JP2003144883A - 撹拌装置、および混合物の製造方法 - Google Patents

撹拌装置、および混合物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主原料と副原料と水とを均一に混合すること
のできる撹拌装置、および混合物の製造方法を提供する
ことにある。 【解決手段】 撹拌装置1の容器2には、アジテータ1
0、および互いに上下にずれた位置に設けられた一対の
チョッパ20A、20Bが備えられている。そして、上
側に位置するチョッパ20Aは、小羽根部22の先端部
22Aを粉粒体40の上面側に露出可能な位置に取り付
けられている。また、チョッパ20A、20Bは、アジ
テータ10の回転方向に対して順方向に回転される。さ
らに、チョッパ20Aに対してアジテータ10の回転方
向後方位置には散水ノズル35が備えられ、アジテータ
10の回転半径方向に沿うとともに回転中心から容器2
の周縁部に渡る散水領域Rに水43を散布可能とされて
いる。これらにより、粉粒体40と繊維41と水43と
を均一に混合することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撹拌装置、および
混合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平7−25679号公
報に開示されているように、ケイ酸カルシウムを含有す
る軽量気泡コンクリート等を炭酸化処理し、吸放湿性に
優れた成形体(以下、「炭酸硬化成形体」と称すること
がある)を得る技術が知られている。この炭酸硬化成形
体は、主として軽量気泡コンクリートの粉粒体からなる
主原料に水を混合し、加圧下で成形した後に、炭酸ガス
雰囲気下で養生することにより製造される。
【0003】ここで、主原料と水との混合は、セラミッ
クスの製造工程において通常に使用されるミキサ等の撹
拌設備を用いて行われていた。このミキサは、容器の底
部に撹拌羽が設けられたものであって、この容器内に主
原料と水とをそれぞれ投入し、撹拌羽を回転させること
によって混合が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、炭酸硬化成
形体の製造工程において、主原料に少量の副原料を添加
する場合がある。このような場合に、上記したような通
常の撹拌設備による混合方法では、主原料と副原料と水
とを均一に混合することが困難であった。その原因は、
以下のようであると考えられる。
【0005】粉体原料を使用して成形により製造される
代表的な材料として、タイル等のセラミックス材料があ
り、これらは粉体成形または乾式成形と呼ばれる方法で
製造されている。セラミックス材料の製造方法として
は、他に粘土状にした原料をろくろや押し出し成形機な
どを用いて成形する可塑成形や、スラリー状にした原料
を型枠に流し込んで成形する鋳込み成形があるが、粉体
成形は、製品の寸法安定性が高いことや製造効率が高い
ことが他の製造方法と比して利点であり、特に板状製品
を成形するのに適している。この粉体成形に使用される
原料としては、粉末状あるい顆粒状のものが使用される
が、その含水率は10%以下である。このような乾燥し
た原料に顔料等の乾燥した副原料を混合する場合、一般
的に使用される撹拌設備によって、副原料が主原料中に
均質に分散した混合粉体を容易に得ることができる。
【0006】ところが、炭酸硬化成形体の製造において
は、微細な空隙をもつ多孔質のケイ酸カルシウム系粉体
材料を主原料に使用する場合、以下の二つの理由から粉
体材料に水を添加している。
【0007】第一の理由は、成形後の炭酸養生におい
て、水はケイ酸カルシウムの炭酸化反応を促進させる働
きがあるためである。すなわち、炭酸ガスが成形体に含
まれる水に溶解し、一方ケイ酸カルシウムからカルシウ
ムイオンが水中に溶出し、これらが反応して炭酸カルシ
ウムが析出することにより硬化が進行するのである。反
応に必要な水分は少量でもよく、通常工業的には数%以
上であればよい。第二の理由は、加圧成形する際に保形
性を確保するためである。多孔質の粉体を水分の少ない
状態で加圧成形した場合、加圧成形後の除荷、脱型の段
階で成形体の膨張が大きくなり、寸法精度が低くなって
しまう場合がある。これは、多孔質粉体に含まれる空気
が加圧時に完全に抜けきらず、材料内部で圧縮され、こ
れが除荷、脱型の段階で大きく膨張することによるもの
と考えられる。この膨張を防止するために必要な水分
は、原料の粉末粒度や細孔分布、圧力、加圧時間、成形
体の寸法等によって異なるが、一般に原料粉体固形分に
対しておおよそ25%以上であり、好ましくは30%以
上である。一方、原料中の水分が多すぎると、加圧成形
で脱水に時間がかかるとともに、結合材として必要なカ
ルシウムが水とともに溶出してしまうので好ましくな
い。また加圧脱水が不充分になると、成形体に層間剥離
が生じることになる。したがって、水の量は65%以下
が好ましく、さらに好ましくは50%以下である。
【0008】これらの理由から、炭酸硬化成形体の製造
においては、おおよそ含水率25%〜65%の範囲内と
なるように粉体原料に水が加えられる。このような含水
率の範囲内においては、粉体原料は乾燥時のようにさら
さらとした状態ではなくなってしまう。一方で、多孔質
体は粒子間だけでなく細孔内にも水分を吸着するため、
相当量の水を加えてもスラリー状にはならない。すなわ
ち、混合物は湿気を帯びた湿潤粉体であって、乾燥粉体
のような流動性を失う一方、多量の水による流動性を得
るには至らないのである。このため、主原料と副原料と
水とを均一に混合することが困難となってしまう。
【0009】特に、副原料の添加量が主原料に比して著
しく少ない場合や、湿気を帯びることにより解繊されに
くくなる繊維を副原料として使用した場合には、均一な
混合を行うことはいっそう難しくなる。さらには、副原
料が有機系繊維や、顔料、吸着材等の微粉末のように浮
遊しやすいものであると、通常用いる撹拌設備では主原
料と副原料が上下に分離した状態となってしまい、均一
な混合は非常に難しいものとなる。
【0010】このように、主原料と副原料との混合が不
均一となれば、炭酸硬化成形体に寸法のばらつきが生じ
たり、反りや側反りが大きくなったり、また亀裂や割れ
が生じたりするおそれがある。また、主原料および副原
料と水との混合が不均一となれば、局所的な炭酸化反応
速度の違いや収縮量の違いが起こり、炭酸硬化成形体の
反りや側反りが大きくなったり、亀裂や割れが発生した
りするおそれがある。特に、大型の成形体を製造する場
合においては、このような問題が顕著となる。
【0011】本発明は、上記した事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、水分を含む混合物を製造する
場合において、主原料と副原料と水とを均一に混合する
ことのできる撹拌装置、および混合物の製造方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに請求項1の発明に係る撹拌装置は、粉末状の主原料
と、一種以上の副原料と、水とを含み、かつ、前記副原
料の割合が前記主原料と前記副原料との乾燥重量の和に
対して10%以下である前記混合物を製造するための撹
拌装置であって、前記混合物を収容可能な容器と、前記
容器の底部に設けられて上下方向の縦回転軸の周りに回
転可能な縦軸攪拌部材と、前記縦軸撹拌部材の上方に前
記縦回転軸と交差する方向を向けて設けられた横回転軸
の周りに回転可能な横軸攪拌部材とが備えられているこ
とを特徴とする。
【0013】ここで、本発明の主原料としては、ケイ酸
カルシウムを含有する軽量気泡コンクリート、ケイカル
板、窯業系サイジング材などのセメント二次製品の粉砕
物、更にはコンクリート廃材、セメントスラッジなどが
使用できる。これらの中でも、特にケイ酸カルシウムを
主成分としている軽量気泡コンクリートを粉砕した軽量
気泡コンクリート粉粒体が好ましい。また、主原料に
は、必要に応じて骨材等が添加されていてもよい。
【0014】また、本発明の副原料としては、繊維、顔
料、VOC吸着剤等の機能性材料、珪石粉、長石粉、雲
母、軽石、珪藻土、建設廃土等が使用できる。なかでも
水を加えることによって収束するために、通常のミキサ
等では混合を行いにくい繊維を使用する場合に、本発明
を好適に適用できるものである。なお、この場合に繊維
としては、ガラス繊維、ウォラスナイト等の無機系繊
維、ポリプロピレン、アクリル、ビニロン、人工或いは
天然セルロースなどの有機系繊維が使用できるが、保形
性、製品の切削加工性、肌合いなどを考慮した場合、有
機系繊維が好ましく、中でもビニロンが好ましい。繊維
長としては、500μm〜3mm程度が製品の毛羽立ち
が少なく好ましい。また、アスペクト比(繊維長/繊維
径)は、20〜300程度が好ましい。さらに、副原料
としての繊維の添加量は、混合原料、すなわち主原料と
副原料との和に対して10重量%以下であることが好ま
しく、さらに好ましくは5%以下であり、0.1〜1.
0重量%であることがいっそう好ましい。
【0015】請求項2の発明は、請求項1に記載の撹拌
装置であって、前記横軸撹拌部材は、一対が上下方向に
ずれた位置に設けられていることを特徴とする。
【0016】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2に記載の撹拌装置であって、前記横軸撹拌部材の回転
方向は、この横軸撹拌部材に備えられた羽根部が前記縦
軸撹拌部材に接近したときに前記縦軸撹拌部材の回転方
向と同方向に移動する順方向であることを特徴とする。
【0017】請求項4の発明は、請求項1から請求項3
のいずれかに記載の撹拌装置であって、前記容器には、
前記横軸撹拌部材に対して前記縦軸撹拌部材の回転方向
後方位置に前記水を散布可能な散水部材が備えられてい
ることを特徴とする。
【0018】請求項5の発明は、請求項4に記載の撹拌
装置であって、前記散水部材は、前記縦軸撹拌部材の回
転半径方向に沿うとともに回転中心から前記容器の周縁
部に渡る散水領域に前記水を散布可能とされていること
を特徴とする。
【0019】請求項6の発明は、粉末状の主原料と、一
種以上の副原料と、水とを含み、かつ、前記副原料の割
合が前記主原料と前記副原料との乾燥重量の和に対して
10%以下である前記混合物を製造する方法であって、
前記主原料と前記副原料を混合して混合原料を調製した
後に、この混合原料と水とを混合することを特徴とす
る。
【0020】請求項7の発明は、粉末状の主原料と、一
種以上の副原料と、水とを含み、かつ、前記副原料の割
合が前記主原料と前記副原料との乾燥重量の和に対して
10%以下である前記混合物を、請求項1から請求項4
のいずれかに記載の撹拌装置を使用して製造する方法で
あって、(a)前記縦軸撹拌部材を回転させつつ、前記主
原料を、その上端が、前記横軸撹拌部材に設けられた前
記羽根部が前記横回転軸に対して上側に位置するときの
長さ方向における中央位置に達するまで前記容器内に投
入する工程と、(b)前記容器内に前記副原料を投入する
工程と、(c)前記縦軸撹拌部材および前記横軸撹拌部材
を回転させて、前記主原料と前記副原料とを混合して混
合原料を調製する工程と、(d)前記縦軸撹拌部材および
前記横軸撹拌部材を回転させつつ前記散水部材から前記
水を散布して、前記混合原料と水とを混合する工程とを
実行することを特徴とする。
【0021】
【発明の作用、および発明の効果】請求項1の発明によ
れば、撹拌装置には、容器の底部に設けられて上下方向
の縦回転軸の周りに回転可能な縦軸攪拌部材と、この縦
軸撹拌部材の上方に設けられて縦回転軸と交差する方向
の横回転軸の周りに回転可能な横軸攪拌部材とが備えら
れている。このような構成によれば、副原料および水
は、混合の過程において、主原料中で横軸撹拌部材の回
動に伴って縦方向に拡散されるとともに、縦軸撹拌部材
の回動に伴って横方向に拡散される。このようにして、
原料、副原料、および水の混合が効果的に行われる。
【0022】なお、より効果的な混合のためには、予
め、比較的乾燥した状態で主原料と副原料とを均一に混
合しておき、その後に水を加えて混合を行うことが好ま
しい。このような場合において、主原料として多孔質の
粉体材料を使用する場合には、この粉体材料が空気中の
水分を吸着している場合がある。このとき、例えば粉体
材料において空気と接している表面のみが湿り気を帯び
る(または乾く)などのように、局所的に含水率の多い
(または少ない)状態を生じ、通常の撹拌装置では副原
料との均一な混合を行いにくくなる場合がある。
【0023】このような場合であっても、請求項1の構
成によれば、横軸撹拌部材の回動に伴う縦方向の拡散
と、縦軸撹拌部材の回動に伴う横方向の拡散により、偏
在する水分が拡散されて全体の含水率が均一とされ、原
料と副原料と水との均一な混合を容易に行うことができ
る。
【0024】請求項2の発明によれば、一対の横軸撹拌
部材を上下方向にずれた位置に設けることによって、副
原料の縦方向への拡散をより効果的に行うことができ
る。
【0025】請求項3の発明によれば、横軸撹拌部材の
回転方向は、この横軸撹拌部材に備えられた羽根部が縦
軸撹拌部材に接近したときに前記縦軸撹拌部材の回転方
向と同方向に移動する順方向とされている。このような
構成によれば、横軸撹拌部材による縦方向の回転流が、
縦軸撹拌部材による横方向の回転流と合流することによ
り、副原料の混合が円滑に行われる。
【0026】請求項4の発明によれば、散水部材は、横
軸撹拌部材に対して縦軸撹拌部材の回転方向後方位置に
水を散布可能とされている。これにより、水分を帯びた
混合原料を速やかに下方へ拡散させることができ、水の
混合原料への拡散を速やかに行わせることができる。
【0027】請求項5の発明によれば、散水部材は、縦
軸撹拌部材の回転半径方向に沿うとともに回転中心から
容器の周縁部に渡る散水領域に水を散布可能とされてい
る。このような構成によれば、散布された水は、縦軸撹
拌部材の回転によって同心円状に拡散されるため、混合
原料全体に均一に水を混合させることができる。
【0028】請求項6の発明によれば、まず、主原料と
前記副原料を混合して混合原料を調製した後に、この混
合原料と水とを混合する。このように、予め、比較的乾
燥した状態で主原料と副原料との混合を行っておき、そ
の後に水を加えることにより、均一な混合物を製造する
ことができる。
【0029】請求項7の発明によれば、まず、縦軸撹拌
部材を回転させつつ、主原料を容器内に投入する。これ
により、主原料が容器内で均一にならされ、この後の副
原料との混合が行いやすくなる。特に、主原料として多
孔質の粉体材料を使用する場合には、この粉体材料が空
気中の水分を吸着している場合がある。このとき、例え
ば粉体材料において空気と接している表面のみが湿り気
を帯びる(または乾く)などのように、局所的に含水率
の多い(または少ない)状態を生じていると、副原料と
の均一な混合を行いにくくなる。このような場合であっ
ても、あらかじめ縦軸撹拌部材を回転させつつ、主原料
を容器内に投入することにより、主原料の含水率が均一
となり、この後の副原料との混合が行いやすくなる。
【0030】また、主原料は、その上端が、横回転軸に
対して上側に位置する羽根部の長さ方向における中央位
置に達するまで投入される。このため、副原料との混合
時において、羽根部が回動されてその先端部が主原料中
に潜り込むときに、副原料が主原料の内部に押し込まれ
る。これにより、主原料と副原料との混合を効果的に行
うことができる。特に、副原料が浮遊しやすい材料であ
る場合には効果的である。
【0031】さらに、主原料と副原料との混合を先に行
い、その後に散水部材から水を散布する。このように、
あらかじめ比較的乾燥した状態で主原料と副原料との混
合を行っておくことにより、均一な混合物を製造するこ
とができる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の撹拌装置、および
混合物の製造方法を具体化した実施形態について、図1
〜図7を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】図1には、本実施形態の撹拌装置1を示
す。この撹拌装置1には、例えばステンレスにより有底
の円筒状に形成された容器2が備えられている。
【0033】容器2の底部には、アジテータ10(本発
明の縦軸撹拌部材に該当する)が設けられている。この
アジテータ10は、容器2の底面3における中央位置か
ら上方へ垂直に突出された縦回転軸11に、上下二段の
インペラ12、15が取り付けられた構造となってい
る。
【0034】下段側の大インペラ12は、縦回転軸11
に上方から抜き差し可能に嵌め付けられる軸受け部13
の回りに、軸方向と直交方向に延びる3枚の大羽根部1
4が120度間隔で設けられた形状となっている。大羽
根部14は、その先端部が容器2の内周面4近くに達す
る長さの板状に形成されており、回転方向前方側に向か
って下降する傾斜姿勢で軸受け部13に取り付けられて
いる。
【0035】上段側の中インペラ15は、同じく縦回転
軸11に上方から抜き差し可能に嵌め付けられる軸受け
部16の回りに、軸方向と直交方向に延びる3枚の中羽
根部17が120度間隔で設けられた形状となってい
る。中羽根部17は、大羽根部14の約半分の長さの板
状に形成され、回転方向後方側に向かって下降する傾斜
姿勢で軸受け部16に取り付けられている。
【0036】両インペラ12、15は、大羽根部14と
中羽根部17とが上方から見て互い違いとなるように縦
回転軸11に取り付けられている(図2参照)。また、
縦回転軸11は、容器2の下方に設けられたモータ18
に連結されており、このモータ18の駆動力によって、
両インペラ12、15が縦回転軸11の回りに回転駆動
されるようになっている。
【0037】容器2の内周面4には、一対のチョッパ2
0A、20B(本発明の横軸撹拌部材に該当する)が1
80度間隔で設けられている。このチョッパ20A、2
0Bは、容器2の内周面4から水平方向に突出された横
回転軸21に、小インペラ23が、軸方向に間隔を開け
て3組取り付けられた構造となっている。この小インペ
ラ23は、軸方向と直交方向に延びる4枚の小羽根部2
2が90度間隔で設けられたものである。また、チョッ
パ20A、20Bの横回転軸21は、容器2の側方に設
けられたモータ24に連結されており、このモータ24
の駆動力によって、小インペラ23が横回転軸21の回
りに回転駆動されるようになっている。
【0038】一対のチョッパ20A、20Bは、互いに
上下にずれた位置に設けられている。すなわち、第一の
チョッパ20Aは、容器2の上下方向の中央よりもやや
上側の位置に設けられており、第二のチョッパ20B
は、第一のチョッパ20Aとアジテータ10とのほぼ中
間位置に設けられている。
【0039】また、容器2の外周面には、容器2の内部
に連通する筒状の排出筒5が備えられており、ここから
混合物44を容器2の外部へ排出することが可能となっ
ている。
【0040】容器2の上面側には、容器2の上面の開口
部を緊密に塞ぐことが可能な略円盤状に形成された天板
部30が、開閉自在に装着されている(図1、図3参
照)。この天板部30には、主原料および副原料を容器
2内に投入するための投入口31、32と、水43を容
器2内に供給するための散水口34とが設けられてい
る。
【0041】主原料投入口31は、円形の開放口の開口
縁を壁状に立ち上げることによって、筒状に形成されて
いる。また、副原料投入口32は、主原料投入口31よ
りも一回り大きな略矩形状に形成された開放口に、この
開放口を閉止可能な蓋部33がヒンジ部を介して開閉自
在に取り付けられたものである。
【0042】散水口34は、第一のチョッパ20Aに対
して、アジテータ10の回転方向後方側の位置に、主原
料投入口31よりもやや径の小さな筒状に形成されてい
る。この散水口34の上側の開口には、水43を供給す
るためのホース37が接続され、下側の開口には、ホー
ス37から供給された水43を噴霧するための散水ノズ
ル35が取り付けられている。散水ノズル35は、略釣
鐘状に形成されるとともに、その下側面は、容器2の半
径方向を長径軸とする略楕円形の噴水面36とされてお
り、ここには多数の噴水口(図示せず)が開設されてい
る。また散水ノズル35において釣鐘の頂点位置から
は、筒状の連結部(図示せず)が延設されており、この
連結部が散水口34の内側に緊密に嵌め付けられること
により、散水ノズル35が散水口34に取り付けられて
いる。このとき、散水ノズル35はその噴水面36を容
器2の中心方向に向かって僅かに上方へ傾けた姿勢とさ
れており、容器2の半径方向に沿って、周縁部から中心
位置に渡る帯状の散水領域Rに水43を噴霧することが
可能とされている。
【0043】次に、上記のように構成された撹拌装置1
によって混合物44を製造する工程について説明する。
【0044】本実施形態の混合物44の製造に使用され
る主原料は、軽量気泡コンクリートを粉砕して平均粒子
径10〜200μmとした軽量気泡コンクリート粉粒体
40(本発明の主原料に該当する。以下、粉粒体40と
称する)である。この粉粒体40は多孔質であり、少量
の水分を吸着している場合があるため、混合工程で加え
る水43の量を決定するためにあらかじめ含水率を測定
しておく。
【0045】そして、撹拌装置1のアジテータ10を回
転させつつ、主原料投入口31から粉粒体40を容器2
内に流し入れ、粉粒体40を容器2内全体に均一になら
していく(図4)。粉粒体40は、その上端が第一のチ
ョッパ20Aの小羽根部22のうち、横回転軸21に対
して上側に位置するものの長さ方向における中央位置に
達するまで投入される。このとき、アジテータ10を高
速で回転させると、発生する熱により粉粒体40に含ま
れている水分が水蒸気となり、この後の混合工程におい
て繊維41が解繊されにくくなる。このため、アジテー
タ10の回転速度を5〜20rpmの低速とすることが
好ましい。また、温度上昇を防ぐため、容器2を冷却し
ながら撹拌を行ってもよい。
【0046】次に、アジテータ10の回転を一端停止
し、副原料投入口32から繊維41(本発明の副原料に
該当する)を投入する。そして、アジテータ10の回転
を再開し、回転速度を111rpmまで上昇させるとと
もに、チョッパ20A、20Bを回転速度3,000r
pmで回転させて、繊維41を粉粒体40に分散させる
(図5)。この段階では、水43が添加されていないた
め、粉粒体40が比較的乾燥した状態でさらさらとして
おり、かつ、繊維41が湿気を帯びることにより収束し
てだまを生じることがない。このため、混合が円滑に行
われる。
【0047】この混合工程において、第一のチョッパ2
0Aの小羽根部22は、横回転軸21に対して上側まで
回動されたときにその先端部22Aが粉粒体40の上面
40Aに露出される。そして、小羽根部22がさらに回
動されてこの先端部22Aが粉粒体40中に潜り込むと
きに、粉粒体40の上面に存在する繊維41が粉粒体4
0の内部に押し込まれる。そして、押し込まれた繊維4
1は、アジテータ10による回転流に乗って横方向に拡
散される。
【0048】ここで、チョッパ20Aは、アジテータ1
0の回転方向に対して順方向に回転される。すなわち、
チョッパ20Aの小羽根部22が横回転軸21の下側へ
回動され、アジテータ10に近づいたときに、その送り
方向がアジテータ10の回転方向と一致する方向に回転
される。言い換えれば、アジテータ10がモータ18側
から見て反時計回りに回転されるのに対して、チョッパ
20A、20Bはモータ24側から見て時計回りに回転
される(図5中矢印方向)。このようにすれば、チョッ
パ20Aの回転により生じる縦方向の回転流が、横回転
軸21の下側位置で、アジテータ10の回転により生じ
る横方向の回転流と合流する。これにより、繊維41の
拡散が円滑に行われる。
【0049】次いで、アジテータ10の回転流により第
二のチョッパ20Bの近傍まで運ばれた繊維41は、第
二のチョッパ20Bの縦方向の回転に伴って、さらに下
方へと運ばれる。そして、下方へ運ばれた繊維41は、
さらにアジテータ10による回転流によって横方向に拡
散される。このとき、上記した第一のチョッパ20Aの
場合と同様に、第二のチョッパ20Bの回転方向がアジ
テータ10の回転方向に対して順方向とされている。こ
のため、繊維41の拡散が円滑に行われる。このように
して、繊維41が粉粒体40全体に拡散されていく。
【0050】さらに、アジテータ10の下段側の大イン
ペラ12は、回転方向前方側が僅かに下方に傾く姿勢で
軸受け部13に取り付けられており、斜め上方への掬い
上げの回転流を作り出す。一方、上段側の中インペラ1
5は、回転方向後方側が僅かに下方に傾く姿勢で軸受け
部16に取り付けられており、斜め下方への吸い込みの
回転流を作り出す。これらにより、粉粒体40全体に対
流を生じさせて、繊維41を均一に拡散させることがで
きる。このようにして、粉粒体40と繊維41とが混合
された混合原料42が調製される(図6)。
【0051】次いで、散水ノズル35から混合原料42
の上面に所定量の水43を散布しつつ、さらに撹拌を行
う(図7)。水43の添加量は、予め測定された粉粒体
40の含水量を差し引いて定められ、添加後の混合物4
4の含水量が約35±5重量%となるように調整され
る。
【0052】さらに、だまの発生を防止するためには、
繊維41が充分に解繊され、粉粒体40中に充分に拡散
されてから散水を開始することが好ましい。しかし、散
水開始のタイミングが遅すぎれば、混合の際に発する熱
によって水蒸気が発生し、この水蒸気によって一端解繊
した繊維41が再び収束して、だまを生じやすくなる。
このため、散水は水蒸気の発生が始まる直前に開始され
ることが好ましい。具体的には、容器2内の温度が40
℃以上となる直前、もしくは、容器2内と外気との温度
差が20℃以上となる直前に開始されることが好まし
い。
【0053】散水ノズル35から噴出される水43は、
第一のチョッパ20Aに対してアジテータ10の回転方
向後方側であって、容器2の半径方向に沿って周縁部か
ら中心位置に渡る散水領域Rに噴霧される。そして、噴
霧された水43によって水分を帯びた散水領域Rの粉粒
体40は、上記した繊維41の場合と同様に、チョッパ
20A、20Bによる回転流に乗って下方に拡散され、
アジテータ10による回転流に乗って横方向に拡散され
る。これにより、水43が混合原料42全体に均一に拡
散される。
【0054】このとき、散水領域Rを第一のチョッパ2
0Aに対してアジテータ10の回転方向後方側とするこ
とによって、水分を帯びた混合原料42を速やかに下方
へ拡散させることができ、水43の混合原料42への拡
散を速やかに行わせることができる。また、散水領域R
は容器2の半径方向に沿って周縁部から中心位置に渡る
範囲とされている。これにより、アジテータ10の回転
に伴って散水された水43が同心円状に拡散されるた
め、混合原料42全体に水43を均一に混合することが
できる。
【0055】このようにして、粉粒体40と繊維41と
水43とが均一に混合された混合物44が製造される。
製造された混合物44は、容器2の排出筒5から排出さ
れ、次のプレス成形工程に運ばれる。
【0056】プレス成形工程では、例えば一軸プレス機
などの加圧成形機の型枠内に混合物44を流し入れ、プ
レスにより加圧力10〜30MPaで成形する。
【0057】続いて、得られた加圧成形体を加圧成形機
から取り出し、養生用の釜内において炭酸ガス又は炭酸
ガス含有ガスと接触させ、炭酸化反応を起こさせて硬化
させる。炭酸化反応は、例えば炭酸ガス又は炭酸ガス含
有ガスとして市販の液体二酸化炭素、ドライアイス、燃
焼ガス、排気ガス等を用い、炭酸ガス濃度は3〜100
%、好ましくは30〜100%、圧力は0.1〜0.8
MPa、温度は0℃以上飽和温度以下、好ましくは室温
〜飽和温度マイナス20℃の条件で行われる。その後、
必要に応じて上記炭酸硬化成形体を乾燥させる。
【0058】このようにして、内部まで炭酸化が均一に
成されており、曲げ強度が良好で、亀裂や割れの発生も
認められない優れた吸放湿性を有する炭酸硬化成形体が
完成される。
【0059】本発明の技術的範囲は、上記した実施形態
によって限定されるものではなく、例えば、次に記載す
るようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その
他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶもの
である。 (1)本実施形態によれば、アジテータ10には大イン
ペラ12と中インペラ15とが備えられているが、本発
明によれば第一の撹拌部材の構成は本実施形態の限りで
はなく、例えば一種類のインペラのみを備えていてもよ
い。 (2)本実施形態によれば、アジテータ10に備えられ
たインペラ12、15はそれぞれ3枚の羽根部14、1
7を備えているが、本発明によれば第一の撹拌部材に備
えられる羽根部の枚数は本実施形態の限りではなく、2
枚、あるいは4枚以上であってもよい。 (3)本実施形態によれば、チョッパ20A、20B
は、それぞれ4枚の小羽根部22を備えた小インペラ2
3を3組備えているが、本発明によれば、第二の撹拌部
材の羽根部の枚数は、原料の性状、あるいは副原料の添
加量などに応じて3枚以下、あるいは5枚以上とされて
いてもよい。また、インペラ23の数も本実施形態の限
りではなく、2組以下、あるいは4組以上であってもよ
い。 (4)本実施形態によれば、チョッパ20A、20Bは
互いに上下にずれた位置に設けられているが、本発明に
よれば、第二の撹拌羽根の位置は本実施形態の限りでは
なく、同じ高さに設けられていてもよい。 (5)本実施形態によれば、副原料としては繊維41が
使用されているが、本発明によれば副原料の種類は本実
施形態の限りではなく、例えば顔料等を使用してもよ
く、繊維と顔料等を混合して使用してもよい。そのよう
な場合にも、本実施形態と同様の方法で主原料との均一
な混合を行うことができる。 (6)本実施形態によれば、繊維41を乾燥状態で副原
料投入口32から容器2内に投入して混合を行っている
が、本発明によれば副原料の混合方法は本実施形態の限
りではなく、例えば副原料をあらかじめ水に分散したも
のを投入して混合を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の撹拌装置の側断面図
【図2】本実施形態の撹拌装置の上面図
【図3】天板部を取り付けた撹拌装置の上面図
【図4】撹拌装置に粉粒体を投入した状態を示す側断面
【図5】撹拌装置に繊維を投入した状態を示す側断面図
【図6】粉粒体と繊維とが混合された状態を示す側断面
【図7】混合原料に水を散布した状態を示す側断面図
【符号の説明】
1…撹拌装置 2…容器 10…アジテータ(縦軸攪拌部材) 11…縦回転軸 20A、20B…チョッパ(横軸攪拌部材) 21…横回転軸 22…小羽根部(羽根部) 22A…先端部 35…散水ノズル(散水部材) 40…粉粒体(主原料) 41…繊維(副原料) 42…混合原料 43…水 44…混合物 R…散水領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 仁 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 クリ オン株式会社内 (72)発明者 寺村 敏史 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株式 会社建材技術研究所内 (72)発明者 稲垣 憲次 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株式 会社建材技術研究所内 (72)発明者 平林 克己 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株式 会社建材技術研究所内 (72)発明者 坂下 雅司 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株式 会社建材技術研究所内 (72)発明者 本多 純夫 東京都千代田区西神田三丁目8番1号 株 式会社建材技術研究所内 Fターム(参考) 4G035 AB46 4G078 AA02 AB02 BA11 DA01 DA03 DA28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末状の主原料と、一種以上の副原料
    と、水とを含み、かつ、前記副原料の割合が前記主原料
    と前記副原料との乾燥重量の和に対して10%以下であ
    る混合物を製造するための撹拌装置であって、 前記混合物を収容可能な容器と、 前記容器の底部に設けられて上下方向の縦回転軸の周り
    に回転可能な縦軸攪拌部材と、 前記縦軸撹拌部材の上方に前記縦回転軸と交差する方向
    を向けて設けられた横回転軸の周りに回転可能な横軸攪
    拌部材とが備えられていることを特徴とする撹拌装置。
  2. 【請求項2】 前記横軸撹拌部材は、一対が上下方向に
    ずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載の撹拌装置。
  3. 【請求項3】 前記横軸撹拌部材の回転方向は、この横
    軸撹拌部材に備えられた羽根部が前記縦軸撹拌部材に接
    近したときに前記縦軸撹拌部材の回転方向と同方向に移
    動する順方向であることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の撹拌装置。
  4. 【請求項4】 前記容器には、前記横軸撹拌部材に対し
    て前記縦軸撹拌部材の回転方向後方位置に前記水を散布
    可能な散水部材が備えられていることを特徴とする請求
    項1から請求項3のいずれかに記載の撹拌装置。
  5. 【請求項5】 前記散水部材は、前記縦軸撹拌部材の回
    転半径方向に沿うとともに回転中心から前記容器の周縁
    部に渡る散水領域に前記水を散布可能とされていること
    を特徴とする請求項4に記載の撹拌装置。
  6. 【請求項6】 粉末状の主原料と、一種以上の副原料
    と、水とを含み、かつ前記副原料の割合が前記主原料と
    前記副原料との乾燥重量の和に対して10%以下である
    混合物を製造する方法であって、 前記主原料と前記副原料を混合して混合原料を調製した
    後に、この混合原料と水とを混合することを特徴とする
    混合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 粉末状の主原料と、一種以上の副原料
    と、水とを含み、かつ、前記副原料の割合が前記主原料
    と前記副原料との乾燥重量の和に対して10%以下であ
    る混合物を、請求項1から請求項4のいずれかに記載の
    撹拌装置を使用して製造する方法であって、 (a)前記縦軸撹拌部材を回転させつつ、前記主原料を、
    その上端が、前記横軸撹拌部材に設けられた前記羽根部
    が前記横回転軸に対して上側に位置するときの長さ方向
    における中央位置に達するまで前記容器内に投入する工
    程と、 (b)前記容器内に前記副原料を投入する工程と、 (c)前記縦軸撹拌部材および前記横軸撹拌部材を回転さ
    せて、前記主原料と前記副原料とを混合して混合原料を
    調製する工程と、 (d)前記縦軸撹拌部材および前記横軸撹拌部材を回転さ
    せつつ前記散水部材から前記水を散布して、前記混合原
    料と水とを混合する工程とを実行することを特徴とする
    混合物の製造方法。
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