JP2003121106A - 電動車椅子 - Google Patents

電動車椅子

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JP2003121106A
JP2003121106A JP2001319106A JP2001319106A JP2003121106A JP 2003121106 A JP2003121106 A JP 2003121106A JP 2001319106 A JP2001319106 A JP 2001319106A JP 2001319106 A JP2001319106 A JP 2001319106A JP 2003121106 A JP2003121106 A JP 2003121106A
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drive
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Toru Matsubayashi
徹 松林
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Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 格別な付加装置を必要とせず、走行中の路面
の傾斜を的確に推定することのできる傾斜角推定手段を
備えた電動車椅子を提供する。 【解決手段】 車体2の両側の駆動輪3,3を駆動する
独立したモータM1,M2の各々の駆動電流I(1),
I(2)を検出し、その総和I=I(1)+I(2)で
表される総合的な負荷トルクに基いて路面の傾斜を推定
する。両側の駆動輪3,3に作用する負荷トルクを総合
的に評価して路面の傾斜を推定するので、斜面上の電動
車椅子1の重心移動によって左右の駆動輪3,3の負荷
トルクが一致しなくなった場合や電動車椅子1の旋回に
よって左右の駆動輪3,3の負荷トルクが一致しなくな
った場合であっても、路面の傾斜を適切に推定すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車椅子の改
良、特に、電動車椅子に装備される傾斜角推定手段の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】斜面の斜め登坂等における進行方向左右
のバンク角で生じる車両の重心移動を考慮して左右の駆
動輪のモータの駆動力を調整するための傾斜角測定手段
としては、例えば、特開平8−308028号に開示さ
れるように、重錘や可変抵抗を利用して構成した傾斜角
計測器が公知である。
【0003】また、単一のモータで駆動される電動車両
の分野では、進行方向の傾斜角を考慮して登り下りの際
の走行用モータの加減速特性を最適化するための傾斜角
測定手段として、特開平8−308029号に開示され
るように、走行用モータの駆動電流を測定して走行用モ
ータの負荷から路面の傾斜を演算するようにした傾斜角
検出手段が公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平8−3
08028号の傾斜角計測器は構造が複雑であり、ま
た、車両の振動等に伴う外乱の影響を排除する必要上、
重錘を懸吊するアームのスパンも或る程度長くする必要
があり、装置が大型化してしまうという欠点があった。
【0005】一方、特開平8−308029号の傾斜角
検出手段の場合は、走行用モータの駆動制御に必要とさ
れる電流検出手段を利用した演算処理によって路面の傾
斜角を推定することができるので、機械的な構造の複雑
化や装置の大型化といった問題はないが、飽くまでも、
単一のモータで駆動される電動車両を対象とした技術で
あるため、車体両側の駆動輪を独立したモータで個別に
駆動する車両には容易に適用できない問題がある。例え
ば、斜面の斜め登坂等で進行方向左右にバンク角が生じ
ると斜面下流側に車両の重心が移動し、斜面上流側に位
置する駆動輪に作用する負荷トルクに比べて斜面下流側
に位置する駆動輪に作用する負荷トルクの方が大きくな
るため、車体両側の駆動輪を独立して駆動するモータの
間に駆動電流の食い違いが生じ、モータの駆動電流(負
荷トルク)に基いて斜面の傾斜角を推定しても適切な結
果が得られなくなるといった不都合が生じる。また、車
両が旋回する場合にも、旋回方向外側に向かう加速度が
発生し、旋回方向外側の駆動輪に作用する負荷が増大す
るため、前記と同様、モータの駆動電流に基いて斜面の
傾斜角を推定することが難しくなるといった不都合があ
る。
【0006】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、前記従来技術
の欠点を解消し、格別な付加装置を必要とせず、走行中
の路面の傾斜を的確に推定することのできる傾斜角推定
手段を備えた電動車椅子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、車体両側の駆
動輪を独立したモータで個別に駆動する電動車椅子であ
って、前記目的を達成するため、特に、各モータの各々
に流れる駆動電流を検出する電流検出手段と、この電流
検出手段により検出された駆動電流の総和に基いて走行
中の路面の傾斜を推定する傾斜角推定機能を内蔵したモ
ータ制御用マイクロプロセッサとを備えたことを特徴と
する構成を有する。
【0008】車体両側の駆動輪を駆動する独立したモー
タの各々の駆動電流を検出し、その総和に基いて路面の
傾斜を推定するようにしているので、斜面の斜め登坂や
旋回等のように左右の駆動輪に対して異なる負荷トルク
が作用する場合であっても路面の傾斜を適切に推定する
ことができる。しかも、モータの駆動制御に必要とされ
る電流検出手段とモータ制御用マイクロプロセッサとを
流用して路面の傾斜を推定するため、格別な付加装置を
必要とせず、電動車椅子の製造コストを低く抑えること
ができる。
【0009】また、前記と同様の目的を達成するため、
電流検出手段により検出された駆動電流の平均に基いて
走行中の路面の傾斜を推定する構成としてもよい。
【0010】駆動電流の総和に代えて平均値を利用する
点が前記とは異なるが、作用および効果の点に関しては
前記と同様である。
【0011】更に、前記各構成に加え、推定された傾斜
が予め設定された傾斜角を越えたときに各モータの駆動
を強制停止する非常停止手段を併設することが可能であ
る。
【0012】一定角度以上の傾きを有する斜面の登坂が
自動的に禁止されるので、構造上テールヘビーとなりが
ちな電動車椅子の後方転倒の防止に効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について詳細に説明する。図1は本発明を適用し
た一実施形態の電動車椅子1の外観について示した斜視
図、また、図2は電動車椅子1の駆動系の構成の概略に
ついて示した要部ブロック図である。
【0014】図1に示される通り、本実施形態の電動車
椅子1は、車体2の後部両側に駆動輪3,3を有し、車
体2の前部両側には、車体2の旋回動作等に倣って自由
に向きを変えることのできる補助輪4,4を備える。つ
まり、補助輪4,4に操舵機能はなく、電動車椅子1の
前進,後退,旋回等の全ての動作制御は、車体2の両側
の駆動輪3,3の回転速度と回転方向を調整することに
よって行われる構造である。
【0015】電動車椅子1の肘掛の近傍にはジョイステ
ィック5が設けられ、利用者は、スティック6の操作量
および操作方向を調整することによって、電動車椅子1
の動作を自由に操ることができる。また、ジョイスティ
ック5のパネル上にはバッテリの残量を示す複数のLE
D23とメインスイッチ13および警告灯25とリセッ
トスイッチ26が併設されている。
【0016】駆動輪3,3は動力源となる図2のモータ
M1,M2によって各々独立的に回転駆動され、ジョイ
スティック5の操作状態に応じてモータM1,M2の駆
動制御を実施する制御装置8、および、その他の電気的
な構成要素は、車体2の下部に設けられた筐体7の内部
に収められている。
【0017】電動車椅子1の駆動系の構成は、概略にお
いて、図2のブロック図に示される通りである。
【0018】制御装置8は、電動車椅子1の駆動制御プ
ログラムを格納したROM9、および、ROM9の駆動
制御プログラムに従って電動車椅子1のモータM1,M
2を駆動制御するモータ制御用マイクロプロセッサ(以
下、単にCPUという)10と、演算データの一時記憶
等に利用されるRAM11とを備える。
【0019】CPU10のシステムバス24には入力回
路12が接続され、ジョイスティック5およびメインス
イッチ13とリセットスイッチ26からの信号が、入力
回路12を介してCPU10に読み込まれるようになっ
ている。また、右側の駆動輪3を回転駆動するモータM
1の回転速度を検出する車速センサ14からの速度フィ
ードバック信号と、左側の駆動輪3を回転駆動するモー
タM2の回転速度を検出する車速センサ15からの速度
フィードバック信号、および、図示を省略した車載バッ
テリに装着されたバッテリ残量計16からのバッテリ容
量信号も、入力回路12を介してCPU10に読み込ま
れるようになっている。
【0020】図2においてはA/D変換器等の公知要素
については記載を省略しているが、A/D変換器等につ
いては、車速センサ14,15やバッテリ残量計16と
入力回路12との間を始め、必要箇所に適宜設けるもの
とする。
【0021】そして、CPU10のシステムバス24に
接続された出力回路13には、モータM1,M2を駆動
するパワートランジスタとしてのインバータB1,B2
が接続され、CPU10からの指令(PWM制御信号)
に応じ、インバータB1,B2の各々が独立したデュー
ティ比で駆動されるようになっている。
【0022】また、右側の駆動輪3とモータM1との間
の動力伝達系に介装された電磁クラッチ19、および、
左側の駆動輪3とモータM2との間の動力伝達系に介装
された電磁クラッチ20は、CPU10からの指令に基
いて同時にON/OFF制御される。つまり、メインス
イッチ13がOFFとされた状態では、CPU10から
の指令によって電磁クラッチ19,20がOFFとさ
れ、モータM1,M2と駆動輪3,3との間の動力伝達
が解除されて、利用者による駆動輪3,3の手漕ぎ操
作、あるいは、付き添い人によるハンドル21,21の
手押し操作が許容され、また、メインスイッチ13をO
Nとした状態では、モータM1,M2と駆動輪3,3と
が電磁クラッチ19,20を介して接続されて、モータ
M1,M2の駆動力を利用した動力走行が実現される。
【0023】表示制御回路22は、CPU10からの指
令に基き、バッテリ残量計16からの信号出力、要する
に、バッテリの残量に応じて、ジョイスティック5に併
設された複数または単数のLED23を点灯させ、また
は、消灯させる。また、CPU10からの指令に応じて
警告灯25を点灯することにより、一定以上の傾きを有
する傾斜路を登坂していることを利用者に知らせる。
【0024】更に、モータM1,M2の各々には、駆動
電流を検出する電流検出手段としての電流計A1,A2
が接続され、各モータM1,M2に流れる電流の大き
さ、つまり、各モータM1,M2に作用している実質的
な負荷トルクの大きさが、入力回路12を介してCPU
10に読み込まれるようになっている。前述した通り、
図2においてはA/D変換器等に関する記載は省略して
いる。
【0025】CPU10によるモータM1,M2の速度
制御は、従来と同様、CPU10が車速センサ14,1
5からの速度フィードバック信号を読み込んでモータM
1,M2の実回転速度を検出し、モータM1,M2の実
回転速度がジョイスティック5の操作量に応じて設定さ
れた目標値よりも低い場合には、その速度偏差に応じて
インバータB1,B2のデューティ比を高く設定し直し
てモータM1,M2に供給される電力量を増加させるこ
とでモータM1,M2の実回転速度を増速させ、また、
これとは逆にモータM1,M2の実回転速度がジョイス
ティック5の操作量に応じて設定された目標値を上回っ
ている場合には、その速度偏差に応じてインバータB
1,B2のデューティ比を低く設定し直してモータM
1,M2に供給される電力量を減少させることによって
モータM1,M2の実回転速度を減速させて、モータM
1,M2の実回転速度をジョイスティック5で設定され
た目標値に一致させることによって達成される。
【0026】ジョイスティック5を用いた速度設定やモ
ータM1,M2の速度のフィードバック制御については
既に公知となっているので詳細な説明は省略し、以下、
図3〜図4に示す上限速度規制処理のフローチャートを
参照して、傾斜角推定機能を実現するための手段および
非常停止手段等として機能するCPU10の処理動作に
ついて詳細に説明する。この上限速度規制処理は、前述
した速度制御と実質的に並列して所定周期毎に繰り返し
実行されるタスク処理である。
【0027】所定周期毎の上限速度規制処理を開始した
CPU10は、まず、車両停止フラグFがリセット状態
に保持されているか否かを判定する(ステップs1)。
この車両停止フラグFは、所定値以上の傾斜(本実施形
態では10°)が検出されてモータM1,M2が強制停
止されたときにセットされるフラグであり、上限速度規
制処理を開始した直後の現時点ではリセット状態に保持
されているので、ステップs1の判定結果は必然的に真
となる。
【0028】従って、CPU10は、入力回路12を介
してジョイスティック5の操作状態を読み込み(ステッ
プs2)、ジョイスティック5の操作状態に基いて、左
右の駆動輪3,3を回転駆動するモータM1,M2の基
本目標速度Vを設定する(ステップs3)。但し、この
基本目標速度Vが直ちに最終的な回転速度の目標値にな
るわけではない。また、図3〜図4に示す上限速度規制
処理は所定周期毎のタスク処理として繰り返し実行され
ているので、基本目標速度Vの値は、ジョイスティック
5の操作状態の変化に応じて実質的にリアルタイムで変
化する。
【0029】次いで、CPU10は、モータM1の駆動
電流I(1)とモータM2の駆動電流I(2)の各々を
入力回路12および電流計A1,A2を介して読み込み
(ステップs4)、駆動電流I(1)と駆動電流I
(2)の大小関係を比較して(ステップs5)、大きな
駆動電流を消費しているモータを特定する指標iの値を
求めた後(ステップs6,ステップs7)、ROM9に
予め記憶されている図5のようなモータ特性表を参照し
て、現時点におけるモータ駆動電流I(i)、つまり、
負荷の大きな方の駆動輪3を回転駆動しているモータM
(i)の駆動電流に対応するモータ回転速度の最大値、
要するに、現在の負荷トルク状態においてモータM
(i)が達成することのできる最大の回転速度を求め、
この値を目標回転速度の許容最大値Vmaxとして一時
記憶する(ステップs8)。このようにして負荷トルク
の大きな方のモータM(i)を基準として目標回転速度
の許容最大値Vmaxを決めるのは、左右双方のモータ
M1,M2が同時に達成可能なモータ回転速度の最大値
を得るためである(負荷トルクの小さな方のモータを基
準にしてモータ回転速度の最大値を決めると、負荷トル
クの大きな方のモータが回転速度の最大値を達成できな
くなって直進動作の不安定化等の問題が生じる場合があ
る)。
【0030】次いで、傾斜角推定機能実現手段としての
CPU10は、ステップs4の処理で読み込んだ駆動電
流I(1)の値と駆動電流I(2)の値とを加算して駆
動電流の総和Iを求め(ステップs9)、駆動電流の総
和Iが設定値2・I(10°)を越えているか否かを判
定する(ステップs10)。
【0031】ここで、I(10°)は、勾配10°の登
り坂を電動車椅子1が標準的なスピードで定速走行する
際に同一規格のモータM1,M2の各々に必要とされる
モータ駆動電流であり、設定値2・I(10°)は、そ
の2倍の値である。従って、ステップs10の判定処理
では、実質的に、電動車椅子1が10°以上の勾配を登
坂方向に走行しているか否かが判定されることになる。
なお、駆動電流I(1)と駆動電流I(2)の平均値で
ある〔I(1)+I(2)〕/2とI(10°)との大
小関係を比較しても判定結果は同一である。
【0032】この実施形態では電動車椅子1が難なく安
全に走行できる登坂角度として十分な余裕をみて10°
を基準としているが、この値は電動車椅子の構造上の特
性等によっても異なるので、走行を許容する登坂角度や
設定値2・I(10°)の値は、電動車椅子の特性に合
わせて決めるものとする。
【0033】ステップs10の判定結果が真となった場
合、つまり、電動車椅子1が10°以上の斜面を登坂し
ていると判定された場合には、非常停止手段の一部を構
成するCPU10が補正値MODに所定値αを加算して
補正値MODの値を増加方向に修正し(ステップs1
1)、また、ステップs10の判定結果が偽となった場
合、要するに、電動車椅子1が10°未満の斜面を登坂
しているか、平地を走行しているか、もしくは、下り斜
面を走行していると判定された場合には、CPU10が
補正値MODから所定値αを減算し、補正値MODの値
を減少方向に修正する(ステップs12)。補正値MO
Dの初期値(電源投入時の値)は0である。
【0034】次いで、CPU10は、速度制限値の初期
値V’から補正値MODを減じ、現在の走行状況に適
した速度制限値V’maxを算出する(ステップs1
3)。前述したステップs10〜ステップs12の処理
からも明らかなように、電動車椅子1が10°以上の斜
面を登坂している場合には補正値MODが徐々に増大す
るので速度制限値V’maxの値は徐々に減少し、ま
た、これとは逆に電動車椅子1が10°未満の斜面を登
坂しているか、平地を走行しているか、もしくは、下り
斜面を走行している場合には補正値MODが徐々に減少
するので、速度制限値V’maxの値は徐々に増大する
ことになる。速度制限値の初期値V’は、モータ駆動
電流が0の時の最大回転速度である。
【0035】次いで、非常停止手段としてのCPU10
は、速度制限値V’maxの現在値が0未満になってい
るか否か、つまり、電動車椅子1を停止させる必要があ
るか否かを判定する(ステップs14)。
【0036】ステップs14の判定結果が真となった場
合には、電動車椅子1が10°以上の斜面を継続して登
坂していること、つまり、電動車椅子1の駆動を停止さ
せる必要があることを意味するので、非常停止手段とし
てのCPU10が速度制限値V’maxに0、つまり、
モータM1,M2の実質的な駆動を禁止する値を設定し
(ステップs15)、更に、表示制御回路22を作動さ
せて警告灯25を点灯することにより強制停止の状態を
利用者に知らせ(ステップs16)、同時に、車両停止
フラグFをセットすることにより、強制停止の処理が行
われたことを内部的に記憶する(ステップs17)。
【0037】一方、ステップs14の判定結果が偽とな
った場合、つまり、電動車椅子1の駆動を停止する必要
がないと判定された場合には、CPU10は、更に、速
度制限値V’maxの現在値がステップs8の処理で求
められた目標回転速度の許容最大値Vmaxを越えてい
るか否かを判定し(ステップs18)、速度制限値V’
maxの現在値が目標回転速度の許容最大値Vmax
越えている場合には、速度制限値V’maxの値を目標
回転速度の許容最大値Vmaxに規制し、それ以上の値
にならないようにする(ステップs19)。
【0038】このようにして速度制限値V’maxの現
在値が目標回転速度の許容最大値V maxを越えてしま
うのは、電動車椅子1が10°未満の斜面を登坂してい
るか、平地を走行しているか、もしくは、下り斜面を走
行している状態で前述のステップs10の判定結果が偽
となり続けてステップs12の処理で補正値MODが連
続的に減少方向に修正された場合であるから、このよう
な走行状態が続くと、補正値MODの値が限りなく減少
方向に修正されて行き、これに呼応して速度制限値V’
maxの値が限りなく増大して行くといった問題が生じ
る。
【0039】無論、そのような場合であっても前述した
ステップs19の処理によって速度制限値V’max
取り得る値の最大値は目標回転速度の許容最大値V
max以下に規制されるが、補正値MODの値が減少方
向に過剰に積算されると、電動車椅子1の走行状態が1
0°未満の斜面,平地,下り斜面等の走行から10°以
上の斜面の登坂に移行した際に、補正値MODの値が正
の値に転じるのに時間的な遅れが生じ、速度制限値V’
maxの値が中々0未満とならず、10°以上の斜面を
登坂する電動車椅子1の非常停止に要する時間が増長さ
れるといった可能性がある。
【0040】そこで、ステップs18の判定結果が真と
なって速度制限値V’maxの現在値が目標回転速度の
許容最大値Vmaxを越えた場合には、CPU10は、
補正値MODの値に減少方向の過剰な修正が加えられた
ものと見做し、補正値MODに所定値αを加算して、補
正値MODの現在値を当該処理周期におけるステップs
12の処理が行われる前の値に戻す(ステップs2
0)。
【0041】これにより、電動車椅子1の走行状態が1
0°未満の斜面,平地,下り斜面等の走行から10°以
上の斜面の登坂に移行した際の強制停止の遅れが未然に
防止される。
【0042】また、ステップs18の判定結果が偽とな
った場合には、速度制限値V’ma の値は0以上V
max以下の適正な範囲内にあることを意味するので、
CPU10は、速度制限値V’maxの現在値をそのま
ま保持する。
【0043】次いで、CPU10は、現在の走行状況に
適した速度制限値V’maxの値とジョイスティック5
の操作状態に基いて設定された基本目標速度Vとの大小
関係を比較し(ステップs21)、基本目標速度Vが速
度制限値V’maxの範囲内にあれば基本目標速度Vの
値を最終的な回転速度の目標値V’としてそのまま設定
し(ステップs22)、また、基本目標速度Vが速度制
限値V’maxを越えている場合には、ジョイスティッ
ク5の操作を無視し、速度制限値V’maxの値を最終
的な回転速度の目標値V’として設定する(ステップs
23)。
【0044】以上に述べた上限速度規制処理がCPU1
0によって所定周期毎のタスク処理として繰り返し実行
され、これと略並列して、速度制御手段としてのCPU
10が速度制御のタスク処理において最終的な回転速度
の目標値V’の値を読み込み、この値と車速センサ1
4,15からの速度フィードバック信号とに基いて速度
偏差を検出し、この速度偏差を解消するようにインバー
タB1,B2のデューティ比を調整することによって速
度のフィードバック制御を行う。
【0045】従って、電動車椅子1が10°未満の斜
面,平地,下り斜面等を走行している状態では、速度制
限値V’maxの値が目標回転速度の許容最大値V
maxに保持され、利用者は、ジョイスティック5の操
作で基本目標速度Vを設定することにより、目標回転速
度の許容最大値Vmaxの範囲内で、モータM1,M2
に過負荷を生じさせることなく、自由に電動車椅子1を
走行させることができる。
【0046】また、電動車椅子を10°以上の斜面で登
坂させた場合には、補正値MODの値が徐々に増大する
と共に速度制限値V’maxの値が徐々に減少するの
で、スティック6を目一杯操作したとしても、最終的な
回転速度の目標値V’の値は徐々に減少方向に向かい、
最終的に、速度制限値V’maxの値が0を下回った段
階でモータM1,M2の駆動が停止し、電動車椅子1が
強制停止されて警告灯25が点灯されることになる。
【0047】このようにして電動車椅子1が強制停止さ
れた場合には車両停止フラグFがセットされて上限速度
規制処理におけるステップs2以降の処理が非実行とさ
れるため、最終的な回転速度の目標値V’の書き替えが
禁止され、最終的な回転速度の目標値V’の値が車両停
止フラグFをセットした時の値0に保持されるので、前
述の速度制御によって、電動車椅子1はそのまま停止状
態に保持されることになる。
【0048】そして、車両停止フラグFがセットされた
場合には、利用者によるリセットスイッチ26の操作の
有無が、所定周期毎の上限速度規制処理においてCPU
10に判定される(ステップs24)。
【0049】ここで、リセットスイッチ26の操作が検
出されると、CPU10は、警告灯25を消灯して補正
値MODの値を0に初期化し(ステップs25,ステッ
プs26)、更に、車両停止フラグFをリセットして初
期状態に復帰し(ステップ27)、再び、目標回転速度
の許容最大値Vmaxの範囲で、ジョイスティック5の
操作に基く基本目標速度VによるモータM1,M2の速
度制御を許容する。
【0050】以上、一実施形態として、電動式車椅子1
の走行路が10°以上の登り斜面であるか否かを判定
し、10°以上の登り斜面である場合にモータM1,M
2を減速停止させて電動車椅子1を強制停止して警告灯
25を点灯させる例について説明したが、前述した通
り、ステップs10における比較値2・I(10°)の
設定を変えることにより、任意の傾斜角を検出して電動
車椅子1を停止させることができる。
【0051】また、この実施形態では走行路が10°以
上の登り斜面であるか否かの判定のみを行っているが、
駆動電流の総和Iを様々な駆動電流値2・I(5°),
2・I(10°),2・I(15°),・・・等と比較
することにより、走行路の傾斜角を更に詳しく判定する
ようにすることも可能である。
【0052】前述した実施形態では、傾斜の判定結果に
基いて電動車椅子1を強制停止するようにしているが、
判定結果を必ずしも電動車椅子1の駆動制御に結び付け
る必要はなく、例えば、ランプの点灯や液晶ディスプレ
イ等に路面の傾斜角を表示するだけであってもよいし、
この判定結果を停止処理以外の他の駆動制御、例えば、
特開平8−308029号に見られるような、坂道の登
り下りの加減速制御に適用することも可能である。
【0053】何れの場合も、両側の駆動輪3,3を回転
駆動するモータM1,M2の駆動電流の総和I(または
平均値)を用いて判定処理を行うことで、斜面上の電動
車椅子1の姿勢変化に伴う重心移動によって生じる左右
のモータM1,M2の駆動電流I(1),I(2)のバ
ラツキが負荷トルクの検出に基く傾斜判定に及ぼす悪影
響を解消し、路面の傾斜判定を適切に行うことができる
ようになる。
【0054】更に、平地を旋回走行する際に作用する横
方向の加速度の影響で左右両側の駆動輪3,3の負荷ト
ルクが変動したような場合であっても、両方の駆動輪
3,3に作用する負荷トルクが駆動電流の総和(または
平均値)によって総合的に評価されるので、何れか一方
のモータM1あるいはM2の駆動電流を検出して勾配を
判定する場合とは違い、旋回動作を斜面の登りとして判
定するといった判定ミスを確実に防止することができ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明の電動車椅子は、車体両側の駆動
輪を駆動する独立したモータの各々の駆動電流を検出
し、その総和もしくは平均値に基いて路面の傾斜を推定
するようにしているので、斜面の斜め登坂や旋回等のよ
うに左右の駆動輪に対して異なる負荷が作用する場合で
あっても、路面の傾斜を適切に推定することができる。
しかも、モータの駆動制御に必要とされる電流検出手段
とモータ制御用マイクロプロセッサとを流用して路面の
傾斜を推定するため、格別な付加装置を必要とせず、電
動車椅子の製造コストを低く抑えることができる。
【0056】更に、路面の傾斜が予め設定された傾斜角
を越えた場合には、モータの駆動を強制停止して一定角
度以上の傾きを有する斜面の登坂を自動的に禁止するよ
うにしているので、構造上テールヘビーとなりがちな電
動車椅子の転倒を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の電動車椅子の外
観について示した斜視図である。
【図2】同実施形態の電動車椅子の駆動系の構成の概略
について示した要部ブロック図である。
【図3】同実施形態の電動車椅子に配備されたモータ制
御用マイクロプロセッサ(CPU)によって実施される
上限速度規制処理の概略を示したフローチャートであ
る。
【図4】上限速度規制処理の概略を示したフローチャー
トの続きである。
【図5】モータ特性表の一例を示した概念図である。
【符号の説明】
1 電動車椅子 2 車体 3 駆動輪 4 補助輪 5 ジョイスティック 6 スティック 7 筐体 8 制御装置 9 ROM 10 モータ制御用マイクロプロセッサ(傾斜角推定機
能実現手段,非常停止手段) 11 RAM 12 入力回路 13 メインスイッチ 14 車速センサ 15 車速センサ 16 バッテリ残量計 19 電磁クラッチ 20 電磁クラッチ 21 ハンドル 22 表示制御回路 23 LED 24 システムバス 25 警告灯 26 リセットスイッチ M1,M2 モータ A1,A2 電流計(電流検出手段) B1,B2 インバータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体両側の駆動輪を独立したモータで個
    別に駆動する電動車椅子であって、 前記各モータの各々に流れる駆動電流を検出する電流検
    出手段と、前記電流検出手段により検出された駆動電流
    の総和に基いて走行中の路面の傾斜を推定する傾斜角推
    定機能を内蔵したモータ制御用マイクロプロセッサとを
    備えたことを特徴とする電動車椅子。
  2. 【請求項2】 車体両側の駆動輪を独立したモータで個
    別に駆動する電動車椅子であって、 前記各モータの各々に流れる駆動電流を検出する電流検
    出手段と、前記電流検出手段により検出された駆動電流
    の平均に基いて走行中の路面の傾斜を推定する傾斜角推
    定機能を内蔵したモータ制御用マイクロプロセッサとを
    備えたことを特徴とする電動車椅子。
  3. 【請求項3】 推定された傾斜が予め設定された傾斜角
    を越えると前記各モータの駆動を強制停止する非常停止
    手段を併設したことを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の電動車椅子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007287117A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Jae Woo Yang 単一ホールセンサーを利用した球形関節構造の非接触式電子ジョイステック{ContactlessElectronJoystickofUniversalJointStructureUsingSingleHoleSensor}
GB2460714A (en) * 2008-06-09 2009-12-16 Geoffrey John Harbach Electronic device for preventing instability in transport equipment
JP2015024015A (ja) * 2013-07-26 2015-02-05 アイシン精機株式会社 電動車椅子

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