JP2003142863A - ヒートシンクおよびフィンモジュール - Google Patents

ヒートシンクおよびフィンモジュール

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JP2003142863A
JP2003142863A JP2001343447A JP2001343447A JP2003142863A JP 2003142863 A JP2003142863 A JP 2003142863A JP 2001343447 A JP2001343447 A JP 2001343447A JP 2001343447 A JP2001343447 A JP 2001343447A JP 2003142863 A JP2003142863 A JP 2003142863A
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fin
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Koichi Masuko
耕一 益子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造作業性が良好で、また放熱特性の良好な
ヒートシンクを提供する。 【解決手段】 薄板状の多数のフィン3が、相互に平行
に、ベース部2に立設されたヒートシンク1であって、
前記フィン3の下端部が二枚重ねに折り曲げられて二枚
重ね部4が形成され、その二枚重ね部4が、前記ベース
部2に形成された溝部5に挿入されて固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、平板状の放熱フ
ィンをベース部の表面に取り付けた構造のヒートシンク
およびそのヒートシンクで用いられるフィンモジュール
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のようにヒートシンクは、冷却対象
物からの放熱を促進するために、その冷却対象物に取り
付けられて放熱面積を増大させるものであるから、基本
的には、適宜の形状のフィン部材を冷却対象物に、熱伝
達が良好な状態で取り付けるように構成されていればよ
い。しかしながら、汎用性を持たせるためには、フィン
部材を冷却対象物に連結する機能を備える必要があるか
ら、一般には、適宜の形状のベース部に、フィン部材を
一体化した構成とされている。この種の構成のヒートシ
ンクにおけるベース部は、放熱の点での機能は特にはな
いので、放熱効率もしくは放熱能力を可及的に増大させ
るために、ベース部の表面の全体に放熱フィンを取り付
けるのが一般的である。このようなヒートシンクの一例
が、特開平11−87961号公報や特開2001−2
44677号公報等に記載されている。
【0003】また、従来、放熱フィンを平板状に形成し
たヒートシンクの製造性を向上させるために、一枚の金
属板を九十九折りして放熱フィンを構成し、これをベー
ス部の表面全体を覆うようにベース部に取り付けた構成
のヒートシンクが知られている。この種の放熱フィン
は、フォールデッドフィンと称されており、トンネル状
の通風路と上方に開口した通風路とが交互に形成された
構成となるので、放熱フィンの面に沿う方向に強制的に
送風して冷却するヒートシンクとして用いられている。
この種のヒートシンクの一例が、米国特許6,288,
899号明細書などに記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平11−87
961号公報や特開2001−244677号公報に記
載されているようなベース部に多数のフィンを立設した
構成のヒーシンクとして、予め用意したベース部にフィ
ンを取り付ける構造と、両者を一体に成形した構造とが
知られている。前者のベース部とフィンとを別部材とす
る構造では、両者を接合して一体化する必要があるが、
その接合のための構造としてロー付けやハンダ付けなど
の手段を採用するとした場合、薄板状のフィンでは、充
分な接合面積を確保できないので、放熱面積を拡大する
ことのできる薄板状のフィンをベース部に確実かつ高強
度に取り付けることが困難である。
【0005】このような不都合を解消するために、ベー
ス部に溝を形成し、その溝に薄板状フィンの下端部を差
し込んで固定する構造が考えられる。しかしながら、こ
のような構造では、フィンを薄肉にするに従って溝幅を
狭くする必要があるが、ベース部を製造する場合に同時
に成形できる溝幅はある程度以上に広いものに限られる
ので、開口幅の狭い溝を形成するために、切削などの方
法を採用すると、加工工数が増大するばかりか、材料歩
留まりが低下し、生産性が低下する不都合が生じる。
【0006】また、フィンとベース部とを一体にして製
造する方法として、ダイキャスト鋳造などの鋳造方法や
押し出し成形法などがあるが、フィンを薄板状とするた
めには、フィンのためのキャビティや成形型を幅の狭い
ものとしなければならないので、溶湯がキャビティ内に
充分に行き渡らずに鋳造欠陥が生じたり、成形型が破損
したりしやすく、これを解消するためには、フィンを厚
肉にするか、あるいは肉厚に対して高さを低くする必要
があり、その結果、フィンの熱容量が大きくなったり、
必要充分な放熱面積を確保できなくなったりするなどの
不都合が生じる。
【0007】また一方、フォールデッドフィンを使用し
たヒートシンクでは、フォールデッドフィンをベース部
に接合する場合、フォールデッドフィンの折り曲げエッ
ジで接合することになるので、接合面積を確保すること
が困難であり、また、各折り曲げエッジが平面上に並ぶ
状態に揃わないために、いずれかの折り曲げエッジとベ
ース部の表面との間に隙間が生じ、その結果、両者の間
の熱抵抗が大きくなり、ひいては放熱特性が低下する可
能性がある。さらに、ヒートシンクの上方から送風して
強制空冷するとした場合、フィン同士の間の空間部の半
分は、トンネル状になっているので、これを上方に向け
て開口させる必要があり、そのためにフォールデッドフ
ィンの折り曲げエッジを切削するなどの付加的な加工を
必要とする不都合がある。
【0008】この発明は、上記の技術的課題に着目して
なされたものであり、放熱特性に優れ、かつ生産性の良
好なヒートシンクおよびヒートシンク用のフィンモジュ
ールを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、薄板状の多数
のフィンが、相互に平行に、ベース部に立設されたヒー
トシンクにおいて、前記フィンの下端部が二枚重ねに折
り曲げられて二枚重ね部が形成され、その二枚重ね部
が、前記ベース部に形成された溝部に挿入されて固定さ
れていることを特徴とするものである。
【0010】したがって請求項1の発明では、二枚重ね
に折り曲げられて厚くなっている二枚重ね部が、ベース
部に形成された溝部に挿入されて固定されているので、
溝部の幅はフィンの厚さの二倍程度に大きくなってい
る。そのため、フィンが薄板状であっても、開口幅の広
い溝部をベース部に形成できるので、その溝部は切削な
どの方法によらずに、ベース部の鋳造や押し出し成形な
どによる製造時に同時に形成することができ、ベース部
の製造性が良好で、かつフィンをベース部に容易に取り
付けることができる。
【0011】また、請求項2の発明は、請求項1の構成
において、前記溝部の開口幅を狭くするように余肉を生
じさせるカシメ加工が、前記溝部の開口部に隣接した箇
所に施されていることを特徴とするヒートシンクであ
る。
【0012】したがって請求項2の発明では、前記二枚
重ね部が溝部に挿入されているだけでなく、溝部によっ
て挟み付けられた状態となる。そのため、ベース部に対
するフィンの取り付け強度が高くなり、その結果、フィ
ンが抜け落ちるなどの事態を未然に防止できるのみなら
ず、ベース部とフィンとの間の熱抵抗が低下し、ヒート
シンクとしての放熱特性が向上する。
【0013】さらに、請求項3の発明は、請求項1また
は2の構成において、前記溝部の開口部の幅より前記溝
部の底部側の幅が大きく、かつその溝部に挿入されてい
る前記二枚重ね部が前記溝部の幅方向に拡大されている
とを特徴とするヒートシンクである。
【0014】したがって請求項3の発明では、前記二枚
重ね部の前記溝部内で拡がっている部分が、溝部に引っ
掛かった状態となり、いわゆるアンカー効果(投錨効
果)が生じ、ベース部からのフィンの脱落が防止され
る。
【0015】またさらに、請求項4の発明は、請求項3
の構成において、前記二枚重ね部に軸状部材が挿入され
てその二枚重ね部が前記溝部の幅方向に拡大されている
ことを特徴とするヒートシンクである。
【0016】したがって請求項4の発明では、前記溝部
の内部で拡がっている二枚重ね部が、軸状部材を挿入さ
れた中実構造になり、その結果、フィンが、更に確実に
ベース部に固定される。
【0017】そして、請求項5の発明は、請求項1ない
し4のいずれか構成において、前記二枚重ね部を形成し
ている折り曲げ片の先端部が、前記溝部の開口端より底
部側に入り込んでいることを特徴とするヒートシンクで
ある。
【0018】したがって請求項5の発明では、前記折り
曲げ片の先端部が、溝部の内壁に引っ掛かった状態とな
る。そのため、フィンが溝部から抜けることがなく、ベ
ース部に対するフィンの取り付け強度が高くなる。
【0019】そしてまた、請求項6の発明は、請求項1
ないし5のいずれかの構成において、前記フィンの上端
部に、ほぼ直角に折り曲げられて隣接するフィンに当接
させられた屈曲片が形成されるとともに、その屈曲片の
先端部に突起部が形成され、かつ隣接するフィンにおけ
る前記突起部を嵌合かつ連結される凹部が、前記屈曲片
の基端部に形成され、相互に平行に配列されているフィ
ンの上端部が前記突起部および凹部によって連結されて
いることを特徴とするヒートシンクである。
【0020】したがって請求項6の発明では、フィンの
上端部に形成された屈曲片が隣接するフィンに当接して
おり、しかもその状態で突起部と凹部とが係合して、フ
ィンの上端部同士が連結される。そのため、フィンの間
隔がほぼ一定に保たれ、強制冷却した場合の空気の流通
が円滑になり、またフィンの配列が揃っているので、見
栄えがよく、製品価値の低下が防止される。
【0021】そしてさらに、請求項7の発明は、請求項
1ないし6のいずれかの構成において、前記屈曲片が前
記フィンの幅方向での中央部を外れた両端部に形成さ
れ、かつ相互に隣接するフィン同士の間の隙間が上端部
側に開口する開口部が形成されていることを特徴とする
ヒートシンクである。
【0022】したがって請求項7の発明では、フィンの
上端部に形成された屈曲片が、フィン同士の間の隙間の
上端全体を覆うことがなく、その隙間が上方に開口した
状態となる。そのため、上記の開口部にファンを望ませ
て配置することにより、フィンの上方からの強制冷却を
おこなうことができる。
【0023】さらに、請求項8の発明は、薄板状の多数
のフィンが、相互に平行に、ベース部に立設されたヒー
トシンクにおいて、前記フィンの上端部および下端部の
それぞれに、ほぼ直角に折り曲げて隣接するフィンに当
接させられた屈曲片が形成されるとともに、その屈曲片
の先端部に突起部が形成され、かつ隣接するフィンにお
ける前記突起部を嵌合かつ連結される凹部が、前記屈曲
片の基端部に形成され、相互に平行に配列されているフ
ィンの上端部および下端部のそれぞれが前記突起部およ
び凹部によって連結されていることを特徴とするもので
ある。
【0024】したがって請求項8の発明では、互いに平
行に配列されたフィンが、それぞれの上下両端部に形成
された屈曲片で一定間隔に維持され、しかも各突起部が
凹部に係合することにより、各フィンが上下両端部で連
結されている。そのため、複数枚のフィンが一定間隔で
平行に配列した状態で一体化されている。その結果、複
数枚のフィンを一括してベース部に取り付けることがで
きる。
【0025】また、請求項9の発明は、請求項8の構成
において、前記突起部および凹部によって連結された前
記フィンが、下端側に前記屈曲片によって形成された平
面部で、前記ベース部に接合されていることを特徴とす
るヒートシンクである。
【0026】したがって請求項9の発明では、ベース部
に対するフィンの接合面積が広くなるので、フィンが確
実かつ強固にベース部に一体化され、また両者の間の熱
抵抗が小さくなってヒートシンクとしての放熱特性が良
好になる。
【0027】そして、請求項10の発明は、相互に平行
に配列された多数の薄板状のフィンの上端部および下端
部のそれぞれに、ほぼ直角に折り曲げて隣接するフィン
に当接させられた屈曲片が形成されるとともに、その屈
曲片の先端部に突起部が形成され、かつ隣接するフィン
における前記突起部を嵌合かつ連結される凹部が、前記
屈曲片の基端部に形成され、相互に平行に配列されてい
るフィンの上端部および下端部のそれぞれが前記突起部
および凹部によって連結されていることを特徴とするフ
ィンモジュールである。
【0028】したがって請求項10の発明では、互いに
平行に配列されたフィンが、それぞれの上下両端部に形
成された屈曲片で一定間隔に維持され、しかも各突起部
が凹部に係合することにより、各フィンが上下両端部で
連結されている。そのため、複数枚のフィンが一定間隔
で平行に配列した状態で一体化されている。複数のフィ
ンがこのように一体化された状態で一括して取り扱われ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図に示す具体
例に基づいて説明する。この発明のヒートシンク1は、
ベース部2に複数の薄板状のフィン3を立設した構造で
ある。図1は、そのヒートシンク1の部分側面図であ
り、フィン3は、アルミニウムあるいはアルミニウム合
金、銅などの熱伝導率の高い金属によって例えば矩形状
の薄板として構成されている。各フィン3の下端部(ベ
ース部2側の端部)における所定の長さの部分が、フィ
ン3の幅全体に亘って折り曲げられて二つ折りされ、二
枚重ね部4が形成されている。すなわち、フィン3の下
端部の厚さが、他の部分の2倍の厚さになっている。
【0030】一方、ベース部2は、アルミニウムあるい
はアルミニウム合金、銅などの熱伝導率の高い金属によ
って例えば平板状に形成された部材であって、その上面
(フィン3を取り付ける面)には、複数の溝部5が、一
定間隔を空けて互いに平行に形成されている。これらの
溝部5の開口幅は、前記フィン3の厚さのほぼ2倍とな
っており、すなわち前記二枚重ね部4の厚さとほぼ同
じ、もしくは僅か小さく設定されている。また、これら
の溝部5の深さは、前記二枚重ね部4の長さ(図1にお
ける上下方向での高さ)より深くなっており、したがっ
て二枚重ね部4を構成している折り曲げ片6が、溝部5
の開口端より底部側に入り込み、折り曲げ片6の上端エ
ッジが溝部5の内壁に引っ掛かっている。
【0031】上記の各溝部5の開口端同士の間に、カシ
メ部7が形成されている。このカシメ部7は、例えば先
端部がV字状に尖った鏨などの工具(図示せず)を打ち
込んで形成されたものである。このようにカシメ部7を
形成することによる余肉が、各溝部5側に移動し、その
結果、その余肉が各溝部5の溝幅を狭くするように作用
するので、フィン3の下端部すなわち二枚重ね部4が、
溝部5によって挟み付けられ、その結果、フィン3がベ
ース部2に対して強固に固定されている。なお、このよ
うにして余肉の移動を生じさせることにより、溝部5の
開口部が閉じるように変形するので、上記の折り曲げ片
6の先端部が溝部5の側壁に食い込んだ状態になる。そ
の結果、フィン3がより強固に抜け止めされる。
【0032】上記のヒートシンク1は、ベース部2を演
算素子などの発熱部品に接触させ、あるいは発熱部品か
ら熱を輸送するヒートパイプ(図示せず)に接触させて
使用される。発熱部品の熱がベース部2に伝達される
と、その熱がフィン3に伝達され、ここから周囲の大気
中に放散される。その場合、フィン3の下端部が、前記
溝部5に強固に挟み込まれてベース部2に対して密着し
ているので、ベース部2とフィン3との間の熱抵抗が小
さく、したがって効率良くベース部2からフィン3に対
して熱を伝達して放熱することができる。すなわちヒー
トシンク1としての放熱特性が良好になる。また、上記
の構成では、ベース部2に形成する溝部5の幅を、フィ
ン3の厚さの2倍程度にすることができるので、例えば
ベース部2を押し出し成形によって製造する際に同時に
溝部5を形成することができ、その結果、ベース部2を
含むヒートシンク1の全体としての加工工数が少なくな
って生産性が良好になる。
【0033】なお、上記のカシメ部7は、フィン3の取
り付け強度を高めるために形成してあり、したがって例
えばフィン3の二枚重ね部4を溝部5に圧入する構成と
すれば、カシメ部7は特に形成しなくてもよい。
【0034】つぎにこの発明の他の例を説明する。図2
および図3は、この発明の他の例を示す模式的な断面図
であり、二枚重ね部4がアンカー効果を奏するように構
成した例である。すなわち、溝部5は開口幅に対して底
部側(図2および図3での下側)の幅が広くなった形
状、例えば断面ほぼ円形状をなしており、その溝部5の
開口幅は、フィン3の厚さのほぼ2倍に設定されてい
る。このような形状の溝部5は、例えばベース部2を押
し出し成形する際に同時に形成することができる。
【0035】これに対してフィン3の下端部側に形成さ
れて溝部5に挿入されている二枚重ね部4が、溝部5の
内面に沿うように広げられている。具体的には、断面円
形をなすように図の左右方向に広げられている。そのよ
うにして溝部5の幅方向に拡大させた部分が、溝部5の
内部に引っ掛かった状態となるので、フィン3が溝部5
から抜け出ることが阻止され、フィン3のベース部2に
対する取り付け強度が増し、あるいはフィン3をベース
部2に対して確実に取り付けることができる。
【0036】フィン3の二枚重ね部4を上記のように拡
大させる加工は、二枚重ね部4の間に何らかの工具を差
し込んで二枚重ね部4を溝部5の幅方向に変形させるこ
とによりおこなうことができる。あるいは図3に示すよ
うに、二枚重ね部4に座屈を生じさせて拡大させること
もできる。すなわち、二枚重ね部4を構成している折り
曲げ片6の長さ(高さ)を溝部5の深さより大きくして
おくことにより、折り曲げ片6の端部を溝部5から突出
させておき、その状態でフィン3および折り曲げ片6
を、適宜の治具8で、板面方向に沿って溝部5側に加圧
すると、二枚重ね部4が開くように座屈が生じ、溝部5
の内面に沿った形状に押し広げることができる。
【0037】なお、この発明では、溝部5を底部側で拡
大した形状とすることなく、二枚重ね部4を押し広げる
ように構成してもよい。その例を図4に示してあり、こ
こに示す例は、幅が一定の溝部5に二枚重ね部4を挿入
し、その二枚重ね部4の間に軸状をなす部材、例えばピ
ン9を圧入して二枚重ね部4を左右方向に押し広げるよ
うに加圧した構造である。
【0038】このような構造においては、二枚重ね部4
の外面が溝部5の内面に押圧されるので、この部分にお
ける摩擦力が大きくなってフィン3のベース部2に対す
る取り付け強度が向上し、また両者の間の熱抵抗が小さ
くなる。なお、ピン9を圧入することにより溝部5にそ
の幅が拡大する変形が生じると、上述した図2および図
3に示す例と同様に、二枚重ね部4にアンカー効果が生
じ、フィン3がより確実に抜け止めされる。
【0039】なお、この発明におけるベース部2は、上
述した平板状のものに限られないのであり、例えば図5
に示すように、平板部分10と比較的厚肉の複数の放熱
フィン部11とを、押し出し成形などの方法で一体に形
成しておき、それらの放熱フィン部11の間に形成され
た溝部5に、フィン3の下端部に形成した二枚重ね部4
を挿入し、その両側にカシメ加工を施してカシメ部7を
形成することにより、溝部5にフィン3を強固に固定す
るようにしてもよい。
【0040】上記のフィン3は、ほぼ一定間隔を空けて
相互に平行に配列されている。その配列状態を保つため
に、フィン3の上端部を相互に連結するように構成する
ことができる。その例を以下に説明する。図6ないし図
8において、各フィン3の上端部に、ほぼ直角に折り曲
げた屈曲片12が形成されている。この屈曲片12は、
フィン3の上端部にその幅の全体に亘って形成してもよ
いが、図6ないし図8に示す例では、左右両端部側に屈
曲片12が形成されている。
【0041】また、各屈曲片12の先端中央部には突起
部13が形成されている。この突起部13に対応する形
状の貫通孔14が、各屈曲片12の基端部で、かつ各突
起部13に対応する箇所に形成されている。この貫通孔
14は、この発明の凹部に相当する部分であって、隣接
する突起部13を嵌合させて隣接するフィン3の上端部
同士を連結するためのものである。
【0042】具体的には、上記の屈曲片12の突出長さ
とほぼ等しい間隔を空けてフィン3を相互に平行に配列
することにより、屈曲片12の先端部が隣接するフィン
3の上端部の背面側に当接し、フィン3の上端部の間隔
が一定間隔に保たれる。その状態で、前記突起部13が
隣接するフィン3における貫通孔14に嵌合する。その
状態で突起部13を貫通孔14の内部に押し込む方向に
押圧力あるいは打撃力を突起部13に加えると、突起部
13の先端側の部分が、貫通孔14の内部に沈み込み、
貫通孔14の内部に現れているフィン3の上端エッジ部
に噛み合った状態、すなわち係合した状態となる。
【0043】こうして連結されたフィン3の上端部の左
右両端側には、各屈曲片12が連続して並ぶことにより
それらの屈曲片12で平板部15が形成され、その平板
部15に挟まれた開口部16が、幅方向での中央部に形
成される。そして、各フィン3同士の間の隙間が、この
開口部16によって上方向に開口している。したがって
この開口部16にファン(図示せず)を配置することに
より、ヒートシンク1の上方向(ベース部2に対向する
方向)からの強制空冷が可能になる。
【0044】上述した屈曲片12および突起部13なら
びに貫通孔14は、フィン3同士を連結する機能を奏す
る。したがってこの種の屈曲片および突起部ならびに貫
通孔を、フィン3の下端部側にも設けてフィン3の下端
部同士を連結すれば、一定間隔を空けて相互に平行に配
列した複数のフィン3を、一連に連結して一体化したモ
ジュールとして取り扱うことができる。図9および図1
0はその例を示している。
【0045】図9は、上端部を前記屈曲片12および突
起部13ならびに貫通孔14によって連結した複数のフ
ィン3を、上下を反転して示しており、これらのフィン
3の下端部には、その幅方向に全体に亘って屈曲片17
が形成されている。この屈曲片17は、フィン3の下端
部をほぼ直角に折り曲げて形成したものであって、その
先端部の複数箇所(図示の例では二箇所)に突起部18
が形成され、その突起部18を嵌合させて連結する貫通
孔19が、各屈曲片17の基端部に形成されている。
【0046】そして、各屈曲片17の先端部を隣接する
フィン3の背面側に当接させ、その状態で突起部18を
隣接するフィン3の貫通孔19に嵌合させるとともに、
上述した突起部13と同様に変形させることにより、フ
ィン3の下端部同士が連結されている。図9および図1
0に示す例では、屈曲片17がフィン3の幅方向の全体
に亘って形成されているので、これらの屈曲片17によ
って底面部20がフィン3の下端部に形成される。
【0047】こうして複数のフィン3を一体に連結した
モジュール21は、上記の底面部20を適宜のベース部
22の上面に接合することにより、ヒートシンク23と
して使用することができる。なお、ベース部22への接
合は、ロー付けやハンダ付けあるいは接着剤による接合
などの種々の手段でおこなうことができる。そして、ベ
ース部22の上面とは、底面部20によって接合される
ので、その接合面積が広くなり、したがってフィン3を
高強度でかつ確実にベース部22に一体化させることが
でき、また同時にベース部22とフィン3もしくはモジ
ュール21との間の熱抵抗が小さくなるので、ヒートシ
ンク23としての放熱特性が良好になものとなる。
【0048】なお、この発明は上記の具体例に限定され
ないのであり、要は、二枚重ね部に折り曲げた部分を、
ベース部に形成した溝部に挿入して固定してあればよ
く、したがってカシメ部によって溝部の開口幅を狭くす
る以外に、溝部に二枚重ね部と併せて楔を圧入してもよ
い。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明よ
れば、フィンが薄板状であっても、フィンを取り付ける
ための溝部として開口幅の広い溝部をベース部に形成で
きるので、その溝部は切削などの方法によらずに、ベー
ス部の鋳造や押し出し成形などによる製造時に同時に形
成することができ、その結果、ベース部の製造性が良好
になるとともに、フィンをベース部に容易に取り付ける
ことができるので、生産性の良好なヒートシンクを得る
ことができる。また、フィンとベース部との密着する面
積が広くなるので、両者の間の熱抵抗が小さくなり、そ
の結果、放熱特性の良好なヒートシンクを得ることがで
きる。
【0050】また、請求項2の発明によれば、前記二枚
重ね部が溝部に挿入されているだけでなく、溝部によっ
て挟み付けられた状態となるため、ベース部に対するフ
ィンの取り付け強度が高くなり、その結果、フィンが抜
け落ちるなどの事態を未然に防止できるのみならず、ベ
ース部とフィンとの間の熱抵抗が低下し、ヒートシンク
としての放熱特性を向上させることができる。
【0051】さらに、請求項3の発明によれば、前記二
枚重ね部の前記溝部内で拡がっている部分が、溝部に引
っ掛かった状態となり、いわゆるアンカー効果(投錨効
果)が生じ、ベース部からのフィンの脱落を確実に防止
することができる。
【0052】またさらに、請求項4の発明によれば、前
記溝部の内部で拡がっている二枚重ね部が、軸状部材を
挿入された中実構造になり、その結果、フィンを、更に
確実にベース部に固定することができる。
【0053】そして、請求項5の発明によれば、前記折
り曲げ片の先端部が、溝部の内壁に引っ掛かった状態と
なる。そのため、フィンが溝部から抜けることがなく、
ベース部に対するフィンの取り付け強度を高くすること
ができる。
【0054】そしてまた、請求項6の発明によれば、フ
ィンの間隔がほぼ一定に保たれ、強制冷却した場合の空
気の流通が円滑になり、またフィンの配列が揃っている
ので、見栄えがよく、製品価値の低下を防止することが
できる。
【0055】そしてさらに、請求項7の発明によれば、
フィンの上端部に形成された屈曲片が、フィン同士の間
の隙間の上端全体を覆うことがなく、その隙間が上方に
開口した状態となるため、その開口部にファンを望ませ
て配置することにより、フィンの上方からの強制冷却を
おこなうことが可能になる。
【0056】さらに、請求項8の発明によれば、互いに
平行に配列されたフィンが、それぞれの上下両端部に形
成された屈曲片で一定間隔に維持され、しかも各突起部
が凹部に係合することにより、各フィンが上下両端部で
連結されているため、複数枚のフィンが一定間隔で平行
に配列した状態で一体化され、その結果、複数枚のフィ
ンを一括してベース部に取り付けることができる。
【0057】また、請求項9の発明によれば、ベース部
に対するフィンの接合面積が広くなるので、フィンを確
実かつ強固にベース部に一体化でき、また両者の間の熱
抵抗が小さくなってヒートシンクとしての放熱特性を向
上させることができる。
【0058】そして、請求項10の発明によれば、互い
に平行に配列されたフィンが、それぞれの上下両端部に
形成された屈曲片で一定間隔に維持され、しかも各突起
部が凹部に係合することにより、各フィンが上下両端部
で連結されているため、複数枚のフィンが一定間隔で平
行に配列した状態で一体化され、複数のフィンをこのよ
うに一体化した状態で一括して取り扱うことが可能にな
り、ひいては薄板状の複数のフィンをベース部に一体化
した構成のヒートシンクを容易に製造することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るヒートシンクの一例を模式的
に示す部分側面図である。
【図2】 その二枚重ね部を広げた構造の一例を示す部
分断面図である。
【図3】 その二枚重ね部を広げる加工工程の一例を示
す部分断面図である。
【図4】 二枚重ね部にピンを圧入した例を示す部分断
面図である。
【図5】 この発明に係るヒートシンクの他の例を模式
的に示す側面図である。
【図6】 フインの上端部を連結した構成を示す部分断
面図である。
【図7】 フィンの状態部に形成した屈曲片および突起
部ならびに貫通孔の例を示す部分斜視図である。
【図8】 複数のフィンの上端部を連結した状態の一例
を示す斜視図である。
【図9】 複数のフィンの下端部同士を屈曲片を介して
連結して構成したモジュールの一例を示す底面側の斜視
図である。
【図10】 そのモジュールを使用したヒートシンクの
一例を示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
1,23…ヒートシンク、 2,22…ベース部、 3
…フィン、 4…二枚重ね部、 5…溝部、 6…折り
曲げ片、 7…カシメ部、 9…ピン、 10、17…
屈曲片、 11、18…突起部、 12、19…貫通
孔、 20…底面部、 21…モジュール。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄板状の多数のフィンが、相互に平行
    に、ベース部に立設されたヒートシンクにおいて、 前記フィンの下端部が二枚重ねに折り曲げられて二枚重
    ね部が形成され、その二枚重ね部が、前記ベース部に形
    成された溝部に挿入されて固定されていることを特徴と
    するヒートシンク。
  2. 【請求項2】 前記溝部の開口幅を狭くするように余肉
    を生じさせるカシメ加工が、前記溝部の開口部に隣接し
    た箇所に施されていることを特徴とする請求項1に記載
    のヒートシンク。
  3. 【請求項3】 前記溝部の開口部の幅より前記溝部の底
    部側の幅が大きく、かつその溝部に挿入されている前記
    二枚重ね部が前記溝部の幅方向に拡大されていることを
    特徴とする請求項1または2に記載のヒートシンク。
  4. 【請求項4】 前記二枚重ね部に軸状部材が挿入されて
    その二枚重ね部が前記溝部の幅方向に拡大されているこ
    とを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク。
  5. 【請求項5】 前記二枚重ね部を形成している折り曲げ
    片の先端部が、前記溝部の開口端より底部側に入り込ん
    でいることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
    記載のヒートシンク。
  6. 【請求項6】 前記フィンの上端部に、ほぼ直角に折り
    曲げられて隣接するフィンに当接させられた屈曲片が形
    成されるとともに、その屈曲片の先端部に突起部が形成
    され、かつ隣接するフィンにおける前記突起部を嵌合か
    つ連結される凹部が、前記屈曲片の基端部に形成され、
    相互に平行に配列されているフィンの上端部が前記突起
    部および凹部によって連結されていることを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれかに記載のヒートシンク。
  7. 【請求項7】 前記屈曲片が前記フィンの幅方向での中
    央部を外れた両端部に形成され、かつ相互に隣接するフ
    ィン同士の間の隙間が上端部側に開口する開口部が形成
    されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
    かに記載のヒートシンク。
  8. 【請求項8】 薄板状の多数のフィンが、相互に平行
    に、ベース部に立設されたヒートシンクにおいて、 前記フィンの上端部および下端部のそれぞれに、ほぼ直
    角に折り曲げて隣接するフィンに当接させられた屈曲片
    が形成されるとともに、その屈曲片の先端部に突起部が
    形成され、かつ隣接するフィンにおける前記突起部を嵌
    合かつ連結される凹部が、前記屈曲片の基端部に形成さ
    れ、相互に平行に配列されているフィンの上端部および
    下端部のそれぞれが前記突起部および凹部によって連結
    されていることを特徴とするヒートシンク。
  9. 【請求項9】 前記突起部および凹部によって連結され
    た前記フィンが、下端側に前記屈曲片によって形成され
    た平面部で、前記ベース部に接合されていることを特徴
    とする請求項8に記載のヒートシンク。
  10. 【請求項10】 相互に平行に配列された多数の薄板状
    のフィンの上端部および下端部のそれぞれに、ほぼ直角
    に折り曲げて隣接するフィンに当接させられた屈曲片が
    形成されるとともに、その屈曲片の先端部に突起部が形
    成され、かつ隣接するフィンにおける前記突起部を嵌合
    かつ連結される凹部が、前記屈曲片の基端部に形成さ
    れ、相互に平行に配列されているフィンの上端部および
    下端部のそれぞれが前記突起部および凹部によって連結
    されていることを特徴とするフィンモジュール。
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