６０を設け、各セル内のコレステリック液晶層３０
ａ，３０ｂの螺旋ねじれ方向が異なる場合は旋光性を有
しない部材６０を設けることによって、反射率を上げる
方法が示されている。また、上記特開平１０−１４２５
９３号公報には、図１２に示すように、二枚の透明基板
１０，２０間に、二つのコレステリック液晶３０ａ、３
０ｂを、各液晶材料が混合しないように分離部材６１で
区画してそれぞれ注入し、二つの液晶層の螺旋ねじれ方
向が同一の場合は上記分離部材６１を光の旋光方向を逆
向きにする部材で構成し、各液晶層の螺旋ねじれ方向が
異なる場合は上記分離部材６１を旋光性を有しない部材
で構成することによって、反射率を上げる方法が示され
ている。

【０００７】しかしながら、図１０に示す液晶表示装置
においては、各液晶層は、より効率的に光を反射させる
ために光の波長の１０倍程度の粒径、即ち６μｍ程度の
粒径のコレステリック液晶の塊が光の通り抜けが無いよ
うに密に高分子中に分散されて存在しているため、３０
μｍ程度の厚さとなり、さらにこのような液晶層が二層
必要なため、トータルで液晶層のみで６０μｍ程度の厚
さが必要となる。そのため、液晶層の層厚が厚く、視差
が大きくなるために、斜めから見た場合に像がずれて見
え、視野角が狭くなる問題があった。また分解能も悪く
なるといった問題があった。また、駆動電圧も高くなる
問題があった。また、図１１，１２に示す液晶表示装置
においては、各液晶層の厚みは薄くできるが、図１１の
場合は、各液晶層間に厚い透明基板１０２，２０１が必
要であるので、この透明基板の存在により視差が大きく
なるために、斜めから見た場合に像がずれて見え、視野
角が狭くなる問題があった。また、図１２の場合は、コ
レステリック液晶を液晶セル構成後に注入するために、
各液晶層間に設ける分離部材６１の厚みがある程度必要
であり、分離部材６１を１μｍ以下にすることが難しか
った。そのため、駆動電圧が高くなる問題があった。

【０００８】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、低い駆動電圧で駆動できるとと
もに、コレステリック液晶層での反射率が高く、明る
く、かつ視野角の広い反射型液晶表示装置を提供するこ
とを目的とする。また、このような液晶表示装置を製造
する方法を提供する。また、屋外で外光により使用して
も十分明るい表示が可能となる大型映像情報機器を提供
することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、電極が形成された二枚の平板間にコレステリック液
晶よりなる液晶層を挟持してなる液晶表示装置におい
て、上記液晶層は、特定の波長を選択反射する右旋回の
コレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセルと、
上記波長と同一の波長を選択反射する左旋回のコレステ
リック液晶を包み込んだマイクロカプセルとを同一の溶
媒中に混合したものである。

【００１０】また、本発明の液晶表示装置は、上記液晶
表示装置を複数積層して構成するとともに、上記各液晶
表示装置における液晶層の選択波長帯域が互いに異なる
ようにしたものである。

【００１１】また、本発明の液晶表示装置は、上記各液
晶表示装置において、二枚の平板の内の少なくとも一枚
はフィルムで構成されているものである。

【００１２】また、本発明の液晶表示装置は、上記各液
晶表示装置において、一つの画素が１つの平板上に形成
された複数の画素電極により構成され、上記複数の画素
電極に印加する信号を制御して、上記一つの画素へ印加
される印加電圧を制御することにより多階調表示を行う
ようにしたものである。

【００１３】また、本発明の大型映像情報機器は、上記
各液晶表示装置を複数個配列して構成された表示画面、
上記複数個の液晶表示装置をそれぞれ駆動する駆動回
路、及び上記駆動回路を制御する制御回路を備えたもの
である。

【００１４】また、本発明の液晶表示装置の製造方法
は、特定の波長を選択反射する右旋回のコレステリック
液晶を包み込んだマイクロカプセルを形成する工程、上
記波長と同一の波長を選択反射する左旋回のコレステリ
ック液晶を包み込んだマイクロカプセルを形成する工
程、及び上記右旋回のコレステリック液晶を包み込んだ
マイクロカプセルと上記左旋回のコレステリック液晶を
包み込んだマイクロカプセルとを同一の溶媒中に混合
し、この混濁液を電極が形成された二枚の平板間に注入
する工程を施すものである。

【００１５】また、本発明の液晶表示装置の製造方法
は、電極が形成された第１の平板上に特定の波長を選択
反射する右旋回のコレステリック液晶膜を塗布する工
程、上記右旋回のコレステリック液晶膜上に壁物質と添
加剤とを反応させて被膜を形成する工程、上記被膜の上
に上記波長と同一の波長を選択反射する左旋回のコレス
テリック液晶膜を塗布する工程、及び上記左旋回のコレ
ステリック液晶膜上に電極が形成された第２の平板を設
置する工程を施すものである。

【００１６】

【発明の実施の形態】実施の形態１．以下、本発明の実
施の形態１を図を用いて説明する。図１は本発明の実施
の形態１による反射型液晶表示装置を示す断面構成図で
あり、多色表示を行う表示装置である。図において、１
１，２１は青色セル５１を構成する透明ガラス基板、１
２，２２は緑色セル５２を構成する透明ガラス基板、１
３，２３は赤色セル５３を構成する透明ガラス基板、１
１０，１２０，１３０は透明ガラス基板１１，１２，１
３上に設けられたＸ方向の透明電極，２１０，２２０，
２３０は透明ガラス基板２１，２２，２３上に設けられ
たＹ方向の透明電極、３１は青色表示層、３２は緑色表
示層、３３は赤色表示層、４０は黒体板、７０は反射防
止膜である。青色セル５１、緑色セル５２、赤色セル５
３はそれぞれ透明ガラス基板間に、青色の波長の光を選
択反射するコレステリック液晶からなる表示層３１、緑
色の波長の光を選択反射するコレステリック液晶からな
る表示層３２、及び赤色の波長の光を選択反射するコレ
ステリック液晶からなる表示層３３を形成したものであ
り、これら各セル５１，５２，５３は積層され、さらに
赤色セル５３の裏面に黒色の光吸収層４０が形成されて
いる。また、青色表示層３１は、青色の波長を選択反射
する右旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイクロ
カプセル３１ａと、青色の波長を選択反射する左旋回の
コレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセル３１
ｂとを溶媒中に混合したものである。同様に、緑色表示
層３２は、緑色の波長を選択反射する右旋回のコレステ
リック液晶を包み込んだマイクロカプセル３２ａと、緑
色の波長を選択反射する左旋回のコレステリック液晶を
包み込んだマイクロカプセル３２ｂとを溶媒中に混合し
たものであり、赤色表示層３３は、赤色の波長を選択反
射する右旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイク
ロカプセル３３ａと、赤色の波長を選択反射する左旋回
のコレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセル３
３ｂとを溶媒中に混合したものである。マイクロカプセ
ル３３ａ及び３３ｂの直径は使用するコレステリック液
晶にもよるが、０．１〜１０μｍ、望ましくは０．５〜
６μｍのものが好ましい。

【００１７】本実施の形態による液晶表示装置の動作を
説明する。上記のような構成の表示装置において、各セ
ル５１，５２，５３の透明電極に印加する電圧を制御す
ることにより各セルは選択反射状態と透明状態とが切換
えられる。即ち、電圧を印加することにより、液晶分子
の螺旋軸の向きを透明基板に垂直な向きに揃えると、透
明ガラス基板を通過して入射した光の内、コレステリッ
ク液晶の螺旋ピッチに対応した波長の光が反射される。
一方、電圧が印加されない状態では透明状態となり入射
光は透過する。各セルは積層されているため、各セルの
透明電極に印加する電圧を制御し、青色表示層３１、緑
色表示層３２、及び赤色表示層３３の加法混色によって
多色表示を行うことが可能となる。

【００１８】また、本実施の形態において各表示層３
１，３２，３３内には、右旋回のコレステリック液晶を
包み込んだマイクロカプセルと、左旋回のコレステリッ
ク液晶を包み込んだマイクロカプセルとが存在するた
め、右回り旋光の光も、左回り旋光の光も反射される。
その結果、従来のものに比べ２倍の反射率が実現され、
高輝度でコントラストの高い表示装置が得られるように
なる。

【００１９】なお、本実施の形態において各表示層内に
存在するコレステリック液晶は前述のように、右旋回の
コレステリック液晶と左旋回のコレステリック液晶とが
混在するが、それぞれ別々にカプセル封入されているた
め、それぞれの旋回方向に安定した螺旋状配向が実現さ
れる。

【００２０】また、本実施の形態における各表示層は、
いずれも各セルにおける液晶層が単層で構成されている
ので、薄くできるため、駆動電圧が低く、かつ視野角が
広く、分解能の高い表示装置が得られる。また、装置の
構成も簡単となる効果がある。

【００２１】本実施の形態の液晶表示装置の製造方法を
以下に示す。図２は本実施の形態による液晶表示装置に
おける各セルの製造方法を示すものであり、例えば青色
セル５１の製造方法である。まず、透明ガラス基板１１
上にＸ方向の透明電極１１０を、透明ガラス基板２１上
にＹ方向の透明電極２１０を形成する。次に、両基板１
１，２１をスペーサを介して貼り合わせ、セルを構成
し、このセル内に、青色の波長を選択反射する右旋回の
コレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセル３１
ａと、青色の波長を選択反射する左旋回のコレステリッ
ク液晶を包み込んだマイクロカプセル３１ｂとを溶媒３
１ｃ中に混合した溶液（液晶カプセル混濁液）を注入す
る。同様にして形成された緑色セル５２及び赤色セル５
３を積層し、表示面側に反射防止膜７０を、背面には光
吸収層として黒体板４０を形成する。

【００２２】次に、本実施の形態の液晶カプセル混濁液
の作製方法を図３（ａ）〜（ｅ）により説明する。図３
（ａ）〜（ｄ）は界面重合法によるマイクロカプセルの
作製方法を示す図である。まず、特定の波長を選択反射
する右または左旋回のコレステリック液晶に添加剤Ａを
混入させたものを芯物質１として作製し、この芯物質１
を図３（ａ）に示すように、溶媒２の中に乳化分散させ
て、溶媒中にコレステリック液晶のエマルジョン（液
滴）を作る。次に図３（ｂ）に示すように、壁物質Ｂを
溶媒２の中に添加する。壁物質Ｂの添加により、図３
（ｃ）に示すように、壁物質Ｂは上記添加剤Ａと反応し
てコレステリック液晶と溶媒との界面に被膜を作り、コ
レステリック液晶を包み込むカプセル壁３となる。これ
を１〜１０時間ほど放置することにより、図３（ｄ）に
示すように、カプセル壁は安定化する。このようにして
右旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイクロカプ
セル３０ａと左旋回のコレステリック液晶を包み込んだ
マイクロカプセル３０ｂとをそれぞれ作製し、両カプセ
ル３０ａ，３０ｂを溶媒２中より取り出して混合し、こ
れを図３（ｅ）に示すように、屈折率が両コレステリッ
ク液晶の屈折率と近い透明で安定な溶媒３０ｃ中に混入
させてカプセル混濁液３０とする。なお、溶媒２として
は水、溶媒３０ｃとしてはシリコンオイル、エチレング
リコール、ジエチレングリコール等が好ましい。添加剤
Ａとしては、例えば芳香族系多価イソシアネート、脂肪
族系多価イソシアネート、油溶性多価アミン、壁物質Ｂ
としては、例えば多価アミン、多価イソシアネート・亜
硫酸付加物、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、ゼラチ
ン、アンモニウムポリアクリレート等が上げられるが、
これに限らず、添加剤Ａと壁物質Ｂとが反応してコレス
テリック液晶と溶媒との界面に被膜を作り、コレステリ
ック液晶を包み込むカプセル壁３となるものであれば何
でもよい。カプセル製造の具体例としては、例えばコレ
ステリック液晶及び高沸点溶媒に芳香族系多価イソシア
ネートおよび脂肪族系多価イソシアネートの混合物を溶
解し、分散剤としてＰＶＡ等を用いた水溶液中で撹拌速
度をコントロールするなどの方法により粒径を調整した
後、多価アミンを加えてカプセル化を行う。または、コ
レステリック液晶含有の高沸点溶媒にジエチルトルイレ
ンジアミンのような油溶性多価アミンを溶解させ、ＰＶ
Ａ等を用いて水系に、粒径を調整して分散させた後、多
価イソシアネート・亜硫酸付加物を加えることによりカ
プセル化を行う。

【００２３】実施の形態２．図４は本発明の実施の形態
２による液晶表示装置における各セルの製造方法を示す
ものであり、例えば青色セル５１の製造方法である。ま
ず、透明基板１１（第１の平板）上にＸ方向の透明電極
１１０を形成し（図４（ａ））、電極１１０上にスペー
サ柱４を形成後、インクジェット法等の印刷法により青
色の波長を選択反射する右旋回のコレステリック液晶膜
３１ａを塗布する（図４（ｂ））。次に上記コレステリ
ック液晶膜３１ａに、実施の形態１で述べた方法と同様
の界面重合法等によりカプセル壁（分離隔壁）５を形成
する（図４（ｃ））。即ち、上記コレステリック液晶膜
３１ａに添加剤Ａを添加すると共に、壁物質Ｂが添加さ
れた溶媒２をコレステリック液晶膜３１ａ上に塗布する
ことにより、壁物質Ｂと添加剤Ａとは反応してコレステ
リック液晶層３１ａと溶媒２との界面に被膜を作り、分
離隔壁５となる。この方法で形成された分離隔壁５の厚
みは１ｎｍ〜１μｍの厚みとすることが可能である。こ
の分離隔壁５が安定化した後、インクジェット法により
青色の波長を選択反射する左旋回のコレステリック液晶
膜３１ｂを塗布する（図４（ｄ））。その後、Ｙ方向の
透明電極２１０が形成された透明基板２１（第２の平
板）を貼り付ける。同様にして形成された緑色セル５２
及び赤色セル５３を積層し、表示面側に反射防止膜７０
を、背面には光吸収層として黒体板４０を形成する。

【００２４】このような方法により形成された液晶表示
装置においては、各表示層は、右旋回のコレステリック
液晶層と左旋回のコレステリック液晶層とで構成されて
いるため、右回り旋光の光も、左回り旋光の光も反射さ
れ、高い反射率となるので、高輝度でコントラストの高
い表示装置が得られるようになる。また、右旋回のコレ
ステリック液晶と左旋回のコレステリック液晶とはそれ
ぞれ分離隔壁（カプセル壁）で別々に分離されているた
め、それぞれの旋回方向に安定した螺旋状配向が実現さ
れる。また、各セルにおける液晶層は二層で構成されて
いるが、各液晶層がそれぞれ１つのカプセルにカプセル
化された状態で構成されており、より効率的に光を反射
させるためにはそれぞれが６μｍ程度の厚みでよく、ト
ータルで１２μｍ程度の厚さの液晶層にすることがで
き、極めて薄い構成にすることが可能である。その結
果、視野角が広く、分解能の高い表示装置が得られる。
また、界面重合法等により形成されたカプセル壁により
分離隔壁を構成しており、分離隔壁の厚みが薄くできる
ため、駆動電圧が低くできる効果がある。

【００２５】実施の形態３．図５は本発明の実施の形態
３による液晶表示装置を示すものであり、各セルを構成
する透明基板がガラス基板ではなく、透明フィルムによ
り構成されるものである。図において、１００，２００
は透明フィルムであり、透明フィルム１００には表面に
透明電極１３０が、裏面に透明電極２２０が施され、透
明フィルム２００には表面に透明電極１２０が、裏面に
透明電極２１０が施されている。また、反射防止膜７０
には裏面に透明電極２３０が施され、黒体板４０の表面
には透明電極１１０が施されている。各液晶層３１，３
２，３３は実施の形態１と同様のものである。図６は本
実施の形態３による他の構成の液晶セル（単色）を示す
図であり、図６（ａ）は平面図、図６（ｂ）は図６
（ａ）におけるＢ−Ｂ線に沿った断面図である。透明基
板１０、２０は透明フィルムで構成され、透明フィルム
１１，２１にはそれぞれ透明電極１１０，２１０が施さ
れている。１１１，２１１は各透明電極１１０，２１０
のリード線である。図６に示すように、Ｘ方向透明電極
１１０とＹ方向透明電極２１０を交差させてマトリクス
表示を行う場合、コレステリック液晶３０はメモリ特性
があるため、ＴＦＴによる液晶表示装置と違い、単純マ
トリクス構成が可能となる。従って、熱処理等を施した
り、複雑な積層構成とする必要が無いので、透明フィル
ムにより基板を構成することが可能となる。これによ
り、液晶セルの厚さは０．１〜０．３ｍｍ程度まで大幅
に縮小され、視差が小さくなり、広い視野角が得られる
ために画素の高密度化が実現できる。

【００２６】本実施の形態において、各セルの製造方法
としては、透明電極が形成された透フィルム上にスペー
サ柱を形成後、インクジェット法により実施の形態１で
示したと同様のコレステリック液晶混濁液３０を塗布し
て液晶層を形成し、この液晶層上に透明電極が形成され
た透明フィルムを貼り付けて液晶セルを構成している。

【００２７】なお、上記実施の形態では二枚の透明基板
の両方を透明フィルムとしたが、一方の透明基板のみ透
明フィルムとしてもよいことは言うまでもない。

【００２８】また、実施の形態２のものに対して、透明
基板を透明フィルムとしてもよいことは言うまでもな
い。

【００２９】実施の形態４．図６に示す液晶表示装置に
おいて、各画素は一つのＸ方向透明電極と一つのＹ方向
透明電極により構成されていたが、コレステリック液晶
のメモリ特性を利用して各画素が多階調で表示できるよ
うにしてもよい。図７はこのような多階調表示を行う液
晶表示装置における青色セルにおける一方の電極構成を
示し、一つの画素を示す。対向する電極構成も同様に分
割された構成が望ましい。なお図７（ａ）（ｂ）はそれ
ぞれ別々の電極構成例である。図において、２１０ａ，
２１０ｂ，２１０ｃはそれぞれ面積の異なる画素電極で
あり、これら三つの画素電極により一つの画素を構成す
る。２１１ａ，２１１ｂ，２１１ｃは各画素電極にそれ
ぞれ設けられたリード線であり、Ａ，Ｂ，Ｃは各画素電
極と各リード線との接点である。

【００３０】図に示すように、一つの画素が１つの平板
上に形成された面積の異なる複数の画素電極により構成
され、上記面積の異なる複数の画素電極に印加する信号
を制御して、一つの画素へ印加されるトータルの印加電
圧を制御することにより多階調表示を行うことが可能と
なる。

【００３１】なお、図７では一つの画素が面積の異なる
複数の画素電極で構成されたものを示したが、一つの画
素を面積の同じ複数の画素電極で構成し、上記複数の画
素電極に印加する信号を制御して、一つの画素へ印加さ
れるトータルの印加電圧を制御することにより多階調表
示を行うようにしてもよい。

【００３２】また、上記各実施の形態１〜４において
は、赤、緑、青の３層の表示層により多色表示を行うも
のを示したが、これらの色による多色表示に限らない。
また単色表示を行うものであってもよい。

【００３３】実施の形態５．図８は上記各実施の形態に
よる液晶表示装置を複数個配列して大型映像情報機器を
構成した例を示す。図において、６は複数個の液晶表示
装置６００により構成される表示画面、７は上記複数個
の液晶表示装置をそれぞれ駆動する駆動回路、８は上記
駆動回路７を制御する制御回路、９１は画像メモリ、９
２は電源である。このように構成された大型映像情報機
器は、表示画面６が上記各実施の形態による液晶表示装
置により構成されているので、明るく、かつ視野角が広
いため、屋外で外光により使用しても十分明るく、かつ
広範囲にわたって視差の少ない見やすい表示となる効果
がある。

【００３４】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電極
が形成された二枚の平板間にコレステリック液晶よりな
る液晶層を挟持してなる液晶表示装置において、上記液
晶層は、特定の波長を選択反射する右旋回のコレステリ
ック液晶を包み込んだマイクロカプセルと、上記波長と
同一の波長を選択反射する左旋回のコレステリック液晶
を包み込んだマイクロカプセルとを同一の溶媒中に混合
したものであるので、駆動電圧が低く、かつ明るく、視
野角の広い反射型液晶表示装置が得られる効果がある。

【００３５】また、本発明によれば、上記液晶表示装置
を複数積層して構成するとともに、上記各液晶表示装置
における液晶層の選択波長帯域が互いに異なるようにし
たので、高い分解能で、多色表示が可能となる。

【００３６】また、本発明によれば、上記各液晶表示装
置において、二枚の平板の内の少なくとも一枚はフィル
ムで構成されているので、液晶セルの厚さが大幅に縮小
され、広い視野角の液晶表示装置が得られる効果があ
る。

【００３７】また、本発明によれば、上記各液晶表示装
置において、一つの画素が１つの平板上に形成された複
数の画素電極により構成され、上記複数の画素電極に印
加する信号を制御して、上記一つの画素へ印加される印
加電圧を制御することにより多階調表示を行うようにし
たので、より高品質の表示が可能となる効果がある。

【００３８】また、本発明によれば、上記各液晶表示装
置を複数個配列して構成された表示画面、上記複数個の
液晶表示装置をそれぞれ駆動する駆動回路、及び上記駆
動回路を制御する制御回路により大型映像情報機器を構
成したので、屋外で外光により使用しても明るく、見や
すい大型映像情報機器が得られる効果がある。

【００３９】また、本発明によれば、特定の波長を選択
反射する右旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイ
クロカプセルを形成する工程、上記波長と同一の波長を
選択反射する左旋回のコレステリック液晶を包み込んだ
マイクロカプセルを形成する工程、及び上記右旋回のコ
レステリック液晶を包み込んだマイクロカプセルと上記
左旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイクロカプ
セルとを同一の溶媒中に混合し、この混濁液を電極が形
成された二枚の平板間に注入する工程を施すことにより
液晶表示装置を製造したので、駆動電圧が低く、かつ明
るく、視野角の広い反射型液晶表示装置が得られる効果
がある。

【００４０】また、本発明によれば、電極が形成された
第１の平板上に特定の波長を選択反射する右旋回のコレ
ステリック液晶膜を塗布する工程、上記右旋回のコレス
テリック液晶膜上に壁物質と添加剤とを反応させて被膜
を形成する工程、上記被膜の上に上記波長と同一の波長
を選択反射する左旋回のコレステリック液晶膜を塗布す
る工程、及び上記左旋回のコレステリック液晶膜上に電
極が形成された第２の平板を設置する工程を施すことに
より液晶表示装置を製造したので、駆動電圧が低く、か
つ明るく、視野角の広い反射型液晶表示装置が得られる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態１による反射型液晶表示
装置を示す断面構成図である。

【図２】 本発明の実施の形態１による液晶表示装置に
おける各セルの製造方法を示す図である。

【図３】 本発明の実施の形態１に係わるマイクロカプ
セルの作製方法を示す図である。

【図４】 本発明の実施の形態２による液晶表示装置に
おける各セルの製造方法を示す図である。

【図５】 本発明の実施の形態３による液晶表示装置を
示す断面構成図である。

【図６】 本発明の実施の形態３による液晶セル（青色
セル）を示す平面図及び断面図である。

【図７】 本発明の実施の形態４による液晶表示装置の
電極構成例を示す部分構成図である。

【図８】 本発明の実施の形態５による大型映像情報機
器を示す構成図である。

【図９】 従来の液晶表示装置を示す断面構成図であ
る。

【図１０】 従来の他の液晶表示装置を示す断面構成図
である。

【図１１】 従来の他の液晶表示装置を示す断面構成図
である。

【図１２】 従来の他の液晶表示装置を示す断面構成図
である。

【符号の説明】

１ 芯物質、２ 溶媒、３ カプセル壁、４ スペーサ
柱、５ 分離隔壁、６表示画面、７ 駆動回路、８ 制
御回路、９１ 画像メモリ、９２ 電源、１０、１１，
１２，１３，２０，２１，２２，２３，１０１，１０
２，２０１，２０２ 透明基板、、１００，２００ 透
明フィルム、１１０，１２０，１３０，２１０，２２
０，２３０ 透明電極、２１０ａ，２１０ｂ，２１０ｃ
画素電極、１１１，２１１，２１１ａ，２１１ｂ，２
１１ｃ リード線、３０ コレステリック液晶混濁液、
３１ 青色表示層、３２ 緑色表示層、３３ 赤色表示
層、３０ａ，３０ｂ コレステリック液晶層、３１ａ，
３２ａ，３３ａ 右旋回のコレステリック液晶を包み込
んだマイクロカプセル、３１ｂ，３２ｂ，３３ｂ 左旋
回のコレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセ
ル、３１ｃ 溶媒、４０光吸収層、５１ 青色セル、５
２ 緑色セル、５３ 赤色セル、５０ａ，５０ｂ 液晶
セル、６０ 部材、６１ 分離部材、７０ 反射防止
膜、６００ 液晶表示装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田 恭一郎 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 Ｆターム(参考） 2H088 EA02 EA03 FA10 FA29 GA03 GA08 HA01 HA06 HA11 JA17 JA20 MA06 MA20 2H089 HA06 HA32 JA04 KA09 KA20 QA16 RA05 RA18 2H093 ND02 ND04 ND08 ND43 NE01 NF17 NF20 NG20 5C058 AA06 AB01 BA01 BA05 BA26 EA01 EA02 EA26

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電極が形成された二枚の平板間にコレス
   テリック液晶よりなる液晶層を挟持してなる液晶表示装
   置において、上記液晶層は、特定の波長を選択反射する
   右旋回のコレステリック液晶を包み込んだマイクロカプ
   セルと、上記波長と同一の波長を選択反射する左旋回の
   コレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセルとを
   同一の溶媒中に混合したものであることを特徴とする液
   晶表示装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の液晶表示装置を複数積層
   して構成するとともに、上記各液晶表示装置における液
   晶層の選択波長帯域が互いに異なるようにしたことを特
   徴とする液晶表示装置。
3. 【請求項３】 二枚の平板の内の少なくとも一枚はフィ
   ルムで構成されていることを特徴とする請求項１または
   ２記載の液晶表示装置。
4. 【請求項４】 一つの画素が１つの平板上に形成された
   複数の画素電極により構成され、上記複数の画素電極に
   印加する信号を制御して、上記一つの画素へ印加される
   印加電圧を制御することにより多階調表示を行うように
   したことを特徴する請求項１ないし３のいずれかに記載
   の液晶表示装置。
5. 【請求項５】 請求項１ないし４のいずれかの液晶表示
   装置を複数個配列して構成された表示画面、上記複数個
   の液晶表示装置をそれぞれ駆動する駆動回路、及び上記
   駆動回路を制御する制御回路を備えたことを特徴とする
   大型映像情報機器。
6. 【請求項６】 特定の波長を選択反射する右旋回のコレ
   ステリック液晶を包み込んだマイクロカプセルを形成す
   る工程、上記波長と同一の波長を選択反射する左旋回の
   コレステリック液晶を包み込んだマイクロカプセルを形
   成する工程、及び上記右旋回のコレステリック液晶を包
   み込んだマイクロカプセルと上記左旋回のコレステリッ
   ク液晶を包み込んだマイクロカプセルとを同一の溶媒中
   に混合し、この混濁液を電極が形成された二枚の平板間
   に注入する工程を施したことを特徴とする液晶表示装置
   の製造方法。
7. 【請求項７】 電極が形成された第１の平板上に特定の
   波長を選択反射する右旋回のコレステリック液晶膜を塗
   布する工程、上記右旋回のコレステリック液晶膜上に壁
   物質と添加剤とを反応させて被膜を形成する工程、上記
   被膜の上に上記波長と同一の波長を選択反射する左旋回
   のコレステリック液晶膜を塗布する工程、及び上記左旋
   回のコレステリック液晶膜上に電極が形成された第２の
   平板を設置する工程を施したことを特徴とする液晶表示
   装置の製造方法。