JP2003215474A - 光スイッチング素子 - Google Patents

光スイッチング素子

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JP2003215474A
JP2003215474A JP2002013097A JP2002013097A JP2003215474A JP 2003215474 A JP2003215474 A JP 2003215474A JP 2002013097 A JP2002013097 A JP 2002013097A JP 2002013097 A JP2002013097 A JP 2002013097A JP 2003215474 A JP2003215474 A JP 2003215474A
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optical
optical thin
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optical switching
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JP2002013097A
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Teiji Honjo
禎治 本庄
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光スイッチング領域を可能な限り大きくする
ことが可能な光スイッチング素子を提供する。 【解決手段】 変位板3の変位領域外、すなわち変位板
3の側方に支持体5(支持部5R,5L)を配設し、こ
の支持体5により、変位動作を阻害しないように変位板
3を支持させる。支持体5の存在により変位板3の変位
箇所が限定されることなく、変位板3全体が変位可能と
なる。これにより、変位板3全体において、入射光に対
する反射率を変化可能な領域(光スイッチング領域)が
確保されるため、光スイッチング領域を設計上最大とす
ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の干渉現象を利
用して入射光に対する光学特性を変化させる光スイッチ
ング素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディスプレイ、光通信、光メモリ
および光プリンタなどの各種用途に利用することを目的
として、入射光に対する光学特性、例えば反射率を変化
させる(光スイッチング)ことが可能な小型かつ高性能
な光スイッチング素子(ライトバルブ)の開発が要望さ
れている。この要望を満たし得る光スイッチング素子と
しては、例えば、液晶、マイクロミラー(DMD;Digi
tal Micro Mirror Device ;テキサスインスツルメンツ
社の登録商標)または回折格子(GLV:Grating Ligh
t Valve ;シリコンライトマシン(SLM)社)などを
利用したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば反射
型ディスプレイの表示性能は、この反射型ディスプレイ
の主要部を構成する光スイッチング素子の基本性能に大
きく依存する。具体的には、例えば、反射型ディスプレ
イの開口率は、主に、光スイッチング素子における反射
率が変化可能な領域(以下、「光スイッチング領域」と
いう)の大きさに基づいて決定される。開口率が大きい
高性能な反射型ディスプレイを実現するためには、光ス
イッチング素子の光スイッチング領域を可能な限り大き
くする必要がある。
【0004】しかしながら、従来の光スイッチング素子
では、主に構造上の理由により、光スイッチング領域の
大きさが制限されてしまうという問題があった。このた
め、従来の光スイッチング素子では、反射型ディスプレ
イの高性能化に限界が生じ得る状況にあった。この観点
において、従来の光スイッチング素子は未だ改良の余地
があり、今後益々高性能化するディスプレイ分野におい
て、より高性能な光スイッチング素子の登場が期待され
ている。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、光スイッチング領域を可能な
限り大きくすることが可能な光スイッチング素子を提供
することにある。
【0006】また、本発明の第2の目的は、高性能なデ
ィスプレイを構成可能な光スイッチング素子を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の光スイッチング
素子は、第1の光学薄膜と、光の干渉現象を生じ得る大
きさの間隙を挟んで第1の光学薄膜に対向し、第1の光
学薄膜の方向に変位可能な第2の光学薄膜と、この第2
の光学薄膜の変位領域外に配設され、第2の光学薄膜を
変位可能に支持する支持体と、第2の光学薄膜を変位さ
せて間隙の大きさを変化させることにより、入射光に対
する光学特性を変化させる駆動手段とを備えたものであ
る。
【0008】本発明の光スイッチング素子では、第2の
光学薄膜を変位可能に支持する支持体が、第2の光学薄
膜の変位領域外に配設されているため、この支持体の存
在により光スイッチング領域が制限されることなく、第
2の光学薄膜全体において光スイッチング領域が確保さ
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】まず、本発明の一実施の形態に係る光スイ
ッチング素子の構成について説明する。図1〜図4は、
本実施の形態に係る光スイッチング素子10の概略構成
を表すものである。本実施の形態に係る光スイッチング
素子10は、主に、静電駆動することにより光の干渉現
象を利用して高反射モードまたは低反射モードの切換を
行い、入射光Bに対する反射率を変化させるものであ
る。なお、図1〜図4において、図1および図2は静電
駆動前の状態,図3および図4は静電駆動時の状態をそ
れぞれ示しており、図1および図3は外観構成,図2お
よび図4はX軸方向から見た側面構成をそれぞれ示して
いる。
【0011】この光スイッチング素子10は、主に、基
板1上に、例えばいずれも矩形状の下部電極2(第1の
光学薄膜,第1の電極)、変位板3(第2の光学薄膜)
および上部電極4(第2の電極)がこの順に配列された
構成をなしている。下部電極2は基板1に固定されてお
り、上部電極4は変位板3に隣接している。変位板3
は、例えば2つの支持部5R,5L(支持体5)により
両端を支持されており、エアギャップG(間隙)を隔て
て下部電極2から離間されている。下部電極2から離間
された変位板3は、平坦状をなし、下部電極2と平行に
対向している。なお、変位板3の「平坦状態」には、例
えば、下部電極2と真に平行な関係にある厳密な平坦状
態と共に、後述する変位板3の変位に応じて光の干渉現
象を生じ得る程度の若干の歪み等を含む実質的な平坦状
態も包含するものとする。図1〜図4では、下部電極
2、変位板3および上部電極4を明瞭に区別するため
に、下部電極2および上部電極4の側面に濃い網掛けを
施し、変位板3の側面に淡い網掛けを施している。
【0012】基板1は、例えばガラスや石英などにより
構成されている。基板1の形状は、変位板3を含む光ス
イッチング素子10の主要部を安定的に支持可能な限
り、自由に構成可能である。
【0013】下部電極2は、導電性を有し、かつ高屈折
率の材料、例えばクロム(Cr)などにより構成されて
おり、その厚みは、例えば約100nmである。上記
「高屈折率」とは、主に、下部電極2の表面において入
射光Bが反射可能な屈折率をいう。上部電極4は、導電
性を有し、かつ低屈折率の材料、例えばITO(Indium
Tin Oxide)などにより構成されており、その厚みは、
例えば約20nmである。上記「低屈折率」とは、主
に、入射光Bが上部電極4を透過可能な屈折率をいう。
下部電極2および上部電極4は、変位板3を変位させて
エアギャップGの大きさを変化させることにより、入射
光Bに対する反射率を変化させるものである。これらの
下部電極2および上部電極4は、図示しない外部電源を
通じて下部電極2と上部電極4との間に電圧が印加され
ることにより、双方の電極間の電位差を利用して静電力
を発生させるものである。
【0014】変位板3は、低屈折率の材料、例えば窒化
シリコン(SiNx)などにより構成されており、その
厚みは、例えば約70nmである。この変位板3は、静
電力を利用して静電駆動することにより、エアギャップ
Gを隔てて下部電極2から離間された第1の位置P1と
下部電極2に接触する第2の位置P2との間を変位可能
になっている。
【0015】エアギャップGの間隔、すなわち下部電極
2と変位板3との間の距離L(nm)は、変位板3の変
位に応じて光の干渉現象を生じさせるために、入射光B
の波長λ(nm)に基づいて規定されている。具体的に
は、距離Lは波長λの1/4に相当し、例えばλ=55
2nmの場合、距離L=約138nmである。
【0016】支持体5(支持部5R,5L)は、平坦と
なるように変位板3を支持すると共に、静電力により変
形して変位板3を変位可能に支持する土台であり、変位
板3の変位領域外、すなわち変位板3の側方にその変位
動作を阻害しないように配設されている。この支持体5
は、例えば、変位板3と一体形成されたものであり、変
位板3と同一の材料により構成されている。支持部5
R,5Lは、例えば、二股分岐部51と、この二股分岐
部51に連結された連結部52とを含むY字型の板バネ
状構造をなしている。二股分岐部51のうち、一方の分
岐部51Aは基板1の上面および下部電極2の側面に連
結され、かつ他方の分岐部51Bは変位板3の側面に連
結されており、これらの分岐部51A,51Bは、変位
板3の変位に応じて支持部5R、5Lが連結部52を基
点として変形することにより、互いに近接または離間す
るようになっている。特に、支持部5R,5Lは、例え
ば、二股分岐部51の分岐方向が図中のY軸方向におい
て互いに逆向きとなるように配設されている。
【0017】なお、下部電極2、変位板3および上部電
極4の寸法は、例えば、幅(X軸方向の長さ)=約50
μm,奥行き(Y軸方向の長さ)=約50μmである。
【0018】次に、図2および図4を参照して、光スイ
ッチング素子10の動作について説明する。なお、図2
および図4中の矢印(入射光B,反射光R)の大きさ
は、光線の光量を表している。
【0019】この光スイッチング素子10は、下部電極
2および上部電極4により静電力が発生すると、この静
電力を利用して静電駆動する。すなわち、静電力が発生
していない静電駆動前の状態では、図2に示したよう
に、変位板3は第1の位置P1に位置し、エアギャップ
Gを隔てて下部電極2から離間されている。この状態で
は、上部電極4および変位板3を透過した入射光Bが下
部電極2の表面で反射されるため(反射光R)、高い反
射率が得られる(高反射モード)。一方、静電力が発生
すると、図4に示したように、静電力により支持体5
(支持部5R,5L)が変形して折りたたまれることに
より、変位板3が数μ秒程度で第2の位置P2に移動
し、下部電極2と接触する。この状態では、入射光Bの
入射経路に存在していたエアギャップGが消失すること
により光の干渉現象が生じ、これにより反射光Rがほと
んど生じなくなるため、反射率が低くなる(低反射モー
ド)。もちろん、静電力が消失すると、支持体5の復元
力により変位板3は第1の位置P1に復帰し、再び高い
反射率が得られる(高反射モード)。上記した駆動機構
により、光スイッチング素子10は、下部電極2および
上部電極4に対する電圧印加が断続的に繰り返される
と、静電力の有無に応じて高速で振動する。この際、支
持体5の折りたたみ機構および復元機構を利用して、変
位板3はスムーズに振動可能となる。この光スイッチン
グ素子10によれば、例えば、高反射モードにおける視
感反射率が約75%以上,低反射モードにおける視感反
射率が約1%以下となる。
【0020】次に、図1〜図4を参照して、光スイッチ
ング素子10の形成方法について説明する。この光スイ
ッチング素子10は、例えば既存の成膜技術、フォトリ
ソグラフィ処理等を利用したパターニング技術およびエ
ッチング技術を利用することにより、容易に形成可能で
ある。すなわち、まず、例えばガラスよりなる基板1上
に、スパッタリングにより約100nm厚となるように
クロム層を成膜したのち、このクロム層をエッチングし
てパターニングすることにより、約50μm×50μm
の矩形状をなすように下部電極2を選択的に形成する。
【0021】続いて、全体に、PECVD(Plasma Enh
anced Chemical Vapor Deposition;プラズマ支援型化
学蒸着法)により約138nm厚となるように非晶質シ
リコン(a−Si)層を成膜したのち、この非晶質シリ
コン層をエッチングしてパターニングすることにより、
下部電極2上に、この下部電極2と同様の矩形状をなす
ように犠牲層(図示せず)を選択的に形成する。この犠
牲層は、後工程において除去されることにより、エアギ
ャップGを形成するものである。
【0022】続いて、全体に、LPCVD(Low Pressu
re Chemical Vapor Deposition;低圧化学蒸着法)によ
り約70nm厚となるように窒化シリコン層を成膜した
のち、この窒化シリコン層をエッチングしてパターニン
グすることにより、下部電極2と同様の矩形状をなすよ
うに変位板3を選択的に形成する。変位板3を形成する
際には、特に、下部電極2および犠牲層よりなる積層体
の両側面を覆っている窒化シリコン層をエッチングして
パターニングすることにより、二股分岐部51と連結部
52とを含むY字型の板バネ状構造をなし、一方の分岐
部51Aが基板1の上面および下部電極2の側面に連結
され、かつ他方の分岐部51Bが変位板3の側面に連結
されるように、支持体5(支持部5R,5L)を変位板
3と一体形成する。このとき、二股分岐部51の分岐方
向が、Y軸方向において互いに逆向きとなるようにす
る。変位板3の形成手法としてLPCVDを利用するこ
とにより、変位板3について高張力が得られるように膜
応力を制御可能となる。また、変位板3の形成材料とし
て窒化シリコンを用いることにより、金属疲労が少ない
均一な膜質が得られる。
【0023】続いて、全体に、スパッタリングにより約
20nm厚となるようにITO層を成膜したのち、この
ITO層をエッチングしてパターニングすることによ
り、下部電極2と同様の矩形状をなすように上部電極4
を選択的に形成する。
【0024】最後に、例えばフッ化キセノンガス(Xe
2 )を含むエッチングガスを用いて犠牲層をエッチン
グし、下部電極2、犠牲層、変位板3および上部電極4
がこの順に積層されてなる積層体から犠牲層のみを選択
的に除去する。このエッチング処理により、下部電極2
と変位板3との間にエアギャップGが形成されると共
に、エアギャップGを隔てて下部電極2から離間された
変位板3が支持部5R,5Lにより支持されることとな
り、光スイッチング素子10が完成する。
【0025】以上説明したように、本実施の形態に係る
光スイッチング素子10では、変位板3の変位領域外、
すなわち変位板3の側方に支持体5(支持部5R,5
L)を配設するようにしたので、以下の理由により、光
スイッチング領域を可能な限り大きくすることができ
る。
【0026】すなわち、光スイッチング素子の構成とし
ては、例えば、下部電極から変位板を離間させて支持す
べく、下部電極と変位板との間に例えば2本の柱状の支
持体を配設したものが考えられる。この光スイッチング
素子では、本実施の形態に係る光スイッチング素子10
と同様に静電駆動することは可能となるが、支持体の存
在に起因して、変位板のうち実際に変位可能な箇所は、
2本の支持体の間の部分のみとなる。この場合には、実
質的な光スイッチング領域が2本の支持体の間の部分に
限定され、他の部分は光スイッチングに関与しないこと
となるため、主に支持体に起因する構造上の理由によ
り、光スイッチング領域の大きさが制限されてしまう。
【0027】これに対して、本実施の形態では、変位板
3の側方に、変位板3の変位動作を阻害しないように支
持体5が配設されているため、支持体5の存在により変
位板3の変位箇所が限定されることなく、変位板3全体
が変位可能となる。したがって、変位板3全体において
光スイッチング領域が確保されるため、光スイッチング
領域を設計上最大とすることが可能になる。
【0028】また、本実施の形態では、主に変位板3の
変位機構に基づき、以下の利点も有する。すなわち、上
記したように、数μ秒でモード切換が可能となり、高
速で光スイッチングすることができる、高反射モード
と低反射モードとの間で反射率を大きく変化させるがで
きる、構成が簡単なため、素子を小型化かつ軽量化す
ることができる、駆動機構が簡単なため、駆動に要す
る消費電力を小さくすることができる。
【0029】また、本実施の形態では、支持体5(支持
部5R,5L)が、変位板3の変位動作に応じて変形お
よび復元可能な板バネ状構造をなすようにしたので、支
持体5の変形機構および復元機構を利用して、変位板3
をスムーズに変位させることができる。なお、本実施の
形態では、第1の位置P1または第2の位置P2のいず
れかに変位板3を二値的に変位させるだけでなく、例え
ば、静電力の発生量を制御して変位板3の変位量を調整
することにより、第1の位置P1と第2の位置P2との
間の任意の位置に変位板3を変位させることもできる。
【0030】また、本実施の形態では、支持体5(支持
部5R,5L)が変位板3と一体形成されたものである
ので、支持体5が変位板3と別体をなす場合よりも、支
持体5と変位板3等との連結強度を確保することができ
る。
【0031】また、本実施の形態では、支持部5R,5
L(二股分岐部51)の分岐方向がY軸方向において互
いに逆向きになるようにしたので、互いに同一方向を向
く場合とは異なり、支持部5R,5Lにより、下部電極
2に対して傾くことなくほぼ平行となるように変位板3
が安定的に支持されると共に、この平行状態を維持した
まま変位板3を変位させることが可能となる。これによ
り、下部電極2に対して変位板3が傾いた際に生じる弊
害、例えば反射率の設定値に対する実際の反射率のずれ
等を抑制することができる。
【0032】また、本実施の形態では、窒化シリコンに
より変位板3を構成するようにしたので、変位板3の膜
質を均一化し、耐金属疲労性を向上させることができ
る。
【0033】特に、本実施の形態に係る光スイッチング
素子10は、例えば反射型ディスプレイに適用可能であ
る。具体的には、例えば、3個の光スイッチング素子1
0を集合させ、各光スイッチング素子10に対してR
(Red ),G(Green ),B(Blue)の各フィルターを
附設することにより表示ユニットを構成したのち、この
表示ユニットを2次元アレイ状に複数配列させることに
より、反射型ディスプレイの主要部を構成することがで
きる。変位板3の大きさは、例えば、50nm(X軸方
向)×15nm(Y軸方向)程度まで小型化可能であ
る。この反射型ディスプレイによれば、上記した光スイ
ッチング素子10の利点を利用して、コントラストや輪
郭の明瞭さなどの表示性能について高性能化を図ること
ができると共に、小型化、軽量化および省電力化を図る
こともできる。なお、光スイッチング素子10を適用可
能な具体的な反射型ディスプレイとしては、例えば、主
に小型、軽量かつ省電力性を重視し、携帯電話やPDA
(Personal Digital Assistants )などのモバイル機器
に搭載される小型ディスプレイなどが挙げられる。
【0034】また、本実施の形態に係る光スイッチング
素子10は、反射型ディスプレイに限らず、例えば、基
板1や下部電極2を低屈折率の透光性材料により構成す
ると共に、バックライト光源を搭載すれば、自発光タイ
プの透過型ディスプレイにも適用可能である。この場合
においても、反射型ディスプレイの場合と同様の効果を
得ることができる。
【0035】以上、実施の形態を挙げて本発明を説明し
たが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではな
く、種々変形可能である。具体的には、上記実施の形態
で説明した光スイッチング素子10の構成や動作機構等
は、必ずしも上記実施の形態において説明したものに限
られるものではなく、変位板3の変位領域外に配設され
た支持体5により変位板3を変位可能に支持することに
より、光スイッチング領域を可能な限り大きくすること
が可能であれば、自由に変形可能である。
【0036】また、上記実施の形態では、2つの支持部
5R,5Lを含んで支持体5を構成するようにしたが、
必ずしもこれに限られるものではなく、支持部の配設個
数は自由に変更可能である。ただし、上記したように、
支持体5により変位板3を安定的に支持するべく、変位
板3の両端を支持するように少なくとも2つの支持部を
配設するのが好ましい。また、配設個数が多くなるほど
支持部全体の変形能が低下し、変位板3がスムーズに変
位しにくくなる可能性があるため、支持部の配設個数
は、上記実施の形態において説明したように2個程度が
好ましい。
【0037】また、上記実施の形態では、支持体5(支
持部5R、5L)を変位板3と一体形成するようにした
が、必ずしもこれに限られるものではなく、変位板3と
は別体をなすように支持体5を形成してもよい。ただ
し、上記したように、支持体5と変位板3等との連結強
度を確保することを考慮するならば、支持体5を変位板
3と一体形成するのが好ましい。
【0038】また、上記実施の形態では、支持体5(支
持部5R,5L)がY字型の板バネ状構造をなすように
したが、必ずしもこれに限られるものではない。図5お
よび図6は光スイッチング素子10の構成に関する変形
例を表すものであり、それぞれ図1および図2に対応し
ている。支持体5は、図5および図6に示したように、
例えば、一端が基板1の上面および下部電極2の側面に
連結され、かつ他端が変位板3の側面に連結されたクラ
ンク型構造をなすようにしてもよい。この場合において
も、2つの支持体5R,5Lは、Y軸方向において互い
に逆向きとなるようにするのが好ましい。この光スイッ
チング素子10においても静電力を利用して変位板3を
変位させることが可能なため、上記実施の形態の場合と
同様の効果を得ることができる。なお、支持体5は、さ
らに、上記した板バネ状構造やクランク型構造に代え
て、例えば、コイル型のバネ状構造をなすようにしても
よい。
【0039】また、上記実施の形態では、下部電極2
が、静電力を発生させる電極(第1の電極)としての機
能と入射光Bを反射させる反射体(第1の光学薄膜)と
しての機能の双方を兼ねるようにしたが、必ずしもこれ
に限られるものではなく、例えば、下部電極2が電極と
しての機能のみを担うようにし、下部電極2上にこれと
は別体をなす反射体を形成するようにしてもよい。
【0040】また、上記実施の形態では、変位板3の駆
動源として静電力を利用するようにしたが、必ずしもこ
れに限られるものではなく、静電力以外の駆動源、例え
ば磁気力などを利用してもよい。また、下部電極2と変
位板3との間のギャップは必ずしもエアに限らず、例え
ば、他の気体(真空を含む)や液体などでもよい。
【0041】また、上記実施の形態では、本発明の光ス
イッチング素子10を反射型または透過型ディスプレイ
に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限
られるものではなく、光スイッチングによる反射率の変
化を利用可能な他の各種分野の各種デバイスについても
適用可能である。この場合においても、光スイッチング
領域の確保に係る光スイッチング素子10の利点を利用
して、各種デバイスの高性能化、小型化、軽量化および
省電力化を図ることができる。なお、光スイッチング素
子10を適用可能な他のデバイスの具体例としては、例
えば光通信素子などが挙げられる。
【0042】また、上記実施の形態では、本発明の光ス
イッチング素子10により入射光Bに対する反射率を変
化させるようにしたが、必ずしもこれに限られるもので
はなく、反射率以外の光学特性、例えば入射光Bに対す
る透過率や吸収率などを変化させるようにしてもよい。
もちろん、この場合においても、透過率や吸収率の変化
を利用可能な他の各種デバイスに光スイッチング素子1
0を適用可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項8のいずれか1項に記載の光スイッチング素子によ
れば、第2の光学薄膜の変位領域外に、第2の光学薄膜
を変位可能に支持する支持体を配設するようにしたの
で、支持体の存在により第2の光学薄膜の変位箇所が限
定されることなく、第2の光学薄膜全体が変位可能とな
る。これにより、第2の光学薄膜全体において光スイッ
チング領域が確保されるため、光スイッチング領域を可
能な限り大きくすることができる。さらに、本発明の光
スイッチング素子をディスプレイに適用することによ
り、光スイッチング素子の利点を利用して高性能なディ
スプレイを構成することもできる。
【0044】特に、請求項2記載の光スイッチング素子
によれば、支持体が第2の光学薄膜と一体形成されたも
のであるので、支持体が第2の光学薄膜と別体をなす場
合よりも、支持体と第2の光学薄膜との連結強度を確保
することができる。
【0045】また、請求項4記載の光スイッチング素子
によれば、2つの支持部の二股分岐部のうち、一方の分
岐部が第1の光学薄膜に連結され、かつ他方の分岐部が
第2の光学薄膜に連結され、これらの2つの分岐部が第
2の光学薄膜の変位に応じて近接または離間するように
したので、近接時における支持部の変形機構および離間
時における支持部の復元機構を利用して、第2の光学薄
膜をスムーズに変位させることができる。
【0046】また、請求項5記載の光スイッチング素子
によれば、二股分岐部の分岐方向が、2つの支持部の間
で互いに逆向きになるようにしたので、互いに同一方向
を向く場合とは異なり、2つの支持部により、第1の光
学薄膜に対して傾くことなくほぼ平行となるように第2
の光学薄膜が安定的に支持されると共に、この平行状態
を維持したまま第2の光学薄膜を変位させることが可能
となる。これにより、設定値に対する実際の光学特性の
ずれ等を抑制することができる。
【0047】また,請求項6記載の光スイッチング素子
によれば、第2の光学薄膜が窒化シリコンを含んで構成
されるので、第2の光学薄膜の膜質を均一化し、耐金属
疲労性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素
子の概略構成を表す斜視図である。
【図2】図1に示した光スイッチング素子の側面構成を
表す側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素
子の静電駆動時の外観構成を表す斜視図である。
【図4】図3に示した光スイッチング素子の側面構成を
表す側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素
子の構成に関する変形例を表す斜視図である。
【図6】図5に示した光スイッチング素子の側面構成を
表す側面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…下部電極、3…変位板、4…上部電極、
5…支持体、5R,5L…支持部、10…光スイッチン
グ素子、51…二股分岐部、51A,51B…分岐部、
52…連結部、B…入射光、G…エアギャップ、R…反
射光。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の光学薄膜と、 光の干渉現象を生じ得る大きさの間隙を挟んで前記第1
    の光学薄膜に対向し、前記第1の光学薄膜の方向に変位
    可能な第2の光学薄膜と、 この第2の光学薄膜の変位領域外に配設され、前記第2
    の光学薄膜を変位可能に支持する支持体と、 前記第2の光学薄膜を変位させて前記間隙の大きさを変
    化させることにより、入射光に対する光学特性を変化さ
    せる駆動手段とを備えたことを特徴とする光スイッチン
    グ素子。
  2. 【請求項2】 前記支持体は、前記第2の光学薄膜と一
    体形成されたものであることを特徴とする請求項1記載
    の光スイッチング素子。
  3. 【請求項3】 前記支持体は、前記第2の光学薄膜の両
    端を支持する2つの支持部を含むものであることを特徴
    とする請求項1記載の光スイッチング素子。
  4. 【請求項4】 前記2つの支持部は、一方の分岐部が前
    記第1の光学薄膜に連結され、かつ他方の分岐部が前記
    第2の光学薄膜に連結された二股分岐部を有し、前記第
    2の光学薄膜の変位に応じて前記一方の分岐部が前記他
    方の分岐部と近接または離間するものであることを特徴
    とする請求項3記載の光スイッチング素子。
  5. 【請求項5】 前記二股分岐部の分岐方向は、前記2つ
    の支持部の間で互いに逆向きになっていることを特徴と
    する請求項4記載の光スイッチング素子。
  6. 【請求項6】 前記第2の光学薄膜は、窒化シリコンを
    含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    光スイッチング素子。
  7. 【請求項7】 前記第2の光学薄膜は静電力を利用して
    変位するものであり、 前記駆動手段は、 前記第1の光学薄膜を構成する第1の電極と、前記第2
    の光学薄膜を挟んで前記第1の電極に対向する第2の電
    極とを含み、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加す
    ることにより前記静電力を発生させるものであることを
    特徴とする請求項1記載の光スイッチング素子。
  8. 【請求項8】 前記第2の光学薄膜は、前記間隙を隔て
    て前記第1の光学薄膜から離間された第1の位置と、前
    記第1の光学薄膜に接触する第2の位置との間を、数μ
    秒で変位可能なものであることを特徴とする請求項1記
    載の光スイッチング素子。
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