JP2003128402A - ダブルコンタクト式硫酸製造設備用硫酸ポンプタンク - Google Patents

ダブルコンタクト式硫酸製造設備用硫酸ポンプタンク

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JP2003128402A JP2001319508A JP2001319508A JP2003128402A JP 2003128402 A JP2003128402 A JP 2003128402A JP 2001319508 A JP2001319508 A JP 2001319508A JP 2001319508 A JP2001319508 A JP 2001319508A JP 2003128402 A JP2003128402 A JP 2003128402A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルコンタクト式硫酸製造設備のガス乾燥
塔及び吸収塔に付設された硫酸ポンプタンクにおいて、
特別な撹拌設備や動力を使用することなく、濃度の異な
る硫酸を均一に混合することができる硫酸ポンプタンク
を提供する。 【解決手段】 ガス乾燥塔及び吸収塔に濃硫酸を循環さ
せる循環酸用ノズル2の流入口を運転液面より100〜
200mm下方に配置すると共に、ガス乾燥塔又は吸収
塔から濃度の異なる濃硫酸を混合するための交酸混合用
ノズル3の流入口を循環酸用ノズル2の流入口の方向に
向けて設置する。交酸混合用ノズル3の流入口は、ノズ
ル本体の延長方向に対して90°以下の角度を有し、循
環酸用ノズル2の流入口より下で且つその流入口とタン
ク底面との間の中間点より上に向けて設置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダブルコンタクト
式硫酸製造設備のガス乾燥塔及び吸収塔に付設され、濃
硫酸をガス乾燥塔及び吸収塔に循環供給させるための硫
酸ポンプタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】濃硫酸のダブルコンタクト式硫酸製造で
は、鉱石の製錬などで発生したSOガスを触媒により
SOガスに転化し、これを吸収塔に循環させた濃硫酸
に吸収させることにより、所定の濃度の硫酸や発煙硫酸
が製造される。
【0003】この硫酸製造工程において、吸収塔では、
その硫酸ポンプタンクから循環して供給される98.3
%程度の濃硫酸を塔頂部より降らせ、ガス中のSO
濃硫酸に吸収する。また、ガス乾燥塔では、同様に硫酸
ポンプタンクから循環して供給される95%程度の濃硫
酸を塔頂部より降らせ、SOガス中に含まれる水分を
濃硫酸に吸収する。
【0004】これら吸収塔及びガス乾燥塔、これらに付
設された硫酸ポンプタンクなどの製造設備は、耐酸鋳鉄
や耐酸レンガ、又はステンレス材などを、その濃度域や
温度範囲に応じて適切な材料を選定し使用している。し
かしながら、各製造設備が硫酸によって腐食されること
を防ぐ保守管理の観点から、硫酸の濃度及び温度が常に
均一であることが大切であり、特に吸収塔及びガス乾燥
塔における硫酸濃度の均一性は最も重量な条件である。
【0005】即ち、吸収塔では、できるだけ多くのSO
ガスを吸収すること、即ち塔出口の硫酸濃度が高いほ
ど効率が良いが、硫酸吸収が進み発煙硫酸化すると、そ
れまでの硫酸による腐食性とは異なり、SOによる激
しい腐食に晒される。耐酸鋳鉄を例にすれば、酸濃度が
上昇して発煙硫酸化すると、成分中のSiの酸化が起こ
って強度が著しく低下する。ガス乾燥塔は吸収塔ほど濃
度変動が厳密ではないが、ステンレスを用いた硫酸ポン
プタンク等はタンク内で硫酸濃度やハロゲン等の成分が
ばらつくと、全体腐食や孔食の一因となる。
【0006】吸収塔及びガス乾燥塔に供給する濃硫酸の
濃度を制御するためには、それぞれに付随する硫酸ポン
プタンクにおいて、濃度の上昇する吸収塔にはガス乾燥
塔の濃度の低い硫酸を混合し、逆に濃度の低下するガス
乾燥塔には吸収塔の濃度の高い硫酸を混合する、いわゆ
る濃硫酸の相互入れ替えである交酸と呼ばれる操作を行
う。更に、この交酸だけでは水分が不足する場合、硫酸
ポンプタンクに水を直接供給することもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、吸収
塔及びガス乾燥塔にそれぞれ付随する硫酸ポンプタンク
には、循環酸と交酸という濃度の異なる硫酸が少なくと
も2種類以上、及び必要に応じて水が供給され、短時間
で混合された後、ポンプにより排出されて、それぞれ吸
収塔及びガス乾燥塔に供給される。
【0008】しかしながら、これら濃度の異なる硫酸な
どを各硫酸ポンプタンクに単に供給して自然自発的に混
合させるだけでは、硫酸ポンプタンク内及びポンプ出口
での硫酸濃度の不均一化を招き、硫酸ポンプタンク自体
の耐食や、吸収塔及びガス乾燥塔並びに濃硫酸循環配管
の腐食を増大させる危険があった。
【0009】硫酸ポンプタンク内での硫酸濃度の不均一
化を解消する方法として、硫酸ポンプタンク内に混合用
のポンプを別途設置すること、循環させる濃硫酸を硫酸
ポンプタンクに戻す循環酸用ノズルの流入口にミキサー
を設置することが行われ、また一般的ではないが撹拌機
を設置することも提案されている。しかし、これらの方
法では、製造設備の運転に余分な電力が必要となり、ミ
キサーなどでは局部的に高温となる部分に高価なテフロ
ン(登録商標)材を用いる必要があるうえ、これらの設
置が硫酸漏れの原因となるなど安全上の問題も指摘され
ている。
【0010】このため、現状の硫酸製造設備のままで、
循環酸と交酸という濃度の異なる酸を硫酸ポンプタンク
に入れてポンプで吸引するだけでは、濃度を均一化する
ことは極めて難しかった。従って、濃硫酸を吸収塔及び
ガス乾燥塔に供給するため各硫酸ポンプタンクに設置さ
れたポンプが1基の場合、供給される濃硫酸濃度が一定
せず、また2基以上の場合も各ポンプ出口での硫酸濃度
も異なることとなり、これらの事実は実際にタンク内及
びポンプ出口でサンプリングして実測した結果からも確
認された。
【0011】従って、硫酸ポンプタンクから吸収塔やガ
ス乾燥塔に供給する硫酸濃度が上記のごとく変動する現
状では、設備の腐食を防止するために、吸収塔やガス乾
燥塔に供給できる硫酸濃度値を硫酸濃度の変動幅の最大
値以下となるように決めなければならず、このことは上
限となるSOガスの供給量、即ち吸収塔の処理能力向
上に対して大きな制約となっていた。
【0012】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
硫酸ポンプタンク内で濃度の異なる硫酸を、特別な撹拌
設備や動力を使用することなく経済的に、均一に混合す
ることができる硫酸ポンプタンクを提供すること、並び
に硫酸濃度の変動を防止することによって、硫酸ポンプ
タンク、吸収塔及びガス乾燥塔、その配管などの設備の
腐食を防止すると共に、吸収塔の処理能力を向上させる
ことを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、ダブルコンタクト式硫酸製造設備で、原
料のSOガス中に含まれる水分を濃硫酸と接触させて
吸収するガス乾燥塔及びSOガスから触媒により転化
されたSOガスを濃硫酸と接触させて吸収する吸収塔
にそれぞれ付設された硫酸ポンプタンクにおいて、前記
ガス乾燥塔及び吸収塔に濃硫酸を循環させる循環酸用ノ
ズルの流入口を運転液面より100〜200mm下方に
配置すると共に、前記ガス乾燥塔又は吸収塔から濃度の
異なる濃硫酸を混合するための交酸混合用ノズルの流入
口を前記循環酸用ノズルの流入口の方向に向けて設置し
たことを特徴とする硫酸ポンプタンクを提供する。
【0014】また、上記本発明の硫酸ポンプタンクにお
いては、前記交酸混合用ノズルの流入口は、ノズル本体
の延長方向に対して90°以下のノズル角度を有し、前
記循環酸用ノズルの流入口より下で且つ該流入口とタン
ク底面との間の中間点より上に向けて設置されているこ
とを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】通常、硫酸ポンプタンク内では、
吸収塔と配管内の保持液量、並びにポンプ運転の必要液
量により、硫酸ポンプタンクの保有液量が決められる。
本発明では、この保有液量にてポンプを運転した際の液
面レベル(運転液面)を基準として、循環酸用ノズルの
流入口を従来よりも浅い位置に設置し、流入位置とタン
ク底面との間の間隔を大きく取るようにして、タンク内
での酸の混合時間を稼ぐことにより、循環酸がタンク底
面に当たり半径方向に広がる前に交酸との混合を促進さ
せて、濃度の均一化を図ることができる。
【0016】即ち、循環酸用ノズルの流入口を、運転液
面よりも100〜200mm下方に配置する。循環酸用
ノズルの流入口を運転液面よりも200mmを超えて深
く挿入すると、タンク底面との距離が短くなり過ぎるた
め2種類の酸の混合時間が少なくなる。逆に循環酸用ノ
ズルの流入口が運転液面より100mmを超えて浅い場
合には、何らかの原因で液面が変動したとき、流入口が
液面より上に出て空気を巻き込むことことにより、ポン
プタンク内のガスゾーンに多量の酸ミストを飛散させ
る。
【0017】また、従来の交酸混合用ノズルはストレー
トでタンク底面に向けて注入されていたが、本発明にお
いては、硫酸濃度を調整するためポンプタンクに注入す
る交酸の流入方向を循環酸用ノズルの流入口に向け、循
環酸の大きな流れの中に供給する。従って、交酸混合用
ノズルの流入口も、運転液面よりも100〜200mm
程度下方に配置することが好ましい。交酸の流れる方向
を上記のごとく調整するのは、交酸中の水の流量が工水
の流量の約3倍あり、また交酸の流入が工水の流入速度
に比べて速く、方向性を持っているためである。
【0018】更に具体的には、交酸混合用ノズルの流入
口の方向を調整して、循環酸用ノズルの流入口より下で
且つその流入口とタンク底面との間の中間点より上に向
けることが好ましい。この交酸の流入方向を決める手段
としては、ノズル先端を曲げて角度を付ける方法、ノズ
ルの取り付け用フランジ位置を水平より傾斜を付ける方
法、ノズルをタンク側面から装入する方法などが考えら
れ、中でもノズル先端を曲げる方法が経費的に好まし
い。交酸混合用ノズルの先端部の曲げ角度は、ほぼ18
0°上向きのものまで製作可能であるが、ノズル取付フ
ランジからタンク内部への入れ易さ並びに流体による腐
食を防止するため、ノズル本体の延長方向から90°以
下の角度とすることが望ましい。
【0019】この交酸混合用ノズルの流入口の微妙な角
度の調整は、現状の硫酸ポンプタンク内の流速、濃度分
布、及び出口濃度の予測と、混合を促進すべく改造した
際のタンク内の流速、濃度分布、及び出口濃度の予測
を、流体解析モデルにてシミュレーション計算し、計算
結果を実際の酸濃度と比較して、解析手法が有効と確認
したうえで角度を決定するのが望ましい。
【0020】尚、ガス乾燥塔及び吸収塔にそれぞれ付随
している濃硫酸ポンプタンクは、円筒横型、円柱型、角
型等があるが、本発明はこれらの形状には基本的に影響
を受けない。
【0021】
【実施例】流体解析手法により、図1に示す解析形状モ
デルを用いて、ダブルコンタクト式硫酸製造設備のガス
乾燥塔及び吸収塔に付設され硫酸ポンプタンクにおける
硫酸濃度の均一化を実施したプロセスについて以下に示
す。
【0022】図1の硫酸ポンプタンク1の解析形状モデ
ルは3次元形状で、硫酸ポンプタンク1の直径は9.1
m及び運転液面の高さは1.1mとし、循環酸用ノズル
2、交酸混合用ノズル3、工水注入用ノズル4の各ノズ
ルはSOLIDでモデル化した。尚、工水注入用ノズル
4の流入口は径が小さいため、断面積が同じとなる矩形
で近似した。
【0023】本解析で使用した物理モデルは、濃度を多
成分モデル(Mass Fraction Mode
l)とし、硫酸濃度はスカラー値として定義し、移流方
程式を解いて計算した。乱流モデルはK−εモデルとし
ている。浮力については、密度差による浮力を考慮して
いる。流体の物性としては、硫酸と水について20℃の
物性値を用いた。また、境界条件は、下記表1に示した
通りである。ここでの流出条件としては自然流出条件と
し、図1に示す2つの出口aと出口bの流量の比率は
2.15対1としている。また、硫酸と水の混合による
密度は下数式1により計算した。
【0024】
【表1】
【0025】
【数1】
【0026】最初に、従来の硫酸ポンプタンクでの混合
状態をシミュレーションした。図1の解析形状モデルに
おいて、従来の一般的な硫酸ポンプタンクに従って、循
環酸用ノズル2の流入口は運転液面より800mm下方
とし、交酸混合用ノズル3及び工水注入用ノズル4の流
入口は鉛直方向下方に向けてある。
【0027】得られた解析結果について以下に説明す
る。まず、流速分布の結果を図2に硫酸ポンプタンク1
内での速度ベクトル図として示す。図2(a)はタンク
底面からの高さZ=0.15m断面(流入口高さと底面
の中心)、同(b)はZ=0.55m断面(液面と底面
の中心)、同(c)はZ=0.95m断面(液面から0.
15m下方)の速度ベクトル図である。尚、以下の説明
では、出口aの幅方向の中心とタンクの中心を結んだ線
を境界として、交酸混合用ノズル3がある側を交酸側、
その反対側を循環酸側と称する。
【0028】図2(a)のZ=0.15m断面では、循
環酸と交酸の流入によって、タンクの中心付近では、半
径方向に3つの大きな流れが、2つの循環酸用ノズル2
の間、循環酸用ノズル2と交酸混合用ノズル3の間、及
び工水注入用ノズル4付近に形成されている。尚、工水
の流入量が少ないため、工水注入用ノズル4付近が最も
強い流れとなっている。また、出口aには循環酸側から
の流れが流れ込んでいる。図2(b)のZ=0.55m
断面では、Z=0.15m断面で見られた3つの大きな
流れの殆どが各々上昇流となっており、同様に3つの半
径方向の流れが見られる。但し、工水注入用ノズル4付
近の流れは、工水注入用ノズル4と循環酸用ノズル2の
間のタンク中心へ向かう流れによって弱くなっている。
また、出口aには交酸側からの流れが流れ込んでおり、
出口bには循環酸側の流れが流れ込んでいる。図2
(c)のZ=0.95m断面においては、工水注入用ノ
ズル4付近と、循環酸用ノズル2と交酸混合用ノズル3
の間に、他よりも強い半径方向の流れが見られる。ま
た、出口aには交酸側からの流れが流れ込んでいる。
【0029】次に、図3に硫酸ポンプタンク1内の濃度
コンター図を示す。図2と同様に、図3(a)はZ=
0.15m断面、同(b)はZ=0.55m断面、及び同
(c)はZ=0.95m断面の濃度コンター図を示して
いる。尚、図3においては、濃度を連続的な濃淡などで
示すことが難しいため、簡単化して濃度の高い領域を高
濃度になるほど高密度の斜線で示し、濃度の低い領域は
低濃度になるほど低密度の点々で示すと共に、それ以外
の中間的な領域は省略してある。
【0030】図3(a)のZ=0.15m断面では、循
環酸側に濃度の高い領域が見られ、交酸側に濃度の低い
領域が見られる。図3(b)のZ=0.55m断面で
は、循環酸側に濃度の高い領域が見られ、工水注入用ノ
ズル4付近に濃度の低い領域が見られるが、これは流入
した工水が上昇流れに乗って上昇しているためである。
その他の箇所では、Z=0.15m断面に比べて濃度拡
散が進んでいるが、交酸側と循環酸側で相当の濃度差が
見られる。また、図3(c)のZ=0.95m断面で
は、工水注入用ノズル4付近を中心に交酸側に濃度の低
い領域が見られ、この付近を中心として半径方向に徐々
に濃度が高くなっている。
【0031】上記した従来の硫酸ポンプタンクでのシミ
ュレーションに基づき、出口aと出口bから流出する硫
酸の平均濃度を下記数式2を用いて算出し、その結果を
表2に示した。尚、硫酸の平均濃度は、図4に示すよう
にイタレーション毎にバラツキがあったため、残差が落
ち着いた後(解析が収束した後)の3000回イタレー
ションの平均をとった値である。これによると、出口b
の硫酸の平均濃度は出口aに比べて高くなっており、そ
の差は0.28wt%であった。
【0032】
【数2】
【0033】
【表2】
【0034】下記表3に、実際の運転中における出口a
と出口bの硫酸濃度を測定した結果を示す。2回測定し
た結果のいずれの場合も、出口bの硫酸濃度の方が出口
aに比べて高くなっており、その濃度差は0.4wt%
程度であった。
【0035】
【表3】
【0036】上記表2に示したシミュレーションでの解
析結果と、表3に示した測定結果を比較すると、出口a
と出口bの硫酸濃度については、解析及び測定ともに、
出口bの方が出口aよりも高くなっており、同じ傾向を
示している。また、出口aと出口bの硫酸濃度の差は、
解析0.28wt%及び測定0.41wt%と、解析の方
が測定よりも若干小さくなったが、濃度差の値はほぼ一
致している。
【0037】尚、この出口aと出口bの硫酸濃度のずれ
に関しては、硫酸濃度の測定はガス条件などが解析条件
と全く同じではないこと、図4に示したように出口濃度
は変動しておりタンク内の流動は非定常現象の可能性が
あること等から、測定時のタンク内の流動によって出口
濃度が多少異なってくる等の要因が考えられる。更に、
解析に用いた乱流モデル(K−εモデル)は、実際より
も乱流拡散を多めに評価する傾向があるため、タンク内
での混合が進み、解析の濃度が小さくなった可能性もあ
る。その他、物理モデルに考慮していない因子の影響も
考えられるが、出口の濃度差の大小を評価することを目
的とした場合には、本解析手法は十分有効であると考え
られる。
【0038】以上の結果から、出口aと出口bで硫酸濃
度に差が生じる要因として、従来の硫酸ポンプタンクで
は、流入した循環酸、交酸、及び工水がタンク内で完全
に混合されず、2つの出口から流出しており、循環酸の
流入口が近くにある出口bには濃度の高い循環酸が多く
流出しているためと考えられる。
【0039】次に、本発明による硫酸ポンプタンクにつ
いて、先に述べた流体解析の条件でシミュレーションを
実施した。本発明の解析形状モデルは、図1において、
循環酸用ノズル2の流入口を運転液面より200mm下
方とし、交酸混合用ノズル3の流入口は循環酸用ノズル
2の流入口の方向に向け、且つ循環酸用ノズル2の流入
口とタンク底面との間の中間点より上に向けた。尚、工
水注入用ノズル4の流入口は鉛直方向下方に向けてあ
る。
【0040】図5に硫酸ポンプタンク1内における速度
ベクトル図を示す。図2の場合と同様に、図5(a)は
タンク底面からの高さZ=0.15m断面、同(b)は
Z=0.55m断面、同(c)はZ=0.95m断面の速
度ベクトル図である。
【0041】図5(a)のZ=0.15m断面では、循
環酸の流入によって、タンクの中心付近で半径方向に3
つの大きな流れが形成されている。これらの流れのう
ち、循環酸側の循環酸ノズル間の流れは上部からの交酸
の流入によって他の流れよりも強くなっている。出口a
には交酸側からの流れが流れ込んでいる。図5(b)の
Z=0.55m断面においては、タンクの中心付近に交
酸の流入による強い流れが見られ、また内壁近傍には周
方向の流れが見られる。出口aには交酸側と循環酸側か
らの流れがそれぞれ流れ込んでおり、出口bには交酸と
合流した循環酸側の流れが流れ込んでいる。また、図5
(c)のZ=0.95m断面では、Z=0.55m断面と
同様な流れ分布であるが、交酸側から循環酸側への流れ
が弱くなっている。また、出口aには交酸側と循環酸側
からの流れがそれぞれ流れ込んでいる。
【0042】一方、硫酸濃度分布については、図6に硫
酸ポンプタンク1内の濃度コンター図を示す。図5と同
様に、図6(a)はZ=0.15m断面、同(b)はZ
=0.55m断面、及び同(c)はZ=0.95m断面で
の濃度コンター図を示している。尚、図6においては、
濃度を連続的な濃淡などで示すことが難しいため、図3
と同様に、濃度の低い領域を点々で示すと共に濃度の高
い領域を斜線で示し、それ以外の中間的な領域は省略し
てある。
【0043】図6(a)のZ=0.15m断面では、タ
ンク中心に濃度の高い領域があり、交酸側と循環酸側に
それぞれ濃度の高い領域が拡散している。図6(b)の
Z=0.55m断面では、タンク中心付近に交酸の流入
による濃度の低い領域が見られるが、それ以外の箇所で
はほぼ一様な濃度分布となっている。図6(c)のZ=
0.95m断面では、交酸混合用ノズルと工水注入用ノ
ズル付近にやや濃度の低い領域が見られるが、その付近
を中心として半径方向に濃度が高くなり、周辺部分では
ほぼ均一な濃度になっている。従って、本発明による硫
酸ポンプタンク内の濃度分布は、現状設備の濃度分布よ
りも均一化されていることが解る。
【0044】下記表4に、出口aと出口bから流出する
硫酸の平均濃度として、上記の数式2を用いて算出した
結果を示す。また、図7にイタレーション毎の出口aと
出口bにおける硫酸濃度の変動を示す。表4から分かる
ように、出口bの硫酸の平均濃度は出口aに比べて少し
高くなっているが、その差はわずかに0.03wt%に
過ぎない。
【0045】
【表4】
【0046】下記表5に、実際の運転中における出口a
と出口bの硫酸濃度を測定した結果を示す。2回測定し
た結果のいずれの場合も、出口aと出口bの濃度差は減
少しており、その濃度差は0.1wt%程度であった。
前述した図7のとおり、各出口での硫酸濃度は変動して
おり、タンク内の流動は非定常現象の可能性があること
などを考慮しても、十分な改善効果が得られていると考
えられる。
【0047】
【表5】
【0048】この結果を、硫酸ポンプタンクの出口での
濃度計による実測濃度と実際の吸収塔入口での硫酸濃度
の誤差という観点から考察する。すなわち、出口aと出
口bでの流量(ポンプ揚液量)の比率は2.15対1で
あるので、濃度計を設置している出口aの濃度と、揚液
比率で加重平均した濃度との差が、実際の吸収塔入口で
濃度の誤差となって現れる。この差で比較すれば、従来
は+0.13%程度の差であったものが、本発明により
−0.03%と改善された。
【0049】吸収塔で吸収させうる硫酸濃度は、硫酸濃
度差として0.75%程度であり、設備の耐食性を重視
して決定している。従って、計器との誤差を0.1%低
減させることによって、濃度計をもとに予想した硫酸濃
度以上に吸収塔入口の濃度が上昇した場合でも、腐食が
進行する危険を低減させることができる。また、従来の
吸収塔入口の硫酸濃度を運転可能上限濃度と考えれば、
吸収させうる硫酸の濃度を0.1%アップでき、吸収塔
の能力を13%向上できたことになる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、特別な撹拌設備や動力
を使用することなく経済的に、濃度の異なる硫酸を均一
に混合して、均一化することができる硫酸ポンプタンク
を提供することができる。従って、硫酸濃度の変動によ
る硫酸ポンプタンク、吸収塔及びガス乾燥塔、その配管
などの設備の腐食を防止することができ、同時に吸収塔
の処理能力を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫酸ポンプタンクの解析形状モデルである。
【図2】従来の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルにお
ける速度ベクトル図である。
【図3】従来の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルにお
ける濃度コンター図である。
【図4】従来の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルにお
ける出口濃度の変動を示すグラフである。
【図5】本発明の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルに
おける速度ベクトル図である。
【図6】本発明の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルに
おける濃度コンター図である。
【図7】本発明の硫酸ポンプタンクの解析形状モデルに
おける出口濃度の変動を示すグラフである。
【符号の説明】
1 硫酸ポンプタンク 2 循環酸用ノズル 3 交酸混合用ノズル 4 工水注入用ノズル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダブルコンタクト式硫酸製造設備で、原
    料のSOガス中に含まれる水分を濃硫酸と接触させて
    吸収するガス乾燥塔及びSOガスから触媒により転化
    されたSOガスを濃硫酸と接触させて吸収する吸収塔
    にそれぞれ付設された硫酸ポンプタンクにおいて、前記
    ガス乾燥塔及び吸収塔に濃硫酸を循環させる循環酸用ノ
    ズルの流入口を運転液面より100〜200mm下方に
    配置すると共に、前記ガス乾燥塔又は吸収塔から濃度の
    異なる濃硫酸を混合するための交酸混合用ノズルの流入
    口を前記循環酸用ノズルの流入口の方向に向けて設置し
    たことを特徴とする硫酸ポンプタンク。
  2. 【請求項2】 前記交酸混合用ノズルの流入口は、ノズ
    ル本体の延長方向に対して90°以下のノズル角度を有
    し、前記循環酸用ノズルの流入口より下で且つ該流入口
    とタンク底面との間の中間点より上に向けて設置されて
    いることを特徴とする、請求項1に記載の硫酸ポンプタ
    ンク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101708431B (zh) * 2009-11-25 2013-11-20 四川大学 硫酸尾气二氧化硫深度处理方法
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