JP2003213448A - クロメート被膜付き金属部材及びその製造方法 - Google Patents

クロメート被膜付き金属部材及びその製造方法

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JP2003213448A JP2002265797A JP2002265797A JP2003213448A JP 2003213448 A JP2003213448 A JP 2003213448A JP 2002265797 A JP2002265797 A JP 2002265797A JP 2002265797 A JP2002265797 A JP 2002265797A JP 2003213448 A JP2003213448 A JP 2003213448A
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chromate film
film
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Hirotetsu Nasu
弘哲 那須
Wataru Matsutani
渉 松谷
Makoto Sugimoto
誠 杉本
Mitsuru Yoshida
満 吉田
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NGK Spark Plug Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/10Use of solutions containing trivalent chromium but free of hexavalent chromium

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  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 六価クロムを本質的に含有しないクロメート
被膜にて覆われ、かつ色調により識別可能な金属部材、
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 金属部材55(腐食防止のため亜鉛メッ
キ層56が形成されている)を、三価クロム塩と三価ク
ロムに対する錯化剤とを配合したクロメート処理浴58
中に浸漬する。そして、金属部材55の少なくとも一部
に、含有されるクロム成分の95質量%以上が三価クロ
ムである膜厚0.2〜0.5μmのクロメート皮膜57
を形成させる。その後、該金属部材55’を着色処理浴
59中に浸漬する。これにより、被膜中に染料粒子51
が分散して含有されるクロメート被膜57にて覆われた
金属部材55を形成することができる。該染料粒子51
によりクロメート被膜57が着色し、金属部品55の識
別が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の少なくとも
一部にクロメート被膜が形成されているクロメート被膜
付き金属部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属部材の腐食防止のためには、表面に
メッキを施したり、さらにその表面をクロメート被膜に
より覆う処理が施されることが多い。このクロメート被
膜のうち有色クロメート被膜は、耐食性に優れることか
ら幅広い分野で使用されている。しかし、有色クロメー
トに限らず、耐食性に優れる多くのクロメート被膜は、
そのクロメート被膜中に六価クロムが含有されている傾
向があり、環境保護の観点から敬遠されつつある。以
下、六価クロムを本質的に含有するクロメート被膜を六
価クロメート被膜ともいう。
【0003】上記のような問題から、本発明者らは、六
価クロムを本質的に含有せず、そのクロム成分のほとん
どが三価クロムにてなるクロメート被膜の開発を行って
いる。以下、このようなクロメート被膜を三価クロメー
ト被膜ともいう。さらに、クロメート被膜の膜厚を厚く
することで、耐食性も良好に維持することに成功してい
る。このように、六価クロムの使用が世界中で実質的に
制限されるに従い、六価クロメート被膜から三価クロメ
ート被膜への代替が進んでいる。(例えば、特許文献
1、特許文献2、特許文献3参照)
【0004】
【特許文献1】特開2000−234177号公報(第
2頁)
【特許文献2】特開平7−126859号公報(第2頁)
【特許文献3】特開平10−183364号公報(第2
頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、六価ク
ロメート被膜は、被膜中に分散して含有される六価クロ
ムの量と被膜の膜厚を変えることにより、前述の有色ク
ロメート被膜をはじめ、多彩な色調を呈することが可能
である。しかし、三価クロメート被膜は膜厚の調整が困
難であることもあって、六価クロメート被膜のように多
彩な色調を出すことができなかった。そのため、三価ク
ロメート被膜が形成される金属部材においては、従来六
価クロメート被膜が形成される金属部材において行なわ
れていたように、色調によって部品自体を区別したり、
部品の左右等の情報を識別しにくいものであった。
【0006】本発明の課題は、六価クロムを本質的に含
有しないクロメート被膜にて覆われ、かつ色調により識
別可能な金属部材、及びその製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために本発明のクロメート被膜付き金属部材
は、含有されているクロム成分の95質量%以上が三価
クロムであるクロメート被膜により表面の少なくとも一
部が覆われてなり、前記クロメート被膜に染料粒子が含
有されていることを特徴とする。
【0008】上記本発明の構成においては、金属部材の
表面の少なくとも一部に形成されるのが、含有されるク
ロム成分の95質量%以上が三価クロムであるクロメー
ト被膜である。すなわち、通常の有色クロメート被膜で
は、クロム成分の25〜35質量%程度が六価クロムで
あるのに対し、クロム成分に対する六価クロムの含有率
が5質量%以下と少ないので、六価クロムを削減しよう
とする環境対策上の要望に応えることができる。望まし
くは、クロメート被膜は含有されるクロム成分の98重
量%以上が三価クロムであるのがよい。さらに望ましく
は、クロメート被膜は、六価クロム成分を実質的に含有
しないのがよい。なお、六角クロム成分を実質的に含有
しないというのは、X線光電子分光分析法(XPS)に
より分析を行った時、六価クロム成分が検出されないも
のを言う。さらに、クロメート被膜中に染料粒子が分散
して形成されているので、六角クロムを殆ど含有してい
なくても、膜厚等を変更することなく色調を呈すること
が可能となる。色調を呈することが可能になるのは、染
料粒子により可視領域内の特定波長領域の光が吸収され
るためである。そのため、染料粒子の構成成分を変更し
吸収される光の波長領域の範囲を変えれば、さまざまな
色調を出すことができる。これにより、三価クロメート
被膜にて覆われた金属部材であっても、色調により部材
自体を区別したり、部材の各部位の色調を変更すること
により、部材の左右等の情報を識別することが可能とな
る。なお、上記染料粒子はクロメート被膜内部に含浸さ
れているので、金属部材の他の部材との摩擦等により色
調が薄れたりする不具合がない。
【0009】また、本発明は、クロメート被膜の膜厚が
0.2〜0.5μmであるものに適用するのがよい。本
発明者等は、三価クロメート被膜の耐食性を向上させる
ために、三価クロメート被膜の膜厚を上記のような厚膜
にすることに成功している。しかしながら、このような
厚膜のクロメート被膜の形成により、被膜の耐食性は向
上したものの、被膜の構造がより緻密となり染料粒子等
の他の成分が含有されにくい構造となっていた。本発明
は、このようにより緻密な構造を有する三価クロメート
皮膜に染料粒子を含有させ、その結果として耐食性の良
好な三価クロメート被膜においても色調を呈するように
したので、その活用範囲も広がり産業上多大な効果を有
するものである。なお、クロメート被膜の膜厚が0.2
μm未満では、防食性能と耐熱性とを十分に確保できな
くなる。その上、染料の浸漬するスペースが小さくな
り、十分な色調を呈することができないという不具合も
ある。また、膜厚が0.5μmを超えると、被膜にクラ
ックを生じたり(例えば、他部材との組付け等における
加工時)、あるいは被膜の脱落等が生じやすくなって、
却って防食性能が損なわれることにつながる。クロメー
ト被膜の膜厚は、望ましくは0.3〜0.5μmとする
のがよい。
【0010】クロメート被膜内部に含有される染料粒子
としては、極性分子化合物を含有するものとできる。上
記のような三価クロメート被膜は非常に緻密であり、そ
の結果耐食性に優れるのであるが、本発明者等が検討し
たところ、染料粒子を被膜内部に浸透させようとする
と、この被膜の緻密性がかえって障害となることがわか
った。一方、三価クロメート被膜には極性を有する水分
が三価クロムとの水和物として含有されていることが知
られている。このことに着目した本発明者等は、極性分
子化合物を含有する染料粒子であれば、被膜中に含有さ
れる水分から双極子−双極子相互作用に基づく分子間力
を受ける結果、被膜内部まで浸透しやすいという知見を
得た。クロメート被膜への染料粒子の浸透が容易となる
結果、緻密に形成された耐食性の良好な三価クロメート
被膜であっても、染料粒子を被膜内部に形成することが
でき、十分な色調を呈することが可能となる。さらに、
染料粒子は金属イオンを中心として、その周りにキレー
ト配位子が配位結合している成分を含有するものとでき
る。これにより、該金属イオンを色中心として該金属イ
オンに特有の色調を呈することができる。
【0011】クロメート処理は、下地金属を酸化溶出さ
せながら、クロム成分をいわば置換堆積させる一種の化
成処理である。従って、外部から電力を供給しない無電
解型のクロメート処理においては、下地金属はクロメー
ト処理浴中に溶出可能な金属である必要がある。炭素鋼
等の鉄系材料で構成されている金属部材の表面には防食
のために、金属成分の主体が亜鉛からなる亜鉛系メッキ
層を形成することができる。この亜鉛系メッキ層は、上
記の意味において、クロメート被膜を形成するための下
地金属として好都合である。この場合、溶出した亜鉛成
分は、クロメート被膜中に取り込まれることが多い。な
お、亜鉛系メッキ層は公知の電解亜鉛メッキあるいは溶
融亜鉛メッキにより形成することができる。他方、電解
クロメート処理法を採用すれば、金属成分の主体がニッ
ケルからなるニッケル系メッキ層であっても、また、金
属成分の主体が鉄からなる鉄系メッキ層等であっても、
クロメート被膜を形成することができる。
【0012】また、上記金属部材を製造するための本発
明の第一の方法は、金属部材を、三価クロム塩と、三価
クロムに対する錯化剤とが配合された、含有されるクロ
ム成分の95質量%以上が三価クロムであるクロメート
処理浴に有機染料及び/又は有機金属複合染料が添加さ
れてなる混合処理浴中に浸漬することを特徴とする。こ
れによりクロメート被膜の形成と同時に、該クロメート
被膜中に染料粒子を含有させることが可能となる。
【0013】また、第二の方法は、金属部材を、三価ク
ロム塩と三価クロムに対する錯化剤とが配合された、含
有されるクロム成分の95質量%以上が三価クロムであ
るクロメート処理浴中に浸漬させた後、有機染料及び/
又は有機金属複合染料が含有されてなる着色処理浴中に
浸漬させることを特徴とする。これによりクロメート処
理浴により形成されるクロメート皮膜中に染料粒子が浸
透し、クロメート被膜中に染料粒子を分散して含有する
ことが可能となる。
【0014】クロメート処理浴として、三価クロム塩と
ともに三価クロムに対する錯化剤を配合したものを用い
ることで、一般的なクロメート処理法では困難な緻密で
厚膜の三価クロム系クロメート被膜を形成することが可
能となる。このようなクロメート被膜の形成方法につい
ては、ドイツ公開特許公報DE19638176A1号に詳細が開示
されている。
【0015】クロメート処理浴に添加される錯化剤とし
ては、各種キレート剤(ジカルボン酸、トリカルボン
酸、オキシ酸、水酸基ジカルボン酸あるいは水酸基トリ
カルボン酸等:例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、
アセレイン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テ
レフタル酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビ
ン酸等)を用いることが有効であるが、他の錯化剤を用
いてもよい。使用可能な錯化剤については前記ドイツ公
開特許公報に記載されている通りである。
【0016】また、上記混合処理浴、あるいは着色処理
浴に含有される有機染料として、Na、Cl、C、H、
O、N及びSから選ばれる1種又は2種以上の元素を含
む成分を有するものを使用してもよい。このような有機
染料を使用すれば、上記クロメート処理浴に添加しても
良好に染料粒子をクロメート被膜に含有させることがで
きるし、着色処理浴として単体で使用しても染料粒子が
分散して含有されるクロメート被膜が形成される。な
お、アゾ染料を有機染料として使用することもできる。
【0017】さらに、上記有機染料にCr及びCuから
選ばれる1種又は2種の元素を含む金属成分を含有する
有機金属複合染料を使用してもよい。これにより、三価
クロメート被膜への染料粒子の定着が促進されるという
効果がある。これら金属成分の有機金属複合染料及び水
分に対する含有量は、それぞれ、5〜800ppmであ
るのがよい。また、有機金属複合染料としてフタルシア
ニンを例示できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は本発明のクロメート被膜付き
金属部材たる金属部材55の一例(例えばボルト等)を
示している。金属部材55には、腐食防止のために亜鉛
系メッキ層56が形成されている。亜鉛系メッキ層56
は、公知の電解亜鉛メッキ法により形成されるものであ
り、形成される亜鉛系メッキ層56の厚さは例えば3〜
9μm程度とされる。亜鉛系メッキ層56の厚さが3μ
m未満であると、腐食を防止する効果が乏しく、また、
犠牲腐食による亜鉛系メッキ層56の消耗により耐食性
を十分に確保することができないため好ましくない。一
方、9μmを超える膜厚は、耐食性確保という観点にお
いては過剰スペックであり、またメッキ時間が長くかか
ることによる製造能率の低下にもなる。また、他部材と
の組み付けや、曲げ加工等の加工時にメッキ剥離等を生
じ易くなる問題もある。
【0019】上記のような亜鉛系メッキ層56のさらに
表面にクロメート被膜57が形成されている。このクロ
メート被膜57の膜厚は0.2〜0.5μmに設定され
ている。また、クロメート被膜に含有されるクロム成分
の95質量%以上が三価クロムである。なお、望ましく
は、含有されるクロム成分の98質量%以上が三価クロ
ムである。また、望ましくは、含有されるクロム成分の
すべてが実質的に三価クロム成分となっているのが良
い。さらに、クロメート被膜57の被膜中には、図2に
示すように、染料粒子51が分散して含有されている。
該染料粒子51はその構成成分として極性分子化合物を
含有するものである。
【0020】図3は、本発明のクロメート被膜付き金属
部材の製造方法の一例を説明したものである。すなわち
公知の電解亜鉛メッキ法等により所定の膜厚の亜鉛系メ
ッキ層56を形成した金属部材55を混合処理浴50に
浸漬する。混合処理浴50は、クロメート被膜57を形
成するためのクロメート処理浴に、クロメート被膜57
を着色するための有機染料及び/又は有機金属複合染料
が添加されているものである。これらのクロメート処理
浴あるいは染料は、前述したものを使用できる。これに
より図2に示すような染料粒子51が分散して含有され
ているクロメート皮膜57にて金属部材55を覆うこと
ができる。なお、図3は皮膜形成の工程を概念的に示す
ものであり、金属部材55を単に混合処理浴50に浸漬
するかのように描いているが、実際は処理能力向上のた
め、公知のバレル処理法(透液性の容器内に金属部材5
5をバラ済み挿入し、混合処理浴50中にて該容器を回
転させながら行う処理)等を採用することができる。
【0021】上記混合処理浴50としては、20〜80
℃の温度に設定されるものを使用するのが良い。浴温が
20℃未満であると、十分にクロメート被膜57が形成
できないので、十分な着色ができず、また、耐食性が確
保できない。一方、80℃を越えると、混合処理浴50
からの水分の蒸発が激しくなって、十分にクロメート被
膜57が形成できないので、耐食性が十分に確保できな
い。さらに、このような混合処理浴50への主体金具5
5の浸漬時間は20〜80秒とするのがよい。20秒未
満だと、浸漬時間が短すぎてクロメート被膜57を形成
することができないので、耐食性が十分に確保できず、
着色も十分でない。一方80秒を越えると、浸漬時間が
長すぎ、クロメート被膜の耐食性に影響を与える。さら
に、pHが1.8〜2.4に設定されているものを使用
するのがよい。pHが1.8未満であると、膜厚が厚く
なり、形成されているクロメート被膜57が侵食されや
すくなる。一方、pHが2.4を越える場合、膜厚が薄
くなり、同様にクロメート被膜57が侵食されるので好
ましくない。また、十分に着色することもできない。
【0022】また、クロメート被膜57中に染料粒子5
1が分散して含有される形態を実現するには、図4のよ
うにしてもよい。すなわち、クロメート処理浴58中
に、亜鉛メッキ形成後の金属部材55を浸漬させクロメ
ート被膜57を形成したのち、クロメート被膜57が形
成された金属部材55’を着色処理浴59中に浸漬す
る。クロメート処理浴58は、前述のものを使用でき
る。着色処理浴59は前述した有機染料及び/又は有機
金属複合染料により構成されており、染料粒子51が多
数含有されている。これにより、図5に示すように、既
に形成されているクロメート皮膜57内部に染料粒子5
1が浸透し、図2に示すような染料粒子51が分散され
たクロメート被膜57を形成することができる。この場
合、クロメート被膜57が形成されたあと、温風乾燥等
の処理によりクロメート被膜57を乾燥しないで、着色
処理浴59中に金属部材55’を浸漬するのがよい。ク
ロメート被膜57を乾燥させてしまうと、クロメート被
膜57中の水分が蒸発して染料粒子51が浸透しにくく
なってしまう。
【0023】クロメート被膜57を形成したのち、着色
処理浴59に浸漬させる場合、クロメート被膜57の耐
食性を考慮すれば、クロメート処理浴58の温度を20
〜80℃の範囲に設定するのがよく、金属部材55のク
ロメート処理浴58への浸漬時間を20〜80秒に設定
するのが好ましい。これにより、膜厚0.2〜0.5μ
mのクロメート被膜57を形成でき、該クロメート被膜
57の耐食性を良好に維持できる。該効果を得るには、
さらに、クロメート処理浴のpHを1.5〜3程度まで
下げるのがよい。これにより、被膜形成されたクロメー
ト皮膜57の再溶解も適度に抑えられるとともに、下地
金属層(本実施の形態においては亜鉛を主体とする亜鉛
系メッキ層56)の溶解が促進されるので厚膜のクロメ
ート被膜の形成に効果的である。
【0024】また、着色処理浴59としては、20〜8
0℃の温度に設定されたものを使用するのがよい。浴温
が20℃未満であると、染料粒子51のクロメート被膜
57への浸透力が低下して十分に着色することができな
い。一方、浴温が80℃を超えると、染料の含有量ある
いはpH等の管理が困難となったり、クロメート被膜5
7の耐食性に影響を与えるので好ましくない。さらに、
着色処理浴59は、pHが2〜8に設定されたものを使
用するのがよい。着色処理浴59のpHが2未満である
と、着色処理浴59中の酸性成分により、形成されてい
るクロメート皮膜57が侵食されやすくなる。一方pH
が8を越える場合であっても、アルカリ成分により、同
様にクロメート被膜57が侵食されるので好ましくな
い。また、本発明者等によれば、着色処理浴59のpH
がアルカリ側になると、染料粒子51の浸透力が低下す
るという知見も得ている。
【0025】上記のような着色処理浴59への金属部材
55’の浸漬時間は20〜80秒とするのがよい。浸漬
時間が20秒未満であると、浸漬時間が短すぎ染料粒子
51が十分に浸透しにくいため良好な着色が行なわれな
い。一方、80秒を越えて浸漬しても染料粒子51の浸
透量に変化はなく、これ以上の浸漬は生産性の低下を招
くばかりか、クロメート被膜57の耐食性に影響を与え
るので好ましくない。
【0026】
【実施例1】クロメート皮膜付き金属部材としてボルト
を取り上げ、本発明の効果を調べた。なお、本実施例は
本発明の一例を示すものであり、本発明はその趣旨を逸
脱しない範囲で、当業者の知識に基づき、その他の変更
を加えた態様で実施可能である。
【0027】JIS G3539―1999に規定され
た冷間圧造用炭素鋼線SWCH8Aを素材として用い、
図1に示す形状のボルト55を冷間鍛造により製造し
た。このボルト55に公知のアルカリシアン化物浴を用
いた電解亜鉛メッキ処理を施すことにより、膜厚約6μ
mの亜鉛系メッキ層56を施した。
【0028】次いで、クロメート処理浴58を、脱イオ
ン水に対し1リットル当り、塩化クロム(III)(C
rCl・6HO)を50g、硝酸コバルト(II)
(Co(NO)を3g、硝酸ナトリウム(NaN
)を100g、マロン酸31.2gの割合で溶解す
ることにより建浴し、ヒーターにより液温60℃に保持
するとともに、浴のpHを苛性ソーダ水溶液の添加によ
り2.0に調節した。そして、亜鉛メッキ後のボルト5
5を上記クロメート処理浴58に60秒浸漬し、三価ク
ロム系クロメート皮膜57を形成した。
【0029】以上のようにして形成されたボルト55
を、前述の有機染料にてなる着色処理浴59に表1の条
件に基づいて浸漬した。有機染料は具体的に奥野製薬工
業株式会社製のトップジンクカラープロセスY−5を着
色処理浴1リットルに対し、4g使用した。なお、この
トップジンクカラープロセスY−5には極性分子化合物
が含有されている。その後、ボルト55’の表面の色調
と、比較例であるクロメート処理浴のみに浸漬したボル
ト55’(サンプル11)とを目視により比較し、全く
色調に違いが見られないものを×、色調の違いは確認さ
れるものの色調が薄いものを△、十分に色調が付与され
ているものを○として評価した。なお、スパークプラグ
の主体金具55’の表面の色調は略黄色である。
【0030】また、JIS H8502―1988に規
定されたメッキの耐食性試験方法における「5.中性塩
水噴霧試験方法」を各ボルト55’に行い、該試験を9
6時間行った後に亜鉛系メッキ層56の腐食に由来する
白錆の発生程度を目視により行った。評価基準は、以下
の通りである。 ○(優良):白錆の全表面積に対する割合が10%未
満。 △(良好):白錆の全表面積に対する割合が10%以上
で20%未満。 ×(不良):白錆の全表面積に対する割合が20%以
上。
【0031】また、各試験品に対し、クロメート被膜5
7の膜厚をSEMによる断面からの実測で測定してい
る。なお、クロメート被膜57の観察を容易にするため
に、被膜表面にAu薄膜をスパッタ法により形成してい
る。SEM像では、導電率の低いクロメート被膜層が暗
く写るので、そのコントラストからクロメート被膜の像
を容易に確認することができる。以上の結果を表1に示
す。
【0032】
【表1】
【0033】表1により、本発明の製造方法により三価
クロメート皮膜57を着色できることがわかる。さら
に、浴温を20℃以上、浴のpHを8以下、浸漬時間を
20秒以上とすることにより良好な着色が行なわれるこ
とがわかる。一方で、浴温が80℃を越えたり、浴のp
Hが1以下であったり、また浸漬時間が90秒を越える
と被膜の耐食性が低下することがわかる。
【0034】
【実施例2】実施例1と同様のボルト55を製造し、ア
ルカリシアン化物浴を用いた電解亜鉛メッキ処理を施す
ことにより、膜厚6μmの亜鉛系メッキ層56を施し
た。
【0035】次いで、クロメート処理浴58を、脱イオ
ン水に対し1リットル当り、塩化クロム(III)(C
rCl・6HO)を50g、硝酸コバルト(II)
(Co(NO)を3g、硝酸ナトリウム(NaN
)を100g、マロン酸31.2g、さらに有機染
料(トップジンクカラープロセスY−5)を4gの割合
で溶解することにより建浴した。なお、浴のpHを苛性
ソーダ水溶液の添加により2.0に調節した。
【0036】以上のようにして調整された混合処理浴5
0にボルト55を表2の条件に基づいて浸漬した。その
後、スパークプラグの主体金具55’の表面の色調と、
比較例である実施例1のクロメート処理浴のみに浸漬し
たスパークプラグの主体金具55’(サンプル7)とを
目視により比較し、全く色調に違いが見られないものを
×、色調の違いは確認されるものの色調が薄いものを
△、十分に色調が付与されているものを○として評価し
た。なお、スパークプラグの主体金具55’の表面の色
調は略黄色である。
【0037】また、実施例1と同様に、JIS H85
02―1988に規定されたメッキの耐食性試験方法に
おける「5.中性塩水噴霧試験方法」を各ボルト55’
に行い、該試験を96時間行った後に亜鉛系メッキ層5
6の腐食に由来する白錆の発生程度を目視により行っ
た。評価基準は、以下の通りである。 ○(優良):白錆の全表面積に対する割合が10%未
満。 △(良好):白錆の全表面積に対する割合が10%以上
で20%未満。 ×(不良):白錆の全表面積に対する割合が20%以
上。
【0038】また、各試験品に対し、クロメート被膜5
7の膜厚をSEMによる断面からの実測で測定してい
る。なお、クロメート被膜57の観察を容易にするため
に、被膜表面にAu薄膜をスパッタ法により形成してい
る。SEM像では、導電率の低いクロメート被膜層が暗
く写るので、そのコントラストからクロメート被膜の像
を容易に確認することができる。以上の結果を表2に示
す。
【0039】
【表2】
【0040】表2により、本発明の製造方法により三価
クロメート被膜57を着色できることがわかる。ところ
が、液温が20℃より低い場合、または、浸漬時間が2
0秒より短い場合、pHが2.4を越えるの場合、三価
クロメート被膜の膜厚0.2μmより薄くなり、十分に
着色ができず、また、耐食性も低下することがわかる。
また、液温が80℃より高い場合、または、浸漬時間が
80秒より長い場合、pHが1.8未満の場合、三価ク
ロメート被膜の膜厚が0.5μmより厚くなり、耐食性
が低下することがわかる。よって、液温20℃〜80
℃、浸漬時間20秒〜80秒、pH1.8〜2.4とす
ることで、良好な着色ができ、及び、耐食性の良い三価
クロメート被膜を形成することができる。
【0041】なお、各試験品の各クロメート皮膜57中
のクロムの存在状態を、X線光電子分光分析法(XP
S)により調べ、含有されるクロム成分の100質量%
が三価クロムで六価クロムは検出されないこと確認して
いる。なお、X線光電子分光分析は、VG Scien
tific社製のESCALLAB220iXLにより
行った。
【0042】また、本発明の発明品である実施例1のサ
ンプル2、5、6、9、実施例2のサンプル2、3に対
し、クロメート被膜57の色調をLab表色系にて数値
化を行うと、クロメート被膜の色調は、明度Lが60〜
90及び色相aが−40〜40及びbが0〜60及び彩
度Cが10〜60となることが確認された。なお、La
b表色系は、ミノルタ製分光側色計CM−3500dで
測定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクロメート被膜付き金属部材の一例を
示す図。
【図2】クロメート被膜の断面に含有される染料粒子を
示す概念図。
【図3】本発明のクロメート被膜付き金属部材の製造方
法の一例を示す概念図。
【図4】本発明のクロメート被膜付き金属部材の製造方
法の図3とは異なる一例を示す概念図。
【図5】クロメート被膜に染料粒子が浸透する様子を示
す概念図。
【符号の説明】
50 混合処理浴 51 染料粒子 55、55’ 金属部材(ボルト) 56 亜鉛系メッキ層 57 クロメート被膜 58 クロメート処理浴 59 着色処理浴
フロントページの続き (72)発明者 吉田 満 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA12 BA06 BA12 BB01 BB08 CA13 CA14 CA17 CA19 CA32 DA03 EB02 EB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含有されているクロム成分の95質量%
    が三価クロムであるクロメート被膜(57)により表面
    の少なくとも一部が覆われてなり、 前記クロメート被膜(57)に染料粒子(51)が含有
    されていることを特徴とするクロメート被膜付き金属部
    材(55)。
  2. 【請求項2】 前記染料粒子は、極性分子化合物を含有
    してなることを特徴とする請求項1に記載のクロメート
    皮膜付き金属部材。
  3. 【請求項3】 前記クロメート被膜の膜厚が0.2〜
    0.5μmであることを特徴とする請求項1又は2のい
    ずれか1項に記載のクロメート被膜付き金属部材。
  4. 【請求項4】 金属部材(55)を、三価クロム塩と、
    三価クロムに対する錯化剤とが配合された、含有される
    クロム成分の95質量%以上が三価クロムであるクロメ
    ート処理浴に有機染料及び/又は有機金属複合染料が添
    加されてなる混合処理浴(50)中に浸漬することを特
    徴とするクロメート被膜付き金属部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属部材(55)を、三価クロム塩と三
    価クロムに対する錯化剤とが配合された、含有されるク
    ロム成分の95質量%以上が三価クロムであるクロメー
    ト処理浴(58)中に浸漬させた後、有機染料及び/又
    は有機金属複合染料が含有されてなる着色処理浴(5
    9)中に浸漬させることを特徴とするクロメート皮膜付
    き金属部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記着色処理浴は、温度が20〜80
    ℃、かつpHが2〜8、前記着色処理浴への前記金属部
    材の浸漬時間を20〜80秒に設定されていることを特
    徴とする請求項5に記載のクロメート被膜付き金属部材
    の製造方法。
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EP1900945A4 (en) * 2005-06-13 2010-06-30 Saga Tekkohsho Co Ltd SCREWS AND SCREW CLOSURE STRUCTURE
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