JP2003157632A - ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置 - Google Patents

ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置

Info

Publication number
JP2003157632A
JP2003157632A JP2002215186A JP2002215186A JP2003157632A JP 2003157632 A JP2003157632 A JP 2003157632A JP 2002215186 A JP2002215186 A JP 2002215186A JP 2002215186 A JP2002215186 A JP 2002215186A JP 2003157632 A JP2003157632 A JP 2003157632A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
head
fine movement
actuator
data
coarse
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002215186A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Takaso
高祖  洋
Hideki Kuwajima
秀樹 桑島
Toshio Inaji
稲治  利夫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002215186A priority Critical patent/JP2003157632A/ja
Publication of JP2003157632A publication Critical patent/JP2003157632A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
  • Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)
  • Moving Of The Head To Find And Align With The Track (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2ステージアクチュエータ方式において、微
動アクチュエータを構成する圧電素子が鉛析出に起因し
てショートするのを防止しながら、ディスク偏心などに
起因して生じるディスク回転同期外乱を補償してヘッド
を目標トラックに高速高精度に位置決めできるようにす
る。 【解決手段】 粗動アクチュエータ51および微動アク
チュエータ52の位置決め制御部6を備え、微動アクチ
ュエータ52は圧電素子を利用して構成され、微動アク
チュエータ52を駆動する微動駆動部64を備えて構成
されているヘッド位置決め装置であって、ディスク回転
同期外乱によるヘッドの目標トラックからの位置ずれを
粗動制御系2000で補償する回転同期外乱補償部81
と、微動制御部62から微動駆動部64に対して与える
微動制御信号のレベルを圧電素子の特性劣化が生じるし
きい値以下に制限する駆動信号制限部66とを備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2ステージアクチ
ュエータ方式のヘッド位置決め装置に関する。情報記録
ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘッド
を、粗動アクチュエータと微動アクチュエータとの協働
によって位置制御するのが2ステージアクチュエータ方
式である。本発明は、2ステージアクチュエータ方式に
おいて微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成さ
れているヘッド位置決め装置に関する。
【0002】本発明が対象とするヘッド位置決め装置
は、主として磁気ディスク装置に搭載されるものを好ま
しい形態とするが、必ずしもそれのみに限定する必要性
はなく、光磁気ディスク装置、光ディスク装置など他の
形式の情報記録再生装置に適用してもよきものである。
【0003】また、本発明は、磁気ディスク装置を代表
とする情報記録再生装置にも関する。
【0004】
【従来の技術】ハードディスクなどの情報記録ディスク
に対して記録/再生用のヘッドを高速高精度に位置決め
するための装置として、粗動アクチュエータと微動アク
チュエータからなる2ステージアクチュエータ方式のヘ
ッド位置決め装置がある(例えば、特開平10−255
418号公報)。微動アクチュエータはマイクロアクチ
ュエータ(MA)とも呼称され、また、2ステージアク
チュエータはピギーバックアクチュエータとも呼称され
ている。そして、微動アクチュエータには圧電素子(P
ZT素子)が利用されることが多い。
【0005】粗動アクチュエータとしては通常、ボイス
コイルモータ(VCM)が用いられる。粗動アクチュエ
ータは、シーク動作やトラック複数分のジャンプなどの
大移動のために使用されるもので、ヘッドを搭載してい
るヘッド支持機構をシャーシ上の軸を中心にして回動さ
せる。微動アクチュエータは、トラック追従や1トラッ
クジャンプなどの高速で微小な位置決めのために使用さ
れるもので、粗動アクチュエータとヘッドスライダとの
間に圧電素子を介在させて構成している。微動アクチュ
エータである圧電素子に対する印加電圧の制御によっ
て、ヘッドの変位量を調整する。印加電圧が大きいほど
変位の応力が大きく、応答性がより速いヘッドの位置決
めが可能である。
【0006】2ステージアクチュエータを用いて高速高
精度位置決めを行うように構成された従来の制御方式を
従来例として以下に示す。
【0007】(従来例1)図41は、特開2001−6
305号公報に記載された磁気ディスク装置の概略図で
ある。
【0008】ヘッド移動機構F1の微動部から供給され
る位置誤差信号に基づいて、微動部を位置決めするため
の制御信号を出力データとして出力する微動コントロー
ラF24と、出力データを微動アクチュエータの可動範
囲に対応した制限内になるように飽和処理するリミッタ
F26と、リミッタF26の出力データと微動コントロ
ーラF24からの出力データとの差に基づいて、出力デ
ータを補正するためのデータを生成する減算器F27と
乗算器F28とを備えている。
【0009】すなわち、2段アクチュエータとリミッタ
を使用することによって、磁気ヘッドの高精度位置決め
を実現している。
【0010】(従来例2)図42は、特開平9−352
25号公報に記載された磁気ディスク装置の概略図であ
る。
【0011】位置信号の回転同期成分の補正データを作
成してディスクのサーボ領域に記録し、サーボ領域に記
録された補正データを読み出して位置誤差信号を補正
し、補正された位置誤差信号に基づいて閉ループ制御に
よりヘッドを特定のトラックに位置づける。転写型ST
W(サーボトラックライト)方式の装置については、あ
らかじめ記録されている位置信号のうねりを補正するこ
とにより、新たなサーボパターンの位置精度を向上させ
ている。この場合、粗動アクチュエータのみを使用して
回転同期外乱を補償することによって、磁気ヘッドの高
精度位置決めを実現している。
【0012】(従来例3)図43は、特開平11−23
2810号公報に記載された磁気ディスク装置の概略図
である。
【0013】偏心量測定器G36はヘッドが通過するセ
クタ毎に測定され、位置誤差信号qのX成分qcos
(N)およびY成分qsin(N)をディスク1回転にわ
たって総計し、それぞれの総計値を算出する。総計値に
基づいて、偏心補正値計算器G34は、u(N)=Ac
os(N)+Bsin(N)の波形を設定する。この波
形はディスク上の記録シリンダに対するヘッド軌跡偏心
円の記録シリンダ半径方向ズレ量を示すことから、この
波形に基づいて記録シリンダ半径方向に駆動されるヘッ
ドは記録シリンダに沿って軌跡を描くことになり、この
ズレ量を用いてヘッドに対してフィードバック制御を実
施し、ヘッドを記録シリンダに追従させている。
【0014】この場合、粗動アクチュエータのみを使用
して回転同期外乱を補償することによって、磁気ヘッド
の高精度位置決めを実現している。
【0015】圧電素子は、圧電効果と逆圧電効果の両機
能を併せ持っている。すなわち、制御量としての制御電
圧によるひずみを利用した微少な変位による位置制御と
同時に、変位により発生する電圧を利用して微少な変位
量を検出電圧として検出することができる。このため、
この両機能を利用したセルフセンシングアクチュエータ
と呼ばれるアクチュエータ制御手法も提案されている
(例えば、日本機械学会論文集64巻624号、293
1〜2937(1998−8)「仮想ブリッジ回路に基
づくセルフセンシング・アクチュエータを用いたはりの
軌跡制御」参照)。
【0016】また、粗動アクチュエータで駆動されるヘ
ッド支持機構上に、さらに微動アクチュエータとして圧
電素子を搭載し、圧電素子の圧電効果と逆圧電効果の両
機能を利用して高速高精度な位置決め制御が可能な二重
アクチュエータ制御手法も提案されている(例えば、特
開昭60−35383号公報)。
【0017】ところで、情報記録の大容量化を図るため
に、複数の情報記録ディスクを同軸状に配列し、各ディ
スクに対して微動アクチュエータおよびヘッドを配置
し、各微動アクチュエータを取り付けた複数のヘッド支
持機構を一括して粗動アクチュエータで移動させる方式
がある。複数のディスクに対して個別にアクセスを行う
複数のヘッドと、前記各ヘッドを微小変位させる複数の
微動アクチュエータと、前記各微動アクチュエータを支
持する複数のヘッド支持機構と、前記複数のヘッド支持
機構を一括駆動する粗動アクチュエータとを備える。粗
動アクチュエータの制御については、これまでは、次の
ような方式が一般的なものとされている。
【0018】複数の微動アクチュエータの相対変位信号
に対して重み付け加算を行い、その重み付け加算信号が
ゼロに収束するように粗動アクチュエータを制御する。
相対変位信号の重み付けは、複数のヘッドについてあら
かじめ決められた重要度に従う。その重要度は、代表的
にはアクセス順位である。例えば、最上位のディスクに
対するヘッドを優先度1位として最も大きい重み付けを
行う。以下、図39および図40を用いて説明する。
【0019】図示しない複数のディスクに対して各ヘッ
ド2の位置決め制御を行う複数の微動アクチュエータ5
2がそれぞれヘッド支持機構4に設けられ、複数のヘッ
ド支持機構4は共通の回転体11に取り付けられ、回転
体11は回動軸8に軸支された上で粗動アクチュエータ
51によって回転駆動される。ヘッド2がディスクから
読み取ったサーボ情報saが微動制御部190に入力さ
れる。微動制御部190は、入力したサーボ情報saに
含まれるヘッド位置信号を検出し、目標位置信号Rとヘ
ッド位置信号との差分をとって位置誤差信号を生成す
る。さらに、所要の処理を経て微動駆動信号u(B)を生
成し、微動アクチュエータ52に出力する。微動アクチ
ュエータ52は、微動駆動信号u(B)によって駆動制御
され、ヘッド2の微小な位置決め制御を行う。このヘッ
ド2の制御は、複数のヘッドにつき互いに独立して行わ
れる。
【0020】微動アクチュエータ52に圧電素子を利用
すると、ヘッド2の変位量の検出が容易である。圧電素
子は圧電効果と逆圧電効果を併せ持つ。電圧印加による
ひずみを利用する微小変位での位置制御と同時に、変位
により発生する電圧を利用して微小な変位量を検出電圧
として検出できる。各微動アクチュエータ52の変位量
を示す相対変位信号x(1)〜x(N)が各重み付け回
路193に入力され、個別的に重み付けされ、処理回路
192に供給される。処理回路192では相対変位信号
x(1)〜x(N)に重み付けを行った信号を加算し、
重み付け加算信号xcとして粗動制御部191に出力す
る。粗動制御部191は、入力した加算信号xcに対し
て所定の処理を施して粗動駆動信号u(S)を生成し、粗
動アクチュエータ51に出力する。粗動アクチュエータ
51は、粗動駆動信号u(S)に基づいて回転体11を回
転駆動し、複数のヘッド支持機構4を一括的に移動させ
る。粗動制御部191による制御は、重み付け加算信号
xcの値が最小になるような制御である。これと並行し
て、上記の各微動アクチュエータ52による各ヘッド2
の個別制御が行われる。微動制御部190による制御は
前記の位置誤差信号の値がゼロに最接近するような制御
である。
【0021】上記において、複数の重み付け回路193
での相対変位信号x(1)〜x(N)に対する重み付け
は、複数のヘッド2についてあらかじめ決められた重要
度に従ったものである。その重要度は、代表的にはアク
セス順位である。例えば、最上位のディスクに対するヘ
ッド2を優先度1位として最も大きい重み付けを行う。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微動ア
クチュエータとして圧電素子を用いる場合には次のよう
な課題がある。圧電素子は、両側電極に対する印加電圧
が大きいと、素子内の金属成分が電気化学反応を起こ
し、電極に金属成分が析出する。圧電素子の一つに、
鉛、ジルコニアおよびチタンの合金からなる薄膜のPZ
T素子がある。このPZT素子は、実際には、PZT結
晶のみからなるものではなく、製造プロセスにおいて酸
化鉛、水などの不純物が混入する。酸化鉛や水が混入す
ると、電圧印加状態で電気化学反応が活性化され、負電
極側に鉛が析出するという現象が起こる。印加電圧が高
いほど、鉛析出現象が発生しやすい。鉛析出による悪影
響は直ちには発現しないが、鉛析出は徐々に進行する。
長時間にわたる鉛析出によって腐食現象が進行すると、
圧電素子の変位特性が劣化する。さらに進行すると、変
位できないようになる。最終的には鉛析出によりショー
トが起こり、圧電素子の破壊に至る。
【0023】すなわち、圧電素子への印加電圧が高いと
高速応答性を満たすが、長期には鉛析出による悪影響が
出るため寿命の上で問題となる。従来にあっては、位置
決めの精度および高速応答性と印加電圧のバランスにつ
いての考察が充分ではなく、上記のような課題が生じて
いた。特に、高速応答性を満たすために制御帯域を高く
するにつれて、この課題の解決が重要性を増す。
【0024】従来例1では、微動アクチュエータがその
可動範囲内で制御駆動されるように、変位量が可動範囲
を超えないレベルの出力データが指令されるようなリミ
ッタを有している。しかしながら、微動アクチュエータ
の可動範囲でのリミッタであって、駆動素子の特性によ
るリミッタではない。
【0025】従来例2では、位置誤差信号に回転同期誤
差補正値を加えて制御信号を演算し、コントローラへの
入力信号として出力することによってアクチュエータを
制御駆動している。
【0026】しかしながら、この制御信号でPZT素子
で構成される微動アクチュエータを制御駆動する場合、
一般にスピンドルの回転同期外乱による位置誤差が大き
いため、その位置誤差を補償するには大きな駆動電圧が
PZT素子に加えられることになる。
【0027】すなわち、2ステージアクチュエータでこ
の手法を用いる場合、補正値を粗動アクチュエータと微
動アクチュエータにいかに加えて各アクチュエータをい
かに制御駆動するかという課題を有している。
【0028】従来例3では、位置誤差信号より偏心量を
測定および導出し、偏心補正値を計算している。そし
て、位置誤差信号に基づいて計算された制御量に加算す
ることによってアクチュエータを制御駆動している。
【0029】しかしながら、2ステージアクチュエータ
でこの手法を用いる場合、従来例2と同様の理由で、偏
心補正値を粗動アクチュエータと微動アクチュエータに
いかに加えて各アクチュエータをいかに制御駆動するか
という課題を有している。
【0030】また、図39に示した複数のヘッド支持機
構を有するヘッド位置決め装置において、重要度に基づ
いて粗動アクチュエータ51を制御すると、ヘッド支持
機構4の頻繁な移動とそれに伴う振動発生の課題が生じ
る。以下、この課題について説明する。
【0031】図40(a)に示すように、ヘッド2およ
び微動アクチュエータ52の数が仮に1つであるとした
場合には、粗動アクチュエータ51と微動アクチュエー
タ52との協働による位置決めのサーボ制御の完遂によ
って、微動アクチュエータ52はヘッド支持機構4の中
心線a上に位置するように制御される。
【0032】ヘッド2および微動アクチュエータ52が
複数ある場合には、図40(b)に示すように(3つの
場合を例示)、相対変位信号x(1)〜x(3)に重み
1〜w3を掛けた重み付け加算信号xc=w1・x
(1)+w2・x(2)+w3・x(3)の値が中心線a
上でゼロとなるように粗動アクチュエータ51はヘッド
支持機構4を位置決め制御する。なお、相対変位信号x
(1)〜x(3)は有向成分(ベクトル)として正負の
値を持つ。そして、各微動アクチュエータ52は、中心
線aから変位した状況の中で目標トラックへ向けて位置
決め制御される。
【0033】図40(a)の場合には、ヘッド2が目標
トラックに達したとき以降は、微動アクチュエータ52
は変位量ゼロの中心線a上をホームポジションとしてト
ラック追従動作を行う。変位量ゼロを中心とするトラッ
ク追従動作は最も安定した状態のトラック追従動作とな
る。
【0034】一方、図40(b)の場合には、それぞれ
の微動アクチュエータ52が中心線aから変位した位置
をホームポジションとしてトラック追従動作を行うが、
変位状態でのトラック追従動作であるため、微動アクチ
ュエータ52の動作は不安定な状態となり、制御不能に
なったり、異常発振を引き起こす可能性がある。さら
に、粗動アクチュエータ51および各微動アクチュエー
タ52の頻繁な移動による振動が発生する頻度も高くな
り、より微動アクチュエータ52が不安定な状態となる
可能性が高い。具体的に説明すると、次のとおりであ
る。
【0035】図40(b)において、ヘッド2(1)に
対応するディスクの目標トラックはヘッド2(1)に位
置対応し、ヘッド2(2)に対応するディスクの目標ト
ラックはヘッド2(2)に位置対応し、ヘッド2(3)
に対応するディスクの目標トラックはヘッド2(3)に
位置対応している。いま、重要度が最も高いヘッドをヘ
ッド2(1)とする。最重要ヘッド2(1)が中心線a
に近くあれば影響は少ないが、中心線aから遠く離れて
いるときは影響が大きい。図示状態では、最重要ヘッド
2(1)の変位量は大きなものとなっている。最重要ヘ
ッド2(1)の重みw1は最も大きい。最重要ヘッド2
(1)のが目標トラックからオフトラックすると、その
重みw1が大きいだけに影響が大きい。すなわち、粗動
アクチュエータ51の動作量が大きい。図40の紙面で
最重要ヘッド2(1)に位置対応する目標トラックのウ
ォブリング(うねり)が大きいと想像されたい。粗動ア
クチュエータ51の動作量が大きいことに引きずられて
各微動アクチュエータ52も変位し、改めてのトラック
追従動作となる。最重要ヘッド2(1)に対するアクセ
スの指令頻度は最も高い。したがって、最重要ヘッド2
(1)が変位量の大きな状態で重み付け加算信号xcの
値がゼロに収束している状態からのトラック追従動作で
は、粗動アクチュエータ51および各微動アクチュエー
タ52の移動頻度が高いものとなる。この高頻度の動作
が各微動アクチュエータ52への振動として影響し、各
微動アクチュエータ52の機構的な安定性に影響を与え
る。微動アクチュエータ52どうしの相互干渉による機
構的共振も生じる。すなわち、目標トラックへの位置決
め制御を行うこと自体が目標トラックからの位置ずれを
誘発するような事態となる。その結果、ヘッド2の位置
決め精度の劣化を引き起こす。
【0036】振動発生を抑制する対策として、目標トラ
ックに対する追従動作をより高速に行えば良いとする考
え方がある。しかし、応答性を高くするには、微動アク
チュエータを構成する圧電素子に対してより高い電圧を
印加する必要があり、印加電圧が過剰であると、圧電素
子において鉛の析出、特性劣化、さらには圧電素子破壊
の問題が生じる。
【0037】したがって、本発明の主たる目的は、2ス
テージアクチュエータ方式において、微動アクチュエー
タを構成する圧電素子を高帯域で駆動する場合に、電気
化学反応による圧電素子の特性劣化を防止し長寿命化を
実現するヘッド位置決め装置を提供することである。こ
のことは、ヘッドの高速高精度の位置決め、情報記録装
置の高記録密度化につながる。
【0038】また、本発明は、複数のディスクに対する
複数のヘッド、微動アクチュエータおよびヘッド支持機
構の組を一括して粗動アクチュエータで移動させる方式
において、振動発生を抑制した安定性の高いヘッド位置
決めを実現するヘッド位置決め装置を提供することを目
的とする。さらに、同様の機能を発揮する情報記録再生
装置を提供することを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明は、微動アクチュ
エータにその規定の動作範囲以上の外乱がかかり、その
外乱のためにヘッドが目標トラックから位置ずれを生じ
ることに対する補償を行うものである。上記した課題の
解決を図ろうとするヘッド位置決め装置についての本発
明は、この発明は、前提的構成として、情報記録ディス
クに対してアクセスを行う記録/再生用のヘッドの位置
制御方式を、粗動アクチュエータと微動アクチュエータ
との2つのアクチュエータで位置制御を行う2ステージ
アクチュエータ方式としている。そして、前記の微動ア
クチュエータが圧電素子を利用するものとなっている。
このようなヘッド位置決め装置において、微動アクチュ
エータの規定の動作範囲以上の外乱によるヘッドの目標
トラックからの位置ずれに対する補償と、微動アクチュ
エータにおける圧電素子の過電圧劣化に対する対応とし
て、次のように構成してある。すなわち、一方におい
て、微動アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱に
よるヘッド位置ずれに対する補償を、微動アクチュエー
タではなく、粗動アクチュエータの駆動において行うよ
うに構成してあるとともに、他方において、圧電素子利
用の微動アクチュエータの駆動信号のレベルを、電気化
学反応による圧電素子の特性劣化が生じるしきい値以下
となしてある。
【0040】この発明のヘッド位置決め装置は、より具
体的レベルでは次のように構成する。情報記録ディスク
に対してアクセスを行う記録/再生用のヘッドを2ステ
ージアクチュエータ方式で位置決め制御する粗動アクチ
ュエータおよび微動アクチュエータと、前記粗動アクチ
ュエータと微動アクチュエータを制御する位置決め制御
部とを備える。前記微動アクチュエータは圧電素子で構
成する。また、前記位置決め制御部は、粗動制御系と微
動制御系を備える。前記粗動制御系は、前記粗動アクチ
ュエータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制
御する粗動制御部で構成する。前記微動制御系は、圧電
素子利用の微動アクチュエータを駆動する微動駆動部
と、この微動駆動部を制御する微動制御部で構成する。
このような構成のヘッド位置決め装置において、さら
に、位置誤差分離部と駆動信号制限部とを備える。前記
位置誤差分離部は、前記微動アクチュエータの規定の動
作範囲以上の外乱による前記ヘッドの目標トラックから
の位置ずれに対する補償を前記粗動アクチュエータの駆
動において行うように分離するものである。駆動信号制
限部は、前記微動制御部と前記微動駆動部との間に介在
させ、微動制御部から微動駆動部に対して与える微動制
御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特性
劣化が生じるしきい値以下に制限する。
【0041】これによる作用は次のとおりである。微動
アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱を補償して
ヘッドを目標トラックに追従させるに当たり、この補償
を圧電素子利用の微動アクチュエータにおいて行うとな
れば、圧電素子に過大な電圧が印加され、電気化学反応
により圧電素子の腐食、特性劣化を招くおそれがある。
この規定の動作範囲以上の外乱に対する補償について
は、粗動アクチュエータの側で行うように構成すること
により、圧電素子側の負担を軽減する。その上で、本発
明の特徴は、電気化学反応による圧電素子の特性劣化が
生じるしきい値に対して、微動アクチュエータの構成要
素である圧電素子の駆動信号のレベルを前記しきい値以
下に制限することにある。なお、このしきい値の設定に
ついては、後述するようにいくつかの態様がある。この
駆動信号の制限により、駆動信号レベルが高いことに起
因して圧電素子が電気化学反応による腐食で特性が劣化
する、といった課題を解決できる。その結果、目標トラ
ックに対するヘッドの高速高精度な位置決めの機能を長
期間にわたって持続させることができる(長寿命化)。
それゆえに、ひいては、高記録密度の情報記録装置の実
現に有効に作用する。
【0042】微動アクチュエータにおける圧電素子とし
て、鉛とジルコニアとチタンで構成される薄膜のPZT
素子を採用する場合に、本発明は有用である。PZT素
子は特性のすぐれた圧電素子の代表例であるが、実際に
は、PZT結晶のみからなるものではなく、外的要因で
酸化鉛、水などの不純物が含まれる。このような圧電素
子に電圧が印加されると、印加電圧のレベルによっては
電気化学反応が活性化され、電極に鉛が析出する。この
現象が進むと圧電素子がショートして、変位動作を行え
なくなってしまう。このようなPZT素子を微動アクチ
ュエータに用いるヘッド位置決め装置において、本発明
は最大の効果を発揮し、鉛の析出を抑制する。
【0043】ここで、圧電素子に対する駆動信号におけ
る前記のしきい値について説明する。電気化学反応によ
り圧電素子が特性劣化を起こす原因は電極に鉛が析出す
ることにある。
【0044】鉛の析出の原因のひとつに、圧電素子内に
酸化鉛PbOが不純物として混入していたり、製造プロ
セス時に不測に外部から水分が圧電素子内に侵入した
り、高温高湿の雰囲気下での使用中に雰囲気中の水分が
圧電素子内に侵入することがある。水分の侵入を完全に
防止することは実際上不可能である。
【0045】酸化鉛PbOと水分が反応して、鉛イオン
Pb2+を発生する。特に酸性領域で発生しやすい。鉛イ
オンPb2+が発生している状態で圧電素子に電圧が印加
されると、電気化学反応により負極側で鉛が析出する。
そこで、鉛の析出を防止するには、原理的には、鉛イオ
ンPb2+が鉛Pbに変化するときの電位差をしきい値と
すればよい。このときの電位差のことを“鉛の理論分解
電圧”という。しかし、実際に電気化学反応の進行に
は、理論分解電圧に酸素過電圧と呼ばれる電圧を加える
必要がある。すなわち、鉛の理論分解電圧に酸素過電圧
を加えた電圧をしきい値とすればよい。すなわち、この
しきい値以下で圧電素子を駆動するように設定すること
により、鉛の析出を防止することができる。ただし、こ
こでは水の電気分解については考慮していない。鉛の理
論分解電圧は水の理論分解電圧よりも低く、したがっ
て、鉛の析出をより起こしやすい。
【0046】一方、水分が混入していると圧電素子の電
気抵抗値が減少し、電圧印加によって圧電素子内に電流
が流れやすくなる。電流が急激に増えると水の電気分解
が起こり、水素イオンH+が発生する。圧電素子を構成
する成分の鉛Pbに水素イオンH+が反応して鉛イオン
Pb2+となり、この鉛イオンPb2+がさらに電子と結合
して鉛Pbとなり、電極に析出する。この場合に鉛の析
出を防止するには、原理的には、水が電気分解を引き起
こす電位差をしきい値に設定して、圧電素子への印加電
圧をしきい値以下にすればよい。水が電気分解を引き起
こす電位差のことを“水の理論分解電圧”という。しか
し、ここでも、実際に電気分解が進み酸素が発生して水
素イオンH+が発生するためには、理論分解電圧に酸素
過電圧を加える必要がある。すなわち、水の理論分解電
圧に酸素過電圧を加えた電圧をしきい値とすればよい。
このしきい値以下で圧電素子を駆動するように設定する
ことにより、鉛の析出を防止することができる。この場
合は酸化鉛PbOが原因の鉛析出も抑制される。
【0047】実際にしきい値を定めるには、いくつかの
アプローチがある。圧電素子の電気抵抗を一定以上に大
きく保ち、圧電素子内に不要な電流を流さないようにす
ることが肝要である。それには、圧電素子利用の微動ア
クチュエータに対する駆動電圧V[V]と圧電素子内を
流れる電流I[A]との関係が、目安として、V/I>
106[Ω]となるようなしきい値とすればよい。これ
は必要とする圧電素子の電気抵抗値を1MΩ以上とする
場合である。この場合に、許容電流の目安を50μAと
するとき、圧電素子に対する駆動電圧のしきい値は50
Vを想定できる。
【0048】また、圧電素子の膜厚との関係では次のよ
うになる。膜厚が小さいほどしきい値を低くする必要が
ある。膜厚の基準に例えば2.5μmを選択するとき、
しきい値50Vに対しては、電界の強さEは、E=2×
107[V/m]とするのがよい。この電界の強さを基
準にして、膜厚t[m]としきい値V[V]との関係
を、V/t<2×107[V/m]とすればよい。さら
に、この見込みのしきい値50Vに対して、安全係数
0.2を乗じて、しきい値を10Vとするとなお良い。
この安全係数は、実際上の経験およびテストから導き出
されたものである。このしきい値10Vに対しては、許
容電流は5分の1の10μAとなり、また膜厚との関係
では、V/t<4×106[V/m]となり、鉛の析出
に対する安全性が向上する。このときの圧電素子の電気
抵抗値は上記の1MΩ以上であり、電界の強さは4×1
6[V/m]未満とすればよい。この程度に大きけれ
ば、鉛の析出を防止した状態での長期にわたる使用が可
能となる。
【0049】さらに寿命延長を求めるときは、オーダー
を1つ上げて、V/I>107[Ω]となるようなしき
い値とすればよい。これは圧電素子に必要な電気抵抗値
を10MΩより大きいとする場合である。この場合に、
許容電流を5μAとするとき、圧電素子に対する駆動電
圧のしきい値は50Vを見込める。圧電素子の膜厚との
関係は、上記同様に、V/t<2×107[V/m]と
すればよい。さらに、この見込みのしきい値50Vに対
して、安全係数0.2を乗じて、しきい値を10Vとす
るとなお良い。しきい値10Vに対しては、許容電流は
5分の1の1μAとなり、鉛の析出に対する安全性が充
分に高いものとなる。このときの圧電素子の電気抵抗値
は上記の10MΩ以上であり、この程度に充分大きけれ
ば、鉛の析出を確実に防止した状態での長期にわたる使
用が可能となる。
【0050】上記の圧電素子の電気抵抗値の目安である
1MΩについては、高温高湿の環境下で圧電素子に水分
が侵入することを考慮して、温度85℃、湿度90%の
環境下で、500時間にわたって連続駆動したときに、
圧電素子の電気抵抗値が1MΩ以上を保つことを条件に
するとよい。
【0051】前記微動制御系は、前記微動アクチュエー
タによる補償量がゼロの場合には、前記圧電素子に加え
る電圧がゼロまたは前記しきい値の1/2で一定値のオ
フセット電圧を出力し、前記補償量がゼロ以外の場合に
は、その補償量の値に応じた正負の電圧を前記オフセッ
ト電圧に加えて制御駆動する。
【0052】前記微動アクチュエータの駆動信号におけ
るオフセット電圧は、水の分解電圧以下(ゼロを含む)
である。
【0053】上記において、微動アクチュエータにかか
る規定の動作範囲以上の外乱について、この外乱がディ
スク偏心などに起因するディスクの回転同期外乱の場合
には、そのディスク偏心による回転同期外乱のデータを
あらかじめまたは即時に検出した上で補償を行うように
する。ディスクの回転同期外乱のためにヘッドが目標ト
ラックから位置ずれを起こすことに対する補償と、微動
アクチュエータにおける圧電素子の過電圧劣化に対する
対応として、一方において、ディスクの回転同期外乱に
よるヘッド位置ずれに対する補償を、微動アクチュエー
タではなく、粗動アクチュエータの駆動において行うよ
うに構成するとともに、他方において、圧電素子利用の
微動アクチュエータの駆動信号のレベルを、圧電素子の
特性劣化が生じるしきい値以下に設定する。より具体的
レベルでは、前記の位置誤差分離部に代えて、外乱補償
部を設ける。その外乱補償部は、ディスクの回転同期外
乱によるヘッドの目標トラックからの位置ずれを前記粗
動制御系で補償するものである。
【0054】この構成による作用は次のとおりである。
上記同様に、ディスクの回転同期外乱を補償してヘッド
を目標トラックに追従させるに当たり、この補償を微動
アクチュエータではなく、粗動アクチュエータの側で行
う。これにより、圧電素子側の負担を軽減する。さら
に、上記同様に、圧電素子の駆動信号のレベルを電気化
学反応で特性劣化が生じるしきい値以下に制限する。そ
の結果、駆動信号レベルが高いことに起因する電気化学
反応により圧電素子が腐食して特性が劣化するといった
課題を解決できる。したがって、目標トラックに対する
ヘッドの高速高精度な位置決めの機能を長期間にわたっ
て持続させることができる。
【0055】上記において、好ましい態様として次のこ
とがある。外乱補償部は、その補償量を粗動制御系に与
えることを要点としているが、粗動制御系と微動制御系
とは、それぞれの制御量が一方向的にあるいは双方向的
に影響を及ぼすことがある。つまり、ディスクの回転同
期外乱を補償するための粗動制御系に対して与える補償
量によっては、圧電素子に対する駆動信号レベルが変動
して前記のしきい値相当レベルを上回る可能性があり得
る。このような場合においても、回転同期外乱を補償し
ながら、駆動信号レベルの過剰による腐食および特性劣
化から圧電素子を保護するという機能を確保するのが、
この技術である。
【0056】すなわち、外乱補償部による補償量を粗動
制御系に与える場合において、粗動制御系のみに限定し
て与えることに代えて、微動制御系にも与えるようにす
るための同期外乱補償調節部を設ける。それは、トラッ
ク追従時に微動アクチュエータの駆動信号のレベルとし
て前記のしきい値以下を補償するためである。同期外乱
補償調節部は、外乱補償部による補償量を受け取り、そ
の補償量に対して前記両制御系用それぞれに重み付けを
行った上で、それぞれの重み付け補償量を粗動制御系と
微動制御系とに与える。これにより、両制御系の制御量
が影響し合う条件下でも、回転同期外乱を補償しなが
ら、駆動信号レベルの過剰による腐食および特性劣化か
ら圧電素子を保護するという機能を良好に確保すること
ができる。
【0057】さらに、好ましい態様として次のことがあ
る。それは、粗動制御系が、低周波帯域に重みのある重
み関数を前記の制御量に乗じた量を制御量として粗動ア
クチュエータに与えるようにするための低周波フィルタ
を有していることであり、微動制御系が、高周波帯域に
重みのある重み関数を前記の制御量に乗じた量を制御量
として微動アクチュエータに与えるようにするための高
周波フィルタを有していることである。
【0058】これは、回転同期外乱だけでなく機械的共
振などの外乱負荷に起因する目標トラックからのヘッド
の位置ずれを補償する場合において、外乱負荷に対する
補償を周波数に応じて対応するものである。比較的振幅
が大きい回転同期外乱と比較的振幅が小さい機械的共振
の外乱とが重畳された状態でヘッド位置決め装置に作用
する。回転同期外乱に対する補償を粗動制御系で行うの
が本発明の主旨であるが、回転同期外乱に重畳して印加
される機械的共振などの外乱に対する補償は微動制御系
で行う。この分担を行うのに、周波数に基づいて行う。
振幅が比較的大きい回転同期外乱は低周波帯域に偏在
し、振幅が比較的小さい機械的共振などの外乱は高周波
帯域に偏在する傾向がある。そこで、低周波フィルタと
高周波フィルタとを設けてある。低周波フィルタによっ
て高周波成分をカットし、回転同期外乱に対応する状態
に絞った制御量を粗動制御系に与える。また、高周波フ
ィルタによって低周波成分をカットし、機械的共振など
の外乱に対応する状態に絞った制御量を微動制御系に与
える。
【0059】これによって、回転同期外乱および機械的
共振などの外乱に起因してヘッドが目標トラックから位
置ずれを生じることに対して目標トラックへの高精度位
置決めを補償しながら、駆動信号レベルの過剰による腐
食および特性劣化から圧電素子を保護するという機能を
効果的に発揮させることができる。
【0060】(#1) ヘッド位置決め制御方法につい
ての本発明は、前提として、次の各ステップを有してい
る。すなわち、ヘッドにより再生されるディスク上のサ
ーボ情報からのヘッド位置データと前記ヘッドを目標位
置に位置決めするための目標位置データとの位置誤差を
位置誤差データとするステップと、前記位置誤差データ
に基づいて前記ヘッドの微動アクチュエータの変位量を
制御する微動制御データを生成するステップと、前記微
動制御データに基づく信号を微動駆動信号とし前記微動
アクチュエータに出力するステップと、前記ヘッドの粗
動アクチュエータまたは前記微動アクチュエータの変位
量に対応した相対変位データを入力するステップと、前
記相対変位データに基づいて前記粗動アクチュエータの
変位量を制御する粗動制御データを生成するステップ
と、前記粗動制御データに基づいた信号を粗動駆動信号
として前記粗動駆動アクチュエータに出力するステップ
とである。このような複数ステップを含むヘッド位置決
め制御方法において、本発明は、さらに、前記微動制御
データに基づく信号を前記微動アクチュエータに出力す
るに当たって、前記微動アクチュエータの特性が変化す
るしきい値で前記微動制御データを制限した実微動制御
データを生成し、この前記実微動制御データを前記微動
制御データに置き換えて出力するステップと、ディスク
回転同期外乱による位置誤差に基づいた同期外乱位置誤
差データを前記相対変位データに加算した結果を補正相
対変位データとして生成するステップと、前記補正相対
変位データに基づいて前記粗動アクチュエータの変位量
を制御する粗動制御データを生成するステップとを含ん
でいることを特徴とする。(これについては図1を参照
することができる)。
【0061】この(#1)の発明のヘッド位置決め制御
方法によれば、ディスク回転同期外乱に対する補償を良
好に行いながら、駆動信号レベルが高いことに起因して
発生する圧電素子の腐食による特性劣化の課題を解決す
ることができ、目標トラックに対するヘッドの高速高精
度な位置決めの機能を長期間にわたって持続させること
ができる。それゆえに、ひいては、高記録密度のディス
ク装置の実現に有効に作用する。
【0062】(#2) 上記の(#1)のヘッド位置決
め制御方法の発明においては、ディスク回転同期外乱に
よる位置誤差に基づいた同期外乱位置誤差データを相対
変位データに加算した結果を補正相対変位データとする
が、それに代えて、ディスク回転同期外乱による位置誤
差に基づいた同期外乱位置誤差データを生成し、さら
に、前記同期外乱位置誤差データに基づいて粗動アクチ
ュエータの変位量を制御する同期外乱粗動制御データを
生成し、前記同期外乱粗動制御データを粗動制御データ
に加算した結果を補正粗動制御データとしてもよい。
(これについては図15を参照することができる)。
【0063】以上を要するに、(#2)の発明のヘッド
位置決め制御方法は、(#1)の方法において、さら
に、ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた同
期外乱位置誤差データを生成するステップと、前記補正
相対変位データの生成に代えて、前記同期外乱位置誤差
データに基づいて前記粗動アクチュエータの変位量を制
御する同期外乱粗動制御データを生成するステップと、
前記同期外乱粗動制御データを前記粗動制御データに加
算した結果を補正粗動制御データとして生成するステッ
プと、前記補正粗動制御データに基づいた粗動駆動信号
として前記粗動アクチュエータに出力するステップとを
含んでいるというものである。この場合、補正をかける
段階が(#1)の発明とは異なっているだけで、(#
1)と同様の作用効果が得られる。
【0064】(#3) 上記の(#1)のヘッド位置決
め制御方法の発明において、好ましい態様としては、さ
らに、ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた
同期外乱位置誤差データを微動制御系と粗動制御系とに
重みを付けて配分して同期外乱微動位置誤差データと同
期外乱粗動位置誤差データとを生成するステップと、前
記同期外乱微動位置誤差データを前記位置誤差データに
加算した結果を補正位置誤差データとするステップと、
前記同期外乱粗動位置誤差データを前記相対変位データ
に加算した結果を補正相対変位データとするステップと
を含んでいることである。これは、前述の同期外乱補償
調節手段を有するヘッド位置決め装置に対応し、同様の
作用効果を奏する。(これについては図16を参照する
ことができる)。
【0065】(#4) 上記の(#1)の発明に(#
3)の発明を適用したのと同様のことを上記の(#2)
の発明に適用するのでもよい。すなわち、(#2)のヘ
ッド位置決め制御方法において、さらに、ディスク回転
同期外乱による位置誤差に基づいた同期外乱制御データ
を微動制御系と粗動制御系とに重みを付けて配分して同
期外乱微動制御データと同期外乱粗動制御データとを生
成するステップと、前記同期外乱微動制御データを前記
微動制御データに加算した結果を補正微動制御データと
して出力するステップと、前記同期外乱粗動制御データ
を前記粗動制御データに加算した結果を補正粗動制御デ
ータとして出力するステップとを含んでいるというもの
である。この場合、補正をかける段階が(#2)の発明
とは異なっているだけで、(#2)と同様の作用効果が
得られる。(これについては図17を参照することがで
きる)。
【0066】(#5) 上記(#1)、(#3)の発明
において、好ましい態様としては、さらに、前記微動制
御データに高周波領域のみを通過させる高周波フィルタ
処理をかけて前記微動アクチュエータに出力するステッ
プと、前記粗動制御データに低周波領域のみを通過させ
る低周波フィルタ処理をかけて前記粗動アクチュエータ
に出力するステップとを含んでいることである。すでに
説明したとおり、低周波帯域に偏在する振幅が比較的大
きいディスク回転同期外乱と高周波帯域に偏在する振幅
が比較的小さい機械的共振などの外乱との重畳に対し
て、ヘッドが目標トラックから位置ずれを生じることに
対して目標トラックへの高精度位置決めを補償しなが
ら、駆動信号レベルの過剰による腐食および特性劣化か
ら圧電素子を保護するという機能を効果的に発揮させる
ことができる。(これについては図18を参照すること
ができる)。
【0067】(#6)さらに、好ましい態様としては、
前記微動制御データの微動定常偏差補償データと前記粗
動制御データの粗動定常偏差補償データとを入力信号と
して、微動制御系と粗動制御系とに重みを付けて配分し
て微動定常偏差補償データと粗動定常偏差補償データと
を生成するステップと、前記微動制御データに前記微動
定常偏差補償データを加算して補正微動制御データを生
成して出力するステップと、前記粗動制御データに前記
粗動定常偏差補償データを加算して補正粗動制御データ
を生成して出力するステップとを含んでいることであ
る。(これについては図19を参照することができ
る)。
【0068】ヘッド位置決め制御プログラムについての
本発明は、上記各発明のヘッド位置決め制御方法を実行
させるようにプログラミングされたものである。
【0069】ディスク装置についての本発明は、上記各
発明のヘッド位置決め制御プログラムを具備している。
【0070】上記において様々な手段が登場したが、そ
れらの各手段は、これをハードウェアで構成してもよい
し、あるいはソフトウェアで構成してもよい。さらに
は、一部をハードウェアで残りをソフトウェアで構成す
るハイブリッド形態に構成してもよい。
【0071】以下に説明する発明は、微動アクチュエー
タを複数有するヘッド位置決め装置についてである。各
微動アクチュエータの変位量を考慮し、その中で変位量
分布の中央値の微動アクチュエータを選択し、この選択
された1つの微動アクチュエータと粗動アクチュエータ
とが協働して制御を行う。
【0072】本発明における微動アクチュエータ複数の
ヘッド位置決め装置は、同軸状の複数の情報記録ディス
クに対してそれぞれアクセスを行う記録/再生用の複数
のヘッドと、前記各ヘッドを微小変位させる複数の微動
アクチュエータと、前記各微動アクチュエータを支持す
る複数のヘッド支持機構と、前記複数のヘッド支持機構
を一括駆動する粗動アクチュエータとを備えている。ま
た、前記各ヘッドが前記ディスクから読み取ったヘッド
位置信号に基づいて対応する各ヘッドが目標トラックに
追従するように各微動アクチュエータを制御する。さら
に、前記各微動アクチュエータの相対変位値のうちの中
央値を選択し、選択した中央値に基づいて粗動アクチュ
エータを制御するように構成してある。
【0073】上記の発明のヘッド位置決め装置は、より
具体的レベルでは次のように構成する。前記各微動アク
チュエータの変位、および前記粗動アクチュエータによ
る前記各ヘッド支持機構の移動を制御する制御部を具備
する。その制御部は、次のような内容をもつ微動位置決
め制御部と中央値選択部と粗動制御系とを含む。微動位
置決め制御部は複数ある。前記の各微動位置決め制御部
は、それぞれ各ヘッドに個別に対応したものであり、前
記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情報
に含まれるヘッド位置信号と前記各ヘッドの目標位置信
号との差分をヘッド位置誤差信号とし、前記ヘッド位置
誤差信号に基づいて前記各微動アクチュエータを制御
し、前記各ヘッド毎の位置決め制御を行う。前記の中央
値選択部は、複数の微動アクチュエータに対応したもの
であり、前記各微動アクチュエータからの複数の相対変
位信号のうちの中央に位置する前記相対変位信号を中央
値信号として選択する。前記の粗動制御系は、前記選択
した中央値信号に基づいて前記粗動アクチュエータによ
る前記ヘッド支持機構の一括した移動を制御する。
【0074】上記した各機能をソフトウェアで実現して
もよい。すなわち、前記制御部として、前記各微動アク
チュエータおよび前記粗動アクチュエータを制御可能な
マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサを動作
させるためのプログラムを格納するメモリと、前記マイ
クロプロセッサを動作させるための前記プログラムとを
備えたものに構成する。そして、前記プログラムは、前
記マイクロプロセッサが前記プログラムを読み取って実
行することにより前記ヘッド位置決め制御機能を実現さ
せるヘッド位置決め制御プログラムを含むものに構成す
る。メモリから読み取ったヘッド位置決め制御プログラ
ムをマイクロプロセッサで実行することで、正確、かつ
柔軟な処理が可能となる。
【0075】前記ヘッド位置決め制御プログラムとし
て、次のような機能を有する微動位置決め制御手段と中
央値選択手段と粗動制御系手段を含んだものを用いるこ
とが好ましい。前記微動位置決め制御手段は、前記各ヘ
ッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情報に含ま
れるヘッド位置データと前記各ヘッドの目標位置データ
との差分をヘッド位置誤差データとする。そして、前記
ヘッド位置誤差データに基づいて前記各微動アクチュエ
ータを制御し、前記各ヘッド毎の位置決め制御を行う。
前記中央値選択手段は、前記各微動アクチュエータから
の複数の相対変位データのうちの中央に位置する前記相
対変位データを中央値データとして選択する。前記粗動
制御系手段は、前記選択した中央値データに基づいて前
記粗動アクチュエータによる前記ヘッド支持機構の一括
した移動を制御する。
【0076】上記の構成による作用は次のとおりであ
る。アクセス順位などの重要度に関係なく、複数の相対
変位値の中から選択した中央値に基づいて粗動アクチュ
エータの制御を行うので、常に、中央に位置する微動ア
クチュエータが優先され、この中央の微動アクチュエー
タが常にホームポジションに位置するように制御する。
したがって、複数のディスクでトラックがウォブリング
して複数のヘッドの変位量および変位方向がリアルタイ
ムかつランダムに変動しても、粗動アクチュエータによ
る複数のヘッド支持機構の頻繁な移動は発生しにくく、
動きのより少ない安定した制御となる。
【0077】そして、トラック追従動作において、中央
に位置するヘッドが目標トラックに達すると、それ以降
は微動アクチュエータの変位量がゼロとなる。中央値信
号がゼロに収束し、粗動アクチュエータによるヘッド支
持機構の移動はなくなり、この状態で中央以外のヘッド
のトラック追従動作が行われる。これは、最も安定した
状態でのトラック追従動作である。すなわち、振動の発
生を抑制した状態での、高精度で安定したヘッドの位置
決め制御が行える。
【0078】オントラック動作をより高速に行って振動
発生を抑制するには、微動アクチュエータを構成する圧
電素子に対してより高い電圧を印加すればよいとする考
え方がある。しかしながら、印加電圧が過剰であると、
圧電素子において鉛の析出、特性劣化、さらには圧電素
子破壊の問題が生じる。本発明では、圧電素子への印加
電圧に制限を加えて圧電素子の特性劣化を回避する一方
で、選択した中央値による粗動アクチュエータの制御で
振動発生を抑制するという巧妙な手法をとっている。
【0079】上記において好ましい態様は、前記中央値
選択部が次のように構成されていることである。中央値
選択部は、前記各微動アクチュエータからの複数の相対
変位信号を選択するのであるが、ヘッドが目標トラック
にオントラックし記録/再生の終了した微動アクチュエ
ータの相対変位信号は除外するように構成する。すなわ
ち、前記複数の相対変位信号のうち前記ヘッドに対する
アクセス指令信号がアクティブとなっている相対変位信
号を前記中央値選択の候補として選択する。そして、前
記候補として選択した複数の相対変位信号のうちの中央
に位置する前記相対変位信号を前記中央値信号として選
択する。
【0080】ソフトウェア方式の場合、上記において好
ましい態様は、前記中央値選択手段が次のように構成さ
れていることである。すなわち、中央演算処理装置は、
前記各微動アクチュエータからの複数の相対変位データ
のうち前記ヘッドに対するアクセス指令データがアクテ
ィブとなっている相対変位データを前記中央値データの
候補として選択し、前記候補として選択した複数の相対
変位データのうちの中央に位置する前記相対変位データ
を前記中央値データとして選択する。
【0081】上記の構成による作用は次のとおりであ
る。中央に位置するヘッドの記録/再生が終了した時点
で、アクセス指令信号はインアクティブとなる。これに
より、このヘッドに対応した微動アクチュエータの相対
変位信号は中央値選択の候補から除外され、選択候補が
1つ減る。記録/再生が終了したヘッドは、それがオン
トラックしたトラック位置に留まり、粗動アクチュエー
タの制御から外される。粗動アクチュエータを制御する
候補の相対変位信号を記録/再生が未処理のヘッドから
のものに限定し絞り込む。これにより、粗動アクチュエ
ータの変位の頻度または変位量を低く抑え、この結果と
して、現に記録/再生を行っているヘッドの変位量も低
く抑える。記録/再生の終了したヘッドは微小変位して
ももはや記録/再生には関係しない。以上の相乗によ
り、振動の発生をさらに抑制し、高精度で安定したヘッ
ドの位置決め制御が行え、記録再生を良好に行うことが
できる。また、変位の頻度が少ない分、微動アクチュエ
ータの寿命が長くなる。
【0082】上記において、未処理のヘッド数は1つず
つ減少する。中央値信号を選択するための相対変位信号
の数は、奇数と偶数が交互となる。相対変位信号の数が
奇数のときは、ちょうど中央のものが存在するが、相対
変位信号の数が偶数のときは、ちょうど中央のものが存
在しない。そこで、2つある中央のもののうち、相対変
位信号が小さい方を中央値信号として選択する。大きい
方を選択するより、振動が抑制され、ヘッド位置決めの
安定性がより良くなる。
【0083】また、上記の発明において好ましい態様
は、前記微動位置決め制御部が次のように構成されてい
ることである。前記ヘッドに対するアクセス指令信号が
アクティブのときに、前記各ヘッド毎に再生される前記
ディスク上のサーボ情報に含まれるトラック位置信号と
バースト復調信号との組み合わせで前記ヘッドの位置決
め制御を行う。これに対して、前記アクセス指令信号が
インアクティブのときには、前記トラック位置信号を除
外し、前記バースト復調信号で前記ヘッドの位置決め制
御を行う。
【0084】ソフトウェア方式の場合、上記において好
ましい態様は、前記微動位置決め制御手段が次のように
構成されていることである。すなわち、微動位置決め制
御手段は、前記ヘッドに対するアクセス指令データがア
クティブのときに、前記各ヘッド毎に再生される前記デ
ィスク上のサーボ情報に含まれるトラック位置信号とバ
ースト復調信号との組み合わせで前記ヘッドの位置決め
制御を行う。一方、前記アクセス指令データがインアク
ティブのときに、前記トラック位置信号を除外し前記バ
ースト復調信号で前記ヘッドの位置決め制御を行う。
【0085】上記の構成による作用は次のとおりであ
る。インアクティブのアクセス指令信号が発生しないう
ちは、トラック位置信号とバースト復調信号との組み合
わせでヘッドの位置決め制御を行う。中央のヘッドの記
録/再生が終了すると、そのヘッドに対応するアクセス
指令信号がインアクティブとなり、トラック位置信号を
無効化し、バースト復調信号に基づいたヘッドの位置決
め制御に切り換わる。次の記録/再生処理のために、別
のトラックを目標トラックとして粗動アクチュエータの
駆動によりヘッド支持機構が移動するとする。この場
合、記録/再生の終了したヘッドは元のトラックに追従
しようとする結果、その微動アクチュエータの変位量が
大きくなってしまう。これに対して、トラック位置信号
を無視し、バースト復調信号に限ることにより、別トラ
ックに変わっても、トラック間領域内の中央位置に追従
するように制御され、記録/再生の終了したヘッドの微
動アクチュエータの移動が抑制される。その結果、記録
/再生の終了した微動アクチュエータは、粗動アクチュ
エータによる変位位置にかかわらず、トラック間領域内
の中央位置の近傍に位置する状態を継続しながら、次の
処理まで待機する。この状態は、微動アクチュエータに
とって機構的に最も安定した状態である。また、記録/
再生の終了した微動アクチュエータがそれぞれオントラ
ックしていたトラックに向けて変位することを抑制して
いる。このため、微動アクチュエータの変位により振動
が発生する頻度を低く抑え、高精度な位置決め状態のも
とで、安定に記録/再生を行うことができる。そして、
記録/再生処理が終了した微動アクチュエータに対して
は印加する駆動電圧のレベルが抑制されるため、微動ア
クチュエータを構成する圧電素子の寿命を有利にする。
【0086】上記において、中央値選択の候補を絞り込
むことと、記録/再生終了後はバースト復調信号に限る
こととの組み合わせも好ましい。すなわち、前記中央値
選択部および微動位置決め制御部がそれぞれ次のように
構成されていることである。中央値選択部は、前記各微
動アクチュエータからの複数の相対変位信号のうち前記
ヘッドに対するアクセス指令信号がアクティブとなって
いる相対変位信号を前記中央値選択の候補として選択す
る。そして、前記候補として選択した複数の相対変位信
号のうちの中央に位置する前記相対変位信号を前記中央
値信号として選択する。一方、微動位置決め制御部は、
前記ヘッドに対するアクセス指令信号がアクティブのと
きに、前記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサ
ーボ情報に含まれるトラック位置信号とバースト復調信
号との組み合わせで前記ヘッドの位置決め制御を行う。
そして、前記アクセス指令信号がインアクティブのとき
に、前記トラック位置信号を除外し前記バースト復調信
号で前記ヘッドの位置決め制御を行う。
【0087】ソフトウェア方式の場合、上記において好
ましい態様は、前記中央値選択手段が次のように構成さ
れていることである。すなわち、中央値選択手段は、前
記各微動アクチュエータからの複数の相対変位データの
うち前記ヘッドに対するアクセス指令データがアクティ
ブとなっている相対変位データを前記中央値選択の候補
として選択し、前記候補として選択した複数の相対変位
データのうちの中央に位置する前記相対変位データを前
記中央値データとして選択する。かつ、前記微動位置決
め制御手段は、前記ヘッドに対するアクセス指令データ
がアクティブのときに、前記各ヘッド毎に再生される前
記ディスク上のサーボ情報に含まれるトラック位置信号
とバースト復調信号との組み合わせで前記ヘッドの位置
決め制御を行い、前記アクセス指令データがインアクテ
ィブのときに、前記トラック位置信号を除外し前記バー
スト復調信号で前記ヘッドの位置決め制御を行う。
【0088】なお、上記の相対変位信号については、微
動アクチュエータをモデル化した推定器により相対変位
信号を生成するのでもよい。振動の少ないヘッド位置決
めを実現するに当たり、各微動アクチュエータの相対変
位信号は実際に検出しなくてもよい。
【0089】本発明は、また、ヘッド位置決め制御プロ
グラムにかかわるものでもある。すなわち、本発明のヘ
ッド位置決め制御プログラムは、同軸状に配置された複
数の情報記録ディスクに情報の記録再生を行う情報記録
再生装置において、ディスクのそれぞれの記録再生面に
対して配置され、ディスクと情報の伝達を行うヘッドを
搭載し、制御量に応じて変位することによりヘッドの微
細な位置決めを行う複数の微動アクチュエータと、各微
動アクチュエータを搭載したヘッド支持機構を一括して
移動させ、各ヘッドの粗い位置決めを行う粗動アクチュ
エータと、各微動アクチュエータの変位および粗動アク
チュエータによる各ヘッドの移動を制御する制御部とを
具備したヘッド位置決め装置を制御するプログラムであ
る。
【0090】さらに、本発明のヘッド位置決め制御プロ
グラムは、制御部を、複数の微動制御手段、中央値選択
手段、粗動制御手段として機能させる。複数の微動制御
手段としての機能は、各ヘッド毎に再生されたディスク
上のサーボ情報からのヘッド位置データと、各ヘッドを
それぞれの目標位置に位置決めするための目標位置デー
タとの差分をヘッド位置誤差データとして、ヘッド位置
誤差データに基づいて微動アクチュエータの変位をそれ
ぞれ制御することで、各ヘッド毎の位置決め制御を行
う。中央値選択手段としての機能は、各微動アクチュエ
ータの変位の量である変位量に対応したデータを相対変
位データとしてそれぞれ検出し、検出した各相対変位デ
ータの大きさを比較し、大きさの順に順位付けをしたと
き、その順位が中央に位置する相対変位データを中央値
データとして選択する。粗動制御手段としての機能は、
中央値データとして選択した相対変位データに基づい
て、粗動アクチュエータによるヘッド支持機構の一括し
た移動を制御することで、各ヘッドの一括した位置決め
制御を行う、とした構成である。
【0091】この構成により、中央値選択手段としての
機能は、それぞれの微動アクチュエータの変位量に対応
した複数の相対変位データの中から、中央値データとす
る相対変位データを選択する。さらに、中央値データと
して選択された相対変位データに基づいて、粗動アクチ
ュエータを制御する。これにより、各微動アクチュエー
タのなかで中央に位置するものを目標にヘッド支持機構
が移動することとなるため、全体的に見て、粗動アクチ
ュエータにより駆動されるヘッド支持機構の移動量は低
く抑えられる。さらに、中央に位置する微動アクチュエ
ータと粗動アクチュエータとの協働により微動アクチュ
エータの変位量がゼロになるよう制御される。その結
果、粗動アクチュエータおよび各微動アクチュエータの
移動による振動が発生する頻度は少なくなり、振動によ
る位置決め精度の劣化を引き起こすことがない。さら
に、選択された微動アクチュエータは、変位量がゼロを
中心とした最も安定した状態でトラックに追従する。こ
のため、その微動アクチュエータに搭載されたヘッド
は、安定した記録再生を行うことができ、よって、安定
なヘッド位置決め制御が可能となる。
【0092】また、本発明のヘッド位置決め制御プログ
ラムは、相対変位データが、各微動アクチュエータをモ
デル化した推定手段により生成されたデータである、と
した構成である。
【0093】この構成により、各微動アクチュエータの
変位量に対応した相対変位データの基となる信号を実際
に検出しなくても、本発明のヘッド位置決め装置が実現
できる。
【0094】また本発明のヘッド位置決め制御プログラ
ムは、中央値選択手段としての機能が、情報の記録また
は再生を行う目標トラックにヘッドをアクセス中か否か
を各ヘッド毎に示す、それぞれのアクセス指令データを
入力し、アクセス指令データに応じて、目標トラックに
アクセス中であるヘッドを搭載した微動アクチュエータ
の相対変位データを選択し、選択した各相対変位データ
の中から、中央値データとする相対変位データを選択す
る、とした構成である。
【0095】この構成により、中央値選択手段としての
機能は、目標トラックへのアクセスが必要なヘッドに対
して、順次位置決めサーボ制御を行う。このとき、正方
向と負方向とに最大に変位している両微動アクチュエー
タによる変位幅の中での中央を目標に、粗動アクチュエ
ータの駆動によるヘッド支持機構が移動しているため、
全体的に見た粗動アクチュエータによる移動量は、低く
抑えられる。さらに、記録や再生の処理が終了したヘッ
ドは、終了したトラック位置に留まるため、微動アクチ
ュエータが変位する頻度も低く抑えられる。このよう
に、振動が発生する頻度を低く抑えられるため、位置決
め精度の劣化を引き起こすことなく、安定にヘッドの位
置決めを行うことができる。
【0096】また、本発明のヘッド位置決め制御プログ
ラムは、微動制御手段としての機能が、アクセス指令デ
ータを入力し、アクセス指令データに応じて、アクセス
中でないヘッドを搭載した微動アクチュエータに対して
は、サーボ情報からのトラック範囲内の位置情報を示す
バースト復調信号からのみ検出された位置誤差データに
基づいて、それぞれのアクセス中でないヘッドを搭載し
た微動アクチュエータの変位を制御する。さらに、中央
値選択手段としての機能は、情報の記録または再生を行
う目標トラックに、ヘッドをアクセス中か否かを各ヘッ
ド毎に示す、それぞれのアクセス指令データを入力し、
各アクセス指令データに応じて、目標トラックにアクセ
ス中であるヘッドを搭載した微動アクチュエータの相対
変位データを選択し、選択した各相対変位データの中か
ら、中央値データとする相対変位データを選択する、と
した構成である。
【0097】この構成により、中央値選択手段としての
機能は、目標トラックへのアクセスが必要なヘッドに対
して、順次位置決めサーボ制御を行う。このとき、正方
向と負方向とに最大に変位している両微動アクチュエー
タによる変位幅の中での中央を目標に、粗動アクチュエ
ータの駆動によるヘッド支持機構が移動しているため、
全体的に見た粗動アクチュエータによる移動量は低く抑
えられる。さらに、微動制御手段としての機能により、
記録や再生の処理が終了したヘッドおよび微動アクチュ
エータは、ヘッド支持機構の中心線上にほぼ位置した状
態を継続しながら、次の処理まで待機するように制御さ
れる。すなわち、ヘッド支持機構の中心線上にほぼ位置
した状態は、微動アクチュエータにとって機構的に最も
安定した状態であり、またそれぞれの目標位置に向け
て、微動アクチュエータが変位することを抑えている。
このため、微動アクチュエータの変位により振動が発生
する頻度を低く抑えられ、位置決め精度の劣化を引き起
こすことなく、安定にヘッドの位置決めを行うことがで
きる。
【0098】また、本発明のヘッド位置決め制御プログ
ラムは、中央値データを選択するための各相対変位デー
タの数が偶数の場合は、2つある中央値データのうち、
相対変位データの大きさが小さい方の相対変位データを
中央値データとして選択する、とした構成である。
【0099】この構成により、中央値信号を選択するた
めの各相対変位信号の数が偶数の場合も、本発明のヘッ
ド位置決め装置が実現できる。
【0100】また、本発明のヘッド位置決め制御プログ
ラムを記録したディスクは、本発明のヘッド位置決め制
御プログラムを記録した領域を有する機械読み取り可能
な構成である。
【0101】この構成により、ヘッド位置決め制御プロ
グラムを記録したディスクより、本発明のヘッド位置決
め制御プログラムを読み出し、実行することで、安定な
ヘッド位置決め制御が可能なヘッド位置決め装置を提供
できることとなる。
【0102】また、本発明の情報記録再生装置は、本発
明のヘッド位置決め装置を具備した構成である。
【0103】この構成により、本発明のヘッド位置決め
装置を動作させることで、安定なヘッド位置決め制御が
可能な情報記録再生装置を提供できることとなる。
【0104】また、本発明の情報記録再生装置は、本発
明のヘッド位置決め制御プログラムを具備した構成であ
る。
【0105】この構成により、本発明のヘッド位置決め
制御プログラムを実行することで、安定なヘッド位置決
め制御が可能な情報記録再生装置を提供できることとな
る。
【0106】また、本発明の情報記録再生装置は、本発
明のヘッド位置決め制御プログラムを記録した領域を有
する機械読み取り可能なディスクを具備した構成であ
る。
【0107】この構成により、ディスクより本発明のヘ
ッド位置決め制御プログラムを読み出し、実行すること
で、安定なヘッド位置決め制御が可能な情報記録再生装
置を提供できることとなる。
【0108】本発明は、また、情報記録再生装置にかか
わるものでもある。すなわち、回転自在な情報記録ディ
スクと、前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再
生用のヘッドと、前記ヘッドを微小変位させる微動アク
チュエータと、前記微動アクチュエータを支持するヘッ
ド支持機構と、前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アク
チュエータと、前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと
微動アクチュエータとの2ステージアクチュエータ方式
で位置制御するヘッド位置決め装置とを備えた情報記録
再生装置であって、前記微動アクチュエータが圧電素子
を利用して構成され、さらに、前記ヘッド位置決め装置
が上述した各態様のヘッド位置決め装置のいずれかの態
様に構成されている情報記録再生装置である。
【0109】本発明の情報記録再生装置によれば、すで
に説明したように、電気化学反応による圧電素子の特性
劣化が生じるしきい値に対して、圧電素子の駆動信号の
レベルを前記しきい値以下に制限するので、駆動信号レ
ベルが高いことに起因して圧電素子が電気化学反応によ
る腐食で特性が劣化する、といった課題を解決できる。
その結果、目標トラックに対するヘッドの高速高精度な
位置決めの機能を長期間にわたって持続させることがで
きる(長寿命化)。それゆえに、情報記録再生装置にお
ける充分な高記録密度化を実現することができる。
【0110】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかわるヘッド位
置決め装置の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明
する。
【0111】磁気ディスク装置においては、ディスクの
偏心に起因して、ディスクの回転に同期した外乱(回転
同期外乱)が生じる。以下の実施の形態1〜6では、こ
の回転同期外乱を補償するとともに、電気化学反応によ
る圧電素子の特性劣化を防止する。
【0112】(実施の形態1)本発明の実施の形態1を
図1〜図14に基づいて説明する。図1において、1は
磁気ディスク、2は記録ヘッドと再生ヘッドとからなる
複合型の磁気ヘッド、3はヘッドスライダ、4はヘッド
支持機構、5は位置決め機構、51はボイスコイルモー
タ(VCM)で構成された粗動アクチュエータ、52は
圧電素子(PZT素子)を含むマイクロアクチュエータ
(MA)で構成された微動アクチュエータ、6は位置決
め制御部、7はスピンドルモータ、8は回転軸、10は
筐体、60はヘッド位置検出部、61は状態推定部、6
2は微動制御部、63は粗動制御部、64は微動駆動
部、65は粗動駆動部、66は駆動信号制限部、100
0は微動制御部62と微動駆動部64と駆動信号制限部
66とで構成された微動制御系、2000は粗動制御部
63と粗動駆動部65とで構成された粗動制御系、81
はディスク偏心などに起因する回転同期外乱に対してヘ
ッド2を目標トラックに追従させるための外乱補償部で
ある。
【0113】複合型のヘッド2は、巨大磁気抵抗効果を
応用したGMRヘッドである再生ヘッドと誘導型のイン
ダクティブ磁気ヘッドである記録ヘッドとから構成さ
れ、スライダ3に搭載されている。状態推定部61は、
FIG.2に示すように、VCMからなる粗動アクチュ
エータ51とMAからなる微動アクチュエータ52の数
式モデルとして構成されている。すなわち、状態推定部
61は、VCM状態推定部611とMA状態推定部61
2とを備えている。ヘッド支持機構4は、スライダ3を
支持することを介してヘッド2をディスク1に対向して
支持している。粗動アクチュエータ51が回転軸8を中
心としてヘッド支持機構4を回動駆動することにより、
ヘッド2を微動アクチュエータ52とともに移動させ
る。また、微動アクチュエータ52は、ヘッド支持機構
4とスライダ3との間に配置され、スライダ3を駆動し
て、ヘッド2をディスク1の目標トラックに対して位置
決めする。粗動アクチュエータ51は、目標トラックへ
向けてのヘッド2の大まかな位置決め制御を行い、微動
アクチュエータ52は精密な位置決め制御を行う。な
お、後述する実施の形態8では、ディスク1が同軸状に
複数あり、これに対応してヘッド2、スライダ3、微動
アクチュエータ52およびヘッド支持機構4が複数あ
り、粗動アクチュエータ51で複数のヘッド支持機構4
を一括的に移動するものもある。
【0114】以下、磁気ディスク装置におけるサーボ系
の動作シーケンスを説明する。ヘッド2は、粗動アクチ
ュエータ51と微動アクチュエータ52とからなる2ス
テージアクチュエータによってディスク1上を移動さ
れ、両アクチュエータの協働によりヘッド2は目標トラ
ックにオントラックするように制御される。ヘッド2に
おける再生ヘッドは、ディスク1上にあらかじめ書き込
まれている位置情報としてのサーボパターンを検出し、
その検知信号を位置決め制御部6におけるヘッド位置検
出部60に送る。ヘッド位置検出部60は、受け取った
位置情報に基づいてヘッド2の現在位置を検出し、ヘッ
ド位置信号Phdとして微動制御部62と状態推定部61
に与える。
【0115】次に、微動制御系1000について説明す
る。微動制御系1000は、図3に示すように、減算器
62Sと、微動制御部62と、微動アクチュエータ52
の状態推定部である状態推定部61におけるMA状態推
定部612と、駆動信号制限部66と、微動駆動部64
とで構成されている。ヘッド位置検出部60からのヘッ
ド位置信号Phdは、減算器62Sに入力され、減算器6
2Sにおいて目標位置信号Rとヘッド位置信号Phdとの
差分が取られ、その差分の結果の位置誤差信号Pe(B)が
微動制御部62に与えられる。微動制御部62は、位置
誤差信号Pe(B)と、状態推定部61におけるMA状態推
定部612(図2、図3参照)からの推定速度信号Ve
(B)および推定外乱信号Fe(B)を入力し、微動制御信号
C(B)を生成し、駆動信号制限部66へ出力する。
【0116】図2、図3に示すように、駆動信号制限部
66からの実微動制御信号C(B)1がMA状態推定部61
2にフィードバックされている。MA状態推定部612
は、ヘッド位置検出部60からのヘッド位置信号Phdと
駆動信号制限部66からの実微動制御信号C(B)1とを入
力し、これら両信号に基づいて、ヘッド2の移動速度お
よびヘッド2に加わる外乱(力外乱、位置外乱)を推定
し、微動アクチュエータ52に関する推定変位信号Xe
(B)、推定速度信号Ve(B)および推定外乱信号Fe(B)を
演算し、推定速度信号Ve(B)と推定外乱信号Fe(B)を微
動制御部62へ出力するとともに、推定変位信号Xe(B)
を減算器612Sへ出力する。減算器612Sは、ヘッ
ド位置信号Phdから推定変位信号Xe(B)を減算して補正
位置信号Phd1を演算し、MA状態推定部612へフィ
ードバックする。
【0117】微動制御部62において、位置誤差信号P
e(B)、推定速度信号Ve(B)および推定外乱信号Fe(B)
は、それぞれに位置誤差フィードバックゲイン621、
速度フィードバックゲイン622、外乱量フィードフォ
ワードゲイン623が乗算された後、加算器62Aで加
算されて位置誤差信号Pe(B)を0に近づけるようにする
ための微動制御信号C(B)が演算され、駆動信号制限部
66に出力される。なお、微動制御部62の構成につい
ては、入力した位置誤差信号Pe(B)に対して、比例微分
器(位相進み補償器)と積分器の各係数を乗じて微動制
御信号C(B)を生成するように構成してもよい。
【0118】微動制御部62が出力した微動制御信号C
(B)を直接に微動駆動部64に与えるのではなく、その
前に駆動信号制限部66に与える。駆動信号制限部66
は、微動アクチュエータ52を構成する圧電素子(PZ
T素子)の特性劣化が生じるしきい値以下で微動アクチ
ュエータ52を駆動するように微動制御信号C(B)のレ
ベルを制限し、実微動制御信号C(B)1を生成して微動駆
動部64に出力する。実微動制御信号C(B)1を入力した
微動駆動部64は、微動駆動信号u(B)を生成して微動
アクチュエータ52に出力し、微動アクチュエータ52
を制御駆動する。駆動信号制限部66が出力する実微動
制御信号C(B)1がMA状態推定部612にフィードバッ
クされる。
【0119】次に、粗動制御系2000について説明す
る。粗動制御系2000は、図4に示すように、減算器
63Sと、粗動制御部63と、粗動アクチュエータ51
の状態推定部であるVCM状態推定部611とで構成さ
れている。状態推定部61におけるVCM状態推定部6
11は、ヘッド位置検出部60から入力したヘッド位置
信号Phdに基づいてヘッド2の現在位置を推定し、推定
変位信号Xe(S)を出力する。VCM状態推定部611
は、図4に示すように、フィードバックされてきた補正
位置信号Phd2と粗動制御部63からの粗動制御信号C
(S)に基づいて、ヘッド2の移動速度およびヘッド2に
加わる外乱(力外乱、位置外乱)を推定し、粗動アクチ
ュエータ51に関する推定変位信号Xe(S)、推定速度信
号Ve(S)および推定外乱信号Fe(S)を演算する。そし
て、推定速度信号Ve(S)と推定外乱信号Fe(S)を粗動制
御部63へ出力するとともに、推定変位信号Xe(S)を減
算器611Sへ出力する。減算器611Sは、ヘッド位
置信号Phdから推定変位信号Xe(S)を減算して、補正位
置信号Phd2を演算し、VCM状態推定部611へフィ
ードバックする。
【0120】外乱補償部81は、ディスク1の偏心など
に起因する回転同期外乱のために起きる目標トラックか
らのヘッド2の位置ずれに相当する外乱誤差信号Qを生
成し、出力する。外乱補償部81からの外乱誤差信号Q
とVCM状態推定部611からの推定変位信号Xe(S)と
が加算器81Aにおいて加算され、補正相対変位信号P
hd3として出力される。減算器63Sにおいて目標位置
信号Rと補正相対変位信号Phd3との差分が取られ、補
正相対変位信号Pe(S)として粗動制御部63に与えられ
る。
【0121】粗動制御部63において、補正相対変位信
号Pe(S)、推定速度信号Ve(S)および推定外乱信号Fe
(S)は、それぞれに位置誤差フィードバックゲイン63
1、速度フィードバックゲイン632、外乱量フィード
フォワードゲイン633が乗算された後、加算器63A
で加算されて補正相対変位信号Pe(S)を0に近づけるよ
うにするための粗動制御信号C(S)が演算され、粗動駆
動部65に出力されるとともに、VCM状態推定部61
1にフィードバックされる。なお、フィードフォワード
的に与えるように構成してもよい。また、粗動制御部6
3の構成については、入力した補正相対変位信号Pe(S)
に対して、比例微分器(位相進み補償器)と積分器の各
係数を乗じて粗動制御信号C(S)を生成するように構成
してもよい。
【0122】粗動制御信号C(S)を入力した粗動駆動部
65は、粗動駆動信号u(S)を生成して粗動アクチュエ
ータ51に出力し、粗動アクチュエータ51を制御駆動
する。
【0123】粗動制御部63は、粗動アクチュエータ5
1によるヘッド移動量の推定量と目標位置との差である
位置誤差と、状態推定部61におけるVCM状態推定部
611からの推定値とから粗動制御量を演算する。これ
は、微動アクチュエータ52によるヘッド移動量が常に
ゼロに収束するように微動アクチュエータ52の目標位
置と移動量との位置誤差を演算することと同じである。
そして、この位置誤差に外乱補償部81の出力である回
転同期外乱による位置誤差を打ち消すための変位量すな
わち外乱誤差信号Qを加えて粗動制御部63に対する補
正された相対変位信号すなわち補正相対変位信号Pe(S)
としている。ここで、外乱補償部81の出力は、製造時
あるいは初期起動時に学習した偏心量、すなわち回転同
期外乱による位置誤差量をメモリに記憶しておいた値と
することができる。
【0124】以上が、各アクチュエータ制御系の動作シ
ーケンスである。
【0125】図5(a)〜図5(d)に示すように、ヘ
ッド支持機構4に対してフレクシャ(フレキシブルプリ
ント配線板)9を介してスライダ3が支持されており、
フレクシャ9上に設けられた微動アクチュエータ52が
スライダ3を駆動するように構成されている。微動アク
チュエータ52は、一対のアクチュエータ片52a,5
2bからなり、それぞれのアクチュエータ片は、上側電
極521と圧電素子522と下側電極523とで構成さ
れている。2つの圧電素子はプッシュプルで駆動され、
圧電素子のひずみ量が、拡大機構によってスライダ3お
よびその上のヘッド2の変位量に変換される構成となっ
ている。拡大機構は、スライダ3がピボット中心に回動
することによってヘッドも揺動運動する機構であるとと
もに、ここではスライダの重心と回動中心とが一致して
いる。
【0126】次に、圧電素子の電気化学反応による腐食
について、圧電素子がPZT素子の場合を例に説明す
る。PZT素子は代表的なセラミック圧電材料の1つで
あり、化学記号は、 Pb(Zr,Ti)O3 …………………………………………………(1) で表される。このPZT素子は、一般には粉体製造と焼
成工程により焼結化することで製造される。また、薄膜
のPZT素子はゾル−ゲル法やCVD法(化学的気相成
長)、スパッタリングなどにより成膜されている。
【0127】PZT薄膜の例としては組成式で、 {Pb(Zr0.53Ti0.47)}0.8+(PbO)0.2 ……………(2) などがある。これは、Zr:Tiの比が53:47で、
PbOが20%過剰に含まれている素子である。この酸
化鉛PbOは、プロセス時に素子中に入る水分、あるい
は動作時において雰囲気中から素子内に入り込む水分に
よって電気化学反応が発生する。酸化鉛PbOの化学反
応は次の通りである。
【0128】PZT素子内の水素イオン指数PH:PH
>9のとき、 PbO+H2O→H++HPbO2 - ………………………………(3) PH<9のとき、 PbO+H2O→Pb2++2OH- ……………………………………(4) よって、図6に示すように、酸化鉛PbOは、PH=9
近傍で最も安定であり、酸性になるにつれ、鉛イオンP
2+が発生する。すなわち、PZT素子内の酸化鉛Pb
Oは素子内に入った水分と反応して鉛イオンとなる。
【0129】図7に示すように、PZT素子の両側にP
t電極が配置され、電圧が加えられる。この場合の正極
側、負極側における鉛の析出を含む電気化学反応は次の
ような化学式で表される。
【0130】 正極側 4OH-→2H2O+O2+4e- ………………………………………(5) 負極側 Pb2++2e-→Pb …………………………………………………(6) 式(5)より、正極側では水酸化イオンから水と酸素が
発生し、式(6)より、負極側には鉛が析出することに
なる。この反応をまとめると次のようになる。
【0131】 2Pb2++4OH-→2Pb+2H2O+O2 ………………………(7) すなわち、PZT素子に電圧を加えて微動アクチュエー
タ52を駆動することによって鉛が電極に析出する。そ
して、最終的には正負の電極が鉛によってショート(短
絡)してしまう可能性がある。
【0132】上記はPZT素子に対して過剰に含まれて
いるPbOについての説明であったが、PZT素子自体
の構成要素の鉛Pb成分についても、電圧印加に伴う水
の電気分解によって、鉛イオンが析出する。
【0133】水の電気分解(電気化学反応)は次のよう
になる。
【0134】 正極側 2H2O→O2+4H++4e- …………………………………………(8) 負極側 2H++2e-→H2 ……………………………………………………(9) 正極側では酸素が発生し、負極側には水素イオンが引き
付けられ、水素が発生する。ここで、負極近傍ではPZ
T素子内の鉛が水素に比べてイオン化傾向が高いため
に、以下のような化学反応が発生する。
【0135】 Pb+2H+→Pb2++H2 ……………………………………(10) Pb2++2e-→Pb …………………………………………………(11) すなわち、水の電気分解で発生した水素イオンによって
鉛がイオン化し、さらにはその鉛イオンが負極電極に析
出する。
【0136】しかしながら、鉛の析出や電気分解などの
化学反応は、ある電圧のしきい値を超えて急激に反応が
加速されるという特徴がある。
【0137】電気化学反応における加えられる電圧(電
位差)とPZT素子に流れる電流との関係を表す図8よ
り、電位差V1以上で反応が進み、電気分解に比例して
素子内を流れる電流が大きくなっていく。この反応が進
み出す電位は理論分解電圧と呼ばれる。理論分解電圧は
式(5)と式(6)の反応で0.572Vであり、式
(8)と式(9)の反応で1.229Vである。電位差
V1が鉛の理論分解電圧を表し、電位差V2が水の理論
分解電圧を表している。
【0138】ところが、実際に電気分解が進み酸素が発
生するためには理論分解電圧に酸素過電圧と呼ばれる電
圧を加える必要がある。すなわち、理論分解電圧に酸素
過電圧を加えた電圧を印加することにより、電気化学反
応が進むことになる。この酸素過電圧は0.37〜0.
47V程度である。言いかえると、PZT素子に電圧を
加えて微動アクチュエータを制御駆動する場合、式
(5)と式(6)の反応が進行する電圧値は、 0.527V+(0.37〜0.47V)≒0.9〜
1.0V となる。また、式(8)と式(9)の反応が進行する電
圧値は、 1.229V+(0.37〜0.47V)≒1.6〜
1.7V となる。すなわち、1V以下では、鉛の析出する電気化
学反応はほとんど進行しない。また、雰囲気環境の影響
も約1.7V以下であれば、水の電気分解によって加速
されて鉛の析出する電気化学反応はほとんど進行しな
い。
【0139】実際には、以下の理由により、圧電素子に
は±10V以下の任意の電圧が位置誤差に応じて加えら
れる。
【0140】本実施の形態のような微動アクチュエータ
の場合、磁気ヘッドの位置によって電極の正負が絶えず
変化するため、両側の電極に鉛Pbが析出することにな
る。PZT素子は、その厚みがμmオーダーと薄いた
め、析出した鉛Pbによってショート(短絡)が発生
し、その結果として、PZT素子が破壊されるおそれが
ある。しかしながら、上述したように鉛Pbと水の化学
反応も水の電気分解と定性的には同じで、分解反応の発
生しない(加速されない)しきい値電圧が存在する。言
いかえれば、実用上、PZT素子としての特性が保証さ
れる鉛Pbの析出量、化学反応速度の範囲内となるしき
い値電圧が存在することになる。
【0141】図9は、微動アクチュエータのPZT素子
に電圧を加えたときの電圧V[V]と電流I[μA]の
関係を示している。横軸が印加電圧、縦軸がPZT素子
内を流れる電流である。図より、印加電圧50V近傍で
急激にPZT素子内を流れる電流が増加している。印加
電圧が0〜50Vの範囲では、印加電圧VとPZT素子
内を流れる電流Iとは比例係数が充分に小さい比例関係
にあり、電気抵抗値R=V/I=10×106[Ω]=
10[MΩ]となっている。印加電圧が50Vを超える
範囲では、V/I=70×103[Ω]であり、電気抵
抗値は大幅に小さくなっている。
【0142】図10は、図9をもとに印加電圧とPZT
素子の電気抵抗値Rの関係を示している。印加電圧50
Vを境に10MΩあった電気抵抗が70〜100kΩ程
度まで低下している。さらに印加電圧を上げると、急激
に抵抗値が低下している。低すぎる領域で使用すると、
微動アクチュエータの破壊を招く。
【0143】そこで、この急激な電気抵抗変化点である
電圧以下の範囲においてPZT素子利用の微動アクチュ
エータを駆動するようにすれば、実用上、電気化学変化
によるPZT素子のショート、微動アクチュエータの破
壊を防止することが可能である。
【0144】さらに検討を進めると、電気抵抗変化点は
PZT素子の膜質、膜厚によって変化する。膜質に対す
る依存は製造上の課題である。膜厚に対する依存性につ
いては、その特性を理解した上での駆動が必要である。
【0145】図11は、PZT素子の膜厚t=1〜5μ
mの場合の印加電圧VとPZT素子に加わる電界E=V
/tの関係を示している。ここで、微動アクチュエータ
を構成するPZT素子の膜厚tを2.5μmとすると、
前記した印加電圧50V以下は、電界は20V/μm以
下に相当する。
【0146】さらに、許容印加電圧に対して安全係数
0.2を乗じて、バイアス電圧を分解電圧以下の0V、
印加電圧のしきい値を±10Vとした。すなわち、この
条件においては、電流を1μA以下に抑えて使用するこ
とができ、微動アクチュエータの破壊はもとより、圧電
素子のショートについては、これを確実に回避すること
ができる。
【0147】すなわち、微動アクチュエータ52はヘッ
ド2の現在位置と目標位置との誤差をゼロにし、粗動ア
クチュエータ51は微動アクチュエータ52の移動量を
ゼロにするように、ひいては目標位置と微動アクチュエ
ータ52によるヘッド移動量との位置誤差をゼロにする
ように位置決め制御を行う。この制御方式により、微動
アクチュエータ52は動作範囲の中心付近で小さい駆動
電圧で制御駆動することによって位置決め性能を改善し
ている。
【0148】さらに、ディスク回転に同期した外乱によ
る位置誤差はその誤差量が大きいため、微動アクチュエ
ータ52ですべて補償しようとした場合、駆動電圧がし
きい値電圧を超えてしまう。そこで、ディスク回転に同
期した外乱による位置誤差の補償は、外乱補償部81に
よって粗動制御部63と粗動アクチュエータ51で補償
し、微動アクチュエータ52を微小な範囲で制御駆動し
ながら位置決め精度を改善している。このとき微動アク
チュエータ52への出力は、駆動信号制限部66で圧電
素子の電気化学反応が加速される電圧であるしきい値電
圧以下に設定される。
【0149】本実施の形態では、位置誤差が大きい低周
波数の回転同期外乱の補償を粗動アクチュエータ51で
行うとともに、駆動信号制限部66により上記のしきい
値電圧以下において、PZT素子で構成される微動アク
チュエータ52を駆動制御する。
【0150】次に、図12〜図14に本実施の形態にお
ける1実施例のシミュレーション結果を示す。シミュレ
ーション条件は、次の通りである。
【0151】回転数:12000r/min トラック密度:45000track/inch トラックピッチ:0.56μm サンプリング周波数:20kHz サーボ帯域:1.5kHz 駆動信号制限部のしきい値:1.2V 図12は回転同期外乱の時間応答を示している。振れ幅
は0.7μmとなっている。
【0152】図13(a)〜(c)が本実施の形態の条
件で、微動アクチュエータ52のサーボループに駆動信
号制限部66を有し、粗動アクチュエータ51のサーボ
ループに外乱補償部81を有する場合である。図14
(a)〜(c)は比較例の制御駆動方法で、上記の駆動
電圧制限部と外乱補償部は有していない場合である。図
13(a)と図14(a)はトラックフォローイング時
のヘッド位置誤差信号であり、図13(b)と図14
(b)がそのときの粗動アクチュエータ51の駆動電流
であり、図13(c)と図14(c)がそのときの微動
アクチュエータ52の駆動電圧である。
【0153】シミュレーション結果は、図13(a)お
よび図14(a)との比較により、トラックフォローイ
ングの場合で、共に位置誤差がトラックピッチの10%
にオントラックされている。微動アクチュエータ52の
駆動電圧については、図13(c)に示す本実施の形態
の場合は、1V以下である。図14(c)に示す比較例
の場合には、最大2.5Vとなっている。また、図13
(b)、図14(b)より、粗動アクチュエータ51の
駆動電流については、大きさはほとんど同じレベルであ
るが、微動アクチュエータ52の駆動電圧に対する位相
が異なっている。この場合、共に位置決め精度はトラッ
クピッチの10%以内を達成しているが、比較例の場
合、微動アクチュエータ52の駆動電圧が大きく、変位
特性の性能劣化ひいては信頼性を損なってしまうことに
なる。さらに、比較例の場合には、駆動電圧に対する駆
動電流の位相が逆相である。これは、比較例の場合で
は、微動アクチュエータと粗動アクチュエータの制御帯
域が異なるため、高帯域駆動される微動アクチュエータ
と低域で駆動される粗動アクチュエータの位相が異な
り、回転同期外乱を補償しようとする相互の動作が力外
乱となっている。これに対して、本実施の形態では、外
乱補償部81を付け加えることによって微動アクチュエ
ータ52と粗動アクチュエータ51の位相を同相とする
ことができる。その結果、微動アクチュエータ52と粗
動アクチュエータ51とが協調して、同じ方向の位置誤
差として回転同期外乱を補償し、微動アクチュエータ5
2を低電圧駆動しても、高精度のヘッド位置決めを実現
することができる。
【0154】以上をまとめると、ディスク偏心などに起
因して生じる回転同期外乱を補償してヘッドを目標トラ
ックに追従させるに当たり、粗動制御系2000で回転
同期外乱に対する補償を行うことにより、微動アクチュ
エータ52における圧電素子の負担を軽減した状態で、
さらに微動アクチュエータ52における圧電素子に対す
る駆動信号のレベルを、電気化学反応による腐食で圧電
素子に特性劣化が生じるしきい値以下に制限している。
その結果、特性が劣化することがない。その相乗効果に
よって、目標トラックに対するヘッドの高速高精度な位
置決めの機能を長期間にわたって持続させることができ
る。それゆえに、ひいては、高記録密度のディスク装置
の実現に有効に作用する。
【0155】本実施の形態をソフトウェアで展開する
と、次の各ステップを有するヘッド位置決め制御方法と
なる。
【0156】(1)ステップ1…ヘッドにより再生され
るディスク上のサーボ情報からのヘッド位置データと前
記ヘッドを目標位置に位置決めするための目標位置デー
タとの位置誤差を位置誤差データとする。
【0157】(2)ステップ2…前記位置誤差データに
基づいて前記ヘッドの微動アクチュエータの変位量を制
御する微動制御データを生成する。
【0158】(3)ステップ3…前記微動制御データを
前記微動アクチュエータに出力するのであるが、これに
際して、前記微動アクチュエータを構成する圧電素子の
電気化学反応による特性劣化が生じるしきい値で前記微
動制御データを制限した実微動制御データを生成し、こ
の実微動制御データを前記微動制御データに置き換えて
出力する。
【0159】(4)ステップ4…前記ヘッドの粗動アク
チュエータまたは前記微動アクチュエータの変位量に対
応した相対変位データを入力する。
【0160】(5)ステップ5…ディスク回転同期外乱
による位置誤差に基づいた外乱誤差データを前記相対変
位データに加算した結果を補正相対変位データとして生
成する。前記補正相対変位データに基づいて前記粗動ア
クチュエータの変位量を制御する粗動制御データを生成
する。
【0161】(6)ステップ6…前記粗動制御データに
基づいた信号を粗動駆動信号として前記粗動駆動アクチ
ュエータに出力する。
【0162】上記の(1)〜(3)の組と(4)〜(6)組
とは、同時進行の並行処理でもよいし、いずれか一方を
先行する順序処理でもよい。
【0163】このヘッド位置決め制御方法によれば、デ
ィスク回転同期外乱に対する補償を良好に行いながら、
駆動信号レベルが高いことに起因して発生する圧電素子
の特性劣化の課題を解決することができ、目標トラック
に対するヘッドの高速高精度な位置決めの機能を長期間
にわたって持続させることができる。それゆえに、ひい
ては、高記録密度のディスク装置の実現に有効に作用す
る。
【0164】(実施の形態2)本発明の実施の形態2を
図15に基づいて説明する。図15において、実施の形
態1と同一の構成要素については、図1と同一の符号を
付している。本実施の形態においては、ヘッド位置検出
部60の次段に回転同期の誤差測定部82が配され、こ
の誤差測定部82の次段に外乱補償部81が配されてい
る。誤差測定部82は、位置誤差信号Phdに基づいてデ
ィスク回転に同期した外乱による位置誤差量を演算して
位置誤差信号Phd5を生成し、外乱補償部81に与え
る。外乱補償部81は、入力した位置誤差信号Phd5
基づいて補償のための外乱制御信号Q1を生成し、出力
する。粗動制御部63からの粗動制御信号C(S)と外乱
補償部81からの外乱制御信号Q1が加算器73Aで加
算され、その加算の結果の補正粗動制御信号C(S)1が粗
動駆動部65へ与えられるとともに、状態推定部61に
おけるVCM状態推定部611にフィードバックされ
る。このように構成しても、上記実施の形態1と同様の
効果が得られる。その他の構成および動作については、
実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0165】(実施の形態3)本発明の実施の形態3を
図16に基づいて説明する。図16において、実施の形
態1と同一の構成要素については、図1と同一の符号を
付している。本実施の形態においては、同期外乱の補償
調節部83が追加されている。補償調節部83は、入力
した外乱誤差信号Qに対して微動制御部62用と粗動制
御部63用とに重み付けを行い、それぞれ微動位置誤差
信号Q(B)および粗動位置誤差信号Q(S)として分配し、
微動制御部62側の加算器74Aと粗動制御部63側の
加算器75Aに出力するものである。
【0166】微動制御系1000では、ヘッド位置信号
Phdに微動位置誤差信号Q(B)が加えられて補正位置誤
差信号Phd6とされる。粗動制御系2000では、推定
値である相対変位信号Phd3に粗動位置誤差信号Q(S)が
加えられて補正位置誤差信号Phd7とされる。その他の
構成および動作については、実施の形態1と同様である
ので説明を省略する。
【0167】本実施の形態によれば、微動制御系100
0の動作による制御量と粗動制御系2000の動作によ
る制御量とが影響し合う条件下でも、両者への重み付け
配分により回転同期外乱を補償しながら、駆動信号レベ
ルが過大であることに起因する特性劣化から圧電素子を
保護するという機能を良好に確保できる。
【0168】(実施の形態4)本発明の実施の形態4を
図17に基づいて説明する。図17において実施の形態
1と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付
している。本実施の形態においては、ヘッド位置検出部
60の次段に回転同期の誤差測定部82が配され、誤差
測定部82の次段に回転同期の外乱補償部81が配さ
れ、外乱補償部81の次段に同期外乱の補償調節部83
が配されている。誤差測定部82は、位置誤差信号Phd
に基づいてディスク回転に同期した外乱による位置誤差
量を演算して位置誤差信号Phd5を生成し、外乱補償部
81に与える。外乱補償部81は、入力した位置誤差信
号Phd5に基づいて補償のための外乱制御信号Q1を生成
し、出力する。補償調節部83は、入力した外乱制御信
号Q1に基づいて、同期外乱の粗動制御信号Q(S)1およ
び微動制御信号Q(B)1を生成する。
【0169】粗動制御部63からの粗動制御信号C(S)
と補償調節部83からの同期外乱の粗動制御信号Q(S)1
が加算器76Aで加算され、その加算の結果の補正粗動
制御信号C(S)1′が粗動駆動部65へ与えられるととも
に、状態推定部61におけるVCM状態推定部611に
フィードバックされる。
【0170】また、微動制御部62からの微動制御信号
C(B)と補償調節部83からの同期外乱微動制御信号Q
(B)1が加算器77Aで加算され、その加算の結果の補正
微動制御信号C(B)′が駆動信号制限部66を介して微
動駆動部64に与えられるとともに、状態推定部61に
おけるMA状態推定部612にフィードバックされる。
【0171】このように構成しても、上記実施の形態2
と同様の効果が得られる。その他の構成および動作につ
いては、実施の形態1と同様であるので説明を省略す
る。
【0172】(実施の形態5)本発明の実施の形態5を
図18に基づいて説明する。図18において実施の形態
1と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付
している。本実施の形態においては、微動制御部62と
微動駆動部64との間に高周波フィルタ70が介挿さ
れ、粗動制御部63と粗動駆動部65との間に低周波フ
ィルタ71が介挿されている。粗動制御部63からの出
力である粗動制御信号C(S)が低周波帯域のみを通過さ
せる低周波フィルタ71を通して粗動駆動部65に入力
されているところである。
【0173】微動制御系1000において、微動制御部
62からの微動制御信号C(B)は高周波フィルタ70に
入力され、低域部分がカットされる。その結果、振幅が
比較的小さくて高周波成分の多い機械的共振などの外乱
に対応する状態に絞った微動制御信号C(B)2に変換さ
れ、駆動信号制限部66に与えられる。例えば、カット
オフ周波数を600Hzとすれば、120Hzの回転同
期外乱成分は1/5に圧縮される。また、回転同期の1
次成分の外乱や定常偏差のための補償量を小さくし、微
動アクチュエータへの指令電圧を小さくする。
【0174】また、粗動制御系2000において、粗動
制御部63からの粗動制御信号C(S)は低周波フィルタ
71に入力され、高周波成分がカットされる。その結
果、振幅が比較的大きく低周波成分の多い回転同期外乱
に対応する状態に絞った粗動制御信号C(S)2に変換さ
れ、粗動駆動部65に与えられる。例えば、カットオフ
周波数を6000Hzとすれば、機械共振などの高域外
乱成分は大幅に圧縮されることになる。
【0175】このように、補償する帯域を分業化するこ
とによって、微動アクチュエータでの変位量を小さく
し、ひいては駆動電圧を分解電圧以下にすることが可能
となる。その他の構成および動作については、実施の形
態1と同様であるので説明を省略する。
【0176】(実施の形態6)本発明の実施の形態6を
図19に基づいて説明する。図19において実施の形態
1と同一の構成要素については、図1と同一の符号を付
している。本実施の形態においては、定常偏差の補償調
節部72が追加されている。この補償調節部72は、微
動制御部62からの微動制御信号C(B)にかかわる定常
偏差の補償信号C(B)2と粗動制御部63からの粗動制御
信号C(S)にかかわる定常偏差の補償信号C(S)2とを入
力する。そして、微動制御系1000と粗動制御系20
00とに重みを付けて配分して微動の定常偏差の補償信
号C(B)3と粗動の定常偏差の補償信号C(S)3とを生成
し、出力する。加算器78Aにおいて、微動制御信号C
(B)と定常偏差の補償信号C(B)3とが加算され、補正微
動制御信号C(B)′として駆動信号制限部66に出力さ
れるとともに、状態推定部61のMA状態推定部612
にフィードバックされる。また、加算器79Aにおい
て、粗動制御信号C(S)と定常偏差の補償信号C(S)3
が加算され、補正粗動制御信号C(S)′として粗動駆動
部65に出力されるとともに、状態推定部61のVCM
状態推定部611にフィードバックされる。
【0177】なお、回転同期の外乱補償部81について
は、図15(実施の形態2)のように構成してもよく、
同様の効果が得られる。その他の構成および動作につい
ては、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0178】なお、上記した個々の実施の形態におい
て、微動アクチュエータをサスペンション上に配置した
が、スライダ上に配置しても同様の効果を得られる。ま
た、微動アクチュエータと粗動アクチュエータとがそれ
ぞれ独立に状態推定部を有していたが、これらを合体し
てモデル化した多入力多出力系の推定部の場合でも同様
の効果が得られる。また、駆動信号制限部66のしきい
値について、性能劣化速度および信頼性が要求される動
作時間によって可変するのでもよい。また、しきい値
を、シーク動作とトラックフォローイング動作など動作
モードに応じて可変しても同様の効果が得られる。
【0179】(実施の形態7)本発明の実施の形態7を
図20〜図23に基づいて説明する。すでに説明した実
施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付
している。
【0180】本実施の形態においては、図21に示すよ
うに、MA状態推定部612は、演算で求めた推定変位
信号Xe(B)を加算器61Aへ出力する。また、VCM状
態推定部611は、演算で求めた推定変位信号Xe(S)を
加算器61Aへ出力する。加算器61Aは推定変位信号
Xe(B)と相対変位信号Xe(S)を加算して推定ヘッド位置
信号Phdeを生成し、減算器611Sおよび減算器61
2Sへ出力する。減算器612Sは、ヘッド位置信号P
hdから推定ヘッド位置信号Phdeを減算して補正ヘッド
位置信号Phd1を演算し、MA状態推定部612へフィ
ードバックする。また、減算器611Sは、ヘッド位置
信号Phdから推定ヘッド位置信号Phdeを減算して補正
ヘッド位置信号Phd2を演算し、VCM状態推定部61
1へフィードバックする。ここでは、しきい値を±5V
として制御駆動を行った。また、C(B)=0の場合に微
動アクチュエータ52に加えられるバイアス電圧を0V
とした。
【0181】図20、図21の構成に代えて図24、図
25のように構成してもよい。回転同期誤差を直接補償
する場合、回転同期の誤差測定部82は、入力したヘッ
ド位置信号Phdに基づいて位置誤差信号Phd5を生成
し、出力する。ディスク1の偏心などに起因するディス
クの回転同期外乱のために、ヘッド2が目標トラックか
ら位置ずれを起こすが、この位置ずれに相当するのが位
置誤差信号Phd5である。回転同期の外乱補償部81
は、誤差測定部82からの位置誤差信号Phd5より補償
量として外乱誤差信号Qを出力し、加算器80Aで粗動
制御信号C(S)に加算される。外乱補償部81の出力
は、製造時あるいは初期起動時に学習した偏心量、すな
わち回転同期外乱による位置誤差量をメモリに記憶して
おいた値としてもよい。
【0182】シミュレーション条件は、次の通りであ
る。
【0183】回転数:12000r/min トラック密度:45000track/inch トラックピッチ:0.56μm サンプリング周波数:20kHz サーボ帯域:1.5kHz 駆動信号制限部のしきい値:5V オフセット電圧:0V この場合、図12、図13と同様の結果が得られた。
【0184】上記において、駆動信号制限部66のしき
い値を5V、オフセット電圧を0Vとしたが、素子内を
流れる電流が5μA以下となる電圧設定としてもよい。
さらに、性能劣化速度および信頼性が要求される動作時
間の如何に応じてしきい値を可変するようにしてもよ
い。また、シーク動作とトラックフォローイング動作な
ど動作モードに応じてしきい値を可変するようにしても
よい。
【0185】(実施の形態8)以下では、複数のディス
クが同軸状に配置され、各ディスクそれぞれに微動アク
チュエータが配され、これら複数の微動アクチュエータ
を共通の粗動アクチュエータで一括的に移動させるする
2ステージアクチュエータ方式のヘッド位置決め装置に
ついて説明する。
【0186】重要度に基づいて粗動アクチュエータ51
を制御すると、図39および図40を用いて説明したよ
うに、ヘッド支持機構4の頻繁な移動、それに伴う各微
動アクチュエータ52の振動が発生し、機構的な安定性
に影響を与える。微動アクチュエータ52どうしの相互
干渉による機構的共振も生じる。すなわち、目標トラッ
クへの位置決め制御を行うこと自体が目標トラックから
の位置ずれを誘発する。その結果、ヘッド2の位置決め
精度の劣化を引き起こす。ひいては、ヘッドによる目標
トラックでの記録や再生にエラーが発生しやすくなる。
【0187】以下、本発明の実施の形態8について説明
する。
【0188】本発明の実施の形態8を図26〜図29に
基づいて説明する。同軸状に配置された複数のディスク
に対応して、同一の構成要素がN個あるとし、各要素を
区分して説明する必要のある場合には、各符号の後に括
弧付きの区分番号1〜Nを付す。
【0189】1はディスク、2はヘッド、3はヘッドス
ライダ、4はヘッド支持機構、5は位置決め機構、8は
回転軸、11は回転体、51は粗動アクチュエータ、5
2は微動アクチュエータであり、これらの構成要素は既
述のとおりに構成されたものである。位置決め制御部6
Aは、複数の微動位置決め制御部1500と、中央値選
択部101と粗動制御系2000とを含んでいる。微動
位置決め制御部1500および中央値選択部101の詳
細が図28に示されている。
【0190】ヘッド支持機構4、粗動アクチュエータ5
1、微動アクチュエータ52およびスライダ3から構成
された位置決め機構5は、位置決め制御部6Aからの制
御信号に基づいて駆動され、位置決めされる。位置決め
制御部6Aは、微動アクチュエータ52の変位量に応じ
た相対変位信号x、ヘッド2がディスク1から読み取っ
たサーボ情報saおよび目標位置信号Rなどに基づいて
微動駆動信号u(B)と粗動駆動信号u(S)を生成し、これ
ら両信号に基づいて微動アクチュエータ52および粗動
アクチュエータ51の位置決め制御を行う。
【0191】微動アクチュエータ52は、ヘッド支持機
構4の中心線a上の原点位置Y1からディスク1の半径
方向の内外両方向に変位し、ヘッド2の微小な位置決め
を行う。Y2は原点位置Y1からヘッド2の現在位置ま
での変位量である。粗動アクチュエータ51による変位
に微動アクチュエータ52の変位量Y2を合わせてヘッ
ド位置Yとする。ヘッド2を目標位置まで移動させ、目
標トラックにオントラックさせる制御を行う。
【0192】ヘッド位置決め装置は、ヘッド2、スライ
ダ3、微動アクチュエータ52および微動位置決め制御
部1500をそれぞれ同数の複数個有している。各微動
アクチュエータ52は、各微動位置決め制御部1500
における微動制御系1000の各微動駆動信号u(B)
により、それぞれ微小変位するように制御される。粗動
アクチュエータ51は、粗動制御系2000からの粗動
駆動信号u(S)により回転体11を駆動し、回転体11
とともに、複数のヘッド支持機構4、微動アクチュエー
タ52およびヘッド2が一括して移動される。
【0193】個々の微動位置決め制御部1500は、ヘ
ッド2によってディスク1から再生されたサーボ情報s
aを入力し、サーボ情報saに含まれているヘッド2の
現在位置を示すヘッド位置信号Phdと目標位置信号Rと
に基づいて微動駆動信号u(B)を生成し、微動アクチ
ュエータ52に出力する。微動アクチュエータ52は微
動駆動信号u(B)によって駆動制御され、微小変位を伴
うヘッド2の位置決め制御を行う。原点位置Y1からの
ヘッド2の変位量を示す相対変位信号xが微動アクチュ
エータ52において検出され、位置決め制御部6におけ
る中央値選択部101に出力される。
【0194】中央値選択部101は、N個の相対変位信
号x(1)〜x(N)の値をそれぞれ比較し、大きさの
順に並べて順位付けし、順位がちょうど中央に位置する
中央値をもつs番目の相対変位信号を中央値信号x
(s)として選択し、その選択された中央値信号x
(s)を出力する。粗動制御系2000は、入力した中
央値信号x(s)に基づいて粗動駆動信号u(S)を生成
し、粗動アクチュエータ51に出力する。粗動アクチュ
エータ51は、粗動駆動信号u(S)に基づいて回転体1
1を移動させることで複数のヘッド支持機構4およびヘ
ッド2を一括移動させ、位置決めを行う。
【0195】次に、本実施の形態のサーボ制御系を図2
8に基づいて説明する。微動位置決め制御部1500の
ヘッド位置検出部60は、入力したサーボ情報saより
現在のヘッド位置Yに対応するヘッド位置情報を読み取
る。数式モデルの仮想の加算器91によって粗動アクチ
ュエータ51による原点位置Y1の仮想信号と微動アク
チュエータ52による変位量Y2とを加算してヘッド位
置Yとし、ヘッド位置Yの情報がサーボ情報saに含ま
れたモデルで示している。ヘッド位置Yの情報を入力し
たヘッド位置検出部60は、ヘッド位置信号Phdを出力
する。
【0196】サーボ情報saは、位置情報として、トラ
ックを識別するためのトラック番号や、トラックの範囲
内での位置を整定するため利用するバースト信号を有し
ている。バースト信号からはトラック範囲の中心からの
ヘッド2の位置ずれ量が得られるが、この位置ずれ量と
トラック番号とを合わせた状態のヘッド位置信号Phdが
出力される。減算器92において、目標位置信号Rから
ヘッド位置信号Phdが減算され、位置誤差信号Pe(B)と
して微動制御系1000に出力される。微動制御系10
00は、入力した位置誤差信号Pe(B)に対して所定の周
波数特性および位相特性で位相補償し、所定のゲインで
増幅する。この場合に、位置誤差信号Pe(B)に対して、
既述の実施の形態と同様の、電気化学反応による圧電素
子の特性劣化が生じるしきい値以下で微動アクチュエー
タ52を駆動する駆動信号レベルの制限処理を行って微
動駆動信号u(B)を生成し、出力する。微動アクチュエ
ータ52は、微動駆動信号u(B)に基づいてヘッド2
の位置決めを行う。
【0197】一方、中央値選択部101の比較部102
は、N個の相対変位信号x(1)〜x(N)の大きさを
比較した上で、大きさの順位番号付けを行い、順位が中
央に位置する中央値信号x(s)を抽出し、その区分番
号の選択信号sを選択部103に出力する。選択部10
3は、相対変位信号x(1)〜x(N)の中から選択信
号sに基づいて中央値信号x(s)を選択し、粗動制御
系2000に出力する。粗動制御系2000は、入力し
た中央値信号x(s)に対して所定の周波数特性および
位相特性で位相補償し、所定のゲインで増幅した上で粗
動駆動信号u(S)として出力する。粗動アクチュエータ
51は、粗動駆動信号u(S)に基づいて回転体11を駆
動し、各ヘッド支持機構4を介してすべてのヘッド2を
一括移動させる。
【0198】この粗動制御系2000での制御と上記の
微動制御系1000での制御が同時的に遂行され、各ヘ
ッド2は微小な位置決めが行われる。具体的には、各ヘ
ッド2それぞれの目標位置に向けて微動アクチュエータ
52が変位した中で、中央に位置する微動アクチュエー
タ52が選択され、この選択された中央1つの微動アク
チュエータ52と粗動アクチュエータ51とが協働して
ヘッドの位置決めを行う。粗動アクチュエータ51と協
働するのが、比較例ではすべての微動アクチュエータ5
2であるのに対して、本発明では選択された中央1つの
みの微動アクチュエータ52となっている。この場合、
最終的には、中央に位置する微動アクチュエータ52の
変位量がゼロになるような制御が行われる。結果とし
て、中央に位置する微動アクチュエータ52およびヘッ
ド2は、ヘッド支持機構4の中心線a上に位置すること
となる。中央以外の微動アクチュエータ52は、可能性
として中心線aから変位してヘッド位置決めを行う。
【0199】次に、図29を用いて分かりやすく動作を
説明する。粗動アクチュエータ51によって回転軸8ま
わりに回転駆動されるヘッド支持機構4の先端部に複数
の微動アクチュエータ52および各ヘッド2が設けられ
ている。本発明は、ヘッド2の数が限定されるものでは
ないが、ここでは、5個のヘッド2と微動アクチュエー
タ52がある場合を例示する。各微動アクチュエータ5
2は、回動軸8まわりに中心線aに対して時計方向と反
時計方向の両方に変位する。
【0200】図29(a)において、1番から5番まで
の相対変位信号x(1)〜x(5)は、比較部102に
よる比較および順位番号付けの結果、x(1),x
(5),x(2),x(4),x(3)の順序となる。
次に、その順位が中央の中央値信号x(s)はx(2)
となる。この中央値信号x(2)は複数の微動アクチュ
エータ52のうち中央に位置する微動アクチュエータ5
2(2)に対応している。中央値選択部101は、相対
変位信号x(2)を選択し、粗動制御系2000に出力
する。各ヘッド2それぞれの目標位置に向けて各微動ア
クチュエータ52が変位した中で、粗動アクチュエータ
51と中央に位置する微動アクチュエータ52(2)と
が協働してヘッドの位置決めを行うこととなる。最終的
には、図29(b)に示すように、中央に位置する微動
アクチュエータ52(2)の変位量がゼロになるよう制
御され、ヘッド支持機構4の中心線a上に位置すること
となる。ヘッド支持機構4は粗動アクチュエータ51の
動作によって変位され、ヘッド2は微動アクチュエータ
52の動作によってヘッド支持機構4に対して変位して
いる。
【0201】中央に位置するヘッド2(s)に対する目
標位置の指令が変わったとき、このヘッド2(s)は、
微動アクチュエータ52(s)により新たな目標位置に
向けて移動する。その結果、この微動アクチュエータ5
2(s)の相対変位信号x(s)は、中央値信号ではな
くなることがある。その場合、中央値選択部101によ
る上記同様の選択動作が改めて繰り返される。
【0202】アクセス順位などの重要度に関係なく、相
対変位信号x(1)〜x(N)の中から選択した1つの
中央値信号x(s)に基づいて粗動アクチュエータ51
の位置決め制御を行う本実施の形態のヘッド位置決め装
置によれば、常に、中央に位置する微動アクチュエータ
52が優先され、この中央に位置する微動アクチュエー
タが常にヘッド支持機構4の中心線a上に位置するよう
に制御される。したがって、複数のディスクでトラック
がウォブリングして複数のヘッド2の変位量および変位
方向がリアルタイムかつランダムに変動しても、粗動ア
クチュエータ51による回転体11および複数のヘッド
支持機構4の頻繁な移動は発生しにくい。例えば、トラ
ックのウォブリングのために正方向に最大に変位してい
るヘッド2(1)が負方向に最大に変位する状態に変化
しても、あるいは、負方向に最大に変位しているヘッド
2(3)が正方向に最大に変位する状態に変化しても、
その変化の結果において中央に位置することとなったヘ
ッド2(s)の変位は、上記のヘッド2(1)やヘッド
2(3)の変位に比べて充分に小さく、この中央に位置
する微動アクチュエータ52の相対変位信号xである中
央値信号x(s)に基づいた粗動アクチュエータ51に
よるヘッド支持機構4の移動制御は、より動きの少ない
安定した制御となる。
【0203】そして、トラック追従動作において、図2
9(b)のように、中央に位置するヘッド2(2)が目
標トラックに達すると、それ以降は微動アクチュエータ
52(2)の変位量がゼロとなる。ヘッド2(2)がヘ
ッド群の中央位置を保つ限りにおいて、微動アクチュエ
ータ52(2)とヘッド支持機構4との中心線aを基準
とする直線状態は維持され、したがって、中央値信号x
(s)がすでにゼロに収束していることから、粗動アク
チュエータ51によるヘッド支持機構4の移動はなくな
り、この状態で中央以外のヘッド2のトラック追従動作
が行われる。これは、最も安定した状態でのトラック追
従動作である。すなわち、振動の発生を抑制した状態で
の、高精度で安定したヘッドの位置決め制御が行える。
【0204】説明を繰り返す。複数ディスクのトラック
ナンバーが同じ複数のトラックにつき、ディスク回転中
心からの距離がウォブリングのためにランダムに変化
し、ディスク回転中心からの距離の順位が複数トラック
間でランダムに入れ替わる可能性がある。複数トラック
のうちの常に中央に位置するトラック(同じものとは限
らない)を目標とするように、換言すると、複数トラッ
ク全体の占有領域(ある幅をもち、その幅および形状は
ランダムに変化する可能性がある)の中央付近を目標と
するように、ヘッド支持機構4を移動制御する。そし
て、そのときに中央に位置するヘッドが中央のトラック
にオントラックするように(相対変位信号xがゼロに収
束するように)、粗動アクチュエータ51と中央の微動
アクチュエータ52との協働する。中央の微動アクチュ
エータ52とヘッド支持機構4とが1直線状態に近づ
く。微動アクチュエータ52も粗動アクチュエータ51
も動作する。そして、中央のヘッドが中央のトラックに
オントラックすると、中央の微動アクチュエータ52と
ヘッド支持機構4とが1直線となる。中央のヘッドの相
対変位信号xはゼロとなる。このあとは、粗動アクチュ
エータ51によるヘッド支持機構4の移動はなくなる。
中央以外のヘッドを微動アクチュエータ52でオントラ
ックさせる。中央以外の微動アクチュエータ52は個別
の動作となる。この間、粗動アクチュエータ51および
中央の微動アクチュエータ52は動作停止であり、動作
しているのは中央以外の微動アクチュエータ52だけと
なり、全体の安定性がきわめて高い。この状態が、目標
トラックの変更があるまで継続する。ここでは、比較例
のような重要度は加味されていない。複数のヘッドは互
いに平等である。
【0205】以上のように、本実施の形態によれば、粗
動アクチュエータ51の動作を最小限にし、微動アクチ
ュエータ52の動作も抑制しているので、振動の発生を
抑制することができ、高精度で安定したヘッドの位置決
め制御が行える。ひいては、記録/再生を良好に行うこ
とができる。
【0206】比較例の場合に、振動発生を抑制するに
は、オントラック動作をより高速に行う必要がある。そ
のためには、微動アクチュエータを構成する圧電素子に
対してより高い電圧を印加する必要がある。しかしなが
ら、印加電圧が過剰であると、圧電素子において鉛の析
出、特性劣化、さらには圧電素子破壊の問題が生じる。
これについては、すでに詳しく説明したとおりである。
【0207】本発明では、圧電素子への印加電圧に制限
を加えて圧電素子の特性劣化を回避する一方で、選択し
た中央値信号x(s)による粗動アクチュエータの制御
で振動発生を抑制するという巧妙な手法をとっている。
【0208】(実施の形態9)本発明の実施の形態9を
図30に基づいて説明する。図30において、実施の形
態8と同一の構成要素については、図28と同一の符号
を付している。本実施の形態においては、中央値選択部
101の内部構成が図28とは異なっている。粗動アク
チュエータ51および微動アクチュエータ52の位置決
め制御を行う動作については同一である。
【0209】以下、本実施の形態の特徴部分を説明す
る。中央値選択部101に新たな構成要素として入力選
択部104を設けている。入力選択部104は、各微動
アクチュエータ52の相対変位信号x(1)〜x(N)
およびディスク装置全体の制御部(図示せず)による各
ヘッド2に対するアクセス指令信号ca(1)〜ca
(N)を入力する。目標トラックに記録や再生を行う必
要が生じたヘッド2に対してアクセス指令信号caが発
せられる。これで対応するヘッド2が目標トラックにア
クセス中か否かを検知できる。入力選択部104は、入
力している相対変位信号x(1)〜x(N)のうち、ア
クセス指令信号caがアクティブとなっているヘッド2
を搭載した微動アクチュエータ52の相対変位信号のみ
を中央値選択の候補として選択し、比較部102に出力
する。比較部102の動作は実施の形態8と同様であ
る。ただし、入力選択部104によって選択された中央
値選択の候補としての相対変位信号の中で処理する。選
択された中央値信号x(s)は粗動制御系2000に出
力される。
【0210】粗動アクチュエータ51は、目標トラック
に対してアクセス中の中央の微動アクチュエータ52と
協働してヘッド2の位置決めを行う。実施の形態8で
は、中央のヘッド2の目標位置信号Rの指令が変わった
とき、新たに中央に位置することとなる微動アクチュエ
ータ52が選択され、その微動アクチュエータ52と粗
動アクチュエータ51とが協働して、次の位置決め制御
を行う。これに対して、本実施の形態は次のように異な
る。中央に位置するヘッド2の記録/再生の処理が終了
した時点で、アクセス指令信号caはインアクティブと
なる。アクセス指令信号caがインアクティブとなれ
ば、入力選択部104での選択候補から除外される。選
択候補が1つ減る。その結果、この時点で、アクセス指
令が発せられているヘッド2を搭載し、中央に位置する
相対変位信号xを有する微動アクチュエータ52と粗動
アクチュエータ51とが協働して次の位置決め制御が行
われる。記録/再生の処理が終了したヘッドは、それが
オントラックしたトラック位置に留まる。このようにし
て、目標トラックへのアクセスが必要なヘッド2に対し
て、順次に位置決め制御が行われる。
【0211】すなわち、実施の形態8の制御に加えて、
さらに、記録/再生の処理が終了したヘッド2について
は、このヘッド2は終了したトラック位置に留まる。記
録/再生の処理が終了したヘッドから順番に停止する。
未処理のヘッド2およびそれに対応する微動アクチュエ
ータ52の数が次第に減少する。このため、微動アクチ
ュエータ52が変位する頻度も低く抑えられる。
【0212】未処理のヘッド数は1つずつ減少する。し
たがって、ヘッド数は、奇数と偶数が交互となる。つま
り、中央値信号を選択するための相対変位信号の数は、
奇数と偶数が交互となる。相対変位信号の数が奇数(2
n+1)のときは、((2n+1)+1)/2=n+1
が自然数であり中央のものが存在するので、中央値信号
x(s)の選択は、その中央であるn+1番目のものを
選択すればよい。しかし、相対変位信号の数が偶数(2
n)のときは、(2n+1)/2が自然数ではなく中央
のものが存在しない。そこで、n番目とn+1番目とが
2つの中央のものとなるが、このうち、相対変位信号が
小さい方を中央値信号として選択する。
【0213】記録/再生の終了したヘッドは、オントラ
ックしていたトラック位置に留まるが、もはや粗動制御
系2000への相対変位信号の候補ではなくなる。記録
/再生の終了したヘッドは、粗動アクチュエータ51の
制御から外す。記録/再生が未処理のヘッドのうちの中
央のヘッド(偶数の場合は変位が小さい方のヘッド)の
中央値信号x(s)に基づいて粗動アクチュエータ51
が制御されている間、その中央のヘッドの微動アクチュ
エータはヘッド支持機構4の中心線a上に位置する。一
方、記録/再生の終了したヘッドはオントラックしてい
たトラック位置に留まるように微小変位し、中心線aか
ら外れることもある。粗動アクチュエータを制御する候
補の相対変位信号を記録/再生が未処理のヘッドからの
ものに限定し絞り込むことにより、現に記録/再生を行
っているヘッドの安定性を高める。記録/再生の終了し
たヘッドは微小変位してももはや記録/再生には関係し
ない。その他の動作については、実施の形態8と同様で
ある。
【0214】以上の相乗により、振動の発生をさらに抑
制し、高精度で安定したヘッドの位置決め制御が行え、
記録再生を良好に行うことができる。また、変位の頻度
が少ない分、微動アクチュエータ52の寿命が長くな
る。
【0215】(実施の形態10)本発明の実施の形態1
0を図31、図32に基づいて説明する。図31におい
て、実施の形態9と同一の構成要素については、図30
と同一の符号を付している。本実施の形態においては、
微動位置決め制御部1500の内部構成が図30と異な
っている。粗動アクチュエータ51および微動アクチュ
エータ52の位置決め制御を行う動作については同一で
ある。
【0216】以下、本実施の形態の特徴部分を説明す
る。本実施の形態は、実施の形態9の改良である。実施
の形態9では記録/再生の終了したヘッドは微小変位を
伴うものである。これに対して、本実施の形態では、記
録/再生の終了したヘッドの変位をさらに抑制するもの
である。微動位置決め制御部1500に新たな構成要素
として位置情報処理部105を設けている。位置情報処
理部105は、ヘッド位置検出部60より、ヘッド2か
ら読み出したサーボ情報saに含まれるヘッド位置信号
を入力する。また、ディスク装置全体を制御するディス
ク制御部(図示せず)より、各ヘッド2に対するアクセ
ス指令信号caおよび目標位置信号Rを入力する。
【0217】ヘッド位置検出部60から位置情報処理部
105に対して与えられるヘッド位置信号は、詳しく
は、トラック位置信号ytとバースト復調信号ybとで
ある。ヘッド2によりディスク1から読み出すサーボ情
報saには、アドレス情報やバースト信号が含まれてい
る。アドレス情報はトラック番号やセクタ番号である。
バースト信号はトラック追従のための信号であり、トラ
ックとトラックとの間に形成されている。このバースト
信号を利用してトラック追従制御を行い、1トラックの
範囲内でヘッド2を目標位置に整定する。トラック位置
信号ytはトラック番号に相当する信号であり、バース
ト復調信号ybはトラック間でのディスク半径方向の位
置情報を与える信号である。位置情報処理部105は、
アクセス指令信号caに応じてトラック位置信号ytと
バースト復調信号ybとを処理し、微動制御系1000
に出力して各微動アクチュエータ52の変位を制御す
る。
【0218】アクセス指令信号caがアクティブのとき
はトラック位置信号ytが有効となり、トラック位置信
号ytとバースト復調信号ybとの協働で微動駆動信号
u(B)が生成される。また、アクセス指令信号caがイ
ンアクティブのときはトラック位置信号ytが無効とな
り、バースト復調信号ybのみで微動駆動信号u(B)が
生成される。ヘッド位置検出部60において、トラック
位置信号ytは、目標トラックまで移動させるために指
示された目標位置信号Rより、減算器106によって減
算される。この減算による差分は、目標トラックまでの
トラック誤差を示すトラック誤差信号Pe(B)tとして、
スイッチ107に出力される。スイッチ107は、アク
セス指令信号caに応じて、トラック誤差信号Pe(B)t
と、トラック誤差がないことを示すゼロ信号のどちらか
一方を選択する。一方、バースト復調信号ybは、減算
器108に出力される。減算器108は、1つのトラッ
ク間領域内での中央位置に相当するトラック中央信号t
cよりバースト復調信号ybを減算する。すなわち、1
つのトラック間領域内で中央位置からの位置誤差をバー
スト誤差信号Pe(B)bとして検出している。加算器10
9は、スイッチ107からの出力と減算器108からの
出力とを、適宜レベルを合わせて加算し、加算結果を微
動制御系1000に出力する。
【0219】インアクティブのアクセス指令信号caが
発生しないうちは、実施の形態9と同様の動作を行う。
微動制御系1000は、トラック位置信号ytとバース
ト復調信号ybとの組み合わせで微動駆動信号u(B)を
生成する。したがって、トラック位置信号ytとバース
ト復調信号ybの組み合わせは、実施の形態9の場合の
ヘッド位置信号Phdに相当している。
【0220】実施の形態9の場合と同様にして中央に位
置するヘッド2の記録/再生の処理が終了すると、その
ヘッド2に対応するアクセス指令信号caがインアクテ
ィブとなり、スイッチ107を切り替え、トラック位置
信号ytを無効化し、トラック誤差をゼロとする。そし
て、微動制御系1000はバースト復調信号ybに基づ
いたバースト誤差信号Pe(B)bのみに基づいて微動駆動
信号u(B)を生成し、微動アクチュエータ52の制御を
行う。
【0221】記録/再生が未処理のヘッドのトラック追
従動作の際に、次の記録/再生処理のために、隣接トラ
ックなど別のトラックを目標トラックとして粗動アクチ
ュエータ51の駆動によりヘッド支持機構4が移動する
とする。この場合、実施の形態9では、元のトラックに
追従しようとする結果、その変位量が大きくなってしま
う傾向がある。これに対して、本実施の形態において
は、トラック位置信号ytは無視し、バースト復調信号
ybに限るので、別トラックに変わっても、トラック間
領域内の中央位置追従するように制御され、記録/再生
の終了したヘッドの微動アクチュエータの移動が抑制さ
れる。その結果、記録/再生の終了した微動アクチュエ
ータ52は、ヘッド支持機構4の中心線a上にほぼ位置
した状態を継続することとなる。言い換えれば、記録/
再生処理が指令されていない微動アクチュエータ52
は、粗動アクチュエータ51による回転位置にかかわら
ず、すべてヘッド支持機構4の中心線aの近傍に位置す
る状態を継続しながら、次の処理まで待機する。ヘッド
支持機構4の中心線aの近傍に位置する状態は、微動ア
クチュエータ52にとって機構的に最も安定した状態で
ある。また、記録/再生の終了した微動アクチュエータ
52がそれぞれオントラックしていたトラックに向けて
変位することを位置情報処理部105の機能で抑制して
いる。このため、微動アクチュエータ52の変位により
振動が発生する頻度を低く抑え、高精度な位置決め状態
のもとで、安定に記録/再生を行うことができる。
【0222】そして、記録/再生処理が終了した微動ア
クチュエータ52に対しては印加する駆動電圧のレベル
が抑制されるため、微動アクチュエータを構成する圧電
素子の寿命を有利にする。
【0223】なお、実施の形態8〜10においては、中
央値選択部101の入力信号について、これを微動アク
チュエータ52の変位量を検出した相対変位信号xとし
ているが、各微動アクチュエータをモデル化した状態推
定部を設け、この状態推定部により生成された信号を相
対変位信号xとしてもよく、この場合も同様の効果が得
られる。
【0224】(実施の形態11)本発明の実施の形態1
1を図33に基づいて説明する。図31、図32に示す
実施の形態10の変形の実施の形態として、次のように
構成してもよい。すなわち、図31における中央値選択
部101から入力選択部104を省略し、実施の形態8
の場合の図28に示すのと同様の中央値選択部101と
し、かつ、微動位置決め制御部1500については図3
1、図32に示す位置情報処理部105を有する構成で
ある。
【0225】以下、ソフトウェア構成の実施の形態につ
いて説明する。
【0226】(実施の形態12)本発明の実施の形態1
2を図34、図35に基づいて説明する。本実施の形態
は、図28に示す実施の形態8に対応してソフトウェア
構成としたものである。機構的な構成については、図2
6、図27と同様である。本実施の形態においては、主
要な処理をマイクロプロセッサで行う。
【0227】位置決め制御部6Bは、マイクロプロセッ
サ110、メモリ111、メモリ111に格納されたヘ
ッド位置決めのための制御プログラム112、共通バス
113、ヘッド位置検出部114、A/D変換器11
5、D/A変換器116,117を備えている。ヘッド
位置検出部114、A/D変換器115およびD/A変
換器116は微動アクチュエータ52の数だけある。
【0228】マイクロプロセッサ110は、メモリ11
1に格納されている制御プログラム112に基づいて全
体の制御を行う。各微動アクチュエータ52からのアナ
ログの相対変位信号x(1)〜x(N)を各A/D変換
器115でデジタルの相対変位データに変換し、共通バ
ス113を介してマイクロプロセッサ110に送出す
る。また、各ヘッド位置検出部114は、各ヘッド2か
らのサーボ情報を入力した上でヘッド位置データを抽出
し、共通バス113を介してマイクロプロセッサ110
に送出する。マイクロプロセッサ110は、上記の相対
変位データ、ヘッド位置データを入力し、このデータと
目標位置データに基づいて制御データを生成する。マイ
クロプロセッサ110は、生成した制御データを共通バ
ス113を介してD/A変換器116,117に送出す
る。各D/A変換器116に対しては各微動アクチュエ
ータ52を制御するデータを送出し、D/A変換器11
7に対しては粗動アクチュエータ51を制御するデータ
を送出する。各D/A変換器116は入力したデジタル
データをアナログの微動駆動信号u(B)に変換し、各微
動アクチュエータ52を制御する。D/A変換器117
は入力したデジタルデータをアナログの粗動駆動信号u
(S)に変換し、粗動アクチュエータ51を制御する。
【0229】以下、制御プログラム112に基づく制御
動作を図35のフローチャートに従って説明する。
【0230】ステップ200において、制御プログラム
112を呼び出し、処理を開始する。ステップ201に
おいて、ヘッド位置検出部114が入力したサーボ情報
から現在位置を示すヘッド位置データを読み込む。ステ
ップ202では、目標位置データからヘッド位置データ
を減算し、その結果のヘッド位置誤差データを一時記憶
する。ステップ203では、ヘッド位置誤差データに対
して所定の位相特性および周波数特性と所定のゲインで
位相補償の演算処理を行い、微動制御データとして一時
記憶する。ステップ204では、微動制御データをD/
A変換器116に出力する。D/A変換器116は、微
動制御データに基づいた微動駆動信号u(B)を微動ア
クチュエータ52に出力する。ステップ205では、N
個あるすべての微動アクチュエータ52に対して処理が
終了したかどうか確認する。まだの場合は、次の微動ア
クチュエータ52に対して、ステップ201からの同様
の処理を実行する。すべての微動アクチュエータ52に
対して処理が終了した場合、次のステップに移る。以
上、ステップ201からステップ205までは、微動ア
クチュエータ52を制御するための微動制御手段230
としての機能である。
【0231】次に、ステップ206では、A/D変換器
115より微動アクチュエータ52の相対変位データを
読み込んで一時記憶する。ステップ207では、すべて
の微動アクチュエータ52に対して、相対変位データの
読み込みが終了したかどうか確認する。まだの場合は、
次の微動アクチュエータ52に対して、ステップ206
の同様の処理を実行する。すべての微動アクチュエータ
52に対して処理が終了した場合、次のステップに移
る。ステップ208では、読み込んだ複数の相対変位デ
ータの大きさを比較し、大きさの順に順位付けをし、順
位が中央に位置する相対変位データを中央値データとし
て選択する。以上、ステップ206からステップ208
までは、各相対変位データより中央値データを選択する
ための中央値選択手段240としての機能である。
【0232】次に、ステップ209では、選択した中央
値データに対して所定の位相特性および周波数特性で位
相補償の演算処理を行い、粗動制御データとして一時記
憶する。ステップ210では、粗動制御データをD/A
変換器117に出力する。D/A変換器117は、粗動
制御データに基づいた粗動駆動信号u(S)を粗動アクチ
ュエータ51に出力する。以上、ステップ209および
ステップ210は、粗動アクチュエータ51を制御する
ための粗動制御手段250としての機能である。
【0233】ステップ211で、ディスク装置全体を制
御しているメインのプログラムに戻る。位置決め制御に
関しては、シーク制御やトラックフォローイング制御な
どをメインのプログラムで監視している。ステップ21
1でメインのプログラムに戻ると、メインのプログラム
は、適宜、図35に示したステップを繰り返す。これに
より、各ヘッド2の位置決め制御を行う。
【0234】本実施の形態は、実施の形態8の図28の
位置決め制御系モデルで説明したのと同じ動作原理に基
づいており、実施の形態8と同様の効果が得られる。
【0235】(実施の形態13)本発明の実施の形態1
3を図34、図36に基づいて説明する。本実施の形態
は、図30に示す実施の形態9に対応してソフトウェア
構成としたものである。
【0236】ステップ206aでは、A/D変換器11
5より微動アクチュエータ52の相対変位データを読み
込んで一時記憶する。次に、ステップ206bにおい
て、メインプログラムで生成されたアクセス指令データ
の情報を利用して、ヘッド2を目標トラックに対してア
クセス中か否かを判定し、アクセス中であれば、ステッ
プ206cに進んで、相対変位データを一時記憶する。
アクセス中でなければ、ステップ207にスキップす
る。ステップ207では、N個あるすべての微動アクチ
ュエータ52に対して、相対変位データの読み込みが終
了したかどうか確認する。まだの場合は、次の微動アク
チュエータ52に対して、ステップ206aからステッ
プ207までの同様の処理を実行する。すべての微動ア
クチュエータ52に対して処理が終了した場合、次のス
テップに移る。ステップ208では、読み込んだ複数の
相対変位データの大きさを比較し、大きさの順に順位付
けをし、順位が中央に位置する相対変位データを中央値
データとして選択する。以上、ステップ206aからス
テップ208までは、各相対変位データより中央値デー
タを選択するための中央値選択手段240aとしての機
能である。その他の動作については、実施の形態12と
同様であるので説明を省略する。
【0237】本実施の形態は、実施の形態9の図30の
位置決め制御系モデルで説明したのと同じ動作原理に基
づいており、同様の効果が得られる。
【0238】(実施の形態14)本発明の実施の形態1
4を図34、図37に基づいて説明する。本実施の形態
は、図31に示す実施の形態10に対応してソフトウェ
ア構成としたものである。
【0239】ステップ201において、ヘッド位置検出
部114が入力したサーボ情報から現在トラックを示す
トラック位置データを読み込む。ステップ202aで
は、目標位置データからトラック位置データを減算し、
その結果のトラック位置誤差データを一時記憶する。ま
た、サーボ情報に含まれるバースト信号からトラック内
の位置誤差データを検出し、一時記憶する。ステップ2
02bでは、メインプログラムで生成されたアクセス指
令データの情報を利用して、ヘッド2を目標トラックに
対してアクセス中か否かを判定し、アクセス中でなけれ
ば、ステップ202cに進んで、トラック位置誤差デー
タをゼロとする。アクセス中であれば、ステップ203
にスキップする。ステップ203では、記憶しておいた
トラック位置誤差データおよびトラック内の位置誤差デ
ータを読み出し、両者を合わせてヘッド位置誤差データ
とする。さらにヘッド位置誤差データに対して所定の位
相特性および周波数特性と所定のゲインで位相補償の演
算処理を行い、微動制御データとして一時記憶する。ス
テップ204では、微動制御データをD/A変換器11
6に出力する。D/A変換器116は、微動制御データ
に基づいた微動駆動信号u(B)を微動アクチュエータ
52に出力する。ステップ205では、N個あるすべて
の微動アクチュエータ52に対して処理が終了したかど
うか確認する。まだの場合は、次の微動アクチュエータ
52に対して、ステップ201からの同様の処理を実行
する。すべての微動アクチュエータ52に対して処理が
終了した場合、次のステップに移る。以上、ステップ2
01からステップ205までは、微動アクチュエータ5
2を制御するための微動制御手段230aとしての機能
である。また、次のステップ206aからステップ20
8までは、図36で示した処理と同様の処理を行う。そ
の他の動作については、実施の形態12と同様であるの
で説明を省略する。
【0240】本実施の形態は、実施の形態10の図31
の位置決め制御系モデルで説明したのと同じ動作原理に
基づいており、実施の形態10と同様の効果が得られ
る。
【0241】(実施の形態15)本発明の実施の形態1
5を図34、図38に基づいて説明する。本実施の形態
は、図33に示す実施の形態11に対応してソフトウェ
ア構成としたものである。これは、実施の形態12の図
35におけるステップ202の代わりに、実施の形態1
4におけるステップ202a〜202cを設定したもの
である。
【0242】なお、上記において、制御プログラム11
2を格納する機械読み取り可能な記録媒体としてのメモ
リ111としては、ROM(リードオンリーメモリ)で
もよいし、他の記録媒体からダウンロードして記憶する
RAM(ランダムアクセスメモリ)でもよい。また、マ
イクロプロセッサと一体のメモリに制御プログラム11
2を格納してもよい。
【0243】また、実施の形態12〜15においては、
中央値選択手段で用いる相対変位データについて、微動
アクチュエータ52の変位量を検出した検出信号に基づ
く相対変位データとして説明したが、各微動アクチュエ
ータをモデル化した状態推定手段として機能させるステ
ップを設け、これにより生成されたデータを相対変位デ
ータとしてもよく、この場合も同様の効果が得られる。
【0244】また、実施の形態12〜15において、相
対変位データの数が偶数の場合や、同一の値が生じた場
合については、2つの中央値データのうち小さい方の相
対変位データを中央値データとして選択するステップを
設ければよい。
【0245】光ディスク装置も粗動位置決め用のステッ
ピングモータやDCモータと微動位置決め用の光ピック
アップという2ステージアクチュエータでトラッキング
を行っている。光ディスク装置の場合、ロングストロー
クシークの場合、DCモータで粗動位置決めを行い、そ
の後に光ピックが目標トラックにヘッドを追従させる。
また、このときに光ピックが動作範囲を超えないよう
に、光ピックの制御時の位置誤差のうち、DC成分がゼ
ロになるようにDCモータを制御している。また、ここ
では、トラックフォローイングや1トラックシークにお
いては微動アクチュエータにヘッドの目標位置との位置
誤差をフィードバックし、ヘッド変位検出信号からの信
号がゼロになるように制御し、ロングシークにおいて
は、高速化のために微動アクチュエータにヘッドの目標
位置との位置誤差をフィードバックし、ヘッド変位検出
信号からの信号より粗動アクチュエータによるヘッド移
動量を演算し、移動量とヘッドの目標位置との位置誤差
をフィードバックしている。微動アクチュエータの動作
範囲を超えるような目標位置へのトラッキングは高速化
のために、粗動アクチュエータへも目標位置を入力して
いる。本発明は、このような光ディスク装置に適用する
ことも可能である。
【0246】なお、上述してきた各実施の形態におい
て、ハードウエア構成のものについては、これをマイク
ロコンピュータによるソフトウェア構成により実現する
ようにしてもよいし、逆に、ソフトウェア構成のものに
ついては、これをハードウエア構成により実現するよう
にしてもよい。
【0247】
【発明の効果】本発明によれば、一方において、ディス
ク回転同期外乱によるヘッド位置ずれに対する補償を、
微動アクチュエータではなく、粗動アクチュエータの駆
動において行うように構成してあるとともに、他方にお
いて、圧電素子利用の微動アクチュエータの駆動信号の
レベルを、電気化学反応による圧電素子の特性劣化が生
じるしきい値以下となしてある。その結果、駆動信号レ
ベルが高いことに起因する電気化学反応により圧電素子
が腐食して特性が劣化するといった課題を解決すること
ができる。以上の相乗効果によって、目標トラックに対
するヘッドの高速高精度な位置決めの機能を長期間にわ
たって持続させることができる。それゆえに、ひいて
は、高記録密度のディスク装置の実現を有効に展開でき
る。
【0248】また、ヘッド、微動アクチュエータ、ヘッ
ド支持機構が複数ある場合に、アクセス順位などの重要
度に関係なく、各微動アクチュエータからの複数の相対
変位値の中から選択した中央値に基づいて粗動アクチュ
エータの制御を行うので、常に、中央に位置する微動ア
クチュエータが優先され、この中央の微動アクチュエー
タが常にホームポジションに位置するように制御する。
したがって、複数のディスクでトラックがウォブリング
して複数のヘッドの変位量および変位方向がリアルタイ
ムかつランダムに変動しても、粗動アクチュエータによ
る複数のヘッド支持機構の頻繁な移動は発生しにくく、
動きのより少ない安定した制御を行うことができる。そ
して、トラック追従動作において、中央に位置するヘッ
ドが目標トラックに達すると、それ以降は微動アクチュ
エータの変位量がゼロとなる。中央値信号がゼロに収束
し、粗動アクチュエータによるヘッド支持機構の移動は
なくなり、この状態で中央以外のヘッドのトラック追従
動作が行われる。これは、最も安定した状態でのトラッ
ク追従動作である。すなわち、振動の発生を抑制した状
態での、高精度で安定したヘッドの位置決め制御が行え
る。
【0249】オントラック動作をより高速に行って振動
発生を抑制するには、微動アクチュエータを構成する圧
電素子に対してより高い電圧を印加すればよいとする考
え方がある。しかしながら、印加電圧が過剰であると、
圧電素子において鉛の析出、特性劣化、さらには圧電素
子破壊の問題が生じる。本発明では、圧電素子への印加
電圧に制限を加えて圧電素子の特性劣化を回避する一方
で、選択した中央値による粗動アクチュエータの制御で
振動発生を抑制するという巧妙な手法をとっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のヘッド位置決め装置
を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図2】 実施の形態1のヘッド位置決め装置の構成を
示すブロック図
【図3】 実施の形態1における微動制御系の構成を示
すブロック図
【図4】 実施の形態1における粗動制御系の構成を示
すブロック図
【図5】 本発明の各実施の形態における微動アクチュ
エータを伴うヘッド支持機構の構成を示す平面図
(a)、ヘッド支持機構の側面図(b)、微動アクチュ
エータの構成図(c)、ヘッド支持機構の構成を示す底
面図
【図6】 PZT素子内の酸化鉛の電気化学反応の説明
【図7】 PZT素子の電気化学反応を示す概略図
【図8】 鉛が析出する電気化学反応における印加電圧
(電位差)とPZT素子に流れる電流との関係を表す図
【図9】 PZT素子に対する印加電圧と流れる電流と
の関係を示す図
【図10】 PZT素子に対する印加電圧と内部の電気
抵抗値との関係を示す図
【図11】 PZT素子に対する印加電圧と電界との関
係を膜厚をパラメータにして表す図
【図12】 実施の形態1における回転同期外乱の特性
の説明図
【図13】 実施の形態1の場合のトラックフォローイ
ング時のヘッド位置誤差信号の波形図(a)、粗動アク
チュエータの駆動電流の波形図(b)、微動アクチュエ
ータの駆動電圧の波形図(c)
【図14】 外乱補償部を有しない比較例の場合のトラ
ックフォローイング時のヘッド位置誤差信号の波形図
(a)、粗動アクチュエータの駆動電流の波形図
(b)、微動アクチュエータの駆動電圧の波形図(c)
【図15】 本発明の実施の形態2のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図16】 本発明の実施の形態3のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図17】 本発明の実施の形態4のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図18】 本発明の実施の形態5のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図19】 本発明の実施の形態6のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図20】 本発明の実施の形態7のヘッド位置決め装
置を含む磁気ディスク装置の概略構成図
【図21】 実施の形態7のヘッド位置決め装置の構成
を示すブロック図
【図22】 実施の形態7における微動制御系の構成を
示すブロック図
【図23】 実施の形態7における粗動制御系の構成を
示すブロック図
【図24】 本発明の実施の形態7の変形の実施の形態
のヘッド位置決め装置を含む磁気ディスク装置の概略構
成図
【図25】 実施の形態7の変形の実施の形態のヘッド
位置決め装置の構成を示すブロック図
【図26】 本発明の実施の形態8のヘッド位置決め装
置の概略構成図
【図27】 実施の形態8のヘッド位置決め装置を搭載
した磁気ディスク装置の概略のブロック図
【図28】 実施の形態8のヘッド位置決め装置の構成
を示すブロック図
【図29】 実施の形態8のヘッド位置決め装置の動作
説明図
【図30】 本発明の実施の形態9のヘッド位置決め装
置の構成を示すブロック図
【図31】 本発明の実施の形態10のヘッド位置決め
装置の構成を示すブロック図
【図32】 実施の形態10の微動位置決め制御部の構
成を示すブロック図
【図33】 本発明の実施の形態11のヘッド位置決め
装置の構成を示すブロック図
【図34】 実施の形態12のヘッド位置決め装置を搭
載した磁気ディスク装置の概略のブロック図
【図35】 実施の形態12のヘッド位置決め装置の機
能構成を示すフローチャート
【図36】 実施の形態13のヘッド位置決め装置の機
能構成を示すフローチャート
【図37】 実施の形態14のヘッド位置決め装置の機
能構成を示すフローチャート
【図38】 実施の形態15のヘッド位置決め装置の機
能構成を示すフローチャート
【図39】 比較例のヘッド位置決め装置を搭載した磁
気ディスク装置の概略のブロック図
【図40】 ヘッドおよび微動アクチュエータが1つの
場合の動作説明図(a)、比較例の場合の動作説明図
(b)
【図41】 第1の従来例における概略構成図
【図42】 第2の従来例における概略構成図
【図43】 第3の従来例における概略構成図
【符号の説明】
1 磁気ディスク(情報記録ディスク) 2 磁気ヘッド 3 ヘッドスライダ 4 ヘッド支持機構 5 位置決め機構 51 粗動アクチュエータ 52 微動アクチュエータ 6,6A 位置決め制御部 7 スピンドルモータ 8 回動軸 9 フレクシャ 10 磁気ディスク装置筐体 11 回転体 60 ヘッド位置検出部 61 状態推定部 611 VCM状態推定部 612 MA状態推定部 62 微動制御部 63 粗動制御部 64 微動駆動部 65 粗動駆動部 66 駆動信号制限部 67 回転同期外乱補償部 68 回転同期誤差測定部 69 同期外乱補償調節部 70 高周波フィルタ 71 低周波フィルタ 72 定常偏差補償調節部 81 回転同期外乱補償部 82 回転同期誤差測定部 83 同期外乱補償調節部 101 中央値選択部 102 比較部 103 選択部 104 入力選択部 105 位置情報処理部 110 マイクロプロセッサ 111 メモリ 112 制御プログラム 113 共通バス 114 位置検出部 115 A/D変換器 116,117 D/A変換器 1000 微動制御系 1500 微動位置決め制御部 2000 粗動制御系
フロントページの続き (72)発明者 稲治 利夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D042 LA01 MA15 5D059 AA01 BA01 CA18 DA19 EA08 5D096 NN03 NN07

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録ディスクに対してアクセスを行
    う記録/再生用のヘッドを粗動アクチュエータと微動ア
    クチュエータとで位置制御する2ステージアクチュエー
    タ方式で構成され、かつ、前記微動アクチュエータが圧
    電素子を利用して構成されているヘッド位置決め装置で
    あって、 前記微動アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱に
    よる前記ヘッドの目標トラックからの位置ずれに対する
    補償を前記粗動アクチュエータの駆動において行うよう
    に構成してあるとともに、前記圧電素子利用の微動アク
    チュエータの駆動信号レベルを、電気化学反応による圧
    電素子の特性劣化が生じるしきい値以下に設定してある
    ことを特徴とするヘッド位置決め装置。
  2. 【請求項2】 情報記録ディスクに対してアクセスを行
    う記録/再生用のヘッドを2ステージアクチュエータ方
    式で位置決め制御する粗動アクチュエータおよび微動ア
    クチュエータと、 前記粗動アクチュエータと微動アクチュエータを制御す
    る位置決め制御部とを備え、 前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成さ
    れ、 前記位置決め制御部は、少なくとも前記粗動アクチュエ
    ータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制御す
    る粗動制御部からなる粗動制御系、および、前記微動ア
    クチュエータを駆動する微動駆動部と、この微動駆動部
    を制御する微動制御部からなる微動制御系を備えて構成
    されているヘッド位置決め装置であって、 前記微動アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱に
    よる前記ヘッドの目標トラックからの位置ずれに対する
    補償を前記粗動アクチュエータの駆動において行うよう
    に分離する位置誤差分離部と、 前記微動制御部から前記微動駆動部に対して与える微動
    制御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特
    性劣化が生じるしきい値以下に制限する駆動信号制限部
    とを備えていることを特徴とするヘッド位置決め装置。
  3. 【請求項3】 情報記録ディスクに対してアクセスを行
    う記録/再生用のヘッドを粗動アクチュエータと微動ア
    クチュエータとで位置制御する2ステージアクチュエー
    タ方式で構成され、かつ、前記微動アクチュエータが圧
    電素子を利用して構成されているヘッド位置決め装置で
    あって、 前記ディスクの回転同期外乱による前記ヘッドの目標ト
    ラックからの位置ずれに対する補償を前記粗動アクチュ
    エータの駆動において行うように構成してあるととも
    に、前記圧電素子利用の微動アクチュエータの駆動信号
    のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特性劣化が
    生じるしきい値以下に設定してあることを特徴とするヘ
    ッド位置決め装置。
  4. 【請求項4】 情報記録ディスクに対してアクセスを行
    う記録/再生用のヘッドを2ステージアクチュエータ方
    式で位置決め制御する粗動アクチュエータおよび微動ア
    クチュエータと、 前記粗動アクチュエータと微動アクチュエータを制御す
    る位置決め制御部とを備え、 前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成さ
    れ、 前記位置決め制御部は、少なくとも前記粗動アクチュエ
    ータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制御す
    る粗動制御部からなる粗動制御系、および、前記微動ア
    クチュエータを駆動する微動駆動部と、この微動駆動部
    を制御する微動制御部からなる微動制御系を備えて構成
    されているヘッド位置決め装置であって、 前記ディスクの回転同期外乱による前記ヘッドの目標ト
    ラックからの位置ずれを前記粗動制御系で補償する外乱
    補償部と、 前記微動制御部から前記微動駆動部に対して与える微動
    制御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特
    性劣化が生じるしきい値以下に制限する駆動信号制限部
    とを備えていることを特徴とするヘッド位置決め装置。
  5. 【請求項5】 前記位置決め制御部は、 トラック追従時に前記ディスクの回転同期外乱による前
    記ヘッドの目標トラックからの位置ずれを補償する外乱
    補償部と、 前記外乱補償部による補償量を前記粗動制御系と微動制
    御系に与える場合において、前記微動アクチュエータの
    駆動信号のレベルが前記しきい値以下で補償するよう
    に、前記外乱補償部による補償量に前記両制御系それぞ
    れに重み付けを行った上で、それぞれの重み付け補償量
    を前記粗動制御系と前記微動制御系とに与える同期外乱
    補償調節部とを含む請求項4に記載のヘッド位置決め装
    置。
  6. 【請求項6】 前記位置決め制御部は、 摩擦などの定値外乱に対してヘッドを目標トラックに追
    従させるための定常偏差補償部と、 トラック追従時に前記微動制御部がしきい値を超える制
    御量を出力しないために前記両制御部の定常偏差補償部
    の出力に重み付けを行う定常偏差補償調節部とを含む請
    求項4に記載のヘッド位置決め装置。
  7. 【請求項7】 前記粗動制御系は、低周波帯域に重みの
    ある重み関数を前記制御量に乗じた量を、制御量として
    前記粗動アクチュエータに与える低周波フィルタを含ん
    でいる一方、 前記微動制御系は、高周波帯域に重みのある重み関数を
    前記制御量に乗じた量を、制御量として前記微動アクチ
    ュエータに与える高周波フィルタを含んでいる請求項4
    に記載のヘッド位置決め装置。
  8. 【請求項8】 前記微動アクチュエータにおける圧電素
    子は、鉛とジルコニアとチタンで構成される薄膜のPZ
    T素子である請求項1から請求項7までのいずれかに記
    載のヘッド位置決め装置。
  9. 【請求項9】 前記しきい値は、鉛の分解電圧範囲を含
    む状態で設定されている請求項1から請求項8までのい
    ずれかに記載のヘッド位置決め装置。
  10. 【請求項10】 前記しきい値は、水の分解電圧範囲を
    含み、かつ、前記圧電素子の電気抵抗値が1MΩ以上と
    なる条件下で設定されている請求項1から請求項8まで
    のいずれかに記載のヘッド位置決め装置。
  11. 【請求項11】 前記しきい値は、水の分解電圧範囲を
    含み、かつ、前記微動アクチュエータに対する駆動信号
    の電圧レベルVと前記圧電素子内を流れる電流Iとの関
    係がV/I>106[Ω]となる条件下で設定されてい
    る請求項1から請求項8までのいずれかに記載のヘッド
    位置決め装置。
  12. 【請求項12】 前記しきい値は、水の分解電圧範囲を
    含み、かつ、前記微動アクチュエータに対する駆動信号
    の電圧レベルVと前記圧電素子の膜厚tとの関係がV/
    t<2×107[V/m]となる条件下で設定されてい
    る請求項1から請求項8までのいずれかに記載のヘッド
    位置決め装置。
  13. 【請求項13】 前記しきい値は、温度85℃、湿度9
    0%の環境下で、500時間連続駆動したときに、前記
    圧電素子の電気抵抗値が1MΩ以上となる条件下で設定
    されている請求項1から請求項12までのいずれかに記
    載のヘッド位置決め装置。
  14. 【請求項14】 前記微動制御系は、前記微動アクチュ
    エータによる補償量がゼロの場合には、前記圧電素子に
    加える電圧がゼロまたは前記しきい値の1/2で一定値
    のオフセット電圧を出力し、前記補償量がゼロ以外の場
    合には、その補償量の値に応じた正負の電圧を前記オフ
    セット電圧に加えて制御駆動する請求項1から請求項1
    3までのいずれかに記載のヘッド位置決め装置。
  15. 【請求項15】 前記微動アクチュエータの駆動信号に
    おけるオフセット電圧は、水の分解電圧以下(ゼロを含
    む)であることを特徴とする請求項14に記載のヘッド
    位置決め装置。
  16. 【請求項16】 ヘッドにより再生されるディスク上の
    サーボ情報からのヘッド位置データと前記ヘッドを目標
    位置に位置決めするための目標位置データとの位置誤差
    を位置誤差データとするステップと、 前記位置誤差データに基づいて前記ヘッドの微動アクチ
    ュエータの変位量を制御する微動制御データを生成する
    ステップと、 前記微動制御データに基づく信号を微動駆動信号とし前
    記微動アクチュエータに出力するステップと、 前記ヘッドの粗動アクチュエータまたは前記微動アクチ
    ュエータの変位量に対応した相対変位データを入力する
    ステップと、 前記相対変位データに基づいて前記粗動アクチュエータ
    の変位量を制御する粗動制御データを生成するステップ
    と、 前記粗動制御データに基づいた信号を粗動駆動信号とし
    て前記粗動駆動アクチュエータに出力するステップとを
    含むヘッド位置決め制御方法において、 さらに、前記微動制御データに基づく信号を前記微動ア
    クチュエータに出力するに当たって、前記微動アクチュ
    エータの特性が変化するしきい値で前記微動制御データ
    を制限した実微動制御データを生成し、この実微動制御
    データを前記微動制御データに置き換えて出力するステ
    ップと、 ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた同期外
    乱位置誤差データを前記相対変位データに加算した結果
    を補正相対変位データとして生成するステップと、 前記補正相対変位データに基づいて前記粗動アクチュエ
    ータの変位量を制御する粗動制御データを生成するステ
    ップとを含んでいることを特徴とするヘッド位置決め制
    御方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載のヘッド位置決め制
    御方法において、さらに、 ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた同期外
    乱位置誤差データを生成するステップと、 前記補正相対変位データの生成に代えて、前記同期外乱
    位置誤差データに基づいて前記粗動アクチュエータの変
    位量を制御する同期外乱粗動制御データを生成するステ
    ップと、 前記同期外乱粗動制御データを前記粗動制御データに加
    算した結果を補正粗動制御データとして生成するステッ
    プと、 前記補正粗動制御データに基づいた粗動駆動信号として
    前記粗動アクチュエータに出力するステップとを含んで
    いることを特徴とするヘッド位置決め制御方法。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載のヘッド位置決め制
    御方法において、さらに、 ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた同期位
    置誤差補正データを微動制御系と粗動制御系とに重みを
    付けて配分して同期外乱微動位置誤差データと同期外乱
    粗動位置誤差データとを生成するステップと、前記同期
    外乱微動位置誤差データを前記位置誤差データに加算し
    た結果を補正位置誤差データとするステップと、 前記同期外乱粗動位置誤差データを前記相対変位データ
    に加算した結果を補正相対変位データとするステップと
    を含んでいることを特徴とするヘッド位置決め制御方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載のヘッド位置決め制
    御方法において、さらに、 ディスク回転同期外乱による位置誤差に基づいた同期外
    乱制御データを微動制御系と粗動制御系とに重みを付け
    て配分して同期外乱微動制御データと同期外乱粗動制御
    データとを生成するステップと、 前記同期外乱微動制御データを前記微動制御データに加
    算した結果を補正微動制御データとして出力するステッ
    プと、 前記同期外乱粗動制御データを前記粗動制御データに加
    算した結果を補正粗動制御データとして出力するステッ
    プとを含んでいることを特徴とするヘッド位置決め制御
    方法。
  20. 【請求項20】 請求項16または請求項18に記載の
    ヘッド位置決め制御方法において、さらに、 前記微動制御データに高周波領域のみを通過させる高周
    波フィルタ処理をかけて前記微動アクチュエータに出力
    するステップと、 前記粗動制御データに低周波領域のみを通過させる低周
    波フィルタ処理をかけて前記粗動アクチュエータに出力
    するステップとを含んでいることを特徴とするヘッド位
    置決め制御方法。
  21. 【請求項21】 請求項16から請求項19までのいず
    れかに記載のヘッド位置決め制御方法において、さら
    に、 前記微動制御データの微動定常偏差補償データと前記粗
    動制御データの粗動定常偏差補償データとを入力信号と
    して、微動制御系と粗動制御系とに重みを付けて配分し
    て微動定常偏差補償データと粗動定常偏差補償データと
    を生成するステップと、 前記微動制御データに前記微動定常偏差補償データを加
    算して補正微動制御データを生成して出力するステップ
    と、 前記粗動制御データに前記粗動定常偏差補償データを加
    算して補正粗動制御データを生成して出力するステップ
    とを含んでいることを特徴とするヘッド位置決め制御方
    法。
  22. 【請求項22】 請求項16から請求項21までのいず
    れかに記載のヘッド位置決め制御方法を実行させるよう
    にプログラミングしてあることを特徴とするヘッド位置
    決め制御プログラム。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載のヘッド位置決め制
    御プログラムを具備していることを特徴とする情報記録
    再生装置。
  24. 【請求項24】 同軸状の複数の情報記録ディスクに対
    してそれぞれアクセスを行う記録/再生用の複数のヘッ
    ドと、 前記各ヘッドを微小変位させる複数の微動アクチュエー
    タと、 前記各微動アクチュエータを支持する複数のヘッド支持
    機構と、 前記複数のヘッド支持機構を一括駆動する粗動アクチュ
    エータとを含み、 前記各ヘッドが前記ディスクから読み取ったヘッド位置
    信号に基づいて対応する各ヘッドが目標トラックに追従
    するように各微動アクチュエータを制御するように構成
    するとともに、 前記各微動アクチュエータの相対変位値のうちの中央値
    を選択し、選択した中央値に基づいて粗動アクチュエー
    タを制御するように構成してあることを特徴とするヘッ
    ド位置決め装置。
  25. 【請求項25】 前記各微動アクチュエータの変位、お
    よび前記粗動アクチュエータによる前記各ヘッド支持機
    構の移動を制御する制御部を具備し、 前記制御部は、 前記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情
    報に含まれるヘッド位置信号と前記各ヘッドの目標位置
    信号との差分をヘッド位置誤差信号とし、前記ヘッド位
    置誤差信号に基づいて前記各微動アクチュエータを制御
    し、前記各ヘッド毎の位置決め制御を行う複数の微動位
    置決め制御部と、 前記各微動アクチュエータからの複数の相対変位信号の
    うちの中央に位置する前記相対変位信号を中央値信号と
    して選択する中央値選択部と、 前記選択した中央値信号に基づいて前記粗動アクチュエ
    ータによる前記ヘッド支持機構の一括した移動を制御す
    る粗動制御系とを含むことを特徴とする請求項24に記
    載のヘッド位置決め装置。
  26. 【請求項26】 前記中央値選択部は、前記各微動アク
    チュエータからの複数の相対変位信号のうち前記ヘッド
    に対するアクセス指令信号がアクティブとなっている相
    対変位信号を前記中央値選択の候補として選択し、前記
    候補として選択した複数の相対変位信号のうちの中央に
    位置する前記相対変位信号を前記中央値信号として選択
    する請求項25に記載のヘッド位置決め装置。
  27. 【請求項27】 前記微動位置決め制御部は、前記ヘッ
    ドに対するアクセス指令信号がアクティブのときに、前
    記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情報
    に含まれるトラック位置信号とバースト復調信号との組
    み合わせで前記ヘッドの位置決め制御を行い、前記アク
    セス指令信号がインアクティブのときに、前記トラック
    位置信号を除外し前記バースト復調信号で前記ヘッドの
    位置決め制御を行う請求項25に記載のヘッド位置決め
    装置。
  28. 【請求項28】 前記中央値選択部は、前記各微動アク
    チュエータからの複数の相対変位信号のうち前記ヘッド
    に対するアクセス指令信号がアクティブとなっている相
    対変位信号を前記中央値選択の候補として選択し、前記
    候補として選択した複数の相対変位信号のうちの中央に
    位置する前記相対変位信号を前記中央値信号として選択
    し、 かつ、前記微動位置決め制御部は、前記ヘッドに対する
    アクセス指令信号がアクティブのときに、前記各ヘッド
    毎に再生される前記ディスク上のサーボ情報に含まれる
    トラック位置信号とバースト復調信号との組み合わせで
    前記ヘッドの位置決め制御を行い、前記アクセス指令信
    号がインアクティブのときに、前記トラック位置信号を
    除外し前記バースト復調信号で前記ヘッドの位置決め制
    御を行う請求項25に記載のヘッド位置決め装置。
  29. 【請求項29】 前記中央値信号を選択するための前記
    各相対変位信号の数が偶数の場合は、2つある前記中央
    値信号のうち前記相対変位信号が小さい方の前記相対変
    位信号を前記中央値信号として選択する請求項25に記
    載のヘッド位置決め装置。
  30. 【請求項30】 前記相対変位信号は、前記各微動アク
    チュエータをモデル化した推定器により生成される信号
    である請求項25に記載のヘッド位置決め装置。
  31. 【請求項31】 前記制御部は、前記各微動アクチュエ
    ータおよび前記粗動アクチュエータを制御可能なマイク
    ロプロセッサと、 前記マイクロプロセッサを動作させるためのプログラム
    を格納するメモリと、 前記マイクロプロセッサを動作させるための前記プログ
    ラムとを備え、 前記プログラムは、前記マイクロプロセッサが前記プロ
    グラムを読み取って実行することにより前記ヘッド位置
    決め制御機能を実現させるヘッド位置決め制御プログラ
    ムを含むことを特徴とする請求項25に記載のヘッド位
    置決め装置。
  32. 【請求項32】 前記ヘッド位置決め制御プログラム
    は、 前記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情
    報に含まれるヘッド位置データと前記各ヘッドの目標位
    置データとの差分をヘッド位置誤差データとし、前記ヘ
    ッド位置誤差データに基づいて前記各微動アクチュエー
    タを制御し、前記各ヘッド毎の位置決め制御を行う複数
    の微動位置決め制御手段と、 前記各微動アクチュエータからの複数の相対変位データ
    のうちの中央に位置する前記相対変位データを中央値デ
    ータとして選択する中央値選択手段と、 前記選択した中央値データに基づいて前記粗動アクチュ
    エータによる前記ヘッド支持機構の一括した移動を制御
    する粗動制御系手段とを含む請求項31に記載のヘッド
    位置決め装置。
  33. 【請求項33】 前記中央値選択手段は、前記各微動ア
    クチュエータからの複数の相対変位データのうち前記ヘ
    ッドに対するアクセス指令データがアクティブとなって
    いる相対変位データを前記中央値データの候補として選
    択し、前記候補として選択した複数の相対変位データの
    うちの中央に位置する前記相対変位データを前記中央値
    データとして選択する請求項32に記載のヘッド位置決
    め装置。
  34. 【請求項34】 前記微動位置決め制御手段は、前記ヘ
    ッドに対するアクセス指令データがアクティブのとき
    に、前記各ヘッド毎に再生される前記ディスク上のサー
    ボ情報に含まれるトラック位置信号とバースト復調信号
    との組み合わせで前記ヘッドの位置決め制御を行い、前
    記アクセス指令データがインアクティブのときに、前記
    トラック位置信号を除外し前記バースト復調信号で前記
    ヘッドの位置決め制御を行う請求項32に記載のヘッド
    位置決め装置。
  35. 【請求項35】 前記中央値選択手段は、前記各微動ア
    クチュエータからの複数の相対変位データのうち前記ヘ
    ッドに対するアクセス指令データがアクティブとなって
    いる相対変位データを前記中央値選択の候補として選択
    し、前記候補として選択した複数の相対変位データのう
    ちの中央に位置する前記相対変位データを前記中央値デ
    ータとして選択し、 かつ、前記微動位置決め制御手段は、前記ヘッドに対す
    るアクセス指令データがアクティブのときに、前記各ヘ
    ッド毎に再生される前記ディスク上のサーボ情報に含ま
    れるトラック位置信号とバースト復調信号との組み合わ
    せで前記ヘッドの位置決め制御を行い、前記アクセス指
    令データがインアクティブのときに、前記トラック位置
    信号を除外し前記バースト復調信号で前記ヘッドの位置
    決め制御を行う請求項32に記載のヘッド位置決め装
    置。
  36. 【請求項36】 前記中央値データを選択するための前
    記各相対変位データの数が偶数の場合は、2つある前記
    中央値データのうち前記相対変位データが小さい方の前
    記相対変位データを前記中央値データとして選択する請
    求項31に記載のヘッド位置決め装置。
  37. 【請求項37】 前記相対変位データは、前記各微動ア
    クチュエータをモデル化した推定手段により生成される
    データである請求項31に記載のヘッド位置決め装置。
  38. 【請求項38】 同軸状に配置された複数の情報記録デ
    ィスクに情報の記録再生を行う情報記録再生装置におい
    て、 前記ディスクのそれぞれの記録再生面に対して配置さ
    れ、前記ディスクと前記情報の伝達を行うヘッドを搭載
    し、制御量に応じて変位することにより前記ヘッドの微
    細な位置決めを行う複数の微動アクチュエータと、 前記各微動アクチュエータを搭載したヘッド支持機構を
    一括して移動させ、前記各ヘッドの粗い位置決めを行う
    粗動アクチュエータと、 前記各微動アクチュエータの変位および前記粗動アクチ
    ュエータによる前記各ヘッドの移動を制御する制御部と
    を具備したヘッド位置決め装置を制御するプログラムで
    あって、 前記制御部を、 前記各ヘッド毎に再生された前記ディスク上のサーボ情
    報からのヘッド位置データと、前記各ヘッドをそれぞれ
    の目標位置に位置決めするための目標位置データとの差
    分をヘッド位置誤差データとして、前記ヘッド位置誤差
    データに基づいて前記微動アクチュエータの変位をそれ
    ぞれ制御することで、前記各ヘッド毎の位置決め制御を
    行う複数の微動制御手段、 前記各微動アクチュエータの変位の量である変位量に対
    応したデータを相対変位データとしてそれぞれ検出し、
    検出した前記各相対変位データの大きさを比較し、大き
    さの順に順位付けをしたとき、その順位が中央に位置す
    る前記相対変位データを中央値データとして選択する中
    央値選択手段、 前記中央値データとして選択した前記相対変位データに
    基づいて、前記粗動アクチュエータによる前記ヘッド支
    持機構の一括した移動を制御することで、前記各ヘッド
    の一括した位置決め制御を行う粗動制御手段、として機
    能させるためのヘッド位置決め制御プログラム。
  39. 【請求項39】 前記相対変位データは、前記各微動ア
    クチュエータをモデル化した推定手段により生成された
    データであることを特徴とする請求項38に記載のヘッ
    ド位置決め制御プログラム。
  40. 【請求項40】 前記中央値選択手段は、 情報の記録または再生を行う目標トラックに前記ヘッド
    をアクセス中か否かを前記各ヘッド毎に示す、それぞれ
    のアクセス指令データを入力し、 前記アクセス指令データに応じて、前記目標トラックに
    アクセス中である前記ヘッドを搭載した前記微動アクチ
    ュエータの相対変位データを選択し、 選択した前記各相対変位データの中から前記中央値デー
    タとする前記相対変位データを選択することを特徴とす
    る請求項38または請求項39に記載のヘッド位置決め
    制御プログラム。
  41. 【請求項41】 前記微動制御手段は、 前記アクセス指令データを入力し、 前記アクセス指令データに応じて、アクセス中でない前
    記ヘッドを搭載した前記微動アクチュエータに対して
    は、前記サーボ情報からのトラック範囲内の位置情報を
    示すバースト復調信号からのみ検出された位置誤差デー
    タに基づいて、それぞれのアクセス中でない前記ヘッド
    を搭載した前記微動アクチュエータの変位を制御し、 前記中央値選択手段は、 情報の記録または再生を行う目標トラックに、前記ヘッ
    ドをアクセス中か否かを前記各ヘッド毎に示す、それぞ
    れのアクセス指令データを入力し、 前記各アクセス指令データに応じて、前記目標トラック
    にアクセス中である前記ヘッドを搭載した前記微動アク
    チュエータの相対変位データを選択し、 選択した前記各相対変位データの中から前記中央値デー
    タとする前記相対変位データを選択することを特徴とす
    る請求項38または請求項39に記載のヘッド位置決め
    制御プログラム。
  42. 【請求項42】 前記中央値データを選択するための前
    記各相対変位データの数が偶数の場合は、2つある前記
    中央値データのうち前記相対変位データの大きさが小さ
    い方の前記相対変位データを前記中央値データとして選
    択することを特徴とする請求項38から請求項41まで
    のいずれかに記載のヘッド位置決め制御プログラム。
  43. 【請求項43】 請求項38から請求項42までのいず
    れか1項に記載のヘッド位置決め制御プログラムを記録
    した領域を有する機械読み取り可能な記録媒体。
  44. 【請求項44】 請求項24から請求項37までのいず
    れか1項に記載のヘッド位置決め装置を具備している情
    報記録再生装置。
  45. 【請求項45】 請求項38から請求項42までのいず
    れか1項に記載のヘッド位置決め制御プログラムを具備
    している情報記録再生装置。
  46. 【請求項46】 請求項43に記載の記録媒体を具備し
    ている情報記録再生装置。
  47. 【請求項47】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 かつ、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構
    成されている情報記録再生装置であって、 前記圧電素子利用の微動アクチュエータの駆動信号のレ
    ベルを、電気化学反応による圧電素子の特性劣化が生じ
    るしきい値以下に設定してあることを特徴とする情報記
    録再生装置。
  48. 【請求項48】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成さ
    れ、 前記位置決め制御部は、少なくとも前記粗動アクチュエ
    ータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制御す
    る粗動制御部からなる粗動制御系、および、前記微動ア
    クチュエータを駆動する微動駆動部と、この微動駆動部
    を制御する微動制御部からなる微動制御系を備えて構成
    されている情報記録再生装置であって、 前記微動制御部から前記微動駆動部に対して与える微動
    制御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特
    性劣化が生じるしきい値以下に制限する駆動信号制限部
    を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
  49. 【請求項49】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 かつ、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構
    成されている情報記録再生装置であって、 前記微動アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱に
    よる前記ヘッドの目標トラックからの位置ずれに対する
    補償を前記粗動アクチュエータの駆動において行うよう
    に構成してあるとともに、前記圧電素子利用の微動アク
    チュエータの駆動信号レベルを、電気化学反応による圧
    電素子の特性劣化が生じるしきい値以下に設定してある
    ことを特徴とする情報記録再生装置。
  50. 【請求項50】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構成さ
    れ、 前記位置決め制御部は、少なくとも前記粗動アクチュエ
    ータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制御す
    る粗動制御部からなる粗動制御系、および、前記微動ア
    クチュエータを駆動する微動駆動部と、この微動駆動部
    を制御する微動制御部からなる微動制御系を備えて構成
    されている情報記録再生装置であって、 前記微動アクチュエータの規定の動作範囲以上の外乱に
    よる前記ヘッドの目標トラックからの位置ずれに対する
    補償を前記粗動アクチュエータの駆動において行うよう
    に分離する位置誤差分離部と、 前記微動制御部から前記微動駆動部に対して与える微動
    制御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特
    性劣化が生じるしきい値以下に制限する駆動信号制限部
    とを備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
  51. 【請求項51】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 かつ、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構
    成されている情報記録再生装置であって、 前記ディスクの回転同期外乱による前記ヘッドの目標ト
    ラックからの位置ずれに対する補償を前記粗動アクチュ
    エータの駆動において行うように構成してあるととも
    に、前記圧電素子利用の微動アクチュエータの駆動信号
    のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特性劣化が
    生じるしきい値以下に設定してあることを特徴とする情
    報記録再生装置。
  52. 【請求項52】 回転自在な情報記録ディスクと、 前記ディスクに対してアクセスを行う記録/再生用のヘ
    ッドと、 前記ヘッドを微小変位させる微動アクチュエータと、 前記微動アクチュエータを支持するヘッド支持機構と、 前記ヘッド支持機構を駆動する粗動アクチュエータと、 前記ヘッドを前記粗動アクチュエータと微動アクチュエ
    ータとの2ステージアクチュエータ方式で位置制御する
    位置決め制御部とを備え、 かつ、前記微動アクチュエータが圧電素子を利用して構
    成され、 前記位置決め制御部は、少なくとも前記粗動アクチュエ
    ータを駆動する粗動駆動部と、この粗動駆動部を制御す
    る粗動制御部からなる粗動制御系、および、前記微動ア
    クチュエータを駆動する微動駆動部と、この微動駆動部
    を制御する微動制御部からなる微動制御系を備えて構成
    されている情報記録再生装置であって、 前記ディスクの回転同期外乱による前記ヘッドの目標ト
    ラックからの位置ずれを前記粗動制御系で補償する外乱
    補償部と、 前記微動制御部から前記微動駆動部に対して与える微動
    制御信号のレベルを、電気化学反応による圧電素子の特
    性劣化が生じるしきい値以下に制限する駆動信号制限部
    とを備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
  53. 【請求項53】 前記位置決め制御部は、 トラック追従時に前記ディスクの回転同期外乱による前
    記ヘッドの目標トラックからの位置ずれを補償する外乱
    補償部と、 前記外乱補償部による補償量を前記粗動制御系と微動制
    御系に与える場合において、前記微動アクチュエータの
    駆動信号のレベルが前記しきい値以下で補償するよう
    に、前記外乱補償部による補償量に前記両制御系それぞ
    れに重み付けを行った上で、それぞれの重み付け補償量
    を前記粗動制御系と前記微動制御系とに与える同期外乱
    補償調節部とを含む請求項52に記載の情報記録再生装
    置。
  54. 【請求項54】 前記位置決め制御部は、 摩擦などの定値外乱に対してヘッドを目標トラックに追
    従させるための定常偏差補償部と、 トラック追従時に前記微動制御部がしきい値を超える制
    御量を出力しないために前記両制御部の定常偏差補償部
    の出力に重み付けを行う定常偏差補償調節部とを含む請
    求項52に記載の情報記録再生装置。
  55. 【請求項55】 前記粗動制御系は、低周波帯域に重み
    のある重み関数を前記制御量に乗じた量を、制御量とし
    て前記粗動アクチュエータに与える低周波フィルタを含
    んでいる一方、 前記微動制御系は、高周波帯域に重みのある重み関数を
    前記制御量に乗じた量を、制御量として前記微動アクチ
    ュエータに与える高周波フィルタを含んでいる請求項5
    2に記載の情報記録再生装置。
JP2002215186A 2001-07-31 2002-07-24 ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置 Pending JP2003157632A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002215186A JP2003157632A (ja) 2001-07-31 2002-07-24 ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231435 2001-07-31
JP2001-231435 2001-07-31
JP2001270162 2001-09-06
JP2001-270162 2001-09-06
JP2002215186A JP2003157632A (ja) 2001-07-31 2002-07-24 ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006024554A Division JP2006155885A (ja) 2001-07-31 2006-02-01 ヘッド位置決め装置および情報記録再生装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003157632A true JP2003157632A (ja) 2003-05-30

Family

ID=27347255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002215186A Pending JP2003157632A (ja) 2001-07-31 2002-07-24 ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003157632A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7038877B2 (en) 2003-03-12 2006-05-02 Matsushita Electric Idustrial Co., Ltd. Head positioning apparatus
JP2006121796A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電体アクチュエータの制御方法および位置制御機構並びにディスク装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7038877B2 (en) 2003-03-12 2006-05-02 Matsushita Electric Idustrial Co., Ltd. Head positioning apparatus
JP2006121796A (ja) * 2004-10-20 2006-05-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電体アクチュエータの制御方法および位置制御機構並びにディスク装置
JP4665477B2 (ja) * 2004-10-20 2011-04-06 パナソニック株式会社 圧電体アクチュエータの制御方法および位置制御機構並びにディスク装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7031099B2 (en) Head positioner and information recording/replaying apparatus
US7292403B2 (en) Low frequency disturbance compensation control device and disk drive using the same
US7019938B2 (en) Head positioning method, and disk apparatus using the same
US6952320B1 (en) Virtual tracks for repeatable runout compensation
WO2000042603A1 (en) Method and apparatus for adaptive feedforward cancellation
JP4807496B2 (ja) ハードディスクドライブのトラック探索制御方法,記録媒体,およびハードディスクドライブ
US6490119B1 (en) Method and apparatus for maintaining servo stability during actuator saturation
US7038877B2 (en) Head positioning apparatus
US9542966B1 (en) Data storage devices and methods with frequency-shaped sliding mode control
US7394613B2 (en) Control device, disk device, and seek orbit generation method
JP2003157632A (ja) ヘッド位置決め装置、ヘッド位置決め制御方法および情報記録再生装置
KR100852644B1 (ko) 시크 제어 방법, 시크 제어 장치 및 디스크 장치
Lee et al. VCM design to improve dynamic performance of an actuator in a disk drive
US6661599B1 (en) Enhanced adaptive feedforward control to cancel once-per-revolution disturbance by shaping the internal mode
JP2002288954A (ja) ヘッド位置決め装置、微動アクチュエータ駆動装置、ヘッド位置決め制御方法、ヘッド位置決め制御プログラムおよびディスク装置
JP2006155885A (ja) ヘッド位置決め装置および情報記録再生装置
US6891692B2 (en) Disk drive apparatus, head position control method, and hard disk drive
JP4868419B2 (ja) 情報記憶装置
JP2006147116A (ja) ヘッド位置決め制御装置、ディスク装置
JP4160008B2 (ja) ヘッド位置決め装置
JP2000311454A (ja) ディスク装置
JP2002352534A (ja) 位置決め制御装置
JP2003022633A (ja) ディスク状記録媒体、ディスク装置、サーボ情報書き込み方法、およびサーボ情報書き込み装置
JP2002269939A (ja) ディスク装置
KR20090125691A (ko) 정보 기억 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050617

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060201

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060215

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20060428