JP2003199842A - 消防設備用配管の配管径決定方法及び消防設備用ステンレス鋼管 - Google Patents

消防設備用配管の配管径決定方法及び消防設備用ステンレス鋼管

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JP2003199842A
JP2003199842A JP2002173245A JP2002173245A JP2003199842A JP 2003199842 A JP2003199842 A JP 2003199842A JP 2002173245 A JP2002173245 A JP 2002173245A JP 2002173245 A JP2002173245 A JP 2002173245A JP 2003199842 A JP2003199842 A JP 2003199842A
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Katsuyuki Omura
勝行 大村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】要求される流量を確保しつつ、配管の肉厚、配
管径を適正な範囲で低減することが可能な連結送水管設
備または屋内消火栓設備の配管径決定方法及びその用途
に供するステンレス鋼管を提供する。 【解決手段】連結送水管設備または屋内消火栓設備の配
管において、配管材料の種類により決定される流量係数
と配管内径とを要素として求められる摩擦損失計算に基
づき、適用予定の配管材料である場合の摩擦損失が炭素
鋼である場合の摩擦損失以下となるように配管内径を求
め、配管径を決定することを特徴としており、具体的に
は配管材料としてステンレス鋼を適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消防設備用配管の
配管径決定方法及び消防設備用ステンレス鋼管に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】送水管など建築物の中あるいはその周辺
に敷設される流体物を目的の地点まで伝達するための配
管には強度、耐久性、耐熱性などについてある一定レベ
ル以上の特性が求められており、従来より信頼性の面か
ら普通鋼管(炭素鋼鋼管)が使用されていた。しかし、
昨今の建築物の耐久性向上に伴い配管設備など付帯設備
のメンテナンスフリー化の要求が強くなり、マンション
内の一般給排水管などへのステンレス鋼管が使用される
ようになっている。また、構造物のウォターフロント建
設に伴う屋外に設置される付帯設備への耐食性の向上要
求に対してもステンレス鋼管が適用されている。最近で
は、連結送水管設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー
設備などの消防設備として厳格な特性(強度、耐食性、
耐熱性)が要求される配管にもステンレス鋼管が採用さ
れるようになってきている。
【0003】ここで、消防設備用配管は、耐圧レベルの
観点から(a)連結送水管設備用配管と(b)一般消防
設備用配管の2つに大別される。 (a)連結送水管設備用配管は、水圧試験圧力として1
0MPa(10重量キログラム毎平方センチメートル)
が要求されている圧力配管である。炭素鋼鋼管の場合、
JIS G3454「圧力配管用炭素鋼鋼管」で規定さ
れる記号STPG370のスケジュール番号(以下、S
chと称する)40の鋼管が適用される。なお、その設
備に連結される国内の消防ポンプ車の送水圧力能力が最
高2MPaであることから、実質的には2MPaが試験
圧力となる。 (b)一般消防設備用配管は、耐圧レベルが1MPa以
下とされる一般用配管であり、屋内消火栓設備、スプリ
ンクラー設備などに用いられる。炭素鋼鋼管の場合、J
IS G3452「配管用炭素鋼鋼管」で規定される記
号SGPの鋼管が適用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】連結送水管設備、屋内
消火栓設備、スプリンクラー設備などの消防設備用配管
では一定量以上の流量と強度が確保される配管であるこ
とが消防設備としての絶対条件であるが、その一方で建
築構造物の居住スペースをできるだけ確保するためにそ
れらの設備もできるだけスペースをとらないこと、すな
わち設備配管径が小さいことが求められている。ステン
レス鋼管をベースとする連結送水管設備、屋内消火栓設
備、スプリンクラー設備などでは、ステンレス鋼管の適
用実績がないことから流量確保のためにこれまでの炭素
鋼鋼管用の配管径及び配管の肉厚がそのまま適用されて
いるが、これでは配管としての耐久性は向上しても省ス
ペース化の要求への対応がとれず、オーバースペックで
あることは明らかであった。しかしながら、適正なステ
ンレス鋼管の配管径、肉厚とするためにはステンレス鋼
管の使用実績がないこともあり設備ごとに実験的に求め
ていくしかなく、適当な方法が存在しなかった。また、
このことはステンレス鋼に限らず、ほかの材料を適用し
ようとした場合でも同様であった。
【0005】本発明は、以上の従来技術における問題に
鑑みてなされたものであり、要求される水量を確保しつ
つ、配管の肉厚、配管径を適正な範囲で低減することが
可能な連結送水管設備、屋内消火栓設備、スプリンクラ
ー設備などの建築物に付帯する消防設備に用いられる配
管の配管径決定方法及びその方法により決定される消防
設備用ステンレス鋼管を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ステンレス
鋼が従来の炭素鋼よりも単位面積当りの強度が大きいこ
と、また流量の損失に関わる表面粗度も小さく安定して
いることに着目し、かつ連結送水管設備、屋内消火栓設
備、スプリンクラー設備などの建築物に付帯する消防設
備に用いられる配管に使用実績のある炭素鋼鋼管を基準
とすることによって本発明をなすに至った。具体的に
は、本発明は(1)炭素鋼鋼管の流量、強度を基準と
し、(2)その流量を確保できるステンレス鋼管の配管
内径を算出し、(3)その強度を基準としてステンレス
鋼管の肉厚を算出し、配管の断面寸法を確定することを
要旨としている。さらにこの手法はステンレス鋼に限ら
ず、炭素鋼以外の新たな材料を適用しようとする際にも
活用できることを見出した。
【0007】すなわち、前記課題を解決するために提供
する本願第一の発明に係る消防設備用配管の配管径決定
方法は、配管材料の種類により決定される流量係数と配
管内径と流速とを要素として求められる摩擦損失計算に
基づき、配管材料を炭素鋼としたときの流量係数と所定
流量と所定配管内径とから摩擦損失水頭を求め、その求
められた摩擦損失水頭と適用予定の配管材料の流量係数
と前記所定流量とから配管内径を求め、その求められた
配管内径に基づいて適用予定の配管材料からなる配管径
を決定することを特徴とする。この方法により、候補材
料を用いた配管について配管が炭素鋼鋼管の場合を基準
とするために要求される流量を確保することができ、か
つ適正な配管径とすることが可能となる。このとき、水
の流量の確保は配管内の流体の摩擦損失水頭が鉄管であ
る場合の摩擦損失水頭以下となるように配管材料の種
類、配管内径が選択され決定される。流体の摩擦損失水
頭を求める方法は種々あるが、ヘーゼン・ウイリアムス
の式で摩擦損失水頭の値として比較検討でき、配管内径
の算出が可能である。なお、ここでいう配管内に流され
る水とは、消火用に使用される水のことである。例え
ば、通常の上水やインヒビターなど微量の化学薬品が添
加された水などである。
【0008】前記課題を解決するために提供する本願第
二の発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法は、第
一の発明について、適用予定の配管材料の強度に基づ
き、配管として炭素鋼鋼管と同等以上の強度をもつ配管
肉厚を求め、前記配管内径と合計することにより配管径
を決定することを特徴とする。この方法により、候補材
料を用いた配管について配管が炭素鋼鋼管の場合を基準
とするために要求される強度を確保することができ、か
つ配管の肉厚、ひいては配管径を適正な範囲で低減する
ことが可能となる。
【0009】前記課題を解決するために提供する本願第
三の発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法は、第
一または第二の発明について、前記適用予定の配管材料
がステンレス鋼であることを特徴とする。これにより、
ステンレス鋼管として配管の肉厚、ひいては配管径を適
正な範囲で従来よりも低減することが可能となる。ま
た、ステンレス鋼の場合、強度の面において炭素鋼と比
較して肉厚が半減することから配管単体の質量も約半分
となり、配管を支持する部材の要求強度が低くなること
から、副次的に配管設備スペースの低減に寄与すること
になる。ステンレス鋼管の断面形状としては通常丸型で
あるが、角型でもよく、このときのステンレス鋼管のベ
ース鋼種としては一般的にはSUS304が多く使用さ
れているが、とくに制約されるものではない。
【0010】前記課題を解決するために提供する本願第
四の発明に係る消防設備用ステンレス鋼管は、適用予定
の配管材料からなる配管径が、配管材料の種類により決
定される流量係数と配管内径と流速とを要素として求め
られる摩擦損失計算に基づき、配管材料を炭素鋼とした
ときの流量係数と所定流量と所定配管内径とから摩擦損
失水頭を求め、その求められた摩擦損失水頭と適用予定
の配管材料の流量係数と前記所定流量とから求められた
配管内径に基づいて決定されてなることを特徴とする。
これにより、炭素鋼鋼管の場合を基準とするために要求
される流量を確保することができ、かつ配管径が適正な
範囲で低減されたステンレス鋼管を得ることが可能とな
る。このとき、流量の確保は配管内の流体の摩擦損失が
炭素鋼鋼管である場合の摩擦係数以下となるようにステ
ンレス鋼管の内径が決定される。流体の摩擦損失を求め
る方法は種々あるが、ヘーゼン・ウイリアムスの式で摩
擦損失水頭の値として比較検討でき、配管内径の算出が
可能である。
【0011】前記課題を解決するために提供する本願第
五の発明に係る消防設備用ステンレス鋼管は、第四の発
明について、適用されるステンレス鋼の強度に基づき、
配管として炭素鋼鋼管と同等以上の強度をもつ配管肉厚
を求め、前記配管内径と合計することにより配管径が決
定されることを特徴とする。これにより、配管が炭素鋼
鋼管の場合を基準とするために要求される強度を確保す
ることができ、かつ配管の肉厚、ひいては配管径を適正
な範囲で低減されたステンレス鋼管を得ることが可能と
なる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る消防設備用
配管の配管径決定方法の一実施形態について図面を参照
して説明する。図1は本発明に係る消防設備用配管の配
管径決定方法のうち、ステンレス鋼管の配管径を決定す
る手順を示すフローチャート図である。消防設備用配管
の配管径決定方法は配管内径検討工程と肉厚検討工程と
からなる。それぞれの工程内容について図1に基づいて
説明する。 (1)配管内径検討工程 配管内径の検討は、以下に示すヘーゼン・ウイリアムス
の式(1)と流量に関する式(2)とを使用して行う。 I={V/(0.004591xCxd0.63)}^1/0.54 … (1) ここで、I:摩擦損失水頭(mAq/m) V:流速(m/s) d:配管内径(mm) C:流量係数 Q=0.06×AxV … (2) ここで、Q:流量(L/min) A:配管内径断面積(mm
【0013】(S1)流量係数検証 圧力損失測定実験を行い鋼管種類ごとの流量係数を検証
し設定する。以下に本発明の検討に当って行ったステン
レス鋼管(SUS304TPA)と炭素鋼鋼管(STP
G370−Sch40(100A))に関する実験結果
を説明する。 (1)供試材 ステンレス鋼管(SUS304TPA) つぎの3種類の寸法のステンレス鋼管を用意し、実験を
行った。 ・呼び径65A;φ75.3mmxt3.0mmxL1
0000mm ・呼び径100A;φ114.3mmxt3.0mmx
L10000mm ・呼び径150A;φ165.2mmxt3.5mmx
L10000mm 炭素鋼鋼管(JIS G3454 STPG370−
Sch40(100A)) つぎの寸法の炭素鋼鋼管を用意し、実験を行った。 ・呼び径100A;φ114.3mmxt6.0mmx
L10000mm (2)実験方法 容量3000Lの貯水タンクに貯められた上水が水中ポ
ンプにて排出され、一定の配管経路を通った後に再び貯
水タンクに戻ってくる通水システムにおいて、その配管
の一部として上記供試材の鋼管を取りつけ、所定流量で
水を流し、その鋼管の上流、下流位置で流量、流速、管
内圧力を測定した。管内圧力は4回測定し、その平均値
を摩擦損失水頭として求めた。 (3)実験結果 実験結果を表1に示す。ステンレス鋼管の流量係数C
(SUS)の平均値は152.8であり、炭素鋼鋼管の
流量係数C(Fe)の平均値は101.8であった。こ
の結果を基に、ステンレス鋼管の流量係数をC(SU
S)=150とし、炭素鋼鋼管の流量係数をC(Fe)
=100として以下の検討を行う。なお、ここでは実験
結果を基に流量係数を設定したが、公知の流量係数を基
に検討を行ってもよい。
【0014】
【表1】
【0015】(S2)配管内径検討のための条件設定 配管内径検討のための流量Qを検討対象の設備別で設定
する。例えば、連結送水管設備の代表的な規定流量は4
00L/minであり、屋内消火栓設備の代表的な規定
流量は300L/minであり、スプリンクラー設備の
代表的な規定流量は800L/minであるので、それ
ぞれの設備の検討の際にはその数値を設定するとよい。
【0016】(S3)内径dと摩擦損失水頭Iとの関係
図 設定された流量Q、流量係数Cとに基づいて炭素鋼鋼管
及びステンレス鋼管の内径dと摩擦損失水頭Iとの関係
図を作成する。このとき、それぞれの鋼管の摩擦損失水
頭Iの算出手順は次の通りである。 流量Qと内径dとを基に式(2)から流速Vを求め
る。 その流速V、内径d、それぞれの鋼管の流量係数Cを
基に式(1)からそれぞれの鋼管の摩擦損失水頭Iを求
める。その手順で作成した内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図の例を図2に示す。図2は連結送水管設備の用途
を前提とした流量Q=400L/minの場合の炭素鋼
鋼管(C=100)の曲線とステンレス鋼管(C=15
0)の曲線を示している。いずれの曲線も内径dが大き
くなるほど摩擦損失水頭Iが指数関数的に小さくなる傾
向を示し、ステンレス鋼管(C=150)の摩擦損失水
頭Iが炭素鋼鋼管(C=100)のそれよりもほぼ一様
に小さい。
【0017】(S4)ステンレス鋼管の内径d(SU
S)決定 ステップS3で求めた関係図を用いて、つぎの手順でス
テンレス鋼管の内径d(SUS)の決定を行う。 現行使用している炭素鋼鋼管の内径d(Fe)に基づ
き、摩擦損失水頭I(Fe)を求める。 摩擦損失水頭I(Fe)=I(SUS)となるステン
レス鋼管の曲線上の点を求める。 そのときのステンレス鋼管の内径d(SUS)を求
め、これを適用する内径として決定する。
【0018】(2)肉厚検討工程 (S5)炭素鋼鋼管の機械的性質の検証 基準となる炭素鋼鋼管のJIS規格における肉厚及び機
械的性質(引張強さ、降伏強さ、全伸び)の規格値を確
認し、この値を基準の機械的性質とする。この場合のJ
IS規格とは、圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS G34
54)、配管用炭素鋼鋼管(JIS G3452)のい
ずれかである。また、上記機械的性質は実際に引張試験
を行い求めてもよい。
【0019】(S6)ステンレス鋼管のJIS規格決定 適用するステンレス鋼管のJIS規格における機械的性
質(引張強さ、耐力、全伸び)の規格値が上記基準の機
械的性質と同等となるようにJIS規格を選択する。詳
しくは、ステップS4で求めた内径d(SUS)に近似
する内径規格寸法のステンレス鋼管の機械的性質の規格
値が、ステップS5で求めた基準の機械的性質と同等以
上となるJIS規格を選択する。選択する対象のJIS
規格は、配管用ステンレス鋼管(JIS G345
9)、一般配管用ステンレス鋼管(JIS G344
8)のいずれかとするとよい。また、ステンレス鋼種は
SUS304またはSUS316のいずれかとする。
【0020】(S7)ステンレス鋼管の肉厚t(SU
S)決定 ステップS6で選択されたJIS規格において基準の機
械的性質に対応する規格品の肉厚を検討対象の設備用配
管の肉厚t(SUS)として決定する。ここでは、JI
S規格に規定されている機械的性質の規格値を指標とし
て肉厚t(SUS)を決定したが、肉厚を変化させたス
テンレス鋼管それぞれの機械的性質を引張試験により測
定し、その測定値が基準となる炭素鋼鋼管の引張強さT
S(Fe)と同等となる肉厚を検討対象の設備用配管の
肉厚t(SUS)としてもよい。
【0021】(S8)配管径の決定 ステップS4で決定された内径d(SUS)にステップ
S7で決定された肉厚t(SUS)の2倍の値を加えた
値を適用するステンレス鋼管の配管径として検討を終了
する。この後、求めた配管径に近似するステンレス鋼管
のJIS規格品を検討してもよい。また、上記では配管
材料としてステンレス鋼を用いる場合の消防設備用配管
の配管径決定方法を示したが、ステンレス鋼以外の材料
を用いる場合にも本発明の消防設備用配管の配管径決定
方法を用いることができる。
【0022】(実施例)上記消防設備用配管の配管径決
定方法に基づいた連結送水管設備用ステンレス鋼管、一
般消防設備用ステンレス鋼管の配管径決定に関する実施
例を以下に説明する。 (実施例1)連結送水管設備用鋼管 ここでは基準となる炭素鋼鋼管は圧力配管用炭素鋼鋼管
(JIS G3454で規定されるSTPG370)の
うち「スケジュール(以下、schとする)40」規格
のものである。なお、「sch40」とは、配管におい
て一定の強度を満たす肉厚を表す規格であり、材料の種
類、配管径ごとに「sch番号」規格に応じて肉厚が決
まる形である。例えば上記炭素鋼鋼管でにおけるsch
40とは、径100A規格の配管の場合、肉厚6mmと
なる。
【0023】(1)配管内径検討 (a)内径dと摩擦損失水頭Iとの関係図(図3) 以下の前提条件に基づき、内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図を求めた。その結果を図3に示す。 <前提条件> ・流量係数C(SUS)=150 ・流量係数C(Fe)=100 ・流量Q=400L/min
【0024】(b)内径d(SUS)の決定 図3の関係図を用いてステンレス鋼管の内径d(SU
S)を求めた。その決定方法について現行使用している
呼び径100A(内径102.3mm)の炭素鋼鋼管を
例にとり、図3を用いて説明する。 現行使用している炭素鋼鋼管の内径102.3mmに
対応する炭素鋼鋼管の曲線上の擦損失水頭I(Fe)の
点を求める。 摩擦損失水頭I(Fe)=I(SUS)となるステン
レス鋼管の曲線上の点を求める。 そのときのステンレス鋼管の内径87.5mmを呼び
径100A(内径102.3mm)の炭素鋼鋼管に対応
する内径として決定する。 以上の手順で求めた呼び径50A〜200Aの炭素鋼鋼
管に関する検討結果を表2に示す。いずれの径において
も炭素鋼鋼管の内径よりも10%以上小さい内径のステ
ンレス鋼管とすることができる。
【0025】
【表2】
【0026】(2)肉厚検討 (a)前提 消防法施行規則第31条では消防設備において使用され
る鋼管として、「日本工業規格G3442、G345
2、若しくはG3454に適合する管又はこれらと同等
以上の強度、耐蝕性及び耐熱性を有する管を使用するこ
と。ただし、配管の設計送水圧力(ノズルの先端におけ
る放水圧力が6重量キログラム毎平方センチメートル以
上となるように送水した場合における送水口における圧
力をいう。)が10重量キログラム毎平方センチメート
ルを超える場合には、日本工業規格G3454に適合す
る管のうち呼び厚さでスケジュール40以上のものに適
合するもの又はこれと同等以上の強度、耐蝕性及び耐熱
性を有する管を用いなければならない。」と定められて
いる。このうち、連結送水管設備用鋼管は配管の設計送
水圧力が10重量キログラム毎平方センチメートルを超
える場合に該当する。本発明のステンレス鋼管の肉厚
は、上記規定のうち耐食性と耐熱性については実用上の
肉厚の範囲内では十分に満足しているが、強度の面で上
記要求(鉄管の強度)を満足する肉厚が下限となる。
【0027】(b)ステンレス鋼管のJIS規格決定 炭素鋼鋼管の機械的性質の規格値 従来使用されていたsch40相当の圧力配管用炭素鋼
鋼管(JIS G3454)のうち、例えば管径及び肉
厚がΦ114.3×t6.0/mmの圧力配管用炭素鋼
鋼管の機械的性質の規格値は、引張強さは370N/m
以上、伸びは27%以上、降伏強さは215N/m
以上である。 ステンレス鋼管の対応JIS規格 配管用ステンレス鋼管(JIS G3459)のうち、
例えばsch10相当、φ114.3×t3.0/mm
のSUS304TP−Aの規格値は、引張強さが520
N/mm以上、伸びが32%以上、耐力が205N/
mm以上であり、上記圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS
G3454)に匹敵する。また、一般配管用ステンレ
ス鋼管(JIS G3448)のうち、例えばφ11
4.3×t2.0/mmのSUS304TP−Dの規格
値(引張強さが520N/mm以上、伸びが35%以
上)が、上記JIS G3454炭素鋼鋼管に匹敵す
る。したがって、配管用ステンレス鋼管(JIS G3
459)、一般配管用ステンレス鋼管(JIS G34
48)のいずれでもよいことになるが、この場合は耐力
が規定されている配管用ステンレス鋼管(JIS G3
459)を選択する。
【0028】(c)肉厚の決定 規格JIS G3459において、上記表2に示された
内径d(SUS)に近似する呼び径の肉厚を選択する。
【0029】(3)配管径の決定 上記(1)で求められた内径d(SUS)に上記(2)
で求められた肉厚の2倍の値を加えた値を適用するステ
ンレス鋼管の配管径として求めた。その結果を表3に示
す。また、その求められた配管径に該当するJIS G
3459で規定されるステンレス鋼管規格品の呼び径も
合わせて求めた。この場合、原則として規格品の外径は
求められた配管径以上であることとしている。これによ
り、従来とほぼ同等かつ消防法規則に十分合致する強度
を備え、従来の炭素鋼鋼管に比べて薄肉軽量で配管径の
小さい連結送水管設備用のステンレス鋼管を得ることが
できる。なお、表3において炭素鋼鋼管の呼び径50A
に対応する40A、炭素鋼鋼管の呼び径65Aに対応す
る50A、炭素鋼鋼管の呼び径100Aに対応する80
A、炭素鋼鋼管の呼び径200Aに対応する150Aの
ステンレス鋼管は、求められた配管径に径寸法が近似す
るが若干小さい規格品である。これらについて、実際に
試作し、該当する炭素鋼鋼管の条件で上水を流したとこ
ろ、同等の流量が確保されることが確認された。
【0030】
【表3】
【0031】(実施例2)屋内消火栓設備用鋼管 ここでは基準となる炭素鋼鋼管は配管用炭素鋼鋼管(J
IS G3452)である。
【0032】(1)配管内径検討 (a)内径dと摩擦損失水頭Iとの関係図(図4) 以下の前提条件に基づき、内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図を求めた。その結果を図4に示す。 <前提条件> ・流量係数C(SUS)=150 ・流量係数C(Fe)=100 ・流量Q=300L/min
【0033】(b)内径d(SUS)の決定 図4の関係図を用いてステンレス鋼管の内径d(SU
S)を求めた。その決定方法について現行使用している
呼び径80A(内径80.7mm)の炭素鋼鋼管を例に
とり、図4を用いて説明する。 a.現行使用している炭素鋼鋼管の内径80.7mmに
対応する炭素鋼鋼管の曲線上の擦損失水頭I(Fe)の
点を求める。 b.摩擦損失水頭I(Fe)=I(SUS)となるステ
ンレス鋼管の曲線上の点を求める。 c.そのときのステンレス鋼管の内径69.2mmを呼
び径80A(内径80.7mm)の炭素鋼鋼管に対応す
る内径として決定する。 以上の手順で求めた呼び径32A〜200Aの炭素鋼鋼
管に関する検討結果を表4に示す。いずれの径において
も炭素鋼鋼管の内径よりも10%以上小さい内径のステ
ンレス鋼管とすることができる。
【0034】
【表4】
【0035】(2)肉厚検討 (a)前提 消防法施行規則第31条では消防設備において使用され
る鋼管として、「日本工業規格G3442、G345
2、若しくはG3454に適合する管又はこれらと同等
以上の強度、耐蝕性及び耐熱性を有する管を使用するこ
と。ただし、配管の設計送水圧力(ノズルの先端におけ
る放水圧力が6重量キログラム毎平方センチメートル以
上となるように送水した場合における送水口における圧
力をいう。)が10重量キログラム毎平方センチメート
ルを超える場合には、日本工業規格G3454に適合す
る管のうち呼び厚さでスケジュール40以上のものに適
合するもの又はこれと同等以上の強度、耐蝕性及び耐熱
性を有する管を用いなければならない。」と定められて
いる。このうち、屋内消火栓設備用鋼管は日本工業規格
G3454に適合する管に該当する。本発明のステンレ
ス鋼管の肉厚は、上記規定のうち耐食性と耐熱性につい
ては実用上の肉厚の範囲内では十分に満足しているが、
強度の面で上記要求(鉄管の強度)を満足する肉厚が下
限となる。
【0036】(b)ステンレス鋼管のJIS規格決定 実施例1の場合と同じ手法でステンレス鋼管のJIS規
格を決定する。ただし、本用途の場合は配管用炭素鋼鋼
管(JIS G3452)の機械的性質の規格値を用い
る。その結果、配管用ステンレス鋼管(JIS G34
59)、一般配管用ステンレス鋼管(JIS G344
8)のいずれでもよいことが確認された。この場合は経
済的に有利な一般配管用ステンレス鋼管(JIS G3
448)を選択する。
【0037】(c)肉厚の決定 規格JIS G3448において、上記表4で示された
内径d(SUS)に近似する呼び径の肉厚を選択する。
【0038】(3)配管径の決定 上記表4に示された内径d(SUS)に上記(2)で求
められた肉厚の2倍の値を加えた値を適用するステンレ
ス鋼管の配管径として求めた。その結果を表5に示す。
また、その求められた配管径に該当するJIS G34
48で規定されるステンレス鋼管規格品の呼び径も合わ
せて求めた。この場合、原則として規格品の外径は求め
られた配管径以上であることとしている。これにより、
従来とほぼ同等かつ消防法規則に十分合致する強度を備
え、従来の炭素鋼鋼管に比べて薄肉軽量で配管径の小さ
い屋内消火栓設備用のステンレス鋼管を得ることができ
る。なお、表5において炭素鋼鋼管の呼び径65Aに対
応する60SUのステンレス鋼管は、求められた配管径
に径寸法が近似するが若干小さい規格品である。これら
について、実際に試作し、該当する炭素鋼鋼管の条件で
上水を流したところ、同等の流量が確保されることが確
認された。
【0039】
【表5】
【0040】(実施例3)スプリンクラー設備用鋼管 ここでは基準となる炭素鋼鋼管は配管用炭素鋼鋼管(J
IS G3452)である。
【0041】(1)配管内径検討 (a)内径dと摩擦損失水頭Iとの関係図(図5) 以下の前提条件に基づき、内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図を求めた。その結果を図5に示す。 <前提条件> ・流量係数C(SUS)=150 ・流量係数C(Fe)=100 ・流量Q=800L/min
【0042】(b)内径d(SUS)の決定 図5の関係図を用いてステンレス鋼管の内径d(SU
S)を求めた。その決定方法について現行使用している
呼び径150A(内径155.2mm)の炭素鋼鋼管を
例にとり、図5を用いて説明する。 イ.現行使用している炭素鋼鋼管の内径155.2mm
に対応する炭素鋼鋼管の曲線上の擦損失水頭I(Fe)
の点を求める。 ロ.摩擦損失水頭I(Fe)=I(SUS)となるステ
ンレス鋼管の曲線上の点を求める。 ハ.そのときのステンレス鋼管の内径133.2mmを
呼び径150A(内径155.2mm)の炭素鋼鋼管に
対応する内径として決定する。 以上の手順で求めた呼び径32A〜200Aの炭素鋼鋼
管に関する検討結果を表6に示す。いずれの径において
も炭素鋼鋼管の内径よりも10%以上小さい内径のステ
ンレス鋼管とすることができる。
【0043】
【表6】
【0044】(2)肉厚検討 (a)前提 消防法施行規則第31条では消防設備において使用され
る鋼管として、「日本工業規格G3442、G345
2、若しくはG3454に適合する管又はこれらと同等
以上の強度、耐蝕性及び耐熱性を有する管を使用するこ
と。ただし、配管の設計送水圧力(ノズルの先端におけ
る放水圧力が6重量キログラム毎平方センチメートル以
上となるように送水した場合における送水口における圧
力をいう。)が10重量キログラム毎平方センチメート
ルを超える場合には、日本工業規格G3454に適合す
る管のうち呼び厚さでスケジュール40以上のものに適
合するもの又はこれと同等以上の強度、耐蝕性及び耐熱
性を有する管を用いなければならない。」と定められて
いる。このうち、スプリンクラー栓設備用鋼管は日本工
業規格G3454に適合する管に該当する。本発明のス
テンレス鋼管の肉厚は、上記規定のうち耐食性と耐熱性
については実用上の肉厚の範囲内では十分に満足してい
るが、強度の面で上記要求(鉄管の強度)を満足する肉
厚が下限となる。
【0045】(b)ステンレス鋼管のJIS規格決定 実施例1の場合と同じ手法でステンレス鋼管のJIS規
格を決定する。ただし、本用途の場合は配管用炭素鋼鋼
管(JIS G3452)の機械的性質の規格値を用い
る。その結果、配管用ステンレス鋼管(JIS G34
59)、一般配管用ステンレス鋼管(JIS G344
8)のいずれでもよいことが確認された。この場合は経
済的に有利な一般配管用ステンレス鋼管(JIS G3
448)を選択する。
【0046】(c)肉厚の決定 規格JIS G3448において、上記表6で示された
内径d(SUS)に近似する呼び径の肉厚を選択する。
【0047】(3)配管径の決定 上記表6に示された内径d(SUS)に上記(2)で求
められた肉厚の2倍の値を加えた値を適用するステンレ
ス鋼管の配管径として求めた。その結果を表7に示す。
また、その求められた配管径に該当するJIS G34
48で規定されるステンレス鋼管規格品の呼び径も合わ
せて求めた。この場合、原則として規格品の外径は求め
られた配管径以上であることとしている。これにより、
従来とほぼ同等かつ消防法規則に十分合致する強度を備
え、従来の炭素鋼鋼管に比べて薄肉軽量で配管径の小さ
いスプリンクラー設備用のステンレス鋼管を得ることが
できる。なお、表7において炭素鋼鋼管の呼び径125
Aに対応する100SU、炭素鋼鋼管の呼び径150A
に対応する125SUのステンレス鋼管は、求められた
配管径に径寸法が近似するが若干小さい規格品である。
これらについて、実際に試作し、該当する炭素鋼鋼管の
条件で上水を流したところ、同等の流量が確保されるこ
とが確認された。
【0048】
【表7】
【0049】実施例では直管を基準として適正化を図っ
たが、実際の設計施工に当ってはエルボなどの管継手類
に関してもステンレス鋼を適用する。上記換算後の配管
径規格に合わせて、例えば空気調和・衛生工学会規格の
うち、給排水衛生設備基準(HASS 206)で示さ
れている局部損失相当長のデータを基に設計を行えばよ
い。なお、上記実施例はステンレス鋼管(SUS304
TP−A、SUS304TP−D)の適用例であるが、
材料の種類としてとくにステンレス鋼管に限定されるも
のではなく、現行使用されている炭素鋼鋼管を基準とし
て配管内の流体(水)の摩擦損失及び管の強度比較ができ
る材料であればよい。
【0050】
【発明の効果】この方法により、候補材料を用いた配管
について配管が炭素鋼鋼管の場合を基準とするために要
求される流量を確保することができ、かつ適正な配管径
とすることが可能となる。また、候補材料を用いた配管
について配管が炭素鋼鋼管の場合を基準とするために要
求される強度を確保することができ、かつ配管の肉厚、
ひいては配管径を適正な範囲で低減することが可能とな
る。さらに、候補材料をステンレス鋼とすることによっ
て、配管の肉厚、配管径を適正な範囲で従来の鉄管より
も低減することが可能となる。
【0051】この発明により、要求される流量が確保さ
れ、配管径が適正な範囲で低減されたステンレス鋼管を
得ることが可能となり、要求される強度が確保され、配
管の肉厚、ひいては配管径を適正な範囲で低減されたス
テンレス鋼管を得ることが可能となる。本発明の効果と
して、ステンレス鋼管の配管径、肉厚が薄くなることで
配管のスペースが低減されるだけではなく、配管の質量
も低減することができるため、配管を支持する部材関係
の要求強度が低くなり、副次的に配管設備スペースを低
減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法
のうち、ステンレス鋼管の配管径を決定する手順を示す
フローチャート図である。
【図2】本発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法
のうち、炭素鋼鋼管とステンレス鋼管に関する内径dと
摩擦損失水頭Iとの関係図である。
【図3】本発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法
のうち、実施例1に関する内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図である。
【図4】本発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法
のうち、実施例2に関する内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図である。
【図5】本発明に係る消防設備用配管の配管径決定方法
のうち、実施例3に関する内径dと摩擦損失水頭Iとの
関係図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配管材料の種類により決定される流量係数
    と配管内径と流速とを要素として求められる摩擦損失計
    算に基づき、 配管材料を炭素鋼としたときの流量係数と所定流量と所
    定配管内径とから摩擦損失水頭を求め、 その求められた摩擦損失水頭と適用予定の配管材料の流
    量係数と前記所定流量とから配管内径を求め、 その求められた配管内径に基づいて適用予定の配管材料
    からなる配管径を決定することを特徴とする消防設備用
    配管の配管径決定方法。
  2. 【請求項2】適用予定の配管材料の強度に基づき、配管
    として炭素鋼鋼管と同等以上の強度をもつ配管肉厚を求
    め、前記配管内径と合計することにより配管径を決定す
    ることを特徴とする請求項1に記載の消防設備用配管の
    配管径決定方法。
  3. 【請求項3】前記適用予定の配管材料がステンレス鋼で
    あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    消防設備用配管の配管径決定方法。
  4. 【請求項4】適用予定の配管材料からなる配管径が、配
    管材料の種類により決定される流量係数と配管内径と流
    速とを要素として求められる摩擦損失計算に基づき、配
    管材料を炭素鋼としたときの流量係数と所定流量と所定
    配管内径とから摩擦損失水頭を求め、その求められた摩
    擦損失水頭と適用予定の配管材料の流量係数と前記所定
    流量とから求められた配管内径に基づいて決定されてな
    ることを特徴とする消防設備用ステンレス鋼管。
  5. 【請求項5】適用されるステンレス鋼の強度に基づき、
    配管として炭素鋼鋼管と同等以上の強度をもつ配管肉厚
    を求め、前記配管内径と合計することにより配管径が決
    定されることを特徴とする請求項4に記載の消防設備用
    ステンレス鋼管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101992387A (zh) * 2010-10-23 2011-03-30 徐州正菱涂装有限公司 新型钢管表面在线处理的生产工艺
JP2014502680A (ja) * 2010-12-09 2014-02-03 ウィルファイアー、エッチシー、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー 工業用消火のための消火栓マニホールドを備えるスイベル、または工業用消火のための消火栓マニホールド用のスイベル
JP2020054658A (ja) * 2018-10-02 2020-04-09 株式会社コーアツ ガス系消火設備

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