JP2003180693A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JP2003180693A
JP2003180693A JP2003003287A JP2003003287A JP2003180693A JP 2003180693 A JP2003180693 A JP 2003180693A JP 2003003287 A JP2003003287 A JP 2003003287A JP 2003003287 A JP2003003287 A JP 2003003287A JP 2003180693 A JP2003180693 A JP 2003180693A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】造影剤の関心領域への流入出量の経時的変化等
の各種情報をリアルタイムで提供できる超音波診断装置
を提供することにある。 【解決手段】超音波プローブ101,102と、これら
超音波プローブ101,102を送受信駆動し、複数の
走査線から構成されたフレーム単位の超音波画像を得る
送受信回路114と、超音波プローブ101,102と
送受信回路104との接続の組合せを時分割で切換える
切換器113を有し、前記フレーム単位の超音波画像に
関心領域を設定し、該設定された前記フレーム単位の超
音波画像の関心領域における画像データの時間的な変化
曲線をほぼ同時に求め、該求められた前記複数の時間的
変化曲線を同時表示する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波造影剤によ
る診断に適用する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置は、超音波パルスを生体
内に放射し、固有音響インピーダンス(両媒質の密度と
音速との積)の異なる組織の境界面から反射してくる反
射波を受信した後、これを処理して画像を得るものであ
り、X線診断法のような被曝障害がなく臨床上有益な装
置である。しかも、電子走査技術に代表される各種技術
の進歩によりリアルタイム性能が向上し、動体計測がよ
り容易になった。
【0003】ところで、近年、超音波造影剤の開発が進
み、X線アンギオに匹敵するような綿密な血流診断への
期待が高まっている。この超音波造影剤は生体からの受
信信号とその強度において明確に相違する性質を有して
いる。これによりBモード像上で超音波造影剤が流入し
た部分は他の部分と輝度または階調レベルが相違するの
で、観察者は超音波造影剤の流入の様子を観察すること
ができる。
【0004】ところで、このような超音波造影剤の流入
の様子を視覚的に観察するだけではその精度は非常に低
い。診断精度を向上するには、造影剤の関心領域への流
入出量の経時的変化やその立ち上がり時間等の各種情報
が必要となる。従来の超音波診断装置ではこのような各
種情報を提供することはできず、このため観察者は各フ
レーム毎に関心領域内の濃度合計を計測し、その結果を
グラフにまとめて診断に供していた。このように各種情
報を入手するために観察者は不快な手間と時間を要求さ
れる。また、その情報がリアルタイムで得られないとい
う問題もある。さらに、受信信号には生体成分と造影剤
成分とが含まれていて、関心領域への流入出量を正確に
測定するためには、受信信号から造影剤成分を抽出する
必要があるが、超音波はX線に比べて態動の影響を受け
易く同じ生体部分の生体成分であってもその強度は経時
的に不安定であり、このため受信信号から造影剤成分を
正確に抽出することができないという問題もある。
【0005】また、一般に超音波診断装置のダイナミッ
クレンジは、コントラストを高めるため生体組織からの
受信信号の予想される強度幅に設定されている。このた
め受信信号の造影剤成分は、生体からの受信信号とその
強度において明確に相違しているので、このダイナミッ
クレンジから突出し飽和することがあり、そのため画像
化できないという問題もある。
【0006】さらに、造影剤の流入状況は、離れた2つ
の部分、例えば頸動脈と内脈の2つの部分を同時観察す
ることが有効である。このため従来は、2台の超音波診
断装置を使用していた。しかし互いに他方の超音波の影
響でビートノイズが画像に発生する問題があった。ま
た、両装置間で各別に画像を生成するため、両装置のプ
ローブの電気/超音波変換特性やプリアンプ等のゲイン
特性の相違により両装置の標準信号レベルが相違し、こ
のため画像間比較できないという問題もある。
【0007】また、上述し他に、異なるダイナミックレ
ンジの入出力特性を記憶したROMを有し、いずれかを
選択できる超音波診断装置が知られている(特許文献1
参照)。
【0008】さらに、ダイナミックレンジ切り替え機能
を有する対数圧縮回路を備える超音波診断装置が知られ
ている(特許文献2参照)。
【0009】またさらに、関心領域を指定することがで
き、該関心領域内の統計量を算出する手段を備える超音
波診断装置が知られている(特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】特開昭62−144642号公報(第2
図、第4図及び第3頁)
【0011】
【特許文献2】特開平04−224739号公報(図
1)
【0012】
【特許文献3】特開平04−035653号公報(第1
図、第2図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したいず
れの先行技術においても、造影剤を用いた超音波診断に
おいては不充分であり、その改善が求められていた。
【0014】本発明の目的は、造影剤の関心領域への流
入出量の経時的変化等の各種情報をリアルタイムで提供
できる、又は、離れた2つの部分の画像を互いに他方の
超音波の影響でビートノイズの発生を押さえながらそれ
ぞれリアルタイムで収集できる超音波診断装置を提供す
ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次の超音波
診断装置により達成される。すなわち、本発明は、被検
体の異なる部位に対して超音波送受を行うための複数の
超音波プローブと、前記複数の超音波プローブを送受信
駆動し、複数の走査線から構成されたフレーム単位の超
音波画像を得る1つの送受信部と、前記複数の超音波プ
ローブの各超音波プローブと前記送受信部との接続の組
合せを時分割で切換える切換部と、前記フレーム単位の
超音波画像に関心領域を設定する設定部と、この設定部
により設定された前記フレーム単位の超音波画像の関心
領域における画像データの時分割的な変化曲線をほぼ同
時に求める算出部と、この算出部により求められた前記
複数の時間的変化曲線を同時表示する表示部とを具備す
る超音波診断装置、である。
【0016】また本発明は、被検体に対して超音波を送
受信し超音波受信信号を得る送受信部と、この送受信部
により得られる超音波受信信号を信号処理して超音波画
像を得る信号処理部と、この信号処理部により得られる
超音波画像中に関心領域を設定する設定手段と、この設
定手段により設定された関心領域における画像データの
時分割的な変化曲線をほぼ同時に求める手段と、この前
記信号処理部により得られる超音波画像及び前記手段に
より得られる前記複数の時間的変化曲線を同時表示する
表示部とを具備する超音波診断装置、である。
【0017】さらに本発明は、被検体に対して超音波を
送受信し超音波受信信号を得る送受信部と、この送受信
部により得られる超音波受信信号を信号処理してフレー
ム単位の超音波画像を得る信号処理部と、この信号処理
部により得られるフレーム単位の超音波画像中に関心領
域を設定する設定部と、この設定部により設定されたフ
レーム毎の関心領域間にフィルタリングを施すフィルタ
リング部と、このフィルタリング部によりフィルタリン
グされたフレーム毎の関心領域の画像データに基づき、
該関心領域における画像データの時間的な変化曲線を求
める算出部と、この算出部により求められた前記時間的
変化曲線を表示する表示部とを具備する超音波診断装
置、である。
【0018】本発明によれば、複数の超音波プローブを
一つの送受信部により時分割に送受信駆動して、互いに
他の超音波プローブから発せられる超音波の影響をうけ
ること無しに、且つ、同一送受信条件の下で複数の関心
領域の時間的変化曲線を同時表示することができる。従
って、造影剤の関心領域への流入出量の経時的変化等の
各種情報をリアルタイムで提示することができる。
【0019】また、本発明によれば、一つの超音波画像
内の複数の関心領域に複数の時間的変化曲線を同時に求
め、表示することができる。従って、離れた2つの部分
の画像を互いに他方の超音波の影響でビートノイズの発
生を押さえながらそれぞれリアルタイムで収集できる。
また更に、フレーム間でフィルタリングされた関心領域
の画像データに基づき、該関心領域における画像データ
の時間的な変化曲線を表示することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明によ
る超音波診断装置の実施形態を説明する。
【0021】図1は本発明による超音波診断装置の第1
実施形態を示すブロック図である。図1に示すように、
被検体Pに当てられた超音波プローブ1は、送信部20
0及び受信部201により送受信駆動される。受信部2
01からは超音波受信信号が得られる。この超音波受信
信号は信号処理部202に与えられ、ここでBモード
像、ドプラ像、CFM(カラーフローマッピング)像の
如き超音波画像が得られる。変換部203は、信号処理
部202から出力された超音波画像のダイナミックレン
ジを変換する。表示部204は、変換されたダイナミッ
クレンジを有する超音波画像を表示する。制御部205
は、送信部200、受信部201、信号処理部202、
変換部203及び表示部204を制御する。
【0022】設定部206は、超音波条件の設定を初め
とする診断条件を設定する。この他に、設定部206で
は、造影剤モードである造影剤が注入された被検体から
の超音波画像と、通常モードである造影剤が注入されて
いない被検体からの超音波画像とに応じて変換部203
の変換特性を変更するべく制御部205に指令を与え
る。変換部203は、ダイナミックレンジの異なる2つ
のログ圧縮器を用いて、通常モードと造影剤モードとで
適宜選択的に使用して、通常モードでは良好なコントラ
ストを有する超音波画像を得ることができ、造影剤モー
ドでは造影剤の信号を飽和することなく超音波画像をロ
グ圧縮することができる。
【0023】図2は本発明による超音波診断装置の第2
実施形態を示すブロック図である。図2に示すように、
第2実施形態の超音波診断装置は、第1実施形態の超音
波診断装置とは異なる変換部207を有する。この変換
部207は、一のログ圧縮カーブデータを記憶したメモ
リ207Aと、他のログ圧縮カーブデータを記憶したメ
モリ207Bと、演算部207Cとからなる。例えば、
一のログ圧縮カーブデータは通常モードに使用するログ
圧縮特性であり、他のログ圧縮カーブデータは造影剤モ
ードに使用するログ圧縮特性である。この変換部207
は、入力値を、ログ圧縮カーブデータに基づき所定の出
力値に変換する。従って、この変換部207は、入力値
をログ圧縮し、該ログ圧縮した値を出力するものであ
る。この変換部207にあっても、通常モードと造影剤
モードとで適宜選択的に使用して、通常モードでは良好
なコントラストを有する超音波画像を得ることができ、
造影剤モードでは造影剤の信号を飽和することなく超音
波画像をログ圧縮することができる。
【0024】図3は本発明による超音波診断装置の第3
実施形態を示すブロック図である。セクタ式電子走査型
のプローブ1は、一次元に配列された複数の振動子から
なる。なおプローブ1はセクタ式電子走査型に限定され
ず、リニア式でも、機械走査型でもよい。このプローブ
1には送信系2が接続される。送信系2は、プローブ1
の各振動子に駆動パルスを供給する。送信系2は、この
駆動パルスの出力タイミングを振動子間で相違させ、こ
れにより任意の方向に超音波ビームを送信させる。
【0025】被検体Pからの反射波は送信時と同じ振動
子で受信され、その受信信号は受信系3に供給される。
受信系3は各受信信号に送信時とは逆の遅延時間を与え
てそれらを加算する。受信系3の出力には2系統のログ
圧縮器4,5が接続される。第1のログ圧縮器4は通常
モード時に起動され、第2のログ圧縮器5は造影剤モー
ド時に起動される。ログ圧縮器4,5は、受信系3の出
力を以下の式(1)にしたがってログ圧縮に供し、この
結果を輝度情報として出力する。なお、θはログ圧縮器
出力、Iはログ圧縮器入力、Aは所定の係数、DRは圧縮
率を決定するパラメータである。
【0026】θ=A・log DR・I …(1) このパラメータDRは、第1のログ圧縮器4と第2のログ
圧縮器5とで相違する。第1のログ圧縮器4は、パラメ
ータDR1またはDR2(DR1<DR2)を使用する。第2の
ログ圧縮器5は、パラメータDR2より大きいDR3を使用
する。ログ圧縮器4,5への入力レンジはImin 〜Ima
x であり、その出力レンジはθmin 〜θmax で固定され
ている。したがって、ログ圧縮結果が、出力レンジθmi
n 〜θmax より小さい場合または大きい場合には、その
出力はそれぞれImin 、Imax に統一される。図5はパ
ラメータDR1、DR2、DR3のそれぞれに対応する対数曲
線a、b、c及びそれぞれのダイナミックレンジを示す
図である。パラメータDR1の場合のダイナミックレンジ
はI0 〜Ia 、パラメータDR2の場合のダイナミックレ
ンジはI0 〜Ib 、パラメータDR1の場合のダイナミッ
クレンジはI0 〜Imax となる。
【0027】従って、第2のログ圧縮器5のダイナミッ
クレンジは、第1のログ圧縮器4のそれより広く、造影
剤の信号を飽和することなくログ圧縮することができ
る。
【0028】第1のログ圧縮器4の出力は、第1のフレ
ームメモリ6に供給され、2次元マトリクス上に展開さ
れ、そこから所定の順序で一次元に配列されて出力され
る。この出力は、ROIマーカ付加器7を介して表示器
8に供給される。
【0029】第2のログ圧縮器5の出力は、第2のフレ
ームメモリ9に供給され、2次元マトリクス上に展開さ
れ、そこから所定の順序で一次元に配列されて出力され
る。この出力は、造影剤信号検出部10に送られる。造
影剤信号検出部10は、第2のフレームメモリ9の出力
から造影剤成分(以下これを「造影剤信号」という)を
抽出する。この造影剤信号は2次元の造影剤信号メモリ
11を介して表示器8に供給される。
【0030】この造影剤信号はグラフ演算部12にも供
給される。グラフ演算部12は、造影剤信号を用いて、
造影剤の関心領域(ROI)への流入出量の経時的変化
曲線(以下これを「タイムデンシティカーブ」という)
のグラフ情報を作成したり、その流入、流出時間等の各
種時間情報を計測する。グラフ演算部12の出力は2次
元のグラフ情報メモリ13を介して表示器8に供給され
る。
【0031】制御器14は、バスライン15を介して、
ログ圧縮器4,5、フレームメモリ6,9、ROIマー
カ付加器7、造影剤信号検出部10、造影剤信号メモリ
11、グラフ演算部12、グラフ情報メモリ13の各部
に制御信号及び必要な情報を供給し、各部を関連させて
動作させると共に各部の処理を実行させる。
【0032】造影剤モード入力部16は、通常モードと
造影剤モードの切換えの指示を入力するための装置であ
る。この通常モードと造影剤モードの切換えは、キーボ
ードのキー操作に依存して行われるものでもよいし、造
影剤注入装置を起動することを検知するスイッチの出力
に依存して行われるものでもよい。造影剤注入装置は、
図4に示すように、一端に突出口をまた他端に挿入口を
備えた円筒部20とそれに挿入される挿入部21とから
なるシリンジを主構成要素とする。造影剤注入装置を用
いて造影剤を注入するときには、挿入部21は円筒部2
0内に深く挿入されるか、またはジョイント22を介し
て突出口にチューブ23が接続される。したがって、突
出口にチューブ23が接続されたことを検知する電極ス
イッチ24をジョイント22に設けるか、またはシリン
ジに電磁スイッチ25を設けることにより、造影剤注入
装置を起動することを検知することができる。電極スイ
ッチ24は突出口にチューブ23が接続されたときON
信号を出力する。電磁スイッチ25は、挿入部21の先
端付近に設けられた磁石と、挿入部21を円筒部20に
深く挿入したときに磁石と対峙する円筒部20に設けら
れたコイルとからなり、挿入部21を円筒部20に深く
挿入したときのコイルに発生する誘導電流を発生して、
造影剤注入装置を起動することを検知し、ON信号を出
力する。制御器14は、このON信号を受けて、動作モ
ードを通常モードから造影剤モードに切換える。
【0033】図6は、ROIマーカ付加器7の構成を示
すブロック図である。ROIマーカ発生器41には制御
器14からマーカ情報が供給される。マーカ情報は制御
器14に接続された図示しないマウスの如き入力装置を
観察者が操作することにより入力される。ROIマーカ
発生器41はマーカ情報に基づいて関心領域を示す例え
ば矩形のマーカデータを出力する。このマーカデータ
は、スイッチ42を介して加算器43に供給され、第1
のメモリ6からの画像に合成される。スイッチ42は制
御器14からの制御信号にしたがって開閉を行い、マー
カ情報に基づくマーカデータがROIマーカ発生器41
から出力されるときにROIマーカ発生器41を加算器
43に接続する。加算器43の出力は表示器8に供給さ
れる。
【0034】図7は造影剤信号検出器10の構成を示す
ブロック図である。第2のメモリ9から関心領域(RO
I)内の画像(以下「ROI画像」という)が出力さ
れ、このROI画像は、そのまま減算器57に供給され
ると共に、平均値演算部51とROIフレーム平均値メ
モリ56を介してやはり減算器57に供給される。減算
器57の減算結果は、フレーム差分値、つまり造影剤信
号として累積加算演算部60とフレーム差分値メモリ6
3に供給される。累積加算演算部60とフレーム差分値
メモリ63の出力は、スイッチ64を介し択一的に造影
剤信号メモリ11及びグラフ演算部12に供給される。
平均値演算部51は所定数フレームの関心領域(RO
I)内の各画素の平均値を演算するための手段であり、
加算器52、ROIフレームメモリ53、スイッチ5
4、割り算器55を備える。加算器52では第2のメモ
リ9から入力したROI画像と、ROIフレームメモリ
53からスイッチ54を介して入力した加算画像とを画
素毎に加算し、その加算画像をROIフレームメモリ5
3に供給する。スイッチ54は、所定数フレームのRO
I画像の加算が終了するまでROIフレームメモリ53
を加算器52に接続し、これにより所定数フレームのR
OI画像が加算される。この加算画像は、加算されたフ
レーム数で割り算器55により割り算され、平均処理に
供される。ここで、平均処理を行うのは、造影剤信号の
時間的な変動を低減し、スパイク状のノイズ成分を除去
するためである。この平均画像は、ROIフレーム平均
値メモリ56を介して減算器57に送られ、その−1乗
算器57で極性を反転された後、加算器59で第2のメ
モリ9からのROI画像と画素毎に加算される。これに
より、当該ROI画像に含まれる造影剤信号が画素毎に
検出され、造影剤画像が生成される。この造影剤画像
は、累積加算演算部60とフレーム差分値メモリ63に
供給される。累積加算演算部60は、加算器61にフィ
ードバック接続されたフレーム差分値メモリ63を備
え、造影剤画像を画素毎に累積加算する。累積加算演算
部60とフレーム差分値メモリ63の出力は、スイッチ
64のスイッチングにより択一的に読み出され、造影剤
信号メモリ11及びグラフ演算部12に供給される。ス
イッチ64のスイッチング動作は、観察者により図示し
ない入力装置から入力された表示切換え指示にしたがっ
て行われる。造影剤信号メモリ11の出力は表示器8に
供給される。
【0035】図8はグラフ演算部12の構成を示すブロ
ック図である。造影剤信号検出器10の出力は総和値演
算部71に供給される。総和値演算部71は、造影剤信
号検出器10の出力に接続された加算器72に第1のR
OIピクセル総和値メモリ73をスイッチ74を介して
フィードバック接続してなり、ROI内の全画素の造影
剤信号を加算し、総和値Dを得る。
【0036】マックスホールド部75は、総和値演算部
71から順次出力される複数の総和値Dの中からその最
大値Dmax 及びフレーム番号FNmax を検出し、それら
を一時的に記憶する。総和値演算部71からの最新の総
和値Dは、スイッチ76と−1乗算器77を介して極性
反転され、加算器78とメモリ79に送られる。加算器
78ではこの最新の総和値Dが、メモリ79から−1乗
算器80を介して再度極性反転された過去の総和値Dと
加算される。ANDゲート81では加算器78の出力の
極性、つまり最新の総和値Dと過去の総和値Dとの大小
関係を論理判定し、その判定結果をメモリ79の更新制
御としてメモリ79に出力する。メモリ79は、この判
定結果に応じて、過去の総和値Dより最新の総和値Dが
大きいとき、過去の総和値Dに代えて最新の総和値Dを
記憶する。したがって、メモリ79には常に現在までに
供給された複数の総和値Dの中の最大値Dmax が記憶さ
れることになる。またANDゲート81の判定結果は他
方のメモリ82にも供給され、その判定結果に応じて、
メモリ82に記憶するフレーム番号FNを更新すること
により、メモリ79に記憶された最大値Dmax に対応す
るフレーム番号FNmax が記憶されることになる。なお
メモリ82には、最新の総和値Dに対応するフレーム番
号FNが制御器14から供給される。
【0037】最大値Dmax は、しきい値発生部83の乗
算器83に供給される。乗算器83は、この最大値Dma
x に、制御器14から供給されるしきい値係数K(通常
は1/2)を乗算し、しきい値Dthを出力する。このし
きい値Dthは、時間計測部84に送られる。
【0038】時間計測部84には、総和値演算部71か
ら出力される連続する複数の総和値Dを記憶する第2R
OIピクセル総和値メモリ85が設けられる。第2RO
Iピクセル総和値メモリ85は、各総和値Dを入力順序
にしたがって順番に出力する。第2ROIピクセル総和
値メモリ85の出力は、−1乗算器86を介して極性反
転されて加算器86に供給され、そこでしきい値Dthと
加算される。この加算結果はANDゲート89に送ら
れ、その正負が論理判定される。この判定の結果、総和
値Dがしきい値Dthより大きいとき、カウンタ90が1
つずつアップカウントされる。カウンタ90は、制御器
14の制御にしたがって、フレーム番号FNmax の前後
で別々にカウントを実行する。これによってカウンタ9
0では、最大値Dmax のフレームに至るまでのしきい値
Dth以上の総和値Dを有するフレーム数と、最大値Dma
x のフレーム以後のしきい値Dth以上の総和値Dを有す
るフレーム数とが計数される。それぞれのフレーム数は
各別に乗算器91で、制御器14から供給された超音波
送受信時のフレーム周期時間Ft と乗算され、実時間に
換算される。前者のフレーム数に基づく実時間を造影剤
がROIへ流入するに要する時間を示す流入時間twi、
後者のフレーム数に基づく実時間を造影剤がROIから
流出するに要する時間を示す流出時間tw0、この流入時
間twiと流出時間tw0との合計時間を半値幅時間th と
称する。これら流入時間twi、流出時間tw0、半値幅時
間th は、計測時間メモリ92を介してグラフィック発
生器93に出力される。
【0039】グラフィック発生器77は、総和値演算部
71からの総和値Dを順次入力し、この総和値Dに応じ
て時間軸に沿って点をプロットしながら徐々にタイムデ
ンシティカーブを完成していく。このタイムデンシティ
カーブは未完成でもプロットする毎に表示器13に出力
する。したがって、表示器13にはリアルタイムでタイ
ムデンシティカーブが徐々に成長し、完成に近付いてい
くことになる。
【0040】次にこの実施形態の作用について説明す
る。
【0041】まず通常モードが起動される。この通常モ
ード下では、第1ログ圧縮器4が作動される。送信器2
からの駆動信号によりプローブ1からの超音波ビームに
より被検体Pの断面が繰り返し走査される。その反射波
はプローブ1で受信され、その受信信号は受信器3を介
して第1ログ圧縮器4に順次出力される。第1ログ圧縮
器4は上述したようにパラメータDR1またはDR2を用い
て受信信号をログ圧縮し、その結果を第1のフレームメ
モリ6に供給する。したがって、生態組織の受信信号
は、出力レンジに対して最適にログ圧縮され、コントラ
ストの良好な画像が得られる。この通常モード下では、
ROIマーカ付加器7のスイッチ43はOFF状態に設
定されている。したがって、第1のフレームメモリ6の
画像は、図9(a)に示すように、そのまま表示器8に
表示される。
【0042】オペレータに任意のタイミングで、通常モ
ードから造影剤モードに切換えられる。この切換えは、
上述したように造影剤モード入力部16でのキーボード
のキー操作、または造影剤注入装置を起動することを検
知するスイッチの出力に依存して行われる。なお、通常
モードから造影剤モードに切換えられても、超音波走査
が依然として同じように継続される。この造影剤モード
の設定に前後して、ROIマーカ付加器7のスイッチ4
3はON状態に設定され、ROIマーカ発生器41から
のマーカデータにしたがって、図9(b)に示すよう
に、画像にROI(破線)が重畳されて表示される。こ
のROIは、オペレータに任意の位置に設定される。こ
の造影剤モード下では、第1ログ圧縮器4に代って、第
2ログ圧縮器5が作動される。上述したように第2ログ
圧縮器5は、第1ログ圧縮器4のパラメータDR1または
DR2より大きいDR3を用いて、受信信号をログ圧縮す
る。したがって、第2のログ圧縮器5のダイナミックレ
ンジは、第1のログ圧縮器4のそれより広く、これによ
り生体組織より信号レベルの高い造影剤信号を飽和する
ことなくログ圧縮することができる。
【0043】第2のログ圧縮器5の出力は、第2のフレ
ームメモリ5に供給される。第2のフレームメモリ5か
らは、ROI内の画像だけが選択的に読み出され、造影
剤信号検出部10に供給される。このROI画像は、造
影剤信号検出部10の減算器57と平均値演算部51に
供給される。平均値演算部51のスイッチ52は、所定
数フレームのROI画像が入力されるまで加算器52側
に接続される。したがって、ROIフレームメモリ53
には最新フレームのROI画像を含めた所定数フレーム
分のROI画像が画素毎に加算される。この加算処理の
概要を図10に示す。この加算が終了すると、スイッチ
52が割り算器55側に接続され、加算結果が割り算器
55に供給される。割り算器55ではこの加算画像を加
算されたフレーム数で割り算し、平均処理に供すること
により、造影剤信号の時間的な変動を低減し、スパイク
状のノイズ成分を除去して、この平均画像をROIフレ
ーム平均値メモリ56を介して減算器57に供給する。
この減算器57は最新フレームのROI画像から平均画
像を減算する。減算前のROI画像の各画素には、生体
組織成分と造影剤成分が含まれている。この生体組織成
分は経時的に変化しないので、最新フレームのROI画
像から平均画像を減算することにより、前フレームまで
の生体組織成分と造影剤成分が除去され、前フレームに
対する造影剤成分の変化量が画素毎に検出され、造影剤
画像が生成される。この造影剤画像のある画素に着目す
ると、その値は図11(a)に示すように経時的に変化
する。この造影剤画像は、フレーム差分値メモリ63に
供給され、記憶される。また、造影剤画像は、累積加算
演算部60にも供給され、順次供給される造影剤画像に
ついて画素毎に順次累積加算する。この累積加算した累
積加算画像のある画素に着目すると、その値は図11
(b)に示すように経時的に変化する。つまり、この累
積加算結果は、現在、ROIに存在している造影剤の合
計量に相当することになる。フレーム差分値メモリ63
と累積加算演算部60は、スイッチ64を介して択一的
に造影剤信号メモリ11及びグラフ演算部12に接続さ
れる。このスイッチ64のスイッチングは、オペレータ
の指示に応じて行われる。通常は、スイッチ64は累積
加算演算部60に接続されている。造影剤画像の入力毎
に累積加算演算部60からは累積加算画像が次々に出力
される。この累積加算画像は、造影剤信号メモリ11を
介して順次切替えられながら、表示器8に表示される。
図12(a)〜図12(d)は表示画面を時間経過に沿
って示した図である。画像(Bモード画像)は各表示画
面の左枠に、累積加算画像は各表示画面の右上枠に、ま
たタイムデンシティカーブは各表示画面の右下枠に表示
される。累積加算画像は造影剤画像の入力毎に次々と出
力されるので、図12(a)〜図12(d)に示すよう
に、造影剤の流入の様子がリアルタイムで表示される。
【0044】また、この累積加算画像は順次、グラフ演
算部12に送られ、総和値演算部71によりその全画素
の総和値Dが順次求められる。この各フレームの総和値
Dは順次、マックスホールド部75、時間計測部84、
グラフィック発生器93に供給される。このときマック
スホールド部75のスイッチ76はON状態に設定さ
れ、メモリ79には全フレームまでの総和値Dより大き
いものが順次更新記憶され、これにより常に現在の最新
フレームまでの総和値D中の最大値Dmax が記憶され、
またメモリ82には当該最大値Dmax のフレーム番号F
Nmax が記憶される。時間計測部84の第2ROIピク
セル総和値メモリ85には、現在の最新フレームまでの
すべての総和値Dが記憶される。グラフィック発生器9
3では次々と供給される総和値Dに基づいてタイムデン
シティカーブがリアルタイムで序々に作成される。作成
中のタイムデンシティカーブは、各時刻でグラフ情報メ
モリ13を介して表示器8に供給され、図12(a)〜
図12(d)に示すように、累積加算画像と共に、造影
剤の流入にしたがってタイムデンシティカーブがリアル
タイムで序々に成長しながら表示される。
【0045】オペレータは、このタイムデンシティカー
ブが例えば図13(a)に示した状態になり、この状態
から造影剤がROIから十分流出したと判断したとき
に、図示しない入力装置の例えばフリーズボタンを指示
すると、各種時間の計測が開始される。このときマック
スホールド部75のスイッチ76はOFF状態に設定さ
れ、マックスホールド部75には新たなフレームの総和
値Dが入力しない。したがって、メモリ79には時間計
測開始以前の全フレームの総和値Dの最大値Dmax が記
憶され、またメモリ82には当該最大値Dmax のフレー
ム番号FNmax が記憶される。
【0046】そして、この最大値Dmax はしきい値発生
部83で制御器14からの係数K(1/2)と乗算され
ることにより、しきい値Dthが発生する。このしきい値
Dthは、時間計測部84の加算器87に供給される。時
間計測部84の第2ROIピクセル総和値メモリ85に
記憶されている現在の最新フレームまでのすべての総和
値Dが、過去のものから順番に−1乗算器86を介して
加算器87に供給され、しきい値Dthと加算される。こ
の加算結果の正負が、ANDゲート89で判定され、負
の場合、つまり総和値Dがしきい値Dthより大きい場
合、その都度カウンタ90の計数値がカウントアップさ
れる。ここでカウンタ90には、制御器14からメモリ
82に記憶されているフレーム番号FNmax が供給さ
れ、このフレーム番号FNmax の前後で別々にカウント
が実行される。これによって最大値Dmax のフレームに
至るまでのしきい値Dth以上の総和値Dを有するフレー
ム数(以下「流入フレーム数」という)と、最大値Dma
x のフレーム以後のしきい値Dth以上の総和値Dを有す
るフレーム数(以下「流出フレーム数」という)とが計
数される。
【0047】それぞれのフレーム数は各別に乗算器91
で、制御器14から供給された超音波送受信時のフレー
ム周期時間Ft と乗算され、実時間に換算される。した
がって、図14に示すように、流入時間twi、流出時間
tw0、この流入時間twiと流出時間tw0との合計時間で
ある半値幅時間th が計測される。これら流入時間tw
i、流出時間tw0、半値幅時間th は、計測時間メモリ
92とグラフィック発生器93を介して、図13(b)
に示すように、表示器13に表示される。
【0048】このように本実施形態によると、造影剤の
関心領域(ROI)への流入出量の経時的変化曲線、つ
まりタイムデンシティカーブがリアルタイムで作成する
ことができ、また造影剤の関心領域(ROI)への流
入、流出時間、半値幅時間の時間情報を計測することが
できる。
【0049】また、本実施形態では、ダイナミックレン
ジの異なる2つのログ圧縮器を用いて、通常モードと造
影剤モードとで適宜選択的に使用していることにより、
通常モードでは良好なコントラストを得ることができ、
造影剤モードでは造影剤の信号を飽和することなくログ
圧縮することができる。
【0050】なお上述した実施形態ではダイナミックレ
ンジの異なる2つのログ圧縮器を用いていたが、1つの
ログ圧縮器を用いて、通常モードと造影剤モードとでそ
のダイナミックレンジを切換えるようにしてもよい。こ
の場合の構成は、図15に示すように、少なくとも2種
のダイナミックレンジで動作可能なログ圧縮器17の出
力をスイッチ18を介して第1のフレームメモリ6と第
2のフレームメモリ9とに択一的に供給できるようにし
て、制御器14の制御を受けてログ圧縮器17のダイナ
ミックレンジおよびスイッチ18のスイッチングを通常
モードと造影剤モードで切換え制御を行う切換信号発生
器19を設けることにより実現できる。
【0051】図16は、本発明の第3実施形態の構成を
示している。この実施形態で、造影剤モードが設定され
ると、受信信号は、スイッチ5Aによって、第2ログ圧
縮器5を通らないで、第2フレームメモリ9,造影剤信
号検出部10,造影剤信号メモリ11,グラフ演算部1
2及びグラフ情報メモリ13に供給される場合と、第2
ログ圧縮器5を通り、第2フレームメモリ9,造影剤信
号検出部10,造影剤信号メモリ11,グラフ演算部1
2及びグラフ情報メモリ13に供給される場合とが実現
される。この構成は、ダイナミックレンジが調整されな
い超音波画像中の関心領域における画像データの時間的
変化曲線と、ダイナミックレンジが調整された超音波画
像中の関心領域における画像データの時間的変化曲線と
を適宜得ることができる。
【0052】図17〜図20を参照して本発明の第4実
施形態を説明する。第4実施形態は、一つの超音波画像
中に複数の関心領域ROIを設定し、各ROI内の散乱
強度から各ROI毎にタイムデンシティカーブを作成
し、例えばROI間に存在する診断対象の特徴量(臨床
データ)を演算により抽出し、該臨床データを表示しよ
うとするものである。この例においては、各ROI毎の
タイムデンシティカーブの相関関係を調べる必要があ
る。そして、腫瘍等の診断対象が血流に対して、どのよ
うな応答を示すかを定量化する必要がある。図17に示
すように、画面8Aに超音波画像400が表示されてい
る。該画像400中には、血管の流入路401、流出路
402、及び診断対象403が存在する。流入路401
に相当する領域をROI1とし、流出路402に相当す
る領域をROI2として規定する。右グラフに示すよう
に各ROI1,ROI2の散乱強度曲線は、上述した実
施形態により容易に得られる。
【0053】ここで、図18に示すシステムモデルが想
定される。ここで、ステップ関数s(t)のフーリエ変
換はS(ω)であり、S(ω)の逆フーリエ変換はs
(t)である。入力関数i(t)のフーリエ変換はI
(ω)であり、I(ω)の逆フーリエ変換はi(t)で
ある。出力関数o(t)のフーリエ変換はO(ω)であ
り、O(ω)の逆フーリエ変換はo(t)である。応答
関数h(t)のフーリエ変換はH(ω)であり、H
(ω)の逆フーリエ変換はh(t)である。
【0054】求める応答関数h(t)をフーリエ変換し
たH(ω)は、次の式の通りである。
【0055】 H(ω)=S(ω)・(O(ω)/I(ω)) 特徴量の例としては、h(t)が最大となる時間tpや
h(t)の半値幅時間t1/2 である。
【0056】上述したシステムモデルの具体的な演算ブ
ロックは図19に示される。図19に示されるシステム
は、フーリエ変換部301と、S(ω)メモリ302
と、レジスタ303〜305,307〜309と、h
(t)演算部306と、スイッチ310〜312と、加
算部313と、上述した制御器14を兼用する制御器1
4´とを具備する。このシステムは、ハードウェアによ
る構成及びソフトウェアよよる構成のいずれであっても
よい。
【0057】また、h(t)演算部306は、上式を参
照するに、I(ω)に対してzero divide処
理を施すと共にH(ω)を求め、このH(ω)を逆フー
リエ変換することによりh(t)を求めるものである。
【0058】i(t)、o(t)は、各々タイムデンシ
ティカーブを作成終了後に、各々フーリエ変換部に入力
される。図20はh(t)の表示例である。次に第4,
第5の実施形態について説明する。
【0059】本実施形態は、離れた2つの部分、例えば
頸動脈と内脈の2つの部分の同時観察を、互いの超音波
の影響でビートノイズが各画像に発生する問題を解決す
るものである。
【0060】第4,第5の実施形態は、図21または図
22のいずれの構成でもかまわない。いずれの構成で
も、少なくとも2つの同じ構成のプローブ101,10
2を有する。各プローブ101,102は、複数の振動
子を一次元に配列してなる。
【0061】図21の場合、各プローブ101,102
に対応して、送受信回路103,104、Bモード処理
系105,106、カラーフローマッピング(CFM)
処理系107,108、表示系109,110をそれぞ
れ2系統ずつ設け、両表示系109,110にモニタ1
11を接続する。また、各送受信回路103,104に
よるプローブ101,102それぞれの送受信駆動を、
互いの超音波の影響でビートノイズが各画像に発生しな
いように同時に、またはフレーム毎あるいはラスタ(走
査線)毎に時分割で行うように制御する制御回路112
を設ける。Bモード処理系105,106は、図3と同
様の構成を有し、Bモード画像を生成すると共に、タイ
ムデンシティカーブを作成し、また各種時間を計測する
ことができる。
【0062】Bモード処理系105,106は、図3に
示したと同じ構成を有し、つまり、送受信回路の出力に
は異なるダイナミックレンジを有する2系統のログ圧縮
器が接続され、送受信回路103,104の出力をそれ
ぞれログ圧縮に供し、この結果を輝度情報としてROI
マーカ付加器を介して表示系109,110に出力す
る。
【0063】そして、第1のログ圧縮器の出力には第1
のフレームメモリが接続される。また第2のログ圧縮器
の出力は、第2のフレームメモリを介して造影剤成分を
抽出する造影剤信号検出部に送られる。この造影剤信号
は2次元の造影剤信号メモリを介して表示系109,1
10に供給される。この造影剤信号はグラフ演算部にも
供給される。グラフ演算部は、造影剤信号を用いて、タ
イムデンシティカーブを作成したり、その流入、流出時
間等の各種時間情報を計測する。グラフ演算部の出力
は、2次元のグラフ情報メモリを介して表示系109,
110に供給される。
【0064】また、カラーフローマッピング処理系10
7,108は、図示しないが位相検波回路、A/D変換
器、MTI(Moving-Target-Indicator )フィルタ、自
己相関器、演算部を備えている。位相検波回路は、受信
系5から受信信号を受けて、この受信信号について直交
位相検波し、図示しないローパスフィルタにより高周波
成分を除去してドップラ偏移信号、即ち、血流像のため
のをドップラ検波出力を得る。このドップラ検波出力に
は血流情報以外に心臓の壁等のように動きの遅い物体か
らの不要な反射信号(クラッタ成分)も含まれている。
そこで、ドップラ検波出力をA/D変換器によりディジ
タル信号に変換し、MTIフィルタを通す。
【0065】ここで、MTIとは、レーダで使用されて
いる技術で、前述したようにMoving-Target-Indicator
の略であり、移動目標だけをドップラ効果を利用して検
出する方法である。従って、MTIフィルタは、所定回
数繰り返し送波したレートパルスにおける同一ピクセル
間の位相変化により血流の動きを検出し、クラッタ成分
を除去することになる。自己相関器は、このクラッタ成
分を除去した信号を2次元の多点数毎にリアルタイムで
周波数分析する。自己相関器による周波数分析の演算数
は、FFT(高速フーリエ変換)法における演算数より
非常に少ないものであり、そのためリアルタイム処理が
可能となった。演算部はこの自己相関器の出力を受ける
ものであり、平均速度演算部、分散演算部、パワー演算
部を有している。この演算部において、平均速度演算部
は平均ドップラシフト周波数fdを求め、分散演算部は
分散σ2 を求め、パワー演算部はパワーPを求める。
【0066】また、図22の場合、少なくとも2つのプ
ローブ101,102に切換器(MUX)113を介し
て1つの送受信回路114を接続することで、プローブ
101と102とを送受信回路114に選択的に接続で
きるようにする。送受信回路114の出力にはBモード
処理系115とカラーフローマッピング(CFM)処理
系116とを並列に接続する。これらBモード処理系1
15とカラーフローマッピング処理系116の出力は、
1つの表示系117を介してモニタ118に表示され
る。切換器113の切換動作により、プローブ101と
102は送受信回路114によりフレーム毎またはラス
タ毎に時分割で交互に駆動される。同時このような装置
を実際に用いるときには、図23に示すように、一方の
プローブ101を例えば頸動脈に設置し、また他方のプ
ローブ102をプローブ101から離間した例えば門脈
に設置する。
【0067】造影剤注入装置120から造影剤を被検体
Pに注入した後、2つのプローブ101,102を同期
して、またはフレーム毎あるいはラスタ毎に時分割で送
受信駆動することにより、互いに他方のプローブから発
せられる超音波の影響を受けることなく、したがってビ
ートノイズが各画像に発生することなく、図24に示す
ように両画像を同時表示することができる。
【0068】また、図22に示した構成の場合、2つの
プローブ101,102を同じ送受信回路114で駆動
し、また、同じ処理系でBモード画像やカラーフローマ
ッピング画像を得ているので、プリアンプ等のゲイン特
性の相違等による標準信号レベルの相違が解消され、し
たがって両画像間の比較を同一条件のもとで実施でき
る。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、造影剤の
関心領域への流入出量の経時的変化等の各種情報をリア
ルタイムで提供できる、又は離れた2つの部分の画像を
互いに他方の超音波の影響でビートノイズの発生を押さ
えながらそれぞれリアルタイムで収集できる超音波診断
装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波診断装置の第1実施形態の
構成を示すブロック図。
【図2】本発明による超音波診断装置の第2実施形態の
構成を示すブロック図。
【図3】本発明による超音波診断装置の第3実施形態の
構成を示すブロック図。
【図4】図3の造影剤モード入力部の一例を示す図。
【図5】図3のログ圧縮器のダイナミックレンジを示す
図。
【図6】図3のROIマーカ付加器の構成を示すブロッ
ク図。
【図7】図3の造影剤信号検出部の構成を示すブロック
図。
【図8】図3のグラフ演算部の構成を示すブロック図。
【図9】ROIマーカを画像に付加する前後の画面を示
す図。
【図10】図7の平均値演算部による平均値演算処理を
説明する図。
【図11】図3の造影剤信号検出部から出力されるフレ
ーム間の造影剤信号の変化量とその累積値との2種の信
号を示す図。
【図12】時間計測開始までの表示画面の変化を示す
図。
【図13】完成したタイムデンシティカーブおよび計測
時間の表示位置を示す図。
【図14】図8の時間計測部により計測される各種時間
を示す図。
【図15】第3実施形態の変形例の構成を示すブロック
図。
【図16】第3実施形態の別の変形例の構成を示すブロ
ック図。
【図17】第4実施形態における原理を示す図。
【図18】第4実施形態のシステムモデルを示す図。
【図19】第4実施形態の構成を示すブロック図。
【図20】第4実施形態における表示例を示す図。
【図21】第5実施形態の構成を示すブロック図。
【図22】第5実施形態の他の構成を示すブロック図。
【図23】2つのプローブの被検体への設置の様子を示
す図。
【図24】表示画面を示す図。
【符号の説明】
1…超音波プローブ、2…送信系、3…受信系、4…第
1ログ圧縮器、5…第2ログ圧縮器、6…第1フレーム
メモリ、7…ROIマー付加器、8…表示器、9…第2
フレームメモリ、10…造影剤信号検出部、11…造影
剤信号メモリ、12…グラフ演算部、13…グラフ情報
メモリ、14…制御器、15…バスライン、16…造影
剤モード入力部、200…送信部、201…受信部、2
02…信号処理部、203,207…変換部、204…
表示部、205…制御部、206…設定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 武史 栃木県大田原市下石上字東山1385番の1 株式会社東芝那須工場内 Fターム(参考) 4C301 AA02 CC02 EE04 EE10 JB30 JB34 JB38 KK30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体の異なる部位に対して超音波送受を
    行うための複数の超音波プローブと、 前記複数の超音波プローブを送受信駆動し、複数の走査
    線から構成されたフレーム単位の超音波画像を得る1つ
    の送受信部と、 前記複数の超音波プローブの各超音波プローブと前記送
    受信部との接続の組合せを時分割で切換える切換部と、 前記フレーム単位の超音波画像に関心領域を設定する設
    定部と、 この設定部により設定された前記フレーム単位の超音波
    画像の関心領域における画像データの時間的な変化曲線
    をほぼ同時に求める算出部と、 この算出部により求められた前記複数の時間的変化曲線
    を同時表示する表示部とを具備する超音波診断装置。
  2. 【請求項2】前記切換部は、1フレームの走査毎又は1
    走査後の走査毎に前記複数の超音波プローブの各超音波
    プローブと前記送受信部との接続の組合せを時分割で切
    換える手段を具備する請求項1に記載の超音波診断装
    置。
  3. 【請求項3】被検体に対して超音波を送受信し超音波受
    信信号を得る送受信部と、 この送受信部により得られる超音波受信信号を信号処理
    して超音波画像を得る信号処理部と、 この信号処理部により得られる複数の超音波画像中に関
    心領域を設定する設定手段と、 この設定手段により設定された複数の関心領域における
    画像データの時間的な変化曲線をほぼ同時に求める手段
    と、 この前記信号処理部により得られる超音波画像及び前記
    手段により得られる前記複数の時間的変化曲線を同時表
    示する表示部とを具備する超音波診断装置。
  4. 【請求項4】前記複数の時間的変化曲線相互間の関係を
    示す情報を算出し、該情報を前記表示手段に与える手段
    を、更に具備する請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 【請求項5】被検体に対して超音波を送受信し超音波受
    信信号を得る送受信部と、 この送受信部により得られる超音波受信信号を信号処理
    してフレーム単位の超音波画像を得る信号処理部と、 この信号処理部により得られるフレーム単位の超音波画
    像中に関心領域を設定する設定部と、 この設定部により設定されたフレーム毎の関心領域間に
    フィルタリングを施すフィルタリング部と、 このフィルタリング部によりフィルタリングされたフレ
    ーム毎の関心領域の画像データに基づき、該関心領域に
    おける画像データの時間的な変化曲線を求める算出部
    と、 この算出部により求められた前記時間的変化曲線を表示
    する表示部とを具備する超音波診断装置。
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