JP2003176348A - ポリカーボネートおよびその製造方法 - Google Patents
ポリカーボネートおよびその製造方法Info
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Abstract
カリ性物質との接触等の過酷な条件で使用されたり、リ
サイクル使用による厳しい熱履歴によって、ビスフェノ
ールあるいは他の構成成分が遊離しても、環境ホルモン
性を低く抑えることができるように、ビスフェノールA
よりエストロゲン作用の小さいビスフェノールを原料と
して製造し、かつ熱的性質に優れたポリカーボネート及
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 MCF-7ヒト乳ガン細胞増殖試験を用いた
倍加時間を基準とするホルモン活性評価で、ビスフェノ
ールAの倍加時間をエストロゲン活性指数100とした
場合に、エストロゲン活性指数が95以下のビスフェノ
ールと炭酸エステル形成化合物とを反応させてなるポリ
カーボネートであり、かつ極限粘度が0.2〜2.0d
l/gであるポリカーボネート及びその製造方法。
Description
用機器部品など人体又は体液と直接接触する用途、ある
いは、身の回りで広く使用されている光デイスクや携帯
電話をはじめとした通信・OA・電気・電子・機械部品
等に好適に使用できるエストロゲン作用が小さく、環境
問題に対応したビスフェノールを原料として製造され、
熱的性質に優れたポリカーボネート及びその製造方法に
関する。
ているように内分泌攪乱化学物質、いわゆる環境ホルモ
ンが大きな社会問題となってきている。環境省では、環
境ホルモン戦略計画SPEED’98に外因性内分泌攪
乱化学物質として内分泌攪乱作用を有すると疑われてい
る化学物質65種を記載し、対応をとりつつある。内分
泌攪乱作用を有すると疑われている65種の化学物質の
中には、難分解性でそれ自体毒性の強いPCBやダイオ
キシンのように製造禁止されているものも存在する。ま
た、ポリカーボネートの原料である2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)も、内分泌攪乱作用を有すると疑われている化学物
質65種中に含まれている。
ポリカーボネートは、食器や玩具、医療用機器部品など
人体又は体液と直接接触する用途、あるいは、身の回り
で広く使用されている光デイスクや携帯電話をはじめと
した通信・OA・電気・電子・機械部品、建築、農業分
野等に幅広く、大量に使用されている。このように幅広
い分野で大量に使用されているポリカーボネートが、一
部の消費者の誤使用や予想を超えた過酷な条件で使用さ
れた場合、例えば、長期間にわたり高温多湿下で使用し
たり、強アルカリ性溶液に長期間接触させた場合、ポリ
カーボネートの分解が起こり、ビスフェノールAが遊離
することがある。実際、湖沼や河川からごく微量のビス
フェノールAが検出されたという報告も散見される。
エストロゲンの疑似ホルモンとしてエストロゲン受容体
に結合し、遺伝子を発現させる等、弱いエストロゲン作
用を示すことが知られている。エストロゲン類似作用機
構はまだ完全に解明されていないが、エストロゲン活性
の高い、すなわち環境ホルモン性が高いビスフェノール
類を人体に取り込まれてしまう機会の多い製品に使用す
ることは好ましくない場合がある。従って、現在大量に
使用されているビスフェノールAからのポリカーボネー
トの基本特性をできるだけ保持し、かつビスフェノール
Aよりエストロゲン活性の小さいビスフェノールを原料
とし、環境問題に対応したポリカーボネートの開発が求
められている。また、一方では、エストロゲン作用を持
つビスフェノール類の化学構造は多種多様であるため、
化学構造からエストロゲン作用の大小を予測することは
難しい。従って、エストロゲン作用の小さいビスフェノ
ールを見出すためには、最適な試験方法を選定した上
で、個々のビスフェノールのエストロゲン作用を試験す
る必要がある。
一、ポリカーボネートが高温多湿や強アルカリ性物質と
の接触等の過酷な条件で使用されたり、リサイクル使用
による厳しい熱履歴によって、ビスフェノールあるいは
他の構成成分が遊離しても、環境ホルモン性を低く抑え
ることができるように、ビスフェノールAよりエストロ
ゲン作用の小さいビスフェノールを原料として製造し、
かつ熱的性質に優れたポリカーボネート及びその製法を
提供することにある。
を解決すべく、エストロゲン作用の最適試験方法を選定
した上で、多数のビスフェノールのエストロゲン作用に
ついて検討した結果、特定のビスフェノールはエストロ
ゲン作用がビスフェノールAより小さく、得られたポリ
カーボネートは熱的性質に優れていることを見出し、本
発明を完成させた。
胞増殖試験を用いた倍加時間を基準とするホルモン活性
評価で、ビスフェノールAの倍加時間をエストロゲン活
性指数100とした場合に、エストロゲン活性指数が9
5以下のビスフェノールと炭酸エステル形成化合物とを
反応させてなるポリカーボネートであり、かつ極限粘度
が0.2〜2.0dl/gであるポリカーボネートおよ
びその製造方法とそれを応用したポリカーボネート樹脂
組成物を提供するものである。
明する。本発明に関わるポリカーボネートは、ビスフェ
ノール類と炭酸エステル形成化合物を原料とし、公知の
方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応
(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリ
ールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換
法)などの方法で製造されるが、ビスフェノール類の反
応性を考慮した場合、ホスゲン法の方が好ましい。
剤および溶媒の存在下において、本発明におけるエスト
ロゲン活性指数が95以下のビスフェノールとホスゲン
を反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属
の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば
塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレ
ンなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するた
めに、トリエチルアミンのような第三級アミン触媒およ
び第四級アンモニウム塩など反応促進剤を、また重合度
調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール等一
官能基化合物を分子量調節剤として加える。さらに、所
望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなど
の酸化防止剤や分岐化剤を少量添加してもよい。反応は
通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とする
のが適当である。反応時間は反応温度によって左右され
るが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時
間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保
持することが望ましい。
本発明における前記エストロゲン活性指数が95以下の
ビスフェノールとビスアリールカーボネートとを混合
し、減圧下で高温において反応させる。この時、p−t
−ブチルフェノール等一官能基化合物を分子量調節剤と
して加えてもよい。反応は通常150〜350℃、好ま
しくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、
また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エス
テル交換反応により副生した該ビスアリールカーボネー
トから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応
時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通
常1〜10時間程度である。反応は窒素やアルゴンなど
の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、また、所
望に応じ、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行っ
てもよい。
MCF-7ヒト乳ガン細胞増殖試験を用いた倍加時間を基準
とするホルモン活性評価で、ビスフェノールAの倍加時
間をエストロゲン活性指数100とした場合に、対象と
なるビスフェノールのエストロゲン活性指数の値で評価
したものである。本発明では、エストロゲン活性指数が
95以下のものが環境ホルモン性が低いビスフェノール
である。
あるビスフェノールは、エストロゲン活性指数が95以
下のビスフェノールであり、例えば、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3
−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−
ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチル−6−メチルフェニル)−2−メ
チルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオ
レン、α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピ
ル]ポリジメチルシロキサン、及び両末端に3-(o-ヒドロ
キシフェニル)プロピル基を有するポリジメチルシロキ
サンとジフェニルシロキサンのランダム共重合シロキサ
ンなどが挙げられる。これらのビスフェノールは、単独
で、又は2種以上を混合して用いることが出来る。
ある炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲ
ン、又はジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカー
ボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p
−クロロフェニルカーボネート及びジナフチルカーボネ
ートなどのビスアリルカーボネートが挙げられる。これ
らの化合物は2種類以上併用することも可能である。
しては一価フェノールが好ましいが、少なくとも現時点
で環境省の環境ホルモン戦略計画SPEED'98中に述べられ
ている、外因性内分泌かく乱化学物質として内分泌かく
乱作用を有すると疑われる化学物質に列記されている化
合物を分子量調節剤として用いることは好ましくない。
現時点ではアルキルフェノール(C5〜C9のもの)、
ノニルフェノール、4−オクチルフェノール、ペンタク
ロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール等が列記さ
れている。そのため、現時点で環境ホルモンの疑いから
除外されているフェノールやC1〜C4のアルキルフェ
ノール類;C1〜C4のヒドロキシ安息香酸アルキルエ
ステル;C1〜C4のアルキルオキシフェノール類を分
子量調節剤として使用することが好ましい。中でも、長
年の使用実績からフェノールとp−t−ブチルフェノー
ルが好ましい。
は、反応をより効率的に行うため第四級アンモニウム塩
存在下において、ホスゲンとエストロゲン活性指数が9
5以下のビスフェノールを反応させることも可能であ
る。具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリ
エチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラエチル
アンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムアイオダイドなどが例示され、これらのうちトリメ
チルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベン
ジルアンモニウムクロライドが好ましい。この第四級ア
ンモニウム塩は、使用される全ビスフェノール類に対し
て、一般に0.0005〜10mol%使用されることが好まし
い。
に、ホスゲン吹き込み終了後に使用される重合触媒の3
級アミン触媒は、トリエチルアミン、トリ−n−プロピ
ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルアミノピ
リジン等があるが、これらの内トリエチルアミンが好ま
しい。この3級アミンは、使用される全ビスフェノール
類に対して、一般に0.0005〜10mol%使用されること
が好ましい。
は、過剰のホスゲンとエストロゲン活性指数が95以下
のビスフェノールを反応させる方法により反応性をより
向上させることができる。
ト重合体は、押出成形、射出成形、ブロ−成形、圧縮成
形、湿式成形など公知の成形法で容易に成形できるとと
もに、必要な強度を保つには極限粘度が0.2〜2.0dl/g
の範囲であることが好ましい。
は、製造工程で除去できないようなエストロゲン活性指
数が95を越える物質が不純物として混入しているもの
は好ましくなく、事前に十分精製された原材料を使用す
ることが好ましい。
要な安定性や離型性を確保するため、所望に応じて、ヒ
ンダードフェノール系やホスファイト系酸化防止剤;シ
リコン系、脂肪酸エステル系、脂肪酸系、脂肪酸グリセ
リド系、密ろう等天然油脂などの滑剤や離型剤;ベンゾ
トリアゾール系、イソシアネート系等の光安定剤;ポリ
アルキレングリコール、脂肪酸グリセリド等帯電防止剤
などを適宜併用したポリカーボネート樹脂組成物とする
ことも可能である。さらには本ポリカーボネートの性能
を損なわない範囲で任意にポリカーボネート以外の他樹
脂を改質用高分子添加剤として混合して使用することも
可能である。
性指数が95を越えるものが含まれている場合、本発明
の趣旨に反するため、使用は好ましくなく、これら添加
剤やブレンド物も極力低エストロゲン活性指数の材料を
使用する必要がある。
は、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデ
ンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5-ジ−t-ブチル−4-ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス
[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,2−
チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、4,
4’−ヘキサメチレンジエトキシカルボニルビス[2−
t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[4−メチ
ル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェ
ノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4−t-オク
チル-6'-t-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチレンビスフ
ェノール、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−イソシアヌレート、亜リン酸等の
酸化防止剤や紫外線吸収剤、蜜ろう、ステアリン酸モノ
グリセリド、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトー
ルテトラステアレート等の離型剤や滑剤、シリコーン樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシ
メチレン、ナイロン等の改質用高分子材料が上げられ
る。
エストロゲン活性が低い添加剤を本発明のポリカーボネ
ートに添加する場合、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型
剤、滑剤等の添加剤は、本発明のポリカーボネートに対
して5重量%以下、改質用高分子材料は50重量%以下
添加することが好ましい。
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、ビスフェノール類のエストロゲ
ン活性指数の評価は次の通り行った。
の大小を評価できる主な試験方法としては、次の五つの
方法がある。 a)マウスやラットを用いたエストロゲン曝露後の子宮
重量の測定 b)エストロゲン感受性ヒト乳ガン細胞を用いたエスト
ロゲン増殖試験 c)エストロゲン受容体結合アッセイ d)酵母tow−hybridアッセイ e)ホタルルシフェラーゼアッセイ 前記五つの試験法には長所と短所を持っている。特に、
b)以外の方法は、ホルモン類似作用と拮抗作用を区別
できないという欠点を持っているので、本発明ではb)
の方法で試験を行った。
たエストロゲン増殖試験:フェノールレッド不含7.5
%FCS/RPMI1640液体培地(重曹、ペニシリンと硫
酸ストレプトマイシンを含む)中で培養して立ち上げた
MCF−7細胞の一定量を24穴培養プレートに巻き込
み、5%CO2気流下に37℃で培養を開始した。4日
後、4穴中の細胞をEDTA−トリプシン処理して集め、遠
心、洗浄処理、遠心により細胞ペレットを得る。次に、
細胞ペレットを培地で全量500μlとして、トリパン
ブルー染色し、顕微鏡で100倍に拡大し、血球計算板
を用いて細胞数をカウントした(常法に従う)。4〜6
検体の測定値を平均し、これをコントロール値とした。
その後、他の24穴培養プレートの培地を除き、除いた
量と同量の新鮮なフェノールレッド不含ストリップド5
%FCS/RPMI1640液体培地を加え、培地交換した。
3日後に培地交換し、1×10-7Mに調整した試験試薬
の4μlを24穴培養プレートの各々の穴に加えた。さ
らに3日後、同様な方法により、コントロール、試験試
薬を加えた穴の細胞数を先と同様な方法でカウントし
た。1日後、フェノールレッド不含ストリップド5%FC
S/RPMI1640液体培地を交換した。さらに1日後、
試験試薬4μlを添加した。以後、細胞数カウント→培
地交換→試験試薬添加を繰り返し、試験をおこなった。
を用いたエストロゲン増殖試験で得られた結果を次の通
り整理した。すなわち、対数増殖期の細胞が2倍に増え
る時間を倍加時間D.T.(doubling time)と定義し、試
験化学物質が、もしエストロゲン様作用を持てばその細
胞の増殖速度に違いがでて、その差を比較することによ
りエストロゲン活性の大きさを判定することができるの
で、細胞の対数増殖期の時間t1とt2においてカウント
した細胞数をそれぞれN1とN2とすると、倍加時間D.T.
は式(1)で示される。
ゲン活性指数を100とした場合、エストロゲン活性の
異なるビスフェノールの倍加時間yのエストロゲン活性
指数zは、式(2)で示される。
時間の長いビスフェノールのエストロゲン活性指数は、
100より小さく、細胞増殖速度がビスフェノールAよ
り遅く、エストロゲン作用が小さいことがわかる。
ゲン活性指数が89の1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン(以下BPAP、0.4mo
l)116g及びハイドロサルファイト0.1gを加え溶解し
た。これにメチレンクロライド500mlを加え、15℃に保
ちながら撹拌しつつ、塩化ベンジルトリエチルアンモニ
ウム0.1gを加え、ついでホスゲン51gを50分かけて吹き
込んだ。吹き込み終了後フェノールを1.3g加え、さらに
8.8%(w/v)の水酸化ナトリウム水溶液100ml加え1分間
激しく撹拌して、10分後、0.2mlのトリエチルアミン
(TEA)を加え、約1時間撹拌し重合させた。重合液を
水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液
のpHを中性になるまで水洗を繰り返した。得られた重合
樹脂液を、60℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除
去しながら重合物を粒状化した。得られた白色粉末状重
合物を濾過後、105℃、8時間乾燥して粉末状樹脂を
得たこの重合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g
/dlの溶液の温度20℃におけるハギンズ定数0.45として
得られた極限粘度[η]は0.46dl/gであった。得られ
た上記重合体を赤外線吸収スペクトルより分析した結
果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収が認
められ、カーボネート結合を有することが確認された。
また、(株)島津製作所製熱熱分析装置(DSC-50、TGA-
50H)を使用し、窒素雰囲気下で測定されたガラス転移
温度と融点を表1に示した。
メタン(以下BPF、0.4mol)80g用いた以外は、実施
例1と同様に行った。
ェニル)ブタン(以下BP−B、0.4mol)96.8g用いた
以外は、実施例1と同様に行った。
3−メチルフェニル)フルオレン(以下BCFL、0.2m
ol)75.6gと1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−
ブチル−6−メチルフェニル)−2−メチルプロパン
(以下MBIBTD、0.2mol)76.4gを用い、フェノー
ルの代わりにp−t−ブチルフェノール(以下PTB
P)0.4gを用いた以外は実施例1と同様に行った。得ら
れたポリカーボネート樹脂に離型剤であるステアリン酸
モノグリセリド(以下SM)を300ppm添加して均一ブレ
ンドし、樹脂組成物を得た。
ジフェニルメタン(以下BPBP、0.4mol)141gとジメ
チルシロキサンの繰り返し単位が平均20のα,ω-ビ
ス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシ
ロキサン(以下Si、0.01mol)18gを用い、フェノール
の代わりにPTBPを2g用いた以外は実施例1と同様に
行った。得られたポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤
である2−(2’−ヒドロキシ−3’,5−t−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール(以下U−BTA)を1
重量%添加して均一ブレンドし、樹脂組成物を得た。
ェニル)プロパン(以下BPA、0.4mol)91.2g用いた
以外は、実施例1と同様に行った。結果は表2に示し
た。
ェニル)シクロヘキサン(以下BPCH、0.4mol)107.
2g用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果は表2
に示した。
ェニル)−4−メチルペンタン(以下BPMIBK、0.
4mol)108g用いた以外は、実施例1と同様に行った。結
果は表2に示した。
スルホン(以下BPS、0.4mol)100g用いた以外は、実
施例1と同様に行った。結果は表2に示した。
3−フェニルフェニル)シクロヘキサン(以下DPBP
CH、0.4mol)168g用いた以外は、実施例1と同様に行
った。得られたポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤で
ある2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノン(以下U−BP)を1重量%添加して均一ブレンド
し、樹脂組成物を得た。結果は表2に示した。
1〜5の本発明のポリカーボネートおよびポリカーボネ
ート樹脂組成物は、比較例1〜5のポリカーボネートに
比較し、熱的性質においても遜色ない。また、本発明の
ポリカーボネートは、エストロゲン活性指数の低いビス
フェノールを原料とし、さらにポリカーボネート樹脂組
成物においてもエストロゲン活性が低い添加剤で構成さ
れているので、ポリカーボネート構成成分や添加剤が遊
離しても環境ホルモンとして作用し人体に影響を与える
可能性は低い。従って、本発明のポリカーボネートは環
境ホルモン性の低い樹脂材料であることが分かる。
リカーボネートに比して、エストロゲン活性の低いビス
フェノールを原料とすることにより、ポリカーボネート
構成成分が分解により遊離しても、環境ホルモンとして
作用する可能性が低くいので、低環境ホルモン性であ
り、かつ優れた熱的性質を保持している。故に、食器や
玩具、医療用機器部品など人体又は体液と直接接触する
用途、あるいは、身の回りで広く使用されている光デイ
スクや携帯電話をはじめとした通信・OA・電気・電子
・機械部品等の用途にも好適である。
Claims (6)
- 【請求項1】 MCF-7ヒト乳ガン細胞増殖試験を用いた
倍加時間を基準とするホルモン活性評価で、ビスフェノ
ールAの倍加時間をエストロゲン活性指数100とした
場合に、エストロゲン活性指数が95以下のビスフェノ
ールと炭酸エステル形成化合物とを反応させてなるポリ
カーボネートであり、かつ極限粘度が0.2〜2.0d
l/gであるポリカーボネート。 - 【請求項2】 エストロゲン活性指数が95以下のビス
フェノールが、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブ
チル−6−メチルフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニル
メタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、α,ω-ビス
[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロ
キサン、及び両末端に3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピ
ル基を有するジメチルシロキサンとジフェニルシロキサ
ンのランダム共重合体から選ばれた少なくとも1種のビ
スフェノールである請求項1記載のポリカーボネート。 - 【請求項3】 炭酸エステル形成化合物がホスゲンまた
はジフェニルカーボネートである請求項1記載のポリカ
ーボネート。 - 【請求項4】 ホスゲンを炭酸エステル形成化合物とし
て用いる溶液重合法による請求項1記載のポリカーボネ
ートの製造方法。 - 【請求項5】 ホスゲンとの反応に際し、第4級アンモ
ニウム塩を存在させることを特徴とした請求項4記載の
ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項6】 エストロゲン活性指数が95以下の添加
剤を請求項1記載のポリカーボネートに配合してなるポ
リカーボネート樹脂組成物。
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