JP2003139195A - 被除振体の振動低減装置 - Google Patents

被除振体の振動低減装置

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JP2003139195A
JP2003139195A JP2001336667A JP2001336667A JP2003139195A JP 2003139195 A JP2003139195 A JP 2003139195A JP 2001336667 A JP2001336667 A JP 2001336667A JP 2001336667 A JP2001336667 A JP 2001336667A JP 2003139195 A JP2003139195 A JP 2003139195A
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JP2001336667A
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Hirosuke Iwamoto
浩祐 岩本
Akihiro Kashiwazaki
昭宏 柏崎
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IHI Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層ゴムの圧縮方向のばね定数を線形に近付
け、且つ圧縮方向のばね定数と剪断方向のばね定数との
ばね比を設定できるようにする。 【解決手段】 平行な脚部12と連結部材13からなる
門型の第1支持部材14の脚部12を被除振体A及び支
持体Bの一方の対向部11bに鉛直に固定し、第1支持
部材14による開口部を通る連結部材16と平行な脚部
17からなる門型の第2支持部材18を備え、支持部材
14,18の連結部材13,16間に第1積層ゴム19
を配置し、第1支持部材14の連結部材13と他方の対
向部11aとの間に第2積層ゴム20を配置し、第2支
持部材18の脚部17を長手方向に移動可能それと直角
方向には移動不能に支持する案内部21を他方の対向部
11aに備え、第2支持部材18の脚部17を予圧縮調
整装置22により他方の対向部11aに連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体と被除振体
との間に配置することにより、支持体の振動によって被
除振体が振動するのを防止し、且つ被除振体のロッキン
グを防止するようにした被除振体の振動低減装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】打上用ロケット或いは帰還型宇宙飛行体
等の宇宙輸送機(支持体)に備えられるペイロード(人
工衛星)等の精密機器を有する搭載構造物(被除振体)
は、支持体の振動が被除振体に伝わらないように除振す
る必要がある。
【0003】又、地上においても、移動する輸送手段等
の支持体上に重量構造物等の被除振体を支持する場合に
も除振が要求される場合があり、又、地上(支持体)に
設置される建造物等の被除振体においても、地震による
振動が被除振体に伝わらないように除振する必要があ
る。
【0004】ペイロードは、打上用ロケット或いは帰還
型宇宙飛行体等の宇宙輸送機を介して宇宙に送り出され
る。図9は打上用ロケットの一例を示したもので、一段
ロケット1の先端に設けられた分割可能な周囲のコンポ
ーネント2,2内に、二段ロケット3を収容した多段ロ
ケットである。その二段ロケット3の先端部には、ペイ
ロードアダプタ4と称される支持部材が設けられてお
り、該ペイロードアダプタ4に設けられた固定部材5上
に、ペイロード取付部材6を介してペイロード7が配置
されている。そして、ペイロード7は、ペイロード取付
部材6に内蔵された切り離し機構によって切り離しが行
われるようになっている。
【0005】上記多段ロケットのような宇宙輸送機で
は、エンジンや空気摩擦、誘導制御等の原因によって輸
送機本体の機軸方向、機軸に対する直交方向、又はこれ
ら軸に対して回転する方向に振動が発生する。
【0006】従来の多段ロケットのような宇宙輸送機に
おいては、搭載されるペイロード7を輸送機本体側と剛
に結合していた。このため、輸送機本体側で発生した振
動はペイロード7に伝達されてペイロード7が振動し、
過大な振動、衝撃によりペイロード7に装備される精密
機器等に悪影響を及ぼす虞れがあった。
【0007】又、輸送機本体の振動により、機軸方向、
機軸に対する直交方向、又はこれら軸に対して回転する
方向の連成振動によってペイロード7がロッキングと呼
ばれる倒れ込みを起こす問題があり、ペイロード7がロ
ッキングを起こすと、ペイロード7を包囲するコンポー
ネント2,2とペイロード7が接触するといった問題が
考えられる。
【0008】従って、ロッキングの問題が生じないよう
に、従来はペイロード7の支持剛性を増強する処置がな
されてきた。しかし、ペイロード7の支持剛性を高める
方式の場合には、ロツキングの発生は防止できても、ペ
イロード7に伝わる振動を低減することはできなかっ
た。
【0009】このような観点から、ペイロード7及びペ
イロード取付部材6からなる被除振体Aと、支持体Bで
ある固定部材5との間に積層ゴム8を配置することによ
り、輸送機本体による振動がペイロード7に伝わるのを
低減することが考えられる。
【0010】又、図10に示すように、ビル9等の被除
振体Aを地上に建設する際にも、地上の基礎10(支持
体B)上に複数配置した積層ゴム8にてビル9を支持す
ることにより、地震発生時に振動がビル9に伝わるのを
低減することが考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記したよう
な重量構造物であるペイロード7やビル9等の被除振体
Aを、単に積層ゴム8を用いて支持体Bに支持するよう
にした場合には、以下のような課題が生じる。
【0012】積層ゴム8は固有のばね定数によって被除
振体の振動を緩衝するようにしたものであるが、積層ゴ
ム8は弾性体であるために、被除振体Aは固有振動によ
る多自由度の振動を生じることになる。即ち、図9の宇
宙輸送機の場合を例にとって説明すると、ペイロード7
は宇宙輸送機の機軸方向、機軸に対して直角方向、各軸
周りの回転方向に振動することになる。
【0013】更に、輸送機本体の機軸方向、機軸に対す
る直交方向、又はこれら軸に対して回転する方向の連成
振動により、高い位置に重心を持つペイロード7はロッ
キングを起こすことになる。この時、ペイロード7を包
囲するコンポーネント2,2との相互間隔は非常に狭い
ため、前記したようなロッキングが発生すると、ペイロ
ード7がコンポーネント2,2に接触する虞れがある。
【0014】上記したように、積層ゴム8を用いてペイ
ロード7の振動を緩衝してロッキングを防止するために
は、積層ゴム8の圧縮方向のばね定数と、圧縮方向と直
交する方向である剪断方向のばね定数とを最適に設定す
る必要がある。
【0015】しかし、積層ゴム8のばね定数は、均一に
製作しても個々に違ったものとなってしまい、従って、
設計通りのゴム定数になるように積層ゴム8を製作する
ことは困難である。
【0016】図11は、積層ゴム8の圧縮方向における
接線剛性の傾向を示したものであり、変位(積層ゴムを
圧縮変位させる荷重)が増加すると圧縮方向のばね定数
は実線で示すように増加し、このときのばね定数は直線
とならない非線形特性を有している。割線剛性について
みても同様に非線形特性を有している。このように積層
ゴム8の圧縮方向のばね定数は線形性を有しないため
に、積層ゴム8の圧縮方向のばね定数を精度良く設計す
ることは困難である。
【0017】一方、図12は、積層ゴム8のせん断方向
のばね定数の傾向を示したものであり、図12中、破線
はプラス・マイナス10mmの範囲で変位(積層ゴムを
せん断変位させる荷重)を変化させた場合、実線はプラ
ス・マイナス30mmの範囲で変位を変化させた場合を
示している。図12によれば、変位が変化してもせん断
方向のばね定数はあまり変化せず、比較的線形の特性を
有している。従って、積層ゴム8におけるせん断方向の
ばね定数は比較的設計し易い。
【0018】又、ペイロード7或いはビル9等の被除振
体Aの振動及びロッキングを抑制するためには、積層ゴ
ム8の圧縮方向のばね定数と、せん断方向のばね定数の
比(ばね比)を設定することが好ましいが、従来の積層
ゴム8では製作した時点でばね比は決定されており、ば
ね比を調節したり設定するようなことはできなかった。
【0019】本発明は、上記した従来の問題点を解決す
べくなしたもので、積層ゴムの圧縮方向のばね定数を線
形に近付けることができ、更に圧縮方向のばね定数と剪
断方向のばね定数とのばね比を設定できるようにして、
支持体に支持される被除振体の振動及びロッキングを効
果的に防止できるようにした被除振体の振動低減装置を
提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
支持体にて被除振体を支持する際に被除振体と支持体と
の対向部間に設置する振動低減装置であって、脚部と連
結部材とにより門型に形成した第1支持部材の前記脚部
を前記対向部の一方に固定して該対向部と第1支持部材
とにより開口部を形成し、更に、該開口部を通る連結部
材と該連結部材の両端部から延びる平行な脚部により逆
門型に形成した第2支持部材を備え、第1支持部材と第
2支持部材の連結部材相互間に第1積層ゴムを配置する
と共に、第1支持部材の連結部材と第1支持部材の脚部
を固定しない前記対向部の他方との間に第2積層ゴムを
配置し、第2支持部材の脚部を該脚部の長手方向には移
動可能で脚部の長手方向と直角方向には移動不能に支持
する案内部を前記対向部の他方に備え、且つ第2支持部
材の脚部を予圧縮調整装置により前記対向部の他方に連
結したことを特徴とする被除振体の振動低減装置であ
る。
【0021】請求項2に係る発明は、請求項1記載の被
除振体の振動低減装置が、被除振体の重心を通る鉛直線
を取り巻く支持体の複数箇所と、前記重心を通る鉛直線
の所定高さ位置とを結ぶ直線に対して積層ゴムの面が直
交するように傾斜配置されたことを特徴とする被除振体
の振動低減装置である。
【0022】請求項3に係る発明は、支持体がペイロー
ドアダプタの固定部材であり、被除振体がペイロードで
あることを特徴とする請求項2記載の被除振体の振動低
減装置である。
【0023】上記手段によれば、門型の第1支持部材と
第2支持部材とを係合するよう組み合わて、第1積層ゴ
ムと第2積層ゴムとを一方が圧縮される時に他方が引張
を受けるように配置することにより、線形に近い圧縮方
向のばね定数を得ることができ、更に、第1積層ゴムと
第2積層ゴムの締結間隔を調節する予圧縮調整装置を備
えたことにより、積層ゴムの圧縮/せん断方向のばね比
を適切に調整することができ、よって製造誤差やばね特
性に非線形性を有する積層ゴムを用いた場合に、適切な
ばね定数及びばね比を設定して良好な除振を行うことが
できる。
【0024】又、被除振体の重心を通る鉛直線を取り巻
く支持体の複数箇所と、前記重心を通る鉛直線の所定高
さ位置とを結ぶ直線に対して積層ゴムの面が直交するよ
うに振動低減装置を傾斜配置したことにより、被除振体
のロッキングを防止できる。
【0025】振動低減装置をペイロードに適用すること
により、ペイロードのロッキングを防止し、ペイロード
がコンポーネントに接触する問題を防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を図面に基づいて説明する。
【0027】図1、図2は、図9に示した宇宙輸送機の
ペイロード7或いは図10に示したビル9等の被除振体
Aを除振する場合における本発明の形態の一例を示すも
のである。
【0028】図1において、支持体Bの上部には被除振
体Aが配置されており、支持体Bと被除振体Aとの対向
部11a,11b間には本発明の振動低減装置23が配
置されている。
【0029】振動低減装置23は、平行な二本の脚部1
2,12の一端部間を連結部材13により連結した門型
の第1支持部材14を備えており、該第1支持部材14
の脚部12,12の他端を、前記一方(下側)の対向部
11bに鉛直に固定している。
【0030】一方、第1支持部材14により形成される
開口部15を通る連結部材16と該連結部材16の両端
部から前記脚部12とは反対側(上側)に延びる平行な
脚部17,17とを有する第2支持部材18を備える。
【0031】第1支持部材14における連結部材13
と、第2支持部材18における連結部材16との相互間
には、第1積層ゴム19を配置する。又、第1支持部材
14の連結部材13と他方(上側)の対向部11bとの
間には第2積層ゴム20を配置する。
【0032】そして、上側の対向部11aには、第2支
持部材18の脚部17を該脚部17の長手方向に移動可
能に且つ脚部17の長手方向と直角方向には移動不能に
支持する案内部21を備える。これにより、第2支持部
材18は、案内部21に案内されて被除振体Aに対して
上下に移動できる。
【0033】又、第2支持部材18の脚部17の端部
は、予圧縮調整装置22を介して他方の対向部11bに
連結されており、これにより積層ゴム19,20の締結
間隔が調節できるようにしている。この時、第1支持部
材14と第2支持部材18との間には、支持体Bの水平
方向の振動によって互いに接触することがないようにス
トッパ間隔Lが備えられている。
【0034】図1、図2に示した予圧縮調整装置22
は、第2支持部材18の脚部17に固定したボルト24
と該ボルト24に螺合するナット25から構成されてい
る。従って、ナット25を締め込むと、第2支持部材1
8は上側に引き付けられ、これにより第1積層ゴム19
と第2積層ゴム20とに予圧縮を付与し、予圧縮力を調
整できるようにしている。予圧縮調整装置22の構造と
しては、図示のようにナット25を手動で回転する方式
の他に、ナットを動力で駆動して予圧縮を調節したり、
或いはウォーム等を用いて予圧縮を調節するようにして
もよい。
【0035】図3、図4は、前記振動低減装置23を宇
宙輸送機のペイロードの除振に適用した場合の例を示す
ものである。図3では、被除振体Aであるペイロード7
のペイロード取付部材6と、支持体Bである固定部材5
との間に、ペイロード7の重心Gを通る鉛直線Wを取り
巻く複数箇所(3ヶ所以上)に、前記振動低減装置23
を等間隔に配置している。
【0036】更に、図3、図4の例では、被除振体Aで
あるペイロード7の重心Gを通る鉛直線Wを取り巻く複
数箇所と、ペイロード7の重心Gを通る鉛直線Wの所定
高さ位置とを結ぶ直線Sに対し積層ゴム19,20の面
が直交するように、振動低減装置23を傾斜して配置し
ている(図3では直線Sが重心G位置で鉛直線Wと交わ
っている)。即ち、ペイロード7の重心Gを通る鉛直線
Wを取り巻く複数箇所と、ペイロード7の重心Gを通る
鉛直線Wの所定高さ位置とを結ぶ直線Sに対して直交す
るように、被除振体Aと支持体Bとの対向部11a,1
1bに傾斜面26a,26bを形成し、この傾斜面26
a,26bに沿うように前記振動低減装置23を設置し
ている。
【0037】以下に、上記形態例の作用を説明する。
【0038】図1、図2に示した振動低減装置23にお
いては、被除振体Aの重量は、第2積層ゴム20と第1
支持部材14の連結部材13及び脚部12を介して支持
体Bに支持される。
【0039】支持体Bが上下に振動した場合について見
ると、支持体Bが上側に移動するときには第1積層ゴム
19が第2支持部材18の引張により圧縮されて弾性変
形することにより緩衝し、又、支持体Bが下側に移動す
るときには第2積層ゴム20が圧縮されて弾性変形する
ことにより緩衝する。
【0040】上記したように、第1支持部材14と第2
支持部材18とを係合するように組み合わせ、且つ第1
積層ゴム19と第2積層ゴム20とを一方が圧縮される
時に他方が引張を受けるように配置した振動低減装置2
3を構成したことにより、支持体Bが上下に振動した場
合に、いずれの積層ゴム19,20にも大きな引張力が
作用することがない。従って、積層ゴム19,20が引
張力の作用によって損傷するのを防止できる。
【0041】又、積層ゴム19,20一方のが圧縮され
る時は、図5に一点鎖線で示すように、変位(積層ゴム
を圧縮変位させる荷重)が増加すると圧縮方向のばね定
数も増加する非線形特性の傾向を有しているが、この
時、積層ゴム19,20の他方は引張力を受けており、
その引張によるばね定数は二点鎖線で示すように変位が
増加すると減少する非線形特性の傾向を有している。
【0042】このため、前記した振動低減装置23によ
れば、圧縮によるばね定数(一点鎖線)と引張によるば
ね定数(二点鎖線)とが合成された実線で示す合成ばね
定数が実現されることになる。この実線で示す合成ばね
定数は、線形に近く、従って積層ゴム19,20の設計
が容易になる。
【0043】又、図1、図2の予圧縮調整装置22によ
り積層ゴム19,20に予圧縮を付与した場合には、図
5の線形性を保持したまま、ばね定数を増加するように
変化させることができる。
【0044】一方、支持体Bが水平方向に振動した場合
について見ると、図6に示すように、予圧縮調整装置2
2にて積層ゴム19,20に予圧縮(図6では圧縮方向
変位としている)を付与しておくと、予圧縮の増加に伴
ってせん断方向のばね定数が減少することが判明した。
従って、前記予圧縮調整装置22により積層ゴム19,
20に付与する予圧縮力を調節することによって、せん
断方向のばね定数を調節することができる。
【0045】上記したように、圧縮と引張が同時に作用
するように積層ゴム19,20を組合わせて備えたこと
により、線形に近い合成ばね定数を実現することがで
き、且つ、予圧縮調整装置22による積層ゴム19,2
0の予圧縮力を調節することによって、せん断方向のば
ね定数が調節できることにより、振動低減装置23の設
置後に、圧縮方向のばね定数とせん断方向のばね定数と
のばね比を任意に調整できる。
【0046】従って、被除振体Aの重量、支持体Bにお
ける想定される積層ゴム19,20を圧縮方向及びせん
断方向に振動させる力の大きさ等に対して、ばね比を好
適に設定し、良好な除振を行うことができる。
【0047】一方、図3、図4に示すように、被除振体
Aであるペイロード7の重心Gを通る鉛直線Wを取り巻
く複数箇所と、ペイロード7の重心Gを通る鉛直線Wの
所定高さ位置とを結ぶ直線Sに対し積層ゴム19,20
の面が直交するように振動低減装置23を傾斜配置する
と、並進方向(図3、図4では上下方向)と回転方向の
振動を非連成化することができる。即ち、並進方向から
加わる力に対しては、被除振体Aは回転方向の運動を生
じることなく並進方向にのみに運動し、同様に回転方向
の力に対しては回転方向のみに運動する。よって、並進
方向から加わる力に対して、並進方向と回転方向の連成
振動であるロッキングを抑制し、ペイロード7の変位を
低減することができる。
【0048】上記したように積層ゴム19,20を有す
る振動低減装置23を傾斜配置してペイロード7のロッ
キングを防止するには、圧縮方向のばね定数とせん断方
向のばね定数とのばね比と、ペイロード7に対する振動
低減装置23の設置傾斜角を正確に実現することが要求
される。ここで、振動低減装置23の設置傾斜角は比較
的容易に実現できる。
【0049】一方、前記したように、積層ゴム19,2
0の圧縮方向のばね定数とせん断方向のばね定数とのば
ね比は、予圧縮調整装置22によって積層ゴム19,2
0に付与する予圧縮力を調節することにより調整でき
る。更に、このばね比の調整について詳述する。
【0050】図7は、積層ゴムの圧縮方向に関する圧縮
荷重−たわみ特性の代表的な一例を示す。積層ゴムの圧
縮方向に関するばね特性は、たわみ量(圧縮方向変形
量)の増大に伴い、曲線の傾きが大きくなる、つまり圧
縮剛性が増大するハードニングと呼ばれる特性となる。
【0051】又、図8に積層ゴムのせん断方向引張荷重
−たわみ特性の代表的な一例を示す。図8に示すよう
に、積層ゴムに作用される圧縮荷重が大きくなるほど、
傾き角が小さくなる。つまり、せん断方向の剛性は、積
層ゴムに付加される圧縮荷重が大きくなるほど、低下す
る傾向となる。
【0052】図7、図8について、実際に積層ゴム1
9,20に予圧縮を付与してばね比を調整する場合につ
いて述べる。
【0053】初めに、積層ゴム19,20により傾斜支
持を実現する際の圧縮荷重範囲が図7のF2〜F3であ
り、この荷重範囲での圧縮剛性がkp2であったとす
る。この場合のせん断剛性は、図8に示すようにkq2
であるので、圧縮剛性とせん断剛性の比として得られる
ばね比はK2=kp2/kq2となる。このばね比が傾
斜支持を実現するための望ましいばね比である場合に
は、適切な傾斜支持を実現することができる。
【0054】一方、上述のばね比が望ましいばね比と異
なる場合には、積層ゴム19,20の予圧縮を調整する
ことにより、所定のばね比を実現する。
【0055】初めに、得られたばね比K2が、所定の値
より小さく、ばね比を増大させる必要がある場合には、
二段重ねとした積層ゴム19,20の締結間隔を小さく
するように予圧縮調整装置22により調整する。これに
より、積層ゴム19,20の予圧縮力は増大するため、
この予圧縮力を増大させた分だけ、積層ゴム19,20
を使用する圧縮荷重はF4〜F5の範囲へと増大する。
この状態での圧縮剛性及びせん断剛性は夫々kp3、k
q3となるので、ばね比はK3=kp3/kq3とな
り、図7、図8よりkp3>kp2及びkq3<kq2
であるため、明らかにK3>K2としてばね比を増大さ
せることができる。
【0056】同様に、得られたばね比K2が、所定のば
ね比より大きく、低減する必要がある場合には、積層ゴ
ム19,20の締結間隔を広げるように調整すること
で、予圧縮力を削減し、ばね比をK1=kp1/kq1
<K2として低減することができる。
【0057】上述したように、二段重ねとした積層ゴム
19,20のユニット構造に、積層ゴム19,20の締
結間隔を調節する予圧縮調整装置22を適用すること
で、積層ゴム19,20の圧縮/せん断方向のばね比を
適切に調整することができ、よって製造誤差やばね特性
に非線形性を有する積層ゴム19,20を用いた場合に
も傾斜支持を適切に実現することができる。
【0058】尚、本発明は上記形態例にのみ限定される
ものではなく、図示した被除振体A以外の種々の被除振
体の除振にも適用できること、図1、図2に示した第1
支持部材14と第2支持部材18の配置が上下反転した
構成であってもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱し
ない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であ
る。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、門型の第1支持部材と
第2支持部材とを係合するよう組み合わて、第1積層ゴ
ムと第2積層ゴムとを一方が圧縮される時に他方が引張
を受けるように配置することにより、線形に近い圧縮方
向のばね定数を得ることができ、更に、第1積層ゴムと
第2積層ゴムの締結間隔を調節する予圧縮調整装置を備
えたことにより、積層ゴムの圧縮/せん断方向のばね比
を適切に調整することができ、よって製造誤差やばね特
性に非線形性を有する積層ゴムを用いた場合に、適切な
ばね定数及びばね比を設定して良好な除振が行える効果
がある。
【0060】又、被除振体の重心を通る鉛直線を取り巻
く支持体の複数箇所と、前記重心を通る鉛直線の所定高
さ位置とを結ぶ直線に対して積層ゴムの面が直交するよ
うに振動低減装置を傾斜配置したことにより、被除振体
のロッキングを防止できる効果がある。
【0061】振動低減装置をペイロードに適用すること
により、ペイロードのロッキングを防止し、ペイロード
がコンポーネントに接触する問題を防止できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被除振体の振動低減装置の形態の一例
を示す一部切断正面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】本発明の振動低減装置をペイロードの除振に適
用した場合の例を示す斜視図である。
【図4】図3の一部を拡大して示した断面図である。
【図5】本発明による合成ばね定数を説明するための線
図である。
【図6】積層ゴムを圧縮した場合のせん断方向ばね定数
の変化を示す線図である。
【図7】積層ゴムの圧縮方向に関する圧縮荷重−たわみ
特性の代表的な一例を示す線図である。
【図8】積層ゴムのせん断方向引張荷重−たわみ特性の
代表的な一例を示す線図である。
【図9】従来の打上用ロケットの一例を示す概略断面図
である。
【図10】地上に積層ゴムを介してビルを設置した例を
示す部分切断側面図である。
【図11】積層ゴムの圧縮方向における接線剛性を示す
線図である。
【図12】積層ゴムのせん断方向のばね定数を示す線図
である。
【符号の説明】
5 固定部材(支持体) 6 ペイロード取付部材(被除振体) 7 ペイロード(被除振体) 9 ビル(被除振体) 10 基礎(支持体) 11a 対向部(他方) 11b 対向部(一方) 12 脚部 13 連結部材 14 第1支持部材 15 開口部 16 連結部材 17 脚部 18 第2支持部材 19 第1積層ゴム 20 第2積層ゴム 21 案内部 22 予圧縮調整装置 23 振動低減装置 26a,26b 傾斜面 A 除振体 B 持体 G 重心 S 直線 W 鉛直線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏崎 昭宏 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社機械・プラント開 発センター内 Fターム(参考) 3J048 AA01 BA08 BA18 BB03 DA03 EA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体にて被除振体を支持する際に被除
    振体と支持体との対向部間に設置する振動低減装置であ
    って、脚部と連結部材とにより門型に形成した第1支持
    部材の前記脚部を前記対向部の一方に固定して該対向部
    と第1支持部材とにより開口部を形成し、更に、該開口
    部を通る連結部材と該連結部材の両端部から延びる平行
    な脚部により逆門型に形成した第2支持部材を備え、第
    1支持部材と第2支持部材の連結部材相互間に第1積層
    ゴムを配置すると共に、第1支持部材の連結部材と第1
    支持部材の脚部を固定しない前記対向部の他方との間に
    第2積層ゴムを配置し、第2支持部材の脚部を該脚部の
    長手方向には移動可能で脚部の長手方向と直角方向には
    移動不能に支持する案内部を前記対向部の他方に備え、
    且つ第2支持部材の脚部を予圧縮調整装置により前記対
    向部の他方に連結したことを特徴とする被除振体の振動
    低減装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の被除振体の振動低減装置
    が、被除振体の重心を通る鉛直線を取り巻く支持体の複
    数箇所と、前記重心を通る鉛直線の所定高さ位置とを結
    ぶ直線に対して積層ゴムの面が直交するように傾斜配置
    されたことを特徴とする被除振体の振動低減装置。
  3. 【請求項3】 支持体がペイロードアダプタの固定部材
    であり、被除振体がペイロードであることを特徴とする
    請求項2記載の被除振体の振動低減装置。
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