JP2003202441A - 光導波路および導波路型デバイス - Google Patents

光導波路および導波路型デバイス

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JP2003202441A
JP2003202441A JP2002312899A JP2002312899A JP2003202441A JP 2003202441 A JP2003202441 A JP 2003202441A JP 2002312899 A JP2002312899 A JP 2002312899A JP 2002312899 A JP2002312899 A JP 2002312899A JP 2003202441 A JP2003202441 A JP 2003202441A
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Japan
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optical waveguide
fluorine
fluoropolymer
optical
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Withdrawn
Application number
JP2002312899A
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English (en)
Inventor
Ikuo Matsukura
郁生 松倉
Kimiaki Kashiwagi
王明 柏木
Hajime Ogawa
元 尾川
Masakuni Sato
正邦 佐藤
Tokuhide Sugiyama
徳英 杉山
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】初期の機械特性、光学特性が良好で、しかも高
温で長期間使用しても光学特性の劣化が少ない光導波
路、および導波路型デバイスを提供すること。 【解決手段】下式(1)、下式(2)および下式(3)
からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造の繰り
返し単位を含有する含フッ素重合体を光導波路用材料と
して使用する。 【化1】 ただし、QはR−Oを表し、Rは内部にエーテル性
酸素原子を有していてもよい炭素数10以下の含フッ素
アルキレン基であり、該含フッ素アルキレン基はエーテ
ル性酸素原子を有していてもよい含フッ素アルキル基を
側鎖に有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素重合体か
らなる光導波路、およびそれを用いた導波路型光デバイ
スに関する。
【0002】
【従来の技術】主鎖に環構造を有する非晶質含フッ素重
合体は、機械的強度および光学的透明性に優れるため、
光ファイバー、光導波路などの光学材料に用いることが
できる。特許文献1には、かかる非晶質含フッ素重合体
を用いた光導波路が開示されている。具体的には、ペル
フルオロアリルビニルエーテル重合体およびペルフルオ
ロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)とテト
ラフルオロエチレンの共重合体が、光導波路用材料とし
て有用であることが記載されている。しかしながら、前
者の重合体は、ガラス転位温度(以下、Tgと記す。)
が低いために、これからなる光導波路は、高温で長期間
使用すると光学特性が変化するという欠点がある。ま
た、後者の共重合体は、テトラフルオロエチレンの共重
合比率を上げればTgの高い共重合体が得られるが、部
分的に結晶化し、透明性が低下する。したがって、後者
の共重合体からなる光導波路は、損失が大きくなるとい
う欠点がある。
【0003】一方、特許文献2には、環状構造を有する
非晶質含フッ素重合体へ、嵩高い置換基、または架橋構
造を導入することで、Tgを上げられることが記載され
ている。しかしながら、このような方法では重合体が脆
くなってしまったり、光学特性または耐熱性が劣ってし
まったりする。したがって、これらの重合体からなる光
導波路は、取り扱いが困難になり、光学特性、耐熱性が
充分とは言えない。
【0004】
【特許文献1】特開平4−190202号公報
【特許文献2】特開2000−81519号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有する前記欠点の解決を目的とし、機械特性、光学特性
を保ったまま、高温で長期間使用しても光学特性の劣化
がない光導波路および導波路型光デバイスを提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】下式(1)、下式(2)
および下式(3)からなる群より選ばれる少なくとも1
種の環構造の繰り返し単位を含有する含フッ素重合体か
らなることを特徴とする光導波路である。
【0007】
【化2】
【0008】ただし、QはR−Oを表し、Rは内部
にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数10以
下の含フッ素アルキレン基であり、該含フッ素アルキレ
ン基はエーテル性酸素原子を有していてもよい含フッ素
アルキル基を側鎖に有する。
【0009】さらに、本発明は、光導波路が含まれてな
る導波路型光デバイスにおいて、該光導波路が前記の光
導波路であることを特徴とする導波路型光デバイスであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における含フッ素重合体
は、式(1)〜式(3)で表される環構造の繰り返し単
位を1種以上有する重合体である。式(1)〜式(3)
で表される繰り返し単位はCF=CF−Q−CF=C
で表される含フッ素ジエンが環化重合して生成する
繰り返し単位である。Qの種類や環化重合方法によって
式(1)〜式(3)で表される単位の1つまたは2つ以
上が生じる。従って、含フッ素重合体はこれらの単位の
2つ以上が含まれることもある。式中のQはR−Oを
表し、Rは内部にエーテル性酸素原子を有していても
よい炭素数10以下の含フッ素アルキレン基であり、該
含フッ素アルキレン基はエーテル性酸素原子を有してい
てもよい含フッ素アルキル基を側鎖に有する。側鎖を除
いたRの炭素数は3以下であることが好ましい。
【0011】前記Rは、高度にフッ素化された含フッ
素アルキレン基であることが好ましい。高度にフッ素化
されたとは、炭素原子に結合した水素原子とフッ素原子
の合計数に対する該フッ素原子の数の割合が80%以上
であることをいう。特に、すべてフッ素原子であること
が好ましい。また、Rは側鎖を有しており、安定性の
観点から、その側鎖は高度にフッ素化されたアルキル基
であることが好ましい。該側鎖の含フッ素アルキル基
は、エーテル性酸素原子を有していてもよいが、炭素数
3以下の含フッ素アルキル基が好ましく、特に炭素数3
以下のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
最も好ましい側鎖はトリフルオロメチル基である。ま
た、側鎖の数は1以上であればよいが、1または2であ
ることが好ましい。
【0012】また、前記側鎖は、エーテル性酸素原子に
隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。この
理由は必ずしも明確ではないが、該側鎖がエーテル性酸
素原子に隣接する炭素原子に結合しているため、Tgは
高くなるが、側鎖付近に若干の柔軟性があるため、極端
に含フッ素重合体が硬く脆くなることがない、と考えら
れる。特に好ましいR−Oは、(CFC(CF
−Oまたは(CF CF(CF)−Oであ
り、さらに(CFCF(CF)−Oであること
が最も好ましい。ただし、nは1〜3の整数である。
【0013】本発明における含フッ素重合体を得る方法
としては、環化重合することで式(1)〜式(3)で表
される環構造の1種以上を与える、2つ以上の重合性二
重結合を有する含フッ素単量体(以下、含フッ素ジエン
と記す。)を環化重合することにより、またはこれらの
含フッ素ジエンと共重合性単量体とを共重合させること
により得る方法とが挙げられる。これら含フッ素ジエン
は、高度にフッ素化された単量体であることが好まし
い。特にペルフルオロ単量体であることが好ましい。
【0014】前記の方法に記載された共重合性単量体と
しては、含フッ素ジエンと共重合性を有する単量体であ
れば特に限定されず、含フッ素単量体、炭化水素系単量
体、その他の単量体が広範囲にわたって例示され得る。
特にラジカル共重合性を有する単量体であることが好ま
しい。具体的にはエチレンなどのオレフィン、またはテ
トラフルオロエチレンなどのフルオロオレフィンが好ま
しい。また、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)
などの含フッ素ビニルエーテル系単量体、ペルフルオロ
(アリルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ブテニルビ
ニルエーテル)などの、下記式(4)で表される含フッ
素ジエンの側鎖であるCFがFに置換された、側鎖を
有しない含フッ素アルケニルビニルエーテル、ペルフル
オロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)など
の環状単量体なども好ましい。これら共重合性単量体は
一種のみならず二種以上を併用してもよい。
【0015】本発明における含フッ素重合体の環構造の
繰り返し単位は、透明性が良好で、物性にも優れている
ことから全モノマー単位に対して20モル%以上である
ことが好ましく、特に50モル%以上であることが好ま
しい。また、含フッ素重合体の分子量は1万〜100万
が好ましく、特に2万〜50万が好ましい。
【0016】本発明における含フッ素重合体は、含フッ
素ジエンとして式(4)で表される単量体が環化重合し
た含フッ素環構造を有することが好ましい。 CF=CF(CFC(CF)ROCF=CF・・・(4) ただし、Rは、フッ素原子またはトリフルオロメチル
基、nは0〜3の整数を表す。
【0017】式(4)で表される含フッ素ジエンは式
(5)で表される含フッ素化合物のZ とZを脱ハロ
ゲン化することにより得られる。 CFCFZ(CFC(CF)ROCF=CF・・・(5) ただし、Rは、フッ素原子またはトリフルオロメチル
基、nは1〜3の整数を表し、ZとZはそれぞれ独
立にフッ素原子以外のハロゲン原子を表す。
【0018】式(5)で表される含フッ素化合物のう
ち、Rがフッ素原子である化合物式(5−1)は、例え
ば公知の、式(6−1)で表される含フッ素化合物から
既知の方法を組み合わせて製造することができる。ま
た、Rがトリフルオロメチル基である式(5)で表され
る含フッ素化合物式(5−2)は、例えば公知の、式
(6−2)で表される含フッ素化合物から既知の方法を
組み合わせて製造することができる。 CFCFZ(CFCF(CF)OCF=CF・・(5−1) CFCFZ(CFCF=CF・・・(6−1) CFCFZ(CFC(CFOCF=CF・・(5−2) CFCFZ(CFCOF・・・(6−2) 具体的な含フッ素ジエンとしては、CF=CFCF
CF(CF)OCF=CF、CF=CFCF
(CFOCF=CFなどが好ましい。
【0019】これら含フッ素ジエンはラジカル重合開始
剤の作用により環化重合し、含フッ素環構造を繰り返し
単位として有する重合体となる。該環構造には、側鎖と
してトリフルオロメチル基が、環のエーテル性酸素原子
に隣接する炭素原子に結合している。
【0020】本発明における含フッ素重合体は、官能基
を有していても有していなくてもよい。特に熱安定性が
要求される場合または190nmから400nmにわた
る低波長領域および700nmから1700nmの近赤
外領域での透過性の向上が要求される場合は、フッ素ガ
ス処理などにより末端の官能基を除去してもよい。この
ように末端の官能基を除去した含フッ素重合体をクラッ
ドとして用いた場合は、作製した導波路を基板上から容
易に剥離することができ、自立したフィルム導波路とし
ての応用が可能である。一方、基板および他層との密着
性が要求される場合には、官能基を有する含フッ素重合
体であることが好ましい。
【0021】官能基の導入方法としては、(イ)含フッ
素ジエン以外の官能基を含有する共重合性単量体と、含
フッ素ジエンとを共重合させる方法、または(ロ)重合
開始剤や連鎖移動剤などに由来する重合体末端基を官能
基として利用する方法などが好ましい。(イ)の方法に
おいて、官能基の代わりに官能基に変換しうる基(以
下、「前駆官能基」という。)を導入し、その前駆官能
基を重合後に官能基に変換して目的とする官能基を有す
る含フッ素重合体を得ることもできる。導入操作が容易
であることなどから、(ロ)の方法で官能基を導入する
方法が特に好ましい。
【0022】前記官能基としては、カルボン酸基、スル
ホン酸基、エステル結合を有する基、アルケニル基、水
酸基、マレイミド基、アミノ基、シアノ基、イソシアネ
ート基などが挙げられるが、シリコン基板などの半導体
基材への密着性が良好であること、保存時の安定性の観
点から、カルボン酸基が特に好適である。また前記の前
駆官能基としては、例えばアルコキシカルボニル基があ
り、このアルコキシカルボニル基は加水分解によりカル
ボン酸基に変換される。
【0023】含フッ素重合体中の官能基の数は基材との
密着性確保の点より含フッ素重合体1g当たり0.00
1ミリモル以上が好ましい。また、溶媒に対する溶解性
または分散性が良好であることから含フッ素重合体1g
当たり1ミリモル以下が好ましい。特に含フッ素重合体
1g当たり0.01〜0.2ミリモルであることが好ま
しい。
【0024】本発明の光導波路とは、コア部およびこの
コア部の周囲に形成されてなるクラッド部から構成され
ており、基板上に形成されている。効率的に光を伝搬さ
せるために、コア部の材料の屈折率はクラッド部の材料
の屈折率よりも高く設定される。伝搬光は、導波路のコ
ア部内に閉じ込められ導波路内を移動する。また、単純
なコア/クラッドの関係のみならず、より複雑な屈折率
分布を持たせることもできる。基板としてはシリコンウ
ェハーなどの半導体基板または光導波路成型加工時の応
力発生防止の観点から、クラッド部と同一の線膨張係数
を有するプラスチック基板が好ましい。また、基板側に
光を取り出すようなデバイスを作成する場合はその基板
が使用波長において透明であることが好ましい。
【0025】本発明における含フッ素重合体は、Tgが
高いため高温で長期間使用しても光学特性の劣化がな
い。また、光学的に透明で従来の非晶質透明フッ素樹脂
(以下、従来の透明フッ素樹脂と記す。)よりも屈折率
が低いため、例えばサイトップ(旭硝子(株)製、商品
名)、Teflon AF(DuPont社製、商品
名)などのような従来の透明フッ素樹脂と組み合わせる
ことによって高性能の光ファイバー、光導波路などの光
学デバイスを得ることができる。また、これらを組み合
わせることにより、より複雑な形状を有する光導波路や
導波路型光デバイスを製造することもできる。本発明に
おける含フッ素重合体および前記のような従来の透明フ
ッ素樹脂は、紫外領域から近赤外領域まで高い透明性を
有することから、光源としてLDやLEDなどの種々の
光源を選択することが可能である。また、シングルモー
ド、マルチモードなどのどのようなモードの光にも対応
可能である。以上のような特性から、本発明の光導波路
および導波路型光デバイスは、システム設計において自
由度が高く、幅広い用途に応用が可能である。
【0026】本発明における含フッ素重合体は、本発明
の光導波路のコア部の材料としてもクラッド部の材料と
しても用いることができる。
【0027】クラッド部の材料として用いた場合、コア
部の材料としては本発明における含フッ素重合体よりも
屈折率の高い材料であればどのような材料でも採用でき
るが、例えば特許文献2(特開2000−81519号
公報)に示されるような非晶質含フッ素重合体がその物
性やクラッド部との密着性などから好ましい。また、本
発明における含フッ素重合体をコア部の材料として用い
た場合は、クラッド部の材料として、本発明における含
フッ素重合体よりも屈折率の低い材料を用いることもで
きるが、コア部の屈折率を上げるために、本発明におけ
る含フッ素重合体に屈折率の高い低分子化合物を配合す
ることが好ましい。該低分子化合物としては、例えば炭
素原子に結合した水素原子を含まないハロゲン化芳香族
炭化水素、またはハロゲン化オレフィンのオリゴマなど
が挙げられる。
【0028】ハロゲン化芳香族炭化水素としては、特に
ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含むハロゲン化芳
香族炭化水素またはフッ素原子と他のハロゲン原子を含
むハロゲン化芳香族炭化水素が、含フッ素重合体との相
溶性の面で好ましい。このようなハロゲン化芳香族炭化
水素としては、例えば式Φ−Z(Φはb価のペルフル
オロ芳香環残基、Zはフッ素以外のハロゲン原子、
、COR、OR、またはCNを表す。ただし、
はペルフルオロアルキル基、フッ素原子を1つ以上
含むペルハロアルキル基、または1価のペルフルオロ芳
香族残基を表し、bは0以上の整数である。)で表され
る化合物が挙げられる。芳香環としてはベンゼン環やナ
フタレン環が好ましく、Rの炭素数は5以下が好まし
い。フッ素以外のハロゲン原子としては塩素原子や臭素
原子が好ましい。
【0029】ハロゲン化芳香族炭化水素の具体的な化合
物としては、例えば1,3−ジブロモテトラフルオロベ
ンゼン、1,4−ジブロモテトラフルオロベンゼン、2
−ブロモテトラフルオロベンゾトリフロリド、クロロペ
ンタフルオロベンゼン、ブロモペンタフルオロベンゼ
ン、ヨードペンタフルオロベンゼン、ペルフルオロ
(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、デカフルオロ
ベンゾフェノン、ペルフルオロアセトフェノン、ペルフ
ルオロビフェニル、クロロへプタフルオロナフタレン、
ブロモヘプタフルオロナフタレンなどがある。
【0030】ハロゲン化オレフィンのオリゴマとして
は、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチ
レン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプ
ロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)な
どの含フッ素オレフィンの単独重合オリゴマ、またはこ
れら単量体の2種以上の共重合オリゴマなどが挙げられ
る。また、−CFCF(CF)O−または−(CF
O−(nは1〜3の整数)の構造単位を有するペ
ルフルオロポリエーテルなども使用できる。本オリゴマ
は官能基を有していてもよい。
【0031】また、同様に一般式R MR
4−m(式中、複数のRは互いに同一または異なる
炭素数1〜14の非加水分解性の有機基、Rは加水分
解性基、mは0〜3の整数、MはSi、Ti、Zr、H
fまたはThを表す。)で表される化合物またはこの化
合物の部分加水分解縮合物(以下、両者を総称して化合
物aという。)を、本発明における含フッ素重合体に配
合しても屈折率が高く、機械特性の良好なコア部が形成
可能であり、化合物aも高屈折率化合物として採用でき
る。この加水分解縮合性の化合物である化合物aは含フ
ッ素重合体中で最終的な加水分解縮合物となると考えら
れる。光導波路形成過程において通常コア部形成時に加
熱処理工程があり、この加熱によって化合物aが最終的
な加水分解縮合物となると考えられる。化合物aとして
は1種でもよく、化合物aから選ばれる2種以上を併用
してもよい。また、MがSiである化合物aが特に好ま
しい。
【0032】加水分解性基Rとしては、アルコキシ
基、含フッ素アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、
アシルオキシ基、アリールオキシ基、アミノキシ基、カ
ルバモイル基、ケトオキシム基、イソシアネート基、ハ
ロゲン原子などが例示される。好ましくはアルコキシ
基、アルコキシアルコキシ基などの、1価アルコールの
水酸基の水素原子を除いた基である。特にアルコキシ基
が好ましく、その炭素数は4個以下、特に1〜2個が好
ましい。
【0033】化合物a中の非加水分解性の有機基R
官能基を有する有機基であってもよい。R中に官能基
を有しない非加水分解性の有機基がある場合にはその有
機基は通常アルキル基である。官能基としては、例えば
アミノ基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、メルカプ
ト基、イソシアネート基などがある。より好ましい官能
基としては、アミノ基、グリシジルオキシ基である。
【0034】化合物aとして、下記a1、a2の混合物
であることが特に好ましい。a1は、前記一般式のMが
Si、mが0、かつRがアルコキシ基であるテトラア
ルコキシシラン類またはMがSi、mが1、Rがアル
キル基、かつRがアルコキシ基であるアルキルトリア
ルコキシシラン類である。a2は、前記一般式のMがS
i、mが1または2、Rがアルコキシ基、かつR
うち少なくとも1つが官能基を有し、該官能基がアミノ
基またはグリシジルオキシ基である官能基含有非加水分
解性有機基を有するアルコキシシラン類である。
【0035】a1、a2はそれぞれ2種以上の混合物で
あっても構わない。
【0036】a1としては、例えばテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
メチルトリメトキシシシラン、メチルトリエトキシシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、が挙げられる。a2のうちアミノ基含有非加水
分解性有機基を有するアルコキシシラン類としては、例
えば3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキ
ルアルコキシシラン類、アミノフェニルトリメトキシシ
ラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニ
ル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミ
ノアリールアルコキシシラン類などが挙げられる。ま
た、a2のうちグリシジルオキシ基含有非加水分解性有
機基を有するアルコキシシラン類としては、3−グリシ
ジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジ
ルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げら
れる。
【0037】本発明の光導波路は光機能装置の基本構成
要素であり、各種の能動型あるいは受動型の導波路型光
デバイスを構成できる。本発明のもう一つの形態は、前
記光導波路を有することを特徴とする導波路型光デバイ
スである。
【0038】本発明の光導波路を形成する方法として
は、コア部の周囲がクラッド部で囲まれた構成とするこ
とができればどのような方法でも採用できるが、好まし
くは下記のような方法が採用される。すなわち、半導体
基板上に下部クラッド部を形成し、このクラッド部上に
コア部を形成した後、コア部の一部をフォトリソグラフ
法などを応用することにより除去し、残ったコア部上に
上部クラッド部を形成する方法または、基板上にクラッ
ド部を形成し、所望のパターンを有する型を加熱・加圧
転写することによりコア部となるべき溝を形成し、そこ
にコア部を埋め込んだ後、クラッド部を再形成する方法
等がある。本発明における含フッ素重合体は基本的には
熱可塑性の樹脂であり、かつ離型性が良いことからパタ
ーン転写性が良好である。
【0039】他方、コア部の材料を本発明における含フ
ッ素重合体とハロゲン化芳香族炭化水素の混合物とした
場合はクラッド部とコア部を形成した後、コア部の不要
な部分をエキシマレーザーなどの高エネルギーレーザー
で焼き切った後、上部クラッドを形成する方法なども採
用される。
【0040】本発明の光導波路は、厚さ約1μmから1
000μmの重合体の薄膜を形成する必要があることか
ら、溶液からの成形方法が特に好ましい。本発明におけ
る含フッ素重合体はペルフルオロ(2−ブチルテトラヒ
ドロフラン)、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロヘ
キサン、(ペルフルオロブチル)メチルエーテル、(ペ
ルフルオロブチル)エチルエーテル、ペルフルオロトリ
ブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペル
フルオロベンゼンなどの含フッ素溶媒に可溶で、これら
の溶媒に含フッ素重合体を溶解して得られた溶液をシリ
コンウェハーなどの半導体基板上にスピンコート法、ス
プレー法などにより塗布した後、溶剤を揮発乾燥させる
ことにより所望の膜厚の薄膜を形成させることが可能で
ある。
【0041】また、本発明の光導波路を作成する場合、
光導波路のコア部の断面形状としては、1辺が1〜30
0μm長の矩形が好ましく、1辺の長さは伝搬光の種類
(波長またはモード)およびコア部の材料とクラッド部
の材料の屈折率差より任意に選択できる。
【0042】一般に導波路型光デバイスは、光導波路を
種々組み合わせたり、他の機能を持つ部材を組み合わせ
たりして、伝搬光を外場(外部からの信号、あるいは近
接するコア部)により制御するものであり、例えば方向
性結合器、光変調器、光スイッチ、波長選択装置、光集
積回路などがある。
【0043】本発明における重合体は、重ね塗りなどの
簡便な方法にて厚膜形成が可能であることから、特にマ
ルチモード用の導波路型光デバイスが主要とされる、光
デバイスをプリント配線板などに実装する際に使用され
る光表面実装技術(内田、升田:光表面実装技術/光S
MT、電子情報通信学会1990秋期全国大会予稿分冊
4,C−189)等へ応用が可能であり、これらを応用
した基板は、高速光LAN、加入者系光通信、光交換情
報処理といった、高速電子回路部品と光信号伝送系を併
用するシステム、機器内において光電子混載集積回路を
搭載したパッケージやプリント配線板と光学的および電
気的な接続を可能とする光電子プリント等に応用可能で
ある。本重合体は、特に非晶質の特性から、低損失、低
複屈折性を示すため、損失値の低いより高性能の基板が
形成可能である。また、低吸水性、高Tgの特性を生か
した耐環境性の高い高信頼性のシステムを構築できる。
【0044】一般的に、位相速度の等しい2本の光導波
路を近接して配置すると、一方の光導波路を伝搬する導
波光は次第に他方の光導波路に移行する。このような基
本構成からなる素子を方向性結合器という。本重合体を
用いて作成した方向性結合器は、前記基板と同様に低複
屈折性から非常に低い結合損失値を示し、低吸水性・高
Tgの特性から非常に高い信頼性を示す。
【0045】また、この方向性結合器を多段あるいは並
列に組み合わせて使用する光スイッチや波長選択装置、
光変調器等の光デバイスにおいても同様に優れた特性が
発揮される。中でも、近年の波長分割多重(WDM)方
式の通信システムの主要部品として用いられる波長選択
装置(例えばAWG(Arrayed−Wavegui
de Grating)など)においては、低複屈折性
は波長分割精度を向上させるためには必須であり、本重
合体を用いた場合、高い波長精度を得ることができる。
また、特許文献2(特開2000−81519号公報)
記載の樹脂と組み合わせることにより、大きな屈折率差
をかせぐことが可能であるため、小型化と高集積化が可
能である。
【0046】一方、近年注目されているプラスチック光
導波路の応用例として、屈折率の温度依存性(熱光学定
数)が大きいことを生かしたデバイスとして熱光学スイ
ッチ(以下、TOスイッチと記す。)がある。石英系の
場合はTOスイッチでも位相差を利用するマッハツェン
ダー型が一般的であるが、ポリマー系の場合大きなTO
定数を利用することにより簡易なデジタルスイッチが可
能である。石英のTO定数は、1×10−5/℃である
が、本発明における含フッ素重合体の熱光学定数は、−
1×10−4/℃であり、屈折率の温度依存性が絶対値
で1桁程度異なっている。さらに、したがって、本発明
における含フッ素重合体からなるデジタルスイッチの場
合、単純な分岐構造のみで構成可能であることから、小
型化、高集積化が可能である。また、導波路部品の大量
生産、低コスト化においても非常に有用なデバイスとな
る。
【0047】また、本発明における含フッ素重合体は、
従来の透明フッ素樹脂と比較して密度が高いことから、
特開平1−14843号公報に記載された樹脂と比較し
て大きな熱光学定数を有する。したがって本発明の導波
路型光デバイスの一つの形態であるTOスイッチは、応
答速度が速いと同時に、消費電力が小さいという優れた
性能を有している。さらに、本発明における含フッ素重
合体は側鎖の含フッ素アルキル基の効果により、側鎖の
ない環構造を有する含フッ素重合体、例えば前記サイト
ップなどよりも線膨張係数が大きくなる。したがって、
屈折率が温度によってより大きく変化する。このこと
も、本発明のTOスイッチにおける、上記のような、速
い応答速度、小さい消費電力に寄与している。併せて本
発明における含フッ素重合体が有する低複屈折性、低吸
水性、高Tgは、TOスイッチの高性能化・高信頼性化
にも大きく寄与することができる。
【0048】さらに、本発明における含フッ素重合体の
うち、官能基を有するものはこれを利用して、色素や大
きな電気光学効果を有する低分子化合物など(以下、総
称して色素等と記す。)も均一に分散可能である。この
色素等を分散した含フッ素重合体をコアに用いて、光導
波路を作製した場合、色素等の周辺を該含フッ素重合体
にて保護することが可能であり、色素等の会合による機
能の低下を防ぐことができるため、より高濃度の色素等
を導入することが可能である。また、本発明における含
フッ素重合体は1.00μmから1.70μmの波長領
域にて吸収を持たないことから、この範囲にて大きな吸
収を持つカーボン系の色素(例えばカーボンブラックや
カーボンナノチューブなど)を添加した場合、これらの
機能発現を妨げないことなどの特性を発現させることが
できる。更に、この場合も低吸水性により色素等の吸水
による機能劣化を防止することが可能となり、高信頼性
を付与できる。また、高Tgであることから高温下での
信頼性が格段に向上する。
【0049】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れら実施例に限定されない。 (合成例1)(1,2−ジクロロ−4,5−エポキシ−
1,1,2,3,3,4,5,5−オクタフルオロペン
タン)の合成 10Lの4つ口フラスコに15%次亜塩素酸ナトリウム
水溶液の6330g(13.0mol)とトリオクチルメ
チルアンモニウムクロライドの73.8gとを仕込み、
よく撹拌しながら内温が10〜15℃になるまで冷却し
た。このフラスコ中にCFClCFClCFCF=
CFの1200g(4.25mol)を、内温を20〜
30℃に保つように滴下した。ガスクロマトグラフで反
応を追跡しながら原料であるCFClCFClCF
CF=CFがほぼ消費されるまで室温で攪拌を続け
た。反応終了後2相分離により下層の生成物を抜き出
し、残存次亜塩素酸ナトリウムを除くためイオン交換水
で3回洗浄を行った。さらに粗生成物を蒸留することに
より含フッ素エポキシド(1,2−ジクロロ−4,5−
エポキシ−1,1,2,3,3,4,5,5−オクタフ
ルオロペンタン)が828.7g得られた(収率:65
%)。
【0050】(合成例2)(4,5−ジクロロ−1,
1,1,3,3,4,5,5−オクタフルオロ−2−ペ
ンタノン)合成 2Lの4つ口フラスコに塩化アルミニウムの35g
(0.26mol)を仕込み、トリクロロフルオロメタ
ンを70g加えて活性化を行った。そこへ例1で合成し
た含フッ素エポキシドの1470g(4.93mol)
をよく撹拌しながら内温を20〜30℃に保つように滴
下した。その後、ガスクロマトグラフで反応を追跡しな
がら反応温度20〜40℃で原料がほぼ消費されるまで
撹拌を続けた。反応終了後、ろ過により粗生成物を単離
し、蒸留することによりCFClCFClCF(C
=O)CF(4,5−ジクロロ−1,1,1,3,
3,4,5,5−オクタフルオロ−2−ペンタノン)が
1600g得られた(収率:91%)。
【0051】(合成例3)6,7−ジクロロ−2,4−
ビス(トリフルオロメチル)−2,4,5,5,6,
7,7−ヘプタフルオロ−3−オキサ−ヘプタン酸フル
オリドの合成 2Lのハステロイ製オートクレーブにフッ化カリウムの
18g(0.31mol)を仕込み真空に脱気後、CF
ClCFClCF(C=O)CFの1150g
(3.86mol)とテトラグライムの730gとを仕
込み、よく撹拌しながら内温が0〜5℃になるまで冷却
し、その温度で30分〜1時間撹拌した。続いてヘキサ
フルオロプロピレンオキシドのボンベを接続し、内圧約
0.2MPaで内温を25℃以下に保ちながら、640
gのヘキサフルオロプロピレンオキシドを添加した。そ
の後、ヘキサフルオロプロピレンオキシドをパージした
後、25℃で1〜2時間撹拌した。続いてオートクレー
ブを開放し、ろ過により残存する固体を取り除き、相分
離により粗生成物を取り出した。さらに粗生成物を蒸留
することによりCFClCFClCFCF(C
)OCF(CF)COF(6,7−ジクロロ−
2,4−ビス(トリフルオロメチル)−2,4,5,
5,6,7,7−ヘプタフルオロ−3−オキサ−ヘプタ
ン酸フルオリド)が1440g得られた(収率:80
%)。沸点は5.3kPaで、68℃であった。
NMRの結果を下記に示す。
【0052】
【化3】
【0053】19F NMR(CDCl,CFCl
基準)δppm;−126.5〜−135.5(F
,F,3F),−109〜−115.5(F
2F),−81.8(F,3F),−77〜−78.
5(F,3F),−62.0〜−66.0(F,2
F),26.9〜28.4(F,1F)。
【0054】(合成例4)6,7−ジクロロ−4−トリ
フルオロメチル−1,1,2,4,5,5,6,7,7
−ノナフルオロ−3−オキサ−1−ヘプテンの合成 2Lの4つ口フラスコにエタノールを607g(13.
2mol)仕込み、内温が5〜10℃になるまで冷却
し、CFClCFClCFCF(CF)OCF
(CF)COFの1388g(2.99mol)をよく
撹拌しながら内温を5〜20℃に保つように滴下した。
その後、しばらく室温で撹拌した後、イオン交換水72
0gを添加し、2相分離により下層の生成物を抜き出し
た。続いてその生成物を5Lのセパラブルフラスコに移
し、内温が5〜10℃になるまで冷却し、15%水酸化
カリウムエタノール溶液1110gをよく撹拌しながら
内温を5〜20℃に保つように滴下した。その後、溶媒
のエタノールを減圧で留去し、得られた固体塩を乳鉢で
粉砕した後、真空乾燥機にて80℃で2日間乾燥するこ
とによりカリウム塩(CFClCFClCFCF
(CF)OCF(CF)COK)を1480g
(2.96mol)得た。
【0055】次に2Lの4つ口フラスコに上記で得られ
たカリウム塩の970g(1.94mol)を仕込み、真
空下、内温が190〜200℃になるまで加熱して、熱
分解反応を行った。粗生成物は真空ポンプ側のドライア
イストラップにより回収した。この粗生成物を蒸留する
ことによりCFClCFClCFCF(CF)O
CF=CF(6,7−ジクロロ−1,1,2,4,
5,5,6,7,7−ノナフルオロ−4−トリフルオロ
メチル−3−オキサ−1−ヘプテン)が688g得られ
た(収率:89%)。沸点は6.7kPaで63℃であ
った。19FNMRの結果を下記に示す。
【0056】
【化4】
【0057】19F NMR(CDCl,CFCl
基準)δppm;−134.5〜−130.5(F
,2F),−134.1(F,1F,Jac=1
13Hz),−121(F,1F,Jbc=166H
z),−113.9(F,1F,Jab=65H
z),−111〜−115.5(F,2F),−7
8.1(F,3F),−62〜−65(F,2
F)。
【0058】(合成例5)1,1,2,4,5,5,
6,7,7−ノナフルオロ−4−トリフルオロメチル−
3−オキサ−1,6−ヘプタジエンの合成 撹拌機、環流コンデンサー、滴下漏斗を備えた2Lの四
つ口フラスコに亜鉛の207g(3.17mol)を仕
込み、不活性ガス雰囲気下、ジメチルホルムアミドの9
75gを仕込んだ。続いて系を27kPaまで減圧に
し、さらに内温を55〜60℃に調整し、そこへCF
ClCFClCFCF(CF)OCF=CFの5
16g(1.27mol)を滴下漏斗によりゆっくりと
滴下し、反応中に生成物を蒸留することにより速やかに
抜き出した。その後、粗生成物を精留することによりC
=CFCFCF(CF)OCF=CF(1,
1,2,4,5,5,6,7,7−ノナフルオロ−4−
トリフルオロメチル−3−オキサ−1,6−ヘプタジエ
ン)(以下、BVE4Mと記す。)が348g得られた
(収率84%)。沸点は33.3kPaで54.5℃で
あった。19F NMRおよびIRの結果を下記に示
す。
【0059】
【化5】
【0060】19F NMR(CDCl,CFCl
基準)δppm;−187.3(F ,1F,Jgh
39Hz),−140.7(F,1F),−132.
7(F,1F),−121.1(F,1F,Jbc
=111Hz),−117.4(F,2F),−11
3.5(F,1F,Jab=83Hz,Jac=65
Hz),−104.2(F,1F,Jgi=116H
z),−87.7(F ,1F,Jhi=50Hz),
−78.9(F,3F),IR:1785cm
−1(CF=CF−),1835cm−1(CF
CFO−)。
【0061】(合成例6)BVE4Mの重合 BVE4Mの2gとジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネートの6.2mgをガラスアンプル中に入れ、液体窒
素中で凍結、真空脱気後封管した。40℃、20時間オ
ーブン中で加熱後、固化した内容物を取り出して、20
0℃で1時間乾燥した。得られた重合体(以下、重合体
Aとする。)の収率は99%であった。重合体Aの一部
をペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)(以
下、PBTHFという。)に溶解して固有粘度を測定し
たところ、0.44dl/gであった。重合体の分子量
は数平均分子量(M)で44500、重量平均分子量
(M)で131500であった。
【0062】プレス成型により作成した重合体Aのフィ
ルムを用いて、アッベ屈折率計により測定した屈折率は
1.327であった。また、同様にアッベ屈折率計の測
定温度を変えて屈折率を求め、温度による屈折率の変化
率(熱光学定数)を求めたところ、−1.19×10
-4であった。
【0063】また、前記重合体Aのフィルムを用いて動
的粘弾性測定装置(DMA)により測定したガラス転移
温度は124℃であった。重合体Aの引張特性を測定し
たところ引張弾性率1430MPa、降伏応力36MP
a、破断伸度4.2%であった。また、回転式溶融粘弾
性測定装置により230℃におけるゼロシェア粘度を測
定したところ、89000Pa・sであった。
【0064】また、重合体AのIRスペクトルを測定し
たところ、単量体に見られたCF=CF−に基づく1
785cm−1およびCF=CFO−に基づく183
5cm−1の吸収が消失していた。この重合体Aはペン
ダント二重結合がなく架橋反応も生じておらず、高反応
率でもジクロロペンタフルオロプロパンに完全に溶解す
ることから環化重合体であることがわかった。また、
19F NMR解析により下記の構造の繰り返し単位を
有する重合体であることがわかった。
【0065】
【化6】
【0066】次に、重合体Aを、空気中300℃で3時
間熱処理した後に、水中に浸漬して熱処理重合体(以
下、重合体Bとする。)を得た。重合体BのIRスペク
トルにはカルボン酸基に帰属されるピークが確認され、
カルボン酸基の量は重合体1g当たり0.03ミリモル
であった。また、可視から近赤外領域の光線透過率は9
5%以上と高く300℃処理でも透明性にはなんら影響
の無いことがわかった。
【0067】重合体Bを水素化ホウ素ナトリウム存在
下、ジクロロペンタフルオロプロパン/1−プロパノー
ル中に浸漬して、5時間還流させた後、洗浄乾燥を行
い、重合体(以下、重合体Cとする。)を得た。重合体
CのIRスペクトルには水酸基に帰属されるピークが確
認された。
【0068】(合成例7)BVE4Mとペルフルオロブ
テニルビニルエーテルとの共重合 200mlのオートクレーブに水の80g、CF=C
FCFCF(CF)OCF=CFの15g、ペル
フルオロブテニルビニルエーテル(CF=CFCF
CFOCF=CF)の15g、ペルフルオロベンゾ
イルパーオキシドの75mg、およびメタノールの2.
4gを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後、オ
ートクレーブの内温が70℃になるまで加熱し20時間
重合を行った。得られた重合体をイオン交換水、メタノ
ールで洗浄した後、200℃で1時間乾燥した。得られ
た重合体(以下、重合体Dという。)の収率は85%で
あった。
【0069】重合体Dの一部をPBTHFに溶解して固
有粘度を測定したところ、0.35dl/gであった。
重合体Dからプレス成型により作成したフィルムの屈折
率をアッベ屈折率計により測定したところ1.336、
また、動的粘弾性測定装置(DMA)により測定したガ
ラス転移温度は116℃であった。
【0070】(実施例1)重合体Bの10gをペルフル
オロトリブチルアミンの90gに溶解して、重合体B溶
液(以下、B1液とする。)を調製した。重合体Bの1
0g、ペルフルオロトリブチルアミンの70g、1H,
1H,2H,2H−トリデカフルオロオクタノールの1
5g、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランの
0.05g、テトラメトキシシランの1.0gおよびメ
チルトリメトキシシランの1.5gからなる組成物(以
下、B2液とする。)を調製した。
【0071】シリコン基板上にスピンコート法でB1液
を塗工し、温度250℃で60分間加熱して10μm厚
の、重合体Bからなる下部クラッド部を形成した。該下
部クラッド部をプレッシャークッカー試験機にて加圧加
熱した後、JIS K5400、6.14に規定する方
法に従い碁盤目テストを行った。その結果、100時間
後の残数は100/100であり、全く剥離は認められ
なかった。
【0072】碁盤目テストに供した以外の下部クラッド
部上にB2液をスピンコートし、温度300℃で60分
間加熱し、5μm厚のコア部を形成した。このコア部
は、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、テト
ラメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランの縮
合物および重合体Bを含む組成物(以下、重合体B組成
物と記す。)からなっている。次いでレジスト液(東京
応化社製、商品名OFPR−800)を塗布、予備焼成
後、露光、現像、後焼成を行うことで、幅5μmの直線
からなるレジスト層を形成した。レジスト層に保護され
ていない重合体B組成物をドライエッチングにより除去
した。次いで、重合体B組成物を保護していた残りのレ
ジストをウエットエッチングにて除去し、断面が5μm
×5μmの矩形であり、重合体B組成物からなる角柱状
のコア部を下部クラッド上に形成した。このように形成
したコア部上に、B1液を用いて前記下部クラッド部形
成と同様にして重合体Bからなる上部クラッド部を形成
し、シリコン基板上に形成された直線状の光導波路を得
た。
【0073】この光導波路において、クラッド部、コア
部の屈折率は、それぞれ1.328、1.332であっ
た。半導体レーザの光源を用いて、この光導波路の伝搬
損失を測定したところ、波長650nmの光で約0.2
dB/cm以下、波長1300nmの光で0.10dB
/cm以下、波長1550nmの光で0.12dB/c
mであり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達で
きる光導波路であった。また、本光導波路を120℃オ
ーブン中にて1時間加熱処理した後、伝搬損失を測定し
たところ、変化は認められなかった。
【0074】(実施例2)重合体Dの10g、ペルフル
オロトリブチルアミンの70g、1H,1H,2H,2
H−トリデカフルオロオクタノールの15g、3−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシランの0.05g、テト
ラメトキシシランの1.5gおよびメチルメトキシシラ
ンの1.5gからなる組成物(以下、D2液とする。)
を調製した。
【0075】実施例1のB2液をD2液に変える以外
は、実施例1と同様にして光導波路を作成した。この光
導波路において、クラッド部、コア部の屈折率は、それ
ぞれ1.328、1.338であった。また、波長65
0nmの光で約0.2B/cm、波長1300nmの光
で0.12dB/cm以下、波長1550nmの光で
0.14dB/cmであり、可視光から近赤外光までの
光を良好に伝達できる光導波路であった。また、本導波
路を120℃オーブン中にて1時間加熱処理後も、伝搬
損失の変化は認められなかった。
【0076】(実施例3)重合体Cの10g、ペルフル
オロトリブチルアミンの70g、1H,1H,2H,2
H−トリデカフルオロオクタノールの15g、3−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシランの0.15gおよび
テトラメトキシシランの3.0gとからなる組成物(以
下、C2液とする。)を調製した。
【0077】実施例1のB2液の代わりにC2液を用い
る以外実施例1と同様にして光導波路を得た。この光導
波路において、クラッド部、コア部の屈折率はそれぞれ
1.328、1.335であった。半導体レーザの光源
を用いてこの光導波路の伝搬損失を測定したところ、波
長650nmの光で0.1dB/cm以下、波長130
0nmの光で0.10dB/cm、波長1550nmの
光で0.15dB/cmであり、可視光から近赤外光ま
での光を良好に伝達できる光導波路であった。また、本
導波路を120℃オーブン中にて1時間加熱処理したと
ころ、伝搬損失値の変化は認められなかった。
【0078】(比較例1)特開2000−81519公
報の[例1(合成例)]に従い官能基としてカルボン酸
基を有するペルフルオロブテニルビニルエーテルの重合
体(以下、重合体Eと記す。)を合成した。実施例1の
重合体Bを重合体Eに変えて、B1液、B2液にそれぞ
れ対応するE1液、E2液を調整した。B1液、B2液
をそれぞれE1液、E2液に変える以外は、実施例1と
同様にして、シリコン基板上に光導波路を形成した。こ
の光導波路において、クラッド部、コア部の屈折率は、
それぞれ1.340、1.345であった。半導体レー
ザの光源を用いてこの光導波路の伝搬損失を測定したと
ころ、波長1300nmの光で0.13dB/cm、波
長1550nmの光で0.19dB/cmであり、可視
から近赤外領域までの光を良好に伝達できる光導波路で
あった。この導波路を115℃のオーブン中に1時間放
置したところ、1300nm、1550nmにおいてそ
れぞれ15%以上の伝搬損失の上昇が認められた。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、機械的特性が良好で、
低吸水性であり、高温で長期間使用しても光学特性の劣
化が少ない含フッ素重合体を用いていることから、高温
高湿度下での信頼性が高く、可視から近赤外領域までの
光を良好に伝搬する光導波路を得ることができる。ま
た、本発明によれば、優れた伝搬性能と信頼性を有して
いる導波路型光デバイスを得ることができる。導波路型
光デバイスとして、多段に分岐した場合でも信号の劣
化、減衰が少ない。また導波路型光デバイスの1種であ
るTOスイッチを作成した場合、このTOスイッチは、
駆動のための電力が低く効率が高い、応答速度が早いな
どの優れた特性を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 正邦 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 杉山 徳英 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA04 PA02 PA21 PA24 PA28 QA05 4J100 AE84P BB13P CA01 DA01 DA25 DA44 DA62 DA63 JA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(1)、下式(2)および下式(3)
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造の繰り
    返し単位を含有する含フッ素重合体からなることを特徴
    とする光導波路。 【化1】 ただし、QはR−Oを表し、Rは内部にエーテル性
    酸素原子を有していてもよい炭素数10以下の含フッ素
    アルキレン基であり、該含フッ素アルキレン基はエーテ
    ル性酸素原子を有していてもよい含フッ素アルキル基を
    側鎖に有する。
  2. 【請求項2】前記Rの側鎖がトリフルオロメチル基で
    あり、該トリフルオロメチル基がエーテル性酸素原子に
    隣接している炭素原子に結合している請求項1に記載の
    光導波路。
  3. 【請求項3】含フッ素重合体が、式(4)で表される含
    フッ素ジエンが環化重合して生じた環構造を含む含フッ
    素重合体である請求項2に記載の光導波路。 CF=CF(CFC(CF)ROCF=CF・・・(4) ただし、Rはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、
    nは1〜3の整数を表す。
  4. 【請求項4】含フッ素重合体が、前記環構造の繰り返し
    単位以外の官能基含有繰り返し単位を含む含フッ素重合
    体であるか、または末端に官能基を有する含フッ素重合
    体である請求項1〜3に記載の光導波路。
  5. 【請求項5】光導波路が含まれてなる導波路型光デバイ
    スにおいて、該光導波路が請求項1〜4のいずれかに記
    載の光導波路であることを特徴とする導波路型光デバイ
    ス。
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