JP2003202532A - 偏波コントローラ - Google Patents

偏波コントローラ

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JP2003202532A
JP2003202532A JP2001401029A JP2001401029A JP2003202532A JP 2003202532 A JP2003202532 A JP 2003202532A JP 2001401029 A JP2001401029 A JP 2001401029A JP 2001401029 A JP2001401029 A JP 2001401029A JP 2003202532 A JP2003202532 A JP 2003202532A
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JP
Japan
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polarization
polarization controller
mode
optical waveguide
mode conversion
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Application number
JP2001401029A
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English (en)
Inventor
Shiro Shichijo
司朗 七条
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で生産性が高く、低電圧で駆動可
能な偏波コントローラを提供する。 【解決手段】 強誘電性基板12は、光導波路16と、
該光導波路16における光の進行方向に沿って複数のド
メイン領域D1,D2を配列して成るとともに、隣接す
るドメイン領域D1,D2間で分極方向が180度反転
しているモード変換部14とを有する。モード変換部1
4内の光導波路16に前記進行方向と直交する方向に電
界を印加する一対の平板状電極17a,17bを、強誘
電性基板12の表面に配置する。偏波コントローラ11
は、モード変換部14内の光導波路16に電界を印加す
ることによって、光導波路16を通過する光の偏波状態
を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光伝送システムに
おける偏波モード分散を補償するための偏波モード分散
補償器(PMDC:Polarization Mode Dispersion Com
pensator)に必要な一部品である偏波コントローラに関
する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信においては、通信量の爆
発的増大に対応するために、1本の光ファイバに多くの
波長の光信号を多重化して伝送させる波長多重通信(W
DM)方式が使用されている。さらに、情報量の増大に
対応するために、変調スピードが2.5GHzから10
GHzへと高速化しており、将来的には40GHz、8
0GHzへとさらなる変調スピードの高速化が進展しよ
うとしている。
【0003】このような高速変調の光信号を光ファイバ
に入射して伝送させた場合、偏波モード分散(PMD:
Polarization Mode Dispersion)が生じることが知られ
ている。通常、伝送用光ファイバは構造(断面形状)が
真円ではないため、10-7〜10-5程度の複屈折が生じ
る。偏波モード分散とは、伝送用光ファイバに生じる複
屈折によって、直交する2つの偏波状態の縮退がとけ
て、偏波ごとに群速度が異なる現象である。この群速度
の差は非常に小さいが、高速変調(高速通信)もしくは
長距離伝送では、伝送特性に悪影響を及ぼすことが知ら
れている。
【0004】各光周波数において、出力直交偏光状態の
光周波数依存性が最小となるような直交偏光状態が存在
し、この状態はPSP(Principal State of Polarizat
ion)と呼ばれている。この直交偏光状態は、光信号が
伝搬してくる光ファイバの状態、外気温変化、振動等に
よって、刻々と変化する。また、この2つの直交偏光間
では群速度が異なるため、2つのパルス(偏光)の到着
時間に差が生じ、受信信号の波形になまりが生じる。こ
の受信信号の波形なまりは、ビットエラーレート(BE
R)の低下をもたらす。
【0005】1次のPMDは、厳密には出力PSPにお
ける2つの直交偏光間の差分時間遅延(DGD:Differ
ential Group Delay)で定義される。そして、PSPは
温度変化などの外乱によって変化するため、PMD値は
時間とともに変化する。また、PSPに周波数依存性が
存在する場合は、高次(たとえば2次)のPMDが生じ
ることが知られている。
【0006】光信号における異なる偏波成分間に生じる
大幅な時間遅延は、光信号を受光したときに大きなパル
スの広がりをもたらす。これは、伝送波長チャンネルあ
たり10Gbs以上のビット速度で伝送させるシステム
において、特に顕著になる。たとえば、約20psの群
遅延差によるパルスの広がりは、受信電気信号のアイダ
イヤグラムにおいて0.5dB程度の閉じを引き起こ
し、ビットエラーレート(BER)の低下をもたらす。
高速長距離伝送には、こうした1次のPMD補償技術と
してPMDCの開発が急務である。
【0007】PMDCは、偏波コントローラとDGD補
正器とを備えて構成される。偏波コントローラ(Polari
zation ControllerもしくはPolarization Transforme
r)は、光ファイバからの刻々と変化する偏波状態(偏
光方向)を、DGD補正器に対して最適な状態、たとえ
ばDGD補正器を構成する基板の屈折率楕円体の主軸方
向と一致させる。また、DGD補正器は、直交する2つ
の偏波状態間の群速度の差を補正する。このPMDCの
中の部品として、偏波コントローラが重要となってい
る。このような偏波コントローラとして、電界印加によ
る屈折率変化のポッケルス効果を利用したニオブ酸リチ
ウム(LiNbO3)導波路を利用したものが知られて
いる。
【0008】図6は、USP4384760に開示され
ているニオブ酸リチウム結晶を用いた偏波コントローラ
1の構成を示す斜視図である。この偏波コントローラ1
は、ニオブ酸リチウム結晶基板2にx軸カット・y軸伝
搬の方位で光導波路3を形成するとともに、この光導波
路3の伝搬方向に沿って上流側からTE−TM位相シフ
ト部4、TE−TMモード変換部5、TE−TM位相シ
フト部6を構成してなる。この偏波コントローラ1で
は、電気光学定数としてポッケルス定数の非対角項であ
るr51を使用し、x軸方向の電界を印加して、x軸方
向およびz軸方向の2つの偏光状態の光に結合が生じる
現象を利用している。
【0009】TE−TMモード変換部5は、光導波路3
上で噛み合うように基板2の表面に一対の櫛型電極7
a,7bを形成して構成される。この櫛型電極7a,7
b間に電圧を印加することによって、光導波路3上でx
軸方向の電界方向が周期的に反転する。この電界印加に
よって、TE−TM変換部5ではTE−TMモードの位
相変化は打ち消されて0になるが、TM−TEのモード
変換のみが生じる。
【0010】TE−TMモード変換部5の前段に配置さ
れているTE−TM位相シフト部4は、TE−TMモー
ド変換部5に入射されるTEモードとTMモード間の位
相を調整する目的で配置されている。TE−TM位相シ
フト部4は、基板2の表面に光導波路3を挟んで一対の
平板状電極8a,8bを形成して構成され、この電極8
a,8b間に電圧を印加することによって発生する電界
のうち、z軸方向の電界成分を利用して位相を調整す
る。
【0011】なお、TE−TMモード変換部5では、入
射される際の位相差φが±π/2となる場合のみ、変換
後の偏波方向角度を0からπ/2まで、印加電圧に対し
て直線的に変化させることができる。逆に、π/4とな
る場合は、偏波方向の回転は生じないことが数学的に示
されている。したがって、TE−TM位相シフト部4で
は、TEモードとTMモード間の位相差が±π/2とな
るように電極8a,8b間に印加される電圧がコントロ
ールされる。
【0012】TE−TMモード変換部5の後段に配置さ
れているTE−TM位相シフト部6は、基板2の表面に
光導波路3を挟んで一対の平板状電極9a,9bを形成
して構成され、この電極9a,9b間に電圧を印加する
ことによって発生する電界のうち、z軸方向の電界成分
を利用して位相を調整する。TE−TM位相シフト部6
は、TE−TMモード変換部5を通って任意の回転角度
の直線偏光に変換された偏光に任意の位相差を与えて、
任意の楕円偏光もしくは円偏光にする。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述した偏波コントロ
ーラ1における櫛型電極構造では、電極7aと電極7b
が配置されている領域にはx方向の電界は直接的には生
じないため、TE−TMモード変換部5の長さL1の約
半分は、TE−TMモードの結合に必要なr51成分を
利用できていないことになる。このため、長さL1に逆
比例して波長許容度が決定され、波長許容度が1nm程
度の極めて波長依存性の強い偏波コントローラとなって
いる。
【0014】また、櫛型電極構造のような周期的な電極
構造は、複雑で作製歩留まりが悪いという問題点もあ
る。さらに、周期的な電極構造では、電界と光のオーバ
ーラップ係数が低く、電気光学効果は非周期的な電極構
造の場合の4倍程度もあるにもかかわらず、必要な印加
電圧は非周期的な電極構造の場合と同程度となってい
る。また、周期的な電極構造を用いたx軸伝搬の偏波コ
ントローラ(r51〜28pm/V)の電圧長さ積は、
VπL〜40Vであり、非周期的な電極構造を用いたx
軸伝搬の偏波コントローラ(r61〜3.4pm/V)
と同程度であり、有効に定数が利用できていないという
問題が指摘されている(Fred Heismann;J.Lightwave Te
chnology,Vol.2,No.4,690,1994)。
【0015】これらのことから、波長許容度が広く、簡
単な電極構造で容易に製造できる偏波コントローラが要
望されている。
【0016】本発明の目的は、簡単な構造で生産性が高
く、低電圧で駆動可能な偏波コントローラを提供するこ
とである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、光導波路と、
該光導波路における光の進行方向に沿って複数のドメイ
ン領域を配列して成るとともに、隣接するドメイン領域
間で分極方向が180度反転しているモード変換部とを
有する強誘電性基板と、前記モード変換部内の光導波路
に、前記進行方向と直交する方向に電界を印加する電界
印加手段とを含み、前記モード変換部内の光導波路に電
界を印加することによって、前記光導波路を通過する光
の偏波状態を変化させることを特徴とする偏波コントロ
ーラである。
【0018】本発明に従えば、モード変換部が複数のド
メイン領域を配列して構成されており、各ドメイン領域
には光信号の進行方向と直交する方向に電界が印加され
ているので、モード変換部内の光導波路が全長にわたっ
てモード変換に使用される。これによって、従来の構造
に比べて、小型の偏波コントローラを実現することがで
きる。また、モード変換部の全体にわたってモード変換
に寄与する電界が印加されているので、印加する電界を
無駄なくモード変換に利用することができ、従来の構造
に比べて、低電圧で効率よくモード変換を実行すること
ができる。
【0019】また本発明は、前記強誘電性基板は、並列
に配列される複数の光導波路を有し、各光導波路に異な
る波長の光を通過させ、各波長の光の偏波状態を独立し
て変化させることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、異なる周波数の波長光が
多重された光信号の場合でも、各波長光ごとに独立して
モード変換を実行することができる。このように1つの
基板上に複数の波長光に対応するモード変換部を集積化
することによって、小型で低コストの偏波コントローラ
を実現することができる。
【0021】また本発明は、前記電界印加手段は、前記
強誘電性基板の主面上であって、前記モード変換部内の
光導波路を挟んで対向する位置に配置される一対の電極
を含むことを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、光導波路を挟んで対向す
る位置に配置された一対の電極間に電圧を印加すること
によって、モード変換部内の光導波路には、光の進行方
向と直交する方向の電界が印加される。このように強誘
電性基板の主面上にたとえば平板状電極を配置して構成
することができるので、従来の櫛型電極構造の場合に比
べて、簡単な構造で容易に製造することができる。
【0023】また本発明は、前記モード変換部の前段
に、通過する光の位相を調整する位相調整手段を有する
ことを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、モード変換部に入射され
る光信号は、位相調整手段によってTEモードとTMモ
ードとの2つのモード間の位相差が調整される。すなわ
ち、TEモードとTMモード間の位相差が±π/2とな
るように調整することができる。これによって、モード
変換部において効率よくモード変換を実行することがで
きる。
【0025】また本発明は、前記モード変換部の前段お
よび後段に、通過する光の位相を調整する位相調整手段
をそれぞれ有することを特徴とする。
【0026】本発明に従えば、モード変換部に入射され
る光信号は、前段の位相調整手段によってTEモードと
TMモードとの2つのモード間の位相差が調整され、モ
ード変換部によってモード変換が実行された後、後段の
位相調整手段によって任意の位相差が与えられる。これ
によって、たとえば入射光と同じ位相差を持つ光信号を
出力させたり、任意の楕円偏光または円偏光を出力させ
たりすることができ、様々な目的に偏波コントローラを
使用することができる。
【0027】また本発明は、前記強誘電性基板の温度を
制御する温度制御手段を含むことを特徴とする。
【0028】本発明に従えば、基板の温度を調整するこ
とができる。基板の温度を一定に保つことによって、使
用環境に影響を受けることなく、安定した動作を実現す
ることができる。
【0029】また本発明は、前記強誘電性基板は、ニオ
ブ酸リチウム結晶またはリチウムタンタレート結晶から
成ることを特徴とする。本発明に従えば、性能のよい偏
波コントローラを実現することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の偏波コントローラは、強
誘電性基板に、光導波路とモード変換部とを形成し、モ
ード変換部内の光導波路に電界を印加することによっ
て、光のTE−TMモード変換を効率的に行うものであ
る。本発明におけるモード変換部とは、光導波路におけ
る光の進行方向に沿って複数のドメイン領域を配列して
成るとともに、隣接するドメイン領域間で分極方向が1
80度反転している領域である。
【0031】まず、本発明の偏波コントローラにおい
て、光の偏光状態を制御する原理を説明する。図1は、
本発明の偏波コントローラ11の基本的構成を示す斜視
図である。偏波コントローラ11は、基本的には、強誘
電性基板12に、位相シフト部13とモード変換部14
と位相シフト部15とを、直列に配列して構成される。
【0032】通常、偏波コントローラでは位相シフト部
とモード変換部とを1つのユニットとして取り扱うが、
1つのユニットで構成された偏波コントローラは、使用
中に何回かのリセットサイクルを必要とし、この際通信
データが損なわれてしまう。これを避けるために、すな
わちリセットフリーにするために、図2に示されるよう
に、位相シフト部13とモード変換部14とから成るユ
ニットを複数段接合する構造がとられるが、この構造は
本発明の趣旨とは直接関係するものではなく、また周知
の構造である(たとえばUSP4966431に示され
ている。)ので、本実施形態では1段のユニットの場合
を説明する。
【0033】ところで、光ファイバから偏波コントロー
ラ11に入力される光信号の偏光状態は、時々刻々変動
する。そのため、この変動に合わせて後段のパルス遅延
量補正器(図示せず)のfast軸およびslow軸の
方向に合わせて、光信号の偏光状態を回転させることが
必要である。このとき、完全に偏光状態を回転させるた
めには、位相シフト部13で位相を調整する必要があ
る。光信号の位相を調整するためには、入力される光信
号の偏光状態を時々刻々検出する必要がある。このた
め、通常は、偏波モード分散補償器(偏波コントローラ
11)の前段に、偏光状態を検出する偏波アナライザ
(図示せず)が設けられている。偏波アナライザについ
ては、「DWDM光測定技術」(オプトエレクトロニク
ス社、波平 偏、2001年)に詳しく述べられてい
る。
【0034】偏波アナライザは、通過する光信号の偏光
状態を変えることなく、偏光状態を検出するものであ
る。偏光アナライザは、2つの偏光主軸の方向とその位
相差とを検出することができる。時々刻々変動する偏光
状態に合わせて、偏波アナライザからの位相差信号を偏
波コントローラ11の位相シフト部13にフィードバッ
クさせることによって、位相シフト部13において位相
を調整することができる。位相シフト部13の構成は、
たとえばUSP4384760に示されるように既知の
構成で実現するので説明を省略し、モード変換部14の
構成のみを説明する。なお、最終段の位相シフト部15
は、モード変換部14からの出力光の位相を調整する必
要がない場合は、設けなくてもよい。
【0035】強誘電性基板12は、その主面が分極軸方
向(z軸方向)に対して垂直となるように構成する。ま
た、光導波路16は、y軸方向と平行に構成する。モー
ド変換部14は、光導波路16における光の進行方向
(y軸方向)に沿って複数のドメイン領域D1,D2を
配列して成り、隣接するドメイン領域D1,D2間では
分極方向が180度反転している。このような構造を、
「周期的180度分極反転構造」という。分極方向は、
図面において矢印で示すように強誘電性基板12の主面
に対して垂直な方向(Z軸方向)であって、光の進行方
向に対して直交する方向である。さらに、モード変換部
14の主面上には、一対の平板状電極17a,17bを
配置する。一対の電極17a,17bは、モード変換部
14内の光導波路16を挟んで対向する位置に配置され
る。光信号(入射光)は、光導波路16内を通過し、モ
ード変換部14においては分極方向が180度反転して
いるドメイン領域D1,D2を交互に通過する。ここで
は、強誘電性基板12は、ニオブ酸リチウム(LiNb
3)から成るものとする。
【0036】強誘電性基板12においては、x軸方向お
よびy軸方向の屈折率が常光線の屈折率noとなり、分
極軸方向(z軸方向)の屈折率が異常光線の屈折率ne
となるが、両屈折率は異なる値を有する。したがって、
光導波路16が感じる実効的屈折率については、x軸方
向に偏光している光すなわち常光線(TEモード)は、
x軸方向の屈折率nTEを感じ、z軸方向に偏光してい
る光すなわち異常光線(TMモード)は、z軸方向の屈
折率nTMを感じることとなる。つまり、光導波路16
を伝搬する際の両者の伝搬速度が異なり、これによって
両者に位相差が生じることになる。この位相差が生じた
ままでは、後述する偏光状態の変化を得ることができな
いため、両者の位相速度、パルスの場合は群速度を一致
させること(位相整合)が必要となる。以下、位相整合
の原理を説明する。
【0037】強誘電性基板12内の全体にわたって、x
軸方向にのみ均一な電界Exを発生させる(Ex≠0、
Ey=Ez=0)。この電界Exによって生じる電気光
学効果によって、ドメイン領域D1,D2では、図3
(a)および図3(b)に示すように、強誘電性基板1
2の屈折率楕円体の主軸方向がx−z面内で回転する。
ここで、ドメイン領域D1とドメイン領域D2とでは、
両者の結晶軸が180度反転しているため、電界印加に
よる主軸の回転方向は互いに反対になり、この回転によ
る主軸のx軸方向成分は相加的に結合される。この回転
角θは、公知の次式で与えられる。 θ=(1/2)tan-1{2×r51×Ex/(ne-2−no-2)} …(1) (ただし、r51は電気光学定数である。)
【0038】この主軸の回転は通常はわずかであるが、
ニオブ酸リチウム結晶は比較的大きな非線形光学定数r
51を有するため、大きな回転角度を実現できる。すな
わち、印加電界Exによって屈折率楕円体の主軸が回転
することによって、偏波面が直交する2つの光波(x軸
方向とz軸方向の光波)が結合するようになり、これに
よってTE−TMモード変換が起こるようになる。この
結合係数κは、近似的に以下の式で表される。 κ=(π/λ)×n3×r51×Ex …(2) (ただし、λは伝搬光ビームの波長である。)
【0039】偏波面が直交する両光波は、光導波路16
中の伝搬定数nTE,nTMが異なるため、両者の相互
作用長が短く、両者の結合はわずかでしかない。しかし
ながら、互いに分極方向が180度反転しているドメイ
ン領域D1とドメイン領域D2とを交互に繰り返して光
信号の伝搬方向に配置することによって、その繰返し周
期を調整することによって位相整合が可能となる。こう
した繰返し周期構造は、電圧印加時に屈折率も変調され
るため、グレーティングとして機能する。これによっ
て、両偏波光は100%の結合が可能となる。
【0040】グレーティングによる両偏波光の間のパワ
ー移行率(位相整合する割合)ηは、公知の次式によっ
て表される。 η=sin2{(|κ|2+Δ2)(1/2)×L}/{1+(Δ2/κ2)} …(3) ここで、 Δ=π(nTE−nTM)/λ−(π/Λ) …(4) であり、Λはグレーティング周期である。
【0041】上記の式(3),(4)から、波長λにお
いてΔ=0のとき、100%のパワー移行がなされ、そ
のときの波長λpは、 λp=Λ(nTE−nTM) …(5) となる。
【0042】すなわち、この両偏波光の間のパワー移行
は、設計波長λpの波長に対して、波長λpを中心とし
た式(3)で実現できる波長帯域を有し、波長λpのと
きのみ100%のパワー移行が可能である。
【0043】これによって、波長λであれば、光信号が
伝搬していくと、両偏波光が互いにパワー移行するよう
になり、そのときの完全結合長Lpは、 Lp=π/2|κ| …(6) となり、この長さを伝搬すると、完全なパワー(強度)
移行、すなわち位相整合が起こる。
【0044】たとえば、光信号がz軸方向に偏波面を有
する直線偏光(TMモード)である場合、入射光波長が
λpであれば(前記式(5)を満たしていれば)、電界E
xがないときにはそのままz軸方向の直線偏波光(TM
モード)が出射されるが、電界Exが増大すると出射光
は次第に結合するようになり、z軸方向の偏波から直線
偏波を保ったままx軸の方へ回転し始め、電界Exが前
記式(6)を満たす条件になると、出射光はx軸方向の偏
波面を有する直線偏光(TEモード)へと変換され、1
00%結合(位相結合)する。また、光信号がx軸方向
に偏波面を有する直線偏光(TEモード)である場合
は、出射光はz軸方向の偏波面を有する直線偏波(TM
モード)へと変換される。
【0045】図4は、結晶長を一定としたときの設計波
長λpでの変換効率の印加電圧依存性を示すグラフであ
る。ここでは、設計波長λp=1.56μm、モード変
換部14における分極反転周期(ドメイン領域D1,D
2の配列周期)=21.297μm、モード変換部14
に配置された電極17a,17b間の距離=10μm、
強誘電性基板12の結晶長=4mmとした。図中におい
て、点AがTMモードからTEモードへ100%変換さ
れる電界強度であり、さらに電界強度を増加させると、
TEモードからTMモードへのモード変換が生じる。そ
の間の電界強度では、z軸とx軸の間の方向の偏光を有
する直線偏光の光となる。
【0046】なお、上述した光信号の位相整合等の偏光
の原理は、「光集積回路」(西原浩等、昭和60年2月
発行、オーム社)の第67頁〜第143頁を参照した。
【0047】また、実際の波長多重光ファイバ通信シス
テムにおいては、0.8nmチャンネル間隔で波長の異
なる光が伝搬するが、波長ごとにファイバ経路が異なっ
たりするため、各波長ごとに偏波モード分散状態が異な
る。したがって、実際の波長分散補償に関してはAWG
(Arrayed Wave Guide)等で波長ごとに光信号を分離し
た後に、1チャンネルごとに個別の偏波コントローラで
独立して制御する必要が出てくる。次に、複数の波長
(波長光成分)を有する光信号を入射光とし、それぞれ
の波長光の偏波面をそれぞれ独立に制御する場合を説明
する。
【0048】図5は、本発明の他の実施形態である偏波
コントローラ21の構成を示す平面図である。複数の波
長光を制御する場合は、波長光(チャンネル)の数に対
応した複数の導波路16a〜16dを強誘電性基板12
上に、並列に作製する必要がある。また、モード変換部
14におけるグレーティング周期Λは、前記式(5)か
ら、 δλp=δΛΔnph+Λδ(Δnph) Δnph=nTE−nTM δΛ=(δλp−Λδ(Δnph))/Δnph となるように設定する必要がある。
【0049】たとえば、Δλp=0.8nmとすると、
チャンネルが異なるごとに周期をδΛ=0.012μm
分だけ変化させていく必要がある。この変化を実現する
ため、分極反転構造のパターンをテーパ構造にして周期
が位置によって変化するように設計する。これによっ
て、導波路16a〜16dの波長チャンネルに対してモ
ード変換部14では、それぞれ波長間隔が0.8nmず
れた波長でモード変換が実現できる。なお、入射光は図
示しない波長分波器によって各波長チャンネルごとに分
波し、各導波路16a〜16dに結合させる。このよう
に1つの基板12上に複数の波長に対するモード変換部
14を集積化することによって、低コストで小型の偏波
コントローラ21を実現できる。
【0050】このようにして、光信号の偏光状態を高速
かつ正確に制御でき、しかも光信号を充分な強度でパワ
ー移行できる偏波コントローラ21を簡便かつ高精度に
作製できる。
【0051】なお、波長チャンネルの間隔が狭い場合、
偏波コントローラ11,21は温度の影響を受けること
になる。こうした温度変動による特性の変化を最小限に
するためには、強誘電性基板12の温度を制御すること
が望ましい。温度制御は、たとえばペルチエ温度制御素
子上に配置された銅板上に強誘電性基板12をマウント
し、ペルチエ温度制御素子を用いて行うことが望まし
い。
【0052】
【実施例】図1を参照しながら、偏波コントローラ1の
実施例を説明する。偏波コントローラ1は、ニオブ酸リ
チウム結晶を厚さ0.5mmでz軸方向カットしてなる
強誘電性基板12を用いて作製した。図1において、x
軸、y軸、z軸は、それぞれ結晶の軸方位を示す。
【0053】モード変換部14は、複数のドメイン領域
D1,D2を配列して成るとともに、隣接するドメイン
領域D1,D2間では自発分極の方向が互いに180度
反転した構造を有している。このような分極反転構造
は、たとえばz軸上に櫛型電極を形成し、反対の主面に
は全面電極を形成し、2つの電極間にパルス電界を印加
することによって作製した。
【0054】このような分極反転構造を有する強誘電性
基板12上に、厚さ100nm、幅8μmのチタンを帯
状に蒸着し、温度1025度で6時間熱拡散することに
よって、TEモードおよびTMモードともにシングルモ
ードの光導波路16を形成した。光導波路16は、ドメ
イン領域D1,D2の配列方向と平行に形成した。
【0055】さらに、厚さ300nmのSiO2バッフ
ァ層をCVD法によって作製して、電極17a,17b
を形成した。位相シフト部13の電極18a,18bも
同様である。なお、位相シフト部15の構造は位相シフ
ト部13と同様である。モード変換部14の電極17
a,17bは、電極間の間隔を8μmとするとともに、
光導波路16を挟んで対向する位置に形成した。位相シ
フト部13の電極18a,18bは、電極間の間隔を4
μmとするとともに、一方の電極18bを光導波路16
上に形成した。なお、L11=5mm、L12=4m
m、L13=5mmとした。
【0056】このような偏波コントローラ1において、
波長1.55μmの光を入射した場合、約5Vの電圧で
モード変換を行うことができた。
【0057】本実施例では、強誘電性基板12の材料と
してニオブ酸リチウムを用いたが、ニオブ酸リチウムに
限らず、LiTaO3、KTP、KNbO3などを用いる
ことができる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、モード変
換部内の光導波路が全長にわたってモード変換に使用さ
れるので、従来の構造に比べて、小型の偏波コントロー
ラを実現することができる。また、モード変換部の全体
にわたってモード変換に寄与する電界が印加されている
ので、印加する電界を無駄なくモード変換に利用するこ
とができ、従来の構造に比べて、低電圧で効率よくモー
ド変換を実行することができる。
【0059】また本発明によれば、1つの基板上に複数
の波長光に対応するモード変換部が集積化されているの
で、小型で低コストの偏波コントローラを実現すること
ができる。
【0060】また本発明によれば、強誘電性基板の主面
上にたとえば平板状電極を配置して構成することができ
るので、従来の櫛型電極構造の場合に比べて、簡単な構
造で容易に製造することができる。
【0061】また本発明によれば、モード変換部に入射
される光信号は、位相調整手段によってTEモードとT
Mモード間の位相差が±π/2となるように調整するこ
とができるので、モード変換部において効率よくモード
変換を実行することができる。
【0062】また本発明によれば、たとえば入射光と同
じ位相差を持つ光信号を出力させたり、任意の楕円偏光
または円偏光を出力させたりすることができ、様々な目
的に偏波コントローラを使用することができる。これに
よって、偏波コントローラの汎用性が向上する。
【0063】また本発明によれば、強誘電性基板の温度
を一定に保つことによって、使用環境に影響を受けるこ
となく、安定した動作を実現することができる。また本
発明によれば、性能のよい偏波コントローラを実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏波コントローラ11の基本的構成を
示す斜視図である。
【図2】偏波コントローラ11の他の構成を示す斜視図
である。
【図3】ドメイン領域D1,D2における屈折率楕円体
の主軸方向の回転を示すための図である。
【図4】強誘電性基板12の結晶長を一定としたときの
設計波長λpでの変換効率の印加電圧依存性を示すグラ
フである。
【図5】本発明の他の実施形態である偏波コントローラ
21の構成を示す平面図である。
【図6】従来の技術を示す斜視図である。
【符号の説明】
11,21 偏波コントローラ 12 強誘電性基板 13,15 位相シフト部 14 モード変換部 16,16a,16b,16c,16d 光導波路 17a,17b;18a,18b;19a,19b 平
板状電極 D1,D2 ドメイン領域 L1 モード変換部の長さ L2,L3 位相シフト部の長さ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波路と、該光導波路における光の進
    行方向に沿って複数のドメイン領域を配列して成るとと
    もに、隣接するドメイン領域間で分極方向が180度反
    転しているモード変換部とを有する強誘電性基板と、 前記モード変換部内の光導波路に、前記進行方向と直交
    する方向に電界を印加する電界印加手段とを含み、 前記モード変換部内の光導波路に電界を印加することに
    よって、前記光導波路を通過する光の偏波状態を変化さ
    せることを特徴とする偏波コントローラ。
  2. 【請求項2】 前記強誘電性基板は、並列に配列される
    複数の光導波路を有し、各光導波路に異なる波長の光を
    通過させ、各波長の光の偏波状態を独立して変化させる
    ことを特徴とする請求項1記載の偏波コントローラ。
  3. 【請求項3】 前記電界印加手段は、前記強誘電性基板
    の主面上であって、前記モード変換部内の光導波路を挟
    んで対向する位置に配置される一対の電極を含むことを
    特徴とする請求項1または2記載の偏波コントローラ。
  4. 【請求項4】 前記モード変換部の前段に、通過する光
    の位相を調整する位相調整手段を有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の偏波コントローラ。
  5. 【請求項5】 前記モード変換部の前段および後段に、
    通過する光の位相を調整する位相調整手段をそれぞれ有
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    偏波コントローラ。
  6. 【請求項6】 前記強誘電性基板の温度を制御する温度
    制御手段を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の偏波コントローラ。
  7. 【請求項7】 前記強誘電性基板は、ニオブ酸リチウム
    結晶またはリチウムタンタレート結晶から成ることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏波コントロ
    ーラ。
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