JP2003154201A - 水性二相抽出法による金属イオンの高選択的分離 - Google Patents

水性二相抽出法による金属イオンの高選択的分離

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Masami Shibukawa
雅美 渋川
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 水性二相抽出法による金属イオンの分離
法であって、当該水性二相系に、ハロゲン化物イオン又
はチオシアン酸イオン、及び錯形成剤を添加することを
特徴とする金属イオンの分離法。 【効果】 本発明によれば、水性二相抽出法により複数
の金属イオンから所望の金属イオンを選択的に分離抽出
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性二相抽出法に
より、二種以上の金属イオンを含む水溶液から所望の金
属イオンを選択的に分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】二種以上の金属イオンを含む水溶液から
所望の金属イオンのみを選択的に分離する技術として
は、液体クロマトグラフィー、イオン交換が知られてい
る。しかし、これらの分離技術には、大量処理ができな
い、装置が大きくなる、回収や移送が容易でない等の欠
点がある。
【0003】ところで、液液抽出法は、優れた分離・濃
縮技術の一つとして微量分析から工業的スケールでの製
造目的に及ぶ広い分野で利用されている。しかし、抽出
系は水とそれと混和しない有機溶媒を用いて構成するの
が一般的であり、その多くは人体に有害である上、揮発
性が高く可燃性であるという大きな問題を持っている。
これに対し、水性二相抽出法は、二種類の水溶性高分子
と水、あるいは高分子と電解質及び水とから構成される
二相系を利用する抽出法で、有機溶媒を全く使用せず、
ポリエチレングリコール(PEG)やデキストランなど
生物体への毒性を持たない高分子を用いて構成すること
ができるため、環境に優しい液液抽出系として注目され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この水性二相
抽出法は、無機化合物の分離法としては実用化の目処が
たっていない。これは、水性二相系が従来の有機溶媒/
水二相系とは抽出機構が著しく異なり、同様の抽出技術
を用いることができないこと、及び基本的には水という
一つの溶媒しか用いないため、高い抽出選択性を得るこ
とは不可能であると考えられていることが原因である。
従って、本発明の目的は水性二相抽出法を用いて金属イ
オンを選択的に分離する技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、水
性二相抽出法による金属イオンの分離法について種々検
討したところ、抽出媒体としてチオシアン酸イオン又は
ハロゲン化物イオンを用いると金属イオンがある程度分
離可能であることを見出した。しかし、この手段ではほ
とんどの金属イオンを分離することはできないことが判
明した。そこで、さらに検討したところ、これらの抽出
媒体に加えて錯形成剤を併用すると金属イオンが選択的
に一方の相に抽出されることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】すなわち、本発明は、水性二相抽出法によ
る金属イオンの分離法であって、当該水性二相系に、ハ
ロゲン化物イオン又はチオシアン酸イオン、及び錯形成
剤を添加することを特徴とする金属イオンの分離法を提
供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、水性二相抽出法による
金属イオンの分離法である。水性二相抽出法は、水性二
相系(水性二層分配系ともいう)、を形成して、当該二
相の一方の相に抽出する方法である。当該水性二相系
は、二種類の水溶性高分子と水、又は一種類の水溶性高
分子と無機塩と水から形成される。ここで、二種類の水
溶性高分子の組み合せとしては、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリド
ン、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルデキストラン、フィコール等から選ばれる水溶性
高分子と、メトキシポリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ヒドロキシプロピルデキストラン、デキスト
ラン、フィコール、メチルセルロース等から選ばれる水
溶性高分子との異なるものの組み合せ;デキストラン硫
酸Na、カルボキシメチルデキストランNa、カルボキ
シメチルセルロースNa、DEAEデキストランHCl
等から選ばれる水溶性高分子と、ポリエチレングリコー
ル、メトキシポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルデキストラン、デキストラ
ン等から選ばれる水溶性高分子との異なるものの組み合
せ;デキストラン硫酸Naとカルボキシメチルデキスト
ランNaとの組み合せ;ポリプロピレングリコール、メ
トキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デ
キストラン、デキストランNa等から選ばれる水溶性高
分子と、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩、
グルコース、グリセロール、ブチルセロソルブ、プロパ
ノール等のアルコール類との組み合せが挙げられる。こ
のうち、水溶性高分子と無機塩との組み合せがより好ま
しい。
【0008】これらの成分による水性二相系の形成は、
二種類の水溶性高分子と水、又は水溶性高分子と無機塩
と水とを混合すればよい。これらの成分の混合割合は、
二相系が形成される割合を適宜選択すればよい。
【0009】本発明の金属イオンの分離法は、二種以上
の金属イオンから所望の金属イオンを分離するものであ
り、より具体的には(A)二種以上の金属イオンを含有
する水溶液から所望の金属イオンを分離抽出するもので
ある。ここで、分離対象である金属イオンとしては、特
に限定されないが、2価以上の金属イオンが含まれてい
る場合が好ましい。具体的には、Mn、Zn、Cd、F
e、Ni、Co、Cu、Cr、Al、Hg、Pb、Pd
等の金属のイオンが挙げられる。
【0010】本発明に用いられる(B)ハロゲン化物イ
オンとしては、Cl-、Br-、I-などが挙げられる。
これらのイオンは、例えばアルカリ金属ハロゲン化物と
して添加される。(B)チオシアン酸イオン(SC
-)としては、例えばチオシアン酸K等として添加さ
れる。これらの(B)ハロゲン化物イオン又はチオシア
ン酸イオンの濃度は特に制限されない。
【0011】本発明に用いられる(C)錯形成剤として
は、有機酸イオン及び無機酸イオンのいずれでもよく、
通常キレート剤として作用するものはすべて用いること
ができ、例えば酒石酸、グルコン酸、クエン酸などのオ
キシカルボン酸;EDTAなどのポリアミノカルボン
酸;縮合リン酸;チオ硫酸塩などを例示できる。(C)
錯形成剤の濃度は特に制限されない。
【0012】当該錯形成剤は、金属イオンのマスキング
剤として作用するばかりでなく、前記ハロゲン化物イオ
ン又はチオシアン酸イオンとの協同効果により、ある金
属イオンの抽出を高める一方で、他の金属イオンの抽出
を抑制する。従って、分離すべき金属イオンの抽出に適
した錯形成剤を選択すればよい。
【0013】本発明の分離法は、例えば上記の水性二相
系に、(A)二種以上の金属イオンを含む水溶液、
(B)ハロゲン化物イオン又はチオシアン酸イオン、及
び(C)錯形成剤を添加し、水性二相系を形成させれ
ば、所望の金属イオンを水性二相系の一方に抽出するこ
とができる。従って、分離された金属イオンは当該一方
の水相から採取すればよい。また残りの水相には、他の
金属イオンが抽出されるので、必要に応じて錯形成剤を
変更して再度本発明の分離法を行えば、残りの水相から
さらに所望の金属イオンのみを分離できる。
【0014】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0015】実施例1 (1)50%(w/w)PEG4000(平均分子量3
000)水溶液と20%(w/w)硫酸ナトリウム水溶
液を1:2(重量比)の割合で混合して二相系を形成し
た。これに試料金属イオン(Mn(II)、Zn(II)、Cd
(II)、Fe(III)、Ni(II)、Co(II)、Cu(II)、L
i(I))、チオシアン酸イオン及びpH調整した数種の
無機又は有機錯形成剤(チオ硫酸ナトリウム、酒石酸ナ
トリウム、グリコン酸ナトリウム、クエン酸)の溶液を
一定量添加した。この溶液を恒温槽で25℃に保ち、振
とう、遠心分離を行った後、上相、下相ともに2g採取
し、水で希釈して25mLにした。ついで、原子吸光法に
よりそれぞれの溶液中の金属イオン濃度を測定した。
【0016】(2)チオシアン酸イオンは多くの金属イ
オンと中性又は陰イオン錯体を形成し、図1に示したよ
うにPEGに富む相に抽出する能力をもつが、これだけ
では、選択性に乏しく、特定のイオンの完全分離は難し
い。しかし、これに錯形成剤を添加したところ、いくつ
かの金属イオンの抽出挙動が大きく変化した。
【0017】(3)50%(w/w)PEG4000水
溶液3.0g、20%(w/w)硫酸ナトリウム水溶液
6.0gを混合して二相系を形成し、これにチオシアン
酸イオンを2mmol及び錯形成剤を0.5mmol加えて実験
を行ったところ、表1に示した結果が得られた。ここで
分配係数は下相(Na2SO4相)中の金属イオン濃度に
対する上相(PEG相)中の金属イオン濃度の比で与え
られる。表1からわかるようにチオ硫酸イオンはCd(I
I)、Fe(III)、Cu(II)を、酒石酸イオン、グルコン
酸イオン及びクエン酸イオンはFe(III)の分配係数を
大きく低下させた。特にCd(II)とCu(II)に対しての
チオ硫酸イオン、及びFe(III)に対してのグルコン酸
イオンの効果は大きく、それぞれマスキング剤として作
用していることがわかった。
【0018】(4)一方、表1から、添加した四種の錯
形成剤いずれもがZn(II)とCo(II)の分配係数を増大
させるという興味深い結果が得られた。特にZn(II)の
分配係数はチオ硫酸イオンとクエン酸イオンでは10倍
以上に上昇した。添加した錯形成剤単独では、いずれも
全く抽出されないことから、これは一種の協同効果によ
るものと考えられる。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、水性二相抽出法により
複数の金属イオンから所望の金属イオンを選択的に分離
抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】錯形成剤未添加時のチオシアン酸イオン添加量
と金属イオンのポリエチレングリコール相への抽出率の
関係を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性二相抽出法による金属イオンの分離
    法であって、当該水性二相系に、ハロゲン化物イオン又
    はチオシアン酸イオン、及び錯形成剤を添加することを
    特徴とする金属イオンの分離法。
  2. 【請求項2】 二種以上の金属イオンから所望の金属イ
    オンを分離するものである請求項1記載の分離法。
  3. 【請求項3】 水性二相系に、(A)二種以上の金属イ
    オンを含む水溶液、(B)ハロゲン化物イオン又はチオ
    シアン酸イオン、及び(C)錯形成剤を添加し、抽出系
    を形成させることを特徴とする請求項1又は2記載の分
    離法。
  4. 【請求項4】 水性二相系が、二種類の水溶性高分子と
    水、又は一種類の水溶性高分子と無機塩と水から形成さ
    れるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の分離
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100471542C (zh) * 2006-12-15 2009-03-25 中国科学院长春应用化学研究所 一种分离超细微粒的工艺
JP2011013211A (ja) * 2009-06-04 2011-01-20 Saitama Univ 亜鉛の簡易定量法
CN107540039A (zh) * 2017-10-11 2018-01-05 大连理工大学 一种生物质基双水相构建与盐类溶液中有害物质净化方法
CN113049351A (zh) * 2021-03-25 2021-06-29 东北农业大学 一种乳与乳制品中硫氰酸盐的双水相富集方法与检测方法

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