JP2003220583A - 二足歩行移動体の床反力推定方法 - Google Patents

二足歩行移動体の床反力推定方法

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    • B62D57/032Vehicles characterised by having other propulsion or other ground- engaging means than wheels or endless track, alone or in addition to wheels or endless track with ground-engaging propulsion means, e.g. walking members with alternately or sequentially lifted supporting base and legs; with alternately or sequentially lifted feet or skid

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】人間等の二足歩行移動体の運動状態が該二足歩
行移動体の両脚体が接地している両脚支持状態であると
きの各脚体に作用する床反力の鉛直方向成分をリアルタ
イムで精度良く把握できるようにする。 【解決手段】脚体の運動状態が単脚支持状態であるか両
脚支持状態であるかを逐次判断すると共に二足歩行移動
体の重心の運動方程式に基づいて全床反力を推定する。
単脚支持状態であるときは、全床反力の推定値をそのま
ま接地している脚体の床反力の推定値とする。足平部の
中足趾節関節の床面からの位置(MP高さ)を計測し、
両脚支持状態に移行したときは、前側脚体のMP高さと
後側脚体の床反力の鉛直方向成分との間に成立する所定
の相関関係に基づき、前側脚体のMP高さから後側脚体
の床反力の鉛直方向成分を推定する。全床反力の鉛直方
向成分から後側脚体の床反力の鉛直方向成分を差し引く
ことにより前側脚体の床反力の鉛直方向成分を推定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間や二足歩行ロ
ボット等の二足歩行移動体の脚体に作用する床反力、特
に、二足歩行移動体の運動状態が該二足歩行移動体の両
脚体が接地している両脚支持状態であるときの各脚体に
作用する床反力の鉛直方向成分を推定する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば人間の歩行動作を補助する歩行ア
シスト装置の動作制御や、二足歩行ロボットの移動動作
の制御を行なう場合、人間や二足歩行ロボットの脚体に
作用する床反力(詳しくは、脚体の接地部に床から作用
する力)を逐次把握することが必要となる。この床反力
を把握することで、二足歩行移動体の脚体の関節に作用
するモーメント等を把握することが可能となり、その把
握されたモーメント等に基づいて歩行アシスト装置の目
標補助力や、二足歩行ロボット各関節の目標駆動トルク
等を決定することが可能となる。
【0003】前記床反力を把握する手法としては、例え
ば特開2000-249570号公報に開示されているものが知ら
れている。この技術では、二足歩行移動体の定常的な歩
行時に各脚体の床反力の経時変化の波形が周期的に変化
することから、各脚体の床反力を、歩行周期の1/n
(n=1,2,…)の互いに異なる周期を有する複数の
三角関数の合成値(一次結合)として把握するものであ
る。この場合、複数の三角関数を合成する際の各三角関
数の重み係数は、二足歩行移動体毎にあらかじめ定めた
所定値やそれを地形に応じて調整した値が用いられてい
る。
【0004】しかしながら、かかる技術では、二足歩行
移動体の一歩分もしくは複数歩分について脚体の床反力
を把握しようとするものであるため、二足歩行移動体の
歩容が逐次変化するような場合には、床反力を精度よく
把握することは困難である。また、把握される床反力の
精度を高めるためには、前記三角関数の重み係数を二足
歩行移動体毎に設定したり、地形等に応じて調整したり
しなければならないので、二足歩行移動体の移動環境や
二足歩行移動体の個体差の影響を少なくして、床反力を
精度よく把握するようにすることが困難である。
【0005】また、例えば二足歩行ロボットにおいて
は、各脚体の足首部や足平部に6軸力センサ等の力セン
サを取り付け、この力センサの出力により床反力を把握
するものも知られている。さらに、床に設置したフォー
スプレート上で二足歩行移動体を歩行させ、該フォース
プレートの出力により床反力を把握する手法も知られて
いる。
【0006】しかしながら、力センサを用いる技術で
は、特に人間の脚体の床反力を把握しようとする場合に
は、人間の足首部や足平部に力センサを取り付けなけれ
ばならないため、通常的な生活環境下では、該力センサ
が歩行の邪魔になってしまうという不都合がある。ま
た、フォースプレートを用いるものでは、該フォースプ
レートが設置された環境下でしか床反力を把握できな
い。
【0007】かかる不具合を解消するため、本願出願人
は、先に、特願2001-214174号により以下の床反力推定
方法を提案している。この方法の原理を図1を参照して
説明する。二足歩行移動体の運動状態(歩行動作時の脚
体の運動状態)は、図1(a)に例示するように二足歩
行移動体1の両脚体2,2のうちの一方の脚体2(図で
は進行方向で前側の脚体)のみが接地する単脚支持状態
と、図1(b)に示すように両脚体2,2が接地する両
脚支持状態とがある。
【0008】ここで、両脚体2,2に床Aから作用する
全床反力をFとおくと、該全床反力Fは、図1(a)の
単脚支持状態では、接地している脚体2に作用する床反
力に等しく、また、図1(b)の両脚支持状態では、両
脚体2,2にそれぞれ作用する床反力Ff,Frの合力であ
る。また、二足歩行移動体1が運動を行う床Aに対して
固定した絶対座標系Cfにおける二足歩行移動体1の重
心G0の加速度aのX軸方向(二足歩行移動体2の進行方
向での水平方向)、Z軸方向(鉛直方向)の成分をそれ
ぞれax,az、二足歩行移動体1に作用する全床反力F
のX軸方向、Z軸方向の成分をそれぞれFx,Fzとおく
と、重心G0の運動方程式(詳しくは、重心G0の並進運
動に関する運動方程式)は、次式(1)により表され
る。
【0009】 T(Fx,Fz−M・g)=M・T(ax,az) ……(1) (但し、M:二足歩行移動体の重量、g:重力加速度) 尚、式(1)中の両辺の括弧部分T( , )は2成分の
ベクトルを意味している。本明細書ではT( , )とい
う形の表記は、ベクトルを表す。
【0010】つまり、重心G0の運動方程式は、該重心G0
の加速度aと二足歩行移動体1の重量Mとの積が、該重
心G0に作用する重力(=M・g)と、前記全床反力Fと
の合力に等しいという関係式になる。
【0011】従って、二足歩行移動体1の重心G0の加
速度a=T(ax,az)を把握すれば、その加速度aと、
二足歩行移動体1の重量Mの値と、重力加速度gの値と
を用いて、次式(2)により、全床反力F=T(Fx,F
z)の推定値を得ることができることとなる。
【0012】T (Fx,Fz)=M・T(ax,az+g) ……(2)
【0013】そして、図1(a)の単脚支持状態では、
接地している単一の脚体2に作用する床反力は、上記全
床反力Fに等しいので、式(2)によりその単一の脚体
2に作用する床反力Fの推定値が得られることとなる。
【0014】この場合、床反力Fの推定値を得るために
必要な重量Mは、あらかじめ計測等により把握すること
ができる。また、重心G0の位置や加速度aについて
は、詳細は後述するが、二足歩行移動体1の各関節の屈
曲角度(回転角度)を検出するセンサや、加速度セン
サ、ジャイロセンサ等のセンサの出力を用いて公知の手
法等により逐次把握することが可能である。
【0015】また、図1(b)の両脚支持状態では、前
側脚体2の床反力FfのX軸方向、Z軸方向の成分をそれ
ぞれFfx,Ffz、後側脚体2の床反力FrのX軸方向、
Z軸方向の成分をそれぞれFrx,Frzとして、全床反力
FのX軸方向、Z軸方向の成分Fx,FzはそれぞれFfx
+Frx,Ffz+Frzになり、重心G0の運動方程式は、
次式(3)により表される。
【0016】 T(Ffx+Frx,Ffz+Frz−M・g)=M・T(ax,az) ……(3)
【0017】ここで、両脚支持状態において、各脚体
2,2の床反力Ff,Frは、図1(b)に示すように、
各脚体2,2の下端部近傍の特定部位12f,12r(例
えば足首部)から二足歩行移動体1の重心G0に向かっ
て作用すると仮定する。この場合、前記重心G0に対す
る各脚体2,2の前記特定部位12f,12rの位置と、
各脚体2,2に作用する床反力Ff,Frとの間には一定
の関係式、すなわち、前記重心G0と各脚体2,2の特
定部位12f,12rとを結ぶ線分の向き(該重心G0に
対する該特定部位12f,12rの位置ベクトルの向き)
が該脚体2,2に係る床反力Ff,Frの向きに等しいと
いう関係を表す関係式が成立する。
【0018】具体的には、図1(b)を参照して、前記
絶対座標系Cfにおける重心G0の位置の座標を(Xg,
Zg)、前側脚体2の特定部位12fの位置の座標を(X
f,Zf)、後側脚体2の特定部位12rの位置の座標を
(Xr,Zr)とおくと、上記の関係式は次式(4)とな
る。
【0019】 (Zf−Zg)/(Xf−Xg)=Ffz/Ffx (Zr−Zg)/(Xr−Xg)=Frz/Frx ……(4)
【0020】そして、この式(4)と前記式(3)から
次式(5)(5’)が得られる。
【0021】 Ffx=M・{ΔXf・(ΔZr・ax−ΔXr・az −ΔXr・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf) Frx=M・{ΔXr・(−ΔZf・ax+ΔXf・az +ΔXf・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf) ……(5) Ffz=M・{ΔZf・(ΔZr・ax−ΔXr・az −ΔXr・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf) Frz=M・{ΔZr・(−ΔZf・ax+ΔXf・az +ΔXf・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf) ……(5’) (但し、ΔZf=Xf−Xg,ΔZf=Zf−Zg, ΔXr=Xr−Xg,ΔZr=Zr−Zg)
【0022】従って、二足歩行移動体1の重心G0の加
速度a=T(ax,az)を把握すると共に、二足歩行移動
体1の重心G0に対する各脚体2,2のそれぞれの特定
部位12f,12rの位置(これは式(5)(5’)では
ΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZrにより表される)を把握す
れば、その加速度a及び特定部位12f,12rの位置
と、二足歩行移動体1の重量Mの値と、重力加速度gの
値とを用いて、前記式(5)(5’)により、各脚体2
毎の床反力Ff=T(Ffx,Ffz)、Fr=T(Frx,Frz)の
推定値を得ることができることとなる。
【0023】この場合、床反力Ff,Frの推定値を得る
ために必要な重量Mは、あらかじめ計測等により把握す
ることができる。また、重心G0の加速度aや重心G0の
位置、該重心G0に対する前記特定部位12f,12rの
位置については、詳細は後述するが、二足歩行移動体1
の各関節の屈曲角度(回転角度)を検出するセンサや、
加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサの出力を用い
て、公知の手法等により逐次把握することが可能であ
る。
【0024】然し、上記先願の方法で求めた両脚支持状
態における各脚体の床反力の鉛直方向成分Ffz,Frzの
推定値は必ずしも満足できる精度ではないことが判明し
た。これは、各脚体2,2の床反力Ff,Frが各脚体
2,2の特定部位12f,12rから二足歩行移動体1の
重心G0に向かって作用するとは限らないためである。
そして、二足歩行移動体1の重量の影響で大きな値にな
る床反力の鉛直方向成分の推定値は進行方向成分に比し
誤差が大きくなる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に
鑑み、比較的簡単な手法で両脚支持状態における各脚体
の床反力の鉛直方向成分を精度よくリアルタイムで把握
することができ、特に二足歩行移動体としての人間に係
る床反力を把握する上で好適な床反力推定方法を提供す
ることを課題としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の二足歩行移動体
の床反力推定方法、すなわち、二足歩行移動体の運動状
態が該二足歩行移動体の両脚体が接地している両脚支持
状態であるときの各脚体に作用する床反力の鉛直方向成
分を推定する方法は、上記課題を解決するため、二足歩
行移動体の重心の位置を逐次求めつつ、該重心の位置の
時系列データを用いて床に対して固定された絶対座標系
での該重心の加速度を逐次求める第1ステップと、二足
歩行移動体の重量と重力加速度と前記重心の加速度と各
脚体に作用する床反力の合力である全床反力とにより表
される該重心の運動方程式に基づき、該全床反力の推定
値を逐次求める第2ステップと、前記両脚支持状態にお
いて両脚体のうち少なくとも二足歩行移動体の進行方向
に向かって前側に存する前側脚体の足平部のあらかじめ
定めた特定部位の床面からの位置を逐次求める第3ステ
ップとを備え、前記両脚支持状態であるときには、両脚
体のうち該二足歩行移動体の進行方向に向かって後側に
存する後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分と、前
側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの位置との間
に成立する所定の相関関係に基づき、前記第3ステップ
で求めた前側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの
位置を用いて後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分
の推定値を逐次求め、その求めた後側脚体の床反力の鉛
直方向成分の推定値を前記第2ステップで求めた全床反
力の鉛直方向成分の推定値から差し引くことにより、前
側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次
求めることを特徴とする。
【0027】本願発明者は、鋭意努力の結果、両脚支持
状態において後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分
は、前側脚体の足平部の踵が着床して両脚支持状態に移
行してから、前側脚体の足平部の特定部位(例えば中足
趾節関節)の床面からの位置変化に対して顕著な相関性
を持って変化することを知見するに至った。従って、後
側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分と前側脚体の足
平部の特定部位の床面からの位置との間に成立する相関
関係を各種実験やシミュレーション等であらかじめ調べ
ておけば、その相関関係に基づいて、本発明のように前
側脚体の足平部の特定部位の床面からの位置を用いて後
側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定すること
ができる。そして、後側脚体に作用する床反力と前側脚
体に作用する床反力の合力が全床反力であるので、この
全床反力の鉛直方向成分の推定値から、上記相関関係に
基づいて求められる後側脚体に作用する床反力の鉛直方
向成分の推定値を差し引くことにより、前側脚体に作用
する床反力の鉛直方向成分の推定値を求めることができ
る。
【0028】尚、後側と前側の各脚体に作用する床反力
の進行方向成分の推定値は、適宜の手法、例えば、上記
先願と同様に上記式(5)から求めればよい。
【0029】ここで、本発明における全床反力の推定値
は上記先願と同様の手法で求められる。そして、この全
床反力の推定値を求めるために必要な二足歩行移動体の
重量は、あらかじめ計測等により把握しておけばよい。
また、二足歩行移動体の重心の位置や加速度は、二足歩
行移動体の各関節の屈曲角度(回転角度)を検出するセ
ンサ(ポテンショメータ等)や、加速度センサ、ジャイ
ロセンサ等、比較的小型で二足歩行移動体への装備が容
易なセンサの出力のデータを用いてリアルタイムで把握
することが可能であり、足平部の特定部位の床面からの
位置も、履き物等に傾斜測定用の簡易な加速度センサ等
を装備しておくことによりリアルタイムで把握すること
が可能である。
【0030】従って、本発明の床反力推定方法によれ
ば、二足歩行移動体の足首部や足平部に力センサを装着
したり、フォースプレートを使用したりすることなく、
比較的簡単な手法で床反力をリアルタイムで把握するこ
とができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図2〜図9
を参照して説明する。
【0032】本実施形態は、二足歩行移動体としての人
間に本発明の床反力推定方法を適用した実施形態であ
る。
【0033】図2に模式化して示すように、人間1は、
その構成を大別すると、左右一対の脚体2,2と、腰部
3及び胸部4からなる胴体5と、頭部6と、左右一対の
腕体7,7とを有する。胴体5は、その腰部3が脚体
2,2のそれぞれに左右一対の股関節8,8を介して連
結され、両脚体2,2上に支持されている。また、胴体
5の胸部4は、腰部3の上側に該腰部3に対して人間1
の前方側に傾斜可能に存している。そして、この胸部4
の上部の左右両側部から腕体7,7が延設され、該胸部
4の上端部に頭部6が支持されている。
【0034】各脚体2,2は、股関節8から延在する大
腿部9と、該大腿部9の先端から膝関節10を介して延
在する下腿部11とを有し、下腿部11の先端部に、足
首部(足首関節)12を介して足平部13が連結されて
いる。
【0035】本実施形態では、このような構成を有する
人間1の各脚体2に作用する床反力の推定、さらには膝
関節10及び股関節8に作用するモーメントの推定を行
うために、次のような装置を人間1に装備している。
【0036】すなわち、胴体5の胸部4には、胸部4の
傾斜に伴う角速度に応じた出力を発生するジャイロセン
サ14(以下、胸部ジャイロセンサ14という)と、胸
部4の前後方向の加速度に応じた出力を発生する加速度
センサ15(以下、胸部前後加速度センサ15という)
と、CPU、RAM、ROM等から構成される演算処理装置16
と、該演算処理装置16等の電源となるバッテリ17と
が装着されている。この場合、これらの胸部ジャイロセ
ンサ14、胸部前後加速度センサ15、演算処理装置1
6及びバッテリ17は、例えば胸部4に図示しないベル
ト等を介して固定されるショルダーバッグ状の収容部材
18に収容され、該収容部材18を介して胸部4に一体
的に固定されている。
【0037】尚、胸部加速度センサ15の出力が表す加
速度は、より詳しくは、胸部4の水平断面方向(胸部4
の軸心と直交する方向)での前後方向の加速度であり、
人間1が平地に直立姿勢で起立した状態では、前後水平
方向(図2の絶対座標系のX軸方向)での加速度である
が、腰部3あるいは胸部4が鉛直方向(図2の絶対座標
系のZ軸方向)から傾斜した状態では、胸部4の鉛直方
向に対する傾斜角度分だけ水平方向に対して傾斜した方
向での加速度となる。
【0038】また、胴体5の腰部3には、腰部3の傾斜
に伴う角速度に応じた出力を発生するジャイロセンサ1
9(以下、腰部ジャイロセンサ19という)と、腰部3
の前後方向の加速度に応じた出力を発生する加速度セン
サ20(以下、腰部前後加速度センサ20という)と、
腰部3の上下方向の加速度に応じた出力を発生する加速
度センサ21(以下、腰部上下加速度センサ21とい
う)とが、図示しないベルト等の固定手段を介して一体
的に装着・固定されている。
【0039】ここで、腰部前後加速度センサ20は、よ
り詳しくは胸部前後加速度センサ15と同様、腰部3の
水平断面方向(腰部3の軸心と直交する方向)での前後
方向の加速度を検出するセンサである。また、腰部上下
加速度センサ21は、より詳しくは、腰部3の軸心方向
での上下方向の加速度(これは腰部前後加速度センサ2
0が検出する加速度と直交する)を検出するセンサであ
る。尚、腰部前後加速度センサ20及び腰部上下加速度
センサ21は、二軸型の加速度センサにより一体的に構
成されたものであってもよい。
【0040】さらに各脚体2の股関節8と膝関節10と
には、それぞれの屈曲角度Δθc,Δθdに応じた出力を
発生する膝関節角度センサ22及び股関節角度センサ2
3が装着されている。尚、股関節角度センサ22につい
ては、図2では手前側(人間1の前方に向かって右側)
の脚体2の股関節8に係わる股関節角度センサ22のみ
が図示されているが、他方側(人間1の前方に向かって
左側)の脚体2の股関節8には、手前側の股関節角度セ
ンサ22と同心に、股関節角度センサ22が装着されて
いる。
【0041】これらの角度センサ22,23は、例えば
ポテンショメータにより構成されたものであり、各脚体
2に図示しないバンド部材等の手段を介して装着されて
いる。ここで、各股関節角度センサ22が検出する屈曲
角度Δθcは、より詳しくは、腰部3と各脚体2の大腿
部9との姿勢関係が所定の姿勢関係(例えば人間1の直
立姿勢状態のように腰部3の軸心と大腿部9の軸心とが
ほぼ平行となる姿勢関係)にあるときを基準とした、腰
部3に対する各脚体2の大腿部9の股関節8回り(人間
1の左右方向における股関節8の軸心回り)の回転角度
である。同様に、各膝関節角度センサ23が検出する屈
曲角度Δθdは、各脚体2の大腿部9と下腿部11との
姿勢関係が所定の姿勢関係(例えば大腿部9の軸心と下
腿部11の軸心とがほぼ平行となる姿勢関係)にあると
きを基準とした、大腿部9に対する下腿部11の膝関節
10回り(人間1の左右方向における膝関節10の軸心
回り)の回転角度である。
【0042】また、各脚体2の足平部13の特定部位、
例えば、中足趾節関節の床面からの位置(以下MP高さ
と記す)を計測するためのセンサが設けられている。こ
れを図3を参照して詳述するに、足平部13の踵13a
から中足趾節関節13bまでは剛体と仮定でき、MP高
さHは、踵13aから中足趾節関節13bまでの距離を
D、床面に対する足平部13の傾斜角度をθとして、H
=Dsinθになる。そして、足平部13の長手方向の
加速度を検出する加速度センサ24を履き物等に装備し
ておけば、この加速度センサ24による計測加速度をg
s、重力加速度をgとして、θ=Arcsin(gs/
g)の式でθを算出でき、このθを用いてMP高さHを
求められる。ここで、両脚支持状態では、人間1の進行
方向に向かって前側の脚体2の踵位置は加速せず、加速
度センサ24は足平部13の傾斜角度θに応じた加速度
を正確に検出する。従って、加速度センサ24により足
平部13の傾斜角度θひいてはMP高さHを正確に計測
できる。尚、加速度センサ24に作用する接地衝撃を減
らすため、加速度センサ24の装備位置は踵から離れた
つま先側にすることが望ましい。
【0043】前記各センサ14,15,19〜24は、
それらの出力を演算処理装置16に入力すべく、図示を
省略する信号線を介して演算処理装置16に接続されて
いる。
【0044】前記演算処理装置16は、図4に示すよう
な機能的手段を備えている。すなわち、演算処理装置1
6は、腰部上下加速度センサ21の検出データと、後述
する床反力推定手段38により求められた各脚体2の床
反力の推定値のデータとを用いて、人間1の脚体2,2
の運動状態が単脚支持状態(図1(a)の状態)である
か、両脚支持状態(図1(b)の状態)であるかを判断
する脚体運動判断手段25を備えている。また、演算処
理装置16は、胸部前後加速度センサ15及び胸部ジャ
イロセンサ14の検出データを用いて、胸部4の絶対座
標系Cfにおける傾斜角度θa(具体的には例えば鉛直方
向に対する傾斜角度θa。図2参照)を計測する胸部傾
斜角度計測手段26と、腰部前後加速度センサ20及び
腰部ジャイロセンサ19の検出データを用いて、腰部3
の絶対座標系Cfにおける傾斜角度θb(具体的には例え
ば鉛直方向に対する傾斜角度θb。図2参照)を計測す
る腰部傾斜角度計測手段27とを備えている。
【0045】さらに、演算処理装置16は、腰部前後加
速度センサ20及び腰部上下加速度センサ21の検出デ
ータと前記腰部傾斜角度計測手段27により計測された
腰部3の傾斜角度θbのデータとを用いて、本実施形態
における人間1の基準点として図2に示すように腰部3
に設定される身体座標系Cp(図2のxz座標)の原点
Oの絶対座標系Cfにおける加速度(並進加速度)a0
T(a0x,a0z)を求める基準加速度計測手段28を備え
ている。ここで、身体座標系Cpは、より詳しくは、例
えば人間1の左右の股関節8,8のそれぞれの中心を結
ぶ線の中点を原点Oとし、鉛直方向をz軸方向、人間1
の前方に向かう水平方向をx軸方向とした座標系(3軸
の方向が前記絶対座標系Cfと同一の座標系)である。
【0046】また、演算処理装置16は、各脚体2の股
関節角度センサ22及び膝関節角度センサ23の検出デ
ータと、前記腰部傾斜角度計測手段27による腰部3の
傾斜角度θbのデータとを用いて、絶対座標系Cfにおけ
る各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜
角度θc,θd(具体的には例えば鉛直方向に対する傾斜
角度θc,θd。図2参照)求める脚体姿勢算出手段29
を備えている。
【0047】また、演算処理装置16は、前記胸部傾斜
角度計測手段26、腰部傾斜角度計測手段27及び脚体
姿勢算出手段29により得られる胸部4の傾斜角度θ
a、腰部3の傾斜角度θb、並びに各脚体2の大腿部9の
傾斜角度θc及び下腿部11の傾斜角度θdのデータを用
いて、後述の剛体リンクモデルに対応する人間1の各剛
体相当部の重心の位置(詳しくは前記身体座標系Cpに
おける各剛体相当部の重心の位置)を求める各部重心位
置算出手段30と、その各剛体相当部の重心の位置のデ
ータを用いて、上記身体座標系Cpにおける人間1の全
体の重心の位置を求める身体重心位置算出手段31と、
その人間1の全体の重心G0(図1参照。以下、身体重心
G0という)の位置のデータと前記脚体姿勢算出手段29
による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの
傾斜角度θc,θdのデータとを用いて本実施形態におけ
る各脚体2の特定部位としての各脚体2の足首部12の
身体重心G0に対する位置(詳しくは、前記式(5)にお
けるΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZr)を求める足首位置算
出手段32と、前記足平部加速度センサ24の検出デー
タを用いてMP高さHを求めるMP高さ算出手段33
と、前記身体重心位置算出手段31による身体重心の位
置のデータと前記基準加速度計測手段27による身体座
標系Cpの原点Oの加速度a0のデータとを用いて絶対座
標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,az)
(図1参照)を求める身体重心加速度算出手段34とを
備えている。
【0048】さらに、演算処理装置16は、前記各部重
心位置算出手段30による人間1の各剛体相当部の重心
の位置(詳しくは脚体2に係わる剛体相当部の重心の位
置)のデータと前記基準加速度計測手段28による身体
座標系Cpの原点Oの加速度a 0のデータとを用いて絶対
座標系Cfにおける各脚体2の大腿部9及び下腿部11
のそれぞれの重心の加速度(並進加速度)を求める脚体
各部加速度算出手段35と、前記脚体姿勢算出手段29
による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの
傾斜角度θc,θdのデータを用いて絶対座標系Cfにお
ける各脚体2,2の大腿部9及び下腿部11の角加速度
を求める脚体各部角加速度算出手段36と、前記脚体姿
勢算出手段28による各脚体2,2の大腿部9及び下腿
部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのうち、例えば大
腿部9の傾斜角度θcのデータを用いて接地している各
脚体2の床反力作用点の位置を推定する床反力作用点推
定手段37とを備えている。
【0049】また、演算処理装置16は、前記身体重心
加速度算出手段34による身体重心の加速度aのデータ
と前記足首位置算出手段32による足首位置のデータと
前記MP高さ算出手段33によるMP高さHのデータと
前記脚体運動判断手段25による脚体2の運動状態の判
断結果のデータとを用いて各脚体2に作用する床反力の
推定値を求める床反力推定手段38と、この床反力の推
定値のデータと脚体各部加速度算出手段35による各脚
体2の大腿部9及び下腿部11の重心の加速度のデータ
と脚体各部角加速度算出手段36による各脚体2の大腿
部9及び下腿部11の角加速度のデータと床反力作用点
推定手段37による床反力作用点の推定位置のデータと
前記脚体姿勢算出手段29による各脚体2の大腿部9及
び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータと
を用いて各脚体2の膝関節10及び股関節8にそれぞれ
作用するモーメントを推定する関節モーメント推定手段
39とを備えている。
【0050】次に、上述の演算処理装置16の各手段の
より詳細な処理内容と併せて、本実施形態の作動を説明
する。
【0051】本実施形態では、例えば人間1が歩行等の
脚体2の運動を行うに際して、両脚体2,2を着床させ
た状態で演算処理装置16の図示しない電源スイッチを
投入すると、該演算処理装置16による処理が所定のサ
イクルタイム毎に以下に説明するように逐次実行され、
各脚体2に作用する床反力の推定値等が逐次求められ
る。
【0052】すなわち、まず、演算処理装置16は、前
記脚体運動判断手段25の処理を実行する。この脚体運
動判断手段25の処理では、前記サイクルタイム毎に、
前記腰部上下加速度センサ21による腰部3の上向き方
向の加速度の検出データがあらかじめ定めた所定の閾値
と比較される。そして、該加速度の検出値がその閾値を
超えたときに、前記図1(b)に示したような両脚支持
状態が開始し、且つ、前記図1(a)に示したような単
脚支持状態が終了すると判断される。すなわち、人間1
の歩行時に、単脚支持状態から両脚支持状態への移行の
際には、遊脚側の脚体2が着床することで、股関節8の
近傍の腰部3には、ほぼ上向きに比較的大きな加速度
(通常的な単脚支持状態では発生し得ない加速度)が発
生する。このため、前記脚体運動判断手段25は、上記
のように腰部上下加速度センサ21による腰部3の上向
き方向の加速度の検出データを所定の閾値と比較するこ
とで、両脚支持状態の開始及び単脚支持状態の終了を判
断する。
【0053】また、脚体運動判断手段25の処理では、
両脚支持状態で床反力推定手段38により後述するよう
に求められた両脚体2,2のそれぞれに作用する床反力
Ff,Fr(図1(b)参照)の推定値のうち、人間1の
進行方向に対して後側の脚体2に係る床反力Fr=T(Fr
x,Frz)の推定値(詳しくは演算処理装置16の前回の
サイクルタイムで求められた床反力Frの絶対値=√(F
rx2+Frz2))があらかじめ定めた所定の閾値(略「0」
の正の値)と比較される。そして、該床反力Frの推定
値の絶対値がその閾値以下に低下したときに、両脚支持
状態が終了し、且つ単脚支持状態が開始すると判断され
る。尚、本実施形態では、脚体2の運動状態の初期状態
は、両脚支持状態であり、いずれか一方の脚体2に係る
床反力の推定値が上記閾値以下に低下するまでは、脚体
運動判断手段25は、脚体2の運動状態が両脚支持状態
であると判断する。
【0054】上述のような脚体運動判断手段25の処理
と並行して、演算処理装置16は、前記胸部傾斜角度計
測手段26及び腰部傾斜角度計測手段27による処理を
実行する。この場合、胸部傾斜角度計測手段26の処理
では、胸部前後加速度センサ15及び胸部ジャイロセン
サ14からそれぞれ入力される胸部4の前後方向の加速
度、胸部4の角速度の検出データから、所謂カルマンフ
ィルタの処理を用いた公知の手法により、絶対座標系C
fにおける胸部4の傾斜角度θaが前記サイクルタイム毎
に逐次求められる。同様に、腰部傾斜角度計測手段27
の処理では、腰部前後加速度センサ20及び腰部ジャイ
ロセンサ19からそれぞれ入力される腰部3の前後方向
の加速度、腰部3の角速度の検出データから、カルマン
フィルタの処理を用いて絶対座標系Cfにおける腰部3
の傾斜角度θbが逐次求められる。ここで、絶対座標系
Cfにおける胸部4及び腰部3のそれぞれの傾斜角度θ
a,θbは、本実施形態では例えば鉛直方向(重力方向)
に対する傾斜角度である。
【0055】尚、例えばジャイロセンサ14,19によ
る角速度の検出データを積分することで、胸部4や腰部
3の傾斜角度を求めることも可能であるが、本実施形態
のようにカルマンフィルタの処理を用いることで、胸部
4や腰部3の傾斜角度θa,θbを精度よく計測すること
ができる。
【0056】次に、演算処理装置16は、前記脚体姿勢
算出手段29の処理と前記基準加速度計測手段28の処
理とを実行する。
【0057】前記脚体姿勢算出手段29による処理で
は、絶対座標系Cfにおける各脚体2の大腿部9及び下
腿部11の傾斜角度θc,θd(鉛直方向に対する傾斜角
度。図2参照)が前記サイクルタイム毎に次のように求
められる。すなわち、各脚体2の大腿部9の傾斜角度θ
cは、その脚体2に装着されている前記股関節角度セン
サ22による股関節8の屈曲角度Δθcの検出データの
今回値と、前記腰部傾斜角度計測手段25により求めら
れた腰部3の傾斜角度θbの今回値とから次式(6)に
より算出される。
【0058】θc=θb+Δθc ……(6)
【0059】ここで、腰部3の傾斜角度θbは、該腰部
3の上端部が下端部よりも人間1の前方側に突き出るよ
うに該腰部3が鉛直方向に対して傾斜している場合に負
の値となるものであり、股関節8の屈曲角度Δθcは、
大腿部9の下端部が人間1の前方側に突き出るように大
腿部9が腰部3の軸心に対して傾斜している場合に正の
値となるものである。
【0060】さらに、各脚体2の下腿部11の傾斜角度
θdは、上記のように求められた大腿部9の傾斜角度θc
の今回値と、該脚体2に装着されている前記膝関節角度
センサ23による膝関節10の屈曲角度Δθdの検出デ
ータの今回値とから次式(7)により算出される。
【0061】θd=θc−Δθd ……(7)
【0062】ここで、膝関節10の屈曲角度は、下腿部
11が大腿部9の軸心に対して該大腿部9の背面側に傾
斜している場合に正の値となるものである。
【0063】また、前記基準加速度計測手段28の処理
では、前記身体座標系Cpの原点Oの絶対座標系Cfにお
ける加速度a0T(a0x,a0z)が次のように求められ
る。すなわち、前記腰部前後加速度センサ20による腰
部3の前後方向の加速度の検出データの今回値をap、前
記腰部上下加速度センサ21による腰部3の上下方向の
加速度の検出データの今回値をaqとすると、それらの検
出データap,aqと、前記腰部傾斜角度計測手段27によ
り求められた腰部3の傾斜角度θbの今回値とから、次
式(8)により絶対座標系Cfにおける加速度a0T(a0
x,a0z)が求められる。
【0064】 a0T(a0x,a0z) =T(ap・cosθb−aq・sinθb,ap・sinθb+aq・cosθb−g) ……(8)
【0065】次に、演算処理装置16は、前記各部重心
位置算出手段30の処理を実行し、以下に説明する剛体
リンクモデルを用いて、前記身体座標系Cpにおける人
間1の各剛体相当部の重心の位置(身体座標系Cpの原
点に対する位置)を求める。
【0066】図5に示すように、本実施形態で用いる剛
体リンクモデルRは、人間1を、各脚体2の大腿部9に
相当する剛体R1,R1と、下腿部11に相当する剛体R2,
R2と、腰部3に相当する剛体R3と、前記胸部4、腕体
7,7及び頭部6を合わせた部分(以下、上体部とい
う)40に相当する剛体R4とを連結してなるものとして
表現するモデルである。この場合、各剛体R1と剛体R3と
の連結部、並びに、各剛体R1と剛体R2との連結部がそれ
ぞれ股関節8、膝関節10に相当する。また、剛体R3と
剛体R4との連結部は腰部3に対する胸部4の傾動支点部
41である。
【0067】そして、本実施形態では、このような剛体
リンクモデルRの各剛体R1〜R4に対応する人間1の剛体
相当部(各脚体2の大腿部9及び下腿部11、腰部3、
上体部40)のそれぞれの重心G1、G2、G3、G4の各剛体
相当部における位置があらかじめ求められ、演算処理装
置16の図示しないメモリに記憶されている。
【0068】ここで、演算処理装置16に記憶保持して
いる各剛体相当部の重心G 1、G2、G3、G4の位置は、各
剛体相当部に対して固定した座標系での位置である。こ
の場合、各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置を表
すデータとして、例えば、各剛体相当部の一端部の関節
の中心点から該剛体相当部の軸心方向の距離が用いられ
る。具体的には、例えば図4に示すように、各大腿部9
の重心G1の位置は、該大腿部9の股関節8の中心から大
腿部9の軸心方向に距離d1の位置、各下腿部11の重
心G2の位置は、該下腿部11の膝関節10の中心から下
腿部11の軸心方向に距離d2の位置として表され、そ
れらの距離d1,d2の値があらかじめ求められて演算処
理装置16に記憶保持されている。他の剛体相当部の重
心、G3、G4の位置についても同様である。
【0069】尚、上体部40の重心G4の位置は、厳密に
は、該上体部40に含まれる腕体7,7の動きの影響を
受けるが、歩行時における各腕体7,7は、一般に胸部
4の軸心に対して対称的な位置関係になるので、上体部
40の重心G4の位置はさほど変動せず、例えば直立姿勢
状態における上体部40の重心G4の位置とほぼ同一とな
る。
【0070】また、本実施形態では、各剛体相当部(各
脚体2の大腿部9及び下腿部11、腰部3、上体部4
0)の重心G1、G2、G3、G4の位置を表すデータの他、各
剛体相当部の重量のデータや、各剛体相当部のサイズの
データ(例えば各剛体相当部の長さのデータ)があらか
じめ求められて、演算処理装置16に記憶保持されてい
る。
【0071】尚、下腿部11の重量は、足平部13を含
めた重量である。また、上述のように演算処理装置16
にあらかじめ記憶保持したデータは、実測等により求め
ておいてもよいが、人間1の身長や体重から、人間の平
均的な統計データに基づいて推測するようにしてもよ
い。一般に、上記各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G 4
の位置や、重量、サイズは、人間の身長や体重と相関性
があり、その相関データに基づいて、人間の身長及び体
重のデータから、上記各剛体相当部の重心G1、G2、G3、
G4の位置や、重量、サイズを比較的精度よく推測するこ
とが可能である。
【0072】前記各部重心位置算出手段30は、上述の
ように演算処理装置16にあらかじめ記憶保持したデー
タと、前記胸部傾斜角度計測手段26及び腰部傾斜角度
計測手段27によりそれぞれ求められた胸部4の傾斜角
度θa(=上体部39の傾斜角度)及び腰部3の傾斜角
度θbの今回値と、前記脚体姿勢算出手段29により求
められた各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれ
の傾斜角度θc,θdの今回値とから、腰部3に固定され
た原点Oを有する身体座標系Cp(図5のxz座標)で
の各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置を求める。
【0073】この場合、各剛体相当部(各脚体2の大腿
部9及び下腿部11、腰部3、上体部40)の傾斜角度
θa〜θdが上述のように求められているので、その傾斜
角度θa〜θdのデータと、各剛体相当部のサイズのデ
ータとから身体座標系Cpにおける各剛体相当部の位置
及び姿勢が判る。従って、身体座標系Cpにおける各剛体
相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置が求められることと
なる。
【0074】具体的には、例えば図5を参照して、同図
5の左側に位置する脚体2に関し、大腿部9の身体座標
系Cpにおける傾斜角度(z軸方向に対する傾斜角度)
はθc(この場合、図5ではθc<0である)であるの
で、身体座標系Cpにおける大腿部9の重心G1の位置の
座標は、(d1・sinθc,−d1・cosθc)となる。ま
た、下腿部11の身体座標系Cpにおける傾斜角度はθd
(図5ではθd<0)であるので、身体座標系Cpにおけ
る下腿部11の重心G2の位置の座標は、大腿部9の長さ
をDcとすると、(Dc・sinθc+d2・sinθd,−Dc・
cosθc−d2・cosθd)となる。他の脚体2の大腿部9
及び下腿部11並びに、腰部3及び上体部40の重心に
ついても上記と同様に求められる。
【0075】このようにして、各部重心位置算出手段3
0により、身体座標系Cpにおける各剛体相当部の重心G
1、G2、G3、G4の位置を求めた後、演算処理装置16
は、前記身体重心位置算出手段31の処理実行し、各剛
体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置のデータと、各剛
体相当部の重量のデータとを用いて身体座標系Cpにお
ける人間1の身体重心G0の位置(xg,zg)を求める。
【0076】ここで、身体座標系Cpにおける腰部3の
重心G3の位置及び重量をそれぞれ(x3,z3)、m3、上体
部40の重心G4の位置及び重量をそれぞれ(x4,z4)、
m4、人間1の前方に向かって左側の脚体2の大腿部9の
重心G1の位置及び重量をそれぞれ(x1L,z1L)、m1L、
同脚体2の下腿部11の重心G2の位置及び重量をそれぞ
れ(x2L,z2L)、m2L、右側の脚体2の大腿部9の重心G
1の位置及び重量をそれぞれ(x1R,z1R)、m1R、同脚体
2の下腿部11の重心G2の位置及び重量をそれぞれ(x2
R,z2R)、m2R、人間1の体重をM(=m1L+m2L+m1R+
m2R+m3+m4)とすると、身体座標系Cpにおける人間1
の身体重心G0の位置(xg,zg)は次式(9)により求め
られる。
【0077】 xg=(m1L・x1L+m1R・x1R+m2L・x2L+m2R・x2R +m3・x3+m4・x4)/M zg=(m1L・z1L+m1R・z1R+m2L・z2L+m2R・z2R +m3・z3+m4・z4)/M ……(9)
【0078】このようにして身体重心位置算出手段31
の処理を実行した後、さらに、演算処理装置16は、前
記身体重心加速度算出手段34の処理と、前記足首位置
算出手段32の処理と、前記MP高さ算出手段33の処
理とを実行する。
【0079】この場合、身体重心加速度算出手段34の
処理では、まず、前記サイクルタイム毎に身体重心位置
算出手段30により求められる身体座標系Cpにおける
身体重心G0の位置(xg,zg)の時系列データを用いて、
身体座標系Cpにおける身体重心G0の位置(xg,zg)の
2階微分値、すなわち、身体座標系Cpの原点Oに対す
る身体重心G0の加速度T(d2xg/dt2,d2zg/dt2)が求め
られる。そして、この加速度T(d2xg/dt2,d2zg/dt2)
と、前記基準加速度計測手段27により求められた身体
座標系Cpの原点Oの絶対座標系Cfにおける加速度a0
T(a0x,a0z)とのベクトル和を求めることにより、絶対
座標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,az)が
求められる。
【0080】また、前記足首位置算出手段32の処理で
は、まず、前記脚体姿勢算出手段29により求められた
各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角
度θc,θdのデータの今回値と、前記腰部傾斜角度計測
手段27により求められた腰部3の傾斜角度θbのデー
タの今回値と、該大腿部9及び下腿部11のサイズ(長
さ)のデータとから、前記各部重心位置算出手段30の
処理と同様の処理によって、前記身体座標系Cpにおけ
る各脚体2の足首部12の位置が求められる。具体的に
は、図5を参照して、同図5の左側に位置する脚体2に
関し、下腿部11の長さ(膝関節10の中心から足首部
12までの長さ)をDdとすると、身体座標系Cpにおけ
る足首部12の位置の座標(x12,z12)は、(Dc・sin
θc+Dd・sinθd,−Dc・cosθc−Dd・cosθd)とな
る(但し、図4ではθc<0、θd<0)。他方の脚体2
についても同様である。
【0081】そして、この足首部12の身体座標系Cp
における位置(x12,z12)と前記身体重心位置算出手段
31により求められた身体座標系Cpにおける身体重心G
0の位置(xg,zg)のデータの今回値とから、身体重心
G0に対する各脚体2の足首部12の位置ベクトルT(x12
−xg,z12−zg)、すなわち、前記式(5)におけるΔ
Xf,ΔZf,ΔXr,ΔZrが求められる。
【0082】また、前記MP高さ算出手段33の処理で
は、前記足平部加速度センサ24の検出データを用い、
図3を参照して先に説明したように、各脚体2の足平部
13の床面に対する傾斜角度θを算出して、この傾斜角
度θからMP高さHを求める。尚、履き物等に加速度セ
ンサ24に代えてジャイロセンサを装備し、このジャイ
ロセンサの検出データから足平部13の傾斜角度θを算
出してMP高さHを求めるようにしても良く、更には、
履き物等に光学式距離センサを装備して、MP高さHを
直接的に計測することも可能である。
【0083】次に、演算処理手段16は、前記床反力推
定手段38の処理を次のように実行する。すなわち、こ
の処理では、人間1の体重M及び重力加速度gの値(こ
れらはあらかじめ演算処理装置16に記憶されている)
と、前記身体重心加速度算出手段34により求められた
絶対座標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,
az)の今回値とから、前記式(2)により、全床反力F
T(Fx,Fz)の推定値が各サイクルタイム毎に逐次求
められる。この場合、前記脚体運動判断手段25により
今回のサイクルタイムで判断された脚体2の運動状態が
単脚支持状態であれば、上記全床反力F=T(Fx,Fz)
の推定値がそのまま接地している単一の脚体2に作用す
る床反力の推定値として求められることになる。尚、こ
の場合、非接地側の脚体2(遊脚側の脚体2)に作用す
る床反力は、T(0,0)である。
【0084】また、脚体運動判断手段25により今回の
サイクルタイムで判断された脚体2の運動状態が両脚支
持状態である場合には、先ず、人間1の進行方向に向か
って後側に存する後側脚体2に作用する床反力Frの鉛
直方向成分Frzと人間1の進行方向に向かって前側に存
する前側脚体2のMP高さHとの間に成立する相関関係
に基づいて、前記MP高さ算出手段33により求めた前
側脚体2のMP高さHのデータを用いて後側脚体2に作
用する床反力Frの鉛直方向成分Frzの推定値が求めら
れる。
【0085】ここで、上記相関関係について詳述する。
本願発明者は、鋭意努力の結果、通常歩行時において前
側脚体2の足平部13の踵が着床してからつま先が着床
するまでの各時点における前側脚体2のMP高さをH
(t)、後側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分を
Frz(t)とし、前側脚体2の踵着床時における前側脚
体2のMP高さをH0、後側脚体2に作用する床反力の
鉛直方向成分をFrz0とすると、H0に対するH(t)
の比(MP高さ比=H(t)/H0)とFrz0に対する
Frz(t)の比(反力比=Frz(t)/Frz0)との間
には図6に示す相関関係が成立することを知見するに至
った。そこで、本実施形態では、図6の相関関係がデー
タテーブルや、これら相関関係を近似する多項式関数の
形態で演算処理装置16に予め記憶されている。そし
て、前記脚体運動判断手段25で両脚支持状態が開始さ
れたと判別された時点での前側脚体2のMP高さと全床
反力の鉛直方向成分とを上記H0と上記Frz0とし、前
記MP高さ算出手段33により求めた前側脚体2のMP
高さのデータから図6の相関関係に基づいて後側脚体2
に作用する床反力の鉛直方向成分Frzの推定値が逐次求
められる。すなわち、各時点でのMP高さ比に対応する
反力比にFrz0を乗算することで各時点におけるFrzの
推定値が求められる。次に、このFrzの推定値を各サイ
クルタイムで求めた全床反力の鉛直方向成分Fzの推定
値から減算することにより、前側脚体2に作用する床反
力の鉛直方向成分Ffz(=Fz−Frz)の推定値が逐次
求められる。これにより両脚支持状態における両脚体
2,2のそれぞれの床反力の鉛直方向成分Frz,Ffzが
逐次求められることとなる。更に、前記足首位置算出手
段32で求めたΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZrを前記式
(5)に代入して、前側脚体2に作用する床反力の進行
方向成分Ffxの推定値と、後側脚体2に作用する床反力
の進行方向成分Frxの推定値とが求められる。
【0086】また、演算処理装置16は、上述の処理と
並行して、前記脚体各部加速度算出手段35、脚体各部
角加速度算出手段36、床反力作用点推定手段37の処
理を実行する。
【0087】この場合、前記脚体各部加速度算出手段3
5の処理では、前記身体重心加速度算出手段34の処理
と同様、まず、前記サイクルタイム毎に前記各部重心位
置算出手段30により求められる身体座標系Cpにおけ
る各脚体2の剛体相当部である大腿部9及び下腿部11
の重心G1,G2の位置のそれぞれの時系列データを用い
て、身体座標系Cpにおける大腿部9及び下腿部11の
重心G1,G2の位置のそれぞれの2階微分値、すなわち、
身体座標系Cpにおける大腿部9及び下腿部11の重心G
1,G2のそれぞれの加速度(身体座標系Cpの原点Oに対
する加速度)が求められる。そして、このそれぞれの加
速度と、前記基準加速度計測手段28による腰部3の絶
対座標系Cfにおける加速度a0T(a0x,a0z)とのベク
トル和を求めることにより、絶対座標系Cfにおける大
腿部9及び下腿部11のそれぞれの加速度(より詳しく
は、該加速度の絶対座標系Cfにおける座標成分)が求
められる。
【0088】また、前記脚体各部角加速度算出手段36
の処理では、前記サイクルタイム毎に前記脚体姿勢算出
手段29により求められる各脚体2の大腿部9及び下腿
部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdの時系列データを
用いて、該大腿部9及び下腿部11のそれぞれ傾斜角度
θc,θdの2階微分値、すなわち、大腿部9及び下腿部
11のそれぞれの角加速度が求められる。
【0089】また、床反力作用点推定手段37の処理で
は、接地している脚体2について、例えば前記脚体姿勢
算出手段29により算出された大腿部9の傾斜角度θc
の今回値から、図7及び図8に示すようにあらかじめ定
められた相関データに基づいて該脚体2の足首部12か
ら、該脚体2の足平部13の床反力作用点(足平部13
の接地箇所に作用する全床反力が集中するとみなせる
点)へのベクトル(足首部12に対する床反力作用点の
位置ベクトル。以下、床反力作用点ベクトルという)を
該床反力作用点の位置を表すデータとして求める。
【0090】すなわち、本願発明者等の知見によれば、
接地している脚体2の大腿部9や下腿部11の傾斜角度
θc,θdは、床反力作用点と比較的顕著な相関性を有
し、例えば大腿部9の傾斜角度θcに対して、前記床反
力作用点ベクトル、詳しくは、人間1の進行方向(X軸
方向)における該床反力作用点ベクトルの成分と、鉛直
方向(Z軸方向)における該床反力作用点ベクトルの成
分は、それぞれ図7、図8に示すように変化する。ここ
で、大腿部9の負の傾斜角度θcは、脚体2が人間1の
後側に延びているとき(例えば図2の人間1の前方に向
かって右側の脚体2)の傾斜角度であり、正の傾斜角度
θcは、脚体2が人間1の前側に存するとき(例えば図
2の人間1の前方に向かって左側の脚体2)の傾斜角度
である。
【0091】そこで、本実施形態では、図7及び図8の
相関データがあらかじめデータテーブルや、それらの相
関データをそれぞれ近似する多項式関数の形態で、演算
処理装置16にあらかじめ記憶保持されている。そし
て、前記床反力作用点推定手段37の処理では、前記脚
体姿勢算出手段29により算出された大腿部9の傾斜角
度θcの今回値から、上記の相関データに基づいて、前
記床反力作用点ベクトル(詳しくは該床反力作用点ベク
トルのX軸方向、Z軸方向の成分)が求められる。
【0092】尚、床反力作用点の位置は、接地している
脚体2の大腿部9と下腿部11の相対角度(膝関節10
の屈曲角度)との相関性もあり、大腿部9の傾斜角度θ
cの代わりに、上記相対角度から、床反力作用点の位置
を推定するようにしてもよく、あるいは、大腿部9の傾
斜角度θc及び上記相対角度の両者を用いて、マップ等
により床反力作用点の位置を推定するようにしてもよ
い。
【0093】次に、演算処理装置16は、前記関節モー
メント推定手段39の処理を実行して、各脚体2の膝関
節10及び股関節8に作用するモーメントを求める。こ
の処理は、前記床反力推定手段38、脚体各部加速度算
出手段35、脚体各部角加速度算出手段36、床反力作
用点推定手段37、及び脚体姿勢算出手段29によりそ
れぞれ求められたデータの今回値を用いて、所謂逆動力
学モデルに基づいて行われる。この逆動力学モデルは、
人間1の各剛体相当部の並進運動に関する運動方程式と
回転運動に関する運動方程式とを用いて、床反力作用点
により近い関節から順番に該関節に作用するモーメント
を求めるものであり、本実施形態では、各脚体2の膝関
節10、股関節8に作用するモーメントが順番に求めら
れる。
【0094】さらに詳細には、図9を参照して、まず、
各脚体2の下腿部11に関し、下腿部11の先端部の足
首部12に作用する力(関節反力)、下腿部11の膝関
節10の部分に作用する力(関節反力)、及び下腿部1
1の重心G2の並進加速度を、それぞれ絶対座標系Cfに
おける成分表記によって、T(F1x,F1z)、T(F2x,F 2
z)、T(a2x,a2z)とし、該下腿部11の重量をm2とす
る。このとき、下腿部11の重心G2の並進運動に関する
運動方程式は、次式(10)となる。
【0095】 T(m2・a2x,m2・a2z)=T(F1x−F2x,F1z−F2z−m2・g) ゆえに、T(F2x,F2z)=T(F1x−m2・a2x,F1z−m2・a2z−m2・g) ……(10)
【0096】ここで、下腿部11の重心G2の加速度T(a2
x,a2z)は、前記脚体各部加速度算出手段35により求
められるものである。また、下腿部11の先端部の足首
部12に作用する関節反力T(F1x,F1z)は、近似的に
は、該下腿部11を有する脚体2について前記床反力推
定手段38により求められる床反力の推定値に等しい。
より詳しくは、単脚支持状態において、該脚体2が接地
しているときには、関節反力T(F1x,F1z)は、前記式
(2)により求められる全床反力T(Fx,Fz)であり、該
脚体2が遊脚側の脚体であるときには、T(F1x,F1z)
T(0,0)である。また、両脚支持状態において、該
脚体2が人間1の進行方向前方に向かって後側の脚体で
あるときには、関節反力T(F1x,F1z)は前記後側脚体
の床反力T(Frx,Frz)であり、該脚体2が前側の脚体で
あるときには、前記前側脚体の床反力T(Ffx,Ffz)であ
る。
【0097】従って、各脚体2の膝関節10に作用する
関節反力T(F2x,F2z)は、脚体各部加速度算出手段3
5により求められた下腿部11の重心G2の加速度T(a
2x,a2z)のデータと、床反力推定手段38により求めら
れる床反力(=T(F1x,F1z))のデータと、下腿部1
1のあらかじめ求められた重量m2のデータと、重力加速
度gの値とから、上記式(10)により求められる。
【0098】また、図9を参照して、下腿部11の先端
部の足首部12に作用するモーメントをM1、下腿部1
1の膝関節10の部分に作用するモーメントをM2、下
腿部11の重心G2の回りの慣性モーメントをIG2、下腿
部11の重心G2の回りの角加速度をα2とする。また、
前記図4に対応させて、下腿部11の重心G2と膝関節1
0の中心との間の距離をd2、下腿部11の重心G2と足首
部12との間の距離をd2’(=Dd−d2)とすると、下腿
部11の重心G2の回りの回転運動に関する運動方程式
は、次式(11)となる。
【0099】 IG2・α2=M1−M2+F1x・d2’・cosθd−F1z・d2’・sinθd +F2x・d2・cosθd−F2z・d2・sinθd ゆえに M2=M1−IG2・α2+F1x・d2’・cosθd−F1z・d2’・sinθd +F2x・d2・cosθd−F2z・d2・sinθd ……(11)
【0100】ここで、式(11)中のM1は、同式(1
1)に係わる下腿部11を有する脚体2について前記床
反力作用点推定手段37により求められる床反力作用点
ベクトルと、該脚体2について前記床反力推定手段38
により求められる床反力ベクトルとの外積(ベクトル
積)として得られるモーメントである。また、α2は、
前記脚体各部角加速度算出手段34により求められる下
腿部11の角加速度である。また、θdは前記脚体姿勢
算出手段29により求められる下腿部11の傾斜角度で
ある。また、T(F1x,F1z)は、前述の通り、床反力推
定手段38により求められる床反力の推定値である。さ
らに、T(F2x,F2z)は、前記式(10)により求められ
るものである。また、慣性モーメントIG2は下腿部11
の重量m2やサイズのデータ等と共に、あらかじめ求めら
れて演算処理装置16に記憶されるものである。
【0101】従って、膝関節10に作用するモーメント
M2は、床反力推定手段38による床反力の推定値のデー
タと、床反力作用点推定手段37による床反力作用点ベ
クトルのデータと、脚体各部角加速度算出手段36によ
る下腿部11の角加速度α2のデータと、脚体姿勢算出
手段29による下腿部11の傾斜角度θdのデータと、
前記式(10)により求められた関節反力T(F2x,F2z)
のデータと、あらかじめ求めた下腿部11の慣性モーメ
ントIG2、サイズ(Dd)、重心G2の位置(d2)のデータと
から前記式(11)により求められる。
【0102】関節モーメント推定手段39は、上記のよ
うにして下腿部11の膝関節10の部分に作用するモー
メントM2を求めた後、その算出処理と同様の処理によっ
て、大腿部9の股関節8の部分に作用するモーメントを
求める。この処理の基本的な考え方は、膝関節10のモ
ーメントM2を求める手法と同一であるので、詳細な図示
及び説明は省略するが、その概要は次の通りである。
【0103】すなわち、まず、大腿部9の重心G1(図5
参照)の並進運動に関する運動方程式に基づく次式(1
2)(前記式(10)と同じ形の式)により、大腿部9
の股関節8の部分に作用する関節反力T(F3x,F3z)が求
められる。
【0104】 T(F3x,F3z)=T(F2x−m1・a1x,F2z−m1・a1z−m1・g) ……(12)
【0105】ここで、T(F2x,F2z)は、先に前記式
(10)により求めた膝関節10の関節反力である。ま
た、T(a1x,a1z)は、前記脚体各部加速度算出手段35
により求められる大腿部9の重心G1の絶対座標系Cfに
おける加速度(並進加速度)である。また、m1はあらか
じめ求めた大腿部9の重量、gは重力加速度である。
【0106】次いで、大腿部9の重心G1の回りの回転運
動に関する運動方程式に基づく次式(13)(前記式
(11)と同じ形の式)により、大腿部9の股関節8の
部分に作用するモーメントM3が求められる。
【0107】 M3=M2−IG1・α1+F2x・d1’・cosθc−F2z・d1’・sinθc +F3x・d1・cosθc−F3z・d1・sinθc ……(13)
【0108】ここで、M2は、前記式(11)により求め
られた膝関節10のモーメント、T(F2x,F2z)は、前
記式(10)により求められた膝関節10の関節反力、
T(F3x,F3z)は、前記式(12)により求められた股
関節8の関節反力、IG1は、あらかじめ求めた大腿部9
の重心G1の回りの慣性モーメント、α1は前記脚体各部
角加速度算出手段36により求められる大腿部9の角加
速度、θcは前記脚体姿勢算出手段29により求められ
る大腿部9の傾斜角度である。また、d1は、股関節8の
中心から大腿部9の重心G1までの距離(図5参照)、d
1’は、膝関節10の中心から大腿部9の重心G1までの
距離(図5ではDc−d1)であり、これらは、あらかじめ
求めた重心G1の位置や大腿部9のサイズ(長さ)から定
まるものである。
【0109】以上説明した処理が、前記演算処理装置1
6のサイクルタイム毎に逐次実行され、各脚体2に作用
する床反力や、各脚体2の膝関節10及び股関節8に作
用するモーメントが逐次リアルタイムで推定される。
【0110】尚、本明細書での詳細な説明は省略する
が、求められた膝関節10や股関節8のモーメントの推
定値は、例えば人間1の歩行を補助する装置(膝関節1
0や股関節8に補助トルクを付与可能な電動モータ等を
含む装置)の制御に用いられる。
【0111】前述した演算処理装置16の処理により求
められた床反力の推定値(詳しくは、該床反力の推定値
の絶対値)の経時変化の様子を図10に実線で例示す
る。また、演算処理装置16の処理により求められた膝
関節10及び股関節8のモーメントの推定値の経時変化
の様子を図11に実線で例示する。ここで、図10及び
図11は、人間1が平地をほぼ一定速度で歩行した場合
の例示である。この場合、図10では、フォースメータ
等を用いて床反力を実測した比較例(床反力の真値に相
当するもの)が仮想線で併記されている。また、図11
ではトルクメータ等を用いて膝関節10及び股関節8の
モーメントを実測した比較例(膝関節10及び股関節8
のモーメントの真値に相当するもの)が仮想線で併記さ
れている。
【0112】図10を参照して明らかなように、本実施
形態によれば精度のよい床反力の推定値が得られている
ことが判る。また、本実施形態ではこの床反力の推定値
を用いることによって、図11に示されるように、膝関
節10や股関節8のモーメントも比較的精度よく推定す
ることができる。
【0113】以上のように、本実施形態によれば、脚体
2に人間1の歩行の邪魔となったり、脚体2の運動に負
担がかかるようなセンサを装着したりすることなく、股
関節8や股関節8に装着した角度センサ22,23や、
胴体5に装備したジャイロセンサ14,19及び加速度
センサ15,20,21や、履き物等に装備する加速度
センサ24というような比較的小型で軽量なセンサを用
いて各脚体2に作用する床反力や、各脚体2の股関節8
及び膝関節10に作用するモーメントをリアルタイムで
容易に推定することができる。
【0114】また、前記実施形態では、本発明を人間1
に適用した場合を例にとって説明したが、二足歩行移動
体としての二足歩行ロボットにも本発明を適用すること
ができる。ここで、二足歩行ロボットでは、腰部と胸部
とが一体的な構造となっている場合があるが、この場合
には、ジャイロセンサや前後方向の加速度センサを腰部
及び胸部のいずれか一方だけに取り付けて、床反力や脚
体の関節のモーメントを本実施形態と同様に推定するよ
うにすることも可能である。また、二足歩行ロボットで
は、股関節や膝関節の屈曲角度は、それらの関節のアク
チュエータに対する制御装置の制御量により把握するよ
うにすることも可能である。
【0115】また、前記実施形態では、脚体2の運動状
態を判断するために、腰部上下加速度センサ21の検出
データをそのまま用いたが、該検出データの代わりに、
例えば前記基準加速度計測手段28により求められる絶
対座標系Cfでの腰部3の加速度a0の鉛直方向(Z軸方
向)の成分の値を用いるようにしても良い。
【0116】ところで、前記実施形態では、両脚支持状
態における前側と後側の各脚体2に作用する床反力の進
行方向成分Ffx,Frxの推定値を上記先願と同様の手法
で求めるようにしたが、後側脚体に作用する床反力の進
行方向成分の、両脚支持状態の経過時間及び二足歩行移
動体の移動速度に対する変化の特性を表すものとしてあ
らかじめ定めた特性データに基づき、後側脚体に作用す
る床反力の進行方向成分Frxの推定値を逐次求めると共
に、このFrxを全床反力の進行方向成分Fxの推定値か
ら差し引くことにより、前側脚体に作用する床反力の進
行方向成分Ffxの推定値を逐次求めることも可能であ
る。
【0117】以下、このような手法で各脚体2に作用す
る床反力の進行方向成分Ffx,Frxの推定値を求める第
2の実施形態について説明する。第2実施形態では、演
算処理装置16に、図12に示す如く、前記第1実施形
態の足首位置算出手段32に代えて、脚体運動判断手段
25により両脚支持状態の開始(単脚支持状態の終了)
が把握される毎に、その両脚支持状態の開始時からの経
過時間を計時する計時手段42と、脚体運動判断手段2
5により両脚支持状態の開始(単脚支持状態の終了)が
把握される毎に、前記脚体姿勢算出手段29による各脚
体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θ
c,θdのデータと前記計時手段42の計時データとを用
いて人間1の移動速度を推定する移動速度推定手段43
と、この移動速度推定手段43により求められた移動速
度のデータから両脚支持状態の開始時から終了時までの
時間(両脚支持状態の継続時間。以下、両脚支持期間と
いう)を推定する両脚支持期間推定手段44とを設け
る。
【0118】そして、脚体運動判断手段25の処理で
は、第1実施形態のものと同様に腰部上下加速度センサ
21による腰部3の上向き方向の加速度の検出データに
基づいて両脚支持状態の開始が把握されると、該両脚支
持状態の開始時点から前記計時手段42により計測され
る経過時間が、該両脚支持状態の開始時点で前記両脚支
持期間推定手段44により後述するように求められる両
脚支持期間(両脚支持状態の開始時から終了時までの該
両脚支持状態の継続時間)の推定値に達したか否かがサ
イクルタイム毎に逐次監視される。そして、脚体運動判
断手段25は、該経過時間が両脚支持期間の推定値に達
した時に、両脚支持状態が終了し、且つ、単脚支持状態
が開始すると判断する。
【0119】このように脚体運動判断手段25の処理が
実行され、また、脚体姿勢算出手段29による処理が第
1実施形態のものと同様に実行された後、演算処理装置
16は、前記移動速度推定手段43の処理及び両脚支持
期間推定手段44の処理を順次実行する。
【0120】移動速度推定手段43による処理は次のよ
うに行われる。すなわち、図13を参照して、人間1の
歩行時に、時刻t1において実線で示す人間1の前側の脚
体2(図では人間1の前方に向かって右側の脚体2)が
着床して両脚支持状態が開始し、時刻t2において仮想線
示の人間1で表すように、次の両脚支持状態が開始した
場合(時刻t1で人間1の後側の脚体2が離床後に時刻t2
で着床した場合)を想定する。このとき、時刻t1から時
刻t2までの人間1の移動距離Lは、絶対座標系CfのX
軸方向(人間1の進行方向)における腰部3の股関節8
の中心の移動距離(これは、本実施形態では、身体座標
系Cpの原点OのX軸方向の移動量に等しい)である。
【0121】そして、この移動距離Lは、時刻t1におけ
る股関節8の中心から人間1の前側の脚体2の足首部1
2までのX軸方向の距離ΔL1と、時刻t2における股関節
8の中心から人間1の後側の脚体2(これは時刻t1で人
間1の前側にあった脚体2である)の足首部12までの
X軸方向の距離ΔL2との総和にほぼ一致する。
【0122】従って、上記距離ΔL1,ΔL2と、時刻t1か
ら時刻t2までの経過時間(t2−t1)、すなわち、両脚支
持状態が開始してから次に両脚支持状態が開始するまで
の1歩分の経過時間を把握することによって、それらの
距離ΔL1,ΔL2と、該1歩分経過時間(t2−t1)とを用
いて次式(14)により時刻t1からt2までの人間1の移
動速度V(時刻t1から時刻t2までの平均移動速度)を求
めることができる。
【0123】 V=L/(t2−t1)=(ΔL1+ΔL2)/(t2−t1) ……(14)
【0124】そこで、前記移動速度推定手段43の処理
では、前記脚体運動判断手段25により両脚支持状態が
開始したことが把握される毎に、人間1の前側の脚体2
に係わる上記距離ΔL1と、後側の脚体2に係わる上記距
離ΔL2とが以下に説明するように求められ、それらの距
離ΔL1,ΔL2の算出値が記憶保持される。そして、今回
の両脚支持状態の開始時に求められた後側の脚体2に係
わる距離ΔL2と、前回の両脚支持状態の開始時に求めら
れた前側の脚体2に係わる距離ΔL1と、前回の両脚支持
状態の開始時から今回の両脚支持状態の開始時までに前
記計時手段42により計測された時間(=t2−t1)とか
ら前記式(14)により人間1の移動速度Vを求める。
【0125】この場合、上記距離ΔL1,ΔL2は次によう
に求められる。すなわち、両脚支持状態の開始時におけ
る人間1の前側の脚体2については、該両脚支持状態の
開始時(脚体運動判断手段25により両脚支持状態の開
始が把握されたサイクルタイム)に前記脚体姿勢算出手
段29により求められる大腿部9及び下腿部11のそれ
ぞれの傾斜角度をθc1、θd1(図13の時刻t1の図を参
照)とする。このとき、該脚体2に係わる距離ΔL1は、
これらの傾斜角度θc1,θd1(θc1>0,θd1>0)の
データと、大腿部9及び下腿部11のそれぞれの長さD
c,Ddのデータとを用いて、次式(15)により算出さ
れる。
【0126】 ΔL1=Dc・sinθc1+Dd・sinθd1 ……(15)
【0127】同様に、両脚支持状態の開始時における人
間1の後側の脚体2については、該両脚支持状態の開始
時に前記脚体姿勢算出手段29により求められる大腿部
9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度をθc2、θd2
(図13の時刻t2の図を参照)とすると、該脚体2に係
わる距離ΔL2は、これらの傾斜角度θc2,θd2(θc2<
0,θd2<0)のデータと、大腿部9及び下腿部11の
それぞれの長さDc,Ddのデータとを用いて、次式(1
6)により算出される。
【0128】 ΔL2=−Dc・sinθc2−Dd・sinθd2 ……(16)
【0129】以上説明した移動速度推定手段43の処理
によって、両脚支持状態が開始する毎に、人間1の移動
速度V(詳しくは、両脚支持状態が開始する直前の1歩
における移動速度)が推定される。尚、両脚支持状態が
開始してから次に両脚支持状態が開始するまでの期間に
おける各サイクルタイムでは、移動速度Vの推定値は一
定に維持される。
【0130】また、両脚支持期間推定手段44の処理は
次のように行われる。本願発明者等の知見によれば、人
間1の歩行時の両脚支持状態の継続期間である両脚支持
期間は、人間1の移動速度Vと密接な相関性を有する。
すなわち、人間1の歩行時の両脚支持期間は、移動速度
Vに対して図14に示すように変化し、該移動速度Vが
速くなる程、短くなる。
【0131】そこで、第2実施形態では、図14の相関
データがあらかじめデータテーブルや、それを近似する
多項式関数の形態で、演算処理装置16にあらかじめ記
憶保持されている。そして、前記両脚支持期間推定手段
44の処理では、両脚支持状態の開始時に、移動速度推
定手段36により前述のように求められた移動速度Vの
最新値から、図14の相関データに基づいて該両脚支持
状態に係わる両脚支持期間の推定値を求める。尚、該両
脚支持期間の推定値は、次回の両脚支持状態が開始する
まで維持される。
【0132】床反力推定手段38の処理では、第1実施
形態と同様に身体重心加速度算出手段34により求めら
れた身体重心G0の加速度T(ax,az)のデータと、人間
1の重量Mのデータとから、前記式(2)により、全床
反力F=T(Fx,Fz)の推定値が前記サイクルイタイム
毎に逐次求められる。この場合、脚体運動判断手段25
により把握されている脚体2の運動状態が単脚支持状態
である場合には、上記全床反力F=T(Fx,Fz)の推定
値がそのまま接地している単一の脚体2に作用する床反
力の推定値として求められることとなる。
【0133】一方、脚体運動判断手段25により把握さ
れている脚体2の運動状態が両脚支持状態である場合に
は、床反力推定手段38は、図6の相関関係に基づき、
第1実施形態と同様に後側脚体2に作用する床反力の鉛
直方向成分Frzの推定値を前側脚体2のMP高さHを用
いて求め、このFrzを全床反力の鉛直方向成分Fzから
差し引いて、前側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成
分Ffzの推定値を求める。
【0134】また、前側と後側の各脚体2に作用する床
反力の進行方向成分Ffx,Frxの推定値は以下の如く求
められる。すなわち、本願発明者等の知見によれば、両
脚支持状態で後側脚体2に作用する床反力の進行方向成
分Frxの、該両脚支持状態の開始時における全床反力の
進行方向成分Fxに対する割合(以下、床反力比とい
う)と、該両脚支持状態の開始時からの経過時間の前記
両脚支持期間に対する割合(=経過時間/両脚支持期
間。以下、両脚支持時間比とい)との関係に着目したと
き、それらの間には特徴的な相関性があり、この相関性
は、人間1の移動速度V等の影響をほとんど受けない。
【0135】具体的には、後側脚体2に作用する床反力
の進行方向成分成分Frxの、両脚支持状態の開始時にお
ける全床反力の進行方向成分Fx(以下、参照符号Fxs
により表す)に対する割合である床反力比Frx/Fxs
は、人間1の移動速度V等によらずに、前記両脚支持時
間比に対して図15に示すようなほぼ一定の相関関係を
有し、両脚支持状態の時間の経過に伴い、一旦、「1」
から増加した後、「0」まで減少していく。
【0136】そこで、第2実施形態では、図15の相関
データ(特性データ)があらかじめデータテーブルや、
それらの相関データをそれぞれ近似する多項式関数の形
態で、演算処理装置16にあらかじめ記憶保持されてい
る。そして、計時手段42による経過時間の計時データ
の今回値と、両脚支持期間推定手段44により求められ
た両脚支持期間の推定値のデータの最新値とから前記両
脚支持時間比が前記サイクルタイム毎に逐次求められ
る。そして、この求めた両脚支持時間比のデータから図
15の相関データに基づいて、床反力比Frx/Fxsが逐
次求められ、この床反力比Frx/Fxsに両脚支持状態の
開始時の全床反力の進行方向成分Fxsを乗算することに
より、後側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Frx
の推定値が求められ、このFrxを全床反力の進行方向成
分Fxから差し引くことにより前側脚体2に作用する床
反力の進行方向成分Ffxの推定値が求められる。
【0137】このようにして各脚体2に作用する床反力
Fr=T(Frx,Frz),Ff=T(Ffx,Ffz)を求めた後、
関節モーメント推定手段39での処理により、第1実施
形態と同様に各脚体2の膝関節10及び股関節8に作用
するモーメントが逐次リアルタイムで推定される。
【0138】尚、履き物等に検出方向をX軸方向とした
一軸型の力センサを装備して、両脚支持状態における前
側と後側の各脚体2に作用する床反力の進行方向成分F
fx,Frxを力センサにより計測することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】先願の床反力推定方法の基本的原理を説明する
ための図。
【図2】本発明の一実施形態における二足歩行移動体と
しての人間と該人間に装備する装置構成を模式化して示
す図。
【図3】足平部の特定部位の床面からの位置(MP高
さ)の計測原理を説明するための図。
【図4】図2の装置に備える演算処理装置の機能を説明
するためのブロック図。
【図5】図3の演算処理装置の処理に用いる剛体リンク
モデルを示す図。
【図6】前側脚体のMP高さと後側脚体に作用する床反
力の鉛直方向成分との相関関係を示す線図。
【図7】大腿部の傾斜角度と床反力作用点ベクトルの進
行方向成分との相関関係を示す線図。
【図8】大腿部の傾斜角度と床反力作用点ベクトルの鉛
直方向成分との相関関係を示す線図。
【図9】関節モーメントの計測原理を説明するための
図。
【図10】本発明の実施形態により求められた床反力の
推定値の経時変化の様子を例示するグラフ。
【図11】本発明の実施形態により求められた膝関節及
び股関節のモーメントの推定値の経時変化の様子を例示
するグラフ。
【図12】本発明の第2の実施形態における演算処理装
置の機能を説明するためのブロック図。
【図13】移動速度の推定原理を説明するための図。
【図14】移動速度と両脚支持期間との相関関係をしめ
す線図。
【図15】両脚支持時間比と後側脚体に作用する床反力
の進行方向成分との相関関係を示す線図。
【符号の説明】
1…人間(二足歩行移動体)、2…脚体、13…足平
部、13b…中足趾節関節(特定部位)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F051 AB06 BA08 DA01 3C007 CS08 KS21 KS23 KS24 KX02 MT00 WA03 WA13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二足歩行移動体の運動状態が該二足歩行移
    動体の両脚体が接地している両脚支持状態であるときの
    各脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定する方法
    であって、 前記二足歩行移動体の重心の位置を逐次求めつつ、該重
    心の位置の時系列データを用いて床に対して固定された
    絶対座標系での該重心の加速度を逐次求める第1ステッ
    プと、前記二足歩行移動体の重量と重力加速度と前記重
    心の加速度と各脚体に作用する床反力の合力である全床
    反力とにより表される該重心の運動方程式に基づき、該
    全床反力の推定値を逐次求める第2ステップと、前記両
    脚支持状態において両脚体のうち少なくとも前記二足歩
    行移動体の進行方向に向かって前側に存する前側脚体の
    足平部のあらかじめ定めた特定部位の床面からの位置を
    逐次求める第3ステップとを備え、 前記両脚支持状態であるときには、両脚体のうち該二足
    歩行移動体の進行方向に向かって後側に存する後側脚体
    に作用する床反力の鉛直方向成分と、前側脚体の足平部
    の前記特定部位の床面からの位置との間に成立する所定
    の相関関係に基づき、前記第3ステップで求めた前側脚
    体の足平部の前記特定部位の床面からの位置を用いて後
    側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次
    求め、その求めた後側脚体の床反力の鉛直方向成分の推
    定値を前記第2ステップで求めた全床反力の鉛直方向成
    分の推定値から差し引くことにより、前側脚体に作用す
    る床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次求めることを特
    徴とする二足歩行移動体の床反力推定方法。
  2. 【請求項2】前記足平部の特定部位は、中足趾節関節で
    あることを特徴とする請求項1記載の二足歩行移動体の
    床反力推定方法。
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