JP2003149131A - 摩擦試験機 - Google Patents

摩擦試験機

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JP2003149131A
JP2003149131A JP2001347783A JP2001347783A JP2003149131A JP 2003149131 A JP2003149131 A JP 2003149131A JP 2001347783 A JP2001347783 A JP 2001347783A JP 2001347783 A JP2001347783 A JP 2001347783A JP 2003149131 A JP2003149131 A JP 2003149131A
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JP2001347783A
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English (en)
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Masabumi Masuko
正文 益子
Akihito Suzuki
章仁 鈴木
Keiji Tomizawa
恵二 富沢
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Rikogaku Shinkokai
Original Assignee
Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極低速度から通常の速度と広いすべり速度の
範囲における、データの信頼性を向上させることができ
る摩擦試験機を提供する。 【解決手段】 摩擦試験機は、第1の試験片5を固定す
る第1のホルダ4と、第2の試験片を固定する第2のホ
ルダと、第1の試験片5を第2の試験片に圧接させる圧
力発生手段と、第1のホルダ4を回転させる回転駆動手
段2とを有している。また、第1のホルダ4は、回転駆
動手段2により直接的に駆動されている。また、第2の
試験片に対する第1の試験片5のすべり速度は、0.5
μm/s〜20m/sの範囲内にある。ここで、回転駆
動手段2はパルスモータを使用している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦試験機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】潤滑は、さまざまな機械部品にとって必
要不可欠であり、摩擦挙動は機械にとって重要な意味を
持っている。すなわち、効果的な潤滑を行なうことで、
機械の信頼性、経済性、耐久性の向上が期待でき、また
動力損失の低減を可能にする。そのため、潤滑油を評価
するために、種々の摩擦試験機が用いられている。
【0003】しかし、従来の摩擦試験機においては、す
べり速度が一定であるか、変化できてもその範囲が狭い
ものであった。そのために、広い範囲について試験を行
うためには、異なる摩擦試験機を用いてデータをとる必
要があった。その結果、摩擦試験機の間ですべり速度以
外の外乱が入る可能性が大きく、データの信頼性が低い
ものであった。さらに、すべり速度を極低速にできる摩
擦試験機もなかった。
【0004】また従来は、試験片の位置を精密に制御で
きなかったので、同じ試験片でもミクロ的には位置によ
り表面状態が異なっていても、個々の位置について摩擦
係数を測定することができなかった。
【0005】また、従来の摩擦試験機においてすべり速
度が低速の場合は、試験片の移動に長時間を要し、この
ため測定時間が長くなるという問題があった。
【0006】また、従来の摩擦試験機において試験片の
摩擦面が傾くと、試験片の摩擦面とトルクセンサの回転
軸に垂直な面とが平行を保つことができなくなり、試験
片の摩擦面に生じる摩擦力を精密に測定できなくなると
いう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
課題に鑑みてなされたものであり、極低速度から通常の
速度と広いすべり速度の範囲において、データの信頼性
を向上させることができる摩擦試験機を提供することを
目的とする。さらに、本発明は摩擦面の個々の位置にお
ける摩擦力を測定することができる摩擦試験機を提供す
ることを目的とする。
【0008】またさらに、本発明はすべり速度が低速の
場合に測定時間の短縮化を図ることができる摩擦試験機
を提供することを目的とする。またさらに、本発明は試
験片の摩擦面に生じる摩擦力を精密に測定することがで
きる摩擦試験機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の摩擦試験機は、
第1の試験片を固定する第1のホルダと、第2の試験片
を固定する第2のホルダと、第1の試験片を、第2の試
験片に圧接させる圧力発生手段と、第1のホルダを回転
させる回転駆動手段とを有する摩擦試験機において、第
1のホルダは、上記回転駆動手段により直接的に駆動さ
れ、第2の試験片に対する第1の試験片のすべり速度
は、0.5μm/s〜20m/sの範囲内にあるもので
ある。本発明によれば、広いすべり速度の範囲におい
て、すべり速度以外の条件を一定に保つことができる。
【0010】また、本発明の摩擦試験機は、回転駆動手
段がパルスモータを使用している上述記載の摩擦試験機
である。本発明によれば、試験片の角度を精密に制御で
きる。
【0011】また、本発明の摩擦試験機は、第1の試験
片と第2の試験片の接触点が所定の測定区間にあるとき
は、すべり速度を所定の値とし、第1の試験片と第2の
試験片の接触点が測定区間以外にあるときは、すべり速
度を大きな値にする上述構成の摩擦試験機である。本発
明によれば、測定区間以外の領域においては、試験片の
移動時間を短くすることができる。
【0012】また、本発明の摩擦試験機は、トルクセン
サが、第2のホルダに直接的に固定されている上述構成
の摩擦試験機である。本発明によれば、試験片の摩擦面
が傾いても、試験片の摩擦面とトルクセンサの回転軸に
垂直な面とを常に平行に保つことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、本発明の摩擦試験機の構成について
説明する。図1は、本発明の摩擦試験機の概略を示す正
面図である。本発明で作成した摩擦試験機はCylinder O
n Disk試験機である。
【0014】上部試験片5は、摩擦試験に用いる2つの
試験片のうちの一方である。図2は、試料油カップと試
験片の位置関係を示す斜視図である。図2に示すよう
に、上部試験片5は、円柱状の形状をしており、材質は
金属である。
【0015】図1および2に示すように、上部ホルダ4
は厚みのある略3角形状をしており、この3角形の頂点
側には円柱(図示していない)が一体的に形成されてい
る。この上部ホルダ4の材質は金属である。この上部ホ
ルダ4の3角形の底辺側には上部試験片5が取り付けら
れている。この上部ホルダ4は、上部試験片5を固定す
るとともに、上部試験片5を所定の回転運動をさせるた
めのものである。
【0016】チャック3は、図1に示すように、いわゆ
るドリルチャックであり、金属から成っている。このチ
ャック3は、上部ホルダ4の上に位置しており、上部ホ
ルダ4の円柱部を機械的に挟み付けて固定している。な
お、チャック3は、このドリルチャックに限定されるわ
けではなく、上部ホルダ4を固定できるものであれば、
他の機構のものであってもかまわないことはもちろんで
ある。
【0017】モータ2は、電動モータである。このモー
タ2は、チャック3を介して、上部ホルダ4を回転させ
る回転駆動手段である。このホルダ4の回転により、上
部試験片5に回転運動が付与される。
【0018】モータ2は、パルスモータを使用すること
が望ましい。角速度を広い範囲で変化させることがで
き、かつ角度の位置決め精度が非常に高いからである。
なお、モータ2はこのパルスモータに限定されるわけで
はない。このほか、ロータリーエンコーダを用いて位置
検出を行う機構を有し、正確な位置決めが可能であるな
らば、モーターの駆動方法は問わない。
【0019】基板9は、長方形の金属製の板である。基
板9の中央部にはモータ2を固定してある。また、基板
9の4隅近くは、4本のフレーム17を貫通させてお
り、基板4はこのフレーム17を滑りながら移動でき
る。したがって、モータ2は上下方向に移動することが
できる。
【0020】つぎに、圧力発生手段について説明する。
錘台1は、その上に錘を乗せるための台であり、この錘
台1に錘を乗せることにより圧力を発生させることがで
きる。錘台1の上部にはチェーンが取り付けられてい
る。このチェーンは直径の大きな歯車に係合している。
この歯車には軸が取り付けられ、この軸の反対側の端部
には、直径の小さな歯車が固定されている。この歯車
は、モータ2の上部に取り付けられた軸の表面に設けら
れた平歯(図示していない)と係合している。
【0021】下部試験片11は、図2および3に示すよ
うに、円筒形状を有している。なお、図3は、試料油カ
ップとトルクセンサの位置関係を示す断面図である。こ
の下部試験片11は金属から成っている。この下部試験
片11の円筒の上面は、上部試験片5の側面が接するこ
とになる。
【0022】ここで、上部試験片5と下部試験片11の
組み合わせは、上述の円柱と円筒に限定されるわけでは
ない。このほか上部試験片5と下部試験片11の組み合
わせは、円板−円筒(端面)、3ピン−円板、円板−3
球等がある。
【0023】また、上部試験片5と下部試験片11の材
質は試験片形状への加工が可能である限り、鋼のほかい
かなる材質でも使用することができ、上部試験片5と下
部試験機11が同じ材質であっても、また異なる材質で
あってもかまわない。
【0024】下部ホルダ14は、図3に示すように、下
部試験片11を固定するものである。試料油カップ6
は、図2および3に示すように、底を有する円筒形状を
有している。この試料油カップ6の材質は金属である。
この試料油カップ6の底には、下部ホルダ14が固定さ
れている。この試料油カップ6は、この中に試験をすべ
き潤滑油を納めることができ、摩擦試験中は上部試験片
5および下部試験片11の摩擦面に常に潤滑油が供給で
きるようにしている。
【0025】この摩擦試験機においては、試料カップ6
の上部を開放しているので、空気中の酸素や水分が潤滑
油に極わずか溶解する。したがって、摩擦試験は、酸素
や水分の影響を受ける。ただし、試料油カップを密閉構
造にして、雰囲気を窒素、アルゴン等の不活性ガスで置
換することにより酸素や水分の影響を排除することもで
きることはもちろんである。
【0026】温度管理は、図2に示すように、試料油カ
ップ6の側面に巻きつけてあるヒータ12で行なう。ま
た、試料油中の試験片摩擦部分の外側に熱電対を差し込
み油温を測定する。
【0027】トルクセンサ13は、図3に示すようにそ
の上部が試料油カップ6に固定され、その下部がU字型
固定台18に固定されている。このトルクセンサ13
は、紙面の上下方向の中心軸まわりにねじりモーメント
が発生した場合にそのモーメントを計測することができ
る。
【0028】U字型固定台18は、図2に示すようにユ
ニバーサルジョイント7を介して、固定台19に連結し
ている。したがって、U字型固定台18は、固定台19
とは独立に傾くことができる。
【0029】また、基板10は、長方形の金属板であ
り、図1に示すようにその中央部には固定台19が固定
されている。また、基板10の4隅近くには4本のフレ
ーム17が貫通している。この基板10はフレーム17
を滑って移動できる。したがって下部試験片11,下部
ホルダ14,試料油カップ6,トルクセンサ13,U字
型固定台18,ユニバーサルジョイント7,および固定
台19はともに上下方向に移動することができる。
【0030】荷重センサ8は、図1に示すように基板1
0の下に設置されている。上述したように、基板10が
上下に移動できるので、基板10にかかる圧力は、基板
10自身の重量も含めて、荷重センサ8により計測する
ことができる。
【0031】摩擦試験機には、図示しないパーソナルコ
ンピュータが接続されている。このパーソナルコンピュ
ータには、トルクセンサ13、荷重センサ8、および熱
電対からの計測信号が入力している。また、パーソナル
コンピュータから、モータ2の回転を制御するための信
号が出力される。
【0032】つぎに、摩擦試験機の動作について説明す
る。まず、圧力発生手段の動作について図1を参照しな
がら説明する。錘台1に、錘を乗せる。錘および錘台1
の重力は、チューンの張力を介して直径の大きな歯車に
伝わる。この歯車にはねじりモーメントが生じ、そのモ
ーメントはこの歯車に取り付けられている軸を介して、
この軸の反対側の端部に取り付けられている直径の小さ
な歯車に伝搬される。このねじりモーメントは、モータ
2の上部の軸に取り付けられている平歯(図示していな
い)に伝搬され、モータ2,チャック3,上部ホルダ
4,および上部試験片5と順次伝搬していく。この結
果、圧力発生手段は、上部試験片5を、下部試験片11
に圧接させる役目を果たすことになる。
【0033】つぎに、回転駆動手段の動作について説明
する。上部ホルダ4は、パルスモータから成る回転駆動
手段により、チャック3を介して、直接的に駆動されて
いる。パルスモータは極低速を含む広い範囲で角速度を
制御できるとともに角度の位置決めを精度よく制御でき
る。したがって、上部試験片5の角速度を広い範囲で制
御でき、上部試験片5の角度の位置決めも精度よく制御
できる。この角速度および角度の制御は、従来のように
減速機を使う必要がないので、精度が非常に高くなる。
【0034】なお、パルスモータの角度の位置決め精度
は、±15秒以内であることが望ましい。角度の位置決
め精度がこの範囲内にあると、表面状態の微少な変化の
影響を解析できるという利点があるからである。
【0035】つぎに、上部試験片および下部試験片の接
触の様子について説明する。図4は、上部試験片5と下
部試験片11との摩擦部分の様子を示す斜視図である。
上部試験片5は、円柱の中心軸に垂直の回転軸まわりに
回転する。下部試験片11は固定されている。ただし、
下部試験片11は、いずれの方向にも傾くことが自由に
できる。
【0036】上部試験片5は、回転軸方向の上方から圧
力を受けながら回転する。上部試験片5の側面のうち、
下部試験片11の上面に接する位置(2点)が摩擦され
ることになる。また、上述したように、下部試験片11
は、自由に傾くことができるので、2つの接点には等し
い圧力がかかることになる。
【0037】ここで、下部試験片11に対する上部試験
片5のすべり速度は、0.5μm/s〜20m/sの範
囲内にあることが望ましい。すべり速度がこの範囲内に
あると、境界潤滑状態から流体潤滑状態と幅広い潤滑状
態の試験ができるようになるからである。
【0038】また、温度むらをできるだけなくすため
に、上部試験片を下部試験片に接触しないように、かつ
試料油には触れるようにして、測定前の数分間、油温と
同等の温度になるように温める。また、試料油に添加剤
を添加した場合の測定においては、被膜を充分に形成さ
せるため、数十分回転させることが望ましい。
【0039】つぎに、トルクセンサの動作について説明
する。このトルクセンサ13は、図3に示すように試料
油カップ6を介して下部ホルダ14に直接的に固定され
ている。
【0040】従来の摩擦試験機においては、トルクセン
サが下部ホルダに直接的に固定されているわけではな
く、ユニバーサルジョイントを介して連結していた。そ
のため、下部試験片が傾くと摩擦面とトルクセンサの回
転軸に垂直な面が平行を保てずに傾きが発生する場合が
あった。このようなときは、摩擦面に発生するねじりモ
ーメントをそのままトルクセンサが検出することができ
ず、発生したねじりモーメントの余弦成分を計測するに
すぎなかった。すなわち、このような構造の場合は、正
確なねじりモーメント(摩擦力)を検出することができ
なかった。
【0041】これに対して、本発明の摩擦試験機におい
ては、下部試験片が傾いても、下部試験片の摩擦面とト
ルクセンサの回転軸に垂直な面とを常に平行に保つこと
ができる。したがって、トルクセンサは、ねじりモーメ
ント(摩擦力)を正確に計測することができる。また、
このトルクセンサを用いてねじりモーメント(摩擦力)
を計測しているので、時々刻々にしかも連続的に摩擦力
を計測できる。
【0042】つぎに、荷重センサの動作について説明す
る。荷重センサ8は、図1に示すように、試験片にかか
る圧力を直接計測することができる。この荷重センサ8
を用いているので、時々刻々にかつ連続的に圧力を測定
できる。このように荷重を時々刻々にかつ連続的に測定
でき、また上述したように摩擦力を時々刻々にかつ連続
的に測定できるので、摩擦係数も時々刻々に連続的に算
出することができる。
【0043】つぎに、パルスモータの回転数の制御につ
いて説明する。すべり速度が極低速の場合は、上部試験
片と下部試験片の接触点が所定の測定区間にあるとき
は、すべり速度を所定の値とし、上部試験片と下部試験
片の接触点がこの測定区間以外にあるときは、すべり速
度を大きな値にすることができる。この方法により、全
体の測定時間を短縮することができる。また、すべり速
度が高速の場合は、常時所定のすべり速度とすることも
できる。
【0044】これらの複雑な制御ができるのは、ロータ
リーエンコーダを内蔵したパルスモータを用いた結果で
あり、角速度を精密に制御できるとともに角度の位置決
めも精密に制御できるからである。なお、摩擦力測定時
の角速度と角度の位置決めの制御は上述の制御方法に限
定されるわけではない。
【0045】つぎに、上述の摩擦試験機を用いた潤滑油
の試験について具体的に説明する。まず、荷重は、図1
に示すように装置上部のモータ部を降下させ、死荷重に
よって発生させる。
【0046】温度管理は、図2に示すように、試料油カ
ップ6の側面に巻きつけてあるヒータ12で行なう。ま
た、温度制御は、試料油中の試験片摩擦部分の数mm外側
に熱電対を差し込み測定することで行なった。また、摩
擦試験機全体の外部雰囲気は空気である。
【0047】モータ2には、パルスモータ(DDサーボア
クチュエータ(モータ型番:DR1008B00 ,ドライバ型
番:SR1008B00 )、横河プレシジョン株式会社製)を用
いた。なお、最小速度でのモータの動作安定性の評価を
するために、上部ホルダに反射板を取り付け、そこにレ
ーザー光を当て、その反射光を数メートル先の壁に映す
ことでモータの動きを数百倍に拡大した結果、視覚的に
安定していることが確認された。
【0048】上部試験片(円柱状試験片)5には転がり
軸受け用鋼製円柱コロ(φ10×L40)、下部試験片(円
筒状試験片)11には転がり軸受け用円すいコロ軸受け
外輪(#30202 )を用いた。表1に物性を示す。
【0049】
【表1】
【0050】また、上部試験片と下部試験片が接触する
場合、下部試験片の接触平均径は33.5mmであり、下部試
験片の接触幅は0.85mmである。
【0051】添加剤によって固体表面に吸着する被膜の
形成が、摩擦特性にどのように影響するか調べるため、
固体表面の粗さ(Ra)の影響をできる限り少なくする必要
がある。そこで、円筒状試験片を研磨機(株式会社マル
トー製)を用い、#1500研磨紙で3分研磨することで、
研磨の方向性を持たせないようにするため、表面粗さを
数十nmにする。ただし、一部の試験片においては、その
表面粗さの影響を検討するため、一方向の粗さ(表面粗
さ:数百nm)を表面に施した。なお、その工程には# 1
20研磨紙を用い、手で研磨した。
【0052】その後、両試験片および試料油が直接触れ
る部分は、トルエンで超音波洗浄を行ない、ドライヤー
で乾燥させる。また、両試験片にわずかに残った有機物
はUVオゾンクリナーを用いて分解する。
【0053】つぎに、測定プログラムについて説明す
る。広い速度範囲で摩擦力を測定するためのプログラム
をVisual Basic 5.0で作成した。この測定プログラムで
は、単に摩擦表面全体の平均摩擦力を測定するのではな
く、特定摩擦面の摩擦力の測定が可能であり、特定摩擦
面の微妙な状態を、直接的に摩擦力に反映されることが
期待できる。なお、この測定プログラムは、馴らし運
転、測定(低速域測定,高速域測定)、データ保存の3
つから構成される。
【0054】本試験の測定速度は極低速を含んでおり、
モータが極低速で一周回転するのを待つと膨大な時間が
かかってしまう。そこで、低速域測定おいては、摩擦を
測定する特定微小摩擦区間以外の摩擦面では、高速で移
動させ、測定時間を短縮できるようにした。一方、高速
域測定においては、低速域の測定のように速度変更する
ことなく、同速度で回転して測定される。
【0055】装置の制御システムの概要については図5
に示した通りである。制御システムについて、図中の番
号と対応させながら具体的に説明する。(1) 〜(3) モー
タを動作させ、またモータ位置を検出させる。(4) 〜
(6) 位置検出パルスが送られる。(7) 位置検出パルス数
をカウントして、摩擦測定区間に至ると低速に速度変更
され(ただし、高速域測定では速度変更はない)、同時
に A/Dボードに各CHを測定させる命令を送る(なお、摩
擦測定区間以外では(1) 〜(6) の繰り返す)。また、摩
擦測定区間を過ぎると高速に速度変更され、次の摩擦測
定区間へ移動する。(8) 各CHの測定を開始させる。(9)
各CHの測定をする。(10)各CHのデータを取り込む。
【0056】以上で取り込まれた摩擦力のデータは、各
摩擦測定時における、荷重,温度,測定速度とともにc
svファイルに保存される。
【0057】つぎに、試験に用いた試料油について説明
する。試料油には表2に示す“基油+添加剤”の組み合
わせを用いた。
【0058】
【表2】
【0059】ここで、 ZnDTPの劣化油について説明す
る。実験室レベルにおいて潤滑油を酸化劣化させ、 ZnD
TPを消費、劣化させるのは非常に困難であるため、ラジ
カル連鎖反応の初期段階で生成されるヒドロペルオキシ
ドを加え、模擬的に ZnDTPの劣化を行なう。そこで、 Z
nDTPの劣化は、鉱油の酸化劣化物のモデル化合物とし
て、安価で扱いやすいクメンヒドロペルオキシド (CHP)
を用いて ZnDTPを劣化させることにした。 CHPに続く数
字は、 ZnDTPに対する CHPのモル比である。また、CHP
で劣化された ZnDTPは油で希釈して実際のエンジン油と
リン濃度を同じにし、試料油として用いた。表3に劣化
条件を示した。
【0060】
【表3】
【0061】各基油の物性は、それぞれ表4に示すとお
りである。
【0062】
【表4】
【0063】また、添加剤の構造は図6および7に示す
とおりである。図6は、C8-MoDTCの構造を示す図
である。また図7は、ZnDTPの構造を示す図であ
る。
【0064】また、試験条件は表5に示すとおりであ
る。
【0065】
【表5】
【0066】つぎに、試験における測定方法について説
明する。はじめに、洗浄した円柱状試験片、研磨・洗浄
した円筒状試験片を装置に取り付ける。試料油を試験片
に適度に馴染ませるため、 5.18 cm/sで 100回転させ
る。ただし、添加剤に ZnDTPあるいはC8-MoDTCを用いる
測定においては、被膜を充分に形成させるため、20.7cm
/sで3500回転(約30分)させる。
【0067】その後、低速域測定を速度範囲5.18μm/s
〜2.65mm/sで開始する。低速域測定では、各すべり速度
において2周ずつの測定を行ない、90度おきに5°ずつ
1周4区間、すなわち90°(90°〜95°)、 180°( 1
80°〜 185°)、 270°( 270°〜 275°)、 360°
( 360°〜 365°)において測定する(図8参照)。図
8は、低速域測定の摩擦区間を示す図である。
【0068】なお、測定区間5°において 0.1°間隔で
50点測定した。また、同速度での2周の測定が終わる
と、次の測定速度に連続的に変更され、最終速度まで測
定が継続される。なお、本装置は測定時間の短縮のた
め、測定区間以外(次の測定区間まで)は、高速(5.18
mm/s)で移動できるようにした。このような測定を、速
度を増加させていく“増速モード”と徐々に速度を減少
させていく“減速モード”とで行ない、収集されたデー
タの挙動がある程度収束するまで繰り返し行なった(通
常は、増速モード(1回目)→減速モード(1回目)→
増速モード(2回目)で測定終了とした)。なお、各モ
ードにおいて、同じ試験片、試料油を用いた。
【0069】低速域測定が終わってから引き続き同じ試
験片、試料油を用いて高速域測定を、速度範囲5.30mm/s
〜17.0cm/sで開始する。90度おきに1周4点で測定を行
ない、10回転させた(つまり4点×10回転=40点の測定
を行なった)。このような測定を各すべり速度で2回ず
つ行なった。なお、低速域測定の摩擦区間とほぼ一致す
る様に測定位置は92°、 182°、 272°、 362°とした
(図9参照)。図9は、高速域測定の摩擦位置を示す図
である。なお、故意に一方向に粗さをつけた試験片は、
図8および9において、92°,272°方向と溝とが垂直
になるように設置して摩擦測定を行なった。
【0070】以上の測定の流れを図10に示した。図1
0は、実験方法のフローチャートを示す図である。
【0071】つぎに、試験結果について説明する。ま
ず、低速域測定のデータ整理について説明する。アンプ
の出力から求められる摩擦力及び荷重の実測データから
経時的に変動するベースラインの値を引く(アンプの変
動は時間に対して線形的に変動するため、横軸に時間を
とってからベースラインを引く)。また、摩擦力に関し
ては、測定区間の5°( 0.1度間隔の50点)のうち、は
じめの測定値が比較的小さい値を示すため(測定前の急
激な速度変更に伴うトルクセンサーの検出誤差によるた
めと考えられる)、最初の2°(20点)を無視し、残り
3°(30点)の結果を修正データとして示した。この各
摩擦区間3°における修正された摩擦力及び荷重から摩
擦係数(=摩擦力/荷重)を算出し、さらにそれらを平
均する。その値をそれぞれの速度における各区間の摩擦
係数とした。
【0072】つぎに、高速域測定のデータ整理について
説明する。摩擦力の実測値からそれぞれの低速域測定と
同様にベースラインの値を引き、各摩擦位置における摩
擦係数を計算し、その値を各位置の摩擦係数とした。こ
の作業をそれぞれの速度で行なった。
【0073】つぎに、摩擦箇所による摩擦挙動の違いに
ついて説明する。本試験では測定箇所によって、表面の
性状が微妙に異なり、その摩擦挙動に変化が出ることを
想定して、90°、 180°、 270°、 360°に分けて測定
を行なった。ところが、各摩擦箇所による摩擦挙動はす
べて類似しており、その挙動に大きな違いが見られない
ことが判明した(ただし、故意に一方向に粗さを施した
試験片を使用した結果は除く)。
【0074】このことは、円筒状試験片の表面が場所に
よらず均一に研磨できており、また均一に吸着膜が出来
たことの証拠でもある。よって、すべての摩擦箇所につ
いて考察するのでは無く、代表として90°についてのみ
議論することにする。
【0075】つぎに、測定プロットの扱いについて説明
する。低速域測定の増速モード(1回目)は序盤の測定
であるため、その摩擦挙動はその後の2つの挙動に比
べ、異なったものとなることが多い。よって増速モード
(1回目)は参考結果とみなし、データ考察の議論の対
象には入れない。また、減速モード(1回目)、増速モ
ード(2回目)の測定には特別な違いは見られないの
で、各モードの違いによる議論はしない。
【0076】上述のデータ整理によって求められた、各
すべり速度における摩擦係数をプロットし、図11〜1
5に各試料油、各荷重における摩擦係数 vs.速度の挙動
を示す。
【0077】図11は、基油のみを用いた場合の90度
における、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図であ
る。すなわち、試料油:P-500+添加剤無し,荷重:143N
での摩擦係数 vs.速度、試料油: PAO-17+添加剤無し,
荷重:143Nでの摩擦係数 vs.速度、試料油: SR+添加剤
無し,荷重:143Nでの摩擦係数 vs.速度を示したもので
ある。
【0078】高速側で一致していたデータは、低速側で
はばらつきがかなり見られる。基油のみでは、被膜が形
成されないため、低速では金属同士の真実接触面積は非
常に大きい。そのため、金属表面の微妙な変化が直接的
に摩擦力に影響してしまうので、特定摩擦箇所で測定を
繰り返しても、摩擦係数にばらつきが生まれたのだと考
える。
【0079】また、 P-500は高純度炭化水素系鉱油であ
り、またPAO-17も高純度炭化水素系合成油であるため、
それらの性質は類似している。そのため、それらの挙動
が巨視的に見て一致するのだと考えられる。一方 ZnDTP
用鉱油は硫黄などの不純物を含んでおり、上記の2つの
基油と比べると、低速側でデータの一致は見られない。
おそらく、硫黄によって硫化物が摩擦表面に生成され、
それが摩擦力をわずかに低下させているのだと考える。
【0080】図12は、ステアリン酸を添加した場合の
90度における、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図
である。すなわち、試料油: P-500+ステアリン酸(7.0
3 mmol/kg),荷重:143Nでの摩擦係数 vs.速度、試料
油: P-500+ステアリン酸(7.03 mmol/kg),荷重: 32N
での摩擦係数 vs.速度、試料油PAO-17+ステアリン酸
(7.03 mmol/kg) ,荷重:143Nでの摩擦係数 vs.速度を
示したものである。
【0081】ステアリン酸は、末端のカルボキシル基が
金属表面に吸着して摩擦を下げる。しかし、ステアリン
酸被膜は、約3nmと極めて薄い被膜で、極性による静電
的な力のみで吸着しているためその結合は弱い。それゆ
え、その他2つの添加剤に比べ、極低速のシビアな環境
下では被膜が機能せず、下地金属同士の接触面積が大き
くなる。極低速域の摩擦の急激な上昇はこのためであ
る。また、低速側でデータのばらつきが見られるのも、
接触面積が増大することで、金属表面の微妙な変化を直
接的に受けるためである。
【0082】図13は、C8-MoDTCを添加した場合
の90度における、摩擦係数とすべり速度の関係を示す
図である。すなわち、試料油:P-500 +C8‐MoDTC (2.5
0 mmo l/kg) ,荷重:143Nでの摩擦係数 vs.速度、試料
油:PAO17 +C8‐MoDTC (2.50 m mol/kg) ,荷重:143N
での摩擦係数 vs.速度を示したものである。
【0083】C8-MoDTCは、馴らし運転の高速摩擦によっ
て分解反応がおこり、金属表面にMoS2を生成する。この
生成物によって金属接触を減らし、またそのせん断力が
非常に小さいので、摩擦低減効果が非常に高くなる。実
際本試験で用いた3つの添加剤の中で最も摩擦を低減さ
せる。この生成被膜は、極低速域でも効果的に摩擦力を
低減させていることから、下地金属同士の接触面積は小
さい。そのため、金属表面の影響をほとんど受けること
がないので、低速側にデータがばらつきは見られない。
【0084】図14は、ZnDTPを添加した場合の9
0度における、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図で
ある。すなわち、試料油:SR+ZnDTP(CHP0) ,荷重:14
3Nでの摩擦係数 vs.速度、試料油:SR+ZnDTP(CHP2) ,
荷重143Nでの摩擦係数 vs.速度、試料油:SR+ZnDTP(CH
P5) ,荷重143Nでの摩擦係数 vs.速度を示したものであ
る。
【0085】ZnDTPも、馴らし運転の高速摩擦によって
分解反応がおこり、金属表面にポリリン酸を生成する。
これは、耐摩耗被膜に分類され、摩擦低減作用は低い。
摩擦係数は、各劣化度のデータとしては、低速側及び高
速側においてもほぼ一致し、それぞれが固有の曲線挙動
を示している。また、それらの挙動を比較すると、低速
側では劣化度が高いほど摩擦係数は高く、高速側では劣
化度が高いほど摩擦係数が低くなっている。
【0086】図15は、垂直粗さと水平粗さにおける、
摩擦係数とすべり速度の関係を示す図である。すなわ
ち、試料油: P-500+ステアリン酸(7.03 mmol/kg),荷
重:143N(一方向に、数百nmの粗さを施した円筒状試験
片を使用)での摩擦係数 vs.速度を示したものである。
【0087】なお筋目の方向が、すべりの方向と平行な
場合を「平行粗さ」、直交する場合を「垂直粗さ」と呼
び区別する。平行粗さでは速度の低下に伴って急激な摩
擦係数の上昇がみられるが、垂直粗さではなだらかに低
下しており、その挙動が全く異なっている。平行粗さの
場合、すべりに対して平行に粗さがあるため、流体がこ
れに沿って流れてしまい、固体を浮上させる流体潤滑効
果が起こらない。一方垂直粗さではすべりに対して流体
をトラップする方向に粗さがあり、ミクロな流体潤滑効
果が生まれ、摩擦が低減されると考えられる。この試験
により摩擦部分を特定することの重要性が明らかになっ
た。
【0088】以上のことから、各試料油の添加剤によっ
て固有の摩擦挙動を持つことがはっきりとわかる。
【0089】つぎに、摩擦測定後、試験片の摩擦面の様
子を、顕微鏡カメラで撮影した。また、粗さ計を用い、
各試料油における測定後の円筒状試験片の表面粗さ(R
a)を測定した。測定はトルエンで洗浄したのち、1つ
の試験片に対してランダムに3箇所で行ない、平均する
ことで平均表面粗さとした。こうして得られた各試料油
における測定後の円筒状試験片の表面粗さ(Ra)を表6
に示した。
【0090】
【表6】
【0091】ここで、顕微鏡写真及び表面粗さの結果を
受けての説明をする。最初に、基油のみについて説明す
る。基油のみでは添加剤によって形成される被膜による
摩擦表面の保護効果は無いので、その粗さは摩擦前に比
べ金属表面は摩耗され粗くなっている。顕微鏡写真でも
滑り方向に摩耗痕が確認された。
【0092】つぎに、ステアリン酸を添加した場合につ
いて説明する。ステアリン酸吸着膜が表面を保護したた
め、摩擦前の試験片とほぼ同等の表面粗さで保たれてい
る。このことは顕微鏡写真によっても確認される。ま
た、ステアリン酸吸着膜は約3nmほどの薄い吸着膜であ
るため、今回測定した粗さには影響がほとんど無い。
【0093】つぎに、C8-MoDTCを添加した場合について
説明する。C8-MoDTCが被膜を形成したことにより、金属
表面は保護され、“基油のみ”のような摩耗はされな
い。しかし、摩擦前よりも粗さは増している。これは、
摩擦によって被膜が、形成→摩耗を繰り返すことで、そ
の被膜表面に凹凸ができたことが原因であると考える。
一般にMoS2被膜は摩耗しやすい被膜であり、また本試験
においても剥がれ落ちたと思われる褐色の摩耗粉が確認
されている。
【0094】つぎに、 ZnDTPを添加した場合について説
明する。 ZnDTPが被膜を形成したことにより、“基油の
み”のような摩耗はされない。しかし、 ZnDTP(CHP0)で
の粗さは摩擦前よりも増大している。これも、形成→摩
耗を繰り返すことで、その被膜表面には凹凸ができたこ
とが原因であると考える。また、 ZnDTP(CHP0)に比べ被
膜を形成しにくい ZnDTP(CHP2), ZnDTP(CHP5)では
被膜生成量が少ないため、形成→摩耗を繰り返してもそ
れほど大きな凹凸にはならなかったのだと考える。ま
た、劣化が増すにつれ被膜生成量が減っているのは顕微
鏡写真からも明らかである。
【0095】以上のことから、本実施の形態によれば、
以下に記載する効果を得ることができる。すなわち、ホ
ルダが回転駆動手段により直接的に駆動され、試験片の
すべり速度が0.5μm/s〜20m/sの範囲内にあ
るので、広いすべり速度の範囲において、すべり速度以
外の条件を一定に保つことができる。したがって、極低
速度から通常の速度と広い範囲にわたり、すべり速度を
精密にかつ連続的に制御でき、試験条件としてすべり速
度以外の外乱が入らない。このため、データの信頼性を
向上させることができる。
【0096】また、回転駆動手段がロータリーエンコー
ダを内蔵したパルスモータを使用しているので、試験片
の角度を精密に制御でき、同じ試験片でもミクロ的には
位置により表面状態が異なっている場合、個々の位置に
おける摩擦力を測定することができる。
【0097】また、試験片の接触点が所定の測定区間に
あるときは、すべり速度を所定の値とし、試験片の接触
点が測定区間以外にあるときは、すべり速度を大きな値
にすることにより、すべり速度が低速の場合、測定区間
は低速で移動させ、測定区間以外の領域は高速で移動さ
せることができ、測定区間以外の領域における試験片の
移動時間を短くすることができる。これにより、測定時
間の短縮化を図ることができる。
【0098】また、トルクセンサがホルダに直接的に固
定されているので、試験片の摩擦面が傾いても、試験片
の摩擦面とトルクセンサの回転軸に垂直な面とを常に平
行に保つことができる。これにより、試験片の摩擦面に
生じる摩擦力を精密に測定することができる。
【0099】なお、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0100】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。ホルダが回転駆動手段により直接的に駆動さ
れ、試験片のすべり速度が0.5μm/s〜20m/s
の範囲内にあるので、極低速度から通常の速度と広い範
囲にわたり、すべり速度を精密にかつ連続的に制御で
き、試験条件としてすべり速度以外の外乱が入らない。
したがって、データの信頼性を向上させることができ
る。
【0101】また、回転駆動手段がロータリーエンコー
ダを内蔵したパルスモータを使用しているので、試験片
の角度を精密に制御でき、同じ試験片でもミクロ的には
位置により表面状態が異なっている場合、個々の位置に
おける摩擦力を測定することができる。
【0102】また、試験片の接触点が所定の測定区間に
あるときは、すべり速度を所定の値とし、試験片の接触
点が測定区間以外にあるときは、すべり速度を大きな値
にすることにより、すべり速度が低速の場合は、測定区
間は低速で移動させ、測定区間以外の領域は高速で移動
させることができる。これにより、測定時間の短縮化を
図ることができる。
【0103】また、トルクセンサがホルダに直接的に固
定されているので、トルクセンサにより、試験片の摩擦
面に生じる摩擦力を精密に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦試験機の概略を示す正面図であ
る。
【図2】試料油カップと試験片の位置関係を示す斜視図
である。
【図3】試料油カップとトルクセンサの位置関係を示す
断面図である。
【図4】上部試験片と下部試験片との摩擦部分の様子を
示す斜視図である。
【図5】装置の制御システムの概要を示す図である。
【図6】C8-MoDTCの構造を示す図である。
【図7】ZnDTPの構造を示す図である。
【図8】低速域測定の摩擦区間を示す図である。
【図9】高速域測定の摩擦位置を示す図である。
【図10】実験方法のフローチャートを示す図である。
【図11】基油のみを用いた場合の90度における、摩
擦係数とすべり速度の関係を示す図である。
【図12】ステアリン酸を添加した場合の90度におけ
る、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図である。
【図13】C8-MoDTCを添加した場合の90度にお
ける、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図である。
【図14】ZnDTPを添加した場合の90度におけ
る、摩擦係数とすべり速度の関係を示す図である。
【図15】垂直粗さと水平粗さにおける、摩擦係数とす
べり速度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1‥‥錘台、2‥‥モータ、3‥‥チャック、4‥‥上
部ホルダ、5‥‥上部試験片、6‥‥試料油カップ、7
‥‥ユニバーサルジョイント、8‥‥荷重センサ、9,
10‥‥基板、11‥‥下部試験片、12‥‥ヒータ、
13‥‥トルクセンサ、14‥‥下部ホルダ、15‥‥
PC、16‥‥装置、17‥‥フレーム、18‥‥U字
型固定台、19‥‥固定台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富沢 恵二 神奈川県川崎市宮前区宮崎6−1−3 キ ヤノン宮崎台寮329号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の試験片を固定する第1のホルダ
    と、第2の試験片を固定する第2のホルダと、上記第1
    の試験片を、上記第2の試験片に圧接させる圧力発生手
    段と、上記第1のホルダを回転させる回転駆動手段とを
    有する摩擦試験機において、上記第1のホルダは、上記
    回転駆動手段により直接的に駆動され、上記第2の試験
    片に対する上記第1の試験片のすべり速度は、0.5μ
    m/s〜20m/sの範囲内にあることを特徴とする摩
    擦試験機。
  2. 【請求項2】 回転駆動手段は、パルスモータを使用し
    ていることを特徴とする請求項1記載の摩擦試験機。
  3. 【請求項3】 第1の試験片と第2の試験片の接触点が
    所定の測定区間にあるときは、すべり速度を所定の値と
    し、第1の試験片と第2の試験片の接触点が上記測定区
    間以外にあるときは、すべり速度を大きな値にすること
    を特徴とする請求項1記載の摩擦試験機。
  4. 【請求項4】 トルクセンサが、第2のホルダに直接的
    に固定されていることを特徴とする請求項1記載の摩擦
    試験機。
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