JP2003138289A - 脂肪酸類からの飽和脂肪酸の低減方法 - Google Patents

脂肪酸類からの飽和脂肪酸の低減方法

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JP2003138289A JP2002232394A JP2002232394A JP2003138289A JP 2003138289 A JP2003138289 A JP 2003138289A JP 2002232394 A JP2002232394 A JP 2002232394A JP 2002232394 A JP2002232394 A JP 2002232394A JP 2003138289 A JP2003138289 A JP 2003138289A
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fatty acids
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emulsifier
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Masakatsu Sugiura
将勝 杉浦
Minoru Kase
実 加瀬
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂肪酸類から飽和脂肪酸を効率良く除去する
方法を提供する。 【解決手段】 自然分別法において、原料脂肪酸類に乳
化剤を添加混合して、冷却し結晶部を除去することによ
り飽和脂肪酸を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪酸類から飽和
脂肪酸を効率良く除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】脂肪酸
類は、モノグリセリドやジグリセリド等の食品の中間原
料やその他各種の工業製品の添加剤、中間原料として広
く利用されている。 かかる脂肪酸類は、一般に、菜種
油、大豆油等の植物油や牛脂等の動物油を高圧下で加水
分解することにより製造されている。
【0003】ところが、単に上記の如き方法により製造
された脂肪酸類は、原料である油脂に由来して、原料油
脂の脂肪酸組成に基づく飽和脂肪酸を含むものであり、
この飽和脂肪酸がモノグリセリドやジグリセリド等の最
終製品にした場合に悪影響を与えることが判明した。
例えば、上記のような飽和脂肪酸を含む脂肪酸を原料と
してジグリセリドを調製した場合、ジグリセリドは室温
で半固体状であり、更に寒冷地において、あるいは冬期
には完全に結晶化(固化)し流動性がなくなり、外観上
の問題や、容器から容易に取り出せないなどの問題が生
じる。工業的に大量生産されている脂肪酸のうち、最も
融点の低いものはオレイン酸であるが、これをジグリセ
リドの原料としても、最終製品の融点は約20℃となり、
上記の問題を解決することはできない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分解原料
を選定し脂肪酸類から飽和脂肪酸類を効率良く除去する
方法について検討した結果、自然分別法を用い、原料脂
肪酸類に乳化剤(結晶調整剤)を添加混合して、冷却し
結晶部を除去する方法が極めて有効であり、このように
して得られた脂肪酸を原料とするエステルは低温耐性に
優れていることを見出し、本発明に至ったものである。
【0005】即ち本発明は、自然分別法において、原料
脂肪酸類に乳化剤を添加混合して、攪拌しながら3〜30
時間冷却を行うことにより結晶を析出させ、結晶部を除
去することを特徴とする飽和脂肪酸の低減方法、並びに
上記方法により飽和脂肪酸の低減された脂肪酸類とグリ
セリンとからエステルを合成することを特徴とするエス
テルの製造方法である。
【0006】本発明の方法は、原料脂肪酸類中の脂肪酸
の量が50重量%以上、好ましくは85重量%以上であるよ
うな場合に特に有効であり、部分グリセリドが存在して
いてもよい。更に原料脂肪酸類中のステアリン酸の量が
10重量%以下、好ましくは5重量%以下であるような、
菜種油、大豆油等の植物油由来の脂肪酸から飽和脂肪酸
を低減する場合に特に有効である。 牛脂の脂肪酸はス
テアリン酸が25重量%もあり、濾過速度の向上効果が小
さい。
【0007】本発明の方法によれば、原料脂肪酸類の曇
り点を5℃以上低下させることが可能となる。
【0008】脂肪酸は各種エステルの原料に使用される
が、最終製品となるエステルの融点は、脂肪酸組成の調
整が必要となる。脂肪酸の分別は、収率の向上のため、
溶剤分別法、湿潤剤分別法が採用され、濾過速度の低下
等の問題により、自然分別法は採用されていなかった。
【0009】因みに、従来より、植物油よりサラダ油を
製造する目的等で、油脂を分別(脱ロウ)することは広
く行われており、自然分別法(無溶剤法)、溶剤分別
法、湿潤剤分別法等が知られ、この内、コスト等の点か
ら自然分別法が多用されている。 また、自然分別法に
おいて、各種乳化剤を添加して、濾過速度を向上させる
ことも公知である(特開平1−289897号公報、特
開平3−31397号公報、特開平6−181686号
公報)。しかしながら、これらの技術はあくまでも油脂
を対象とし、若干濾過速度と収率を向上させるだけで、
油脂由来のワックス除去とトリグリセリドの組成を調整
しているに過ぎない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の脂肪酸類からの飽
和脂肪酸の低減方法について説明する。
【0011】本発明において、原料となる脂肪酸類は、
菜種油、大豆油等の植物油や牛脂等の動物油を水蒸気分
解法で加水分解することや、リパーゼを触媒として加水
分解することにより製造される。この場合、元々、パル
ミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸含量の少ない、
菜種油、大豆油等の植物油由来の脂肪酸を用いることが
好ましい。
【0012】本発明の方法は、溶剤を使用しない自然分
別法を対象とする。 溶剤や湿潤剤水溶液を使用すると
分離効率は向上するが、設備投資、溶剤や水溶液の回収
等のランニングコストが増してしまう。
【0013】また、本発明で使用する乳化剤としては、
多価アルコール脂肪酸エステルが好ましく、食品添加物
であるショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノ
グリセリド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル等が挙げられ、特にポリグリセリン脂
肪酸エステルが効果の点で好ましく使用される。これら
は2種以上組み合わせて使用してもよい。特にデカグリ
セリンのエステル化度が80%以上のものが好ましい。ま
た、乳化剤はHLB7以下、特に4以下の親油性のもの
が好ましい。また、乳化剤は、脂肪酸類と乳化剤を混合
後、冷却した場合、析出する結晶が球状となり、更に平
均粒子径が50μm 以上、特に100 μm 以上となるものが
好ましい。乳化剤を添加しない場合、微細結晶がマトリ
ックス化し、目詰まりしてしまい濾過できなくなること
があるが、乳化剤の添加により結晶を大きく、更に球状
にすれば、空間率が上昇し、十分な濾過速度が得られ
る。
【0014】乳化剤の添加量は原料脂肪酸類に対して0.
001 〜1重量%、特に0.05〜0.3 重量%程度が好まし
い。
【0015】本発明では、上記の如く、原料脂肪酸類に
乳化剤を添加混合して、冷却し結晶部を除去することに
より、原料脂肪酸類から飽和脂肪酸を低減することが可
能である。乳化剤は、脂肪酸類に完全に溶解できるよう
に、30℃以上で混合溶解することが好ましい。
【0016】この場合の冷却時間、冷却温度は限定され
ず、原料脂肪酸類の組成により選択すればよい。原料の
量、冷却能力などによって異なるが、例えば、大豆脂肪
酸の場合、0℃まで、3〜30時間、好ましくは15〜25時
間程度必要である。冷却は、回分式処理でも連続式でも
よい。
【0017】また、結晶分離法としては、濾過方式、遠
心分離方式、沈降分離方式などが適用でき、回分式処理
でも連続式でもよい。
【0018】このようにして得られた飽和脂肪酸の低減
された脂肪酸類とグリセリンとを原料とし、公知の方法
でエステル合成することにより、低温でも結晶の析出し
ない低温耐性等に優れたエステルを製造することができ
る。本発明はエステルがジグリセリドである場合に特に
有効である。
【0019】ジグリセリドを得る方法としては、アルカ
リ触媒等を用いた化学的反応でも行うことができるが、
固定化もしくは菌体内1,3 位選択的リパーゼの存在下、
溶剤を用いない系で反応により生成する水を減圧脱水し
ながら反応を行わせる、特開平1−71495号公報記
載の方法が、条件的に温和で且つ反応系の汚染が少ない
ので特に望ましい。
【0020】尚、乳化剤を用いて飽和脂肪酸を低減した
脂肪酸類やこれを用いたエステル化物中には、若干量の
乳化剤が溶解しており、微量分析すれば使用した乳化剤
を特定することも可能である。
【0021】
【実施例】実施例1〜8、比較例1〜4 〔原料脂肪酸の調製〕菜種油、大豆油を常法により、加
水分解し、原料脂肪酸を調製した。 使用した菜種油、
大豆油の脂肪酸組成を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】得られた脂肪酸500 gを50℃に加熱し、表
2に示す乳化剤0.5 gを加え、80℃で15分加熱した。次
いで、5℃/hの速度で50rpm で攪拌しつつ冷却し、菜
種油脂肪酸の場合は5℃、大豆油脂肪酸の場合は0℃
で、3時間、50rpm で攪拌保持した。次いで、直径25cm
の濾紙で、最大60分吸引濾過して、濾過速度、濾液収
率、濾液組成を調べた。また、濾過後の脂肪酸の曇り点
を調べた。これらの結果を表2に示す。尚、菜種脂肪酸
の曇り点は10℃、大豆脂肪酸の曇り点は19℃である。
【0024】また、脂肪酸を大豆油に変え、乳化剤とし
てポリグリセリン脂肪酸エステル(THL3、阪本薬品
製)を使用し、冷却保持温度を−5℃とする以外は上記
と同様に処理して、濾過し、濾液を加水分解して得た大
豆油脂肪酸の収率、曇り点を比較例4として表2に示
す。
【0025】また、冷却保持後の結晶状態(結晶の形
状)を顕微鏡で観察し、その映像を写真撮影し、結晶の
粒度分布算出可能なものは体積基準の平均粒子径を求め
た。結果を表3に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】実施例9〜12、比較例5〜7 実施例4、5、7、8、比較例1、2、3により得られ
た各々の脂肪酸300 gと、グリセリン50gと固定化リバ
ーゼ(LIPOZYME IM 、ノボ社製)30gとを、40℃、減圧
下にて10時間反応を行った。その後、反応液を分子蒸留
処理し、得られたジグリセリドをガラス容器に入れ、5
℃で保存し、低温耐性を評価した。
【0029】評価は、5℃で1日保存後、結晶化しなか
ったものを○、5℃で1日保存後、結晶化・固化したも
の(流動性がなく、容器から取り出せないもの)を×と
する2段階評価で行った。
【0030】その結果、実施例4、5、7、8の脂肪酸
を用いた実施例9〜12で得られたジグリセリドの場合
は何れも評価○であったのに対し、比較例1、2、3の
脂肪酸を用いた比較例5〜7で得られたジグリセリドの
場合は何れも評価×であった。 比較例8 牛脂を常法により分解して得られた脂肪酸から溶剤分別
により飽和脂肪酸を除去した。得られたオレイン酸とグ
リセリンから、上記実施例と同様にジグリセリドを調製
し、低温耐性を評価したところ、評価は×であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 604 B01D 9/02 604 606 606 608 608Z 609 609A 615 615A 618 618B 619 619Z 625 625F B01F 17/42 B01F 17/42 Fターム(参考) 4D077 AC01 BA15 DD04X DD36X DE09X 4H059 BA26 BA34 CA06 CA51 EA11 EA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自然分別法において、原料脂肪酸類に乳
    化剤を添加混合して、攪拌しながら3〜30時間冷却を行
    うことにより結晶を析出させ、結晶部を除去することを
    特徴とする飽和脂肪酸の低減方法。
  2. 【請求項2】 原料脂肪酸類中のステアリン酸の量が10
    重量%以下である請求項1記載の飽和脂肪酸の低減方
    法。
  3. 【請求項3】 乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステル
    である請求項1又は2記載の飽和脂肪酸の低減方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載の方法に
    より飽和脂肪酸の低減された脂肪酸類とグリセリンとか
    らエステルを合成することを特徴とするエステルの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 エステルがジグリセリドである請求項4
    記載のエステルの製造方法。
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KR20200062621A (ko) * 2018-11-27 2020-06-04 주식회사이맥솔루션 팜유 또는 동물성 폐유지를 이용한 고순도 불포화 지방산 메틸 에스테르 제조방법

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