JP2003156444A - 蛍光性スフェアを用いての分子の簡易比色アッセイ - Google Patents

蛍光性スフェアを用いての分子の簡易比色アッセイ

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JP2003156444A
JP2003156444A JP2001358195A JP2001358195A JP2003156444A JP 2003156444 A JP2003156444 A JP 2003156444A JP 2001358195 A JP2001358195 A JP 2001358195A JP 2001358195 A JP2001358195 A JP 2001358195A JP 2003156444 A JP2003156444 A JP 2003156444A
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sphere
molecule
spheres
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Toshihiro Ihara
敏博 井原
Yasushi Chikaura
靖 近浦
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Kumamoto Technology and Industry Foundation
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Kumamoto Technology and Industry Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、蛍光性のナノスフェアを利用した
核酸、タンパク質等の分子のアッセイ方法に関する。 【解決手段】 蛍光物質をそれぞれ含む少なくとも2種
類のスフェアと標的分子を接触させ、形成された蛍光性
スフェアの凝集体の蛍光を測定することを含む、該標的
分子を検出する方法であって、各スフェアはそれぞれ該
標的分子の異なる部分に結合する分子で修飾されてお
り、任意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2
種類の分子は該標的分子の異なる部分に結合する、蛍光
性スフェアを用いて分子を検出する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光性のナノスフ
ェアを利用した核酸(1本鎖DNAまたはRNA)、タンパク
質等の分子のアッセイ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生物種、生物個体、疾病等の同定には、
遺伝子の解析が最も有効かつ信頼できる手法である。現
在、ヒトやその他の様々な生物のゲノムが解析され、そ
の情報を利用することが可能になった。言い換えると、
遺伝子解析の素地が整ってきた。遺伝子診断において、
現在最も注目を集めているのは、遺伝情報における個人
差、すなわち一塩基多型(SNP: single nucleotide pol
ymorphism)である。
【0003】SNPの解析により、遺伝病はもちろんのこ
と、その他の種々の疾病への罹りやすさ、薬剤への感受
性、副作用の有無等の予測が予め可能になることでその
個人に合わせたオーダーメイドな医療を行うことができ
ることが期待される。現在、このSNPを解析するためにS
SCP(single-stranded conformation polymorphism)、
RFLP(restriction fragment length polymorphism)な
どの様々な手法が用いられているが、いずれも操作が繁
雑であり、一般性に欠けていた。RIを使わず、簡便かつ
高感度な新規なSNP解析法の開発が望まれていた。
【0004】一方、近年DNAをその構造体の一部として
用いたナノストラクチャの構築が盛んに行われている
(Niemeyer, C. M. et al., Angew. Chem. Int. Ed. 20
00, 39, 3056; Mori, T. et al., Biotech. Bioeng. 20
01, 72, 261-268; Shchepinov,M.S. et al., Nucleic A
cids Res. 1999, 27, 3035; Cassell, A. M et al., An
gew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 1528; Ihara, T. et a
l., Chem. Lett. 1999,1041; Markin, C. A. et al., N
ature 1996, 382, 607. 8. ; Park, S. J. etal., Ange
w. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 3845.; Elghanian, R. e
t al., Science 1997, 277, 1078.; Taton, T.A. et a
l., Science 2000, 289, 1757.; Loweth, C.J. et al.,
Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 1808.; Mao, C. et
al., Nature 1999, 397, 144.; Sha, R. et al., Che
m. Biol. 2000, 7, 743.; LaBean,T.H. et al., J. Am.
Chem. Soc. 2000, 122, 1848.)。特に、近年直径数nm
の金の超微粒子の表面にDNAを固定化し、特異的な構
造、凝集体形成に関する研究が行われている。これらの
研究のなかには、DNAを固定化した金の超微粒子の分散
溶液に第3のDNAを添加しその架橋反応による金微粒子
同士を結合させて、遺伝子のSNPアッセイを行うことに
ついての研究もなされていた。この方法は、簡便な解析
を可能にし得る。しかし、このような検出方法では、一
度に1つのSNPの解析しかできないため、一度に得られ
る情報量が少なく、特に一度にヘテロ接合体の検出を行
うことができず、ハイスループットスクリーニング(HT
S: highthroughput screening)に対応することができ
なかった。また、吸収光の測定では十分な感度を得るこ
とができなかった。そこで、従来法よりも簡便かつ高感
度で一度に得られる情報量が多く、ハイスループットス
クリーニングに対応できるアッセイ方法が望まれてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来法の欠
点を克服し簡便かつ高感度で一度に得られる情報量が多
く、ハイスループットスクリーニングに対応できるアッ
セイ方法であって、検出しようとする物質に結合する物
質で修飾した(結合させた)蛍光性の(蛍光色素を含む)
ナノスフェア(ナノサイズの微粒子)を利用した新規な
アッセイ方法を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】遺伝情報を簡便に分析す
るためには、塩基配列の差異という分子レベルの情報を
容易にモニタ可能な情報に変換する必要がある。本発明
者らは、ナノサイズの粒子が溶液に分散した時には可視
光の波長よりも充分に小さいために分子の溶解と同様に
完全に透明な溶液を与えるが、一旦凝集が始まると、そ
の凝集体は容易にマイクロメートルサイズに達するた
め、これを光散乱、光学顕微鏡など種々の従来の分光学
的手法で観察することができることに着目し、このナノ
サイズのブロック同士の凝集を何らかの刺激でコントロ
ールすることができればそれはその刺激の高感度な検出
法となるであろうと考えた。本発明者らは、鋭意検討の
結果、DNAまたはRNAを化学的に修飾したスフェア(ポリ
スチレン製)を用いて核酸同士のハイブリダイゼーショ
ンに基づくスフェアの凝集を利用したSNP解析法である
本発明を完成させるに至った。
【0007】核酸同士のハイブリダイゼーションは精緻
な分子認識の極致である。十数塩基の中の1塩基の変異
でさえ、ハイブリダイゼーションの熱力学に少なからず
影響を与える。2種類のスフェアを準備する。標的遺伝
子の一部に相補的な十数塩基のオリゴヌクレオチドを片
方のスフェアに化学修飾する。もう1つのスフェアには
標的の別の部位に相補的なオリゴヌクレオチドを同様に
修飾する。これら2種のスフェアの混合分散溶液に標的
1本鎖DNAまたはRNAを添加すると両スフェアは標的を挟
んだサンドイッチ型の3元複合体を形成することで互い
に結合する。1つのスフェアには恐らく数百分子のオリ
ゴヌクレオチドが導入可能であるから2種のスフェア同
士は互いに3次元的に結合し、次第に大きな凝集体へと
成長する。このとき、添加したDNAまたはRNAに変異があ
れば凝集は起こらない。それぞれのスフェアとして異な
る色の蛍光色素を含んだものを用いれば、凝集体はそれ
らの色の合成色となり、異なる蛍光色素を含んだ複数の
スフェアを利用した多色アッセイにより一度に大量の情
報を得ることのできるアッセイが可能になる。また、本
方法は、DNA、RNAに限らず特異的な結合をし得るタンパ
ク質等の分子にも適用可能である。
【0008】すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1) 蛍光物質をそれぞれ含む少なくとも2種類のス
フェアと標的分子を接触させ、形成された蛍光性スフェ
アの凝集体の蛍光を測定することを含む、該標的分子を
検出する方法であって、各スフェアはそれぞれ該標的分
子の異なる部分に結合する分子で修飾されており、任意
の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2種類の分
子は該標的分子の異なる部分に結合する、蛍光性スフェ
アを用いて分子を検出する方法。
【0009】(2) 第1の蛍光波長を有する第1の蛍
光物質を含む第1のスフェアであって標的分子の第1の
部分に結合し得る分子を用いて修飾された第1のスフェ
アと第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有する
第2の蛍光物質を含む第2のスフェアであって前記標的
分子の第1の部分とは異なる第2の部分に結合し得る分
子を用いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェ
アを用いる、(1)の分子を検出する方法。
【0010】(3) 蛍光波長の異なる蛍光物質をそれ
ぞれ含む3種類のスフェアを用い、各スフェアはそれぞ
れ標的分子の異なる部分に結合する分子で修飾されてお
り、任意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2
種類の分子は標的分子の異なる部分に結合する、(1)
の分子を検出する方法。
【0011】(4) 用いる複数の種類のスフェアが含
む蛍光物質の蛍光波長がそれぞれ異なっている、(1)
〜(3)のいずれかの分子を検出する方法。
【0012】(5) 標的分子が1本鎖核酸であり、ス
フェアの修飾に用いる分子が該核酸の部分配列に相補的
なオリゴヌクレオチドである、(1)〜(4)のいずれ
かの分子を検出する方法。
【0013】(6) 1塩基多型(SNP)を検出するた
めの、(5)の方法。
【0014】(7) がん抑制遺伝子p53の1塩基多型
(SNP)を検出するための(6)の方法。
【0015】(8) 標的分子がタンパク質であり、ス
フェアの修飾に用いる分子が該タンパク質に特異的に結
合する分子である、(1)〜(4)のいずれかの分子を
検出する方法。
【0016】(9) 標的分子が抗体または抗原であ
り、スフェアの修飾に用いる分子が標的分子が抗体のと
きは該抗体が特異的に認識する抗原であり、標的分子が
抗原のときは該抗原を特異的に認識する抗体であり、標
的分子が抗体のときの標的分子の異なる部分が抗体のそ
れぞれの抗原結合部分である、(8)の分子を検出する
方法。
【0017】(10) 第1の蛍光波長を有する第1の
蛍光物質を含む第1のスフェアであって標的核酸の第1
の部分配列に相補的なオリゴヌクレオチドを用いて修飾
された第1のスフェア、第1の蛍光波長とは異なる第2
の蛍光波長を有する第2の蛍光物質を含む第2のスフェ
アであって前記標的核酸の第1の部分配列とは異なる第
2の部分配列に相補的な第2のオリゴヌクレオチドを用
いて修飾された第2のスフェアならびに第1および第2
の蛍光波長とは異なる第3の蛍光波長を有する第3の蛍
光物質を含む第3のスフェアであって前記標的核酸の第
1の部分配列および第2の部分配列とは異なる第3の部
分配列に相補的な第3のオリゴヌクレオチドを用いて修
飾された第3のスフェアを前記標的核酸と接触させ、形
成された蛍光性スフェアの凝集体の蛍光を測定すること
を含む、(5)の方法。
【0018】(11) 第2の部分配列が野生型遺伝子
の部分配列であり、第3の部分配列が前記野生型遺伝子
の部分配列に対応する変異遺伝子の部分配列であって第
2の部分配列に対して1塩基の変異を有するものであ
る、(10)の方法。
【0019】(12) 第1の蛍光波長を有する第1の
蛍光物質を含む第1のスフェアであって標的核酸の第1
の部分配列に相補的な第1のオリゴヌクレオチドで修飾
された第1のスフェアおよび前記第1の蛍光波長とは異
なる第2の蛍光波長を有する第2の蛍光物質を含む第2
のスフェアであり前記標的核酸の前記第1の部分配列と
は異なる第2の部分配列であって1塩基多型を含む部分
の野生型または変異型核酸に相補的なオリゴヌクレオチ
ドで修飾したスフェアを、前記標的核酸の野生型核酸ま
たは変異型核酸と接触させ、前記第1のスフェアおよび
第2のスフェアの混合凝集体の形成を、該凝集体から前
記第1および第2の波長の蛍光が同時に発生しているか
どうかを測定することにより決定する、SNPを検出する
ための方法。
【0020】(13) 標的核酸がヘテロ接合体のよう
な遺伝子混合物である遺伝的多型を検出するための、
(10)の方法。
【0021】(14) FRET(蛍光共鳴エネルギー移
動)を解析することにより、スフェア凝集体を検出す
る、(1)〜(13)のいずれかの方法。
【0022】(15) 蛍光性スフェアを用いた分子を
検出するためのキットであって、蛍光物質をそれぞれ含
む少なくとも2種類のスフェアであって、それぞれ該標
的分子の異なる部分に結合する分子で修飾されているス
フェアを含むキット。
【0023】(16) 第1の蛍光波長を有する第1の
蛍光物質を含む第1のスフェアであって標的分子の第1
の部分に結合し得る分子を用いて修飾された第1のスフ
ェアと第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有す
る第2の蛍光物質を含む第2のスフェアであって前記標
的分子の第1の部分とは異なる第2の部分に結合し得る
分子を用いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフ
ェアを含む、(15)のキット。
【0024】(17) 蛍光波長の異なる蛍光物質をそ
れぞれ含む3種類のスフェアであって、各スフェアはそ
れぞれ標的分子の異なる部分に結合する分子で修飾され
ており、任意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾してい
る2種類の分子は標的分子の異なる部分に結合する、
(15)のキット。
【0025】(18) 用いる複数の種類のスフェアが
含む蛍光物質の蛍光波長がそれぞれ異なっている、(1
7)のキット。
【0026】(19) スフェアの修飾に用いる分子が
標的核酸の部分配列に相補的なオリゴヌクレオチドであ
る、核酸を検出するための(16)〜(18)のいずれ
かのキット。
【0027】(20) 1塩基多型(SNP)を検出する
ための、(19)のキット。
【0028】(21) がん抑制遺伝子p53の1塩基多
型(SNP)を検出するための、(20)のキット。
【0029】(22) スフェアの修飾に用いる分子が
標的タンパク質に特異的に結合する分子である、タンパ
ク質を検出するための(16)〜(18)のいずれかの
キット。
【0030】(23) スフェアの修飾に用いる分子が
標的分子が抗体のときは該抗体が特異的に認識する抗原
であり、標的分子が抗原のときは該抗原を特異的に認識
する抗体であり、標的分子が抗体のときの標的分子の異
なる部分が抗体のそれぞれの抗原結合部分である、抗体
または抗原を検出するための(22)のキット。
【0031】(24) 第1の蛍光波長を有する第1の
蛍光物質を含む第1のスフェアであって抗原の第1の部
分に結合し得る抗体を用いて修飾された第1のスフェア
と第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有する第
2の蛍光物質を含む第2のスフェアであって前記抗原の
第1の部分とは異なる第2の部分に結合し得る抗体を用
いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェアが抗
原を介して形成された凝集体に、サンプルを添加し、該
サンプル中に標的抗原または標的抗体が存在する場合に
生じる凝集体の解離を蛍光の測定により検出することを
含む、サンプル中の抗原または抗体の検出方法。
【0032】(25) 第1の蛍光波長を有する第1の
蛍光物質を含む第1のスフェアであって抗体に結合し得
る抗原を用いて修飾された第1のスフェアと第1の蛍光
波長とは異なる第2の蛍光波長を有する第2の蛍光物質
を含む第2のスフェアであって前記抗体に結合し得る抗
原を用いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェ
アを介して形成された凝集体に、サンプルを添加し、該
サンプル中に標的抗体または標的抗原が存在する場合に
生じる凝集体の解離を蛍光の測定により検出することを
含む、サンプル中の抗体または抗原の検出方法。以下、
本発明を詳細に説明する。
【0033】
【発明の実施の形態】本明細書において、「蛍光性スフ
ェア」とは蛍光色素を含むスフェアを意味し、蛍光色素
で修飾されたスフェアや蛍光色素を含浸したスフェアを
含む。また、「標的分子」とは、本発明の方法で検出し
ようとするDNAまたはRNA、タンパク質等の分子を意味す
る。さらに、「分子で修飾」とは分子を結合させ、また
は分子とのコンジュゲートを形成させることを意味す
る。さらに、「標的分子に結合し得る分子」とは、標的
分子が核酸のときは該核酸の部分配列に相補的なオリゴ
ヌクレオチド、標的分子がレセプターであるときは該レ
セプターに対するリガンド、標的分子が酵素または基質
であるときは該酵素または基質に特異的に反応する基質
または酵素、標的分子が抗原または抗体のときは該抗原
または抗体と特異的に結合する抗体または抗原である。
「標的分子の異なる部分」とは標的分子が抗原の場合は
異なる場所に存在するエピトープであり、標的分子が抗
体の場合は、2価の抗体のそれぞれの抗原結合部位をい
う。抗原のエピトープが異なる場所にあれば、それぞれ
のエピトープを構成するアミノ酸配列は同じであっても
よい。また抗体の2つの抗原結合部位も、同じもの、す
なわち同一の抗原の同一のエピトープに結合するもので
あってもよいし、2重結合性抗体またはキメラ抗体のよ
うに異なるもの、すなわち異なるエピトープに結合する
ものであってもよい。また、1つのアッセイ系で複数の
蛍光波長、蛍光色素、スフェア、DNAまたはRNAの部分配
列やタンパク質の特定の部分のような分子の部分が関与
する場合、それぞれ「第1の」、「第2の」または「第
3の」と称することで区別するが、これはそれぞれを区
別するために用いており、数字の序順には特別な意味は
ない。
【0034】1.本発明に用いるスフェアの作製 〔スフェアの作製〕本発明において用いるスフェアの材
質は限定されず、検査薬、DNAチップ、DNAマイクロアレ
イ等の技術分野でDNAならびに抗体、抗原、リガンド、
レセプター等のタンパク質を結合する固相担体の材料に
用いられるものを用いることができる。例えば、ポリス
チレン、ポリカーボネート等の樹脂が挙げられ、好まし
くは蛍光色素を含浸させた場合であってもスフェアから
の発光を検出し得る無色透明の樹脂が好ましく、特にポ
リスチレンが好ましい。
【0035】スフェアの直径も限定されないが、好まし
くは10〜100nm、特に好ましくは40〜50nmである。スフ
ェアは、蛍光色素で修飾して(蛍光性スフェア)本発明
に用いる。修飾方法はスフェア表面への結合でもよい
が、スフェア形成時にスフェアに含浸させるのが好まし
い。また、市販の蛍光色素含浸スフェア(例えば、Fluo
Sphere, Molecular Probes, Inc., Eugene, OR 製)を
用いることもできる。
【0036】スフェアを修飾する蛍光色素の種類も限ら
れず、検査薬、DNAチップ、DNAマイクロアレイ技術等の
分野で用いられるものを用いることができる。また、異
なる蛍光波長を有する複数の蛍光色素(例えば、緑色と
赤色の2種類)で修飾した複数のスフェアを用い、それ
ぞれのスフェアを標的DNAまたはRNAの部分配列に相補的
なオリゴヌクレオチドで修飾しておくことにより複数の
色を用いた多色アッセイが可能になる。この場合、標的
DNAまたはRNA存在下で異なる蛍光色素で修飾したスフェ
アが集まって凝集し、その凝集体が発する色はそれらの
色の合成色となるので(Green + Red = Yellow、Red +
Blue = Magenta、Blue + Green = Cyan、Green + Blue
+ Red = White)、凝集体の発光を蛍光顕微鏡等で観察
することにより標的DNAまたはRNAの検出が可能になる。
蛍光色素として、例えば、蛍光波長の低いものから、Ca
scade Blue(400/420)、 Alexa-350(346/442)、 AMCA(34
6/442)、 Pacific Blue(410/455)、 Marine Blue(365/4
60)、 Cy2(489/505)、 BODIPY 505/515(505/515)、 FIT
C(494/518)、 Alexa-488(495/519)、 OG-488(496/52
4)、OG-514(511/530)、 Alexa-430(431/541)、 Cas Y(4
02/554)、Alexa-532(530/554)、 Alexa-555(555/565)、
Cy3(552/565)、 Alexa-546(556/575)、 PE-R(565/57
8)、 RITC/TMR(555/580)、 Rhordamine B(570/590)、 C
y3.5(581/596)、 Alexa-568(578/603)、 BODIPY 580/60
5(580/605)、 Alexa-594(590/617)、 TexasRed(595/61
5)、 Alexa-633(632/647)、 APC(650/660)、 Alexa-647
(650/668)、Cy5(650/667)、 Alexa-660(663/690)、 Ale
xa-680(679/702)、 Cy5.5(678/703)等がある(かっこ内
は励起波長/蛍光波長を示す)。これらの蛍光色素を適
宜組合わせてスフェアを修飾し任意の合成色を凝集体か
ら発光させるようにできる。例えば、Cy3およびCy5の組
合わせ、BODIPY 505/515およびBODIPY 580/605の組合わ
せ等を好適に用い得る。
【0037】これらのそれぞれの蛍光色素で修飾された
スフェアの蛍光色素の発する蛍光および異なる蛍光色素
で修飾されたスフェアの凝集体の発する蛍光は、適当な
バンドパスフィルターを用いて蛍光顕微鏡を用いること
により視覚的に認識され、得られた情報は適宜イメージ
プロセッシングソフト等を用いてコンピュータで解析す
ることができる。さらに、蛍光分光光度計を用いても解
析することができる。特に、蛍光分光光度計を用いて蛍
光スペクトルを解析すると、凝集体の1種類の(第1
の)スフェアの(第1の)蛍光色素からのエネルギー移
動により励起された他の種類の(第2の)スフェアの
(第2の)蛍光色素が発する蛍光、すなわちFRET(蛍光
共鳴エネルギー移動)も観察できる。このFRET分析によ
り、凝集体におけるスフェア間の距離の解析が可能にな
る。この際は、第1の蛍光色素の発する蛍光が第2の蛍
光色素を効率的に励起できるような励起波長/蛍光波長
を有する蛍光色素を組合わせて用いればよい。
【0038】〔標的DNAまたはRNAに相補的なオリゴヌク
レオチドによるスフェアの修飾〕蛍光色素含有スフェア
に、標的DNAまたはRNAの部分配列に相補的でありハイブ
リダイゼーションし得るオリゴヌクレオチドを結合させ
スフェアを修飾する。オリゴヌクレオチドとスフェアの
結合もDNAまたはRNAを固相に結合する公知の方法を用い
ることができるが、化学結合を利用して結合させるのが
望ましい。スフェア表面と結合させるオリゴヌクレオチ
ドに官能基を導入し、該2つの官能基に反応性を有する
2つの官能基を有するスペーサーを介して結合させるこ
とができる。または、スフェア表面にカルボキシル基
を、オリゴヌクレオチド末端にアミノ基を導入し、EDAC
等の縮合剤を用いて両者を直接結合させることも可能で
ある。
【0039】スフェアに結合させるオリゴヌクレオチド
は、検出しようとする標的DNAまたはRNAの部分配列に相
補的でハイブリダイゼーションし得るDNAまたはRNAであ
る。この際、1つの標的DNAまたはRNA鎖中の別々の2つ
の部分配列(第1の部分配列および第2の部分配列)に
相補的な2種類のオリゴヌクレオチドを用いる。こうす
ることにより、1つのDNAまたはRNAの異なる2つの箇
所、第1のおよび第2の部分配列に、スフェア表面に結
合した2種類の第1および第2のオリゴヌクレオチドが
結合し、標的DNAまたはRNAを介してスフェア同士が架橋
する。この架橋が進むとスフェアが凝集し、可視的な凝
集体を形成し、検出が可能になる。スフェアの修飾に用
いるオリゴヌクレオチドの長さは、10〜100塩基、好ま
しくは10〜50塩基、さらに好ましくは10〜30塩基であ
る。修飾に用いるオリゴヌクレオチドは少なくとも10塩
基以上が望ましく、これより短くては、効率的なハイブ
リダイゼーションが起こらない。また、標的DNAまたはR
NAに相補的なオリゴヌクレオチドが短い場合でも、dT10
などのスペーサーを利用してトータルで10塩基以上にな
るようなオリゴヌクレオチドで修飾すれば効率的なハイ
ブリダイゼーションが可能になる。
【0040】〔タンパク質によるスフェアの修飾〕本発
明の検出系は、DNAまたはRNAの検出に限らずシグナル-
レセプター、酵素-基質、または抗原-抗体のようなバイ
オアフィニティー、すなわち、結合能と特異性の高い分
子間反応に適用することができる。
【0041】例えば、蛍光色素で修飾したスフェアを抗
体(抗原)で修飾すれば該抗体を認識する抗原(該抗原
が認識する抗体)を検出する系を、特定のリガンド(レ
セプター)で修飾すればリガンド(レセプター)が相互
作用するレセプター(リガンド)を検出する系を確立す
ることができる。さらに、糖とレクチン等の糖結合物質
の結合を利用することもできる。この場合も、それぞれ
の物質の物理・化学的特性に応じてスフェアの修飾方法
を決めることができる。スフェアの修飾の安定性を考え
れば、化学結合を利用するのが好ましいが、タンパク質
等の分子量の大きい物質の場合は、物理的吸着によって
結合させてもよい。スフェア上に修飾するタンパク質量
は、検出しようとする標的タンパク質の種類、分子量、
標的タンパク質と標的タンパク質の結合する分子の組合
わせ等により適宜決定すればよい。通常は、スフェア1
つ当たり数pg〜数μgのタンパク質で修飾すればよい。
【0042】2.修飾蛍光性スフェアを用いての検出 〔DNAまたはRNAの検出〕本発明の方法により特定の核酸
(1本鎖DNAまたはRNA)を検出することができる。標的
DNAまたはRNAは遺伝子疾患の検出においては特定の病気
の原因遺伝子とすることができ、感染症の検出において
は微生物の遺伝子とすることができる。また、特定の組
織、細胞における発現解析もmRNAからcDNAを合成して測
定することにより可能である。さらには、環境中もしく
は食品中の微生物汚染や形質転換植物のトランスジーン
の検出等にも広く用いることができる。サンプルは、検
出対象に応じて、血液、尿等の体液、組織や細胞からの
抽出液、食品や植物等の抽出物などを適宜用いることが
できる。標的DNAまたはRNAで修飾したスフェアを標的DN
AまたはRNAを介して架橋させ、検出可能な凝集体を形成
させるには、一定量以上の標的DNAまたはRNAが必要であ
るが、本発明において数十f mol〜数p mol以下のサンプ
ルがあれば十分検出可能である。凝集体を形成させ得る
量の標的DNAまたはRNAを得るためには、あらかじめ検出
しようとするDNAまたはRNAをPCR、RT-PCR等により増幅
させてサンプルとして用いればよい。
【0043】検出しようとするDNAまたはRNAの第1の部
分配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドで修
飾した蛍光色素を含むスフェアおよび該DNAまたはRNAの
他の第2の部分配列に相補的な配列を有するオリゴヌク
レオチドで修飾した蛍光色素を含むスフェアを用い、こ
れら2種類の修飾蛍光性スフェアと該標的DNAまたはRNA
を接触させることにより、標的DNAまたはRNAを介してス
フェア同士が架橋され徐々にネットワークを形成し3次
元的に集まった凝集体を形成する。この凝集体の有無を
観察することによりDNAまたはRNAを検出することができ
る。凝集体はマイクロメートルサイズの単位で容易に観
察できる。凝集の程度は上述のように蛍光顕微鏡を用い
ても蛍光分光光度計を用いても測定することができる。
【0044】2種類の異なるオリゴヌクレオチドで修飾
するスフェアが含む蛍光色素は同じものであってもよい
が、2種類のスフェアに異なる蛍光色素を含ませれば、
2種類のスフェアが混合して形成する凝集体の発する蛍
光はそれぞれのスフェアに含ませた蛍光色素の発する蛍
光の合成色となり、標的DNAまたはRNAを介さず非特異的
に形成された凝集体と区別できるので、より正確な検出
が可能になる。例えば、赤と緑の蛍光色素をそれぞれ含
むスフェアを用いた場合、両スフェアを含む凝集体は黄
色を発するので容易に観察できる。特に、標的DNAまた
はRNAの1つの配列部分に、該配列部分に相補的なオリ
ゴヌクレオチドを修飾したスフェアの両方が同時にハイ
ブリダイズし、非特異的な凝集体を形成することがあ
る。この場合、1種類の蛍光色素を含んだ蛍光性スフェ
アのみを用いたのでは、標的DNAまたはRNAの配列特異的
に形成された凝集体と標的DNAまたはRNAの配列非特異的
に形成された凝集体の区別は困難である。一方、異なる
蛍光色素を含んだ異なる2種類のスフェアを用いると、
非特異的に形成され1種類のスフェアのみを含む凝集体
では一方の蛍光色素からの蛍光しか検出されないが、特
異的に形成され2種類のスフェアを含む凝集体では、両
方の蛍光色素からの蛍光が検出されるので、両方の色が
合わさって合成色となる。蛍光顕微鏡により凝集体を観
察する際に、用いるバンドパスフィルターの波長を変え
て、それぞれの蛍光とともに合成色を同時に検出すれ
ば、各色を発するスフェアの分布および合成色を発する
スフェアの分布を比較することにより凝集体が特異的に
形成されたものかどうか正確に検出できる(図4Bは、
非特異的な凝集体が形成された例で、図4Cは特異的な
凝集体が形成された例である)。
【0045】第1のスフェアを修飾する第1のオリゴヌ
クレオチドがハイブリダイズする標的DNAまたはRNA上の
部分配列と、第2のスフェアを修飾する第2のオリゴヌ
クレオチドがハイブリダイズする標的DNAまたはRNA上の
部分配列は、標的DNAまたはRNAを介した架橋形成のため
には異なる部分である必要があり、両者が異なる部分で
ある限り、その位置に限定はない。例えば、標的DNAま
たはRNAの5'末端の配列に相補的なオリゴヌクレオチド
と3'末端に相補的なオリゴヌクレオチドを用いればよ
い。但し、標的DNAまたはRNAが長い場合に、両末端の配
列に相補的なオリゴヌクレオチドを2種類のスフェアの
修飾に用いたとき、凝集したスフェア同士の距離が離
れ、凝集体からの蛍光が明瞭でなくなったり、合成色が
明瞭に発生しないことがある。このような場合は、長い
DNAまたはRNAの中間部分に相補的な2種類のオリゴヌク
レオチドまたはいずれかの末端に相補的なオリゴヌクレ
オチドと中間部分に相補的なオリゴヌクレオチドを用い
て、スフェア間の距離を適当に調節することができる。
また、標的DNAまたはRNA上の制限部位が分かっている場
合は、この制限部位近傍(5'側または3'側)の配列に相
補的なオリゴヌクレオチドを選択し、標的DNAまたはRNA
を該制限部位を認識切断する制限酵素を用いて切断して
検出に用いれば、スフェア同士の架橋は制限部位で切断
されたDNAまたはRNA断片を介されるので、凝集時のスフ
ェア間の距離を適当に調節できる。これらのDNAまたはR
NAは前述のようにPCR等により増幅してサンプルとして
用いるのが望ましい。この際、適当な長さのDNAまたはR
NA断片を増幅させるように適当なプライマーを設計し
て、所望の長さのDNAまたはRNAを直接増幅させてもよ
い。
【0046】SNP(一塩基多型)を検出しようとした場
合、少なくとも1つのスフェアを修飾するオリゴヌクレ
オチドをSNPが存在する部分の配列に相補的なものとす
る必要がある。この場合は、オリゴヌクレオチドの配列
をSNP部分に近い制限部位の近傍に相補的なものとした
り、SNP部分に近い部分にプライマーを設計して、PCRで
SNPを含む配列を増幅させればよい。標的配列中の2種類
のスフェア修飾オリゴヌクレオチドに相補的な配列間の
適切な長さは、スフェアを修飾するオリゴヌクレオチド
の塩基長によって異なるが、10〜1000bp、好ましくは10
〜100bp、さらに好ましくは10〜50bpである。
【0047】さらに、1つの標的DNA上にSNP部位が2つ
ある場合でも、一方の部位の野生型配列に相補的なオリ
ゴヌクレオチドで修飾したスフェア、該部位の変異型配
列に相補的なオリゴヌクレオチドで修飾したスフェア、
もう一方の部位の野生型配列に相補的なオリゴヌクレオ
チドで修飾したスフェア、該部位の変異型配列に相補的
なオリゴヌクレオチドで修飾したスフェアを適宜組合わ
せて用いることによる、変異の分析が可能になる。
【0048】修飾蛍光性スフェアと標的DNAまたはRNAと
の接触は、通常のDNAまたはRNAのハイブリダイゼーショ
ンが起こり得る条件で行えばよい。非特異的なハイブリ
ダイゼーションを抑制するためには、よりストリンジェ
ントな条件で接触させればよい。ハイブリダーゼーショ
ンの条件は、塩濃度、温度等を適宜変更して適当な条件
を選択することができる。例えば、通常用いられる緩衝
液にMgCl2等を添加することにより塩濃度を調節して、
適宜ハイブリダイゼーション条件を調節することができ
る。
【0049】本発明の検出法において、例えばサンプル
と修飾蛍光性スフェアをスライドグラス上で混合して凝
集体を形成させることができる。また、チューブ、96ウ
ェルプレートや多数のポットを有するガラスまたはプラ
スチックプレート上で混合して凝集体を形成させてもよ
い。本発明の方法はサンプルとスフェアを一旦混合すれ
ば以後の操作は不要である。凝集体の検出は蛍光顕微鏡
や蛍光分光光度計を用いて容易に行え、試薬の分注、測
定、データ処理を自動化して行い、ハイスループットス
クリーニングに対応させることもできる。
【0050】〔SNPの検出〕本発明の方法により、SNP
(一塩基多型)を検出することができる。SNP検出の例
として、後述の実施例におけるがん抑制遺伝子であるP5
3遺伝子のSNPの検出が挙げられる。SNPを検出する際に
は、スフェアとサンプルDNAまたはRNAを接触させるとき
の塩濃度、温度等の条件を適宜決めれば、標的DNAまた
はRNAの1つのミスマッチも検出することができる。
【0051】ある標的DNAまたはRNAのSNPの存在位置が
わかっている場合、標的DNAまたはRNAのSNPが存在しな
い第1の部分配列に相補的なオリゴヌクレオチドを修飾
した第1の蛍光色素を含む第1の蛍光性スフェアとSNP
が存在する位置を含む第2の部分配列であって野生型遺
伝子の配列に相補的なオリゴヌクレオチドを修飾した他
の第2の蛍光色素を含む第2の蛍光性スフェアを調製
し、DNAまたはRNAを含むサンプルと接触させる。サンプ
ルDNAまたはRNAがSNPを有する場合、第2の蛍光性スフ
ェアのオリゴヌクレオチドが標的DNAまたはRNAの部分配
列とハイブリダイズしないので、凝集体が形成されな
い。一方、サンプルDNAまたはRNAがSNP変異を有しない
野生型の場合、第2の蛍光性スフェアのオリゴヌクレオ
チドが標的DNAまたはRNAの部分配列とハイブリダイズす
るので、凝集体が形成される。このように、凝集体の形
成の有無により、サンプル中のDNAまたはRNAがSNP変異
を有するか否か分かる。
【0052】また、逆に、変異配列に相補的な別のオリ
ゴヌクレオチドで修飾したスフェアを用いることによ
り、SNPの存在を凝集体の形成として特異的に検出する
こともできる。さらに、SNPが存在しない部分配列に相
補的なオリゴヌクレオチド、SNPにより変異した配列に
相補的なオリゴヌクレオチドおよび該配列の野生型の配
列に相補的なオリゴヌクレオチドを用い、それぞれのオ
リゴヌクレオチドで異なる3種類の蛍光色素をそれぞれ
含んだ異なる3種類のスフェアを修飾すれば、野生型の
DNAまたはRNAと変異型のDNAまたはRNAを同時に検出でき
る多色アッセイ系を確立することができる。例えば、SN
Pが存在しない部分配列に相補的なオリゴヌクレオチド
で緑色蛍光色素を含むスフェアを、SNPが存在する部分
の変異した配列に相補的なオリゴヌクレオチドで青色蛍
光色素を含むスフェアを、SNPが存在する部分の野生型
の配列に相補的なオリゴヌクレオチドで赤色蛍光色素を
含むスフェアを修飾する。この場合、野生型DNAまたはR
NAを介して形成される凝集体は緑色と赤色の合成により
黄色となり、変異型DNAまたはRNAを介して形成される凝
集体は緑色と青色の合成によりシアン色となるので、ス
フェアの凝集体の発する色により標的DNAまたはRNAが野
生型か変異型かを区別することができる。図2にこの3
色アッセイの原理を示した。図2中、黒いスフェアは青
色(B)の蛍光色素を含むスフェア、灰色のスフェアは
赤色(R)の蛍光色素を含むスフェア、白色のスフェア
は緑色(G)の蛍光色素を含むスフェアを示す。図2に
示すように溶液の色の変化または凝集体の色により変異
DNAの検出を行うことができる。
【0053】SNPを検出する場合も、SNPを含む配列部分
を適当なプライマーを用いて、PCR等により増幅させれ
ば、凝集体の形成が可能な量の標的DNAまたはRNAを得る
ことができる。さらに、本発明の方法を用いて遺伝子多
型の解析も可能である。例えば、具体例として以下のよ
うな多型解析が挙げられる。
【0054】APOE(アポリポタンパクE遺伝子)の多型
解析 APOEはアルツハイマー病に関与する遺伝子であることが
わかっており、3種類のアイソフォーム(E2、E3、E4)
があることが知られている。したがって、これらの組み
合わせからなる6つの遺伝的多型(E2/E2、E3/E3、E4/E
4、E2/E3、E2/E4、E3/E4)が存在し、そのうち、E4/E4
がアルツハイマー型痴呆症の危険因子である。
【0055】赤(R)、緑(G)、青(B)の3種の色の
スフェアにE2、E3、E4の変異部位に相補的なオリゴヌク
レオチドを化学修飾する。これらスフェアの混合分散溶
液にサンプルを添加すると、それぞれの多型に依存した
色の凝集体が観察できる。つまり、本発明の方法によ
り、ヘテロ接合体(E2/E3、E2/E4、E3/E4)のような遺
伝子の混合物の組成についての情報を得ることができ
る。
【0056】〔タンパク質の検出〕上記、遺伝子検出に
利用したのと全く同じ原理で、すなわち、DNAまたはRNA
同士のハイブリダイゼーションを抗原-抗体間の特異的
結合やリガンド-レセプター間の特異的結合に置き換え
ると様々なアッセイが可能になる。
【0057】この場合、タンパク質を介してスフェア同
士が架橋するためにはタンパク質に複数の結合部位が存
在する必要がある。この複数の結合部位は、タンパク質
が類似の複数のドメインを有する場合のように、同一ま
たは類似のものであってもよいし、異なるものであって
もよい。例えば、スフェアを抗体で修飾して抗原を検出
する場合、抗原に存在する複数のエピトープを認識する
抗体を用いてスフェアを修飾すればよい。また、タンパ
ク質がサブユニット構造を有する場合、それぞれのサブ
ユニットに結合する分子で修飾したスフェアを用いれば
よい。さらに、タンパク質が抗体である場合、結合部位
は抗体の抗原結合部位であり、1つの抗体分子に2つ存
在する。
【0058】例えば、特定のウイルスあるいは細菌を対
象として、抗体固定化スフェアの凝集を利用した多色ア
ッセイが可能である。すなわち、それぞれ対象(特定の
ウイルスあるいは細菌)の異なる箇所をハプテンとして
作製されたモノクローナル抗体を固定化したスフェアの
混合分散溶液に対して試料を添加する。対象が存在する
場合には上述の遺伝子検出と全く同じように対応する色
の凝集体が生成する。逆に抗原で修飾したスフェアを用
いれば該抗原が特異的に結合する抗体を検出することが
できる。
【0059】凝集の程度を合成色の蛍光強度、蛍光顕微
鏡観察による蛍光の分布等を指標として、標的分子を定
量的に検出することも可能である。検出可能なタンパク
質の濃度は、検出しようとする標的タンパク質の種類、
分子量、標的タンパク質の結合する分子の組合わせ等に
より異なるが、数pg/ml〜数μg/mlの範囲で検出可能で
ある。凝集体が形成されるには、適切な標的タンパク質
-スフェアを修飾する分子の量比が存在する。例えば、
標的タンパク質が過剰に存在すると、スフェアを修飾し
ている分子が単独の標的抗原と結合し、架橋が形成され
なくなる。このことを利用して、あらかじめ標的タンパ
ク質量と凝集の程度を関連付けておくことにより、標的
タンパク質を定量的に検出することも可能である。関連
付けは、例えば異なる蛍光色素をそれぞれ含む2種類の
スフェアを用いる検出系の場合、標的タンパク質の量、
濃度に対する2種類の蛍光色素の発する色の合成色の強
度を測定し、標準曲線を作成しておけば定量的検出が可
能である。他のタンパクの関与する特異的反応も全てこ
の系を適用することが可能である。
【0060】また、タンパク質相互の結合反応が濃度に
依存した可逆反応であることを利用して、分子を検出す
ることもできる。すなわち、第1の蛍光波長を有する第
1の蛍光物質を含む第1のスフェアであって第1の分子
の第1の部分に結合し得る分子を用いて修飾された第1
のスフェアと第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長
を有する第2の蛍光物質を含む第2のスフェアであって
前記第1の分子の第1の部分とは異なる第2の部分に結
合し得る分子を用いて修飾された第2のスフェアの2種
類のスフェアが前記第1の分子を介して形成された凝集
体に、前記第1の分子または前記第1の分子と同じもし
くは構造的に類似した部分であって、スフェアを修飾し
た分子が結合し得る部分を有する前記第1の分子の類似
体を添加すると、凝集体が一旦解離する。この際、前記
第1の分子等を添加し過剰に存在させると、スフェアを
修飾した分子が単独の前記第1の分子等と結合し、もは
や凝集体を形成し得なくなる。前記第1の分子等を含む
サンプルを、凝集体に添加した後の該凝集体の解離を蛍
光の変化により測定すれば、サンプル中の標的分子を検
出することが可能である。この場合は、第1の分子また
はその類似体が標的分子である。さらに、分子を介して
形成された凝集体に、スフェアを修飾している分子また
は該分子類似体を添加しても、凝集体が解離し、標的分
子のスフェアを修飾している分子との結合部に添加した
遊離の分子が結合するので、もはや標的分子はスフェア
を凝集させることはできなくなる。後者の場合はスフェ
アを修飾している分子または該分子類似体が標的分子と
なる。ここで、それぞれ異なる蛍光色素を含む2種類の
スフェアを用いた場合、2種類の蛍光の合成色の変化を
測定すればよいし、または凝集時および解離後の蛍光顕
微鏡による蛍光分布の変化を測定してもよい。例えば、
検出しようとする抗原に特異的に結合する抗体で修飾し
たスフェアの該標的抗原を介して形成された凝集体に該
標的抗原もしくは標的抗原の類似体またはスフェアの修
飾に用いた抗体を添加し、凝集体を解離させた場合、蛍
光を測定することにより凝集体の解離の程度がわかり、
該抗原または抗原類似体を検出することができる。あら
かじめ、添加する抗原の量と蛍光の変化を関連付けてお
けば、該抗原または抗原類似体を定量することもでき
る。
【0061】3.修飾蛍光性スフェアを含むキットの作
製 本発明で用いる修飾蛍光性スフェアを用いて、分子を検
出するためのキットを作製することができる。該キット
は少なくとも検出する標的分子に結合し得る分子で修飾
した蛍光色素を含む蛍光性スフェアを含んでいる。該ス
フェアの作製方法は上述のとおりである。スフェアは少
なくとも2種類含み、一方は検出する標的分子の第1の
部分に結合し得る分子で修飾されており、もう一方は該
部分とは異なる標的分子の第2の部分に結合し得る分子
で修飾されている。このような2種類の第1および第2
のスフェアを有するため、標的分子を介して2種類のス
フェアが架橋し、凝集体を形成し得る。また、スフェア
に含まれる蛍光色素は1種類でもよいが、多色アッセイ
を可能にするように、異なる分子で修飾されたそれぞれ
のスフェアが異なる蛍光色素を含むのが好ましい。修飾
に用いる分子は、標的分子がDNAまたはRNAのときは、該
DNAまたはRNAに相補的なオリゴヌクレオチドであり、標
的分子がタンパク質のときは、該タンパク質に特異的に
結合するタンパク質等の分子である。
【0062】キットは、修飾された蛍光性スフェアの他
に、反応時に用いる緩衝液を含んでいてもよいし、標的
分子がDNAまたはRNAのときはハイブリダーゼーション条
件を調節し得る塩類溶液、標的DNAまたはRNAをPCRによ
り特異的に増幅するためのプライマー等を含んでいても
よい。さらに、サンプルと該蛍光性スフェアを混合して
反応を行わせるための、スライドグラス、96ウェルマイ
クロプレート、多数の反応ポットを有するガラスまたは
プラスチックプレート等を含んでいてもよい。
【0063】
【実施例】本発明を以下の実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。 〔実施例1〕 P53遺伝子検出のためのオリゴヌクレオ
チドおよびオリゴヌクレオチド修飾スフェアの製造。 (1)オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド修
飾スフェアの製造 本実施例で用いたすべてのオリゴヌクレオチド(ODN)
は全自動DNAシンセサイザー(Oligo 1000M DNAシンセサ
イザー、Beckman社製)で調製した。精製、保存および
定量は本発明者らの方法(Ihara, T. et al., Nucleic
Acids Res. 1996,24, 4273)により行った。スフェアは
表面にカルボキシル基を有しているポリスチレン製の直
径44nmのもので(9Å2当たり1カルボキシル酸)、赤色
蛍光色素または緑色蛍光色素が含浸されている2種類の
スフェアを用いた。蛍光色素はいずれもBODIPY蛍光色素
の誘導体で励起光/蛍光波長は緑色のものが505/515nm
で赤色のものが580/605nmであった(FluoSphere, Mole
cular Probes, Inc., Eugene, OR 製のスフェア)(Hau
gland, R.P. 「蛍光プローブおよびリサーチ化学のハン
ドブック(Handbook of fluorescent probes and resea
rch chemicals)」第7版、Molecular Probes, Inc., O
R, 1999)。以下、実施例において赤色色素が含浸され
ているものをスフェアR、緑色色素が含浸されているも
のをスフェアGとする。
【0064】本実施例の検出対象遺伝子は、P53遺伝子
であり、P53遺伝子の1つのホットスポットを含む野生
型と変異型の45量体である。がん抑制遺伝子であるP53
遺伝子の変異は、ヒトのがんにおいて最もよくみられる
遺伝的変異であることがわかっている。P53遺伝子はま
た、アポトーシス、DNA修復、DNA複製の調節、細胞周期
および分化誘発などの細胞内事象に深く関わっている
(Levine, A.J. et al., Nature 1991, 351, 453; Kish
imoto, Y. et al., Cancer Res. 1992, 52, 4799;Wiesm
uller, L. et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39,
1768)。P53野生型のP53遺伝子の45量体 (WT45AGG)の
配列は、5'ATGTGTAACAGTTCCTGCATGGGCGGCATGAACCGGAGGC
CCATC3'(配列番号1)であり、1塩基の置換(P53遺伝
子の発現産物においてArg249のSer249への変異をもたら
す)を有する変異型P53遺伝子のWT45AGGの配列に相当す
る配列を有する45量体(MT45AGT)の配列は、5' ATGTGT
AACAGTTCCTGCATGGGCGGCATGAACCGGAGTCCCATC3'(配列番
号2)である。塩基配列中、下線を付した部分は変異型
遺伝子において変異を有する塩基をふくむトリプレット
コドンを示す。
【0065】図3にP53癌抑制遺伝子の変異を示した。
図に示すように変異型遺伝子において野生型遺伝子のG
がTに置換し、ArgがSerに置換する。P53遺伝子検出のた
めのスフェアを修飾するODNは、WT45AGGの5'末端および
3'末端に相補的な15量体にdT10リンカーを結合させた25
量体の2種類のODN(配列番号3および4)で、アミノ基を
それぞれ5'末端および3'末端に結合させたアミノ末端OD
Nであった。WT45AGGの3'末端側配列に相補的なものは5c
WT15 (H2N-(CH2) 6-TTTTTTTTTTGATGGGCCTCCGGTT3')で、
5'末端側配列に相補的なものは3cWT15 (5'GGAACTGTTACA
CATTTTTTTTTTT-(CH2)6-NH2)である。スフェアGを5cWT15
で、スフェアRを3cWT15で修飾した。
【0066】これらのODNのスフェアへの結合は、前記
アミノ末端オリゴヌクレオチド、5cWT15または3cWT15を
NaHCO3/Na2CO3緩衝液(pH9.8)中の1-エチル-3-(3-ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を用いて、ス
フェア上にアンカーした。典型的には、300μlの120nm
のODN(5cWT15または3cWT15)を含む水性緩衝液(0.2M NaH
CO3/Na2CO3)、1.1×1014のスフェア(12μmolのカルボ
キシル酸を担持している)および12μmolのEDACを室温
で12時間攪拌した。残っている活性化カルボキシル基を
2mgのグリシンでキャッピングした後に、ODN修飾スフェ
アを遊離の5cWT15または3cWT15をGPC(Sephadex G-20
0)により分離した。反応していない遊離の5cWT15また
は3cWT15をUV-visスペクトロフォトメーター(Hitachi U
-3010)を用いて定量し、スフェアの表面の被覆度を評価
した。未反応の遊離の5cWT15または3cWT15の量からする
と、スフェアの表面の被覆は1つのODN当たり2.3×103
2であった。これはスフェア1個当たり平均220分子の
5cWT15または3cWT15が結合していることを示している。
【0067】(2)透過型電子顕微鏡(TEM)によるス
フェアの観察 ODN修飾前後のスフェアをTEMで観察したところ、ODN修
飾後においてもスフェアは球形を保っていることが分か
った。さらにスフェアの周辺部が黒く染まっていること
が確認された。これはスフェアが修飾されたことを示し
ている。すなわち、ここでは染色剤として酢酸ウラニル
を用いている。ウランのようなハードな金属は同様にハ
ードな配位基であるODN骨格のリン酸部位と非常に強く
結合すると考えられるからである。
【0068】(3)オリゴヌクレオチド修飾スフェアの
蛍光顕微鏡による観察 5cWT15および3cWT15の修飾されたスフェアの混合水溶液
を、CCDカメラを有する蛍光顕微鏡(Olympus BX51)を
用いて観察した。それぞれのスフェアを選択的に観察す
るために、適当な光学フィルターのセットを用いた。ス
フェアGの観察には、470〜490nmのバンドパス励起フィ
ルター、515〜550nmのバンドパス蛍光フィルターのセッ
トを用い、スフェアRの観察には、520〜550nmのバンド
パス励起フィルターおよび580nmより大きいバンドパス
蛍光フィルターのセットを用いた。
【0069】スフェアRとスフェアGをそれぞれ5.7×108
個(210fmolの5cWT15または3cWT15をそれぞれ担持)を
含む1μLの40mM Hepes(pH7.0)サンプル溶液を観察に用
いた。スフェア混合分散液を4℃で調製し、溶液をスラ
イドガラスとカバーガラスの間にはさみ、室温で顕微鏡
観察を行った。それぞれのフィルターセットを通った光
をイメージプロセッシングソフトウェア(Adobe Photosh
op 3.0, Adobe Systems)を用いて互いに重ね合わせた。
図4AはスフェアR(赤色スフェア)およびスフェアG
(緑色スフェア)のサンプル非存在下、緩衝液(40mM
Hepes(pH7.0))中の混合分散溶液の蛍光顕微鏡写真を示
す。スフェアRとスフェアGがそれぞれ赤色および緑色の
分散した点として観察された。また、スフェアのブラウ
ン運動も観察された。スフェアRは標的DNAおよびMgCl2
非存在下でも若干の凝集が認められた。
【0070】(4)予備的なハイブリダイゼーション実
験 5cWT15を直径1μmのスフェアに固相化した。これらのス
フェアは遠心により容易に沈殿する。また、5cWT15に相
補的な15量体(WT45AGGの3'末端の15量体に相当)および
1つの変異を有する15量体(MT45AGTの3'末端の15量体に
相当)の2種類の末端アミノ基修飾ODNを用いて、BODIPY
カルボン酸の活性エステルとのカップリングによりBODI
PY-ODNコンジュゲートを合成した。スフェア上の5cWT15
とBODIPY-ODNコンジュゲートとのハイブリダイゼーショ
ンは、5cWT15修飾スフェアと0.1μMのコンジュゲートを
10mM MgCl2および40mM Hepes(pH7)を含む緩衝液中で混
合して行った。25℃で3時間インキュベーションした後
にスフェアを遠心(15000rpmで1分)により沈殿させ、
上清中の遊離のBODIPY-ODNコンジュゲートの濃度を蛍光
により測定した。相補および変異コンジュゲートのハイ
ブリダイゼーション効率(コンジュゲートの捕獲率)は
それぞれ72%と5%であった。捕獲された相補BODIPY-OD
Nのほとんどは3M尿素処理によりスフェアから回収され
た。これは、ハイブリダイゼーションがODN修飾スフェ
ア上で起こったことを意味していた。
【0071】相補的な10量体の配列を有するがdT10など
のスペーサーを有しない短いODNを担持しているスフェ
アを調製して、同様のハイブリダイゼーション実験を行
ったところ、10量体(5'TGTTACACAT-(CH2)6-NH2)(配列番
号5)で修飾したスフェアは殆ど相補的BODIPY-ODNコン
ジュゲートとハイブリダイゼーションしなかった。この
結果は、10量体より長い配列を有するODNおよび/また
はスペーサーが効率的なハイブリダイゼーションに必要
であることを示している。
【0072】〔実施例2〕 P53遺伝子の1塩基多型(SN
P)の検出 スフェアRとスフェアGのそれぞれを5.7×108個(210fmo
lの5cWT15または3cWT15をそれぞれ担持)および220fmol
のWT45AGGもしくはMT45AGTを含む反応溶液(40mM Hepes
(pH7.0)、10mM MgCl2)1μlで凝集反応を行わせた。実
施例1と同様に、分散液を4℃で調製し、これをスライ
ドガラスとカバーガラスの間にはさみ、室温で顕微鏡観
察を行った。それぞれのフィルターセットを通った光を
イメージプロセッシングソフトウェア(Adobe Photoshop
3.0, Adobe Systems)を用いて互いに重ね合わせた。
【0073】蛍光顕微鏡観察の結果を図4に示す。図4
中では、3枚の図のうち左が赤色フィルターを用いて赤
色の蛍光のみを捕らえた図であり、右が緑色フィルター
を用いて緑色の蛍光のみを捕らえた図である。中央は、
両方のフィルターを用いて両方の蛍光を捕らえた図であ
る。図中では、全て白っぽく見える。
【0074】図4Bは、p53遺伝子の変異体、MT45AGT
添加した場合の結果を示す。スフェアの凝集は認められ
たが、両スフェアの分布はほとんど一致しておらず、こ
のことは互いのスフェアが独立して凝集していることを
示している。MT45AGTを添加した場合の黄色部分の面積
率でしめされる擬陽性率は約6%であった。
【0075】図4Cは、P53野生型遺伝子、WT45AGGを添
加した場合の結果を示す。両スフェアの分布は完全に一
致し、全ての凝集体は赤と緑の合成色である黄色の発色
を示していた。これは、両スフェアがWT45AGGによって
特異的に架橋され、互いにネットワークを形成すること
で凝集したことを示している。WT45AGGを添加した場合
の赤色部分および緑色部分の面積率で示される擬陰性率
は1%未満であった。1pico mole 以下のサンプルを含む
溶液1μlで十分検出できた。凝集体中のスフェアRとス
フェアGの個々のスフェアレベルでの混合の度合いを評
価するために、蛍光分光光度計(Hitachi F-2500)を用
いてスフェア間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を測
定した。
【0076】蛍光スペクトルは蛍光分光光度計に強いレ
イリー散乱を500nm未満で除去するためのフィルターを
つけて測定した。サンプルは1.0×109のそれぞれのスフ
ェアを40mM Hepes(pH7.0)中に分散させたもの1mlを用い
た。コントロールとして、スフェアRのみの分散液およ
びスフェアGおよびRの混合分散液を用い、さらに400fmo
lのWT45AGGもしくはMT45AGT および10mM MgCl2を含み凝
集体を形成したものを用いた(蛍光顕微鏡で観察したも
のを、40mM Hepes(pH7.0),10mM MgCl2で約500倍に希
釈)。全ての発光スペクトルは室温においてスフェアG
のみが励起される470nmの励起光で得た。スペクトル
は、サンプル溶液自体およびフィルターによる吸収、な
らびに光電子増倍管の特性について補正した。
【0077】WT45AGGによる凝集体とMT45AGTによる凝集
体の間で明らかに異なるスペクトルが得られた(図
5)。両スフェアの混合系で、凝集体が全く観察されな
い場合(スフェアRおよびスフェアGのみの混合系、実施
例1の蛍光顕微鏡観察において図4Aの結果を示した混
合物)、FRETは全く観察されなかった。WT45AGGによる
凝集体(実施例2の蛍光顕微鏡観察において図4Cの結
果を示した凝集体)ではスフェアR(最大蛍光は605nm)
からの有意な発光(アクセプターであるスフェアRから
の発光)が認められた。このことは、スフェアGからス
フェアRに蛍光エネルギーが伝達されたことを示してい
る。一方、MT45AGTによる凝集体(実施例2の蛍光顕微
鏡観察において図4Bの結果を示した凝集体)ではスフ
ェアRからの蛍光はほとんど観察されなかった。スフェ
アGとスフェアRのFRETの結果の相違は、WT45 AGGとMT45
AGTによる凝集体においてスフェア間の距離が異なって
いることを示している。スフェア中に含浸された蛍光色
素間の平均距離は36Åで、2種類の蛍光色素のフェルス
ター半径、R0は約50Åであった。これは、凝集体の中で
スフェアRとスフェアGが直接接触しないと、効率的なFR
ETは生じないことを意味する。従って、両スフェアがWT
45AGGによる特異的な架橋を通して混合されたことがわ
かる。これらのFRETの結果は、蛍光顕微鏡観察の結果と
一致していた。
【0078】
【発明の効果】実施例においてWT45AGGによる凝集体お
よびMT45AGTによる凝集体間で、蛍光顕微鏡観察で認め
られた発色の相違およびFRETの違いは、45塩基中の1塩
基の違いによるものである。本発明の方法は、簡便かつ
高感度で一度に得られる情報量が多く、しかもワンポッ
トで分析が可能なので、ハイスループットスクリーニン
グに対応できSNPの検出に適している。また、赤、緑、
青等の複数の蛍光色素を用いることで、対立遺伝子の解
析も可能になる。さらに、本発明の方法は、DNAまたはR
NAの検出のみならず抗原-抗体間、リガンド-レセプター
間の特異的結合を利用して、タンパク質分子の検出にも
利用することができる。
【0079】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KUMAMOT TEKUNO SANNGYOU ZAIDAN <120> Easy colorimetric assay using fluorescent spheres <130> P01-0764 <140> <141> <160> 5 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 45 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic <400> 1 atgtgtaaca gttcctgcat gggcggcatg aaccggaggc ccatc 45 <210> 2 <211> 45 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic <400> 2 atgtgtaaca gttcctgcat gggcggcatg aaccggagtc ccatc 45 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic <400> 3 tttttttttt gatgggcctc cggtt 25 <210> 4 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic <400> 4 ggaactgtta cacatttttt ttttt 25 <210> 5 <211> 10 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic <400> 5 tgttacacat 10
【0080】
【配列表フリーテキスト】配列番号1〜5:合成
【図面の簡単な説明】
【図1】凝集体の形成を示す模式図である。
【図2】本発明において、多色(3色)アッセイ系によ
るSNPの測定原理を示す図である。
【図3】p53癌遺伝子の構造を示す図である。
【図4】オリゴヌクレオチドで標識した蛍光性スフェア
の凝集を蛍光顕微鏡で観察した写真である。
【図5】オリゴヌクレオチドで標識した蛍光性スフェア
の凝集のFRET解析の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 G01N 33/53 N 33/566 33/566 C12N 15/00 A Fターム(参考) 2G045 AA35 DA13 DA14 DA36 FA16 FB02 FB03 FB12 GC15 2G054 AA06 CA22 CA23 CE02 EA03 GB02 4B024 AA11 CA04 HA14 HA19 4B063 QA12 QA18 QA19 QQ43 QR56 QS03 QS34 QX02

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光物質をそれぞれ含む少なくとも2種
    類のスフェアと標的分子を接触させ、形成された蛍光性
    スフェアの凝集体の蛍光を測定することを含む、該標的
    分子を検出する方法であって、各スフェアはそれぞれ該
    標的分子の異なる部分に結合する分子で修飾されてお
    り、任意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2
    種類の分子は該標的分子の異なる部分に結合する、蛍光
    性スフェアを用いて分子を検出する方法。
  2. 【請求項2】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物質
    を含む第1のスフェアであって標的分子の第1の部分に
    結合し得る分子を用いて修飾された第1のスフェアと第
    1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有する第2の
    蛍光物質を含む第2のスフェアであって前記標的分子の
    第1の部分とは異なる第2の部分に結合し得る分子を用
    いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェアを用
    いる、請求項1記載の分子を検出する方法。
  3. 【請求項3】 蛍光波長の異なる蛍光物質をそれぞれ含
    む3種類のスフェアを用い、各スフェアはそれぞれ標的
    分子の異なる部分に結合する分子で修飾されており、任
    意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2種類の
    分子は標的分子の異なる部分に結合する、請求項1記載
    の分子を検出する方法。
  4. 【請求項4】 用いる複数の種類のスフェアが含む蛍光
    物質の蛍光波長がそれぞれ異なっている、請求項1記載
    の分子を検出する方法。
  5. 【請求項5】 標的分子が1本鎖核酸であり、スフェア
    の修飾に用いる分子が該核酸の部分配列に相補的なオリ
    ゴヌクレオチドである、請求項1〜4のいずれか1項記
    載の分子を検出する方法。
  6. 【請求項6】 1塩基多型(SNP)を検出するための、
    請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 がん抑制遺伝子p53の1塩基多型(SNP)
    を検出するための請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 標的分子がタンパク質であり、スフェア
    の修飾に用いる分子が該タンパク質に特異的に結合する
    分子である、請求項1〜4のいずれか1項記載の分子を
    検出する方法。
  9. 【請求項9】 標的分子が抗体または抗原であり、スフ
    ェアの修飾に用いる分子が標的分子が抗体のときは該抗
    体が特異的に認識する抗原であり、標的分子が抗原のと
    きは該抗原を特異的に認識する抗体であって、標的分子
    が抗体のときの標的分子の異なる部分が抗体のそれぞれ
    の抗原結合部分である、請求項8記載の分子を検出する
    方法。
  10. 【請求項10】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物
    質を含む第1のスフェアであって標的核酸の第1の部分
    配列に相補的なオリゴヌクレオチドを用いて修飾された
    第1のスフェア、第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光
    波長を有する第2の蛍光物質を含む第2のスフェアであ
    って前記標的核酸の第1の部分配列とは異なる第2の部
    分配列に相補的な第2のオリゴヌクレオチドを用いて修
    飾された第2のスフェアならびに第1および第2の蛍光
    波長とは異なる第3の蛍光波長を有する第3の蛍光物質
    を含む第3のスフェアであって前記標的核酸の第1の部
    分配列および第2の部分配列とは異なる第3の部分配列
    に相補的な第3のオリゴヌクレオチドを用いて修飾され
    た第3のスフェアを前記標的核酸と接触させ、形成され
    た蛍光性スフェアの凝集体の蛍光を測定することを含
    む、請求項5記載の方法。
  11. 【請求項11】 第2の部分配列が野生型遺伝子の部分
    配列であり、第3の部分配列が前記野生型遺伝子の部分
    配列に対応する変異遺伝子の部分配列であって第2の部
    分配列に対して1塩基の変異を有するものである、請求
    項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物
    質を含む第1のスフェアであって標的核酸の第1の部分
    配列に相補的な第1のオリゴヌクレオチドで修飾された
    第1のスフェアおよび前記第1の蛍光波長とは異なる第
    2の蛍光波長を有する第2の蛍光物質を含む第2のスフ
    ェアであり前記標的核酸の前記第1の部分配列とは異な
    る第2の部分配列であって1塩基多型を含む部分の野生
    型または変異型核酸に相補的なオリゴヌクレオチドで修
    飾したスフェアを、前記標的核酸の野生型核酸または変
    異型核酸と接触させ、前記第1のスフェアおよび第2の
    スフェアの混合凝集体の形成を、該凝集体から前記第1
    および第2の波長の蛍光が同時に発生しているかどうか
    を測定することにより決定する、SNPを検出するための
    方法。
  13. 【請求項13】 標的核酸がヘテロ接合体のような遺伝
    子混合物である遺伝的多型を検出するための、請求項1
    0記載の方法。
  14. 【請求項14】 FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を解
    析することにより、スフェア凝集体を検出する、請求項
    1〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 【請求項15】 蛍光性スフェアを用いた分子を検出す
    るためのキットであって、蛍光物質をそれぞれ含む少な
    くとも2種類のスフェアであって、それぞれ該標的分子
    の異なる部分に結合する分子で修飾されているスフェア
    を含むキット。
  16. 【請求項16】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物
    質を含む第1のスフェアであって標的分子の第1の部分
    に結合し得る分子を用いて修飾された第1のスフェアと
    第1の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有する第2
    の蛍光物質を含む第2のスフェアであって前記標的分子
    の第1の部分とは異なる第2の部分に結合し得る分子を
    用いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェアを
    含む、請求項15記載のキット。
  17. 【請求項17】 蛍光波長の異なる蛍光物質をそれぞれ
    含む3種類のスフェアであって、各スフェアはそれぞれ
    標的分子の異なる部分に結合する分子で修飾されてお
    り、任意の2種類のスフェアをそれぞれ修飾している2
    種類の分子は標的分子の異なる部分に結合する、請求項
    15記載のキット。
  18. 【請求項18】 用いる複数の種類のスフェアが含む蛍
    光物質の蛍光波長がそれぞれ異なっている、請求項15
    記載のキット。
  19. 【請求項19】 スフェアの修飾に用いる分子が標的核
    酸の部分配列に相補的なオリゴヌクレオチドである、核
    酸を検出するための請求項16〜18のいずれか1項記
    載のキット。
  20. 【請求項20】 1塩基多型(SNP)を検出するため
    の、請求項19記載のキット。
  21. 【請求項21】 がん抑制遺伝子p53の1塩基多型(SN
    P)を検出するための、請求項20記載のキット。
  22. 【請求項22】 スフェアの修飾に用いる分子が標的タ
    ンパク質に特異的に結合する分子である、タンパク質を
    検出するための請求項16〜18のいずれか1項記載の
    キット。
  23. 【請求項23】 スフェアの修飾に用いる分子が標的分
    子が抗体のときは該抗体が特異的に認識する抗原であ
    り、標的分子が抗原のときは該抗原を特異的に認識する
    抗体であり、標的分子が抗体のときの標的分子の異なる
    部分が抗体のそれぞれの抗原結合部分である、抗体また
    は抗原を検出するための請求項22記載のキット。
  24. 【請求項24】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物
    質を含む第1のスフェアであって抗原の第1の部分に結
    合し得る抗体を用いて修飾された第1のスフェアと第1
    の蛍光波長とは異なる第2の蛍光波長を有する第2の蛍
    光物質を含む第2のスフェアであって前記抗原の第1の
    部分とは異なる第2の部分に結合し得る抗体を用いて修
    飾された第2のスフェアの2種類のスフェアが抗原を介
    して形成された凝集体に、サンプルを添加し、該サンプ
    ル中に標的抗原または標的抗体が存在する場合に生じる
    凝集体の解離を蛍光の測定により検出することを含む、
    サンプル中の抗原または抗体の検出方法。
  25. 【請求項25】 第1の蛍光波長を有する第1の蛍光物
    質を含む第1のスフェアであって抗体に結合し得る抗原
    を用いて修飾された第1のスフェアと第1の蛍光波長と
    は異なる第2の蛍光波長を有する第2の蛍光物質を含む
    第2のスフェアであって前記抗体に結合し得る抗原を用
    いて修飾された第2のスフェアの2種類のスフェアを介
    して形成された凝集体に、サンプルを添加し、該サンプ
    ル中に標的抗体または標的抗原が存在する場合に生じる
    凝集体の解離を蛍光の測定により検出することを含む、
    サンプル中の抗体または抗原の検出方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010261791A (ja) * 2009-05-01 2010-11-18 Fujikura Kasei Co Ltd 標的物質の検出方法

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