JP4130739B2 - 二足歩行移動体の床反力推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間や二足歩行ロボット等の二足歩行移動体の脚体に作用する床反力、特に、二足歩行移動体の運動状態が該二足歩行移動体の両脚体が接地している両脚支持状態であるときの各脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば人間の歩行動作を補助する歩行アシスト装置の動作制御や、二足歩行ロボットの移動動作の制御を行なう場合、人間や二足歩行ロボットの脚体に作用する床反力(詳しくは、脚体の接地部に床から作用する力)を逐次把握することが必要となる。この床反力を把握することで、二足歩行移動体の脚体の関節に作用するモーメント等を把握することが可能となり、その把握されたモーメント等に基づいて歩行アシスト装置の目標補助力や、二足歩行ロボット各関節の目標駆動トルク等を決定することが可能となる。
【0003】
前記床反力を把握する手法としては、例えば特開2000-249570号公報に開示されているものが知られている。この技術では、二足歩行移動体の定常的な歩行時に各脚体の床反力の経時変化の波形が周期的に変化することから、各脚体の床反力を、歩行周期の1/n(n=1,2,…)の互いに異なる周期を有する複数の三角関数の合成値(一次結合)として把握するものである。この場合、複数の三角関数を合成する際の各三角関数の重み係数は、二足歩行移動体毎にあらかじめ定めた所定値やそれを地形に応じて調整した値が用いられている。
【0004】
しかしながら、かかる技術では、二足歩行移動体の一歩分もしくは複数歩分について脚体の床反力を把握しようとするものであるため、二足歩行移動体の歩容が逐次変化するような場合には、床反力を精度よく把握することは困難である。また、把握される床反力の精度を高めるためには、前記三角関数の重み係数を二足歩行移動体毎に設定したり、地形等に応じて調整したりしなければならないので、二足歩行移動体の移動環境や二足歩行移動体の個体差の影響を少なくして、床反力を精度よく把握するようにすることが困難である。
【0005】
また、例えば二足歩行ロボットにおいては、各脚体の足首部や足平部に6軸力センサ等の力センサを取り付け、この力センサの出力により床反力を把握するものも知られている。さらに、床に設置したフォースプレート上で二足歩行移動体を歩行させ、該フォースプレートの出力により床反力を把握する手法も知られている。
【0006】
しかしながら、力センサを用いる技術では、特に人間の脚体の床反力を把握しようとする場合には、人間の足首部や足平部に力センサを取り付けなければならないため、通常的な生活環境下では、該力センサが歩行の邪魔になってしまうという不都合がある。また、フォースプレートを用いるものでは、該フォースプレートが設置された環境下でしか床反力を把握できない。
【0007】
かかる不具合を解消するため、本願出願人は、先に、特願2001-214174号により以下の床反力推定方法を提案している。この方法の原理を図1を参照して説明する。二足歩行移動体の運動状態(歩行動作時の脚体の運動状態)は、図1(a)に例示するように二足歩行移動体1の両脚体2,2のうちの一方の脚体2(図では進行方向で前側の脚体)のみが接地する単脚支持状態と、図1(b)に示すように両脚体2,2が接地する両脚支持状態とがある。
【0008】
ここで、両脚体2,2に床Aから作用する全床反力をFとおくと、該全床反力Fは、図1(a)の単脚支持状態では、接地している脚体2に作用する床反力に等しく、また、図1(b)の両脚支持状態では、両脚体2,2にそれぞれ作用する床反力Ff,Frの合力である。また、二足歩行移動体1が運動を行う床Aに対して固定した絶対座標系Cfにおける二足歩行移動体1の重心G0の加速度aのX軸方向(二足歩行移動体2の進行方向での水平方向)、Z軸方向(鉛直方向)の成分をそれぞれax,az、二足歩行移動体1に作用する全床反力FのX軸方向、Z軸方向の成分をそれぞれFx,Fzとおくと、重心G0の運動方程式(詳しくは、重心G0の並進運動に関する運動方程式)は、次式(1)により表される。
【0009】
T(Fx,Fz−M・g)=M・T(ax,az) ……(1)
(但し、M:二足歩行移動体の重量、g:重力加速度)
尚、式(1)中の両辺の括弧部分T( , )は2成分のベクトルを意味している。本明細書ではT( , )という形の表記は、ベクトルを表す。
【0010】
つまり、重心G0の運動方程式は、該重心G0の加速度aと二足歩行移動体1の重量Mとの積が、該重心G0に作用する重力(=M・g)と、前記全床反力Fとの合力に等しいという関係式になる。
【0011】
従って、二足歩行移動体1の重心G0の加速度a=T(ax,az)を把握すれば、その加速度aと、二足歩行移動体1の重量Mの値と、重力加速度gの値とを用いて、次式(2)により、全床反力F=T(Fx,Fz)の推定値を得ることができることとなる。
【0012】
T(Fx,Fz)=M・T(ax,az+g) ……(2)
【0013】
そして、図1(a)の単脚支持状態では、接地している単一の脚体2に作用する床反力は、上記全床反力Fに等しいので、式(2)によりその単一の脚体2に作用する床反力Fの推定値が得られることとなる。
【0014】
この場合、床反力Fの推定値を得るために必要な重量Mは、あらかじめ計測等により把握することができる。また、重心G0の位置や加速度aについては、詳細は後述するが、二足歩行移動体1の各関節の屈曲角度(回転角度)を検出するセンサや、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサの出力を用いて公知の手法等により逐次把握することが可能である。
【0015】
また、図1(b)の両脚支持状態では、前側脚体2の床反力FfのX軸方向、Z軸方向の成分をそれぞれFfx,Ffz、後側脚体2の床反力FrのX軸方向、Z軸方向の成分をそれぞれFrx,Frzとして、全床反力FのX軸方向、Z軸方向の成分Fx,FzはそれぞれFfx+Frx,Ffz+Frzになり、重心G0の運動方程式は、次式(3)により表される。
【0016】
T(Ffx+Frx,Ffz+Frz−M・g)=M・T(ax,az) ……(3)
【0017】
ここで、両脚支持状態において、各脚体2,2の床反力Ff,Frは、図1(b)に示すように、各脚体2,2の下端部近傍の特定部位12f,12r(例えば足首部)から二足歩行移動体1の重心G0に向かって作用すると仮定する。この場合、前記重心G0に対する各脚体2,2の前記特定部位12f,12rの位置と、各脚体2,2に作用する床反力Ff,Frとの間には一定の関係式、すなわち、前記重心G0と各脚体2,2の特定部位12f,12rとを結ぶ線分の向き(該重心G0に対する該特定部位12f,12rの位置ベクトルの向き)が該脚体2,2に係る床反力Ff,Frの向きに等しいという関係を表す関係式が成立する。
【0018】
具体的には、図1(b)を参照して、前記絶対座標系Cfにおける重心G0の位置の座標を(Xg,Zg)、前側脚体2の特定部位12fの位置の座標を(Xf,Zf)、後側脚体2の特定部位12rの位置の座標を(Xr,Zr)とおくと、上記の関係式は次式(4)となる。
【0019】
(Zf−Zg)/(Xf−Xg)=Ffz/Ffx
(Zr−Zg)/(Xr−Xg)=Frz/Frx……(4)
【0020】
そして、この式(4)と前記式(3)から次式(5)(5’)が得られる。
【0021】
Ffx=M・{ΔXf・(ΔZr・ax−ΔXr・az
−ΔXr・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf)
Frx=M・{ΔXr・(−ΔZf・ax+ΔXf・az
+ΔXf・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf) ……(5)
Ffz=M・{ΔZf・(ΔZr・ax−ΔXr・az
−ΔXr・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf)
Frz=M・{ΔZr・(−ΔZf・ax+ΔXf・az
+ΔXf・g)}/(ΔXf・ΔZr−ΔXr・ΔZf)……(5’)
(但し、ΔZf=Xf−Xg,ΔZf=Zf−Zg,
ΔXr=Xr−Xg,ΔZr=Zr−Zg)
【0022】
従って、二足歩行移動体1の重心G0の加速度a=T(ax,az)を把握すると共に、二足歩行移動体1の重心G0に対する各脚体2,2のそれぞれの特定部位12f,12rの位置(これは式(5)(5’)ではΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZrにより表される)を把握すれば、その加速度a及び特定部位12f,12rの位置と、二足歩行移動体1の重量Mの値と、重力加速度gの値とを用いて、前記式(5)(5’)により、各脚体2毎の床反力Ff=T(Ffx,Ffz)、Fr=T(Frx,Frz)の推定値を得ることができることとなる。
【0023】
この場合、床反力Ff,Frの推定値を得るために必要な重量Mは、あらかじめ計測等により把握することができる。また、重心G0の加速度aや重心G0の位置、該重心G0に対する前記特定部位12f,12rの位置については、詳細は後述するが、二足歩行移動体1の各関節の屈曲角度(回転角度)を検出するセンサや、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサの出力を用いて、公知の手法等により逐次把握することが可能である。
【0024】
然し、上記先願の方法で求めた両脚支持状態における各脚体の床反力の鉛直方向成分Ffz,Frzの推定値は必ずしも満足できる精度ではないことが判明した。これは、各脚体2,2の床反力Ff,Frが各脚体2,2の特定部位12f,12rから二足歩行移動体1の重心G0に向かって作用するとは限らないためである。そして、二足歩行移動体1の重量の影響で大きな値になる床反力の鉛直方向成分の推定値は進行方向成分に比し誤差が大きくなる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑み、比較的簡単な手法で両脚支持状態における各脚体の床反力の鉛直方向成分を精度よくリアルタイムで把握することができ、特に二足歩行移動体としての人間に係る床反力を把握する上で好適な床反力推定方法を提供することを課題としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の二足歩行移動体の床反力推定方法、すなわち、二足歩行移動体の運動状態が該二足歩行移動体の両脚体が接地している両脚支持状態であるときの各脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定する方法は、上記課題を解決するため、二足歩行移動体の重心の位置を逐次求めつつ、該重心の位置の時系列データを用いて床に対して固定された絶対座標系での該重心の加速度を逐次求める第1ステップと、二足歩行移動体の重量と重力加速度と前記重心の加速度と各脚体に作用する床反力の合力である全床反力とにより表される該重心の運動方程式に基づき、該全床反力の推定値を逐次求める第2ステップと、前記両脚支持状態において両脚体のうち少なくとも二足歩行移動体の進行方向に向かって前側に存する前側脚体の足平部のあらかじめ定めた特定部位の床面からの位置を逐次求める第3ステップとを備え、前記両脚支持状態であるときには、両脚体のうち該二足歩行移動体の進行方向に向かって後側に存する後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分と、前側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの位置との間に成立する所定の相関関係に基づき、前記第3ステップで求めた前側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの位置を用いて後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次求め、その求めた後側脚体の床反力の鉛直方向成分の推定値を前記第2ステップで求めた全床反力の鉛直方向成分の推定値から差し引くことにより、前側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次求めることを特徴とする。
【0027】
本願発明者は、鋭意努力の結果、両脚支持状態において後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分は、前側脚体の足平部の踵が着床して両脚支持状態に移行してから、前側脚体の足平部の特定部位(例えば中足趾節関節)の床面からの位置変化に対して顕著な相関性を持って変化することを知見するに至った。従って、後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分と前側脚体の足平部の特定部位の床面からの位置との間に成立する相関関係を各種実験やシミュレーション等であらかじめ調べておけば、その相関関係に基づいて、本発明のように前側脚体の足平部の特定部位の床面からの位置を用いて後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定することができる。そして、後側脚体に作用する床反力と前側脚体に作用する床反力の合力が全床反力であるので、この全床反力の鉛直方向成分の推定値から、上記相関関係に基づいて求められる後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を差し引くことにより、前側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を求めることができる。
【0028】
尚、後側と前側の各脚体に作用する床反力の進行方向成分の推定値は、適宜の手法、例えば、上記先願と同様に上記式(5)から求めればよい。
【0029】
ここで、本発明における全床反力の推定値は上記先願と同様の手法で求められる。そして、この全床反力の推定値を求めるために必要な二足歩行移動体の重量は、あらかじめ計測等により把握しておけばよい。また、二足歩行移動体の重心の位置や加速度は、二足歩行移動体の各関節の屈曲角度(回転角度)を検出するセンサ(ポテンショメータ等)や、加速度センサ、ジャイロセンサ等、比較的小型で二足歩行移動体への装備が容易なセンサの出力のデータを用いてリアルタイムで把握することが可能であり、足平部の特定部位の床面からの位置も、履き物等に傾斜測定用の簡易な加速度センサ等を装備しておくことによりリアルタイムで把握することが可能である。
【0030】
従って、本発明の床反力推定方法によれば、二足歩行移動体の足首部や足平部に力センサを装着したり、フォースプレートを使用したりすることなく、比較的簡単な手法で床反力をリアルタイムで把握することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図2〜図9を参照して説明する。
【0032】
本実施形態は、二足歩行移動体としての人間に本発明の床反力推定方法を適用した実施形態である。
【0033】
図2に模式化して示すように、人間1は、その構成を大別すると、左右一対の脚体2,2と、腰部3及び胸部4からなる胴体5と、頭部6と、左右一対の腕体7,7とを有する。胴体5は、その腰部3が脚体2,2のそれぞれに左右一対の股関節8,8を介して連結され、両脚体2,2上に支持されている。また、胴体5の胸部4は、腰部3の上側に該腰部3に対して人間1の前方側に傾斜可能に存している。そして、この胸部4の上部の左右両側部から腕体7,7が延設され、該胸部4の上端部に頭部6が支持されている。
【0034】
各脚体2,2は、股関節8から延在する大腿部9と、該大腿部9の先端から膝関節10を介して延在する下腿部11とを有し、下腿部11の先端部に、足首部(足首関節)12を介して足平部13が連結されている。
【0035】
本実施形態では、このような構成を有する人間1の各脚体2に作用する床反力の推定、さらには膝関節10及び股関節8に作用するモーメントの推定を行うために、次のような装置を人間1に装備している。
【0036】
すなわち、胴体5の胸部4には、胸部4の傾斜に伴う角速度に応じた出力を発生するジャイロセンサ14(以下、胸部ジャイロセンサ14という)と、胸部4の前後方向の加速度に応じた出力を発生する加速度センサ15(以下、胸部前後加速度センサ15という)と、CPU、RAM、ROM等から構成される演算処理装置16と、該演算処理装置16等の電源となるバッテリ17とが装着されている。この場合、これらの胸部ジャイロセンサ14、胸部前後加速度センサ15、演算処理装置16及びバッテリ17は、例えば胸部4に図示しないベルト等を介して固定されるショルダーバッグ状の収容部材18に収容され、該収容部材18を介して胸部4に一体的に固定されている。
【0037】
尚、胸部加速度センサ15の出力が表す加速度は、より詳しくは、胸部4の水平断面方向(胸部4の軸心と直交する方向)での前後方向の加速度であり、人間1が平地に直立姿勢で起立した状態では、前後水平方向(図2の絶対座標系のX軸方向)での加速度であるが、腰部3あるいは胸部4が鉛直方向(図2の絶対座標系のZ軸方向)から傾斜した状態では、胸部4の鉛直方向に対する傾斜角度分だけ水平方向に対して傾斜した方向での加速度となる。
【0038】
また、胴体5の腰部3には、腰部3の傾斜に伴う角速度に応じた出力を発生するジャイロセンサ19(以下、腰部ジャイロセンサ19という)と、腰部3の前後方向の加速度に応じた出力を発生する加速度センサ20(以下、腰部前後加速度センサ20という)と、腰部3の上下方向の加速度に応じた出力を発生する加速度センサ21(以下、腰部上下加速度センサ21という)とが、図示しないベルト等の固定手段を介して一体的に装着・固定されている。
【0039】
ここで、腰部前後加速度センサ20は、より詳しくは胸部前後加速度センサ15と同様、腰部3の水平断面方向(腰部3の軸心と直交する方向)での前後方向の加速度を検出するセンサである。また、腰部上下加速度センサ21は、より詳しくは、腰部3の軸心方向での上下方向の加速度(これは腰部前後加速度センサ20が検出する加速度と直交する)を検出するセンサである。尚、腰部前後加速度センサ20及び腰部上下加速度センサ21は、二軸型の加速度センサにより一体的に構成されたものであってもよい。
【0040】
さらに各脚体2の股関節8と膝関節10とには、それぞれの屈曲角度Δθc,Δθdに応じた出力を発生する膝関節角度センサ22及び股関節角度センサ23が装着されている。尚、股関節角度センサ22については、図2では手前側(人間1の前方に向かって右側)の脚体2の股関節8に係わる股関節角度センサ22のみが図示されているが、他方側(人間1の前方に向かって左側)の脚体2の股関節8には、手前側の股関節角度センサ22と同心に、股関節角度センサ22が装着されている。
【0041】
これらの角度センサ22,23は、例えばポテンショメータにより構成されたものであり、各脚体2に図示しないバンド部材等の手段を介して装着されている。ここで、各股関節角度センサ22が検出する屈曲角度Δθcは、より詳しくは、腰部3と各脚体2の大腿部9との姿勢関係が所定の姿勢関係(例えば人間1の直立姿勢状態のように腰部3の軸心と大腿部9の軸心とがほぼ平行となる姿勢関係)にあるときを基準とした、腰部3に対する各脚体2の大腿部9の股関節8回り(人間1の左右方向における股関節8の軸心回り)の回転角度である。同様に、各膝関節角度センサ23が検出する屈曲角度Δθdは、各脚体2の大腿部9と下腿部11との姿勢関係が所定の姿勢関係(例えば大腿部9の軸心と下腿部11の軸心とがほぼ平行となる姿勢関係)にあるときを基準とした、大腿部9に対する下腿部11の膝関節10回り(人間1の左右方向における膝関節10の軸心回り)の回転角度である。
【0042】
また、各脚体2の足平部13の特定部位、例えば、中足趾節関節の床面からの位置(以下MP高さと記す)を計測するためのセンサが設けられている。これを図3を参照して詳述するに、足平部13の踵13aから中足趾節関節13bまでは剛体と仮定でき、MP高さHは、踵13aから中足趾節関節13bまでの距離をD、床面に対する足平部13の傾斜角度をθとして、H=Dsinθになる。そして、足平部13の長手方向の加速度を検出する加速度センサ24を履き物等に装備しておけば、この加速度センサ24による計測加速度をgs、重力加速度をgとして、θ=Arcsin(gs/g)の式でθを算出でき、このθを用いてMP高さHを求められる。ここで、両脚支持状態では、人間1の進行方向に向かって前側の脚体2の踵位置は加速せず、加速度センサ24は足平部13の傾斜角度θに応じた加速度を正確に検出する。従って、加速度センサ24により足平部13の傾斜角度θひいてはMP高さHを正確に計測できる。尚、加速度センサ24に作用する接地衝撃を減らすため、加速度センサ24の装備位置は踵から離れたつま先側にすることが望ましい。
【0043】
前記各センサ14,15,19〜24は、それらの出力を演算処理装置16に入力すべく、図示を省略する信号線を介して演算処理装置16に接続されている。
【0044】
前記演算処理装置16は、図4に示すような機能的手段を備えている。すなわち、演算処理装置16は、腰部上下加速度センサ21の検出データと、後述する床反力推定手段38により求められた各脚体2の床反力の推定値のデータとを用いて、人間1の脚体2,2の運動状態が単脚支持状態(図1(a)の状態)であるか、両脚支持状態(図1(b)の状態)であるかを判断する脚体運動判断手段25を備えている。また、演算処理装置16は、胸部前後加速度センサ15及び胸部ジャイロセンサ14の検出データを用いて、胸部4の絶対座標系Cfにおける傾斜角度θa(具体的には例えば鉛直方向に対する傾斜角度θa。図2参照)を計測する胸部傾斜角度計測手段26と、腰部前後加速度センサ20及び腰部ジャイロセンサ19の検出データを用いて、腰部3の絶対座標系Cfにおける傾斜角度θb(具体的には例えば鉛直方向に対する傾斜角度θb。図2参照)を計測する腰部傾斜角度計測手段27とを備えている。
【0045】
さらに、演算処理装置16は、腰部前後加速度センサ20及び腰部上下加速度センサ21の検出データと前記腰部傾斜角度計測手段27により計測された腰部3の傾斜角度θbのデータとを用いて、本実施形態における人間1の基準点として図2に示すように腰部3に設定される身体座標系Cp(図2のxz座標)の原点Oの絶対座標系Cfにおける加速度(並進加速度)a0=T(a0x,a0z)を求める基準加速度計測手段28を備えている。ここで、身体座標系Cpは、より詳しくは、例えば人間1の左右の股関節8,8のそれぞれの中心を結ぶ線の中点を原点Oとし、鉛直方向をz軸方向、人間1の前方に向かう水平方向をx軸方向とした座標系(3軸の方向が前記絶対座標系Cfと同一の座標系)である。
【0046】
また、演算処理装置16は、各脚体2の股関節角度センサ22及び膝関節角度センサ23の検出データと、前記腰部傾斜角度計測手段27による腰部3の傾斜角度θbのデータとを用いて、絶対座標系Cfにおける各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θd(具体的には例えば鉛直方向に対する傾斜角度θc,θd。図2参照)求める脚体姿勢算出手段29を備えている。
【0047】
また、演算処理装置16は、前記胸部傾斜角度計測手段26、腰部傾斜角度計測手段27及び脚体姿勢算出手段29により得られる胸部4の傾斜角度θa、腰部3の傾斜角度θb、並びに各脚体2の大腿部9の傾斜角度θc及び下腿部11の傾斜角度θdのデータを用いて、後述の剛体リンクモデルに対応する人間1の各剛体相当部の重心の位置(詳しくは前記身体座標系Cpにおける各剛体相当部の重心の位置)を求める各部重心位置算出手段30と、その各剛体相当部の重心の位置のデータを用いて、上記身体座標系Cpにおける人間1の全体の重心の位置を求める身体重心位置算出手段31と、その人間1の全体の重心G0(図1参照。以下、身体重心G0という)の位置のデータと前記脚体姿勢算出手段29による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータとを用いて本実施形態における各脚体2の特定部位としての各脚体2の足首部12の身体重心G0に対する位置(詳しくは、前記式(5)におけるΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZr)を求める足首位置算出手段32と、前記足平部加速度センサ24の検出データを用いてMP高さHを求めるMP高さ算出手段33と、前記身体重心位置算出手段31による身体重心の位置のデータと前記基準加速度計測手段27による身体座標系Cpの原点Oの加速度a0のデータとを用いて絶対座標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,az)(図1参照)を求める身体重心加速度算出手段34とを備えている。
【0048】
さらに、演算処理装置16は、前記各部重心位置算出手段30による人間1の各剛体相当部の重心の位置(詳しくは脚体2に係わる剛体相当部の重心の位置)のデータと前記基準加速度計測手段28による身体座標系Cpの原点Oの加速度a0のデータとを用いて絶対座標系Cfにおける各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの重心の加速度(並進加速度)を求める脚体各部加速度算出手段35と、前記脚体姿勢算出手段29による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータを用いて絶対座標系Cfにおける各脚体2,2の大腿部9及び下腿部11の角加速度を求める脚体各部角加速度算出手段36と、前記脚体姿勢算出手段28による各脚体2,2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのうち、例えば大腿部9の傾斜角度θcのデータを用いて接地している各脚体2の床反力作用点の位置を推定する床反力作用点推定手段37とを備えている。
【0049】
また、演算処理装置16は、前記身体重心加速度算出手段34による身体重心の加速度aのデータと前記足首位置算出手段32による足首位置のデータと前記MP高さ算出手段33によるMP高さHのデータと前記脚体運動判断手段25による脚体2の運動状態の判断結果のデータとを用いて各脚体2に作用する床反力の推定値を求める床反力推定手段38と、この床反力の推定値のデータと脚体各部加速度算出手段35による各脚体2の大腿部9及び下腿部11の重心の加速度のデータと脚体各部角加速度算出手段36による各脚体2の大腿部9及び下腿部11の角加速度のデータと床反力作用点推定手段37による床反力作用点の推定位置のデータと前記脚体姿勢算出手段29による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータとを用いて各脚体2の膝関節10及び股関節8にそれぞれ作用するモーメントを推定する関節モーメント推定手段39とを備えている。
【0050】
次に、上述の演算処理装置16の各手段のより詳細な処理内容と併せて、本実施形態の作動を説明する。
【0051】
本実施形態では、例えば人間1が歩行等の脚体2の運動を行うに際して、両脚体2,2を着床させた状態で演算処理装置16の図示しない電源スイッチを投入すると、該演算処理装置16による処理が所定のサイクルタイム毎に以下に説明するように逐次実行され、各脚体2に作用する床反力の推定値等が逐次求められる。
【0052】
すなわち、まず、演算処理装置16は、前記脚体運動判断手段25の処理を実行する。この脚体運動判断手段25の処理では、前記サイクルタイム毎に、前記腰部上下加速度センサ21による腰部3の上向き方向の加速度の検出データがあらかじめ定めた所定の閾値と比較される。そして、該加速度の検出値がその閾値を超えたときに、前記図1(b)に示したような両脚支持状態が開始し、且つ、前記図1(a)に示したような単脚支持状態が終了すると判断される。すなわち、人間1の歩行時に、単脚支持状態から両脚支持状態への移行の際には、遊脚側の脚体2が着床することで、股関節8の近傍の腰部3には、ほぼ上向きに比較的大きな加速度(通常的な単脚支持状態では発生し得ない加速度)が発生する。このため、前記脚体運動判断手段25は、上記のように腰部上下加速度センサ21による腰部3の上向き方向の加速度の検出データを所定の閾値と比較することで、両脚支持状態の開始及び単脚支持状態の終了を判断する。
【0053】
また、脚体運動判断手段25の処理では、両脚支持状態で床反力推定手段38により後述するように求められた両脚体2,2のそれぞれに作用する床反力Ff,Fr(図1(b)参照)の推定値のうち、人間1の進行方向に対して後側の脚体2に係る床反力Fr=T(Frx,Frz)の推定値(詳しくは演算処理装置16の前回のサイクルタイムで求められた床反力Frの絶対値=√(Frx2+Frz2))があらかじめ定めた所定の閾値(略「0」の正の値)と比較される。そして、該床反力Frの推定値の絶対値がその閾値以下に低下したときに、両脚支持状態が終了し、且つ単脚支持状態が開始すると判断される。尚、本実施形態では、脚体2の運動状態の初期状態は、両脚支持状態であり、いずれか一方の脚体2に係る床反力の推定値が上記閾値以下に低下するまでは、脚体運動判断手段25は、脚体2の運動状態が両脚支持状態であると判断する。
【0054】
上述のような脚体運動判断手段25の処理と並行して、演算処理装置16は、前記胸部傾斜角度計測手段26及び腰部傾斜角度計測手段27による処理を実行する。この場合、胸部傾斜角度計測手段26の処理では、胸部前後加速度センサ15及び胸部ジャイロセンサ14からそれぞれ入力される胸部4の前後方向の加速度、胸部4の角速度の検出データから、所謂カルマンフィルタの処理を用いた公知の手法により、絶対座標系Cfにおける胸部4の傾斜角度θaが前記サイクルタイム毎に逐次求められる。同様に、腰部傾斜角度計測手段27の処理では、腰部前後加速度センサ20及び腰部ジャイロセンサ19からそれぞれ入力される腰部3の前後方向の加速度、腰部3の角速度の検出データから、カルマンフィルタの処理を用いて絶対座標系Cfにおける腰部3の傾斜角度θbが逐次求められる。ここで、絶対座標系Cfにおける胸部4及び腰部3のそれぞれの傾斜角度θa,θbは、本実施形態では例えば鉛直方向(重力方向)に対する傾斜角度である。
【0055】
尚、例えばジャイロセンサ14,19による角速度の検出データを積分することで、胸部4や腰部3の傾斜角度を求めることも可能であるが、本実施形態のようにカルマンフィルタの処理を用いることで、胸部4や腰部3の傾斜角度θa,θbを精度よく計測することができる。
【0056】
次に、演算処理装置16は、前記脚体姿勢算出手段29の処理と前記基準加速度計測手段28の処理とを実行する。
【0057】
前記脚体姿勢算出手段29による処理では、絶対座標系Cfにおける各脚体2の大腿部9及び下腿部11の傾斜角度θc,θd(鉛直方向に対する傾斜角度。図2参照)が前記サイクルタイム毎に次のように求められる。すなわち、各脚体2の大腿部9の傾斜角度θcは、その脚体2に装着されている前記股関節角度センサ22による股関節8の屈曲角度Δθcの検出データの今回値と、前記腰部傾斜角度計測手段25により求められた腰部3の傾斜角度θbの今回値とから次式(6)により算出される。
【0058】
θc=θb+Δθc ……(6)
【0059】
ここで、腰部3の傾斜角度θbは、該腰部3の上端部が下端部よりも人間1の前方側に突き出るように該腰部3が鉛直方向に対して傾斜している場合に負の値となるものであり、股関節8の屈曲角度Δθcは、大腿部9の下端部が人間1の前方側に突き出るように大腿部9が腰部3の軸心に対して傾斜している場合に正の値となるものである。
【0060】
さらに、各脚体2の下腿部11の傾斜角度θdは、上記のように求められた大腿部9の傾斜角度θcの今回値と、該脚体2に装着されている前記膝関節角度センサ23による膝関節10の屈曲角度Δθdの検出データの今回値とから次式(7)により算出される。
【0061】
θd=θc−Δθd ……(7)
【0062】
ここで、膝関節10の屈曲角度は、下腿部11が大腿部9の軸心に対して該大腿部9の背面側に傾斜している場合に正の値となるものである。
【0063】
また、前記基準加速度計測手段28の処理では、前記身体座標系Cpの原点Oの絶対座標系Cfにおける加速度a0=T(a0x,a0z)が次のように求められる。すなわち、前記腰部前後加速度センサ20による腰部3の前後方向の加速度の検出データの今回値をap、前記腰部上下加速度センサ21による腰部3の上下方向の加速度の検出データの今回値をaqとすると、それらの検出データap,aqと、前記腰部傾斜角度計測手段27により求められた腰部3の傾斜角度θbの今回値とから、次式(8)により絶対座標系Cfにおける加速度a0=T(a0x,a0z)が求められる。
【0064】
a0=T(a0x,a0z)
=T(ap・cosθb−aq・sinθb,ap・sinθb+aq・cosθb−g)……(8)
【0065】
次に、演算処理装置16は、前記各部重心位置算出手段30の処理を実行し、以下に説明する剛体リンクモデルを用いて、前記身体座標系Cpにおける人間1の各剛体相当部の重心の位置(身体座標系Cpの原点に対する位置)を求める。
【0066】
図5に示すように、本実施形態で用いる剛体リンクモデルRは、人間1を、各脚体2の大腿部9に相当する剛体R1,R1と、下腿部11に相当する剛体R2,R2と、腰部3に相当する剛体R3と、前記胸部4、腕体7,7及び頭部6を合わせた部分(以下、上体部という)40に相当する剛体R4とを連結してなるものとして表現するモデルである。この場合、各剛体R1と剛体R3との連結部、並びに、各剛体R1と剛体R2との連結部がそれぞれ股関節8、膝関節10に相当する。また、剛体R3と剛体R4との連結部は腰部3に対する胸部4の傾動支点部41である。
【0067】
そして、本実施形態では、このような剛体リンクモデルRの各剛体R1〜R4に対応する人間1の剛体相当部(各脚体2の大腿部9及び下腿部11、腰部3、上体部40)のそれぞれの重心G1、G2、G3、G4の各剛体相当部における位置があらかじめ求められ、演算処理装置16の図示しないメモリに記憶されている。
【0068】
ここで、演算処理装置16に記憶保持している各剛体相当部の重心G 1、G2、G3、G4の位置は、各剛体相当部に対して固定した座標系での位置である。この場合、各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置を表すデータとして、例えば、各剛体相当部の一端部の関節の中心点から該剛体相当部の軸心方向の距離が用いられる。具体的には、例えば図4に示すように、各大腿部9の重心G1の位置は、該大腿部9の股関節8の中心から大腿部9の軸心方向に距離d1の位置、各下腿部11の重心G2の位置は、該下腿部11の膝関節10の中心から下腿部11の軸心方向に距離d2の位置として表され、それらの距離d1,d2の値があらかじめ求められて演算処理装置16に記憶保持されている。他の剛体相当部の重心、G3、G4の位置についても同様である。
【0069】
尚、上体部40の重心G4の位置は、厳密には、該上体部40に含まれる腕体7,7の動きの影響を受けるが、歩行時における各腕体7,7は、一般に胸部4の軸心に対して対称的な位置関係になるので、上体部40の重心G4の位置はさほど変動せず、例えば直立姿勢状態における上体部40の重心G4の位置とほぼ同一となる。
【0070】
また、本実施形態では、各剛体相当部(各脚体2の大腿部9及び下腿部11、腰部3、上体部40)の重心G1、G2、G3、G4の位置を表すデータの他、各剛体相当部の重量のデータや、各剛体相当部のサイズのデータ(例えば各剛体相当部の長さのデータ)があらかじめ求められて、演算処理装置16に記憶保持されている。
【0071】
尚、下腿部11の重量は、足平部13を含めた重量である。また、上述のように演算処理装置16にあらかじめ記憶保持したデータは、実測等により求めておいてもよいが、人間1の身長や体重から、人間の平均的な統計データに基づいて推測するようにしてもよい。一般に、上記各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G 4の位置や、重量、サイズは、人間の身長や体重と相関性があり、その相関データに基づいて、人間の身長及び体重のデータから、上記各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置や、重量、サイズを比較的精度よく推測することが可能である。
【0072】
前記各部重心位置算出手段30は、上述のように演算処理装置16にあらかじめ記憶保持したデータと、前記胸部傾斜角度計測手段26及び腰部傾斜角度計測手段27によりそれぞれ求められた胸部4の傾斜角度θa(=上体部39の傾斜角度)及び腰部3の傾斜角度θbの今回値と、前記脚体姿勢算出手段29により求められた各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdの今回値とから、腰部3に固定された原点Oを有する身体座標系Cp(図5のxz座標)での各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置を求める。
【0073】
この場合、各剛体相当部(各脚体2の大腿部9及び下腿部11、腰部3、上体部40)の傾斜角度θa〜θdが上述のように求められているので、その傾斜角度θa〜θdのデータと、各剛体相当部のサイズのデータとから身体座標系Cpにおける各剛体相当部の位置及び姿勢が判る。従って、身体座標系Cpにおける各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置が求められることとなる。
【0074】
具体的には、例えば図5を参照して、同図5の左側に位置する脚体2に関し、大腿部9の身体座標系Cpにおける傾斜角度(z軸方向に対する傾斜角度)はθc(この場合、図5ではθc<0である)であるので、身体座標系Cpにおける大腿部9の重心G1の位置の座標は、(d1・sinθc,−d1・cosθc)となる。また、下腿部11の身体座標系Cpにおける傾斜角度はθd(図5ではθd<0)であるので、身体座標系Cpにおける下腿部11の重心G2の位置の座標は、大腿部9の長さをDcとすると、(Dc・sinθc+d2・sinθd,−Dc・cosθc−d2・cosθd)となる。他の脚体2の大腿部9及び下腿部11並びに、腰部3及び上体部40の重心についても上記と同様に求められる。
【0075】
このようにして、各部重心位置算出手段30により、身体座標系Cpにおける各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置を求めた後、演算処理装置16は、前記身体重心位置算出手段31の処理実行し、各剛体相当部の重心G1、G2、G3、G4の位置のデータと、各剛体相当部の重量のデータとを用いて身体座標系Cpにおける人間1の身体重心G0の位置(xg,zg)を求める。
【0076】
ここで、身体座標系Cpにおける腰部3の重心G3の位置及び重量をそれぞれ(x3,z3)、m3、上体部40の重心G4の位置及び重量をそれぞれ(x4,z4)、m4、人間1の前方に向かって左側の脚体2の大腿部9の重心G1の位置及び重量をそれぞれ(x1L,z1L)、m1L、同脚体2の下腿部11の重心G2の位置及び重量をそれぞれ(x2L,z2L)、m2L、右側の脚体2の大腿部9の重心G1の位置及び重量をそれぞれ(x1R,z1R)、m1R、同脚体2の下腿部11の重心G2の位置及び重量をそれぞれ(x2R,z2R)、m2R、人間1の体重をM(=m1L+m2L+m1R+m2R+m3+m4)とすると、身体座標系Cpにおける人間1の身体重心G0の位置(xg,zg)は次式(9)により求められる。
【0077】
xg=(m1L・x1L+m1R・x1R+m2L・x2L+m2R・x2R
+m3・x3+m4・x4)/M
zg=(m1L・z1L+m1R・z1R+m2L・z2L+m2R・z2R
+m3・z3+m4・z4)/M ……(9)
【0078】
このようにして身体重心位置算出手段31の処理を実行した後、さらに、演算処理装置16は、前記身体重心加速度算出手段34の処理と、前記足首位置算出手段32の処理と、前記MP高さ算出手段33の処理とを実行する。
【0079】
この場合、身体重心加速度算出手段34の処理では、まず、前記サイクルタイム毎に身体重心位置算出手段30により求められる身体座標系Cpにおける身体重心G0の位置(xg,zg)の時系列データを用いて、身体座標系Cpにおける身体重心G0の位置(xg,zg)の2階微分値、すなわち、身体座標系Cpの原点Oに対する身体重心G0の加速度T(d2xg/dt2,d2zg/dt2)が求められる。そして、この加速度T(d2xg/dt2,d2zg/dt2)と、前記基準加速度計測手段27により求められた身体座標系Cpの原点Oの絶対座標系Cfにおける加速度a0=T(a0x,a0z)とのベクトル和を求めることにより、絶対座標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,az)が求められる。
【0080】
また、前記足首位置算出手段32の処理では、まず、前記脚体姿勢算出手段29により求められた各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータの今回値と、前記腰部傾斜角度計測手段27により求められた腰部3の傾斜角度θbのデータの今回値と、該大腿部9及び下腿部11のサイズ(長さ)のデータとから、前記各部重心位置算出手段30の処理と同様の処理によって、前記身体座標系Cpにおける各脚体2の足首部12の位置が求められる。具体的には、図5を参照して、同図5の左側に位置する脚体2に関し、下腿部11の長さ(膝関節10の中心から足首部12までの長さ)をDdとすると、身体座標系Cpにおける足首部12の位置の座標(x12,z12)は、(Dc・sinθc+Dd・sinθd,−Dc・cosθc−Dd・cosθd)となる(但し、図4ではθc<0、θd<0)。他方の脚体2についても同様である。
【0081】
そして、この足首部12の身体座標系Cpにおける位置(x12,z12)と前記身体重心位置算出手段31により求められた身体座標系Cpにおける身体重心G0の位置(xg,zg)のデータの今回値とから、身体重心G0に対する各脚体2の足首部12の位置ベクトルT(x12−xg,z12−zg)、すなわち、前記式(5)におけるΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZrが求められる。
【0082】
また、前記MP高さ算出手段33の処理では、前記足平部加速度センサ24の検出データを用い、図3を参照して先に説明したように、各脚体2の足平部13の床面に対する傾斜角度θを算出して、この傾斜角度θからMP高さHを求める。尚、履き物等に加速度センサ24に代えてジャイロセンサを装備し、このジャイロセンサの検出データから足平部13の傾斜角度θを算出してMP高さHを求めるようにしても良く、更には、履き物等に光学式距離センサを装備して、MP高さHを直接的に計測することも可能である。
【0083】
次に、演算処理手段16は、前記床反力推定手段38の処理を次のように実行する。すなわち、この処理では、人間1の体重M及び重力加速度gの値(これらはあらかじめ演算処理装置16に記憶されている)と、前記身体重心加速度算出手段34により求められた絶対座標系Cfにおける身体重心G0の加速度a=T(ax,az)の今回値とから、前記式(2)により、全床反力F=T(Fx,Fz)の推定値が各サイクルタイム毎に逐次求められる。この場合、前記脚体運動判断手段25により今回のサイクルタイムで判断された脚体2の運動状態が単脚支持状態であれば、上記全床反力F=T(Fx,Fz)の推定値がそのまま接地している単一の脚体2に作用する床反力の推定値として求められることになる。尚、この場合、非接地側の脚体2(遊脚側の脚体2)に作用する床反力は、T(0,0)である。
【0084】
また、脚体運動判断手段25により今回のサイクルタイムで判断された脚体2の運動状態が両脚支持状態である場合には、先ず、人間1の進行方向に向かって後側に存する後側脚体2に作用する床反力Frの鉛直方向成分Frzと人間1の進行方向に向かって前側に存する前側脚体2のMP高さHとの間に成立する相関関係に基づいて、前記MP高さ算出手段33により求めた前側脚体2のMP高さHのデータを用いて後側脚体2に作用する床反力Frの鉛直方向成分Frzの推定値が求められる。
【0085】
ここで、上記相関関係について詳述する。本願発明者は、鋭意努力の結果、通常歩行時において前側脚体2の足平部13の踵が着床してからつま先が着床するまでの各時点における前側脚体2のMP高さをH(t)、後側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分をFrz(t)とし、前側脚体2の踵着床時における前側脚体2のMP高さをH0、後側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分をFrz0とすると、H0に対するH(t)の比(MP高さ比=H(t)/H0)とFrz0に対するFrz(t)の比(反力比=Frz(t)/Frz0)との間には図6に示す相関関係が成立することを知見するに至った。
そこで、本実施形態では、図6の相関関係がデータテーブルや、これら相関関係を近似する多項式関数の形態で演算処理装置16に予め記憶されている。そして、前記脚体運動判断手段25で両脚支持状態が開始されたと判別された時点での前側脚体2のMP高さと全床反力の鉛直方向成分とを上記H0と上記Frz0とし、前記MP高さ算出手段33により求めた前側脚体2のMP高さのデータから図6の相関関係に基づいて後側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分Frzの推定値が逐次求められる。すなわち、各時点でのMP高さ比に対応する反力比にFrz0を乗算することで各時点におけるFrzの推定値が求められる。次に、このFrzの推定値を各サイクルタイムで求めた全床反力の鉛直方向成分Fzの推定値から減算することにより、前側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分Ffz(=Fz−Frz)の推定値が逐次求められる。これにより両脚支持状態における両脚体2,2のそれぞれの床反力の鉛直方向成分Frz,Ffzが逐次求められることとなる。
更に、前記足首位置算出手段32で求めたΔXf,ΔZf,ΔXr,ΔZrを前記式(5)に代入して、前側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffxの推定値と、後側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Frxの推定値とが求められる。
【0086】
また、演算処理装置16は、上述の処理と並行して、前記脚体各部加速度算出手段35、脚体各部角加速度算出手段36、床反力作用点推定手段37の処理を実行する。
【0087】
この場合、前記脚体各部加速度算出手段35の処理では、前記身体重心加速度算出手段34の処理と同様、まず、前記サイクルタイム毎に前記各部重心位置算出手段30により求められる身体座標系Cpにおける各脚体2の剛体相当部である大腿部9及び下腿部11の重心G1,G2の位置のそれぞれの時系列データを用いて、身体座標系Cpにおける大腿部9及び下腿部11の重心G1,G2の位置のそれぞれの2階微分値、すなわち、身体座標系Cpにおける大腿部9及び下腿部11の重心G1,G2のそれぞれの加速度(身体座標系Cpの原点Oに対する加速度)が求められる。そして、このそれぞれの加速度と、前記基準加速度計測手段28による腰部3の絶対座標系Cfにおける加速度a0=T(a0x,a0z)とのベクトル和を求めることにより、絶対座標系Cfにおける大腿部9及び下腿部11のそれぞれの加速度(より詳しくは、該加速度の絶対座標系Cfにおける座標成分)が求められる。
【0088】
また、前記脚体各部角加速度算出手段36の処理では、前記サイクルタイム毎に前記脚体姿勢算出手段29により求められる各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdの時系列データを用いて、該大腿部9及び下腿部11のそれぞれ傾斜角度θc,θdの2階微分値、すなわち、大腿部9及び下腿部11のそれぞれの角加速度が求められる。
【0089】
また、床反力作用点推定手段37の処理では、接地している脚体2について、例えば前記脚体姿勢算出手段29により算出された大腿部9の傾斜角度θcの今回値から、図7及び図8に示すようにあらかじめ定められた相関データに基づいて該脚体2の足首部12から、該脚体2の足平部13の床反力作用点(足平部13の接地箇所に作用する全床反力が集中するとみなせる点)へのベクトル(足首部12に対する床反力作用点の位置ベクトル。以下、床反力作用点ベクトルという)を該床反力作用点の位置を表すデータとして求める。
【0090】
すなわち、本願発明者等の知見によれば、接地している脚体2の大腿部9や下腿部11の傾斜角度θc,θdは、床反力作用点と比較的顕著な相関性を有し、例えば大腿部9の傾斜角度θcに対して、前記床反力作用点ベクトル、詳しくは、人間1の進行方向(X軸方向)における該床反力作用点ベクトルの成分と、鉛直方向(Z軸方向)における該床反力作用点ベクトルの成分は、それぞれ図7、図8に示すように変化する。ここで、大腿部9の負の傾斜角度θcは、脚体2が人間1の後側に延びているとき(例えば図2の人間1の前方に向かって右側の脚体2)の傾斜角度であり、正の傾斜角度θcは、脚体2が人間1の前側に存するとき(例えば図2の人間1の前方に向かって左側の脚体2)の傾斜角度である。
【0091】
そこで、本実施形態では、図7及び図8の相関データがあらかじめデータテーブルや、それらの相関データをそれぞれ近似する多項式関数の形態で、演算処理装置16にあらかじめ記憶保持されている。そして、前記床反力作用点推定手段37の処理では、前記脚体姿勢算出手段29により算出された大腿部9の傾斜角度θcの今回値から、上記の相関データに基づいて、前記床反力作用点ベクトル(詳しくは該床反力作用点ベクトルのX軸方向、Z軸方向の成分)が求められる。
【0092】
尚、床反力作用点の位置は、接地している脚体2の大腿部9と下腿部11の相対角度(膝関節10の屈曲角度)との相関性もあり、大腿部9の傾斜角度θcの代わりに、上記相対角度から、床反力作用点の位置を推定するようにしてもよく、あるいは、大腿部9の傾斜角度θc及び上記相対角度の両者を用いて、マップ等により床反力作用点の位置を推定するようにしてもよい。
【0093】
次に、演算処理装置16は、前記関節モーメント推定手段39の処理を実行して、各脚体2の膝関節10及び股関節8に作用するモーメントを求める。この処理は、前記床反力推定手段38、脚体各部加速度算出手段35、脚体各部角加速度算出手段36、床反力作用点推定手段37、及び脚体姿勢算出手段29によりそれぞれ求められたデータの今回値を用いて、所謂逆動力学モデルに基づいて行われる。この逆動力学モデルは、人間1の各剛体相当部の並進運動に関する運動方程式と回転運動に関する運動方程式とを用いて、床反力作用点により近い関節から順番に該関節に作用するモーメントを求めるものであり、本実施形態では、各脚体2の膝関節10、股関節8に作用するモーメントが順番に求められる。
【0094】
さらに詳細には、図9を参照して、まず、各脚体2の下腿部11に関し、下腿部11の先端部の足首部12に作用する力(関節反力)、下腿部11の膝関節10の部分に作用する力(関節反力)、及び下腿部11の重心G2の並進加速度を、それぞれ絶対座標系Cfにおける成分表記によって、T(F1x,F1z)、T(F2x,F2z)、T(a2x,a2z)とし、該下腿部11の重量をm2とする。このとき、下腿部11の重心G2の並進運動に関する運動方程式は、次式(10)となる。
【0095】
T(m2・a2x,m2・a2z)=T(F1x−F2x,F1z−F2z−m2・g)
ゆえに、T(F2x,F2z)=T(F1x−m2・a2x,F1z−m2・a2z−m2・g)……(10)
【0096】
ここで、下腿部11の重心G2の加速度T(a2x,a2z)は、前記脚体各部加速度算出手段35により求められるものである。また、下腿部11の先端部の足首部12に作用する関節反力T(F1x,F1z)は、近似的には、該下腿部11を有する脚体2について前記床反力推定手段38により求められる床反力の推定値に等しい。より詳しくは、単脚支持状態において、該脚体2が接地しているときには、関節反力T(F1x,F1z)は、前記式(2)により求められる全床反力T(Fx,Fz)であり、該脚体2が遊脚側の脚体であるときには、T(F1x,F1z)=T(0,0)である。また、両脚支持状態において、該脚体2が人間1の進行方向前方に向かって後側の脚体であるときには、関節反力T(F1x,F1z)は前記後側脚体の床反力T(Frx,Frz)であり、該脚体2が前側の脚体であるときには、前記前側脚体の床反力T(Ffx,Ffz)である。
【0097】
従って、各脚体2の膝関節10に作用する関節反力T(F2x,F2z)は、脚体各部加速度算出手段35により求められた下腿部11の重心G2の加速度T(a2x,a2z)のデータと、床反力推定手段38により求められる床反力(=T(F1x,F1z))のデータと、下腿部11のあらかじめ求められた重量m2のデータと、重力加速度gの値とから、上記式(10)により求められる。
【0098】
また、図9を参照して、下腿部11の先端部の足首部12に作用するモーメントをM1、下腿部11の膝関節10の部分に作用するモーメントをM2、下腿部11の重心G2の回りの慣性モーメントをIG2、下腿部11の重心G2の回りの角加速度をα2とする。また、前記図4に対応させて、下腿部11の重心G2と膝関節10の中心との間の距離をd2、下腿部11の重心G2と足首部12との間の距離をd2’(=Dd−d2)とすると、下腿部11の重心G2の回りの回転運動に関する運動方程式は、次式(11)となる。
【0099】
IG2・α2=M1−M2+F1x・d2’・cosθd−F1z・d2’・sinθd
+F2x・d2・cosθd−F2z・d2・sinθd
ゆえに
M2=M1−IG2・α2+F1x・d2’・cosθd−F1z・d2’・sinθd
+F2x・d2・cosθd−F2z・d2・sinθd……(11)
【0100】
ここで、式(11)中のM1は、同式(11)に係わる下腿部11を有する脚体2について前記床反力作用点推定手段37により求められる床反力作用点ベクトルと、該脚体2について前記床反力推定手段38により求められる床反力ベクトルとの外積(ベクトル積)として得られるモーメントである。また、α2は、前記脚体各部角加速度算出手段34により求められる下腿部11の角加速度である。また、θdは前記脚体姿勢算出手段29により求められる下腿部11の傾斜角度である。また、T(F1x,F1z)は、前述の通り、床反力推定手段38により求められる床反力の推定値である。さらに、T(F2x,F2z)は、前記式(10)により求められるものである。また、慣性モーメントIG2は下腿部11の重量m2やサイズのデータ等と共に、あらかじめ求められて演算処理装置16に記憶されるものである。
【0101】
従って、膝関節10に作用するモーメントM2は、床反力推定手段38による床反力の推定値のデータと、床反力作用点推定手段37による床反力作用点ベクトルのデータと、脚体各部角加速度算出手段36による下腿部11の角加速度α2のデータと、脚体姿勢算出手段29による下腿部11の傾斜角度θdのデータと、前記式(10)により求められた関節反力T(F2x,F2z)のデータと、あらかじめ求めた下腿部11の慣性モーメントIG2、サイズ(Dd)、重心G2の位置(d2)のデータとから前記式(11)により求められる。
【0102】
関節モーメント推定手段39は、上記のようにして下腿部11の膝関節10の部分に作用するモーメントM2を求めた後、その算出処理と同様の処理によって、大腿部9の股関節8の部分に作用するモーメントを求める。この処理の基本的な考え方は、膝関節10のモーメントM2を求める手法と同一であるので、詳細な図示及び説明は省略するが、その概要は次の通りである。
【0103】
すなわち、まず、大腿部9の重心G1(図5参照)の並進運動に関する運動方程式に基づく次式(12)(前記式(10)と同じ形の式)により、大腿部9の股関節8の部分に作用する関節反力T(F3x,F3z)が求められる。
【0104】
T(F3x,F3z)=T(F2x−m1・a1x,F2z−m1・a1z−m1・g)……(12)
【0105】
ここで、T(F2x,F2z)は、先に前記式(10)により求めた膝関節10の関節反力である。また、T(a1x,a1z)は、前記脚体各部加速度算出手段35により求められる大腿部9の重心G1の絶対座標系Cfにおける加速度(並進加速度)である。また、m1はあらかじめ求めた大腿部9の重量、gは重力加速度である。
【0106】
次いで、大腿部9の重心G1の回りの回転運動に関する運動方程式に基づく次式(13)(前記式(11)と同じ形の式)により、大腿部9の股関節8の部分に作用するモーメントM3が求められる。
【0107】
M3=M2−IG1・α1+F2x・d1’・cosθc−F2z・d1’・sinθc
+F3x・d1・cosθc−F3z・d1・sinθc……(13)
【0108】
ここで、M2は、前記式(11)により求められた膝関節10のモーメント、T(F2x,F2z)は、前記式(10)により求められた膝関節10の関節反力、T(F3x,F3z)は、前記式(12)により求められた股関節8の関節反力、IG1は、あらかじめ求めた大腿部9の重心G1の回りの慣性モーメント、α1は前記脚体各部角加速度算出手段36により求められる大腿部9の角加速度、θcは前記脚体姿勢算出手段29により求められる大腿部9の傾斜角度である。また、d1は、股関節8の中心から大腿部9の重心G1までの距離(図5参照)、d1’は、膝関節10の中心から大腿部9の重心G1までの距離(図5ではDc−d1)であり、これらは、あらかじめ求めた重心G1の位置や大腿部9のサイズ(長さ)から定まるものである。
【0109】
以上説明した処理が、前記演算処理装置16のサイクルタイム毎に逐次実行され、各脚体2に作用する床反力や、各脚体2の膝関節10及び股関節8に作用するモーメントが逐次リアルタイムで推定される。
【0110】
尚、本明細書での詳細な説明は省略するが、求められた膝関節10や股関節8のモーメントの推定値は、例えば人間1の歩行を補助する装置(膝関節10や股関節8に補助トルクを付与可能な電動モータ等を含む装置)の制御に用いられる。
【0111】
前述した演算処理装置16の処理により求められた床反力の推定値(詳しくは、該床反力の推定値の絶対値)の経時変化の様子を図10に実線で例示する。また、演算処理装置16の処理により求められた膝関節10及び股関節8のモーメントの推定値の経時変化の様子を図11に実線で例示する。ここで、図10及び図11は、人間1が平地をほぼ一定速度で歩行した場合の例示である。この場合、図10では、フォースメータ等を用いて床反力を実測した比較例(床反力の真値に相当するもの)が仮想線で併記されている。また、図11ではトルクメータ等を用いて膝関節10及び股関節8のモーメントを実測した比較例(膝関節10及び股関節8のモーメントの真値に相当するもの)が仮想線で併記されている。
【0112】
図10を参照して明らかなように、本実施形態によれば精度のよい床反力の推定値が得られていることが判る。また、本実施形態ではこの床反力の推定値を用いることによって、図11に示されるように、膝関節10や股関節8のモーメントも比較的精度よく推定することができる。
【0113】
以上のように、本実施形態によれば、脚体2に人間1の歩行の邪魔となったり、脚体2の運動に負担がかかるようなセンサを装着したりすることなく、股関節8や股関節8に装着した角度センサ22,23や、胴体5に装備したジャイロセンサ14,19及び加速度センサ15,20,21や、履き物等に装備する加速度センサ24というような比較的小型で軽量なセンサを用いて各脚体2に作用する床反力や、各脚体2の股関節8及び膝関節10に作用するモーメントをリアルタイムで容易に推定することができる。
【0114】
また、前記実施形態では、本発明を人間1に適用した場合を例にとって説明したが、二足歩行移動体としての二足歩行ロボットにも本発明を適用することができる。ここで、二足歩行ロボットでは、腰部と胸部とが一体的な構造となっている場合があるが、この場合には、ジャイロセンサや前後方向の加速度センサを腰部及び胸部のいずれか一方だけに取り付けて、床反力や脚体の関節のモーメントを本実施形態と同様に推定するようにすることも可能である。また、二足歩行ロボットでは、股関節や膝関節の屈曲角度は、それらの関節のアクチュエータに対する制御装置の制御量により把握するようにすることも可能である。
【0115】
また、前記実施形態では、脚体2の運動状態を判断するために、腰部上下加速度センサ21の検出データをそのまま用いたが、該検出データの代わりに、例えば前記基準加速度計測手段28により求められる絶対座標系Cfでの腰部3の加速度a0の鉛直方向(Z軸方向)の成分の値を用いるようにしても良い。
【0116】
ところで、前記実施形態では、両脚支持状態における前側と後側の各脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffx,Frxの推定値を上記先願と同様の手法で求めるようにしたが、後側脚体に作用する床反力の進行方向成分の、両脚支持状態の経過時間及び二足歩行移動体の移動速度に対する変化の特性を表すものとしてあらかじめ定めた特性データに基づき、後側脚体に作用する床反力の進行方向成分Frxの推定値を逐次求めると共に、このFrxを全床反力の進行方向成分Fxの推定値から差し引くことにより、前側脚体に作用する床反力の進行方向成分Ffxの推定値を逐次求めることも可能である。
【0117】
以下、このような手法で各脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffx,Frxの推定値を求める第2の実施形態について説明する。第2実施形態では、演算処理装置16に、図12に示す如く、前記第1実施形態の足首位置算出手段32に代えて、脚体運動判断手段25により両脚支持状態の開始(単脚支持状態の終了)が把握される毎に、その両脚支持状態の開始時からの経過時間を計時する計時手段42と、脚体運動判断手段25により両脚支持状態の開始(単脚支持状態の終了)が把握される毎に、前記脚体姿勢算出手段29による各脚体2の大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度θc,θdのデータと前記計時手段42の計時データとを用いて人間1の移動速度を推定する移動速度推定手段43と、この移動速度推定手段43により求められた移動速度のデータから両脚支持状態の開始時から終了時までの時間(両脚支持状態の継続時間。以下、両脚支持期間という)を推定する両脚支持期間推定手段44とを設ける。
【0118】
そして、脚体運動判断手段25の処理では、第1実施形態のものと同様に腰部上下加速度センサ21による腰部3の上向き方向の加速度の検出データに基づいて両脚支持状態の開始が把握されると、該両脚支持状態の開始時点から前記計時手段42により計測される経過時間が、該両脚支持状態の開始時点で前記両脚支持期間推定手段44により後述するように求められる両脚支持期間(両脚支持状態の開始時から終了時までの該両脚支持状態の継続時間)の推定値に達したか否かがサイクルタイム毎に逐次監視される。そして、脚体運動判断手段25は、該経過時間が両脚支持期間の推定値に達した時に、両脚支持状態が終了し、且つ、単脚支持状態が開始すると判断する。
【0119】
このように脚体運動判断手段25の処理が実行され、また、脚体姿勢算出手段29による処理が第1実施形態のものと同様に実行された後、演算処理装置16は、前記移動速度推定手段43の処理及び両脚支持期間推定手段44の処理を順次実行する。
【0120】
移動速度推定手段43による処理は次のように行われる。すなわち、図13を参照して、人間1の歩行時に、時刻t1において実線で示す人間1の前側の脚体2(図では人間1の前方に向かって右側の脚体2)が着床して両脚支持状態が開始し、時刻t2において仮想線示の人間1で表すように、次の両脚支持状態が開始した場合(時刻t1で人間1の後側の脚体2が離床後に時刻t2で着床した場合)を想定する。このとき、時刻t1から時刻t2までの人間1の移動距離Lは、絶対座標系CfのX軸方向(人間1の進行方向)における腰部3の股関節8の中心の移動距離(これは、本実施形態では、身体座標系Cpの原点OのX軸方向の移動量に等しい)である。
【0121】
そして、この移動距離Lは、時刻t1における股関節8の中心から人間1の前側の脚体2の足首部12までのX軸方向の距離ΔL1と、時刻t2における股関節8の中心から人間1の後側の脚体2(これは時刻t1で人間1の前側にあった脚体2である)の足首部12までのX軸方向の距離ΔL2との総和にほぼ一致する。
【0122】
従って、上記距離ΔL1,ΔL2と、時刻t1から時刻t2までの経過時間(t2−t1)、すなわち、両脚支持状態が開始してから次に両脚支持状態が開始するまでの1歩分の経過時間を把握することによって、それらの距離ΔL1,ΔL2と、該1歩分経過時間(t2−t1)とを用いて次式(14)により時刻t1からt2までの人間1の移動速度V(時刻t1から時刻t2までの平均移動速度)を求めることができる。
【0123】
V=L/(t2−t1)=(ΔL1+ΔL2)/(t2−t1) ……(14)
【0124】
そこで、前記移動速度推定手段43の処理では、前記脚体運動判断手段25により両脚支持状態が開始したことが把握される毎に、人間1の前側の脚体2に係わる上記距離ΔL1と、後側の脚体2に係わる上記距離ΔL2とが以下に説明するように求められ、それらの距離ΔL1,ΔL2の算出値が記憶保持される。そして、今回の両脚支持状態の開始時に求められた後側の脚体2に係わる距離ΔL2と、前回の両脚支持状態の開始時に求められた前側の脚体2に係わる距離ΔL1と、前回の両脚支持状態の開始時から今回の両脚支持状態の開始時までに前記計時手段42により計測された時間(=t2−t1)とから前記式(14)により人間1の移動速度Vを求める。
【0125】
この場合、上記距離ΔL1,ΔL2は次にように求められる。すなわち、両脚支持状態の開始時における人間1の前側の脚体2については、該両脚支持状態の開始時(脚体運動判断手段25により両脚支持状態の開始が把握されたサイクルタイム)に前記脚体姿勢算出手段29により求められる大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度をθc1、θd1(図13の時刻t1の図を参照)とする。このとき、該脚体2に係わる距離ΔL1は、これらの傾斜角度θc1,θd1(θc1>0,θd1>0)のデータと、大腿部9及び下腿部11のそれぞれの長さDc,Ddのデータとを用いて、次式(15)により算出される。
【0126】
ΔL1=Dc・sinθc1+Dd・sinθd1 ……(15)
【0127】
同様に、両脚支持状態の開始時における人間1の後側の脚体2については、該両脚支持状態の開始時に前記脚体姿勢算出手段29により求められる大腿部9及び下腿部11のそれぞれの傾斜角度をθc2、θd2(図13の時刻t2の図を参照)とすると、該脚体2に係わる距離ΔL2は、これらの傾斜角度θc2,θd2(θc2<0,θd2<0)のデータと、大腿部9及び下腿部11のそれぞれの長さDc,Ddのデータとを用いて、次式(16)により算出される。
【0128】
ΔL2=−Dc・sinθc2−Dd・sinθd2 ……(16)
【0129】
以上説明した移動速度推定手段43の処理によって、両脚支持状態が開始する毎に、人間1の移動速度V(詳しくは、両脚支持状態が開始する直前の1歩における移動速度)が推定される。尚、両脚支持状態が開始してから次に両脚支持状態が開始するまでの期間における各サイクルタイムでは、移動速度Vの推定値は一定に維持される。
【0130】
また、両脚支持期間推定手段44の処理は次のように行われる。本願発明者等の知見によれば、人間1の歩行時の両脚支持状態の継続期間である両脚支持期間は、人間1の移動速度Vと密接な相関性を有する。すなわち、人間1の歩行時の両脚支持期間は、移動速度Vに対して図14に示すように変化し、該移動速度Vが速くなる程、短くなる。
【0131】
そこで、第2実施形態では、図14の相関データがあらかじめデータテーブルや、それを近似する多項式関数の形態で、演算処理装置16にあらかじめ記憶保持されている。そして、前記両脚支持期間推定手段44の処理では、両脚支持状態の開始時に、移動速度推定手段36により前述のように求められた移動速度Vの最新値から、図14の相関データに基づいて該両脚支持状態に係わる両脚支持期間の推定値を求める。尚、該両脚支持期間の推定値は、次回の両脚支持状態が開始するまで維持される。
【0132】
床反力推定手段38の処理では、第1実施形態と同様に身体重心加速度算出手段34により求められた身体重心G0の加速度T(ax,az)のデータと、人間1の重量Mのデータとから、前記式(2)により、全床反力F=T(Fx,Fz)の推定値が前記サイクルイタイム毎に逐次求められる。この場合、脚体運動判断手段25により把握されている脚体2の運動状態が単脚支持状態である場合には、上記全床反力F=T(Fx,Fz)の推定値がそのまま接地している単一の脚体2に作用する床反力の推定値として求められることとなる。
【0133】
一方、脚体運動判断手段25により把握されている脚体2の運動状態が両脚支持状態である場合には、床反力推定手段38は、図6の相関関係に基づき、第1実施形態と同様に後側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分Frzの推定値を前側脚体2のMP高さHを用いて求め、このFrzを全床反力の鉛直方向成分Fzから差し引いて、前側脚体2に作用する床反力の鉛直方向成分Ffzの推定値を求める。
【0134】
また、前側と後側の各脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffx,Frxの推定値は以下の如く求められる。すなわち、本願発明者等の知見によれば、両脚支持状態で後側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Frxの、該両脚支持状態の開始時における全床反力の進行方向成分Fxに対する割合(以下、床反力比という)と、該両脚支持状態の開始時からの経過時間の前記両脚支持期間に対する割合(=経過時間/両脚支持期間。以下、両脚支持時間比とい)との関係に着目したとき、それらの間には特徴的な相関性があり、この相関性は、人間1の移動速度V等の影響をほとんど受けない。
【0135】
具体的には、後側脚体2に作用する床反力の進行方向成分成分Frxの、両脚支持状態の開始時における全床反力の進行方向成分Fx(以下、参照符号Fxsにより表す)に対する割合である床反力比Frx/Fxsは、人間1の移動速度V等によらずに、前記両脚支持時間比に対して図15に示すようなほぼ一定の相関関係を有し、両脚支持状態の時間の経過に伴い、一旦、「1」から増加した後、「0」まで減少していく。
【0136】
そこで、第2実施形態では、図15の相関データ(特性データ)があらかじめデータテーブルや、それらの相関データをそれぞれ近似する多項式関数の形態で、演算処理装置16にあらかじめ記憶保持されている。そして、計時手段42による経過時間の計時データの今回値と、両脚支持期間推定手段44により求められた両脚支持期間の推定値のデータの最新値とから前記両脚支持時間比が前記サイクルタイム毎に逐次求められる。そして、この求めた両脚支持時間比のデータから図15の相関データに基づいて、床反力比Frx/Fxsが逐次求められ、この床反力比Frx/Fxsに両脚支持状態の開始時の全床反力の進行方向成分Fxsを乗算することにより、後側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Frxの推定値が求められ、このFrxを全床反力の進行方向成分Fxから差し引くことにより前側脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffxの推定値が求められる。
【0137】
このようにして各脚体2に作用する床反力Fr=T(Frx,Frz),Ff=T(Ffx,Ffz)を求めた後、関節モーメント推定手段39での処理により、第1実施形態と同様に各脚体2の膝関節10及び股関節8に作用するモーメントが逐次リアルタイムで推定される。
【0138】
尚、履き物等に検出方向をX軸方向とした一軸型の力センサを装備して、両脚支持状態における前側と後側の各脚体2に作用する床反力の進行方向成分Ffx,Frxを力センサにより計測することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】先願の床反力推定方法の基本的原理を説明するための図。
【図2】本発明の一実施形態における二足歩行移動体としての人間と該人間に装備する装置構成を模式化して示す図。
【図3】足平部の特定部位の床面からの位置(MP高さ)の計測原理を説明するための図。
【図4】図2の装置に備える演算処理装置の機能を説明するためのブロック図。
【図5】図3の演算処理装置の処理に用いる剛体リンクモデルを示す図。
【図6】前側脚体のMP高さと後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分との相関関係を示す線図。
【図7】大腿部の傾斜角度と床反力作用点ベクトルの進行方向成分との相関関係を示す線図。
【図8】大腿部の傾斜角度と床反力作用点ベクトルの鉛直方向成分との相関関係を示す線図。
【図9】関節モーメントの計測原理を説明するための図。
【図10】本発明の実施形態により求められた床反力の推定値の経時変化の様子を例示するグラフ。
【図11】本発明の実施形態により求められた膝関節及び股関節のモーメントの推定値の経時変化の様子を例示するグラフ。
【図12】本発明の第2の実施形態における演算処理装置の機能を説明するためのブロック図。
【図13】移動速度の推定原理を説明するための図。
【図14】移動速度と両脚支持期間との相関関係をしめす線図。
【図15】両脚支持時間比と後側脚体に作用する床反力の進行方向成分との相関関係を示す線図。
【符号の説明】
1…人間(二足歩行移動体)、2…脚体、13…足平部、13b…中足趾節関節(特定部位)。
Claims (2)
- 二足歩行移動体の運動状態が該二足歩行移動体の両脚体が接地している両脚支持状態であるときの各脚体に作用する床反力の鉛直方向成分を推定する方法であって、
前記二足歩行移動体の重心の位置を逐次求めつつ、該重心の位置の時系列データを用いて床に対して固定された絶対座標系での該重心の加速度を逐次求める第1ステップと、前記二足歩行移動体の重量と重力加速度と前記重心の加速度と各脚体に作用する床反力の合力である全床反力とにより表される該重心の運動方程式に基づき、該全床反力の推定値を逐次求める第2ステップと、前記両脚支持状態において両脚体のうち少なくとも前記二足歩行移動体の進行方向に向かって前側に存する前側脚体の足平部のあらかじめ定めた特定部位の床面からの位置を逐次求める第3ステップとを備え、
前記両脚支持状態であるときには、両脚体のうち該二足歩行移動体の進行方向に向かって後側に存する後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分と、前側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの位置との間に成立する所定の相関関係に基づき、前記第3ステップで求めた前側脚体の足平部の前記特定部位の床面からの位置を用いて後側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次求め、その求めた後側脚体の床反力の鉛直方向成分の推定値を前記第2ステップで求めた全床反力の鉛直方向成分の推定値から差し引くことにより、前側脚体に作用する床反力の鉛直方向成分の推定値を逐次求めることを特徴とする二足歩行移動体の床反力推定方法。 - 前記足平部の特定部位は、中足趾節関節であることを特徴とする請求項1記載の二足歩行移動体の床反力推定方法。
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