JP2003165045A - 研磨用部材及びその製造方法並びに研磨方法 - Google Patents

研磨用部材及びその製造方法並びに研磨方法

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JP2003165045A
JP2003165045A JP2001365094A JP2001365094A JP2003165045A JP 2003165045 A JP2003165045 A JP 2003165045A JP 2001365094 A JP2001365094 A JP 2001365094A JP 2001365094 A JP2001365094 A JP 2001365094A JP 2003165045 A JP2003165045 A JP 2003165045A
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polishing
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fibers
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Yoshinori Tabata
喜則 田畑
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Seiko Epson Corp
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工数をかけずに研磨に適したパターンで研磨
パッドを弾性基材上に設けることができる研磨用部材、
その製造方法並びに研磨方法を提供する。 【解決手段】 弾性基材2上に接着剤層3を介して繊維
4を植毛した植毛層5を設けた研磨用部材1とする。接
着剤層3をパターン化する。電界流動静電植毛装置10
0を用いて植毛する。研磨用部材1を用いてレンズ凹面
等を研磨する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨用部材及びそ
の製造方法並びに研磨方法に関し、特に、レンズの複雑
な曲面等の研磨に適した研磨用部材及びその製造方法並
びに研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】眼鏡レンズのような曲面の鏡面研磨に
は、図6に示すような研磨工具が用いられる場合があ
る。この研磨工具700は、ゴムシートで構成されるド
ーム状の弾性基材シート2に不織布等の研磨パッド71
が貼り付けられた研磨用部材70を用いる。弾性基材シ
ート2を円形の皿状の研磨用治具15との間に密封空間
18を形成するように研磨用治具15に取り付け、この
密封空間18に圧力気体又は液体を圧入させて弾性基材
シート2の内面に圧力を加えることによって張りを与え
ることができる。研磨用治具15に回転と揺動を与えて
研磨パッド71を図示しないレンズ凹面に押し当てなが
ら砥粒を含む研磨液を研磨パッド71とレンズ凹面の間
に供給して研磨を行う。
【0003】この研磨工具700は、弾性基材シート2
がレンズ凹面表面に均一の圧力で当接するため、レンズ
凹面表面が複雑な曲面であっても弾性基材シート2がレ
ンズ凹面表面の形状に変形、追随して均一に研磨するこ
とができる。
【0004】研磨パッド71は弾性基材シート2の表面
に両面テープの粘着剤層72を介して貼り付けられる。
ドーム状の弾性基材シート2に貼り付けるため、不織布
やフェルトなどを例えば図6(b)に示すような切欠部
711を設けた花びら形に粘着剤層72と共に打ち抜き
加工する。打ち抜き加工したものを弾性基材シート2に
貼り付ける。
【0005】ところが、花びら形状の研磨パッド71
は、切欠部711の幅が比較的大きい。そのため、弾性
基材シート2の変形に伴ってレンズの周縁部が研磨パッ
ド71の切欠部711端縁に当たって研磨パッド71を
部分的に剥ぎ取り、剥がれた研磨パッド71が原因でレ
ンズに傷を発生させるなどの不良が発生することがあ
る。
【0006】このような不良の発生を抑制するため、切
欠部711に細長いパッドを貼り付け、隙間を埋めて研
磨パッドの剥がれがなくなるようにしたり、あるいは6
角形のパッドを多数打ち抜き、この6角形状のパッドを
弾性基材シートの表面に隙間ができるだけ生じないよう
にパッドを貼り付けるような工夫も行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに花びら形の切欠部を細長いパッドで埋める方法や、
6角形状のパッドを弾性基材シートに多数貼り付けるの
は、打ち抜き、貼り付け作業が手作業であるため、非常
に手間がかかる。研磨パッドは、数個のレンズの研磨で
張り替えを行わなければならないため、研磨パッドの貼
り付け作業は工数が多いという問題がある。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、工数をかけずに研磨に適したパターンで研磨パッド
を弾性基材上に設けることができる研磨用部材を提供す
ることを目的とする。
【0009】また、本発明は、かかる研磨用部材の製造
方法を提供することを目的とする。
【0010】更に、本発明は、かかる研磨用部材を用い
た研磨方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、鋭意検討した結果、弾性基材の表面に所
定のパターンで接着剤層を形成し、この接着剤層に繊維
を植毛した植毛層によって研磨パッドを形成することが
有効であることを知見した。
【0012】即ち、弾性基材に接着剤を塗布し、接着剤
が硬化する前に例えば静電植毛法により繊維を接着剤層
に植毛することができる。静電植毛法としては、例え
ば、繊維を弾性基材と対向する電極で帯電させ、帯電し
た繊維を弾性基材と電極間の電界の作用と弾性基材に向
かう空気の流れとで弾性基材に付着させるようにする静
電植毛法が好ましい。このような静電植毛法によって、
接着剤層に繊維が直立するため、植毛層は、弾力性を有
する良好な研磨パッドである。植毛層は、接着剤が塗布
された面のみに植毛されるため、接着剤層を所定のパタ
ーンで塗布することによって、ドーム状の弾性基材上に
も自由なパターンを形成することができる。従って、研
磨に適した複雑なパターンの研磨パッドを容易にかつ手
間をかけずに形成することが可能である。
【0013】また、植毛層の繊維に砥粒を固定すること
によって、研磨時に砥粒を供給しなくてもよいため、作
業性が良好になり、装置の簡略化が可能となる。
【0014】このような研磨用部材は、植毛層を被研磨
物に押し当てながら、特にドーム状の弾性基材に圧力流
体で張りを与えながら植毛層を被研磨物に押し当てて研
磨することにより、レンズの内面等の複雑な曲面に追随
して精密に鏡面研磨することができる。
【0015】従って、請求項1記載の発明は、弾性基材
と、前記弾性基材の表面に所定のパターンで設けられて
いる接着剤層と、前記接着剤層に繊維が植毛されている
植毛層とを有することを特徴とする研磨用部材を提供す
る。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の研
磨用部材において、前記弾性基材が、ドーム状に形成さ
れたシートで構成されていることを特徴とする研磨用部
材を提供する。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1記載の研
磨用部材において、前記繊維に砥粒が固定されているこ
とを特徴とする研磨用部材を提供する。
【0018】請求項4記載の発明は、弾性基材の表面に
接着剤層を形成する接着剤塗布工程と、前記接着剤層に
繊維を植毛する植毛工程とを有することを特徴とする研
磨用部材の製造方法を提供する。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項4記載の研
磨用部材の製造方法において、前記植毛工程が、静電植
毛法によって行われることを特徴とする研磨用部材の製
造方法を提供する。
【0020】請求項6記載の発明は、請求項5記載の研
磨用部材の製造方法において、前記静電植毛法が、前記
繊維を前記弾性基材と対向する電極で帯電させ、帯電し
た繊維を前記弾性基材と前記電極間の電界の作用と前記
弾性基材に向かう前記繊維を搬送する空気の流れとで前
記弾性基材に付着させることを特徴とする研磨用部材の
製造方法を提供する。
【0021】請求項7記載の発明は、弾性基材の表面に
所定のパターンで設けられている接着剤層に繊維が植毛
されている植毛層を有する研磨用部材の前記植毛層を被
研磨物の表面に押し当てて研磨を行うことを特徴とする
研磨方法を提供する。
【0022】請求項8記載の発明は、請求項7記載の研
磨方法において、ドーム状の前記弾性基材に圧力流体で
張りを与えながら研磨することを特徴とする研磨方法を
提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の研磨用部材及びそ
の製造方法並びに研磨方法の実施の形態について説明す
るが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものでは
ない。
【0024】図1に本発明の研磨用部材の一実施形態の
断面構造の一例を示す。図1(a)は研磨用部材の全体
の断面構造、図1(b)は、研磨用部材の一部の拡大断
面図である。
【0025】この研磨用部材1は、弾性基材としてドー
ム状の弾性基材シート2を用いており、この弾性基材シ
ート2の凸面に設けられている接着剤層3(図1(a)
では示していない)と、繊維4が接着剤層3に植毛され
ている植毛層5とを有する。植毛層5と接着剤層3とが
研磨パッド6として機能する。
【0026】弾性基材シート2は、図6及び図1(a)
に示すように、ドーム状で、断面が円弧状に形成されて
いるドーム部21を有する。ドーム部21の周縁には外
方に突出するフランジ部22が一体に設けられている。
フランジ部22は後述する研磨用治具に固定するために
用いられる。弾性基材シート2は、厚さが0.1〜10
mm、好ましくは0.2〜5mmの厚さの弾性シートで
構成されている。弾性基材シート2の素材としては、例
えば、レンズの曲面形状に追随できるようにJIS A
硬さ(タイプAデュロメータ)10〜100、ヤング率
10〜10N・cm−2の物性値を備えるものが好
ましい。具体的には、ニトリルゴム、天然ゴム、スチレ
ンゴム、ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等
のゴム、ポリエチレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂、ス
チレン系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂エラストマーを
例示することができる。
【0027】接着剤層3は繊維を植毛するために弾性基
材シート2の表面に被研磨物の研磨に必要な研磨パッド
としてのパターンで設けられる。接着剤としては、クロ
ロプレン、天然ゴム等を原料とする溶剤揮散型接着剤、
アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン接
着剤等の化学反応型接着剤などを例示することができ
る。
【0028】繊維4は、研磨パッドに必要な耐摩耗性、
柔軟性に優れた繊維であれば良く、例えばポリアミド
系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩
化ビニル系、ポリプロピレン系、ポリテトラフルオロエ
チレン系、アセテート系等の化学繊維が挙げられる。そ
の他、無機繊維として、ガラス繊維、カーボン繊維など
を挙げることができる。繊維の太さは5〜50μm程
度、長さは0.1〜2mm程度である。
【0029】このような研磨用部材1は、例えば弾性基
材シート2の表面に所定のパターンで接着剤層3を形成
する接着剤塗布工程と、接着剤層3に繊維4を植毛する
植毛工程とを有する製造方法により製造することができ
る。
【0030】接着剤層3を弾性基材シート2上に所定の
パターンで形成する方法としては、刷毛塗り、スプレー
法、スタンプによる転写法などを挙げることができる。
図1(b)では、接着剤層3が複数個に分割され、接着
剤層3間に間隙7が形成されている。接着剤層3間の間
隙7は、繊維4が植毛されていない空間で、砥粒や水の
供給、研磨くずを排出する通路として機能する。接着剤
層3間の間隙7は、0.1〜5mm、好ましくは0.2
〜3mm程度がよい。この間隔7は、上記通路として機
能するので、研磨パッド6の端から中央部に亘って互い
に連通していることが望ましい。
【0031】図2に研磨パッド6のパターンの一例を示
す。例えば、図2(a)に示す研磨パッド6aは、図6
に示した花びら型のパッド61の切欠部を埋めるように
細長いパッド62を設けている。なお、図6に示した花
びら形の形状であっても、本発明では切欠部711の幅
を狭くすることができる他、剥離するおそれが少ないた
め、好ましく用いることができる。図2(b)に示す研
磨パッド6bは、6角形、五角形等の多角形のパッド6
3を互いにわずかの間隔を設けて密集配置したパターン
を有する。図2(c)に示す研磨パッド6cは、円形の
パッドを縦横に多数分割して碁盤目状のパッドのパター
ンに形成されている。これらのパターンは、型抜き、貼
り付けの手作業で行っていた場合には、大変な工数を要
していた。なお、研磨パッド6のパターンとして、間隙
7を設けないで、円形状等に形成することも可能であ
る。
【0032】接着剤層3を弾性基材シート2上にこのよ
うなパターンで塗布するには、例えば、予め弾性基材シ
ート2上に接着剤をはじく撥油性の塗料を間隙7のパタ
ーンで塗布しておき、この上に接着剤を塗布する方法を
挙げることができる。また、接着剤層3を形成すべきパ
ターンの凸部が形成されたスタンプを作製し、このスタ
ンプに接着剤を塗布し、弾性基材シート2上にスタンプ
することによって所望の接着剤層パターンを形成するこ
とができる。更に、マスクテープなどを用いて、接着剤
層3を形成しない間隙7をシールし、その後、刷毛塗り
等で接着剤を塗布した後、マスクテープを剥離すること
によって接着剤層パターンを形成することができる。
【0033】繊維4を接着剤層3に植毛するには、反応
硬化型の接着剤では未硬化状態、溶剤揮散型の接着剤で
は溶剤が残っている状態で繊維4を植毛する。
【0034】植毛法としては、一般に静電植毛法として
知られる方法を採用することができる。例えば、静電流
動浸漬法は、流動槽の下部に多孔板、バイブレータが配
置され、多孔板に電極が設けられた構造の装置を用い
る。多孔板の下から空気を上昇させて繊維の流動層を形
成し、流動層の上部に被植毛物を配置し、電極と被植毛
物との間に30〜50kVの直流高圧電圧を印加し、荷
電された繊維の流動層の中を被植毛物を通し、繊維を電
気的に吸着させて植毛する。
【0035】静電吹きつけ法は、被植毛物とガン先の電
極との間に直流高電圧を印加し、繊維を圧縮空気と共に
ガンから噴射させ、ガンの電極で起こるコロナ放電によ
って繊維が帯電して被植毛物に電気的に吸着するもので
ある。
【0036】また、静電植毛法として、被植毛物とこれ
に対向する電極との間に電界を発生させ、繊維を含む空
気をノズルから電極を介して被植毛物に吹き付け、電極
で帯電した繊維を電界と繊維を搬送する空気の流れで被
植毛物に付着させる方法も知られている。
【0037】また、静電植毛法の一つとして、図3に示
すような電界流動静電植毛装置を用いることができる。
この静電植毛装置100は、流動槽101の下部にバイ
ブレータ103が配置され、このバイブレータ103に
空気が供給され、繊維の流動層120を形成できるよう
になっている。空気を上側に噴出する第1吹き上げ装置
105が流動層120の中に配置され、流動層120か
ら少し上側には空気を上側に噴出する第2吹き上げ装置
107が配置されている。流動槽101の中央にはアー
スされた被植毛物又は図示しないアース電極を被覆する
被植毛物130が流動槽101内に搬送されるようにな
っている。被植毛物130の通路の両側にはそれぞれ電
極付繊維吹き付け装置110が配置されている。
【0038】図4に、この電極付繊維吹き付け装置11
0の概要を示す。内部に空気が圧入される上端が封止さ
れたパイプ状吹き付け装置本体112から直流高電圧が
印加される複数のコロナピン(電極)114が被植毛物
130に向かって突出している。吹き付け装置本体11
2の被植毛物側の壁面には複数個の空気噴出口116が
穿設され、空気噴出口116より空気が被植毛物130
に向かって噴出するようになっている。コロナピン11
4に印加される直流電圧は約30kV程度である。
【0039】このような電界流動静電植毛装置100で
繊維を被植毛物130としての弾性基材シート2に植毛
するには、例えば接着剤層3が半乾きの一対の弾性基材
シート2を互いにフランジ部22を突き合わせた状態で
アース電極を被覆するようにセットし、流動槽101内
に搬送する。コロナピン114とアース電極との間に直
流高電圧を印加する。流動層120の繊維を第1吹き上
げ装置105で上部に吹き上げ、更に第2吹き上げ装置
107で吹き上がった繊維を被植毛物130の高さまで
吹き上げる。圧縮空気を吹き付け装置本体112に供給
して空気噴出口116より被植毛物130に向かって噴
出させる。これにより、流動層120から吹き上げられ
て舞い上がった繊維は、被植毛物130とコロナピン1
14との間のコロナ放電によって帯電し、被植毛物13
0とコロナピン114との間の電界の作用と電極114
から被植毛物130に向かうエアーの力で繊維が電界と
空気の流れの方向に揃い、被植毛物130に向かう空気
の流れに乗って被植毛物130表面に到達し、弾性基材
シート2表面の接着剤層3に突き刺さり、直立状態で植
毛される。
【0040】繊維を静電植毛した後、接着剤層を硬化さ
せ、植毛が完了する。静電植毛法は、繊維同士が同極性
に帯電しているため、互いに反発して繊維同士が絡み合
うことなく植毛される。接着剤層がない部分は繊維を保
持できないため、高電圧の印加を停止すると繊維は落下
する。
【0041】この電界流動静電植毛装置100による植
毛は、多数のコロナピンを用い、空気の流れと数多くの
電気力線が電極と被植毛物の間に働くと共に、流動層か
ら繊維を吹き上げて供給する構造であるため、繊維の分
布が均一で、繊維が揃って接着剤層に直立し、弾性力が
良好な植毛層を形成することができる。
【0042】図6に示した従来の研磨用部材700は、
粘着剤層72を介して不織布、フェルトなどのパッド7
1を弾性基材シート2上に貼り付けている構造である。
粘着剤層72は比較的厚く柔軟性に乏しい。しかもパッ
ド71も伸長性が乏しい。そのため、粘着剤層72やパ
ッド71が弾性基材シート2の曲面への追随性を妨げ、
精密研磨の妨げになっていることが認められる。
【0043】これに対して本発明の研磨用部材1は、弾
性基材シート2に接着剤層3を介して植毛層5を設けた
構造である。接着剤層3は薄く、しかもゴム系の接着剤
を選定すれば伸長性に優れる。植毛層5は各々独立した
繊維4が植毛されているため、弾性基材シート2の柔軟
性を妨げることがない。そのため、本発明の研磨用部材
1は、柔軟性に優れ、被研磨物の形状への追随性に優れ
る。
【0044】上述した研磨用部材1は、数個の被研磨物
を研磨した後は、植毛層5を剥離するか、弾性基材シー
ト2を廃棄しなければならない。弾性基材シート2は比
較的高価であるため、植毛層5を剥離して弾性基材シー
ト2を繰り返し使用することが好ましい。そのために
は、接着剤層3が剥離可能であることが好ましい。但
し、再剥離可能な接着剤では繊維4の保持力が弱いた
め、使用することが困難である。従って、紫外線等で接
着力が低下し、剥離が容易な接着剤を選択することが望
ましい。
【0045】通常の研磨方法では、水などに遊離砥粒を
懸濁した研磨液を研磨パッドと被研磨物との間に供給
し、新しい砥粒を供給しながら冷却と研磨くずの除去を
行って研磨を行う。このような研磨液を供給しながら行
う研磨方法は、研磨液の調製、廃水処理など研磨液に伴
う問題がある。
【0046】本発明では、遊離砥粒を繊維4に固定した
研磨用部材1とすることができる。研磨時には水だけを
供給することになり、作業性、排水装置の簡略化などを
図ることができる。
【0047】砥粒としては、例えばダイヤモンド、酸化
アルミニウム、シリコンカーバイド、酸化鉄、酸化クロ
ム、酸化セリウムなどを挙げることができ、その粒径は
0.5〜10μmの範囲である。
【0048】砥粒を繊維に固定するには、長繊維に接着
剤を塗布し、接着剤が硬化しない前に砥粒を繊維に吹き
付けて付着させ、その後長繊維を裁断して短繊維とする
ことにより行うことができる。
【0049】また、接着剤に砥粒を混合した塗料を長繊
維に塗布し、接着剤を硬化させた後、長繊維を裁断する
方法、あるいは接着剤に砥粒を混合した塗料に短繊維を
浸漬した後、接着剤を硬化させる方法もある。更に、植
毛層5を設けた研磨用部材1を作製し、この植毛層5に
刷毛塗り等で接着剤に砥粒を混合した塗料を塗布するこ
とも可能である。
【0050】上述した実施形態では、弾性基材としてド
ーム状の弾性基材シート2を用いた研磨用部材について
説明しているが、弾性基材はシート形状に限られない。
例えば上述した弾性基材シートの材料で凸面を有する半
球状体や球面状の凹面が設けられた厚みのある弾性体に
形成されていてもよい。これらの凸面や凹面に接着剤層
3を設け、この接着剤層3に繊維4を植毛することによ
って、研磨用部材を構成することができる。このような
研磨用部材は弾性基材の弾性を利用して研磨面の形状に
追随する。厚みのある凹面形状の弾性体の場合、凸面の
研磨にも適用することができる。また、シート形状の場
合でも、弾性基材シートは平面状でも良い。平面状の弾
性基材シートは、圧力で膨らませてドーム状に形成する
か、又はそのまま平面か平面に近い曲面の研磨に用いる
ことができる。
【0051】次に、本発明の研磨用部材を用いた研磨方
法について、被研磨物としてレンズの凹面を研磨する場
合を例にとって図5を参照して説明する。
【0052】この研磨方法は、ドーム状の弾性基材シー
ト2と弾性基材シート2の表面に設けられている接着剤
層3と接着剤層3に繊維4が植毛されている植毛層5と
を有する研磨用部材1を研磨用治具15に弾性基材シー
ト2と研磨用治具15との間に密封空間18を形成する
ように固定し、密封空間18に圧力流体を圧入して弾性
基材シート2に張りを与えながら弾性基材シート2上の
植毛層5を被研磨物の表面に押し当てて研磨を行うもの
である。
【0053】図5に示すように、本発明の研磨用部材1
は、研磨用治具15に固定し、研磨工具16として用い
られる。この研磨用治具15は、上面に研磨用部材1の
フランジ部22とほぼ同じ外径を有するフランジ状の固
定部151が設けられ、この固定部151の中央に外部
より圧縮流体が導入される導入管152が開口してい
る。研磨用部材1は、研磨用治具15の固定部151に
リング状の押さえ具17で研磨用部材1のフランジ部2
2を固定部151との間に挟み、押さえ具17を固定部
151にネジ止め等で固定することによって、研磨用治
具15に固定される。これにより、ドーム状の弾性基材
シート2は研磨用治具15との間に密封空間18を形成
して研磨用治具15に固定される。弾性基材シート2を
ドーム状の形態に保つように、この密封空間18に導入
管152より圧力気体又は液体を圧入させて弾性基材シ
ート2内部側から一定の圧力を加えることができる。圧
力を変更することによって、レンズの凹面の形状に応じ
て弾性基材シート2の形状を変更できるようになってい
る。また、研磨用治具15下部には図示しないチャッキ
ング部が設けられ、チャッキング部で図示しない回転及
び/又は揺動装置に固定できるようになっている。
【0054】被研磨物のレンズLは、ブロック治具19
に低融点金属部20を介して凸面側が固定されている。
ブロック治具19は、研磨装置の回転及び/又は揺動す
る図示しないチャックに取付けて固定することができ
る。
【0055】図5に示すように、導入管152より圧縮
空気を弾性基材シート2の内部に圧入して弾性基材シー
ト2に張りを与えながら弾性基材シート2の表面の植毛
層5をレンズL凹面に押し当て、研磨用治具15と被研
磨物Lとに回転と揺動の相対運動を与えてレンズL凹面
に押し当てながら砥粒を含む研磨液Aを弾性基材シート
2とレンズL凹面の間に供給して研磨を行う。
【0056】この研磨工具16は、弾性基材シート2が
レンズL凹面表面に均一の圧力で当接するため、レンズ
L凹面表面が例えば累進面あるいは累進面とトーリック
面とを合成した複雑な曲面等のあらゆる曲面に対して
も、弾性基材シート2がレンズ凹面表面の形状に追随し
て変形することにより均一に研磨することができる。特
に、本発明の研磨用部材1は、柔軟性に優れているた
め、従来の研磨用治具より形状追随性に優れ、精密な研
磨を行うことができる。また、本発明の研磨用部材1
は、植毛層5が研磨液の保持性に優れているため、レン
ズの鏡面研磨に適している。更に、植毛層5は、接着剤
層3で弾性基材2に接合しているため、粘着剤を用いた
固定方法よりも弾性基材2の変形による剥離が無く、研
磨による不良の発生を減少させることができる。
【0057】なお、本発明の研磨用部材は、流体の圧力
でドーム形状を保持される方法のみならず、例えばゲル
状物質等の弾性材料をドーム状の弾性基材の内面側に充
填し、ゲル状物質等の弾性材料の弾性力を利用する方法
でもよい。
【0058】
【発明の効果】本発明の研磨用部材は、弾性基材上に繊
維を植毛することによって研磨パッドを形成するため、
工数をかけずに研磨に適したパターンで研磨パッドを弾
性基材上に設けることができる。
【0059】また、本発明の研磨用部材の製造方法によ
れば、研磨に適したパターンの研磨パッドを有する研磨
用部材を製造することができる。
【0060】更に、本発明の研磨方法によれば、複雑な
形状のレンズ凹面等を精密に研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨用部材の一実施形態を示すもの
で、(a)は全体の断面図、(b)は部分の拡大断面図
である。
【図2】(a)〜(c)は、植毛層のパターンの一例を
示す平面図である。
【図3】電界流動静電植毛装置の概要を示す構成図であ
る。
【図4】電界流動静電植毛装置の電極付繊維吹き付け装
置を示す構成図である。
【図5】本発明の研磨用部材を用いた研磨方法を説明す
る概略構成図である。
【図6】従来の研磨用部材の一例を示すもので、(a)
は断面図、(b)は上面図である。
【符号の説明】
1 研磨用部材 2 弾性基材シート 21 ドーム部 22 フランジ部 3 接着剤層 4 繊維 5 植毛層 6 研磨パッド 7 間隙 15 研磨用治具 16 研磨工具 18 密封空間 19 ブロック治具 20 低融点金属部 100 電界流動静電植毛装置 110 電極付繊維吹き付け装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C049 AA07 AA09 AB01 CA01 CB03 CB05 3C058 AA06 AA09 CA06 CB03 DA02 3C063 AA10 AB05 BA14 BA16 BB02 BB03 BB04 BC03 BG01 BG22 BG25 BH04 BH07 EE02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性基材と、前記弾性基材の表面に所定
    のパターンで設けられている接着剤層と、前記接着剤層
    に繊維が植毛されている植毛層とを有することを特徴と
    する研磨用部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の研磨用部材において、 前記弾性基材が、ドーム状に形成されたシートで構成さ
    れていることを特徴とする研磨用部材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の研磨用部材において、 前記繊維に砥粒が固定されていることを特徴とする研磨
    用部材。
  4. 【請求項4】 弾性基材の表面に接着剤層を形成する接
    着剤塗布工程と、前記接着剤層に繊維を植毛する植毛工
    程とを有することを特徴とする研磨用部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の研磨用部材の製造方法に
    おいて、 前記植毛工程が、静電植毛法によって行われることを特
    徴とする研磨用部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の研磨用部材の製造方法に
    おいて、 前記静電植毛法が、前記繊維を前記弾性基材と対向する
    電極で帯電させ、帯電した繊維を前記弾性基材と前記電
    極間の電界の作用と前記弾性基材に向かう前記繊維を搬
    送する空気の流れとで前記弾性基材に付着させることを
    特徴とする研磨用部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 弾性基材の表面に所定のパターンで設け
    られている接着剤層に繊維が植毛されている植毛層を有
    する研磨用部材の前記植毛層を被研磨物の表面に押し当
    てて研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の研磨方法において、 ドーム状の前記弾性基材に圧力流体で張りを与えながら
    研磨することを特徴とする研磨方法。
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