JP2003160062A - 車体用部品及びその高周波焼入れ方法 - Google Patents
車体用部品及びその高周波焼入れ方法Info
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Abstract
られる車体用部品及びその高周波焼入れ方法を提供する
こと。 【解決手段】 車体用部品であるセンターピラー10
は、上下方向を長手方向とする中間頂部11と、中間頂
部11の車両前後方向における両側において中間頂部1
1から共に車両内側に屈曲し、屈曲方向を幅方向とする
一対の側翼部12とを備え、中間頂部11と側翼部12
には、外輪郭を二点鎖線19で示す焼入れ領域Qと非焼
入れ領域とが設けられ、中間頂部11における車両前後
方向及び側翼部12における側翼部12の幅方向におけ
る焼入れ領域Qと非焼入れ領域との割合により、要請さ
れる強度を得る。
Description
車体用部品及びその高周波焼入れ方法に係り、例えば、
センターピラー、フロントバンパービーム、フロントサ
イドフレーム等の各種車体用部品に適用できるものであ
る。
て、前席と後席との間の支柱となるセンターピラーは、
断面ハット形状に形成されている。具体的には、センタ
ーピラーは、上下方向となった長手方向に延びている中
間頂部と、この中間頂部の面内での長手方向と直交する
方向の両側において、すなわち、車両前後方向における
両側において中間頂部から同じ側である車両内側に屈曲
し、長手方向に延びているとともに屈曲方向を幅方向と
する一対の側翼部と、これらの側翼部の先端から互いに
離れる車両前後方向に延びるフランジ部とからなる。こ
のセンターピラーは、サイドドアのウインドガラスを通
した車室内からの大きな視野を確保するために車両前後
方向の幅寸法が小さい細長状に形成されるが、他車や壁
等との側面衝突に対する対策のために大きな強度が求め
られる。
従来の方策として、センターピラーに補強材であるリー
ンフォースを設けることや、センターピラーを焼入れ処
理することが知られている。
が増加することになり、車体重量の軽量化の要請に反す
ることになるため、後者が好ましい。また、後者におい
て、センターピラーを焼入れ処理するに際しては、セン
ターピラーに作用する荷重を有効に受けられるようにす
るために、大きな強度が必要される箇所ではその大きな
強度となるようにし、小さい強度で足りる箇所ではその
小さい強度となるにし、要請される強度分布を得られる
焼入れ処理を行うことが望ましい。
て、特開平10−17933号が知られている。この従
来技術では、センターピラーの車両前後方向の幅全体を
高周波焼入れ装置で焼入れ処理するとともに、この焼入
れ処理により、上下方向の硬度分布が要請される強度分
布と対応した分布となるようにし、このような硬度分布
を得るために、センターピラーに対して高周波焼入れ装
置を移動させて焼入れ処理する際に、この移動速度を変
化させている。
て、要請される強度分布を得る方策は、この強度分布と
対応した硬度分布をセンターピラーに生じさせることで
あるが、強度分布と対応した硬度分布を得るためには、
センターピラーの材質等の各種条件を考慮した制御技術
などの高度の技術が必要となる。
入れ処理によって容易に得られるセンターピラー等の車
体用部品を提供すること、及びこの車体用部品を生産す
るために用いる高周波焼入れ方法を提供するところにあ
る。
は、長手方向に延びている中間頂部と、この中間頂部の
面内での前記長手方向と直交する方向における両側にお
いて前記中間頂部から同じ側に屈曲し、前記長手方向に
延びているとともに前記屈曲方向を幅方向とする一対の
側翼部と、を備えている車体用部品において、前記中間
頂部と前記一対の側翼部とのうち、少なくとも一対の側
翼部に焼入れされた焼入れ領域と焼入れされていない非
焼入れ領域とが設けられているとともに、前記幅方向に
おけるこれらの焼入れ領域と非焼入れ領域との割合が、
要請される強度を得るための割合となっていることを特
徴とするものである。
翼部とのうち、少なくとも一対の側翼部に焼入れ領域と
非焼入れ領域とが設けられ、前記幅方向における焼入れ
領域と非焼入れ領域との割合が、要請される強度を得る
ための割合となっているため、焼入れ領域と非焼入れ領
域との割合の設定によって強度の大きさを決めることが
でき、このため、要請される強度分布を容易に得られ
る。また、非焼入れ領域により、焼入れ領域に対するこ
の非焼入れ領域の割合に応じた靭性も確保できる。
品の長手方向に変化させず、強度分布をこの長手方向に
一様のものとする場合には、焼入れ領域と非焼入れ領域
との割合を車体用部品の長手方向に変化させなくてもよ
く、また、強度を車体用部品の長手方向に変化させ、一
様の強度分布とさせない場合には、焼入れ領域と非焼入
れ領域との割合を車体用部品の長手方向に変化させれば
よい。後者の場合には、車体用部品の長手方向の一部
に、全部が焼入れ領域又は非焼入れ領域となった部分を
設けてもよい。
よく、このように焼入れ領域を中間頂部にも設ける場合
には、中間頂部におけるこの中間頂部の面内での前記長
手方向と直交する方向の全体に亘って焼入れ領域を設け
てもよく、この方向の両側だけに焼入れ領域を設け、こ
れらの焼入れ領域の間を非焼入れ領域としてもよい。
用部品の靭性を確保できることになる。また、この非焼
入れ領域に孔を形成することもできる。
向に延びている中間頂部と、この中間頂部の面内での前
記長手方向と直交する方向における両側において前記中
間頂部から同じ側に屈曲し、前記長手方向に延びている
とともに前記屈曲方向を幅方向とする一対の側翼部と、
を備えている車体用部品において、前記中間頂部と前記
一対の側翼部とのうち、少なくとも中間頂部に焼入れさ
れた焼入れ領域と焼入れされていない非焼入れ領域とが
設けられているとともに、前記中間頂部の面内での前記
長手方向と直交する方向におけるこれらの焼入れ領域と
非焼入れ領域との割合が、要請される強度を得るための
割合となっていることを特徴とするものである。
翼部とのうち、少なくとも中間頂部に焼入れ領域と非焼
入れ領域とが設けられ、中間頂部の面内での前記長手方
向と直交する方向におけるこれらの焼入れ領域と非焼入
れ領域との割合の設定によって強度の大きさが決まるこ
とになるため、この車体用部品でも要請される強度分布
を焼入れ領域と非焼入れ領域との割合の設定で容易に得
られ、また、非焼入れ領域により、焼入れ領域に対する
この非焼入れ領域の割合に応じた靭性も確保できる。
非焼入れ領域との割合を車体用部品の長手方向に変化さ
せないことにより、強度を車体用部品の長手方向に変化
させなくてもよく、また、焼入れ領域と非焼入れ領域と
の割合を車体用部品の長手方向に変化させることによ
り、強度を車体用部品の長手方向に変化させてもよい。
後者の場合には、車体用部品の長手方向の一部に、全部
が焼入れ領域又は非焼入れ領域となった部分を設けても
よい。
の中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向の両
側だけに設け、これらの焼入れ領域の間を非焼入れ領域
としてもよい。
性を確保できることになる。また、この非焼入れ領域に
孔を形成することもできる。
の第1番目の例は、センターピラーである。センターピ
ラーに設ける焼入れ領域は、サイドドアにおけるウイン
ドガラス配置用窓孔と対応するセンターピラーの部分と
することが好ましい。
イドドアのウインドガラスを通した車室内からの大きな
視野を確保するために車両前後方向の幅寸法が小さくな
っている部分について、他車や壁等との側面衝突に対し
て要請される強度を付与できることになる。
部から下部に亘って一様の強度分布となるものでもよい
が、上部から下部へ連続的に拡大する末広がり状の領域
となっているものでもよい。
突荷重を受ける箇所についての強度をより大きなものに
できるとともに、その箇所より上の強度が次第に小さく
なる部分において、衝突エネルギを有効に吸収できる。
また、焼入れ領域は連続的に拡大するものであって、急
激に変化する部分がなく、したがって強度分布も急激に
変化しないため、他車等からの衝突荷重等を受けたとき
にセンターピラーが折曲するなどを防止できる。
窓孔と対応する部分が焼入れ処理されるセンターピラー
には、焼入れ領域の上部及び下部においてリーンフォー
スを設けてもよい。焼入れ領域の上部に設けるリーンフ
ォースによると、車体を形成する他の部材のルーフ部分
との大きな接合強度を確保でき、焼入れ領域の下部に設
けるリーンフォースによると、サイドドア用ヒンジの取
付箇所の強度を大きくできる。
ンドガラス配置用窓孔と対応する部分が焼入れ処理され
たセンターピラーが使用される車両の種類によっては、
焼入れ領域の上部と下部に設けるリーンフォースのう
ち、一方のリーンフォース、例えば、上部のリーンフォ
ースを省略してもよい。
設けられたセンターピラーの長手方向の範囲と同じ又は
略同じ長さを有するリーンフォースを設けてもよい。こ
れによると、センターピラー全体の重量は増加するが、
同じ全体重量となっているセンターピラーよりも、焼入
れ処理による強度分だけセンターピラーの全体強度を大
きくできる。
例は、フロントバンパービームである。このフロントバ
ンパービームの焼入れ領域は、左右のフロントサイドフ
レームの先端が結合される左右両側の結合部で大きく
し、左右の間の中央部に向かって次第に小さくすること
が好ましい。
張り出した全体形状弓型となっているフロントバンパー
ビームの中央部に軽微な衝突荷重が作用したときには、
強度がそれ程大きくなくて靭性が大きい中央部で有効に
受けることができ、大きな衝突荷重は、強度が大きくな
っていてフロントサイドフレームが結合されている左右
の結合部で有効に受けることができる。
例は、先端部がフロントバンパービームに結合されるフ
ロントサイドフレームである。このフロントサイドビー
ムの焼入れ領域は、先端部と、この先端部から間隔を開
けて後退した箇所の後退部とで大きくし、これらの間の
中間部で小さくすることが好ましい。
らの大きな衝突荷重がフロントサイドフレームに作用し
たとき、強度が小さい中間部が座屈の生ずる座屈ポイン
トとなり、この座屈ポイントによって衝突エネルギをフ
ロントサイドフレームで有効に吸収できる。
は、フロントフロアの左右の端部に接合されるサイドシ
ルでもよく、リアサイドフレームでもよく、リアサイド
フレームリーンフォースでもよい。また、センターピラ
ーにリーンフォースを設ける場合には、このリーンフォ
ースでもよく、本発明が適用される車体用部品は、任意
な車体用部品でよい。
焼入れ装置は、高周波焼入れ装置でもよく、レーザー焼
入れ装置でもよく、ガス火炎焼入れ装置でもよく、任意
な形式の焼入れ装置でよい。
法は、初めに、長手方向に延びている中間頂部と、この
中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向におけ
る両側において前記中間頂部から同じ側に屈曲し、前記
長手方向に延びているとともに前記屈曲方向を幅方向と
する一対の側翼部と、を備えている車体用部品を製造す
るとともに、この製造時において、前記中間頂部に、こ
の中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向にお
ける両側の中間部において孔を形成し、次いで、前記中
間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向における
この中間頂部の両側を高周波焼入れ装置で焼入れするこ
とを特徴とするものである。
に、この中間頂部の面内での長手方向と直交する方向に
おける両側の中間部において孔を設けなければならない
場合には、車体用部品の製造時にこの孔を形成すること
になり、この後、中間頂部の面内での長手方向と直交す
る方向における中間頂部の両側を高周波焼入れ装置で焼
入れするため、焼入れ処理される箇所は孔を形成した箇
所から外れることになる。このため、孔の周囲に焼入れ
エネルギが集中することはなく、これにより、焼入れむ
らが生ずるのをなくすことができる。
品がプレス成形で製造される鋼板製品である場合には、
孔はプレス成形時に打ち抜き加工で形成される。
を有する鋼板から車体用部品を製造する場合に適用でき
る。この引張り強さは441.29925N/mm2級でもよく、49
0.3325N/mm2級でもよく、588.399N/mm2級でもよく、6
86.4655N/mm2級でもよく、784.532N/mm2級でもよい。
強さが441.29925N/mm2級の鋼板を用いると、この引張
り強さはそれ程大きくないため、プレス加工によって複
雑な形状の製品を製造でき、したがって、製造しようと
する車体用部品が複雑な形状のものであっても、この車
体用部品をプレス加工で所定どおり製造できる。
さが441.29925N/mm2級の鋼板を用いると、焼入れ温度
を比較的低い温度である900℃以下、例えば、750
℃〜900℃の範囲内にある温度とすることができ、特
に、800℃〜850℃の範囲内にある温度とすると、
この焼入れ温度では亜鉛メッキ鋼板の亜鉛メッキ層が破
壊されないとともに、焼入れによる所定の強度を確保で
きるため、車体用部品の材料として錆に有効な亜鉛メッ
キ鋼板を用いながら、車体部品として必要な強度も得ら
れることになる。
基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る
車体用部品であるセンターピラーが適用された四輪車両
の左右のサイドボディうち、左側のサイドボディ1を示
す。サイドボディ1は、車両外側のアウターパネルと車
両内側のインナーパネルとの接合で形成されているとと
もに、図1のS2−S2線断面図である図2で示されて
いるように、これらのアウターパネル2とインナーパネ
ル3における前席と後席の間のセンターピラー部2Aと
3Aで形成される内部空間4に、本実施形態に係るセン
ターピラー10が配置されている。
る上下方向に延びている中間頂部11と、この中間頂部
11の面内での上下方向と直交する方向の両側におい
て、すなわち、車両前後方向における両側において中間
頂部11から共に車両内側に屈曲し、上下方向に延びて
いるとともに屈曲方向を幅方向とする一対の側翼部12
と、これらの側翼部12の先端から互いに離れる車両前
後方向に延びるフランジ部13とからなる。したがっ
て、センターピラー10は、ハット形状の断面を有す
る。
図が示され、この図3では、アウターパネル2が除か
れ、インナーパネル3が示されている。センターピラー
10の上下端部には車両前後方向へ膨出した膨大部1
4,15が形成され、したがって、センターピラー10
の全体形状は、略I型となっている。アウターパネル2
とインナーパネル3との間に組み込まれるセンターピラ
ー10は、上下の膨大部14,15が、アウターパネル
2のルーフ部とフロア部及びインナーパネル3のルーフ
部3Cとフロア部3Dとに、また、図2で示したフラン
ジ部13が、アウターパネル2のセンターピラー部2A
のフランジ部2B及びインナーパネル3のセンターピラ
ー部3Aのフランジ3Bとにそれぞれスポット溶接で接
合されることにより、アウターパネル2とインナーパネ
ル3とに結合される。
ーピラー10の上部と、上下方向の略中央部又はこれよ
りも少し下側の部分とには、リーンフォース16,17
が配置され、これらのリーンフォース16,17はセン
ターピラー10にスポット溶接で接合される。
ー10の中間頂部11には孔18が形成され、この孔1
8は、図3で示すように、中間頂部11の長手方向に複
数設けられている。これらの孔18は、アウターパネル
2、インナーパネル3、センターピラー10、リーンフ
ォース16,17及びその他の必要部品で製造されたサ
イドボディ1を電着塗装するために電着塗装液に浸漬し
た際に、アウターパネル2とインナーパネル3のセンタ
ーピラー部2A、3Aで形成される内部空間4に侵入し
た電着塗装液を、アウターパネル2のセンターピラー部
2Aとセンターピラー10の間の狭い隙間5にも確実に
侵入させ、アウターパネル2のセンターピラー部2Aの
内面も所定どおり確実に電着塗装できるようにするため
のものである。
さが1.0mm又は1.2mm又は1.4mm又は1.6mmであって、引張
り強さが441.29925N/mm2級の亜鉛メッキ鋼板をトラン
スファプレス加工することにより製造され、このトラン
スファプレス加工による製造時において、孔18が打ち
抜き加工で形成される。
れるセンターピラー10のうち、焼入れ処理される部分
を拡大して示した要部拡大図である。外輪郭が二点鎖線
19で示された焼入れ領域Qは、一部がリーンフォース
16,17と重複しながらリーンフォース16と17と
の間に設けられる。図5は図4のS5−S5線断面図、
図6は図4のS6−S6線断面図、図7は図4のS7−
S7線断面図であり、これらの図4〜図7で理解できる
ように、焼入れ領域Qは、中間頂部11と一対の側翼部
12とに設けられるとともに、これらの中間頂部11と
一対の側翼部12において、焼入れ領域Qは上部から下
部へ連続的に拡大する末広がりの領域となっている。
領域Qは、車両のサイドドアに設けられるウインドガラ
ス20(図3も参照)の配置用窓孔と対応するセンター
ピラー10の部分に設けられる。
車両前後方向の2個所にあり、これらの焼入れ領域Qの
うちの中間頂部11における領域は、中間頂部11の面
内におけるセンターピラー10の長手方向と直交する方
向の両側、言い換えると車両前後方向の両側に設けら
れ、これらの領域が、焼入れ領域Qのうちのそれぞれの
側翼部12における領域と連続している。
向に分かれて2個設けられた焼入れ領域Qのうち、中間
頂部11の車両前後方向の両側に形成された領域の間に
設けられている。
て、焼入れ領域Q以外は焼入れされていない非焼入れ領
域である。上述したとおり、焼入れ領域Qは上部から下
部へ連続的に拡大する末広がり状となっているため、こ
れとは逆に非焼入れ領域は、上部から下部へ連続的に減
少する先細り状となっている。したがって、中間頂部1
1及び一対の側翼部12には焼入れ領域Qと非焼入れ領
域とがあるとともに、中間頂部11において、車両前後
方向における焼入れ領域Qと非焼入れ領域との割合が、
上部から下部に移行するに伴い焼入れ領域Qの比率が大
きくなるように、センターピラー10の長手方向に変化
し、一対の側翼部12においても、側翼部12の幅方向
における焼入れ領域Qと非焼入れ領域との割合が、上部
から下部に移行するに伴い焼入れ領域Qの比率が大きく
なるように、センターピラー10の長手方向に変化して
いる。
鉛メッキ鋼板からセンターピラー10をトランスファプ
レス加工で製造してこの製造時に孔18も形成した後、
高周波焼入れ装置でセンターピラー10を焼入れ処理す
ることによって形成される。
を示す。高周波焼入れ装置30は、発振装置31と、こ
の発振装置31に接続されているとともに、センターピ
ラー10の上にセット又はセンターピラー10と対面セ
ットされる車両前後方向の一対のコイル部32とを有
し、センターピラー10に車両前後方向に分かれて形成
される焼入れ領域Qごとに設けられているこれらのコイ
ル部32の形状等の設定により、センターピラー10に
上述した焼入れ領域Qを設けることができる。
理により、センターピラー10に図4〜図7で示す焼入
れされた焼入れ領域Qが設けられることになる。
ピラー10の中間頂部11及び一対の側翼部12には焼
入れ領域Qと非焼入れ領域とが設けられ、中間頂部11
では、車両前後方向における焼入れ領域Qと非焼入れ領
域との割合により、側翼部12では、側翼部12の幅方
向における焼入れ領域Qと非焼入れ領域との割合によ
り、センターピラー10の強度が決まるため、要請され
るとおりのセンターピラー10の強度をこれらの割合で
設定でき、センターピラー10の長手方向における強度
分布は、焼入れ領域Qと非焼入れ領域との割合をセンタ
ーピラー10の長手方向に決めることによって容易に設
定できる。
領域Qは、サイドドアに設けられるウインドガラス20
の配置用窓孔と対応した部分であり、この部分は、セン
ターピラー10のうちでも車室内からの大きな視野を確
保するために車両前後方向の幅が小さく形成される部分
であるが、この部分に焼入れ領域を設けるため、他車や
壁等との側面衝突の荷重に対する充分な強度をこの部分
に付与できる。
ンドガラス20より下のサイドドアの部分に組み込まれ
る補強用ビームで補強されるから、この補強用ビームで
焼入れ領域Qより下の部分についての衝突荷重に対する
強度が確保されるとともに、焼入れ領域Qはセンターピ
ラー10の上部から下部へと拡大する末広がり状となっ
ているため、他車等からの大きな側面衝突荷重を受ける
箇所についての強度をより大きなものにでき、また、そ
の箇所より上の部分であって、強度が次第に小さくな
り、非焼入れ領域の拡大によって靭性が次第に大きくな
っている部分において、衝突エネルギを有効に吸収でき
る。
のであって、急激に変化するものになっておらず、した
がって、焼入れ処理によって強度が急激に変化する箇所
は生じていないため、他車等からの衝突荷重等を受けた
ときにセンターピラー10が折曲するなどを防止でき
る。
域Qの上下において、リーンフォース16,17が設け
られているため、焼入れ領域Qの上部のリーンフォース
16により、車体を形成する前記アウターパネル2やイ
ンナーパネル3のルーフ部分との大きな接合強度を確保
でき、焼入れ領域Qの下部のリーンフォース17によ
り、サイドドア用ヒンジの取付箇所の強度を大きくでき
る。また、これらのリーンフォース16,17により、
焼入れ領域Qの上下端部において、センターピラー10
の強度が急激に低下するのをなくすことができる。
れ領域Qのうち、中間頂部11における領域は、中間頂
部11における車両前後方向の両側に分かれて設けら
れ、これら両側の中間部に、すなわち非焼入れ領域とな
っている部分に、前述したように電着塗装時に必要とな
る孔18が形成されており、孔18を形成した後に行う
高周波焼入れ作業によって焼入れ領域Qをセンターピラ
ー10に設けても、焼入れ領域Qは、孔18の箇所から
外れている中間頂部11における車両前後方向の両側に
設けるため、高周波焼入れエネルギが孔18の周囲に集
中してしまって焼入れむらが生ずることはない。
441.29925N/mm2級の鋼板をプレス加工することにより
製造され、この引張り強さはそれ程大きくため、複雑な
形状のセンターピラー10を所望の形状どおりに形成で
き、しかも、この引張り強さを有する鋼板を焼入れ処理
する場合の焼入れ温度は比較的低い温度である900℃
以下、例えば、750℃〜900℃の範囲内にある温度
でよく、特に、焼入れ温度を800℃〜850℃の範囲
内にある温度とすると、この温度では亜鉛メッキ鋼板の
亜鉛メッキ層が破壊されないとともに、焼入れによる所
定の強度を確保できることになり、このため、センター
ピラー10の材料として錆に有効な亜鉛メッキ鋼板を用
いながら、センターピラー10として必要な強度も得ら
れることになる。
ンターピラー10の長手方向の範囲と同じ又は略同じと
なった長さのリーンフォース40をセンターピラー10
にスポット溶接で接合した実施形態を示す。この実施形
態によると、リーンフォース40の分だけセンターピラ
ー10の全体重量は増加するが、同じ全体重量を有する
センターピラーと比べた場合、センターピラー10に焼
入れ領域Qを設けたことによる強度の増加分だけ、セン
ターピラー10の全体強度を大きくできるという利点を
得られる。
ース40は、図3及び図4で示されているリーンフォー
ス16,17とは別の部材としてセンターピラー10に
設けてもよく、リーンフォース16,17を兼ねる上下
寸法の長い部材としてセンターピラー10に設けてもよ
い。また、上下寸法の長いリーンフォース40にリーン
フォース16,17を重ねて接合してもよい。
バンパービームとフロントサイドフレームに適用した場
合の実施形態を示す。図10は、フロントバンパービー
ム50と左右一対のフロントサイドフレーム60とを結
合する前の斜視図で、図11は、その結合後の平面図、
図12は、その結合後の側面図である。そして、図13
は、図11のS13−S13線断面図、図14は、図1
1のS14−S14線断面図、図15は、図11のS1
5−S15線断面図、図16は、図12のS16−S1
6線断面図、図17は、図12のS17−S17線断面
図、図18は図12のS18−S18線断面図である。
手方向の中央部が前方へ張り出した全体形状弓型となっ
ているフロントバンパービーム50の左右両側におい
て、左右一対のフロントサイドフレーム60の先端部
が、溶接により又はボルト等の締結具により、フロント
バンパービーム50に結合される。これらのフロントサ
イドフレーム60は、FF四輪車両のエンジンルーム内
において、左右のサイドボディとダッシュボードパネル
とに結合される。
ように、フロントバンパービーム50は、車両の左右方
向である長手方向に延びる中間頂部となっている前面部
51と、この前面部51の面内での長手方向と直交する
方向における両側において、言い換えると上下の両側に
おいて共に車両後方へ屈曲し、屈曲方向を幅方向とする
一対の側翼部となっている上面部52及び下面部53
と、これらの上面部52と下面部53の後端部同士を結
ぶ後面部54とからなり、上面部52と下面部53と後
面部54は、前面部51と同じく、フロントバンパービ
ーム50の長手方向に延び、その長さはフロントバンパ
ービーム50の全長に亘るものとなっている。
焼入れ領域Qは、上面部52でのその領域Qの外輪郭を
二点鎖線55で示す図11、及びフロントバンパービー
ム50の長手方向におけるその領域Qの変化を示す図1
3〜図15のとおり、左右一対のフロントサイドフレー
ム60の先端部が結合される左右両側の結合部で大きく
し、左右の間の中央部に向かって次第に小さくなってい
る。
左右の間の中央部が前方に張り出した全体形状弓型とな
っているフロントバンパービーム50の中央部に軽微な
衝突荷重が作用した場合には、強度がそれ程大きくな
く、その代わりに非焼入れ領域によって靭性が大きくな
っている中央部において、その軽微な衝突荷重を有効に
受けることができる。一方、大きな衝突荷重は、非焼入
れ領域よりも大きい焼入れ領域Qによって強度が大きく
なっていて、フロントサイドフレーム60が結合されて
いる左右の結合部で有効に受けることができる。
ように、フロントサイドフレーム60は、車両前後方向
である長手方向に延びる中間頂部となっているウェブ部
61と、このウェブ部61の面内での長手方向と直交す
る方向における両側において、言い換えると上下の両側
において共に車両内側に屈曲し、屈曲方向を幅方向とす
る上下の一対の側翼部となっているフランジ部62,6
3と、を備えており、これらのフランジ部62,63
は、ウェブ部61と同じく、フロントサイドフレーム6
0の長手方向に延びている。
レーム60に設けられる焼入れ領域Qは、ウェブ部61
でのその領域Qの外輪郭を二点鎖線64で示す図12、
及びフロントサイドフレーム60の長手方向におけるそ
の領域Qの変化を示す図16〜図18のとおり、フロン
トバンパービーム50に結合される先端部と、この先端
部から間隔を開けて車両後方へ後退した箇所の後退部と
で大きく、これらの間の中間部で小さくなっている。
0からの大きな衝突荷重がフロントサイドフレーム60
に作用したとき、先端部と後退部との間の強度が小さい
中間部を座屈が生ずる座屈ポイントとすることができ、
この座屈ポイントによって大きな衝突エネルギをフロン
トサイドフレーム60で有効に吸収できる。
焼入れ処理によって車体用部品に容易に設けることがで
きるという効果を達成できる。
ンターピラーが適用されている四輪車両の左右のうちの
左側のサイドボディを示す斜視図である。
とインナーパネルのうち、インナーパネルとの関係で示
したセンターピラーの全体正面図である。
ーピラーの要部拡大図である。
れ装置の概要を示す斜視図である。
方向の範囲に亘るリーンフォースをセンターピラーに設
けた実施形態を示す図2と同様の図である。
トサイドフレームとを結合する前を示す斜視図である。
トサイドフレームとを結合した後を示す平面図である。
トサイドフレームとを結合した後を示す側面図である。
Claims (16)
- 【請求項1】 長手方向に延びている中間頂部と、この
中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向におけ
る両側において前記中間頂部から同じ側に屈曲し、前記
長手方向に延びているとともに前記屈曲方向を幅方向と
する一対の側翼部と、を備えている車体用部品におい
て、前記中間頂部と前記一対の側翼部とのうち、少なく
とも一対の側翼部に焼入れされた焼入れ領域と焼入れさ
れていない非焼入れ領域とが設けられているとともに、
前記幅方向におけるこれらの焼入れ領域と非焼入れ領域
との割合が、要請される強度を得るための割合となって
いることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項2】 請求項1に記載の車体用部品において、
前記焼入れ領域と前記非焼入れ領域との割合は、前記長
手方向に変化していることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の車体用部品にお
いて、前記焼入れ領域は、前記中間頂部におけるこの中
間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向の両側に
もあり、この中間頂部におけるこれらの焼入れ領域の間
は非焼入れ領域となっていることを特徴とする車体用部
品。 - 【請求項4】 請求項3に記載の車体用部品において、
前記中間頂部における前記非焼入れ領域には孔が形成さ
れていることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項5】 長手方向に延びている中間頂部と、この
中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向におけ
る両側において前記中間頂部から同じ側に屈曲し、前記
長手方向に延びているとともに前記屈曲方向を幅方向と
する一対の側翼部と、を備えている車体用部品におい
て、前記中間頂部と前記一対の側翼部とのうち、少なく
とも中間頂部に焼入れされた焼入れ領域と焼入れされて
いない非焼入れ領域とが設けられているとともに、前記
中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方向におけ
るこれらの焼入れ領域と非焼入れ領域との割合が、要請
される強度を得るための割合となっていることを特徴と
する車体用部品。 - 【請求項6】 請求項5に記載の車体用部品において、
前記焼入れ領域と前記非焼入れ領域との割合は、前記長
手方向に変化していることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項7】 請求項5又は6に記載の車体用部品にお
いて、前記焼入れ領域は、前記中間頂部の面内での前記
長手方向と直交する方向の両側にあり、この中間頂部に
おけるこれらの焼入れ領域の間は非焼入れ領域となって
いることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項8】 請求項7に記載の車体用部品において、
前記中間頂部における前記非焼入れ領域には孔が形成さ
れていることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の車体用
部品において、前記車体用部品はセンターピラーである
ことを特徴とする車体用部品。 - 【請求項10】 請求項9に記載の車体用部品におい
て、前記焼入れ領域は、サイドドアにおけるウインドガ
ラス配置用窓孔と対応する前記センターピラーの部分に
設けられていることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項11】 請求項9又は10に記載の車体用部品
において、前記焼入れ領域は、上部から下部へ連続的に
拡大する末広がり状の領域となっていることを特徴とす
る車体用部品。 - 【請求項12】 請求項1〜8のいずれかに記載の車体
用部品において、前記車体用部品はフロントバンパービ
ームであることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項13】 請求項12に記載の車体用部品におい
て、前記焼入れ領域は、左右のフロントサイドフレーム
の先端が結合される左右両側の結合部で大きく、左右の
間の中央部へ向かって次第に小さくなっていることを特
徴とする車体用部品。 - 【請求項14】 請求項1〜8のいずれかに記載の車体
用部品において、前記車体用部品は先端部がフロントバ
ンパービームに結合されるフロントサイドフレームであ
ることを特徴とする車体用部品。 - 【請求項15】 請求項14に記載の車体用部品におい
て、前記焼入れ領域は、前記先端部と、この先端部から
間隔を開けて後退した箇所の後退部とで大きく、これら
の間の中間部で小さくなっていることを特徴とする車体
用部品。 - 【請求項16】 初めに、長手方向に延びている中間頂
部と、この中間頂部の面内での前記長手方向と直交する
方向における両側において前記中間頂部から同じ側に屈
曲し、前記長手方向に延びているとともに前記屈曲方向
を幅方向とする一対の側翼部と、を備えている車体用部
品を製造するとともに、この製造時において、前記中間
頂部に、この中間頂部の面内での前記長手方向と直交す
る方向における両側の中間部において孔を形成し、次い
で、前記中間頂部の面内での前記長手方向と直交する方
向におけるこの中間頂部の両側を高周波焼入れ装置で焼
入れすることを特徴とする車体用部品の高周波焼入れ方
法。
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