JP2003175009A - 心電図解析装置及び解析方法 - Google Patents

心電図解析装置及び解析方法

Info

Publication number
JP2003175009A
JP2003175009A JP2001378444A JP2001378444A JP2003175009A JP 2003175009 A JP2003175009 A JP 2003175009A JP 2001378444 A JP2001378444 A JP 2001378444A JP 2001378444 A JP2001378444 A JP 2001378444A JP 2003175009 A JP2003175009 A JP 2003175009A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrocardiogram
potential
waveform
time phase
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001378444A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Fujita
智 藤田
Hajime Fujii
元 藤井
Hiroaki Izuma
弘昭 出馬
Tomoaki Ueda
智章 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2001378444A priority Critical patent/JP2003175009A/ja
Publication of JP2003175009A publication Critical patent/JP2003175009A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ST部電位をQRS群に対して安定した位置
で抽出して、精度の高いST部電位を得ることが可能と
なる心電図解析装置、及び、この心電図解析装置を用い
た心電図解析方法を提供する。 【解決手段】 複数の心電図電極10に現われる電気信
号から心電図信号を生成する心電図信号生成手段11
と、心電図信号生成手段11によって生成された心電図
信号とその心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応
するように設定したテンプレート波形との間で相互相関
処理を行い、その相互相関処理の相関値が極大となると
きの前記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記Q
RS群の発生時相として検出する発生時相検出手段12
と、発生時相検出手段12にて検出されたQRS群の発
生時相から設定時間後の前記心電図信号の電圧値をST
部電位として抽出するST部電位抽出手段17とを備え
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心電図情報を解析
する心電図解析装置、及びその心電図解析装置を用いた
心電図解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療現場や生理学の分野において虚血等
の心疾患を発見又は研究するために、心電図計測が広く
行われており、膨大な臨床データが蓄積されている。既
知のように、心電図とは心臓の収縮に伴う心筋内活動電
流に起因して発生する体表面電位の時間変化を曲線とし
て記録したものである。心臓の収縮過程の各時期によっ
て活動電流の流れる組織部位やその広がり、電流の流れ
る方向等が刻々変化するため、電位観測用の電極を貼り
付ける位置や誘導法によって誘起される心電図信号の波
形は微妙に異なる。医療の現場では標準12誘導法が広
く利用されている。
【0003】心電図信号の波形例を図4に示すが、1心
拍分の心電図はP波、Q波、R波、S波、T波からな
り、さらにT波の後にU波が現われる場合がある。P波
は心房興奮に伴って発生し、P波発生後R波が開始する
までの間に心房収縮が起る。心房収縮によって、血液が
心房から心室に送り込まれたタイミングでQ波、R波、
S波という一連の波形(これをQRS群と呼ぶ)が発生
し、心室興奮が起る。心室興奮後、心室収縮が起り、血
液を全身に送り出す。T波は心室心筋の再分極過程で発
生する。このように心臓の動きに密接に関連して心電図
が発生する。
【0004】従って、周知のように心肥大、心筋の異常
(虚血等)その他解剖学的な欠陥に密接に関連して心電
図も変形するので、心電図を観測して波形を比較するこ
とで様々な心疾患の診断が可能となる。それらの心疾患
のうち、図4に示すS波からT波に至る途中に位置する
ST部の電位が偏位(下降または上昇)する場合は、心
筋の異常(虚血状態や心筋梗塞等)の初期症状の疑いが
ある。そこで、心電図波形から上記ST部の電位(以
下、ST部電位という)を読み取る場合に、従来では、
QRS群におけるR波のピーク位置をトリガ位相として
そのR波のピーク位置から設定時間後の電圧値を抽出す
るピークトリガ法や、心電図信号のレベルが所定閾値を
超えた時点をトリガ位相としてその時点から設定時間後
の電圧値を抽出するレベルトリガ法などを用いていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、心拍を
繰り返したときにR波の波形は左右対称ではなくピーク
位置が左右にずれたり、あるいは、2つのピークが現わ
れたりするため、従来のピークトリガ法では、ST部電
位の抽出位置がQRS群の位置に対して時間的に前後に
変動し、精度の高いST部電位が得られないという問題
があった。また、レベルトリガ法では、心電図信号の基
線動揺の影響を受けたり、個人によってT波のレベルが
高いときは誤ってT波をトリガ位相として検出してしま
うため、同様に、精度の高いST部電位が得られないと
いう問題があった。その結果、ST偏位(ST部電位の
下降や上昇)の判定が適切に行えないおそれがあるとい
う不具合があった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、その第1の目的は、ST部電位をQRS群に
対して安定した位置で抽出して、精度の高いST部電位
を得ることが可能となる心電図解析装置を提供すること
である。第2の目的は、ST偏位の判定を適切に行うこ
とが可能となる心電図解析方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る心電図解析
装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項
1に記載した如く、複数の心電図電極に現われる電気信
号から心電図信号を生成する心電図信号生成手段と、前
記心電図信号生成手段によって生成された心電図信号と
その心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応するよ
うに設定したテンプレート波形との間で相互相関処理を
行い、その相互相関処理の相関値が極大となるときの前
記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記QRS群
の発生時相として検出する発生時相検出手段と、前記発
生時相検出手段にて検出された前記QRS群の発生時相
から設定時間後の前記心電図信号の電圧値をST部電位
として抽出するST部電位抽出手段とを備えている点に
ある。
【0008】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項2に記載した如く、複数の心電図電極に現われ
る電気信号から心電図信号を生成する心電図信号生成手
段と、前記心電図信号生成手段によって生成された心電
図信号とその心電図信号に含まれるQRS群の波形に対
応するように設定したテンプレート波形との間で相互相
関処理を行い、その相互相関処理の相関値が極大となる
ときの前記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記
QRS群の発生時相として検出する発生時相検出手段
と、前記発生時相検出手段にて検出された前記QRS群
の発生時相から設定時間後の所定時間幅内での前記心電
図信号の平均電圧値をST部電位として抽出するST部
電位抽出手段とを備えている点にある。
【0009】同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項3に記載した如く、上記第一又は第二の特徴構
成に加えて、前記発生時相検出手段が、前記テンプレー
ト波形として、単位振幅の3つの矩形波が負極性、正極
性、負極性あるいは正極性、負極性、正極性の順に各極
性の時間比率が1:2:1となるように並び、且つ、そ
の3つの矩形波の合計時間幅が前記QRS群の時間幅に
一致する波形を設定するように構成されている点にあ
る。
【0010】同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項4に記載した如く、上記第一から第三のいずれ
かの特徴構成に加えて、前記ST部電位抽出手段が、前
記心電図信号に含まれる複数個のQRS群の夫々につい
て抽出した複数個の前記ST部電位の平均値を求めるよ
うに構成されている点にある。
【0011】本発明に係る心電図解析方法の第一の特徴
構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した如
く、上記第一から第四のいずれかの特徴構成の心電図解
析装置を用いて、前記ST部電位抽出手段にて抽出され
た前記ST部電位に基づいてST偏位を判定する点にあ
る。
【0012】同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄
の請求項6に記載した如く、上記第一の特徴構成に加え
て、前記QRS群の発生時相から設定時間前の前記心電
図信号の電圧値を基準電圧として、前記ST部電位を前
記基準電圧と比較してST偏位を判定する点にある。
【0013】以下に作用並びに効果を説明する。本発明
に係る心電図解析装置の第一の特徴構成によれば、複数
の心電図電極に現われる電気信号から生成された心電図
信号とその心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応
するように設定したテンプレート波形との間で相互相関
処理を行い、その相互相関処理の相関値が極大となると
きの前記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記Q
RS群の発生時相として検出し、そのQRS群の発生時
相から設定時間後の前記心電図信号の電圧値をST部電
位として抽出する。すなわち、上記相互相関処理はパタ
ーンマッチングとして知られた手法を応用した処理であ
り、QRS群の波形に対応するテンプレート波形と心電
図信号との相互相関処理を行い、その相互相関処理の相
関値がピークとなる位置を検出することで、QRS群の
発生時相を検出するものである。従って、パターンマッ
チングによって心電図信号に含まれるQRS群の波形と
その波形に対応するテンプレート波形とが最も良く一致
する位置をQRS群の発生時相とし、そのQRS群の発
生時相を基準としてST部電位の抽出位置を設定してい
るので、例えR波のピーク位置が時間的に前後にずれた
り、T波のレベルが高い場合でもその影響を受けること
なく、ST部電位をQRS群に対して安定した位置で抽
出して、精度の高いST部電位を得ることが可能となる
心電図解析装置が提供される。
【0014】同第二の特徴構成によれば、複数の心電図
電極に現われる電気信号から生成された心電図信号とそ
の心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応するよう
に設定したテンプレート波形との間で相互相関処理を行
い、その相互相関処理の相関値が極大となるときの前記
テンプレート波形の時間軸上での位置を前記QRS群の
発生時相として検出し、そのQRS群の発生時相から設
定時間後の所定時間幅内での前記心電図信号の平均電圧
値をST部電位として抽出する。すなわち、上記相互相
関処理は、第1の特徴構成で述べたように、パターンマ
ッチングとして知られた手法を応用してQRS群の発生
時相を検出するものであり、さらに、そのQRS群の発
生時相から設定時間後の所定時間幅内で前記心電図信号
について平均電圧を求めてST部電位としている。従っ
て、パターンマッチングによって心電図信号に含まれる
QRS群の波形とその波形に対応するテンプレート波形
とが最も良く一致する位置をQRS群の発生時相とし、
そのQRS群の発生時相を基準としてST部電位の抽出
位置を設定しているので、例えR波のピーク位置が時間
的に前後にずれたり、T波のレベルが高い場合でもその
影響を受けないようにすることでき、しかも、抽出する
ST部電位を一点の電圧値ではなく所定時間幅内での平
均電圧値としているので、ノイズ等による突発的な波形
乱れを排除してS/N比を上げることでき、これによ
り、ST部電位をQRS群に対して安定した位置で抽出
し、さらに精度の高いST部電位を得ることが可能とな
る心電図解析装置が提供される。
【0015】同第三の特徴構成によれば、単位振幅の3
つの矩形波が負極性、正極性、負極性あるいは正極性、
負極性、正極性の順に各極性の時間比率が1:2:1と
なるように並び、且つ、その3つの矩形波の合計時間幅
が前記心電図信号に含まれるQRS群の時間幅に一致す
る波形をテンプレート波形として設定して、そのテンプ
レート波形と前記心電図信号との間で相互相関処理を行
う。従って、一般的に相互相関処理の演算負荷は重くリ
アルタイム性に欠けるが、本特徴構成のように、QRS
群の波形に対応するテンプレート波形として、正極性及
び負極性に変化する3つの単位振幅の矩形波を組み合せ
た波形を使用することで、相互相関処理が簡単な加減算
処理で実行できるようになり、相互相関処理の演算処理
の大幅な高速化が図られる。また、かかる演算処理の簡
単化が図られても、正極性と負極性の各合計の時間配分
が等しいために、3つの矩形波の時間幅と異なる時間幅
の信号成分は相互相関処理において相殺され、QRS群
の信号成分を抽出してその発生時相を適正に検出するこ
とができる。
【0016】同第四の特徴構成によれば、前記心電図信
号に含まれる複数個のQRS群の夫々について抽出した
複数個の前記ST部電位の平均値が求められる。従っ
て、各脈拍毎に繰り返し発生する複数個のQRS群につ
いて抽出した複数個のST部電位の平均値を求めている
ので、ST部電位のデータとして1拍分のST部電位で
はなく複数拍分のST部電位の平均値を用いることで、
各脈拍毎に生じる波形変動等の影響を排除してST部電
位データのS/N比を上げることができ、より精度の高
いST部電位を得ることが可能となる。
【0017】本発明に係る心電図解析方法の第一の特徴
構成によれば、上述のように抽出されたST部電位に基
づいてST偏位が判定される。従って、ST部電位の上
昇又は下降によって虚血等の心疾患の初期症状を判定す
る場合に、精度の高いST部電位データに基づいて、S
T偏位の判定を適切に行うことが可能となる心電図解析
方法が提供される。
【0018】同第二の特徴構成によれば、前記抽出され
たST部電位を、前記QRS群の発生時相から設定時間
前の心電図信号の電圧値である基準電圧と比較して、S
T偏位が判定される。従って、心電図波形においてQR
S群の後側に位置するST部電位を、QRS群の前側に
位置する基準電位と比較して(例えば、ST部電位と基
準電位の差をとって)ST偏位を判定するので、例え心
電図信号に基線動揺等による大きな波形変動が生じて、
QRS群付近の電圧が大きく上下するような場合でも、
基準電位とST部電位が同じように上下するため、両電
位の比較(例えば両電位の差)において上記波形変動の
影響が打ち消され、的確なST偏位の判定を行うことが
可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る心電図解析装置及び
解析方法の実施の形態を、浴槽心電計の場合について図
面に基づいて説明する。 〔第1実施形態〕図1に示すように、心電図解析装置
は、複数の心電図電極10に現れる電気信号40から心
電図信号41を生成する心電図信号生成手段11と、心
電図信号生成手段11にて生成された心電図信号に含ま
れるQRS群の発生時相を検出する発生時相検出手段1
2と、発生時相検出手段12にて検出されたQRS群の
発生時相を基準としてST部電位を抽出するST部電位
抽出手段17とを備えて構成されている。
【0020】図2に示すように、複数の心電図電極10
は4つの電極10a〜10dからなり、各電極10a〜
10dは被験者1が入浴する浴槽2の内壁面の湯水に浸
水する所定位置に各別に設置される。具体的には、第1
の電極10aが被験者1の右腕付け根外側に近い位置
に、第2の電極10bが被験者1の左腕付け根外側に近
い位置に、第3の電極10cが被験者1の左足付け根外
側に近い位置に、第4の電極10dが被験者1の右足付
け根外側に近い位置に、夫々設置されている。そして、
上記各電極10a〜10dに、浴槽内の湯水を介して形
成される導電経路によって、被験者1の各対応する部位
の表面電位が誘導される。
【0021】心電図信号生成手段11は、図3に示すよ
うに、基本的に3台の差動増幅器13〜15で構成さ
れ、第1の電極10aに誘導される電気信号40aが第
1の増幅器13と第2の増幅器14の負側入力に、第2
の電極10bに誘導される電気信号40bが第1の増幅
器13の正側入力と第3の増幅器15の負側入力に、第
3の電極10cに誘導される電気信号40cが第2の増
幅器14と第3の増幅器15の正側入力に、夫々入力さ
れる。また、各差動増幅器13〜15は、各接地端子が
第4の電極10dと電気的に接続され、電極10dの電
位が各差動増幅器13〜15の基準電位として供され、
各電源も共通の電源から供給される。
【0022】上記の心電図信号生成手段11の構成と心
電図電極10a〜10dの配置位置によって、第1の増
幅器13からは疑似第I誘導心電図41aが、第2の増
幅器14からは疑似第II誘導心電図41bが、第3の増
幅器15からは疑似第III誘導心電図41cが、夫々出
力される。ここで、各心電図信号41a〜41cを疑似
誘導と称しているのは、これらが、標準12誘導法にお
ける標準肢誘導の3種の双極導出心電図に対応している
ものの、浴槽心電計に特有の基線動揺が含まれているこ
とを考慮したものである。
【0023】また、各心電図信号41a〜41cは、数
式化すれば下記の数1〜数3によって表わされる。ここ
で、VI、VII、VIIIは、夫々各疑似誘導心電図信号
41a〜41cの信号電圧であり、VR,VL,VFは
夫々第1の電極10a、第2の電極10b、第3の電極
10cの電位である。尚、各心電図信号41a〜41c
は必要に応じて更に増幅、或いは不要な電源ノイズや高
周波ノイズを除くフィルタ処理が施される。
【0024】
【数1】VI=VL−VR
【数2】VII=VF−VR
【数3】VIII=VF−VL
【0025】更に、心電図信号生成手段11は、標準1
2誘導法における標準肢誘導の3種の単極導出に対応す
る心電図信号を、下記の数4〜数6に基づいて計算する
演算手段16を備えている。ここで、aVR,aVL,
aVFは、夫々3種の単極導出に対応する心電図信号の
信号電圧である。
【0026】
【数4】aVR=VR−0.5(VL+VF)=−0.
5(VI+VII)
【数5】aVL=VL−0.5(VR+VF)=0.5
(VI−VIII)
【数6】aVF=VF−0.5(VR+VL)=0.5
(VII+VIII)
【0027】上記構成による心電図信号生成手段11に
よって、標準12誘導法における6種の標準肢誘導の心
電図信号41(VI、VII、VIII、aVR、aVL、
aVF)が生成される。図4に、心電図信号41につい
て波形例を示す。
【0028】次に、前記発生時相検出手段12について
説明する。発生時相検出手段12は、前記心電図信号生
成手段11によって生成された心電図信号41とその心
電図信号41に含まれるQRS群の波形に対応するよう
に設定したテンプレート波形との間で相互相関処理を行
い、その相互相関処理の相関値が極大となるときの前記
テンプレート波形の時間軸上での位置を前記QRS群の
発生時相として検出するように構成されている。尚、上
記相互相関処理を行う前に心電図信号41に対して所定
の前処理(ノイズ除去処理等)を行う。具体的には、図
5に示すように、発生時相検出手段12は、相互相関演
算部18、最適窓幅設定部19、ピーク時相検出部20
を備えて構成されている。
【0029】一般的に、心電図信号には、呼吸や体の動
き等に起因した基線動揺の他、R波ピーク付近の波形形
状の揺らぎ、心臓の位置が変化したり信号自体の振幅値
が変化する等の各種の揺らぎが混在している。発生時相
検出手段12は、処理対象の心電図信号41にかかる揺
らぎが含まれていてもQRS群の発生時相を正確に検出
できるように、動作原理として基本的にパターンマッチ
ドフィルタとして公知の手法を、相互相関演算部18に
おける演算処理に応用している。
【0030】しかしながら、通常のパターンマッチドフ
ィルタによる相互相関処理は、演算負荷が非常に重くリ
アルタイム性に欠けるため、本実施形態では、発生時相
検出手段12が、QRS群の波形に対応する前記テンプ
レート波形として、図6に示すように、単位振幅の3つ
の矩形波が負極性、正極性、負極性の順に各極性の時間
比率が1:2:1となるように並び、且つ、その3つの
矩形波の合計時間幅が前記QRS群の時間幅に一致する
波形を設定する。因みに、QRS群の時間幅は、正常人
の場合で約80msec程度である。尚、心電図信号4
1が図4に示す波形と正負が反転した波形である場合に
は、上記テンプレート波形として、単位振幅の3つの矩
形波が正極性、負極性、正極性の順に各極性の時間比率
が1:2:1となるように並び、且つ、その3つの矩形
波の合計時間幅が前記QRS群の時間幅に一致する波形
を設定する。
【0031】テンプレート波形として単位振幅の矩形波
を用いることで、ディジタル演算処理中の乗算処理を大
幅に削減できるとともに、一定のサンプリング間隔にお
ける後続のサンプリング値に対する相互相関値を漸化式
で表現でき再計算負荷の軽減が図れる。また、かかる演
算処理の簡単化が図られても、正極性と負極性の各合計
の時間配分が等しいため、3つの矩形波の時間幅と異な
る時間幅の信号成分は相互相関処理において相殺され、
QRS群の信号成分を抽出してその発生時相を適正に検
出することができる。以下、具体例に基づいて説明す
る。
【0032】心電図信号41は図示しないAD変換部に
よってディジタル化されてから、数7に示す時系列デー
タd[t]として相互相関演算部18に入力されるとす
る。また、説明の簡単化のため、テンプレート波形とQ
RS群の時間幅を12標本とすれば、テンプレート波形
w[t]は数8のように表わされる。この場合、相互相
関値φ[t](例えば、最初の4標本分φ0〜φ3)は
数9〜数12のようにして得られる。
【0033】
【数7】 d[t]=[d0,d1,d2,d3,……,dn-1
【数8】w[t]=[−1,−1,−1,1,1,1,
1,1,1,−1,−1−1]
【数9】φ0=−d0−d1−d2+d3+d4+d5
+d6+d7+d8−d9−d10−d11
【数10】φ1=−d1−d2−d3+d4+d5+d
6+d7+d8+d9−d10−d11−d12
【数11】φ2=−d2−d3−d4+d5+d6+d
7+d8+d9+d10−d11−d12−d13
【数12】φ3=−d3−d4−d5+d6+d7+d
8+d9+d10+d11−d12−d13−d14
【0034】上記数10〜数12は、各相互相関値φi
を1標本前のφi-1を用いて書き換えると、数13〜数
15のように、既出の相互相関値と被処理心電図信号の
4標本値の加減算のみの簡単な漸化式で表わされるた
め、演算負荷の軽減が図れることが分かる。更に、テン
プレート波形とQRS群の時間幅を4m標本としてより
一般化すると、数13〜数15は数16のように表現で
きる。
【0035】
【数13】 φ1=φ0+d0−2×d3+2×d9−d12
【数14】 φ2=φ1+d1−2×d4+2×d10−d13
【数15】 φ3=φ2+d2−2×d5+2×d11−d14
【数16】 φi+1=φi+di−2×di+m+2×di+3m−di+4m
【0036】数16に示す演算式に基づく相互相関演算
部18は、図7に示すように、FIFOメモリ28、レ
ジスタ29、加算器30を用いて簡単な構成で実現でき
る。FIFOメモリ28、レジスタ29、加算器30の
入出力ビット幅は被処理心電図信号41の信号値の量子
化ビット数に応じて決定される。最適窓幅設定部19
は、相互相関演算部18の出力である相互相関値42を
入力して、相互相関値42の局所ピーク値が最大となる
テンプレート波形の時間幅を設定する。
【0037】図8に相互相関演算部18の入出力信号の
一例を示す。上段が入力信号である心電図信号41で、
下段が出力信号である相互相関値42である。このよう
に、相互相関演算部18によって、心電図信号41から
QRS群を抽出することができる。そして、ピーク時相
検出部20は、相互相関値42の時系列データから局所
ピークの存在を検出し、各検出時刻(図にt1〜t6で
示す)にパルス信号43を出力する。このパルス信号4
3がQRS群の発生時相を表わす。
【0038】次に、前記ST部電位抽出手段17につい
て説明する。ST部電位抽出手段17は、前記発生時相
検出手段12にて検出されたQRS群の発生時相から設
定時間ts(msec)後の前記心電図信号の電圧値を
ST部電位として抽出するように構成されている。具体
的には、図5に示すように、ST部電位抽出手段17
は、前記パルス信号43の時刻(図8のt1〜t6等)
を中心として1拍分の心電図波形を切り出す心電図波形
切出し部21、心電図波形切出し部21で切り出したn
拍(例えば10拍)分の心電図波形データを加算する加
算部22、加算部22で加算されたn拍分の心電図波形
を平均する平均算出部23、そのn拍分の平均心電図波
形上でST部電位を読み取るST部電位読取り部24を
備えて構成されている。即ち、ST部電位抽出手段17
は、心電図信号に含まれる複数個(この実施形態では、
10個)のQRS群の夫々について抽出した複数個の前
記ST部電位の平均値を求めるように構成されている。
尚、上記平均算出部23で得られた平均心電図波形、及
びST部電位読取り部24で読み取ったST部電位は、
前記パルス信号43とともに、プリンタで出力される
か、表示装置の画面上に表示される。
【0039】次に、上記心電図解析装置を用いた心電図
解析方法について説明すると、前記ST部電位抽出手段
17にて抽出されたST部電位に基づいてST偏位を判
定するものであり、具体的には、図9に示すように、前
記QRS群の発生時相(前記パルス信号43の時刻)か
ら設定時間tk(msec)前の前記心電図信号の電圧
値を基準電圧として、前記ST部電位を前記基準電圧と
比較してST偏位を判定する。即ち、前記ST部電位か
ら上記基準電圧を引いた差の電圧値が、高いか低いかに
よって、ST上昇又はST下降が生じているか否かを判
定する。
【0040】〔第2実施形態〕次に、本発明に係る心電
図解析装置及び解析方法の第2実施形態について説明す
るが、この第2実施形態では、ST部電位抽出手段17
の一部構成が、第1実施形態と異なる点を除いて、第1
実施形態と同様に構成されている。即ち、心電図解析装
置では、前記ST部電位抽出手段17が、前記発生時相
検出手段12にて検出されたQRS群の発生時相から設
定時間ts(msec)後の所定時間幅Δt(mse
c)内での前記心電図信号の平均電圧値をST部電位と
して抽出するように構成されている。具体的には、図1
0に示すように、QRS群の発生時相から設定時間ts
(msec)後の時刻を中心として時間幅Δt(mse
c)内の心電図信号データの平均値を計算してST部電
位とするとともに、QRS群の発生時相から設定時間t
k(msec)前の時刻を中心として時間幅Δt(ms
ec)内の心電図信号データの平均値を計算して前記基
準電圧とする。
【0041】そして、上記心電図解析装置を用いた心電
図解析方法では、上記のように時間幅Δt(msec)
内の心電図信号データを平均して求めたST部電位及び
基準電圧を比較してST偏位を判定する。
【0042】〔別実施形態〕以下に別実施形態を説明す
る。上記実施形態では、発生時相検出手段12が設定す
るテンプレート波形として、単位時間幅の3つの矩形波
が負極性と正極性とに変化する所定の波形を設定した
が、これ以外に、心電図信号に含まれるQRS群の波形
に対応する種々のテンプレート波形を設定することがで
きる。
【0043】上記実施形態では、心電図信号生成手段1
1で生成された基線動揺を含む心電図信号を、発生時相
検出手段17に備えた相互相関演算部18に入力するよ
うにしたが、心電図信号生成手段11で生成された心電
図信号について基線動揺除去処理を行って基線動揺を除
去した後の心電図信号を相互相関演算部18に入力する
ようにしてもよい。
【0044】上記実施形態では、本発明に係る心電図解
析装置を浴槽心電計に適用した場合について説明した
が、浴槽心電計以外の通常の心電計にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る心電図解析装置の構成を示すブロ
ック図
【図2】浴槽心電計の電極配置を示す浴槽の斜視図
【図3】心電図信号生成手段の構成を示す回路図
【図4】心電図信号の波形を示す波形図
【図5】発生時相検出手段とST部電位抽出手段の構成
を示す回路図
【図6】テンプレート波形の一例を示す波形図
【図7】相互相関演算部の構成を示す回路図
【図8】相互相関演算部の入出力信号の一例を示す波形
【図9】ST部電位抽出処理を示す波形図
【図10】第2実施形態に係るST部電位抽出処理を示
す波形図
【符号の説明】
10 心電図電極 11 心電図信号生成手段 12 発生時相検出手段 17 ST部電位抽出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出馬 弘昭 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 上田 智章 京都府京都市下京区中堂寺南町17 株式会 社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 4C027 AA02 CC00 EE01 EE05 FF00 FF01 FF02 FF07 GG01 GG07 GG10 KK01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の心電図電極に現われる電気信号か
    ら心電図信号を生成する心電図信号生成手段と、 前記心電図信号生成手段によって生成された心電図信号
    とその心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応する
    ように設定したテンプレート波形との間で相互相関処理
    を行い、その相互相関処理の相関値が極大となるときの
    前記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記QRS
    群の発生時相として検出する発生時相検出手段と、 前記発生時相検出手段にて検出された前記QRS群の発
    生時相から設定時間後の前記心電図信号の電圧値をST
    部電位として抽出するST部電位抽出手段とを備えてい
    る心電図解析装置。
  2. 【請求項2】 複数の心電図電極に現われる電気信号か
    ら心電図信号を生成する心電図信号生成手段と、 前記心電図信号生成手段によって生成された心電図信号
    とその心電図信号に含まれるQRS群の波形に対応する
    ように設定したテンプレート波形との間で相互相関処理
    を行い、その相互相関処理の相関値が極大となるときの
    前記テンプレート波形の時間軸上での位置を前記QRS
    群の発生時相として検出する発生時相検出手段と、 前記発生時相検出手段にて検出された前記QRS群の発
    生時相から設定時間後の所定時間幅内での前記心電図信
    号の平均電圧値をST部電位として抽出するST部電位
    抽出手段とを備えている心電図解析装置。
  3. 【請求項3】 前記発生時相検出手段が、前記テンプレ
    ート波形として、単位振幅の3つの矩形波が負極性、正
    極性、負極性あるいは正極性、負極性、正極性の順に各
    極性の時間比率が1:2:1となるように並び、且つ、
    その3つの矩形波の合計時間幅が前記QRS群の時間幅
    に一致する波形を設定するように構成されている請求項
    1又は2記載の心電図解析装置。
  4. 【請求項4】 前記ST部電位抽出手段が、前記心電図
    信号に含まれる複数個のQRS群の夫々について抽出し
    た複数個の前記ST部電位の平均値を求めるように構成
    されている請求項1〜3のいずれかに記載の心電図解析
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の心電図
    解析装置を用いた心電図解析方法であって、前記ST部
    電位抽出手段にて抽出された前記ST部電位に基づいて
    ST偏位を判定する心電図解析方法。
  6. 【請求項6】 前記QRS群の発生時相から設定時間前
    の前記心電図信号の電圧値を基準電圧として、前記ST
    部電位を前記基準電圧と比較してST偏位を判定する請
    求項5記載の心電図解析方法。
JP2001378444A 2001-12-12 2001-12-12 心電図解析装置及び解析方法 Pending JP2003175009A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001378444A JP2003175009A (ja) 2001-12-12 2001-12-12 心電図解析装置及び解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001378444A JP2003175009A (ja) 2001-12-12 2001-12-12 心電図解析装置及び解析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003175009A true JP2003175009A (ja) 2003-06-24

Family

ID=19186165

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001378444A Pending JP2003175009A (ja) 2001-12-12 2001-12-12 心電図解析装置及び解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003175009A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093264A (ja) * 2006-10-13 2008-04-24 Fukuda Denshi Co Ltd 心電図自動解析装置、心電図自動解析方法および心電図自動解析プログラム
JP2009148548A (ja) * 2007-10-24 2009-07-09 Ela Medical Sas ブルガダ症候群または早期再分極症候群診断のための診断支援用心電装置
WO2012017473A1 (en) * 2010-08-02 2012-02-09 Empire Technology Development Llc Detection of biological information of a subject
JP2015058165A (ja) * 2013-09-19 2015-03-30 カシオ計算機株式会社 心拍計、心拍計測方法及び心拍計測プログラム
JP2017131702A (ja) * 2017-03-30 2017-08-03 カシオ計算機株式会社 心拍計、心拍計測方法及び心拍計測プログラム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093264A (ja) * 2006-10-13 2008-04-24 Fukuda Denshi Co Ltd 心電図自動解析装置、心電図自動解析方法および心電図自動解析プログラム
JP2009148548A (ja) * 2007-10-24 2009-07-09 Ela Medical Sas ブルガダ症候群または早期再分極症候群診断のための診断支援用心電装置
WO2012017473A1 (en) * 2010-08-02 2012-02-09 Empire Technology Development Llc Detection of biological information of a subject
US8483811B2 (en) 2010-08-02 2013-07-09 Empire Technology Development Llc Detection of biological information of a subject
JP2015058165A (ja) * 2013-09-19 2015-03-30 カシオ計算機株式会社 心拍計、心拍計測方法及び心拍計測プログラム
JP2017131702A (ja) * 2017-03-30 2017-08-03 カシオ計算機株式会社 心拍計、心拍計測方法及び心拍計測プログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AL-Ziarjawey et al. Heart rate monitoring and PQRST detection based on graphical user interface with Matlab
JP4768095B2 (ja) 心臓機能を表す信号の特性を決定するシステム
JP2008086754A (ja) 減少電極システム特定のecg解釈を持つ方法及び装置
CN109009073B (zh) 房颤检测装置及存储介质
Khan et al. Automated detection of posterior myocardial infarction from vectorcardiogram signals using Fourier–Bessel series expansion based empirical wavelet transform
US5690118A (en) Method and apparatus for correcting non-physiological variations in ECG signals
Kemmelings et al. Automatic QRS onset and offset detection for body surface QRS integral mapping of ventricular tachycardia
US7751876B2 (en) Method and system for detecting premature ventricular contraction from a surface electrocardiogram
EP3845127B1 (en) Methods and systems for estimation of residual ecg noise level and adaptive noise threshold
JP2003175009A (ja) 心電図解析装置及び解析方法
JP2002078695A (ja) 心電図計測装置
CN109044338A (zh) 房颤检测装置及存储介质
KR101498581B1 (ko) 비침습적 심방신호 추정 시스템 및 방법
Jindal et al. MATLAB based GUI for ECG arrhythmia detection using Pan-Tompkin algorithm
CN115316996B (zh) 心律异常识别模型训练方法、装置、设备及存储介质
Gowtham et al. Detection of arrhythmia using ECG waves with deep convolutional neural networks
Vondrak et al. Statistical evaluation of transformation methods accuracy on derived pathological vectorcardiographic leads
Dhande LabVIEW based ECG signal acquisition and analysis
JP2021030080A (ja) 心電図のrピークを決定する方法
Fuior et al. Preprocessing of electrocardiogram techniques–A review
Rastgar-Jazi et al. Detection of heart abnormalities via artificial neural network: An application of self learning algorithms
Deng et al. Electrocardiographic criteria for the diagnosis of left ventricular hypertrophy based on data mining
Kumar et al. Computerized detection & classification of ECG signals
Al Touma et al. Detection of cardiovascular abnormalities through 5-lead system algorithm
CN115462800B (zh) 一种心电信号特征波形检测方法、装置、设备及存储介质