JP2003130135A - エンジン用つり合い装置のバランサシャフト - Google Patents

エンジン用つり合い装置のバランサシャフト

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Kenji Fujiki
賢治 藤木
Hirotsugu Kudo
洋嗣 工藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フランジ状をなすスラスト受面の剛性を高め
ることができるように改良されたエンジン用つり合い装
置のバランサシャフトを提供する。 【解決手段】 偏心ウェート部(17)の軸方向移動を
規制すべくジャーナル部(16c)に一体形成されたジ
ャーナル部よりも大径なフランジ状スラスト受面(1
9)とを有するエンジン用つり合い装置(4)のバラン
サシャフト(13L・13R)において、反ウェート側
にて前記フランジ状スラスト受面の背面に接続されて軸
方向に延在するリブ(21)を有するものとする。これ
により、フランジ状スラスト受面の半径方向についての
剛性を高めることができるので、高精度なスラスト規制
を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏心ウェート部を
備えたエンジン用つり合い装置のバランサシャフトに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】偏心ウェート部を備えたバランサシャフ
トを、クランク軸の下方に配設したつり合い装置が、実
公平3−18761号公報に開示されている。
【0003】上記公報に開示されたものは、バランサシ
ャフトの軸方向位置を規定するために、バランサシャフ
トのジャーナル部に設けられたスラスト受面が、軸受孔
の開口端面に摺接するようにされている。また、部品点
数削減のために、バランサシャフトにスラスト受面を一
体成形することも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ジャーナル
部に一体成形されたスラスト受面は、当然ジャーナル部
の直径よりも大きくしなければならないので、上記従来
の構造によると、ウェートの位置に関わらず反ウェート
側の部分はフランジ状になり、その外周側は片持ち構造
となるために剛性が不足しがちであった。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、フ
ランジ状をなすスラスト受面の剛性を高めることができ
るように改良されたエンジン用つり合い装置のバランサ
シャフトを提供することにある。
【0006】また本発明の第2の目的は、補強による重
量増大を最低限に抑えることができるように改良された
エンジン用つり合い装置のバランサシャフトを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本出願の請求項1の発明は、偏心ウェート部
(17)の軸方向移動を規制すべくジャーナル部(16
c)に一体形成されたジャーナル部よりも大径なフラン
ジ状スラスト受面(19)を有するエンジン用つり合い
装置(4)のバランサシャフト(13L・13R)にお
いて、反ウェート側にて前記フランジ状スラスト受面の
背面に接続されて軸方向に延在するリブ(21)を有す
ることを特徴とするものとした。
【0008】このようにすれば、フランジ状スラスト受
面の半径方向についての剛性を高めることができるの
で、高精度なスラスト規制を行うことができる。また、
スラスト受面の背面に接続したリブを軸方向に延在させ
たので、反ウェート側の重量増加を抑制し得る。
【0009】また請求項2の発明は、上記の構成におい
て、偏心ウェート部の軸方向中央部にジャーナル部が設
けられるものとし、ジャーナル部の軸方向両端にフラン
ジ状スラスト受面が一体形成されるものとした。これに
より、最も大きな荷重が加わるジャーナル部の剛性を高
めることができるので、バランサシャフトの安定支持が
可能となる。また、ジャーナル部に潤滑油を供給する場
合には、フランジ状スラスト受面によって潤滑油が保持
されるので、ジャーナル部の潤滑効果が向上する。
【0010】また、請求項3の発明は、前記リブが、偏
心ウェート部の軸方向両端に位置する2つのジャーナル
部間を連結するものとした。これにより、ジャーナル部
間の剛性を高めることができるので、所期の回転質量を
得た上で軸部を細径化して重量の増大を抑制することが
できる。
【0011】さらに請求項4の発明は、上記構成に加え
て、前記リブの軸方向中間部が谷になるようにその高さ
を漸減するものとした。これにより、応力分布を適正化
して重量の増大をより一層抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明について詳細に説明する。
【0013】図1及び図2は、本発明が適用された往復
ピストンエンジンにおけるつり合い装置の取付部を示し
ている。このエンジンEは、クランクシャフト1を水平
方向に延在させた直列4気筒エンジンであり、シリンダ
ブロック2、ロワブロック3、つり合い装置4、及びオ
イルパン5を備えており、クランクシャフト1の軸線に
直交する方向についてシリンダ軸線を傾斜させて車体に
搭載される。
【0014】つり合い装置4は、ピストンの往復運動に
起因して発生するエンジンEの二次振動を低減するため
のものであり、その左右両側端部に下方から挿通される
通しボルトB1により、オイルパン5に内包された状態
でロワブロック3の下面(クランクシャフト1の下方)
に締結される。このつり合い装置4は、クランクシャフ
ト1の前端部(以下、クランクプーリ側を前側とする)
のクランクプーリ6の背面側に固定された大スプロケッ
ト7と、左側(以下、左右方向はクランクプーリに向か
ってのこととする)のバランサシャフト(後に詳述す
る)の前端に固定された小スプロケット8と、大・小両
スプロケット6・7間に掛け渡されたリンクチェーン9
とを介して伝達されるクランクシャフト1の回転力によ
り、回転駆動されるようになっている。
【0015】つり合い装置4は、実質的に同一形状をな
す左右一対のバランサシャフト13L・13Rと、これ
ら2本のバランサシャフト13L・13Rを互いに平行
に支持し且つ収容すべく、両バランサシャフト13L・
13Rの中心を通る平面に沿って上下に2分割されたア
ッパハウジング14U及びロワハウジング14Lとを備
えている。
【0016】両バランサシャフト13L・13Rは、各
バランサシャフト13L・13Rに一体結合されたヘリ
カルギヤ15(一方のみを図示する)によって互いに連
動連結されている。ここで左バランサシャフト13Lに
は、上記の通り、大スプロケット7、小スプロケット
8、及びリンクチェーン9を介してクランクシャフト1
の駆動力が伝達され、これにより、クランクシャフト1
の2倍の回転速度でクランクシャフト1と同一方向へ左
バランサシャフト13Lが回転駆動される。そしてヘリ
カルギヤ15同士の噛合により、右バランサシャフト1
3Rがそれとは逆向きに回転駆動される。
【0017】両バランサシャフト13L・13Rには、
比較的小径の第1、第2ジャーナル部16a・16bが
ヘリカルギヤ15の前方に、その後方に比較的大径の第
3、第4ジャーナル部16c・16dが、それぞれ一体
形成されている。また、各バランサシャフト13L・1
3Rの後側部分には、回転中心から径方向外側に重心位
置を偏倚させ、且つ第3ジャーナル部16cを挟んで前
後に2分割された偏心ウェート部17が一体形成されて
いる。つまり第3ジャーナル部16cは、直列に列設さ
れた2つの偏心ウェート部17の軸方向中央部に設けら
れている。
【0018】前後偏心ウェート部17の第3ジャーナル
部16cを挟む対向端部には、拡径されたフランジ部1
8がそれぞれ形成されている。これらフランジ部18の
互いの対向端面には、スラスト受面19が形成されてい
る。このように、スラスト荷重を受けるフランジ部18
を第3ジャーナル部16cの軸方向両端に設けるものと
すれば、第3ジャーナル部16cに潤滑油を供給する場
合には、スラスト受面19によって潤滑油が保持される
ので、当該ジャーナル部の潤滑効果の向上に寄与し得
る。
【0019】図4に併せて示すように、偏心ウェート部
17をできるだけ小さくした上で所期の等価回転質量を
得るために、偏心ウェート部17の軸部20は比較的細
径とされている。そして径を細くしたことによる剛性低
下を補うと共に、スラスト受面18の半径方向について
の剛性を高めるために、第3ジャーナル部16cの前側
に設けられたフランジ部18におけるスラスト受面19
の背面とヘリカルギヤ15の取付部との間、並びに第3
ジャーナル部16cの後側に設けられたフランジ部18
におけるスラスト受面19の背面と第4ジャーナル部1
6dとの間を軸線方向について接続するリブ21が、両
軸部20の反ウェート側の全長に渡る部分に設けられて
いる。このように、最も大きな荷重が加わる第3ジャー
ナル部16cの軸方向両端に設けられた2つのフランジ
部18の双方にリブ21を接続するものとすれば、当該
ジャーナル部の剛性が大幅に増強されるので、各バラン
サシャフト13L・13Rの安定支持に寄与し得る。
【0020】これらのリブ21は、図5に示したよう
に、対応するジャーナル部16とフランジ部18との外
周縁同士を概ね直線的に連結しても良いが、リブ21を
設けたことによる重量増大を最小限に抑え、かつ応力分
布を最適化するために、図1並びに図4に示したよう
に、各偏心ウェート部17の軸線方向中央へ行くに従っ
てその半径方向寸法が小さくなるテーパ形状とすること
が好ましい。
【0021】他方、両バランサシャフト13L・13R
の各ジャーナル部16a〜16dは、アッパ、ロワ両ハ
ウジング14U・14Lを互いに接合させることによっ
て形成される2つ割の第1〜第4軸受孔22a〜22d
に支持される。
【0022】各軸受孔22a〜22dにおけるロワハウ
ジング14L側の半割部分に両バランサシャフト13L
・13Rの各ジャーナル部16a〜16dをそれぞれ載
置し、更にこの状態で各軸受孔22a〜22dにおける
アッパハウジング14U側の半割部分を両バランサシャ
フト13L・13Rの各ジャーナル部16a〜16dに
整合させた上でアッパ、ロワ両ハウジング14U・14
Lを互いに接合させることにより、両バランサシャフト
13L・13Rが両ハウジング14U・14L内に回転
自在に収容されることとなる。そして前記したスラスト
受面19は、第3軸受孔22cを形成した軸受壁23c
の前後両端面に当接してスラスト力を受け止めるように
なっている。
【0023】図3に併せて示すように、アッパ、ロワ両
ハウジング14U・14Lは、適宜な位置に上方から挿
通された複数のボルトB2と、第3、第4軸受孔22c
・22dが設けられた各軸受壁23c・23dを貫通し
て下方から挿通された各3本のボルトB3とで締結され
ており、特に偏心ウェート部17の回転による径方向の
加速度が作用する軸受壁23c・23dの部分に緩みが
生じ難くなるように配慮されている。
【0024】ロワハウジング14Lの前端面には、エン
ジン各部へ潤滑油を圧送するためのトロコイド式の潤滑
油ポンプ(図示せず)を内設したポンプハウジング24
がボルト止めされている。この図示されていない潤滑油
ポンプは、右バランサシャフト13Rの軸端に設けられ
ており、右バランサシャフト13Rが回転すると、ロワ
ハウジング14Lの底壁に取り付けられたオイルストレ
ーナ25からロワハウジング14Lの一側壁に内設され
た管状通路26を経てオイルパン5内の潤滑油を吸引
し、エンジン各部へと圧送するようになっている。
【0025】オイルストレーナ25を保持するストレー
ナカバー27の取付ボス28は、ロワハウジング14L
における2つのバランサシャフトのうちの低い側、つま
り左バランサシャフト13Lの下方位置に一体形成され
ている。この取付ボス28は、概ね円筒状をなし、アッ
パハウジング14Uとロワハウジング14Lとを相互に
締結するためのボルトB3のうちの2つのバランサシャ
フト13L・13R同士間に設けられたボルトと低い側
の左バランサシャフト13Lの外側方に設けられたボル
トとの間にその中心を配すると共に、ロワハウジング1
4Lの前後方向中間部における第3軸受孔22cの半割
部が設けられた軸受壁23cにその外周部が連結されて
いる。これにより、アッパハウジング14Uとロワハウ
ジング14Lとを締結すると共に、2つのバランサシャ
フト13L・13Rのスラスト力が加わる軸受壁23c
の剛性の増強を図っている。
【0026】管状通路26の終端部の側方に隣接する位
置には、ロワブロック3に対する締結ボルトB1を挿通
する締結ボス30が設けられており、ロワブロック3に
対するつり合い装置4の締結剛性を高めるのに寄与して
いる。
【0027】なお、上記の第3ジャーナル部16cの軸
方向両端に設けられたフランジ部18に接続されたリブ
21の厚さ(軸線に直交する向きについての寸法)は、
重量の増加を抑制する上からは必要最小限とすることが
好ましく、フランジ部18の厚さ(軸線に沿う向きにつ
いての寸法)よりもリブ21の厚さを小さくすれば軽量
化に寄与するが、剛性の増大と重量増大の抑制とを両立
する上には、フランジ部18とリブ21との厚さを互い
に同程度とすることが最適である。また、図6に示した
ように、フランジ部18の最外周にリブ21を接続する
ものとすれば、フランジ部18の剛性をより一層高める
ことができる。
【0028】さらに、排気量や全体構造の都合によって
は第3ジャーナル部16cの両側の偏心ウェート部17
の重量を互いに異ならせる要望が生ずる場合もあるが、
このようなときは、重量がより大きい偏心ウェート部側
のリブの高さや厚さをより大きくすれば、スラスト荷重
がより大きくなる側の強度の増大に有効である。
【0029】
【発明の効果】以上詳述した通り、従来は、ジャーナル
部の直径よりも大きくされたフランジ部に形成されたス
ラスト受面の反ウェート側の部分は、その外周側が片持
ち構造となるので剛性が不足しがちであった。それが本
願請求項1の発明によれば、反ウェート側にてフランジ
部におけるスラスト受面の背面に接続されて軸方向に延
在するリブを設けるものとしたので、スラスト受面の半
径方向についての剛性を高めることができる。従って本
発明により、高精度なスラスト規制を行う上に大きな効
果を奏することができる。
【0030】また請求項2の発明は、上記構成に加え
て、偏心ウェート部の軸方向中央部にジャーナル部が設
けられるものとし、ジャーナル部の軸方向両端にフラン
ジ状スラスト受面が一体形成されるものとした。これに
より、最も大きな荷重が加わるジャーナル部の剛性を高
めることができるので、バランサシャフトの安定支持が
可能となる。また、ジャーナル部に潤滑油を供給する場
合には、フランジ状スラスト受面によって潤滑油が保持
されるので、ジャーナル部の潤滑効果が向上する。
【0031】特に、偏心ウェート部の軸方向両端に位置
する2つのジャーナル部間をリブをもって連結するもの
(請求項2の構成)とすれば、ジャーナル部間の剛性を
高めることができるので、所期の回転質量を得た上で軸
部を細径化して重量の増大を抑制することができ、さら
にリブの軸方向中間部が谷になるようにその高さを漸減
するもの(請求項3の構成)とすれば、応力分布を適正
化して重量の増大をより一層抑制することができる。従
って、これらにより、補強による重量増大を最低限に抑
える上に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたエンジンの要部を一部切除
して表した正断面図
【図2】本発明が適用されたエンジンの要部を一部切除
して表した側断面図
【図3】つり合い装置のロワハウジングの底面図
【図4】バランサシャフト単体を一部切除して示す側面
【図5】バランサシャフトの別の形態を示す部分的側面
【図6】バランサシャフトのさらに別の形態を一部切除
して示す側面図
【符号の説明】
4 つり合い装置 13L・13R バランサシャフト 16c ジャーナル部 17 偏心ウェート部 18 フランジ部 19 スラスト受面 21 リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 洋嗣 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏心ウェート部の軸方向移動を規制すべ
    くジャーナル部に一体形成されたジャーナル部よりも大
    径なフランジ状スラスト受面を有するエンジン用つり合
    い装置のバランサシャフトであって、 反ウェート側にて前記フランジ状スラスト受面の背面に
    接続されて軸方向に延在するリブを有することを特徴と
    するエンジン用つり合い装置のバランサシャフト。
  2. 【請求項2】 前記ジャーナル部は、前記偏心ウェート
    部の軸方向中央部に設けられ、 前記フランジ状スラスト受面は、前記ジャーナル部の軸
    方向両端に一体形成されることを特徴とする請求項1に
    記載のエンジン用つり合い装置のバランサシャフト。
  3. 【請求項3】 前記ジャーナル部は、前記偏心ウェート
    部の軸方向両端に設けられ、前記リブは、前記偏心ウェ
    ート部の軸方向両端に位置する2つのジャーナル部間を
    連結することを特徴とする請求項1又は2に記載のエン
    ジン用つり合い装置のバランサシャフト。
  4. 【請求項4】 前記リブの軸方向中間部が谷になるよう
    にその高さを漸減したことを特徴とする請求項3に記載
    のエンジン用つり合い装置のバランサシャフト。
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JP2012526248A (ja) * 2009-05-06 2012-10-25 シェフラー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト 内燃機関の質量補償装置
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