JP2003172406A - 張力緩衝器 - Google Patents

張力緩衝器

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JP2003172406A
JP2003172406A JP2001369457A JP2001369457A JP2003172406A JP 2003172406 A JP2003172406 A JP 2003172406A JP 2001369457 A JP2001369457 A JP 2001369457A JP 2001369457 A JP2001369457 A JP 2001369457A JP 2003172406 A JP2003172406 A JP 2003172406A
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tension
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tension buffer
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JP2001369457A
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Kenji Koshio
健治 小塩
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SHIN DENKI KOGYO KK
Original Assignee
SHIN DENKI KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保有するばねの付勢力によって、ワイヤなど
を適度な張力で引っ張った状態にし、強風、地震、積雪
などの自然環境による外力が加わったときなどに受ける
外力を吸収して建造物の損傷やワイヤなどが切断される
のを防ぎ、ワイヤなどの撓みが生じたときでも簡単な操
作で全長を伸長・短縮させる調整を行なってその撓みを
無くすことができる、永年使用できる、使い勝手が良好
な、張力緩衝器を提供することを課題とする。 【解決手段】 第1掛部材2と第2掛部材3のいずれか
一方又は双方或いはこれらを両端から突出させて支持し
ている外筒体4を回転操作することにより、全長が伸長
又は短縮し、第1掛部材2と第2掛部材3とが離反する
方向に外部からの引っ張り力が加わると、これらのいず
れか一方又は双方が、外筒体4および内筒体5内に保持
されている調節可能なコイルばね6の付勢力に抗しつ
つ、外筒体4内から引き出される方向に伸長可能に構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ、ロープ、
金属線等の線材を引っ張った状態にして使用するとき
に、これら線材又はクランプ金具等に接続して用いるこ
とにより、線材に適度の張力を与え、また、線材に不測
の過大な外力が加わったときにこの外力を吸収して、線
材等の切断、クランプ金具の取付個所からの離脱または
建造物の損傷を防いで、安全性及び設備維持コストを改
善することができ、しかも、支持部材を左右いずれかの
方向に向けて回転操作することにより、両端に位置する
フックの突出長さを調整して、線材等に加わる張力を加
減することができる張力緩衝器に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、電柱から家屋に電線や電話線を
引き込むときに、電線や電話線をそのまま引き込むと、
強風、地震、積雪などの自然環境による外力が加わった
とき、気温の寒暖差が大きいとき、また、予定しない人
為的な外力が加わったときに、これらが切断たり、家屋
の外壁または電柱に損傷を及ぼす虞がある。このため、
電柱と家屋の外壁との間にワイヤによるガイド線を架設
し、電線や電話線をこのガイド線にゆとりを持たせて沿
わせて引き込むようにすることが多い。また、例えば、
テント屋根を張るときにも、テント屋根の端部をワイヤ
やロープで引っ張って地上で固定させることが、ごく一
般的に行われているが、この場合にも、ワイヤやロープ
に張りを持たせてテント屋根の支持を安定させる必要が
ある。この他にも、植木の倒伏を防ぐため、また、木枝
の振りにクセをつけるために、これらをワイヤで引っ張
って固定することがあるが、このような場合でも、上述
した原因によるワイヤの切断を防ぐ必要がある。このよ
うに、ワイヤやロープ、電線や電話線、金属線や樹脂線
などの各種線材を、張りを持たせた状態で使用する事例
は、他にも随所に見られる。各種線材に張りを持たせて
架設する方法として、線材等を引っ張った状態のまま架
設する方法が挙げられるが、この作業は容易ではなく、
線材等が撓んで架設されにくい。 【0003】一方、従来において、ワイヤやロープなど
を張った状態にするために用いる専用の締付け金具があ
る。この締め付け金具は、2本のフックの基部端を対向
させて、双方の基部を支持体の両端から内側に向けて奥
深くねじ入れられて組み付けられており、フックや支持
体を手で持って或いは工具を用いて、各フックや支持体
を軸回転方向に操作すると、伸長・短縮する構造を有
し、この締付け金具を用いると、ワイヤやロープの張力
の加減が自由に調整できる。ところが、この種の締付け
金具は、ワイヤやロープを、張力を持たせて架設するこ
とは出来ても、上述した原因による不測の事態には対処
できない。 【0004】ところで、上述した各事例に対処する取付
金具として、従来から、張力緩衝器なるものがある。本
発明者は、この種の公知技術として、実開平2−302
24号公報に記載の「架空引込線の家屋引留装置」、実
開昭62−149220号公報に記載の「異常張力緩衝
器」を挙げる。実開平2−30224号公報に記載の
「架空引込線の家屋引留装置」は、両端を閉止した筒体
内に、該筒体内全長に亘る長さのコイルばねが備えら
れ、該筒体の一方の端部中央に開設されている孔を通じ
て、フックをシャフトが前記筒体の外方から筒体内奥方
に向けて挿通され、該シャフトの端部に設けたばね受け
座にコイルばねの端部が受けられて、該コイルばねによ
り、前記シャフトが前記筒体内に留まる方向に付勢され
た構造を有する。一方、実開昭62−149220号公
報に記載の「異常張力緩衝器」は、近接対向させた2つ
のフックの基部がコイルばね内に保持されて、双方のフ
ックが近接する方向に付勢された構造を有する。これら
の張力緩衝器は、いずれも引っ張る方向の外力が与えら
れると、その外力の程度に応じて各コイルばねの付勢力
に対抗して伸長する構造を有し、これら張力緩衝器を接
続して上記線材を架設すると、上述した不測の外力が線
材等に加わっても、この外力は張力緩衝器で吸収され
る。このため、線材等が切断されたり、クランプ金具が
取付部位から離脱するといった最悪の事態は防がれる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
従来技術の張力緩衝器は、線材等の張力の緩衝、つま
り、線材に過大な外力が加わったときにこの外力を吸収
する機能を有するが、次のような課題を有する。 (1)全体長の調整を行なう構造になっていないので、
経年により線材等に撓みが生じたときに十分な対処を行
なうことができなかった。 (2)上記従来技術のうち、前者の「架空引線の家屋引
留装置」は、進退する側のフック自体にコイルばねによ
る付勢力が常に加わっているため、また、後者の「異常
張力緩衝器」のうち、第1図に示す実施例のものは、左
右のフックの基部に掛部材が連結されているため、いず
れもフックの軸回転方向の向きを、壁面等に装着されて
いる被掛止部に掛け易い向きに変えるのが難しかった。
また、掛け難い形状になっている。 (3)後者の「異常張力緩衝器」は、コイルばねが露出
されているため、雨や露などで濡れてコイルばね錆が生
じ易く、これが製品寿命に影響を与えていた。また、コ
イルばねが錆びると、手や衣服が触れると錆で汚れるこ
とがある。勿論、コイルばねを防錆処理したり、塗装や
樹脂皮膜を施すことにより錆び付くのを防ぐことができ
るが、このようにすると製品のコスト高を招く。また、
このようにコイルばねが露出していると、張力緩衝器を
用いてワイヤに掛ける作業をするときに、コイルばねの
隙間に手の皮膚や衣服の袖などを挟むことがあった。 (4)さらに架線作業時にコイルばねが緩まない様一定
の張力を維持しながら作業する必要がありエネルギーを
消耗することとなる。 【0006】本発明者は、上記従来技術による張力緩衝
器が上述した課題を有することに鑑み、これら課題を解
消する発明を完成した。 【0007】即ち本発明は、保有するばねの付勢力によ
って、ワイヤ等の線材を適度な張力で引っ張った状態に
する基本的な機能に加えて、強風、地震、積雪などの自
然環境による外力が加わったときなどに受ける外力を吸
収して線材が切断されるのを防ぐとともに、線材に撓み
や過度の張りが生じたときでも、線材に接続したまま、
中央の支持体を回転操作して全長の伸長・短縮調整を行
なって、線材を適正な張りに戻すことができる張力緩衝
器を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに提案される本発明の請求項1に記載の張力緩衝器
は、先端に線材等に掛け止める掛部を有する第1掛部材
の基部のねじ部が、筒状の外筒体の一端に設けられてい
る壁部から該外筒体内に突入し、先端に線材等に掛け止
める掛部を有する第2掛部材の基部のねじ部が、軸心方
向に貫通孔が形成された筒軸の先端にばね受け座が設け
られた内筒部の前記貫通孔内の入口で螺装されてその先
端が該貫通孔内に長く突入して支持され、該内筒部はそ
の後端を残す略全体が前記外筒体内に位置して、該外筒
体内から外方向に進退自在に支持され、前記第1支持部
材のねじ軸の先端が前記貫通孔内に進退自在に突入し、
前記ばね受け座の手前面と前記外筒体内の対向壁部との
間に、前記筒軸に嵌装されたコイルばねが位置し、該コ
イルばねの付勢力により、前記内筒体が前記外筒体内に
後退する方向に付勢されており、第1掛部材と第2掛部
材とを引っ張った状態にして前記外筒体を左右いずれか
の方向に回転させると、前記ねじ受け部材が同方向に連
動して、前記第1掛部材と前記第2掛部材が互いに離反
又は近接する方向に移動して、全長が伸長又は短縮する
ように構成されてなることを特徴とする。 【0009】このように構成すると、ワイヤ、ロープ、
金属線等の線材を引っ張った状態にして架設するときに
本発明の張力緩衝器を接続すると、この張力緩衝器の付
勢力を伴う伸縮により、線材等に適度な張力が与えられ
る。このため、例えば、強風、地震、積雪などの自然環
境による外力が加わったとき及び気温の寒暖差が大きい
ときに、また、予定しない人為的な外力が加わったとき
にも、この外力をこの張力緩衝器の付勢力を伴った伸縮
により吸収でき、線材等が外力によって切断されたり、
その取付金具が脱落するという最悪の事態に至らない。 【0010】また、本発明の張力緩衝器は、全長を伸長
・短縮させる調整が自由に行なえるようになっている。
このため、線材等を架設したときの線材等の緩み、経年
による線材等の撓み、気温の変化による線材等の撓みな
どが生じても、線材等に接続したままの状態でばね圧の
調節によりその長さを調整して、撓みを無くすことがで
きる。線材等に過度な張りが続くときにも同じように適
正な張りに戻すことができる。 【0011】その調整の基本的な方法として、本発明の
張力緩衝器をワイヤ等の線材に接続したまま、工具等を
用いて、この張力緩衝器の中央の外筒体を左右いずれか
の方向に回転させて行なう方法がある。この方法により
外筒体を回転させると、この外筒体に螺装されて支持さ
れている第1掛部材の突出長さが変化する。また内筒体
を回転させる事により内筒体に螺装されて支持されてい
る第2掛部材の突出長さが変化しばね圧を調節するとと
もに張力緩衝器の全体長が短縮又は伸長する。 【0012】なお、本発明の張力緩衝器は、線材等に接
続されていない状態では、第1掛部材又は第2掛部材の
何れか一方又は双方を回転操作して、その突出長さを調
整して、全体長を短縮又は伸長させることもできる。 【0013】また外筒体に対して内筒体は、軸方向に進
退自在、つまり出没自在であり、しかも、互いに回転が
連動する事も出来る。この回転の連動は、外筒体に設け
られている係止部を、内筒体に設けられている被係止部
に係止させることにより可能としている。この係止部及
び被係止部は逆であっても構わない。 【0014】さらに本発明の張力緩衝器には、内筒体の
外筒体に対する回転の係止が解除できるものがある。こ
の種の張力緩衝器によれば、その両端をワイヤなどで強
く引っ張った状態において、内筒体をその回転の係止を
一旦解除させて左右いずれかの方向に回転させると、こ
の内筒体に軸装されている第2掛部材が後退又は進出
し、ばね圧(付勢力)も変化して、張力緩衝器の全体長
が短縮又は伸長する。このようにして線材等の張りを調
整しても良い。 【0015】なお、上記構成において、第1掛部材及び
第2掛部材という語を用いたのは、これらの一方又は双
方における先端の掛部の形状が鈎形のフックに限られ
ず、例えば、環状のものでも適用されるようにするため
である。 【0016】前記コイルばねは、圧縮方向の外力に対し
て反撥する方向の付勢力を保有し、前記ばね受け座を前
記支持部の奥端に達するまで付勢する長さのものが用い
られている。 【0017】本発明の張力緩衝器では、外筒体内に突入
している第1掛部材の後端部は、外筒体内において対向
している内筒体の貫通孔内に突入している。このため、
この後端部は、内筒体に衝突しない。また、このように
することによって、第1掛部材のねじ軸を長く形成する
ことができ、外筒体の回転操作に伴う第1及び第2掛部
材の進退長さを揃えることができる。なお、第1掛部材
及び第2掛部材は、張力緩衝器の全体長を最も短縮させ
た状態において、支持体の貫通孔内で、双方の先端部ど
うしが衝突しない長さにしてある。 【0018】ところで、本発明の張力緩衝器では、外筒
体においてその両端が第1掛部材及び第2掛部材及び前
記外筒体の壁と内筒体で略閉止された形状を有する。こ
のため、外筒体に内装されているコイルばねが雨や露な
どで濡れることがないし氷結によりばね機能の低下を招
く事もない。このため、錆びによる製品寿命の低下を防
ぐことができ、作業をするときに錆びで手や衣服を汚し
たり、コイルばねの間の隙間に皮膚を挟んだりすること
が無くなる。しかも、このように外筒体は筒状のハウジ
ングで形成されていると、コイルばねを保持し易く、取
り扱いも楽に行なえる。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の目的及び構成は以上の通
りであり、次に上記各構成を具現化した複数の実施の形
態を添付図面に沿って詳述する。図1の(a)図は本発
明の第1の実施形態による張力緩衝器を引っ張り力が加
わっていない状態で示した正面断面図、同(b)図は同
じく引っ張り力が加わって伸長した状態で示した正面断
面図、図2の(a)図及び(b)図はこれらの要部拡大
図、図3は図2の(a)図におけるI−I断面図、図4
は同じくII−II断面図である。 【0020】図1の各図に示す本発明の1実施形態によ
る張力緩衝器(以下、第1実施形態の張力緩衝器、と略
称する)1Aは、線材やクランプ金具に係止させる第1
掛部材2と、第2掛部材3と、これら掛部材2,3を両
端から突出させて支持する外筒体4と、外筒体4内に嵌
合し、一端側から進退する内筒体5と、内筒体5に外筒
体4内に留まる方向に付勢力を与えるコイルばね6とが
組み付けられてなる。 【0021】第1実施形態の張力緩衝器1Aでは、第1
掛部材2と第2掛部材3は、いずれもその先端に鈎状の
フックからなる掛部2a,3aを有し、軸部分であるそ
の基部2b,3bには、互いに相反する回転方向のねじ
軸2c,3cが形成された同形状の金属製部材が用いら
れている。 【0022】外筒体4は、円筒形状を有する金属製のハ
ウジングにて形成されており、この外筒体4の筒部4a
の一端側には支持壁4bが形成されており、この支持壁
4bの中央に、前記第1掛部材2の基部2bに形成され
ているねじ軸2cと螺合するねじ孔4dを有するものが
用いられている。この外筒体4の他端には、内筒体5の
筒軸3cが挿通する開口4fを有する壁部4eが設けら
れている。 【0023】内筒体5は、中央軸方向に前記第1及び第
2掛部材の基部2b,3bが突入する径をもつ貫通孔5
bが形成され且つ前記外筒体4内の空間4c内の長さに
略匹敵する長さを有する筒軸5aを有し、その一端側に
外筒体4内の空間4c内に入る大きさをもつ鍔状のばね
受け座5cが設けられ、該筒軸5aの他端側に鍔部5d
が設けられ、該鍔部5dが位置する向きの前記貫通孔5
b内の入口に、第2掛部材3のねじ軸3cが螺入する内
ねじ5eが形成された壁部5gが設けられている。 【0024】コイルばね6は、圧縮方向に加わる力に対
して広がる方向に反撥する付勢力を保有しており、外筒
体4内の空間4cの長さより多少長く、該空間4c内に
納まる大きさのものが用いられている。 【0025】続いて、図1の各図を参照しつつ、図2の
(a)図及び(b)図、図3及び図4をもとに、各部材
の組み付けられた構造について詳述する。外筒体4の空
間4c内には、内筒体材5の筒軸5aとその一端のばね
受け座5c軸方向に移動自在な状態で位置し、該筒軸5
aが外筒体4一端の前記壁部4eに支持されている。 【0026】このばね受け座5cの手前面と外筒体4の
壁部4eとの間には、前記筒軸5aを挿通させた状態で
前記コイルばね6が支持されており、張力緩衝器1に引
っ張り方向の力が加わっていないときには、ばね受け座
5cは、コイルばね6の付勢力を受けて、外筒体4内の
奥端に略接する位置まで達している。この状態におい
て、内筒体5の他端に設けられている鍔部5dは、外筒
体4の壁部4eの外端面に接当している。 【0027】第2掛部材3の基部3bは、そのねじ部3
cが内筒体5の外側から前記内ねじ5eに螺入されて、
内筒体5に支持されており、ねじ部3cの先端部が前記
貫通孔5b内に突入している。第1掛部材2の基部2b
は、そのねじ部2cが外筒体4の外側から前記ねじ孔4
dに螺入されて支持されて、このねじ部2cの先端部が
内筒体5の貫通孔5b内に突入している。 【0028】この状態において、図2の(a)の右側に
位置する第2掛部材3のねじ部3cは、内筒体5に螺入
されて支持されているため、この第2掛部材3を図2の
(b)図に示す矢(ア)方向に強く引っ張ると、内筒体
5とともにコイルばね6の付勢力に対抗して外筒体4内
から引っ張られた方向に移動する。このとき、左側に位
置する第1掛部材2のねじ部2cの先端部は、図2の
(a)図に示す、内筒体5の貫通孔5b内に深く突入し
た位置から、図2の(b)図に示すように、内筒体5が
右方向に移動するため、前記貫通孔5b内に浅く入った
位置にある。 【0029】ところで、図1及び図2の各図に示すよう
に、第1実施形態の張力緩衝器1Aは、線材に接続して
引っ張られた状態のまま、その長さ調整を行なうことが
できる。その調整の1方法として、外筒体4を左右いず
れかの方向に回転させて行なう方法がある。このように
外筒体4を回転操作すると、第1掛部材2は、その掛部
2aがワイヤなどに掛けられてその回転が規制されてい
るので、第1掛部材2は外筒体4に対して、対向方向に
後退又は進出する。このため、張力緩衝器1A全体が短
縮し、又は伸長する。また、ばね圧の調節方法として、
スパナ等の工具を用いて内筒体5を左右いずれかの方向
に回転操作すると、コイルばね6が圧縮または伸長した
状態で第2掛部材3に対して内筒体5が軸方向に移動す
る。このため、張力緩衝器1全体が短縮し、又は伸長す
る。 【0030】続いて、本発明の第2実施形態による張力
緩衝器(以下、第2実施形態の張力緩衝器と略称する1
Bについて説明する。図5は第2実施形態の張力緩衝器
の正面断面図、図6の(a)図はその要部を拡大して示
しており、図6の(b)図は引っ張られた状態を拡大し
て示しており、図7は図6の(a)図におけるI−I断面
図、図8は同じくII―II断面図である。なお、第2実施
形態の張力緩衝器1Bは、第1実施形態の張力緩衝器1
A と共通する個所が多く、このため、共通する個所に
は同一符号を付し、重複する説明は省略する。 【0031】この第2実施形態の張力緩衝器1Bは、図
6の各図、図7及び図8に示すように、内筒体5の筒軸
5aの外周面に、軸方向に長い2本の凹条よりなる被係
止部5g,5gが形成されており、一方、この内筒体5
を支持している外筒体4の一端側の開口縁に、この被係
止部5g,5gに対応する突起よりなる係止部4g,4
gが形成されており、この係止部4g,4gが被係止部
5g,5gに突入して常時係止状態になっている。この
ため、外筒体4と内筒体5とはともに回転方向に対して
は連動する。このため、外筒体4を左右いずれかの方向
に回転させると、第1掛部材2は外筒体4に対して軸方
向に進出又は後退し、同時に、第2掛部材3は、外筒体
4と連れ回りする内筒体5に対して軸方向に進出又は後
退する。しかも、第1掛部材2のねじ部2cと第2掛部
材3のねじ部3cとが、互いにねじ方向が左右逆回りに
なっているので、外筒体4の回転操作により、第1掛部
材2と第2掛け部材3は、それぞれ相対する方向に係止
部4g,4gが被係止部5g,5gを摺動しながら進出又
は後退する。このため、張力緩衝器1B全体が短縮し、
又は伸長する。 【0032】なお、第2実施形態の張力緩衝器1Bが線
材等で引っ張られていない状態にあるときには、第1掛
部材2を支持部材4に対して、第2掛部材3を内筒体5
に対して、それぞれ進出又は後退させて、張力緩衝器1
B全体を短縮させたり、伸長させることもできる。 【0033】続いて、本発明の第3実施形態による張力
緩衝器(以下、第3実施形態の張力緩衝器と略称する)
1Cについて説明する。図9の(a)図は第3実施形態
の張力緩衝器の正面断面図、同(b)図は同じく引っ張
られた状態を示しており、図10の(a)図は回転方向
の係止構造を係止状態で示した要部拡大断面図、同
(b)図は同じく係止が解除されている状態を示してお
り、同(c)図は(a)図におけるI−I断面図である。
なお、これら各図に示す第3実施形態の張力緩衝器Cお
いても、前述した第1実施形態の張力緩衝器1Aと共通
する個所が多いため、共通する個所には同一符号を付
し、重複した説明は省略することにする。 【0034】図9の(a)図及び(b)図に示す、第3
実施形態の張力緩衝器1Cは、第1実施形態の張力緩衝
器1Aが有する構造から、更に、内筒体5の外端に設け
た鍔部5dの上端縁から対向する外筒体4の端部の外周
面に沿う方向に係止部5hが突出されており、また、こ
の係止部5hに係止する被係止部4hが筒体4の外周面
端部の対応個所に形成されたものである。この係止部5
hは、第3実施形態の張力緩衝器1Cが引っ張られてい
ないときには、内筒体5が、コイルばね6により、外筒
体4内に向けて付勢されていることから、内筒体5の端
部の鍔部5dが外筒体4の端面に接当した状態になって
いる。このため、図10の(a)図に示すように、内筒
体5の回転は、前記係止部5hと被係止部4hが接当す
ることにより、外筒体4に対して係止された状態にあ
る。つまり、連れまわりする。 【0035】このため、第3実施形態の張力緩衝器1C
の両端が線材等に掛けられて強く引っ張られた状態にお
いて、外筒体4を左右いずれかの方向に回転させると、
第2実施形態の張力緩衝器1Bと同様に、第1掛部材2
は外筒体4に対して軸方向に進出又は後退し、同時に、
第2掛部材3は、外筒体4と連れ回りする内筒体5に対
して軸方向に進出又は後退する。しかも、第1掛部材2
のねじ部2cと第2掛部材3のねじ部3cとが、互いに
ねじ方向が左右逆回りになっているので、外筒体4の回
転操作により、第1掛部材2と第2掛け部材3は、それ
ぞれ相対する方向に進出又は後退する。このため、張力
緩衝器1B全体が短縮し、又は伸長する。なお、係止部
5hを図10(c)の仮想線位置に切換えることにより
回転方向を替えるものである。 【0036】また、回転方向の係止は、図10の(b)
図に示すように、ばね受け部材5を軸方向に進出する方
向に引っ張った状態において解除され、この解除された
状態で、前記係止部5hが被係止部4hを飛び越えるよ
うに、内筒体5を左右いずれかの方向に回転させると、
第2掛部材3に対して支持位置が軸方向に移動し、これ
により、コイルばね6のばね圧(付勢力)を調整するこ
とができる。 【0037】ところで、以上の各図において、外筒体4
の内筒体5が挿通している側の端部に鍔部4eが位置し
ているため、組み付け時に、内筒体5を外筒体4内に入
れることが困難な形状になっている。これに対処する1
つの手段として、例えば、図11の(a)図に示すよう
に、外筒体4を形成している筒体4aの端部の内周面を
低段部にて形成し、この低段部に、内筒体5の筒軸5a
が挿通する開孔4fが形成された壁部材41を圧入させ
て、これをピン42止めさせる方法が挙げることができ
る。 【0038】また、他の対処手段として、例えば、図1
1の(b)図に示すように、外筒体4を形成している筒
体4aの端部の外周面に、内筒体5の筒軸5aが挿通す
る開孔4fが形成されたキャップ44を被せて、双方の
ねじ軸43,45を螺合させることにより、この筒体4
aの端部を閉じる方法を挙げることができる。 【0039】また、更なる他の手段として、例えば、図
11の(c)図に示すように、外筒体4を、左側部分4
Aと右側部分4Bとによって構成し、右側部分4Bの端
部に形成した広段部46内に、左側部分4Aの端部を嵌
め込んで、双方のねじ軸47,48を螺合させ、さらに
双方をビスで固定する方法を挙げることができる。 【0040】続いて、図12及び図13より、この張力
緩衝器1の具体的な使用例を挙げて説明する。なお、以
下の使用例は、前述した各実施の形態による張力緩衝器
のいずれにも対応するため、張力緩衝器1として示す。 【0041】図12は、電柱70から家屋50に電線L
を引込む事例を示しており、この事例では、電柱70に
装着した取付金具65と家屋50の壁面に装着した取付
金具51とを、ワイヤ80と張力緩衝器1とクランプ金
具64を用いて連結し、これらに電線Lをゆとりを持た
せて沿わせて配線した状態を示している。 【0042】このようにすると、例えば、強風、地震、
積雪などの自然環境による外力がワイヤ80に加わった
とき、また気温の寒暖差によりワイヤ80が過度に引っ
張られるような状態になったとき、また、不測の人為的
な外力が加わったときでも、この外力をこの張力緩衝器
1で吸収できる。また、経年によりワイヤ80が撓んで
きたときでも、この張力緩衝器1を短縮させる操作を行
なって、ワイヤ80の撓みを戻すことができる。 【0043】図13は、本発明の張力緩衝器1,1を立
ち木90の倒伏を防ぐために用いた事例を示しており、
地面Gに打ち込んだ杭F,Fと立ち木90の幹とを、張
力緩衝器1,1とワイヤ80,80を用いて引っ張って
補強した状態を示している。 【0044】 【発明の効果】以上、説明した本発明に係る張力緩衝器
によれば、保有するばねの付勢力によって、ワイヤ、ロ
ープ、金属等の線材を適度な張力で引っ張った状態で架
設することができる。しかも、この張力緩衝器は、更に
過大な外力が急激に加わったときでも、未だ、付勢力に
対抗する伸長に余裕があるので、例えば、強風、地震、
積雪などの自然環境による外力が加わったとき及び気温
の寒暖差が大きいときに、また、予定しない人為的な外
力が加わったときにも、この外力をこの張力緩衝器で吸
収できる。この結果、線材等が外力によって切断される
という事態から守ることができる。 【0045】また、本発明の張力緩衝器は、全長を伸長
・短縮させる調整を自由に行なうことができるので、線
材等を架設したときに線材等に緩みがあったり、また、
長期間の経過により線材等の結び目に緩みが生じて線材
等が撓んだり、線材自体が伸びて撓んだり、気温の変化
により線材等が撓んだりしたときでも、この張力緩衝器
の長さの調整を行なって、このような撓みを無くして適
度の張力を確保することができる。とくに、この調整を
行なう操作が、中央の支持体を回転させるだけで、その
両端のフックを同時に進退させることができるようにな
ったので、コンパクトで操作が簡単で、しかも、効率の
高い調整ができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】(a)図は、本発明の第1実施形態の張力緩衝
器を引っ張り力が加わった状態で示した正面断面図であ
る。(b)図は、同じく引っ張り力が加わって伸長した
状態で示した正面断面図である。 【図2】(a)図は、図1の(a)図の要部を拡大して
示した図である。(b)図は、図1の(b)図の要部を
拡大して示した図である。 【図3】図2の(a)図におけるI−I断面図である。 【図4】図2の(a)図におけるII−II断面図である。 【図5】本発明の第2実施形態の張力緩衝器を示した正
面断面図である。 【図6】(a)図は、図5の要部を拡大して示した図で
ある。(b)図は、同じく、支持体を回転させた状態を
示した図である。 【図7】図6の(a)図におけるI−I断面図である。 【図8】同じくII−II断面図である。 【図9】(a)図は、本発明の第3実施形態の張力緩衝
器を示した正面断面図である。(b)図は、同じく引っ
張り力が加わって伸長した状態で示した正面断面図であ
る。 【図10】(a)図は、ばね受け部材と支持部材との回
転方向の係止状態を示した要部拡大図である。(b)図
は、同じく係止が解除された状態を示した図である。 【図11】(a)図は、支持部材の端末処理の1例を示
した部分断面図である。(b)図は、同じく他例を示し
た部分断面図である。(d)図は、同じく他例を示した
部分断面図である。 【図12】張力緩衝器の使用例を示した図である。 【図13】張力緩衝器の他の使用例を示した図である。 【符号の説明】 1,1A,1B,1C 張力緩衝器 2 第1掛部材 2a フック 2b 基部 2c ねじ部 3 第2掛部材 3a フック 3b 基部 3c ねじ部 4 支持体 4a 筒部 4b 支持壁 4c 空間 4d ねじ孔 4e 壁部 4f 開口 4g 係止部 4 h 被係止部 5 ばね受け部材 5a 筒軸 5b 貫通孔 5c ばね受け座 5d 鍔部 5e 内ねじ 5g 被係止部 5 h 係止部 6 コイルばね

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】先端に線材等に掛け止める掛部を有する第
    1掛部材の基部のねじ部が、外筒体の一端に設けられて
    いる壁部から突入し、先端に線材等に掛け止める掛部を
    有する第2掛部材の基部のねじ部が、外筒体に嵌合した
    内筒体の入口で螺装されてその先端が内筒体内に長く突
    入して支持され、該内筒体はその後端を残す略全体が前
    記外筒体内に位置して、該外筒体内から外方向に進退自
    在に支持され、前記内筒体の一端に設けたばね受け座と
    外筒体内の対向壁部との間にコイルばねを嵌装して、ば
    ね圧の調節と全長が伸長又は短縮するように構成されて
    なることを特徴とする張力緩衝器。
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