JP2003141566A - 3次元物体の切断シミュレーション方法 - Google Patents

3次元物体の切断シミュレーション方法

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JP2003141566A
JP2003141566A JP2001341554A JP2001341554A JP2003141566A JP 2003141566 A JP2003141566 A JP 2003141566A JP 2001341554 A JP2001341554 A JP 2001341554A JP 2001341554 A JP2001341554 A JP 2001341554A JP 2003141566 A JP2003141566 A JP 2003141566A
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cutting
dimensional object
simulation
node
line
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Megumi Nakao
恵 中尾
Hiroshi Koyama
博史 小山
Masaru Komori
優 小森
Tetsuya Matsuda
哲也 松田
Takashi Takahashi
隆 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実時間性を満たした、3次元物体の切開・切
離シミュレーションを実現する。 【解決手段】 対象3次元物体を、4点のノード、6本
のライン及び4面のポリゴンから成る四面体により分割
し、各ノードに質量、各ラインに弾性係数及び粘性係数
を付与することにより、3次元物体のばね質点系モデル
を構成する。この3次元物体の任意の箇所を切断するこ
とに関して、切断箇所となる単数または複数のラインの
各切断点において2個の新たなノードを生成し、各新ノ
ードと該ラインの両端のノードとの間で新たなラインを
生成する。新たなノード及びラインからポリゴン及び四
面体を生成することにより、切開のシミュレーションを
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の弾粘性パラ
メータを付与した3次元物体を切断することのできるコ
ンピュータ・シミュレーション法に関する。
【0002】
【従来の技術】バーチャルリアリティ(Virtual Realit
y)技術を応用した外科手術シミュレーションは臨床に
おける術前計画や手術のリハーサル、術式の体験やトレ
ーニング等、医学教育全般へ大きな貢献をもたらす(Pa
ul J. Gorman, Andreas H. Meier, M. Krummel:Compute
r-Assisted Training and Learning in Surgery, Compu
ter Aided Surgery vol. 5, pp. 120-127, 2000)。そ
して、手術シミュレーションの構築には、術者への視覚
提示についで力覚提示が重要とされる。この要求に対
し、非侵襲で人体形状及び組織弾性率を取得する試み
(M. Suga, T. Matsuda et al.;"Sensible Human Proje
cts:Haptic Mondeling and Surgical Simulation Based
on Measurements of Practical Patients with MR Ela
stography-Measurement of Elastic Modulus", Medicin
e Meets Virtual Reality 2000)や、軟性組織の変形を
はじめとする力学シミュレーション開発に関する研究
(J. Berkley, S. Weghorst, H. Gladstone, G. Gaugi,
D. Berg, M. Ganter, "Banded Matrix Approach to Fi
nite Element Modelling for Soft Tissue Simulatio
n", Virtual Reality, vol. 4, pp. 203-212, 1999)が
盛んである。しかし、現状では人体の物理的特性をシミ
ュレートするモデルや統合化手法は定まっておらず、モ
デルの正確性や計算機の処理能力から見ても、手術全体
を対象とした包括的な手術シミュレーション構築には多
くの課題が残されている。
【0003】一方、医学分野では患者の負担軽減や美容
上の利点から小切開創による低侵襲手術が注目されてい
る。低侵襲手術は患者にとってはメリットの多い手術で
あるが、医師にとっては小切開による限られた術野空間
のために手術の難易度が高く、特にハプニング時の対処
が困難とされている(尾本良三, "低侵襲心臓外科手
術", 診断と治療社, 2000)。これに対してKuhnapfel
U. はVirtual Reality技術を応用した低侵襲手術シミュ
レーション(Kuhnapfel U, Cakmak HK, Mass H,"Endosc
opic surgery training using virtual reality and de
formable tissuesimulation, Computers & Graphics, v
ol.24, No.5, pp.671-682, 2000)を提供し、医師に手
術のリハーサルを行う環境を提供することで医師の技術
向上を目指している。
【0004】ところで、低侵襲手術の成否は手技を開始
するまでの準備が非常に大きなウェイトを占めるといわ
れる(前記"Banded Matrix Approach to Finite Elemen
t Modelling for Soft Tissue Simulation")。これは
小切開創であるが故の特徴であり、例えば切開箇所の判
断を数cm誤ることによって術野空間が限定され、手術の
遂行が困難になるといったケースや、X線による造影だ
けでは対象部位の特定や術野確保に至るまでのパスデザ
インを経験的あるいは直感的な判断に頼らざるを得ない
場合も多い。すなわち、術前における手術計画や手術の
リハーサルの際にVRシミュレーションが成せる貢献の1
つは、より最適な切開箇所の同定と術野確保を目指すフ
ィードバックシステムであると結論づけることができ
る。しかし、国内外を含めた多くの手術シミュレーショ
ンに関する研究は術野及び対象部位決定後の手技シミュ
レーションであることがほとんどで、切開線の大きさや
手術アプローチの方向、術野空間確保の最適化を目指し
たシミュレーションシステムは報告されていない。ま
た、術前リハーサルやトレーニングをより効果的にする
ためには、シミュレーションの実時間性が非常に重要で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の術前シミュレー
ションシナリオの実現には、術前に取得した患者の形状
及び弾性データに対し、組織の力学的特性を考慮に入れ
た切開・切離を提供するシミュレーションが必要不可欠
である。すなわち、実測データからモデリングされた3
次元オブジェクトに対し、リアルタイムかつ精度の高い
切開・切離モデルを適用しなければならない。
【0006】こういった要求に対し、既存の手術シミュ
レーションに関する研究において数例の組織切開モデル
(C. Bruyns, K. Montgomery, S.Wildermuth, "A Virtu
al Environment for Simulated Rat Dissection", Proc
eedings of Medicine MeetsVirtual Reality 2001, pp.
75-81, 2001;Cagatay Basdogan, Chih-Hao Ho, Manday
am A. Srinivasan, "Simulation of Tissue Cutting an
d Bleeding for Laparoscopic Surgery Using Auxiliar
y Surfaces", Proceedings of Medicine Meets Virtual
Reality 8, pp. 38-44, 1999)が報告されている。し
かし、これらは平面あるいはオブジェクト表面に対する
ものであり、内部を考慮に入れた3次元オブジェクトに
対し、切開面の生成を含めた任意の切開や切離をシミュ
レートできない。田中らによる切断モデル(田中厚子,
広田光一, 金子豊久, "仮想切断作業における力覚の表
現", 情報処理学会論文誌, vol. 40, No. 7, pp. 2978-
2987, 1999)はボクセル(voxel)に対するものである
が、大規模な人体データの詳細な形状・変形提示には不
十分である。本間らはばね質点系のばねを切断すること
によって3次元オブジェクトに対する切離を表現してい
る(本間達, 若松秀俊"リアルタイムで切離可能な仮想
粘弾性物体の構築",日本バーチャルリアリティ学会論文
誌, Vol. 6, No. 2, pp. 137-143, 2001)が、ばね切断
のみでは結果がワイヤーフレームのみの表示に限定され
る。また、計算には数秒を要しており、実時間性を達成
しているとはいい難い。
【0007】本発明は、四面体分割に基づく3次元オブ
ジェクト切断モデルを開発することによって実時間性を
満たした任意箇所の組織切開・切離シミュレーションを
実現したものであり、医用データの適用を行うことによ
ってその有効性も検証した。本モデルは一般的な四面体
充填オブジェクトを対象としており、ばね質点モデルに
基づいて切開後の変形を力学計算に基づいてシミュレー
トすることが可能である。また、高速なポリゴンレンダ
リングに対応した表示を前提とし、連続性を保証した切
開面の生成を考慮に入れている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る3次元物体の切断シミュレーシ
ョン方法は、 a)対象3次元物体を、4点のノード、6本のライン及び
4面のポリゴンから成る四面体により分割し、 b)上記各ノードに質量を付与し、各ラインに物性を付与
することにより上記3次元物体のばね質点系モデルを構
成し、 c)上記3次元物体の任意の箇所を切断することに関し
て、該切断箇所となる単数または複数のラインの各切断
点において2個の新たなノードを生成し、各新ノードと
該ラインの両端のノードとの間で新たなラインを生成す
ることによりシミュレーションを行う、 ことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】[1]形状のモデリングと基本力学
モデル 人体形状データは患者のMRI断層画像集合から構築され
るボクセルデータあるいは時系列ボクセルデータ集合と
して取得する。この形状データから人体組織及び臓器
(オブジェクト)を四面体集合によって構成する。四面
体は4点の頂点(ノード)、6本の稜線(ライン)及び4
面の面(ポリゴン)から成る3次元形状の最小単位であ
る。このため、ボクセル等の他の多面体よりも滑らかな
形状を形成でき、力学計算への適用も行いやすい。
【0010】また、表面要素は高速なポリゴンレンダリ
ングに直接使用が可能である。本発明ではさらに、四面
体を構成するノード、ライン、ポリゴンに関する情報を
抽出して蓄積し、点同士の隣接情報や、点がどの面に属
するかといった親情報を蓄積することによって、シミュ
レーションの際に必要な再計算コストの削減を図ってい
る。一方、手や術具(マニピュレータ)は点あるいは点
の集合によって構成され、接触・変形・破壊などオブジ
ェクトへの作用を与える剛体としてモデリングを行う。
【0011】力学シミュレーションには有限要素法とば
ね質点モデルが広く使用されている。有限要素法は、計
算精度は高いとされるが計算コストが高く、人体などの
複雑かつ大規模なノード数を必要とするオブジェクトで
は実時間性を発揮することが難しい。これに対し、ばね
質点モデルは比較的短い時間で各質点に生じる応力の導
出が可能であり、モデルを比較しても計算精度と実時間
性はトレードオフの関係といえる。手術シミュレーショ
ンに用いる組織データは通常数万ノード以上から構成さ
れ、かつ、作用に対する変形計算及びリモデリングをリ
アルタイムに行う必要があることから、本発明では力学
シミュレーションに適用する基本物理モデルとしてばね
質点モデルを採用した。
【0012】ばね質点系では、オブジェクトを構成する
四面体の各ノードは一つの質点を持ち、隣のノードとは
ばね及びダンパによって接続される。各ノードに適用さ
れる応力は、弾性、重力、粘性による力から次式により
導出される。
【数1】 ここで、F:ノードにかかる応力、k:弾性係数、l:ノ
ード間距離、lo:自然長、m:ノード質量、g:重力加速
度、b:粘性係数、v:ノード速度、a:ノード加速度、
p:ノード変位、t, Δt:時間及び時間間隔である。そ
して、各ノードの加速度・速度・位置は次のオイラー式
によって更新される。
【数2】
【0013】[2]力学計算に基づく組織切開手法 本発明において提案する3次元オブジェクト切断アルゴ
リズムを大きく分けると、(A)組織の緊張状態のモデリ
ング、(B)ばね質点系のリモデリング、(C)四面体要素の
分割から成る。
【0014】(A)組織緊張状態のモデリング 組織切開後の切開創の形状決定は、これまでノード引き
離し等によってなされることも多かった。しかし、これ
は本来は幾何学的にではなく、力学的に導出されるべき
ものである。切開創の形成は組織が互いに引っ張り合っ
た力学的な平衡状態(緊張状態)に対して破壊を加える
ことによって形成された新たな平衡状態への移行と見な
せる。この緊張状態のモデリングは、ばね質点系におい
てばねの自然長をノード間距離よりも短く設定すること
によって実現する。
【0015】(B)ばね質点系のリモデリング レンダリングにノード座標を用いる以上、基本ばね質点
系(図1a)において切断を行う際に、ばねを切断する
だけでは切開創のリアルな描画はできない。そこで、切
断を加える部分に同座標で2つのノードを生成し、系内
のエネルギー及び外部に対する挙動に関して等価な系
(図1b)としてリモデリングする。そして、例えばm3
とm5を接続するばねとm4とm6を接続するばねを消去、す
なわち弾性係数k及び粘性係数bを0とすることによっ
て、切断を加えることできる。系が前述の緊張状態であ
る場合は、力学的に新たな平衡状態(図1c)へと移行
する。
【0016】(C)四面体要素の切断 四面体分割は、切開面が点あるいはライン上を通る特別
な場合を除いて、図2の2つのパターンで記述すること
ができる。aのパターンは3本のラインを切断し、bのパ
ターンは4本のラインを切断する場合である。切開面に
よって切断対象となるラインが決定し、そこで前述のば
ね質点系のリモデリングを用いることによりラインの切
断を表現する。また、切開面に対するポリゴン生成と破
壊された既存ポリゴンの再生成を行うことによって、切
開後の描画を行う。さらに、四面体は図3のように四面
体集合への分割が可能であるため、新たに生成された四
面体に対して再帰的に切断を実行することもできる。以
上の切開手法を1つの四面体要素に適用した際の切開シ
ミュレーションの基本イメージを図4に示す。図4は、
切断したラインが一番手前の1本のみの場合である。
【0017】
【実施例】[1]四面体充填オブジェクトの形成 MRIによって取得された胸部断層画像集合を用いて、本
発明の方法でシミュレーションを行った。MRIにより取
得された形状データのデータサイズは、256点×256点
(面内)×60枚(面外)であり、水平方向(面内)1mm,
鉛直方向(面外)3mmの解像度を持つ。これらのデータ
を胸壁及び心臓の2つの解剖学単位に分割し、各領域を
四面体集合へと分割した。図5は胸壁の四面体メッシュ
をワイヤーフレームで表示し、心臓に対してポリゴンレ
ンダリングを施した結果である。
【0018】[2]力学計算適用範囲の限定 力学計算に要する時間はノード数の増加に伴って長くな
るため、医用データ等の詳細かつ大規模なデータに対し
て詳細モデルを均等に適用することは困難である。そこ
で、本実施例ではマニピュレータ(切開点)に最も近い
ノードを頂点に、ノード階層構造を動的に構築すること
によって、力学計算の適用範囲を限定した。切開による
組織変形は周辺数ノードに伝播する程度であるため、ノ
ード距離(ノード数)的に離れたノードの変位は0と近
似して差し支えない。伝播階層数と対象ノード数との対
応例は後述する表1に示した。
【0019】[3]マニピュレータ シミュレーションの入出力機器であるマニピュレータ
(マニピュレーション・シミュレータ)として、変位入
力に対して反力を出力する力覚デバイスを接続した。力
覚デバイスには、Sensable Inc.社(米国)の"PHANToM"
を採用した。
【0020】[4]実装と計算時間の評価 本発明に係る切開・切離アルゴリズムに基くプログラム
をCPU:PentiumIII Dual 933MHz、メモリ:2GB、グラフ
ィックカード:GeForce3、OS:Windows(登録商
標)2000を搭載したマシンに実装し、前記方法で四
面体充填オブジェクトに対するシミュレーションを行っ
た。
【0021】オブジェクトとマニピュレータの接触判定
にはGod Object Method(Zilles C.B., Salisbury J.
K, "A Constraint-based God-object Method For Hapti
c Display, IROS95, pp. 141-151, 1995)及びそれを拡
張した手法(平山雅樹,広田光一,金子豊久,"力学的接触
計算に基づく仮想物体操作",日本バーチャルリアリティ
学会論文誌, Vol. 6, No. 2, pp. 121-128, 2001)を考
慮に入れた。シミュレーションに用いたデータの規模及
びパラメータは次の通りである。 ノード数:17582 ライン数:100807 ポリゴン数:19964 四面体数:73279 弾性係数:250N/m 粘性係数:0.1Ns/m 質点質量:0.05kg ばねの自然長をノード間距離よりも5%短くすることによ
り、組織緊張状態のモデリングを行った。
【0022】図6に、針状のマニピュレータを用いた開
胸手術時の切開シミュレーションの様子(a)及び低侵
襲手術時の胸壁に対する小切開シミュレーションの様子
(b)を表す。切開面の生成と切開後の変形によって切
開創が現れているのを見て取ることができる。外科医か
らはいずれも実際の手術時における切開創を高精度に再
現できているとのコメントが得られている。これは既存
モデルでは物理特性の考慮、3次元表示、緊張状態の再
現を達成していなかったためで、その点では本モデルは
より理想的なシミュレーション結果及び画像提供を可能
とするモデルであると位置付けることができる。
【0023】計算時間の測定結果では、四面体分割に伴
うばね質点系のリモデリング及びポリゴン生成に要する
時間は数μsec 程度であり、力覚デバイス"PHANToM"の
反力生成に要する1kHzのリフレッシュレートを十分に満
たしている。そして、全体の計算時間は切開後の変形計
算にほぼ依存する。表1にシミュレーションアルゴリズ
ム全体(接触判定・ノード階層構造構築・切開によるリ
モデリング・変形計算等)に要する1サイクルの平均時
間を示す。複数スレッドによる並列計算は考慮に入れて
いないが、約1200ノードまで、変形計算に要求される描
画リフレッシュレート30msecを満たしている。また、切
開後の変形によって影響を受けるノードは5階層に満た
ないとしても十分であった。 表1. シミュレーションに要する時間 伝播階層 3 5 6 7 対象ノード数 59 302 572 904 計算時間(msec) 1.872 7.730 15.958 23.909
【0024】
【発明の効果】本発明では組織緊張状態のモデリング、
ばね質点系のリモデリングと四面体分割に基づく3次元
オブジェクト切断モデルを開発・実装することによっ
て、任意箇所の組織切開・切離シミュレーションを実現
した。本モデルは一般的な四面体充填オブジェクトを対
象としており、ばね質点モデルに基づいて切開後の変形
を力学計算に基づいてシミュレートすることが可能であ
る。また、高速なポリゴンレンダリングに対応した表示
を前提とし、連続性を保証した切開面の生成を考慮に入
れている。さらに医用実測データの適用を行い、低侵襲
手術における小切開創を表現することによって基礎的な
手術シミュレーションとしての有効性を示した。シミュ
レーション全体に要する計算時間は反力生成・変形描画
に要するリフレッシュレートを満たすものであり、手術
シミュレーションに代表される力覚提示を伴った精度の
高い切開・切離を伴うリアルタイムシミュレーション構
築に有用である。
【0025】定量的な精度検証による本モデルの有用性
と限界の証明は今後の課題である。評価手法としては、
実際の手術例と本モデルによるシミュレーション結果の
比較によるアプローチなどが考えられる。本モデルでは
物理特性の記述にばねモデルを採用していることから、
組織の非線形性の再現や厳密な組織パラメータの反映は
困難である。しかしながら、シミュレーション精度と実
時間性はトレードオフの関係であり、本モデルは実時間
性を達成し、幾何学的かつ物理的な変化の記述を可能と
する妥当なモデルと言える。
【0026】なお、本シミュレーション手法は対象の物
理特性に依存しないものであるため、今回例に挙げた医
療用途ばかりではなく、プラスチックなどの一般の材料
の切開にも応用できることは、当業者であれば容易に理
解できよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ばね質点系の分割リモデリングの様子を示す
説明図。
【図2】 四面体の2種の基本分割パターンを示す説明
図。
【図3】 四面体分割後の再生成四面体集合を示す説明
図。
【図4】 四面体に対する切開アルゴリズム適用例を示
す説明図。
【図5】 胸壁(メッシュ表示)と心臓(レンダリング
表示)の重畳表示図。
【図6】 針状のマニピュレータを用いた胸壁に対する
切開シミュレーションの結果を示す図で、aは開胸手術
時の切開、bは低侵襲手術時の胸壁に対する小切開の
例。
フロントページの続き (72)発明者 小森 優 滋賀県大津市瀬田月輪町 滋賀医科大学生 命情報学内 (72)発明者 松田 哲也 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情 報学研究科内 (72)発明者 高橋 隆 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医 学部付属病院医療情報部内 Fターム(参考) 4C096 AA20 AB50 AC04 AD14 BA18 DB09 DB13 DC14 DC18 DC21 DC28 DC36 DC37 5B050 BA03 BA06 BA07 BA09 EA03 EA11 EA28 FA06 5B080 AA00 AA15 GA22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)対象3次元物体を、4点のノード、6
    本のライン及び4面のポリゴンから成る四面体により分
    割し、 b)上記各ノードに質量を付与し、各ラインに物性を付与
    することにより上記3次元物体のばね質点系モデルを構
    成し、 c)上記3次元物体の任意の箇所を切断することに関し
    て、該切断箇所となる単数または複数のラインの各切断
    点において2個の新たなノードを生成し、各新ノードと
    該ラインの両端のノードとの間で新たなラインを生成す
    ることによりシミュレーションを行う、 ことを特徴とする3次元物体の切断シミュレーション方
    法。
  2. 【請求項2】 上記各ラインに付与する物性が弾性係数
    及び粘性係数であることを特徴とする請求項1に記載の
    3次元物体の切断シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 マニピュレーション・シミュレータと連
    携させ、マニピュレーション・シミュレータからの変位
    出力データを上記ノードへの変位入力とし、上記シミュ
    レーションにより出力されるその変位入力に対する反力
    データをマニピュレーション・シミュレータに与えるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の3次
    元物体の切断シミュレーション方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも一部の表面又は境界ポリゴン
    に表示テクスチャを付与してポリゴンレンダリング出力
    を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の3次元物体の切断シミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 対象3次元物体が、人体の複数の断層撮
    影画像に基づいて構成される立体像であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の3次元物体の切断
    シミュレーション方法。
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