JP2003149138A - 円二色性スペクトル測定方法及び測定用セル - Google Patents

円二色性スペクトル測定方法及び測定用セル

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JP2003149138A
JP2003149138A JP2001351176A JP2001351176A JP2003149138A JP 2003149138 A JP2003149138 A JP 2003149138A JP 2001351176 A JP2001351176 A JP 2001351176A JP 2001351176 A JP2001351176 A JP 2001351176A JP 2003149138 A JP2003149138 A JP 2003149138A
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spectrum
pressure
circular dichroism
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JP2001351176A
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Asao Nakamura
朝夫 中村
Yoshihisa Inoue
佳久 井上
Shoji Kawai
昭治 河井
Masamitsu Matsumoto
雅光 松本
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Teramecs Co Ltd
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Teramecs Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧下においても円二色性スペクトルの測定
を精度良く行うことができる円二色性スペクトル測定方
法及び測定用セルを提供する。 【解決手段】 円二色性スペクトルを測定するための試
料が収容される測定用セル30であって、少なくとも一
部に光透過性部を有し、試料を封入可能なインナーセル
33と、インナーセル33を内部に保持する収容部31
a及び収容部31aに圧力媒体を供給可能な連通孔を有
する耐圧容器31とを備え、収容部31aの内周面には
窓材36が取り付けられており、窓材36を介してイン
ナーセル33内部の試料に円偏光を照射可能に構成した
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円二色性スペクト
ル測定方法及び測定用セルに関する。
【0002】
【従来の技術】化合物のキラリティを解析する方法とし
て、円二色性スペクトルの測定が知られている。従来の
円二色性スペクトル測定装置の概略構成を図14に示
す。同図に示すように、この円二色性スペクトル測定装
置50は、光源10、分光器12、偏光子14、ピエゾ
弾性変調モジュール(PEM)16、セル18及び検出
器20を備えており、これらの構成要素は、光源10か
ら放射された光が、分光器12で分散されてスペクトル
となった後、偏光子14、PEM16及びセル18を通
過して、検出器20において検出されるように配置され
る。セル18は、光が照射される面に石英などからなる
光学窓を有しており、測定対象となる試料sが内部に封
入される。
【0003】この測定装置50によれば、偏光子14を
通過して直線偏光となった光がPEM16を通過するこ
とにより左右の円偏光が交互に生じ、それぞれの円偏光
がセル18の光学窓を介して試料を通過した後の吸収率
の差を検出器20において検出することにより、円二色
性スペクトルを測定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような円二色性ス
ペクトル測定は大気圧下で行われるのが通常であるが、
最近では、化合物の構造変化についての圧力依存性を解
明しようとする場合など、高圧下での円二色性スペクト
ル測定の必要性が増加している。
【0005】ところが、従来の測定方法によれば、セル
18の内部に圧力を作用させて試料を加圧すると、セル
18の内部と外部とで圧力差を生じるため、それほど高
圧でない場合であってもセル18の光学窓に応力が作用
して歪みが生じ、円二色性スペクトルの測定を精度良く
行うことができないという問題があった。また、試料に
作用させる圧力を更に増加させると、セル18が損傷す
るおそれがあるという問題もあった。
【0006】本発明は、このような問題を解決すべくな
されたものであって、高圧下においても円二色性スペク
トルの測定を精度良く行うことができる円二色性スペク
トル測定方法及び測定用セルの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、左
右の円偏光を試料に照射して得られた吸収率の差に基づ
いて、円二色性スペクトルを測定する方法において、少
なくとも一部に光透過性部を有するインナーセルに、試
料を封入するステップと、内周面の一部に窓材が取り付
けられた収容部を備える耐圧容器に、前記インナーセル
を収容するステップと、 前記収容部に圧力媒体を供給
して、該収容部の内部を加圧するステップと、前記窓材
を介して、前記インナーセル内部の試料に円偏光を照射
するステップとを備えることを特徴とする円二色性スペ
クトル測定方法により達成される。
【0008】この測定方法において、前記円偏光の照射
は、前記窓材の中央部を通過するように行われることが
好ましい。
【0009】更に、前記円偏光の照射は、前記収容部に
取り付けられた前記窓材の露出面積よりも面積が小さい
開口部を有するアパーチャを介して行われることが、よ
り好ましい。
【0010】また、本発明の前記目的は、円二色性スペ
クトルを測定するための試料が収容される測定用セルで
あって、少なくとも一部に光透過性部を有し、試料を封
入可能なインナーセルと、前記インナーセルを内部に保
持する収容部及び該収容部に圧力媒体を供給可能な連通
孔を有する耐圧容器とを備え、前記収容部の内周面には
窓材が取り付けられており、該窓材を介して前記インナ
ーセル内部の試料に円偏光を照射可能に構成したことを
特徴とする測定用セルにより達成される。
【0011】この測定用セルにおける窓材の取り付け
は、圧力が保持できれば、鏡面研磨面同士の押し付け、
Oリングなどのシール材を挟んだ押し付け、接着、溶接
等どのような方法で固定されていても良いが、耐圧力
性、操作性の観点から鏡面研磨面同士の押し付けが好ま
しい。また、観測孔を有する押圧部材を更に備えること
が好ましく、該押圧部材は、前記観測孔の周縁で前記窓
材の外周部を押圧することにより、該窓材を支持するこ
とが好ましい。
【0012】また、前記観測孔よりも開口面積が小さい
開口部を有するアパーチャを更に備えることが好まし
く、該アパーチャは、前記開口部が前記観測孔と重なり
合うように、着脱自在に支持されることが好ましい。こ
のような構成は、前記窓材が石英からなる場合に特に有
効であり、この場合、前記アパーチャの開口径は、0.
5〜5mmの範囲にあることが好ましく、1〜1.5m
mの範囲がより好ましい。
【0013】また、上述した各測定用セルにおいて、前
記窓材は、波長が240nmの光に対して50%以上の
透過率を有する合成ダイヤモンドを使用することも好ま
しい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明
の一実施形態に係る測定用セルを備えた円二色性スペク
トル測定装置の全体構成を示すブロック図である。同図
に示す円二色性スペクトル測定装置1は、図14に示す
従来の円二色性スペクトル測定装置50において、セル
18に代えて新たな測定用セル30を設けて構成したも
のであり、円二色性スペクトルを測定するための構成に
ついては、従来の測定装置と同様である。したがって、
従来と同様の構成部分については同じ符号を付して、説
明を省略する。
【0015】本実施形態に係る測定用セル30は、耐圧
容器31を備えており、この耐圧容器31には、遮断弁
41、加圧ポンプ42及びタンク43が接続され、耐圧
容器31の内部を液状の圧力媒体により加圧できるよう
に構成されている。更に、耐圧容器31には、加熱冷却
装置44、循環ポンプ45、タンク46、温度センサ4
7などが接続されており、循環ポンプ45により熱媒体
を循環させて、加熱冷却装置44において加熱又は冷却
することにより、耐圧容器31を所定の温度に維持する
ことができるように構成されている。
【0016】次に、測定用セル30の詳細な構成を説明
する。図2は、図1に示す測定用セル30の縦断面図で
ある。同図に示すように、耐圧容器31の中央には収容
部31aが形成されており、収容部31aの底部にセル
ホルダ32が設けられている。このセルホルダ32は、
試料が収容されるインナーセル33を、収容部31aの
内部における所定の位置に保持することができる。収容
部31aの周囲には、循環ポンプ45(図1参照)から
送られた熱媒体を通過させる流路31bが形成されてい
る。
【0017】収容部31aの上方は蓋体34によって覆
われており、この蓋体34には固定リング34aが外嵌
されている。固定リング34aの外周面にはネジ部が設
けられており、専用工具などで固定リング34aをねじ
込むことにより、蓋体34を耐圧容器31に固定するこ
とができる。また、蓋体34の中央に形成されたエア抜
き孔34cは、封止部材49を螺合することにより完全
に密閉される。
【0018】蓋体34と収容部31aとの間は、シール
部S1において平滑な水平面同士の密着によりシールさ
れる。尚、蓋体34における収容部31aと嵌合する面
にはOリング34bが設けられている。
【0019】また、耐圧容器31には、外部から収容部
31aに向けて貫通して、収容部31a側面の互いに対
向する位置にそれぞれ開口する取付孔31d,31eが
形成されており、有底筒状の2つの保持部材35が、収
容部31aに底部が臨むように、取付孔31d,31e
にそれぞれ嵌入されている。保持部材35の底部中央に
は開口が形成されており、この開口周縁に形成された保
持部に窓材36が保持されている。この窓材36は、光
透過性が良好であると共に、光学的な歪みがなく、十分
な強度を有する材質からなることが好ましく、本実施形
態においてはダイヤモンドを使用している。例えば、住
友電気工業(株)製の合成ダイヤモンド単結晶である
「スミクリスタル・タイプII(商品名)」は、240n
mという短い波長に対しても50%以上の透過率を有し
ており、窓材36として好適に使用することができる。
窓材36の形状として、本実施形態においては円板状と
しているが、特に限定されるものではなく、楕円形、正
方形、長方形、多角形など、種々の形状とすることがで
きる。
【0020】この保持部材35には、観測孔37aを有
する押圧部材37が嵌入されており、押圧部材37は、
観測孔37aの周縁で窓材36の外周部を押圧すること
により、窓材36を固定する。観測孔37aの開口形状
についても特に限定されず、開口面積は、窓材36の材
質や厚み、測定時の圧力条件などを考慮して適宜定めれ
ばよい。
【0021】本実施形態においては、観測孔37aの開
口形状を円形としており、その直径aは、0.5〜5m
mの範囲にあることが好ましく、1〜1.5mmの範囲
がより好ましい。観測孔37aの径が小さすぎると、測
定用の光量が不足してノイズが大きくなり、測定精度が
低下する傾向にある一方、観測孔37aの径が大きすぎ
ると、収容部31aに高圧を作用させた時に光学的な歪
みが生じ、やはり高感度のスペクトル測定が困難になる
傾向にあるため、いずれも好ましくない。尚、窓材36
として石英を使用する場合には、ダイヤモンドの場合に
比べて歪みが大きくなることから、後述するようにアパ
ーチャを装着することが好ましく、その開口径は1〜
1.5mmの範囲が好ましい。
【0022】この押圧部材37は、外周面にネジ部が設
けられた固定リング37bを専用工具などでねじ込むこ
とにより、耐圧容器31に固定される。押圧部材37と
取付孔31d,31eとの間は、シール部S2において
平滑な鉛直面同士の密着によりシールされる。一方、押
圧部材37と窓材36との間は、収容部31aの内部が
加圧されることにより窓材36が観測孔37aの周縁に
押し付けられて、シールされる。尚、各保持部材35に
おける取付孔31d,31eと嵌合する面にはOリング
35aが設けられている。
【0023】図3は、図2に示す測定用セルを矢示A方
向にみた要部断面図である。図3に示すように、耐圧容
器31には、外部と収容部31aとを連通する連通孔3
1fが形成されており、一方端が収容部31aの下部に
おけるセルホルダ32と対向する位置に開口している。
この連通孔31fは、配管48を介して加圧ポンプ42
(図1参照)などに接続されており、収容部31aとセ
ルホルダ32との隙間を介して圧力媒体を供給すること
ができる。
【0024】図4は、図2に示す耐圧容器31の収容部
31aに収容されるインナーセル33を矢示A方向にみ
た縦断面図である。図4に示すように、インナーセル3
3は、プラスチックなどからなる筒状の胴部33aの一
方端に蓋部33bが嵌入され、他方端に観測部33cの
先端が嵌入されることにより、内部に測定用試料を封入
可能に構成されている。観測部33cは、歪みがなく、
広範囲の波長で光透過率が高い材質からなることが好ま
しく、本実施形態においては石英を使用している。観測
部33cは、試料の貯留部33dを有しており、図2に
示すように、この貯留部33dが窓材36と対向するよ
うにセルホルダ32に保持される。貯留部33dにおけ
る壁面の肉厚は、例えば1mm程度である。
【0025】次に、上述した測定用セル30を用いて、
試料の円二色性スペクトルを測定する方法について説明
する。まず、試料を封入したインナーセル33を耐圧容
器31の収容部31aに収容した後、蓋体34を取り付
ける。次に、遮断弁41を解放すると共に加圧ポンプ4
2を作動させて、収容部31aに圧力媒体を供給し、圧
力媒体中のエア抜きを行った後、封止部材49を取り付
けて、収容部31aを密閉する。圧力媒体についても光
透過率が良好であることが好ましく、本実施形態におい
ては純水を使用している。
【0026】ついで、循環ポンプ45を作動させて、温
度センサ47の検出温度に基づき制御手段(図示せず)
により加熱冷却装置44の作動を制御することで、収容
部31aの周囲を流れる熱媒体の温度を一定に保ち、イ
ンナーセル33の試料を所望の温度に維持する。
【0027】そして、光源10から放射した光により、
上述した従来の測定装置と同様にして円偏光を生成する
と、この光は、一方の窓材36を通過してインナーセル
33の貯留部33dに収容された試料に照射された後、
他方の窓材36を通過して、検出部20において検出さ
れる。こうして、インナーセル33に収容された試料の
円二色性スペクトルを測定することができる。
【0028】本実施形態においては、試料が収容された
セルの内部を加圧するのではなく、密閉空間に供給した
圧力媒体により、試料が収容されたセル(インナーセ
ル)の外部から加圧するようにしているので、インナー
セルの内外の圧力を略等しく保つことができる。したが
って、例えば400MPa程度の高圧下においてもイン
ナーセル33に歪みが生じることがなく、試料の円二色
性スペクトルを精度良く測定することができる。また、
収容部31aに光を通過させるための窓材36について
も、周縁部において保持されているため歪みが生じにく
く、更に、より歪みが少ない中央部を透光させるように
構成されているので、窓材36の歪みによる測定精度の
低下も防止することができる。
【0029】以上、本発明の一実施形態について詳述し
たが、本実施形態のように窓材36としてダイヤモンド
を使用する場合には、試料の光吸収率などにもよるが、
一般には約240nm以下の波長を測定することは困難
である。したがって、約240nm以下の波長領域を測
定する場合には、このような短い波長に対しても高い光
透過率を有する石英を、窓材36として使用することが
好ましい。例えば、タンパク質の変性を調べるには、約
200nm以上の波長における測定が有効であるため、
高純度の石英を好ましく用いることができる。
【0030】但し、石英はダイヤモンドと比較して強度
が小さいため、窓材36の厚みを厚くすることが好まし
い(例えば、1cm程度)。窓材36が石英からなる場
合であっても、上述した図2に示す構成により窓材36
を保持可能であるが、石英はダイヤモンドと比較して高
圧時に歪みを生じ易く、観測孔37a周縁の歪みが測定
精度に影響を与える場合もあるので、これを軽減するた
めに図5に示す構成にすることも可能である。尚、図5
において、図2と同様の構成部分には同一の符号を付し
ている。
【0031】図5に示すように、窓材36は、保持部材
35に嵌入された押圧部材37により、保持部材35と
押圧部材37との間に狭持されている。押圧部材37に
形成された観測孔37aには、窓材36の露出面積に相
当する観測孔37aの開口面積よりも面積が小さい開口
部を有するアパーチャ131が挿入され、このアパーチ
ャ131は、押さえ部材132によって観測孔37a内
に固定される。押圧部材37及び押さえ部材132は、
図2に示す固定リング37bにより、耐圧容器31に固
定される。アパーチャ131は、開口部と観測孔37a
とが重なり合うように着脱自在に固定することができれ
ば必ずしも観測孔37aに挿入する必要はなく、例え
ば、窓材36と押圧部材37との間、或いは、押圧部材
37と固定リング37bとの間に狭持するようにしても
良い。アパーチャ131の開口部の直径bは、0.5〜
5mmの範囲にあることが好ましく、1〜1.5mmの
範囲がより好ましい。本実施形態においては、アパーチ
ャ131の開口径を1.5mmとし、アパーチャ131
が挿入された観測孔37aの直径を4mmとしている。
【0032】この構成によれば、歪みの少ない窓材中央
部のみを観測窓として使用できるので、窓材36に生じ
た歪みを実質的に軽減することができる。さらに、開口
面積の異なるアパーチャ131を複数用意することによ
り、測定する圧力条件や波長領域などに応じて、光路の
断面積を所望の大きさに設定することが容易であるとい
う利点がある。尚、窓材36がダイヤモンドである場合
にも、図5に示す構成を採用可能であることは言うまで
もない。
【0033】また、窓材36の材料としては、測定する
圧力条件や波長領域などにおいて良好な光透過性を有
し、測定精度に影響を与える歪みを生じない限り、ダイ
ヤモンドや石英以外の材料を使用することも可能であ
る。
【0034】また、インナーセル33の構造についても
本実施形態に限定されるものではなく、試料に円偏光を
照射することができる光透過性部を一部に有していれば
良い。この光透過性部は、石英からなることが好ましい
が、ダイヤモンドなどを使用することもできる。
【0035】また、圧力媒体についても、光透過性が良
好なものであれば特に限定されず、光吸収率やOリング
の材質などを考慮して適宜定めることができる。特に0
℃以下の低温時においては純水を使用できないことか
ら、例えば、エチレングリコールなどのアルコール類
や、シリコンオイルなどのオイル類を使用しても良い。
【0036】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更
に詳細に説明する。
【0037】(実施例1) ダイヤモンド窓を用いたL-
[トリス(フェナントロリン)ルテニウム(II)]ヘキサ
フルオロリン酸塩のアセトニトリル溶液の円二色性スペ
クトル測定 L-[トリス(フェナントロリン)ルテニウム(II)]ヘキ
サフルオロリン酸塩の25μmol/L アセトニトリル溶液を
インナーセルに入れ、そのインナーセルを、図2に示す
ダイヤモンド窓を有する測定用セルに封じ入れ、大気圧
(0.1 MPa)から 400 MPa までの圧力範囲で円二色性ス
ペクトルを測定した。別途、インナーセルにアセトニト
リルのみを入れて、同様にして円二色性スペクトルを測
定し、ルテニウム錯体のアセトニトリル溶液のスペクト
ルからアセトニトリルのみのスペクトルを差し引くこと
によって、錯体の正味の円二色性スペクトルを得た。得
られたスペクトルを図6に示す。
【0038】得られた円二色性スペクトルは、258 nm
に負のピーク、268 nm に正のピークを有し、それぞれ
のピーク強度は圧力の増加とともに少しずつ増大した。
このピーク強度増大には、高圧下で溶液が圧縮されるこ
とによる、試料成分の濃度増加の効果が含まれているの
で、濃度増加を見積もるために、次のようにして紫外吸
収スペクトルの圧力変化を測定した。
【0039】上記と同じ溶液をインナーセルに入れ、そ
のインナーセルを、図2に示すダイヤモンド窓を有する
高圧セルに封じ入れ、大気圧(0.1 MPa)から 400 MPa
までの圧力範囲で紫外吸収スペクトルを測定した。別
途、インナーセルにアセトニトリルのみを入れて、同様
にして紫外吸収スペクトルを測定し、ルテニウム錯体の
アセトニトリル溶液のスペクトルからアセトニトリルの
みのスペクトルを差し引くことによって、錯体の正味の
紫外吸収スペクトルを得た。得られたスペクトルを図7
に示す。
【0040】各圧力における単位濃度当たりの円二色性
スペクトル強度を求めるには、円二色性スペクトルから
得られた楕円率を紫外吸収スペクトルから得られた吸光
度で割ればよい。このようにして得られた値をさらに 3
3 で割れば、いわゆる異方性因子(De / e)になる。図
8は、258 nm の負のピークと 268 nm の正のピークに
おける異方性因子の値を、圧力に対してプロットしたも
のである。
【0041】異方性因子の値は、圧力によらずほぼ一定
であった。この測定結果は、圧力によってスペクトルが
歪むことなく、正確に測定されていることを示してい
る。
【0042】(実施例2) 石英窓を用いたL-[トリス
(フェナントロリン)ルテニウム(II)]ヘキサフルオ
ロリン酸塩のアセトニトリル溶液の円二色性スペクトル
測定 図2に示すダイヤモンド窓を有する測定用セルの代わり
に、図5に示す石英窓を有する測定用セルを使用する他
は、実施例1と同様にして円二色性スペクトル及び紫外
吸収スペクトルを測定した。それぞれの圧力範囲は、大
気圧(0.1 MPa)から 250 MPa までとした。得られた錯
体の正味の円二色性スペクトル及び正味の紫外吸収スペ
クトルを、それぞれ図9及び図10に示す。得られた円
二色性スペクトルは、258 nm に負のピーク、268 nm に
正のピークを有しているが、それぞれのピーク強度は圧
力の増加とともに少しずつ減少した。
【0043】実施例1と同様にして求めた258 nm の負
のピークと 268 nm の正のピークにおける異方性因子の
値を図11に示す。異方性因子の値は、圧力の上昇とと
もに若干減少したが、その減少率は 250 MPa において
も1割程度であり、この圧力範囲では、十分に測定可能
であることがわかる。
【0044】(実施例3) ポリペプチド水溶液の円二
色性スペクトル測定 ポリ-L-グルタミン酸ナトリウム(分子量 3,000 〜 15,
000)0.2 mg/mL 水溶液の pH を塩酸の添加によって 4.
0 に調整し、これをインナーセルに入れ、そのインナー
セルを、図5に示す石英窓を有する測定用セルに封じ入
れ、大気圧(0.1 MPa)から 250 MPa までの圧力範囲で
円二色性スペクトルを測定した。別途、インナーセルに
pH 4.0 に調整した水のみを入れて、同様にして円二色
性スペクトルを測定し、ポリ-L-グルタミン酸水溶液の
スペクトルから水のみのスペクトルを差し引くことによ
って、ポリ-L-グルタミン酸の正味の円二色性スペクト
ルを得た。得られたスペクトルを図12に示す。尚、ポ
リ-L-グルタミン酸水溶液の温度は20℃に維持した。
【0045】ポリ-L-グルタミン酸水溶液の円二色性ス
ペクトルは、a-ヘリックス構造をとるポリペプチドに特
有のスペクトル形状を示す。大気圧下におけるスペクト
ルは、光路長 2 mm の通常の石英セルで測定したもので
あり、185 nm 付近まで滑らかな曲線が得られている
が、高圧セルを使って測定した場合には、200 nm 以下
ではノイズが大きくなり、正確なスペクトルは測定でき
ていない。しかし、200nm 以上の波長では、きれいなス
ペクトルが得られている。
【0046】207 nm 付近と 222 nm 付近にみられる負
のピークは a-ヘリックスに特有のものであるが、この
ピークの強度は、圧力の上昇とともに減少し、とくに 2
00 MPa以上では急激に減少した。一般に、高圧下では a
-ヘリックス構造からランダムな構造への変性がおこる
ことが知られており、この結果は、圧力によるポリペプ
チドの二次構造の変化が、円二色性スペクトルによって
検出可能であることを示している。
【0047】(実施例4) タンパク質水溶液の円二色
性スペクトル測定 リボヌクレアーゼ A(牛膵臓由来)0.2 mg/mL 水溶液の
pH を塩酸の添加によって 2.0 に調整し、これをイン
ナーセルに入れ、そのインナーセルを、図5に示す石英
窓を有する測定用セルに封じ入れ、大気圧(0.1 MPa)
から 250 MPa までの圧力範囲で円二色性スペクトルを
測定した。別途、インナーセルに pH 2.0に調整した水
のみを入れて、同様にして円二色性スペクトルを測定
し、リボヌクレアーゼ A 水溶液のスペクトルから水の
みのスペクトルを差し引くことによって、リボヌクレア
ーゼ A の正味の円二色性スペクトルを得た。得られた
スペクトルを図13に示す。尚、リボヌクレアーゼ A
水溶液の温度は20℃に維持した。
【0048】大気圧下におけるスペクトルは、光路長 2
mm の通常の石英セルで測定したものであり、195 nm
付近まで滑らかな曲線が得られているが、高圧セルを使
って測定した場合には、200 nm 以下ではノイズが大き
くなり、正確なスペクトルは測定できていない。しか
し、200 nm 以上の波長では、きれいなスペクトルが得
られている。
【0049】リボヌクレアーゼの二次構造は、a-ヘリッ
クスが 15%、b 構造が 36%、不規則構造が 49%であ
るといわれている。リボヌクレアーゼの大気圧下での円
二色性スペクトルは、207 nm 付近に負のピークを示し
た。このことは、a-ヘリックスの含量がかなり多いこと
を示している。207 nm 付近の負のピークの強度は、圧
力の上昇とともに大きく減少し、しかも、ピークの位置
が短波長側へシフトした。これは、高圧下では不規則構
造が支配的になっていることを示している。
【0050】以上の結果は、圧力によるタンパク質の変
性が、円二色性スペクトルによって検出可能であること
を示している。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、収容部に供給した圧力媒体により、試料が収
容されたインナーセルの外部から加圧するようにしてい
るので、インナーセルの内部と外部との圧力差を生じる
おそれがない。したがって、高圧時においても、インナ
ーセルに歪みが生じることがなく、試料の円二色性スペ
クトルを精度良く測定することができる。
【0052】また、前記円偏光の照射を、前記窓材の中
央部を通過するように行うことで、窓材における歪みが
ほとんど生じない領域を円偏光が通過し、高圧時におけ
る円二色性スペクトルの測定精度をより良好にすること
ができる。
【0053】更に、前記円偏光の照射を、前記収容部に
取り付けられた前記窓材の露出面積よりも面積が小さい
開口部を有するアパーチャを介して行うことで、測定光
量を確保しつつ窓材に生じた歪みを実質的に軽減するこ
とが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る測定用セルを備え
た円二色性スペクトル測定装置の全体構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】 図1に示す測定用セルの縦断面図である。
【図3】 図2に示す測定用セルを矢示A方向にみた要
部断面図である。
【図4】 図2に示すインナーセルを矢示A方向にみた
縦断面図である。
【図5】 本発明の他の実施形態に係る測定用セルの要
部断面図である。
【図6】 実施例1における円二色性スペクトルの圧力
依存性を示す図である。
【図7】 実施例1における紫外吸収スペクトルの圧力
依存性を示す図である。
【図8】 実施例1における円二色性スペクトルのピー
クにおける異方性の圧力依存性を示す図である。
【図9】 実施例2における円二色性スペクトルの圧力
依存性を示す図である。
【図10】 実施例2における紫外吸収スペクトルの圧
力依存性を示す図である。
【図11】 実施例2における円二色性スペクトルのピ
ークにおける異方性の圧力依存性を示す図である。
【図12】 実施例3における円二色性スペクトルの圧
力依存性を示す図である。
【図13】 実施例4における円二色性スペクトルの圧
力依存性を示す図である。
【図14】 従来の円二色性スペクトル測定装置の全体
構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
30 測定用セル 31 耐圧容器 31a 収容部 31f 連通孔 33 インナーセル 36 窓材 37 押圧部材 37a 観測孔 131 アパーチャ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河井 昭治 京都府宇治市平尾台2−8−4 (72)発明者 松本 雅光 大阪府三島郡島本町山崎4−20−5−909 Fターム(参考) 2G057 AA01 AB06 AC01 BA01 BB04 BB10 EA06 GA01 2G059 AA02 BB04 DD16 EE01 EE05 EE12 GG04 GG10 HH03 HH06 JJ19 KK01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右の円偏光を試料に照射して得られた
    吸収率の差に基づいて、円二色性スペクトルを測定する
    方法において、 少なくとも一部に光透過性部を有するインナーセルに、
    試料を封入するステップと、 内周面の一部に窓材が取り付けられた収容部を備える耐
    圧容器に、前記インナーセルを収容するステップと、 前記収容部に圧力媒体を供給して、該収容部の内部を加
    圧するステップと、 前記窓材を介して、前記インナーセル内部の試料に円偏
    光を照射するステップとを備えることを特徴とする円二
    色性スペクトル測定方法。
  2. 【請求項2】 前記円偏光の照射は、前記窓材の中央部
    を通過するように行われることを特徴とする請求項1に
    記載の円二色性スペクトル測定方法。
  3. 【請求項3】 前記円偏光の照射は、前記収容部に取り
    付けられた前記窓材の露出面積よりも面積が小さい開口
    部を有するアパーチャを介して行われることを特徴とす
    る請求項2に記載の円二色性スペクトル測定方法。
  4. 【請求項4】 円二色性スペクトルを測定するための試
    料が収容される測定用セルであって、 少なくとも一部に光透過性部を有し、試料を封入可能な
    インナーセルと、 前記インナーセルを内部に保持する収容部及び該収容部
    に圧力媒体を供給可能な連通孔を有する耐圧容器とを備
    え、 前記収容部の内周面には窓材が取り付けられており、該
    窓材を介して前記インナーセル内部の試料に円偏光を照
    射可能に構成したことを特徴とする測定用セル。
  5. 【請求項5】 観測孔を有する押圧部材を更に備え、該
    押圧部材は、前記観測孔の周縁で前記窓材の外周部を押
    圧することにより、該窓材を支持することを特徴とする
    請求項4に記載の測定用セル。
  6. 【請求項6】 前記観測孔よりも開口面積が小さい開口
    部を有するアパーチャを更に備え、該アパーチャは、前
    記開口部が前記観測孔と重なり合うように、着脱自在に
    支持されることを特徴とする請求項5に記載の測定用セ
    ル。
  7. 【請求項7】 前記窓材は、石英からなることを特徴と
    する請求項6に記載の測定用セル。
  8. 【請求項8】 前記アパーチャの開口径は、0.5〜5
    mmの範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の測
    定用セル。
  9. 【請求項9】 前記窓材は、波長が240nmの光に対
    して50%以上の透過率を有する合成ダイヤモンドから
    なることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載
    の測定用セル。
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