JP2003179010A - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

半導体基板の製造方法

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JP2003179010A
JP2003179010A JP2001375808A JP2001375808A JP2003179010A JP 2003179010 A JP2003179010 A JP 2003179010A JP 2001375808 A JP2001375808 A JP 2001375808A JP 2001375808 A JP2001375808 A JP 2001375808A JP 2003179010 A JP2003179010 A JP 2003179010A
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polishing
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acid
metal
rate
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Hideaki Takahashi
秀明 高橋
Takayuki Matsuda
隆之 松田
Masahisa Yokota
昌久 横田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体基板の金属膜を平坦化する工程におい
て、半導体基板と研磨定盤との相対速度が40m/mi
n.以上という高速で研磨を行うことにより、低荷重条
件下においても金属膜を高速に研磨し、かつスクラッ
チ、ディッシング等研磨面の欠陥の発生も抑制できる半
導体基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 エッチングレートが10nm/min.
未満であり、荷重10KPaの時の研磨レートが200
nm/min.以上、且つ上記の研磨レートとエッチン
グレートの比であるコントラストが20以上である金属
用研磨液を用い、半導体基板と研磨定盤との相対速度が
40m/min.以上で研磨することにより、低強度の
ポーラス型低誘電率材料を用いた配線層形成プロセスへ
の適用が可能となり、且つディッシング、スクラッチ等
の欠陥の発生も抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI技術の急速な進展により、集積回
路は益々微細化や多層配線化の傾向にある。集積回路に
おける多層配線化は、半導体表面の凹凸が極めて大きく
なる要因であり、これが集積回路の微細化とも相まって
断線や電気容量の低下、エレクトロマイグレーションの
発生などをもたらし、歩留まりの低下や信頼性上の問題
をきたす原因となっている。このため、これまでに多層
配線基板における金属配線や層間絶縁膜を平坦化する種
々の加工技術が開発されてきており、その一つにCMP
(Chemical Mechanical Polishing:化学機械的研磨)
技術がある。CMP技術は、半導体製造において層間絶
縁膜の平坦化、埋め込み配線形成、プラグ形成等に必要
となる技術である。CMPは、キャリヤーに装着された
通常半導体材料からなる平坦なウェハーを、湿ったポリ
ッシングパッドに対し一定の圧力で押し付けながらキャ
リヤーおよびポリッシングパッド各々を回転することに
より行われる。この時ウェハーとポリッシングパッドの
間に導入される研磨液により、配線や絶縁膜の凸部が研
磨され平坦化がなされる。
【0003】従来より、半導体基板の金属膜の研磨には
種々の研磨用組成物や研磨方法の提案がなされている。
土肥俊郎ら著「半導体平坦化CMP技術」(1998年7
月、工業調査会発行)235頁に示されているように、
金属のCMPでは研磨用組成物中の酸化剤により金属の
表面を酸化し不動態化し、pHを酸性にするなどしてわ
ずかに金属が腐蝕する(エッチング)条件下でポリッシ
ングパッドと砥粒で研磨が行われる。すなわち、その名
の通り、ケミカルな作用により金属表面を変性させた
後、砥粒によるメカニカルな作用によりこれを除去する
ものである。このようなものとして例えば、基板上に形
成されたアルミニウム等金属膜の研磨を行う際、酸化ア
ルミニウムをpH3以下の硝酸水溶液中に分散してなる
研磨用組成物(米国特許第4, 702, 792号明細
書)や、酸化アルミニウムや酸化ケイ素を硫酸、硝酸、
酢酸等の酸性水溶液と混合してなる研磨用組成物(米国
特許第4, 944, 836号明細書)を用いる、あるい
は酸化アルミニウムを過酸化水素とリン酸水溶液中に分
散した研磨用組成物(米国特許第5, 209, 816号
明細書)を用いるなど、酸化アルミニウムまたは酸化ケ
イ素等の砥粒と、金属膜を酸化、溶解するエッチング剤
よりなる研磨液が通常使用されている。しかしながら、
半導体基板の金属膜の平坦化に酸化アルミニウムを用い
た場合、α型では高い研磨速度を示す反面、金属膜や絶
縁膜の表面にマイクロスクラッチやオレンジピール等の
欠陥を発生させることがあった。一方、γ型や非晶質ア
ルミナまたは酸化ケイ素等の研磨材を用いた場合、金属
膜や絶縁膜の表面のマイクロスクラッチやオレンジピー
ル等の欠陥発生を抑えることができるが、金属膜の研磨
に際して十分な研磨速度が得られないという問題があっ
た。そこで、研磨速度を高めるために、研磨圧力(荷
重)を高める、あるいは定盤の回転数を高め、基板と研
磨パッドとの相対速度を高める等の方法が取られる。こ
れは、従来研磨液中に含まれる砥粒やパッドにより機械
的に研磨を行う場合、一般に用いられる方法である。し
かし、研磨荷重が高いと、基板へのストレスが増大する
ため、今後主流となるポーラス型低誘電率絶縁膜のよう
な強度に問題がある場合、基板上に形成された絶縁膜の
破壊が起こり、研磨中に金属膜が剥離する等の問題が起
こる。さらには、研磨荷重の増大に伴いパッドの消耗が
より一層激しくなりプロセスコストが今以上にかさむだ
けでなく、研磨時のパッドの影響をより大きく受けるた
め、パッドの表面状態の管理が非常に難しくなり、プロ
セス管理上大きな問題となる。また、回転数を高める方
法においても、ある程度以上の荷重をかけた状態で行わ
ないと所望の研磨速度が得られないという問題がある。
これに対し、化学エッチング性を高め、研磨速度を高め
ることも行われるが、前述のように液状酸化剤である過
酸化水素や、過硫酸アンモニウム等の金属エッチャント
を用いた場合(特開平6−313164号公報)、ウェ
ットエッチングが過度に進むことによりディッシング
(例えば、後述する図1(D)を用いて説明すると、基
板1上の絶縁膜2に形成された溝に埋め込まれる金属4
の中央部分が周辺部分より皿のように凹む現象)やピッ
ト、ボイド等の欠陥が発生するなど実用化に際し問題が
あった。
【0004】これを改良する目的で、研磨用組成物中に
金属膜表面に保護膜を形成する化学試薬(キレート剤
等)を添加する方法も提案されている(特開平8−83
780号公報、特開平11−195628号公報)。し
かしながらこのようなキレート剤を用いると、確かにエ
ッチングが抑制されディッシング等の発生を防止するこ
とができるが、研磨すべき部位にも保護膜が形成される
ため研磨速度が極端に低下するという問題が生じる。こ
れを防ぐためエッチング剤やキレート剤の種類や使用量
を適正化する試みもなされているが、両者の性能を満足
する条件を見出すことは難しく、プロセス条件の影響も
受けやすいため再現性のある結果が得られないという問
題がある。そのため、高い研磨速度を得るために研磨荷
重を高める、あるいは半導体基板と研磨パッドとの相対
速度を高める等の方法により、前記保護膜を除去するこ
とも行われるが、前記と同様の問題が発生する。このよ
うに、これまでの知見では上記問題を克服するための技
術的指針、特に研磨液や研磨条件に対する要件が明確に
なっておらず、その明確化に対して業界からの強い要望
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、半導体基板
の金属膜をスクラッチやディッシング、エロージョン
(例えば、後述する図1(D)を用いて説明すると、基
板1上の絶縁膜2に形成された溝に埋め込まれる金属4
の周辺部分の該絶縁膜2が研磨される現象)等の被研磨
面の欠陥発生を抑制しつつ高速に研磨することができ、
加えてパッドの消耗を抑制できる、半導体基板の製造方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、基板上に形成され
た金属膜の研磨工程において、エッチングレートが10
nm/min.未満であり、荷重10KPaの時の研磨
レートが200nm/min.以上、且つ上記の研磨レ
ートとエッチングレートの比であるコントラストが20
以上である金属用研磨液を用い、半導体基板と研磨定盤
との相対速度が40m/min.以上で研磨する方法が
有効であることを見出し、本発明をなすに至った。すな
わち、本発明は下記の通りである。
【0007】1.基板上に形成された金属膜の研磨工程
において、エッチングレートが10nm/min.未満
であり、荷重10KPaの時の研磨レートが200nm
/min.以上、且つ上記の研磨レートとエッチングレ
ートの比であるコントラストが20以上である金属用研
磨液を用い、半導体基板と研磨定盤との相対速度が40
m/min.以上で研磨することを特徴とする半導体基
板の製造方法。 2.前記金属用研磨液が1wt%未満の研磨砥粒を含む
ことを特徴とする1.に記載の半導体基板の製造方法。 3.前記金属用研磨液がポリオキソ酸および/またはそ
の塩、非イオン性界面活性剤及び水を含有してなること
を特徴とする1.〜2.のいずれかに記載の半導体基板
の製造方法。
【0008】4.前記ポリオキソ酸および/またはその
塩がヘテロポリ酸および/またはその塩であることを特
徴とする3.に記載の半導体基板の製造方法。 5.半導体基板を構成する絶縁膜の比誘電率(K)値が
2.5以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれ
かに記載の半導体基板の製造方法。ある金属用研磨液を
用い、基板と研磨定盤との相対速度が40m/min.
以上で研磨することを特徴とする半導体基板の製造方
法。造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい態様について、
以下に具体的に説明する。本発明で言うエッチングレー
トとは、強攪拌された研磨液中に金属膜が形成された半
導体基板を浸漬し、一定時間に消失した金属膜の厚みの
ことをいう。具体的には内径5cmの容器に研磨液を8
0cc充填し、IKA−WERKE社製ホモジナイザー
ULTRA−TURRAX T8(シャフトS8N−8
G)を用いて25000rpmで攪拌されている研磨液
中に15mm角の金属膜が形成された半導体基板を2〜
3分ほど浸漬し、前後の金属膜の厚みを測定して単位時
間当たりに消失した金属の厚みを計算して求める。
【0010】また、本発明で言う研磨レートとは汎用の
半導体基板用研磨装置を用い、所定の条件下に研磨を行
い、一定時間に消失した金属膜の厚みのことをいう。具
体的には武蔵野電子社製研磨装置MA−300D(定盤
径300mm)、研磨パッドとしてロデール・ニッタ社
製IC−1400を用い、基板として1μm厚のCu膜
付きの4”シリコンウエハーを使用して、研磨液を50
ml/min.の割合で供給しながら所定の荷重下に基
板と研磨定盤との相対速度が40m/min以上の条件
で研磨し、その前後のCu膜厚を測定して単位時間当た
りに消失した金属の厚みを計算して求める。
【0011】本発明者らは上記のように規格化して求め
た値が特定の範囲にある研磨液を用い、半導体基板と研
磨パッドとの相対速度を高めた状態で研磨を行うと、半
導体基板への荷重を低減させても高速に研磨ができるこ
とを見出した。すなわち、通常砥粒を含有し機械的要素
により研磨を行う従来型スラリーの場合、いくら回転数
を高めても所定以上の荷重がないと実用的な研磨速度を
得ることは出来ない。それに対し、本発明の研磨液の場
合、回転数を高めることにより従来出来なかったような
低い荷重においても高速に研磨が出来るため、半導体基
板へ過剰なストレスを加えることなく、スクラッチやデ
ィッシング、エロージョン等の被研磨面の欠陥発生を抑
制しつつ高速に研磨が行えるという特徴を有する。さら
には、研磨時の荷重を低減できるため、研磨パッドの表
面状態等のプロセス管理が簡素化できる、あるいはパッ
ドの消耗が抑制できる等の利点もある。
【0012】まずエッチングレートが10nm/mi
n.未満の金属用研磨液を用いれば、金属表面の腐蝕が
大きくならず、研磨時に金属表面の荒れが大きくなら
ず、かつパターンを有する半導体基板を研磨した場合に
ディッシングが大きくならない。次に金属用研磨液が荷
重10KPaの時の研磨レートが200nm/min.
以上、かつ研磨レートとエッチングレートの比であるコ
ントラストが20以上であれば、ディッシング防止等の
研磨性能の達成と研磨時間の短縮というCMP工程に同
時に求められる課題の両立が可能である。
【0013】さらに、前記規格化された条件を満たす金
属用研磨液を半導体基板と研磨定盤との相対速度が40
m/min.以上という条件下で使用することにより、
高い研磨レートを維持したまま荷重を低減できるため、
半導体基板に過大なストレスをかけることなく研磨が行
えることから、近い将来導入され主流となるポーラス型
低誘電率絶縁膜を用いた半導体の製造においても、絶縁
膜の破壊による金属膜の剥離等が起こるといった不都合
を抑制してCMP工程を実施でき、工程の歩留まりを向
上することが可能になるのである。この他にも前述の如
く、低荷重で研磨が行えると、パッドの消耗が抑制でき
ると共に研磨パッドの表面状態管理等のプロセス管理が
簡素化できるというメリットも併せ持つことができる。
【0014】半導体基板の金属膜の研磨工程において使
用される研磨液は、上記規格化された性能を有するもの
であれば特に制限はないが、研磨砥粒の含有量が1wt
%未満といった機械的研磨の要素を受け難いものが好ま
しく、中でもポリオキソ酸および/またはその塩、非イ
オン性界面活性剤および水を含有して成ることを特徴と
する金属膜用研磨液が、この要件を満足する好ましい例
として挙げられる。ポリオキソ酸とりわけヘテロポリ酸
は、日本化学会編「ポリ酸の化学」(1993年8 月、学会
出版センター発行)にも記載のように、強い酸性と酸化
作用を有するものであり、これを金属の不動態化処理や
エッチングに用いることは特表平9−505111号公
報等に記載されている。実際ヘテロポリ酸を半導体表面
のエッチング剤として適用した例(Applied S
urfaceScience
【0015】vol.135、No.1/4、pp65
−70(1998.10.8)や、ポリオキソ酸もしく
はその塩を研磨用エッチング剤として用いる試みもなさ
れている(特開2000−119639号公報)。特に
後者においては、ポリオキソ酸もしくはその塩のみを研
磨用エッチング剤として用いる場合(第1研磨液組成
物)および、これにさらに研磨材として公知の砥粒を含
有させる場合(第2研磨液組成物)の二つの使用方法に
ついて記載されている。第1研磨液組成物の場合、ヘテ
ロポリ酸を単独で金属膜研磨用のエッチング剤として使
用すると、ヘテロポリ酸は水に可溶であるため液状酸化
剤として作用することから、前述の如く研磨速度とディ
ッシング性能の両方を満足することはできない。
【0016】すなわち、研磨速度を上げるためにヘテロ
ポリ酸の濃度を高めると、同時にエッチングも進行しデ
ィッシングの発生が起こる。一方、上記ヘテロポリ酸に
アンモニア等の塩基性物質を作用させヘテロポリ酸塩と
して使用すると、エッチングは抑制されるが、同時に研
磨速度も低下してしまう。そのため、研磨速度を高める
目的で、この種の第1研磨液組成物に研磨材を含有させ
第2研磨液組成物とすることが提案されているが、これ
は研磨材を使用することにより機械的研磨を行うもので
あり、研磨速度を高めるためには高い研磨荷重が必要と
なる。このような性質をもつポリオキソ酸に、水を媒体
として非イオン性界面活性剤を組み合わせて成る研磨用
組成物は、従来困難であったエッチングの抑制、ディッ
シング発生の制御と高研磨速度の両立を可能とし、半導
体基板の金属膜の研磨において有効であり、本発明で規
格化された性能を発現できる。
【0017】ポリオキソ酸は、Mo、V、W、Ti、N
b、Ta等の元素から成る酸素酸が縮合したものであ
り、イソポリ酸とヘテロポリ酸がこれに当たる。イソポ
リ酸は前記ポリオキソ酸の構成元素のうち、単一の元素
からなる縮合酸素酸のことであり、ポリモリブデン酸、
ポリバナジン酸、ポリタングステン酸、ポリチタン酸、
ポリニオブ酸、ポリタンタル酸等が挙げられる。これら
のうち金属研磨を目的とした本発明の場合、金属を酸
化、エッチングさせる能力の観点からポリモリブデン
酸、ポリバナジン酸、ポリタングステン酸が好ましい。
【0018】ヘテロポリ酸は、前記イソポリ酸にヘテロ
元素を中心元素として組み込むことによって得られるも
のであり、その構成は縮合配位元素、中心元素および酸
素から成る。ここで縮合配位元素とは、前記ポリオキソ
酸の構成元素を意味し、このうちMo、W 及びV から
なる群より選ばれた少なくとも1 種を含むものが好まし
い例として挙げられ、その他Nb、Ta等の元素を含ん
でも良い。また、ヘテロポリ酸の中心元素はP、Si、
As、Ge、Ti、Ce、Mn、Ni、Te、I、C
o、Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、BeおよびZn
からなる群より選ばれた1 種であり縮合配位元素と中心
元素の原子比(縮合配位元素/中心元素)は2.5〜1
2である。
【0019】前述したヘテロポリ酸の具体例としては、
リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンバナドモリ
ブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、リンタングストモ
リブデン酸、ケイタングストモリブデン酸、リンバナド
タングストモリブデン酸、ケイバナドタングストモリブ
デン酸、リンバナドタングステン酸、ケイバナドタング
ステン酸、リンモリブドニオブ酸、ホウモリブデン酸、
ホウタングストモリブデン酸、ホウバナドモリブデン
酸、ホウバナドタングステン酸、コバルトモリブデン
酸、コバルトバナドタングステン酸、リンタングステン
酸、ケイタングステン酸、リンバナジン酸、ケイバナジ
ン酸等が挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。前記ポリオキソ酸のうち、研磨用途として金属膜を
エッチングするに足る十分な酸強度、酸化力の観点から
ヘテロポリ酸が好ましく、好適にはリンモリブデン酸、
ケイモリブデン酸、および更にこれらにバナジウムを導
入したリンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン
酸等を挙げることができる。
【0020】ポリオキソ酸は、上記を単独でまたはそれ
らを混合して用いてもよい。また、得られる研磨液組成
物の酸性度を調整し研磨性能を制御する目的で、これら
のポリオキソ酸に塩基性物質を添加しポリオキソ酸塩と
して使用することも可能である。ポリオキソ酸塩は、上
記ポリオキソ酸と金属、アンモニウム、有機アミン類と
の塩が挙げられる。例示の研磨液中のポリオキソ酸およ
び/またはその塩の含有量は、特に限定されるものでは
ないが、好ましくは0.1〜30wt%の範囲で使用さ
れ、さらに好ましくは0.5〜15wt%の範囲であ
る。前記範囲より小さい場合、十分な研磨速度が発現し
にくく、また前記範囲を超えても増量による研磨性能の
際立った向上は期待しにくい。ここで用いられる非イオ
ン性界面活性剤は、前記ポリオキソ酸と組み合わせて使
用することにより、高い研磨速度を維持したままエッチ
ングの進行を抑制し、ディッシングの発生を制御するこ
とが可能となる。特に、非イオン性界面活性剤の場合に
顕著に認められる効果である。
【0021】このような非イオン性界面活性剤として
は、「新・界面活性剤入門 藤本武彦著 昭和60年1
1月1日発行 三洋化成工業株式会社」の92頁 第2
・5・1表に記載のあるポリエチレングリコール型およ
び多価アルコール型の非イオン性界面活性剤が好まし
い。前記ポリエチレングリコール型の非イン性界面活性
剤としては、各種疎水性基にエチレンオキサイドを付加
させ親水性基を導入したものであり、高級アルコールエ
チレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレン
オキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、
多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加
物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂
肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレン
オキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレン
オキサイド付加物等が挙げられる。一方、多価アルコー
ル型の非イオン性界面活性剤は、親水性の多価アルコー
ルに疎水性の脂肪酸をエステルあるいはアミド基を介し
て結合させたもので、グリセロールの脂肪酸エステル、
ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール
およびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エ
ステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げ
られる。
【0022】これらの非イオン性界面活性剤のうち本発
明に用いられるものとしては、HLBが5〜12である
前記ポリエチレングリコール型の界面活性剤が好まし
く、そのうち炭素数8〜24の高級アルコールのポリオ
キシエチレンエーテル、アルキルフェノールのポリオキ
シエチレンエーテル、ポリプロピレングリコールのポリ
オキシエチレンエーテルが挙げられる。炭素数8〜24
の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルとして
は、例えばポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセ
チルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、
ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエ
チレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン合
成アルコールエーテル(合成アルコール中の炭素数12
〜15)等が挙げられる。アルキルフェノールのポリオ
キシエチレンエーテルの例としては、ポリオキシエチレ
ンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェ
ニルエーテル等が挙げられる。ポリプロピレングリコー
ルのポリオキシエチレンエーテルは、一般にプルロニッ
ク型非イオン性界面活性剤と呼ばれるものであり、例え
ば疎水基であるポリオキシプロピレン基を中にはさんで
両端に親水基であるポリオキシエチレン基を配したもの
や、その逆に親水基であるポリオキシエチレン基を中に
はさんで両端に疎水基であるポリオキシプロピレン基を
配したもの等が挙げられる。これらの非イオン性界面活
性剤の中でも特に、HLBが5〜12で、炭素数が8〜
24の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルが
好ましい。
【0023】例示の研磨液中に含まれる非イオン性界面
活性剤の含有量は、その種類や同時に使用するポリオキ
ソ酸の種類や量によっても異なるが、通常、0.1〜5
0wt%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜25w
t%の範囲である。前記範囲内であれば、十分なエンチ
ング抑制効果を発揮し、ディッシング発生の制御がで
き、粘度の上昇を抑制する等取り扱いが容易である。こ
れらの非イオン性界面活性剤は、1種類のみを用いても
良いが、HLBが互いに異なる2種類以上を併用するこ
ともでき、これにより優れた研磨性能を容易に発現する
ことが可能となる場合がある。
【0024】例示の研磨液は、通常、水を媒体に用いる
が、イオン性物質を含まない脱イオン水、精製水、超純
水が好ましく用いられる。ポリオキソ酸および非イオン
性界面活性剤の溶解もしくは分散は、通常攪拌により行
なわれるが、ホモジナイザー、超音波、湿式媒体ミル等
を用いて十分に分散する方法が好ましく用いられる。こ
うして調整された研磨液には、ポリオキソ酸(その塩)
と非イオン性界面活性剤との相互作用により、大方のポ
リオキソ酸(その塩)が非イオン性界面活性剤の形成す
るミセル中に取り込まれた構造の複合体(微粒子)とな
って水中に存在する。ここでいう複合体は、基本的に
は、後述する通り湿式粒度分析計による粒度の測定や、
透過型電子顕微鏡による上記構造の観察が可能であり、
湿式粒度分析計により測定される数平均粒子径が約10
nm〜1μmであるものが好ましい。ここで、数平均粒
子径が約10nmより小さいか、さらに粒度の測定がで
きないほど微細かつ高分散状態で存在するものを用いる
ことも可能であるが、このようなものは一般に粘度が高
く、研磨時の作業性等の点を考慮すると、上述のように
粒度の測定および構造の観察が可能である複合体粒子が
好ましい。例示の研磨液において、その研磨機構の詳細
は明らかではないが、ポリオキソ酸および非イオン性界
面活性剤の相互作用により形成される微粒子が化学的研
磨作用を発現する研磨粒子として働き、低エッチング性
を保ちながら、ひいてはディッシング発生を抑制しなが
ら、高速に研磨液が基板と衝突することで低荷重でも高
い研磨速度を発現することができるものと考えられる。
従ってこの研磨粒子は、従来機械的研磨を目的に用いら
れる砥粒とは本質的に性格を異にするものであり、従来
機械研磨由来の問題点であった、凝集粒子によるスクラ
ッチや下地基板へのダメージ等が解消される。
【0025】例示の研磨液は、上述の通り、通常機械的
研磨を目的に使用される研磨砥粒を含まないでも目的と
する研磨を行うことができるが、スクラッチ等の表面欠
陥を起こさない範囲、好ましくは1wt%未満で、さら
に研磨速度を高める目的で研磨砥粒を用いることも可能
である。その際用いられる砥粒としては、アルミナ、シ
リカ、セリア、ジルコニア、酸化マグネシウム等の無機
粒子、有機ポリマー、非晶質炭素、カーボンブラック等
の有機粒子が挙げられるが、このうち好適にはコロイダ
ルアルミナ、コロイダルシリカである。
【0026】例示の研磨液は、ディッシングの原因とな
る金属膜のエッチング性は極めて低いものであるため、
防食剤は必須ではないが、実質研磨速度を低下させない
範囲内で必要に応じて、金属膜とキレートまたは錯体を
形成する化合物を添加し、更にエッチング性を抑制する
ことも可能である。特に金属が銅もしくは銅を主成分と
する銅合金の場合、ベンゾトリアゾールやキナルジン酸
を防食剤として添加する方法が効果的である。防食剤と
してはこの他にも、トリルトリアゾール、ベンゾトリア
ゾールカルボン酸等のベンゾトリアゾール誘導体やシス
チン、ハロ酢酸、グルコース、ドデシルメルカプタン等
を挙げることができる。これらの防食剤の添加量は、1
00ppm以下、好ましくは50ppm以下と従来の研
磨材に用いられてきた量に比べ極めて少量で十分であ
る。逆にこの添加量が多いと、研磨レートが低下し目的
の研磨性能が得られにくくなる。
【0027】例示の研磨液には、更に金属膜の研磨速度
を向上させる目的で、過度のエッチングを引き起こさな
い範囲内で公知の酸化剤を含有しても良い。含有させる
酸化剤としては、公知の酸化剤、例えば過酸化水素等の
過酸化物、過塩素酸、過塩素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ
素酸塩、過硫酸、過硫酸塩、硝酸塩等を挙げることがで
きる。例示における研磨液には必要に応じて酸を含有し
てもよく、用いる酸の種類や得られるスラリーのpHに
よって金属膜の研磨性能を制御することができる。含有
される酸としては公知の無機酸、例えば硫酸、リン酸、
硝酸等、または公知の有機酸、例えばシュウ酸、クエン
酸、リンゴ酸、酢酸等が挙げられる。本発明に用いられ
る研磨液には、必要に応じてエタノール、n−プロパノ
ール、iso−プロパノール、エチレングリコール、グ
リセリン等の水溶性アルコールを添加することもでき
る。研磨工程は、例えば図1(C)に示すように、配線
用の金属膜4を埋め込むことにより得られた半導体基板
について、図1(D)に示すように溝または開口部以外
の余分な金属膜4を研磨することにより取り除き平坦化
する際に適用される。
【0028】次にこの研磨方法を用いて、製造される半
導体基板のプロセスの一例について説明する。まず初め
に、図1(A)のようにシリコン基板等の基板1上に絶
縁膜2を形成した後に、フォトリソグラフィー法および
エッチング法で絶縁膜2に金属配線用の溝、あるいは接
続配線用の開口部を形成する。次に図1(B)に示すよ
うに、絶縁膜2に形成した溝あるいは開口部にスパッタ
リングやCVD等の方法により窒化チタニウム(Ti
N)、窒化タンタル(TaN)等よりなるバリヤーメタ
ル層3を形成する。次に図1(C)に示すように、厚み
が絶縁膜2に形成した溝または開口部の高さ以上となる
ように配線用の金属膜4を埋め込む。次に図1(D)に
示すように、溝または開口部以外の余分な金属膜を、本
発明の要件を満足する金属用研磨液を用いて研磨する方
法を適用することにより取り除く。
【0029】さらに、上記の方法を必要回数繰り返すこ
とにより、電子部品として多層配線構造を有する半導体
基板を得ることができる。このように多層配線構造を有
する半導体基板を製造するには、上述したように本発明
の要件を満足する金属用研磨液を用い、金属膜の研磨、
平坦化方法を適用すれば良い。本発明の製造方法は、特
に近い将来導入され主流となる機械的に脆弱なポーラス
型低誘電率絶縁膜を用いた半導体の製造において有効に
使用される。特に、半導体基板を構成する絶縁膜の比誘
電率(K)値が2.5以下の場合については、その強度
は極端に低下するため、本発明の製造方法は特に好適に
使用できる。
【0030】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらによって制限されるものではない。
なお、用いた研磨液の特性および研磨性能の評価は以下
の方法で行った。 <粒子径測定> 湿式粒度分析計:マイクロトラックUPA−9230
(日機装社製)を用いて測定した。 <表面欠陥(スクラッチ)評価>前記、研磨レートの測
定に用いたシリコンウエハーを洗浄し乾燥した後、ウェ
ハー表面に暗室にてスポットライトを当て、目視でスク
ラッチの有無を判定した。 <ディッシング評価>前記研磨レートを測定したのと同
様の方法により、荷重5KPaで4”パターンウェハー
(SKW6−2仕様:酸化膜0.8μm、TaN25n
m、Cu1.5μmの8”ウェハーから4”で切り出し
たものを使用)を研磨し、50μm間隔のライン&スペ
ース部を卓上小型プローブ顕微鏡:Nanopics
(セイコーインスツルメンツ社製)を用い測定すること
により、スペース部に埋め込まれたCu表面のディッシ
ング量を計測した。なお、このディッシング評価におい
ては、測定した研磨レートから所定の膜厚を完全に研磨
するのに要する時間を割り出し、さらにその値の10%
長い時間(10%オーバー研磨)を研磨時間とした。
【0031】
【実施例1】ポリオキソ酸としてリンバナドモリブデン
酸(商品名PVM−1−11 日本無機化学工業社製)
12gを水68gに溶解させ、ホモジナイザーで攪拌
下、これに非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチ
レンラウリルエーテル(商品名BLAUNON EL−
1503P、HLB=8.3、青木油脂工業社製)18
gを純水102gに混合したものを添加し、金属用研磨
液を得た。この研磨液のUPA測定による平均粒子径は
約30nmであった。この組成物のエッチングレートは
6nm/min.、荷重10KPaで半導体基板と定盤
との相対速度が50m/min.の時の研磨レートは6
00nm/min.であり、コントラスト値100を示
した。この研磨液を用い、荷重のみ5KPaとした場合
の研磨レート、ディッシング、スクラッチ評価の結果を
表1に示す。
【0032】
【実施例2】非イオン性界面活性剤としてポリオキシエ
チレンラウリルエーテルの代わりに、ポリオキシエチレ
ンオレイルエーテル(商品名BLAUNON EN−9
05、HLB=8.9、青木油脂工業社製)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして金属用研磨液を得た。こ
の研磨液のUPA−9230測定による平均粒子径は約
40nmであった。この組成物のエッチングレートは7
nm/min.、荷重10KPaで半導体基板と定盤と
の相対速度が50m/min.の時の研磨レートは60
0nm/min.であり、コントラスト値86を示し
た。この研磨液を用い、荷重のみ5KPaとした場合の
研磨レート、ディッシング、スクラッチ評価の結果を表
1に示す。
【0033】
【実施例3】ポリオキソ酸としてPVM−1−11の1
2gを水68gに溶解させ、ホモジナイザーで攪拌下、
これに非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン
セチルエーテル(商品名BLAUNON CH−30
5、HLB=9.4、青木油脂工業社製)の6gを純水
54gに混合したものを添加し、次にこれに非イオン性
界面活性剤としてポリオキシエチレン合成アルコールエ
ーテル(商品名BLAUNON OX−20、HLB=
5.7、青木油脂工業社製)2gを純水58gに混合し
たものを添加することにより金属用研磨液を得た。この
研磨液のUPA−9230測定による平均粒子径は約1
60nmであった。この研磨液のエッチングレートは5
nm/min.、荷重10KPaで半導体基板と定盤と
の相対速度が50m/min.の時の研磨レートは57
0nm/min.であり、コントラスト値114を示し
た。この研磨液を用い、荷重のみ5KPaとした場合の
研磨レート、ディッシング、スクラッチ評価の結果を表
1に示す。
【0034】
【実施例4】実施例3で得られた研磨液に、濃度が50
ppmとなるようにベンゾトリアゾール(BTA)を加
え、防食剤の添加された金属用研磨液を得た。この研磨
液のUPA−9230測定による平均粒子径は、実施例
6で得られた研磨液と同様約160nmであった。この
研磨液のエッチングレートは0.8nm/min.、荷
重10KPaで半導体基板と定盤との相対速度が50m
/min.の時の研磨レートは530nm/min.で
あり、コントラスト値662と高い値を示した。この研
磨液を用い、荷重のみ5KPaとした場合の研磨レー
ト、ディッシング、スクラッチ評価の結果を表1に示
す。
【0035】
【実施例5】実施例1で得られた研磨液を用い、比誘電
率2.1のポーラス構造を有するメチルシルセスキオキ
サン型の絶縁膜上に、約0.8μm厚Cu膜を形成した
基板の研磨実験を行った。なお研磨条件は、前記実施例
の場合と同様に、荷重が5KPa、半導体基板と定盤と
の相対速度が50m/min.であった。この時の研磨
レートは560nm/min.であり、研磨途中でのC
u膜の剥がれやクラックは全く観察されなかった。この
ようにして上記実施例で得られた微細粒子を含む研磨液
を、カーボン支持膜付きグリッド上に滴下、自然乾燥す
ることにより検鏡試料とし、透過型電子顕微鏡(HIT
ACHI HF−2000 加速電圧200KV)によ
り粒子構造の観察を行ったところ、ポリオキソ酸が非イ
オン性界面活性剤に取り込まれた形態を有する粒子の存
在が確認された。粒径は研磨液組成にもよるが、約20
〜50nmのものから、さらにそれらが凝集したと思わ
れるような構造のものが観察された。
【0036】
【比較例1】荷重が5KPa、半導体基板と定盤との相
対速度が19m/min.である以外は、実施例1と全
く同様にして研磨を行い、研磨レート、ディッシングな
らびにスクラッチ評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
【比較例2】荷重を25KPaとする以外は、比較例1
の方法と全く同様にして研磨を行い、研磨レート、ディ
ッシングならびにスクラッチ評価を行った。結果を表1
に示す。またこれと同一条件で、比誘電率2.1のポー
ラス構造を有するメチルシルセスキオキサン型の絶縁膜
上に、約0.8μm厚のCu膜を形成した基板を用い研
磨実験を行った。その結果、研磨途中でCu膜の剥がれ
が発生しているのが確認された。
【0038】
【比較例3】クエン酸6gを水62gに加え溶解し、こ
れにBTA0.4gをエタノール3gに溶解して得られ
る溶液を加え、さらにこれに研磨液中の砥粒濃度が6%
となるようにコロイダルアルミナ(平均粒径130nm
触媒化成社製)100gを加え、最後に過酸化水素水
(試薬特級、30%水溶液)28gを加えて金属用研磨
液を調整した。この組成物のUPA−9230測定によ
る平均粒子径は約150nmであった。この組成物のエ
ッチングレートは1.2nm/min.、荷重10KP
aで半導体基板と定盤との相対速度が50m/min.
の時の研磨レートは60nm/min.で、コントラス
ト値50を示した。この研磨液を用い、荷重のみ5KP
aとした場合の研磨レート、ディッシング、スクラッチ
評価の結果を表1に示す。
【0039】以上の結果から、エッチングレートが10
nm/min.未満であり、荷重100g/cm2時の
研磨レートが200nm/min.以上、且つ上記の研
磨レートとエッチングレートの比であるコントラストが
20以上という要件を満足する金属用研磨液を用い、5
0m/min.という半導体基板と研磨定盤との相対速
度が40m/min.以上の条件で研磨を行うことによ
り、5KPaという低荷重においても500nm/mi
n.以上の高研磨レートで研磨を行うことが可能である
ことが分かる。この研磨方法を適用すると、例えば比誘
電率2.1の脆弱な低誘電率絶縁材料を有する半導体基
板を研磨した場合においても、上記絶縁膜の破壊による
Cu膜の剥離を全く伴わずに研磨が可能になる。また、
上記規格を満足する金属用研磨液は、エッチング性が低
いレベルに抑えられているため、ディッシングを100
nm以下に抑制することが可能であり、またスクラッチ
も抑制することができる。
【0040】一方、比較例に示されるように、たとえ上
記規格を満足する金属用研磨液を用いても、半導体基板
と研磨定盤との相対速度が40m/min.に満たない
場合は、実施例に比べ十分高い研磨レートが得られたと
は言い難く、比較例2に示すように研磨レートを高める
ために研磨荷重を高めてもその効果は十分でないことが
分かる。また、この場合研磨荷重が高過ぎ、低誘電率絶
縁材料を有する脆弱な半導体基板に適用すると絶縁膜の
破壊が起こりCu膜の剥離が起き研磨ができない。この
他、上記規格を満足しない金属用研磨液を用いた場合
は、半導体基板と研磨定盤との相対速度が50m/mi
n.という高速条件で研磨を行っても低い研磨レートし
か得られないことが分かる。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、従来技術で
は困難であったエッチングを抑制すると同時に、半導体
基板と研磨定盤との相対速度が40m/min.以上と
いう高速で研磨を行うことにより、低荷重下においても
高速に銅膜等の金属膜を研磨することが可能となる。本
発明は、半導体基板上の金属膜を研磨する上で極めて有
用な方法を見出したものであり、特に今後主流となる低
強度のポーラス型低誘電率材料を用いた配線層形成プロ
セスへの適用性を有することから、産業上の利用価値は
甚だ大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】CMP技術を用いた金属配線の形成例を示す概
略断面図であり、(A)、(B)、(C)および(D)
は工程の順序を示す。
【符号の説明】
1 基板 2 絶縁膜 3 バリヤーメタル層 4 金属膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された金属膜の研磨工程に
    おいて、エッチングレートが10nm/min.未満で
    あり、荷重10KPaの時の研磨レートが200nm/
    min.以上、且つ上記の研磨レートとエッチングレー
    トの比であるコントラストが20以上である金属用研磨
    液を用い、半導体基板と研磨定盤との相対速度が40m
    /min.以上で研磨することを特徴とする半導体基板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属用研磨液が1wt%未満の研磨
    砥粒を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体基
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属用研磨液がポリオキソ酸および
    /またはその塩、非イオン性界面活性剤及び水を含有し
    てなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載
    の半導体基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ポリオキソ酸および/またはその塩
    がヘテロポリ酸および/またはその塩であることを特徴
    とする請求項3に記載の半導体基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 半導体基板を構成する絶縁膜の比誘電率
    (K)値が2.5以下であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
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