JP2003120323A - ゼロエミッション発電システム - Google Patents

ゼロエミッション発電システム

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JP2003120323A
JP2003120323A JP2001312365A JP2001312365A JP2003120323A JP 2003120323 A JP2003120323 A JP 2003120323A JP 2001312365 A JP2001312365 A JP 2001312365A JP 2001312365 A JP2001312365 A JP 2001312365A JP 2003120323 A JP2003120323 A JP 2003120323A
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JP
Japan
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power generation
gnf
hydrogen
gas
generation system
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Application number
JP2001312365A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Agawa
阿川  義昭
Masashi Kubo
昌司 久保
Masatoshi Oba
昌俊 大庭
Toshiaki Nishii
俊明 西井
Yoshitaka Ishikawa
嘉崇 石川
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Electric Power Development Co Ltd
Ulvac Inc
Original Assignee
Electric Power Development Co Ltd
Ulvac Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二酸化炭素排出量を極力低減した石炭火
力発電システムの提供。 【解決手段】 発電設備の上流側にグラファイト・ナノ
・ファイバ(GNF)製造装置を設け、GNF製造装置の
上流側に合成ガスの精製装置を設けて、精製装置を、G
NF製造装置と共に、該精製装置の下流側に設けられた
発電設備にも連通するように構成し、精製装置で分離さ
れた一酸化炭素と水素の一部とをGNF製造装置へ送給
して、GNFが生成されるようにし、また、分離された
水素の残余部分を発電設備へ送給して、発電が行われる
ようにする。発電設備は、ガスタービン、または燃料電
池からなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭火力発電シス
テムに関する発明であり、特に、地球温暖化の原因とな
る二酸化炭素の排出量を低減することのできるゼロエミ
ッション発電システムに関する。この二酸化炭素排出量
低減プロセス中で生成されるグラファイト・ナノ・ファ
イバ(GNF)は、精密材料の強度補強材料、導電性保
持材料、タイヤの制動性向上材料、2次電池(Li電池
等)における負極材として、さらには水素吸蔵材料等と
して利用することができる。
【0002】
【従来の技術】(従来の技術の構成)従来の石炭火力発
電所のシステムフローを図1に示す。この火力発電シス
テムは、部分酸化炉1、脱硫炉2、生成ガス冷却器3、
サイクロンユニット(サイクロン)4、セラミックフィ
ルタユニット(セラミックフィルタ)5を有し、これら
の一連の炉およびユニット等は配管で接続されており、
部分酸化炉で生成された合成ガスを順次送給することが
できるように構成されている。セラミックフィルタ5に
は、ガスタービン6、ボイラ7が順次配管で接続され、
精製された合成ガスをガスタービンへ送給し、排出ガス
をボイラへ送給できるようになっている。この火力発電
システムは、さらに、酸化炉8、蒸気タービン9、復水
器10を有し、酸化炉8から蒸気タービン9、さらに復
水器10へと一連配管で接続され、復水器10はボイラ
7へ接続されている。
【0003】部分酸化炉1、脱硫炉2のそれぞれと酸化
炉8との間は配管で接続されており、部分酸化炉で生成
したチャー、脱硫炉で生成した硫化物を、それぞれ、酸
化炉へ供給できるようになっている。ボイラ7から生成
ガス冷却器3へ、また、生成ガス冷却器3から酸化炉8
へも配管が接続され、それぞれ、熱の移動ができるよう
になっている。酸化炉8から中間サイクロン11を経て
部分酸化炉1へも配管で接続され、固体微粒子の分離さ
れたガスを部分酸化炉1へ送ることができるように構成
されている。
【0004】(従来の技術の動作説明)上記した従来の
石炭火力発電システムの動作について図1に基づき説明
する。部分酸化炉1内に微粉砕された石炭と空気とを供
給し、石炭を燃焼させて部分酸化させ、一酸化炭素(C
O)と水素(H)にまで高温ガス化する。石炭を高温
ガス化すると、乾留ガス(一酸化炭素、水素、その他不
純物ガス(例えば、硫黄成分ガス)とタール(液体)と
が生成される。タールはさらに分解されてガスとなる。
部分酸化炉1内には、最終的に、乾留ガスおよびチャー
(固体)が残る。部分酸化炉1内で生成された乾留ガス
を脱硫炉2に送り、図中には示されていないが、この脱
硫炉で石灰石を混入して乾留ガスから硫黄成分を除去し
て、一酸化炭素と水素とを主体とした合成ガスを生成す
る。この合成ガスを生成ガス冷却器3に導入し、ガスの
温度を600℃から400℃まで降温せしめ、次いで、
サイクロン4、セラミックフィルタ5へと順次送給して
固体微粒子を分離・濾過する。その後、濾過された合成
ガスをガスタービン6へ送給して発電器6aを回転させ
て発電する。ガスタービン6では、上記合成ガス中の一
酸化炭素が酸化されて二酸化炭素(CO)に変換され
る。ガスタービン6で変換された二酸化炭素をボイラ7
に送給し、さらに除熱して大気中に排出する(7a)。
【0005】生成ガス冷却器3の冷却水(生成ガスとの
間で熱交換されて水蒸気となっている)は、酸化炉8に
送給されて、酸化炉における燃焼熱と熱交換を行い、さ
らに蒸気圧の高い水蒸気にされて蒸気タービン9に送給
され、発電器9aを回転させて発電を行うように構成さ
れている。蒸気タービン9で除熱された水蒸気は復水器
10へと送給され、さらにボイラ7に送給される。この
ようにして一連の蒸気のサイクルが形成されている。ま
た、脱硫炉2で形成されたCaSのような硫化物を酸化
炉8に送って燃焼せしめ、酸化炉から灰として排出する
(8a)。部分酸化炉1内に残留しているチャーも酸化
炉8に送られ、ここで空気を導入してさらに燃焼・酸化
が行われる。酸化炉8で発生した一酸化炭素と水素とを
中間サイクロン11に送給し、固体微粒子を分離・捕集
した後、部分酸化炉1に送還し、一連のサイクルを形成
するように構成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の石炭火力発電シ
ステムでは、ガスタービンを回転させるのに一酸化炭素
と水素とを使用しているので、一酸化炭素がこの部分で
酸化されて、地球の温暖化等に影響を及ぼす二酸化炭素
に変換され、多量の二酸化炭素が大気中に排出されてし
まうという問題がある。本発明の課題は、従来技術の持
つ問題点を解決すること、すなわち、二酸化炭素の排出
量を極力低減した石炭火力発電システムを提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、石炭火力
発電システムにおいて、石炭高温ガス化プロセスで生じ
る合成ガスを精製するための精製装置を設け、かつ、そ
の下流側にグラファイト・ナノ・ファイバ(GNF)製
造装置を設けることにより、該システムからの二酸化炭
素の排出を低減することに成功し、本発明を完成するに
至った。精製装置で合成ガスを分離・精製し、水素と一
酸化炭素とを得、この一酸化炭素と水素の一部とをGN
F製造装置に導入し、GNF製造装置内でグラファイト
・ナノ・ファイバ(GNF)を成長せしめ、カーボンを
固定する。分離された水素の残余部分は発電設備で利用
する。
【0008】本発明のゼロエミッション発電システム
は、石炭高温ガス化の機能を有する石炭火力発電システ
ムにおいて、石炭ガス化炉で生成した水素を利用して発
電を行う発電設備の上流側にGNF製造装置を設けたも
のである。この発電システムにおいては、該GNF製造
装置の上流側に、石炭ガス化炉で生成した合成ガスの精
製装置を設け、該精製装置を、該GNF製造装置と共
に、該精製装置の下流側に設けられた発電設備にも連通
するように構成し、該精製装置で分離された一酸化炭素
と水素の一部とを該GNF製造装置へ送給して、ここで
GNFが生成されるようにし、また、該分離された水素
の残余部分を該発電設備へ送給して、ここで発電が行わ
れるようにしてある。このように構成することにより、
二酸化炭素の排出量を極力低減することのできる石炭火
力発電システムが得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のゼロエミッション発電シ
ステムは、上記したように構成されており、発電設備
は、例えば、圧縮機、燃焼器およびガスタービンからな
るものであり、精製装置で分離された水素のうちGNF
製造装置へ送給された水素の残りの部分と圧縮機で加圧
された酸素とを精製装置に連通された燃焼器へ送給し、
次いで、燃焼器で得られたガスを用いてガスタービンに
より発電を行うように構成されていても良い。また、こ
の発電設備は、圧縮機および燃料電池からなるものであ
っても良く、分離された水素の残余部分と圧縮機で加圧
された酸素とを燃料電池へ送給して発電を行うように構
成されている。
【0010】本発明のゼロエミッション発電システムの
実施の形態として、次のように構成したシステムをあげ
ることができる。このシステムは、微粉砕された石炭や
酸素を高温で部分酸化させて一酸化炭素と水素とを主体
とした合成ガスに転換するためのガス化炉、得られた合
成ガスを冷却するための合成ガスクーラ、冷却された合
成ガス中の塵を取り除くための脱塵装置、および発電用
ガスタービン、さらに該合成ガスクーラに連通された蒸
気タービン発電設備を有する石炭火力発電システムにお
いて、該脱塵装置の下流側に、石炭ガス化炉で生成され
る合成ガスの精製装置を設け、また、該精製装置の下流
側にGNF製造装置を設け、さらに、該精製装置と該ガ
スタービンとの間に燃焼器を設けてなる。該精製装置で
分離された一酸化炭素と水素の一部とを該GNF製造装
置へ送給して、ここでGNFが生成されるようにし、ま
た、該分離された水素の残余部分と該燃焼器に連通され
た圧縮機で加圧された酸素とを燃焼器へ送給して、該燃
焼器で得られたガスを用いて該ガスタービンにより発電
を行うように構成されている。上記燃焼器、圧縮機およ
びガスタービンからなる発電設備の代わりに、燃料電池
および圧縮機からなる発電設備を上記精製装置に接続し
てなり、該燃料電池に連通された圧縮機で加圧された酸
素と該精製装置からGNF製造装置に送給された水素の
残余部分とを燃料電池に送給して発電を行うように構成
しても良い。
【0011】上記発電システムにおいて、ガス化炉に導
入される酸素は、例えば、圧力スイング吸着(PSA)
法により、圧力を変動させてゼオライト等に空気中の特
定の成分を吸着・脱離させ、分離した酸素を用いること
が好ましい。この酸素はまた、圧縮機に導入し、加圧さ
れて、燃焼器や燃料電池へ送られる。PSA装置で分離
された酸素以外の成分は排気される。
【0012】ガス化炉から合成ガスクーラへ送られる合
成ガスは高温含塵ガスであり、合成ガスクーラから脱塵
装置へ送られる合成ガスは低温含塵ガスである。合成ガ
スクーラで発生する水蒸気は蒸気タービンへ送られ、こ
こで発電が行われる。発電後の蒸気は復水器へ送り、熱
交換を行って水に戻し、発電設備からの水と合流して合
成ガスクーラへの給水として利用する。この合成ガスク
ーラは、合成ガスが流入する容器内に伝熱管を配置し
て、ガスの冷却だけでなく、水への熱回収を行っても良
く、あるいは、ガスクーラの部分では熱回収をせず、例
えば、ガスタービンの下流側に廃熱回収ボイラを設けて
熱回収しても良い。また、精製装置で分離された酸性ガ
ス(HS)はSまたは硫酸として回収するようにす
る。
【0013】次に、本発明のゼロエミッション発電シス
テムに組み入れることのできるGNF製造装置、燃料電
池について説明する。本発明において用いるGNF製造
装置としては、GNFを生成することができる装置であ
れば、特に制限されないが、例えば、次のような構成を
有する装置を用いることができる。
【0014】GNF製造装置として、真空ポンプが取り
付けられた減圧槽からなり、該減圧槽には一酸化炭素お
よび水素をそれぞれ導入するための原料ガス導入ライン
が設けられ、該減圧槽内には複数の鉄系金属プレートが
設置されているCVD法による成膜装置を用いることが
できる。該減圧槽内を真空引きした後、原料ガスとし
て、上記精製装置で分離された高温(400℃)の一酸
化炭素と水素の一部とを、それぞれ、該原料ガス導入ラ
インを経て減圧槽内へ導入し、熱CVD法により、高温
ガスで暖められたまたは加熱して所定の温度にされた該
金属プレート表面上に吸着された一酸化炭素を熱分解し
て該プレート上にGNFを生成せしめ、カーボンを固定
化する。該ガスの導入は、精製装置からの排出口と該減
圧槽の導入口とを連結し、直接減圧槽内へ導入すること
により行われる。このガスの温度は、通常、400℃〜
450℃程度であるので、一酸化炭素の分解反応が充分
に起こり、GNFを生成し得る範囲内である。このよう
な高温ガスを利用することにより、低エネルギーでかつ
環境にやさしい手法で、また、二酸化炭素の形成を極力
低減して、GNF粉体を生成することができる。該減圧
槽の外壁に水冷用パイプを設けても、また、該減圧槽の
内壁近傍にリフレクターを配置しても良い。該減圧槽内
には、該リフレクターの内側にさらに加熱手段を設けて
も良く、これにより、導入する一酸化炭素等のガスの温
度が低い場合に、所定の反応温度まで加熱することがで
きる。
【0015】また、本発明の発電システムに組み入れる
ことのできる燃料電池には、アルカリ水溶液方式、リン
酸水溶液方式、溶融炭酸塩方式、固体電解質方式等の燃
料電池がある。例えば、溶融炭酸塩方式の場合、上記精
製装置からの水素は燃料電池のアノード(Ni粒子焼結
体)に導かれ、Ni粒子表面でカソードから電解質板を
通して運ばれてきた炭酸イオンと反応して、水蒸気と二
酸化炭素と電子とを生成する。また、NiO粒子焼結体
であるカソードでは、酸素と二酸化炭素とが電子を得て
炭酸イオンとなる。この燃料電池では、上記圧縮機から
加圧された酸素が導入されて、アノードで二酸化炭素を
発生せしめ、カソードでこの二酸化炭素を消費して、発
電が行われる。さらに、本発明のゼロエミッション発電
システムでは、上記したような、(蒸気タービン+ガス
タービン)発電や、(燃料電池[+蒸気タービン])発電
とGNF製造との組み合わせの他に、例えば、(燃料電
池[+蒸気タービン+ガスタービン])発電や、(MHD
[+蒸気タービン+ガスタービン])発電とGNF製造と
の組み合わせであっても良い。
【0016】
【実施例】以下、本発明のゼロエミッション発電システ
ムの実施例を、図2および3を参照して説明する。図2
および3において、従来技術の石炭火力発電システムを
示す図1の場合と同じ構成要素については同じ符号を記
し、その詳細な説明は省略する。 (実施例1)
【0017】図2に示すゼロエミッション発電システム
は、ガス化炉(部分酸化炉)1、合成ガスクーラ(生成
ガス冷却器)3、脱塵装置(セラミックフィルタ)5、
および精製装置12を有し、これらの一連の炉および装
置等は配管で接続されており、ガス化炉で得られた合成
ガスを順次搬送することができるように構成されてい
る。精製装置12の下流側には、グラファイト・ナノ・
ファイバ(GNF)製造装置13が取り付けられてい
る。この発電システムは、さらに、ガス化炉の上流側に
圧力スイング吸着(PSA)装置14が配管で接続さ
れ、ここで空気の吸着分離を行い、ガス化炉1中へ酸素
のみを導入できるようになっている。合成ガスクーラ3
には、蒸気タービン9、発電器9aおよび給水のための
復水器10がそれぞれ配管で接続されている。また、精
製装置12には燃焼器15が配管で接続されており、こ
の燃焼器には圧縮機16ならびにガスタービン6および
発電器6aが配管で接続されている。このシステムを以
下述べるように動作した。
【0018】上記従来技術の場合と同様に、ガス化炉1
に石炭を投入し、一方、空気をPSA装置14を通して
分離した酸素のみをガス化炉1に導入した。空気中の酸
素以外の成分(窒素、アルゴン、その他)はPSA装置
から大気中へ排出した。石炭は、ガス化炉1内で燃焼・
酸化されて、乾留ガス(一酸化炭素(CO)と水素(H
)とその他不純物ガス(例えば、硫黄成分ガス)から
なる)等が生成されると共に、チャー(固体)も生成し
た。ガス化炉1内には、最終的に、乾留ガスおよびチャ
ー(固体)が残った。この高温含塵合成ガスを合成ガス
クーラ3に送給し、ガスの温度を600℃から200℃
まで降温し、次いで、冷却された低温含塵合成ガスを脱
塵装置5に送った。この時点でチャーは、脱塵装置5か
ら、ガス化炉1に戻して、再度、燃焼・酸化処理を行っ
た。脱塵装置5を通過した乾留ガス(COとH)を精
製装置12に導入し、一酸化炭素と水素とを分離した。
その際、残留した硫黄(S)と水素とが結合して酸性ガ
ス(HS)を形成した。この酸性ガスは水と反応させ
て硫酸(HSO)として回収した。
【0019】精製装置12で分離された一酸化炭素と水
素をGNF製造装置に導入した。この際、水素について
は、GNF製造装置へ導入した一酸化炭素の30%〜4
0%量に相応するガス流量をGNF製造装置(出願番
号:特願平2001−089939)へ供給するするよ
うにし、残りの水素は以下述べるように発電設備へ送給
した。GNF製造装置13に導入された一酸化炭素と水
素とを加熱された触媒金属上に吹きつけると、触媒金属
上で成長反応が起こり、グラファイト・ナノ・ファイバ
(GNF)として成長し、カーボンが固定された。GN
F製造装置13で未反応の成分が生じる場合は、適宜処
理して大気中に放出する。GNF製造装置13から生成
したGNFを粉体として取り出した。このGNF粉体は
上記したような各種用途に利用することができる。
【0020】上記PSA装置14から得られる酸素の一
部を圧縮器16に送給し、この酸素を、精製装置12か
らGNF製造装置13に送給された水素の残りの水素と
一緒に燃焼器15内に導入して燃焼し、高温高圧にし
て、ガスタービン6に送給し、発電機6aを回転させて
発電した。発電後にガスタービン6から排出される酸素
と水素は水蒸気となり、補給水として利用するため復水
器10の出口側に合流接続される。また、合成ガスクー
ラ3で発生した水蒸気を蒸気タービン9に導入し、発電
機9aで発電する。発電後の水蒸気を復水器10へ送
り、海水で熱交換を行って除熱して水に戻し、さらに上
記したガスタービン6からの水蒸気と合流して、合成ガ
スクーラ3に環流した。このようにして、一連の水蒸気
のサイクルが形成されている。ガス化炉1および脱塵装
置5で生じた灰は、取り出して処分した。
【0021】(実施例2)実施例1では発電設備とし
て、燃焼機、ガスタービンからなるものを用いたが、こ
の部分を燃料電池に代えても電力を発生させることがで
きる。図3に燃料電池を用いたゼロエミッション発電シ
ステムの場合を示す。図3に示すゼロエミッション発電
システムは、図2に示す構成要素のうち燃焼器15、ガ
スタービン6および発電器6aを燃料電池17に代えた
ものであり、残りの構成要素は同一であるので、以下、
燃料電池17の動作について述べる。
【0022】燃料電池17は精製装置12に接続されて
おり、この燃料電池には圧縮機16が接続されている。
PSA装置14で分離された酸素の一部を圧縮器16に
送給し、この酸素を加圧・加熱して、精製装置12から
GNF製造装置13に送給した水素の残りの水素と一緒
に燃料電池17に送給し、発電せしめた。発電後に燃料
電池17から排出される酸素と水素は水蒸気となり、補
給水として利用するため復水器10の出口側に合流接続
させた。 (実施例3)
【0023】本実施例では、実施例1および2において
用いたGNF製造装置についてさらに詳細に検討した。
すなわち、減圧槽の外壁に、減圧槽内の温度を反応温度
(600℃)以下に保つための水冷用パイプを設け、ま
た、減圧槽内には減圧槽の内壁近傍にリフレクターを設
けると共に、さらに所望によりリフレクターの内側にヒ
ータ等の加熱手段を固設して、減圧槽内の熱効率を向上
するように構成したGNF製造装置を用いて、GNF粉
末の生成を観測した。高温の原料ガスを鉄系金属プレー
トと接触させて反応を行わせるが、その際に用いる原料
ガスとして、実施例1および2において用いた一酸化炭
素および水素を用いて行った。
【0024】まず、減圧槽に設けた仕切バルブを開状態
にし、真空ポンプを作動させて、減圧槽内を0.1To
rr程度に真空引きした後に、上記高温の一酸化炭素ガ
ス(700℃)700リットル/分を減圧槽内に導入し
た。減圧槽内に導入された一酸化炭素含有高温ガスによ
り金属プレートを暖めて、金属プレートを所定の温度
(600℃)まで上昇させると共に、仕切弁、ガス流量
調整器、仕切弁、レギュレータ、及び水素ボンベからな
る水素導入系を経て、水素300リットル/分を一酸化
炭素と同時に導入し、CVD法により、金属プレートの
表面に吸着された一酸化炭素を分解し、該プレート上に
GNFを生成させたて、カーボンを固定化せしめた。
【0025】所定の時間GNFを生成せしめた後、一酸
化炭素および水素の導入を止め、仕切弁を開放し、真空
ポンプを作動させて減圧槽内に残留しているガスを引き
きった。その後、ベントバルブより大気を導入して減圧
槽内を大気圧に戻し、減圧槽の扉を開けて金属プレート
を取り出した。取り出された各金属プレートの表面上に
はGNFが生成しており、これをへら等でこそげ落とし
てGNF粉体を採取した。上記のようにして得られたG
NF粉体は、SEM観察によれば、カールを巻いている
ことが分かった。また、加熱された減圧槽内は、その熱
と冷却チューブ内の水との熱交換により絶えず反応温度
(200℃)以下に保たれるので、減圧槽内壁等にGN
F等のカーボンが付着することはなく、減圧槽内が汚れ
ることはなかった。なお、減圧槽内の温度が反応温度以
下になった場合は、ヒータ等の加熱手段により加熱する
ことができる。
【0026】(実施例4)実施例3で用いた一酸化炭素
や水素の温度が、300℃程度に下がったものを用いな
ければならない場合は、以下のような方法で行うことが
できる。金属プレートとして鉄基板を用い、この鉄基板
を加熱手段を備えた減圧槽内に設置し、減圧槽内を1P
aの真空にした。その後、一酸化炭素と水素とを減圧槽
内へ導入し、1気圧でガスフローし、ヒータ等の加熱手
段により650℃に加熱し、30分間反応させた。水素
の導入割合は、50容量%以上であった。上記反応終了
後に取り出した基板の表面上にはGNFが生成してお
り、へら等でこそげ落として粉体を採取した。得られた
GNF粉体は、SEM観察によれば、カールを巻いてお
り、実施例3で作製したGNF粉体と同じものができて
いることが確認された。上記実施例で用いた装置が通常
の熱CVD装置と異なる点は、原料ガスが高温であるた
め、加熱を全然行わないか、または、加熱を行ったとし
ても非常に少ないエネルギーで済むこと、また、石炭火
力発電システムで生成されるガスを使っているため、炭
素供給ガスをわざわざ生成する手間を省くことができる
ことである。
【0027】
【本発明の効果】本発明のゼロエミッション発電システ
ムによれば、従来の石炭火力発電システムに精製装置お
よびグラファイト・ナノ・ファイバ製造装置が取り付け
られている。そのため、精製装置で分離された水素を発
電設備駆動用動力源として用い、さらに分離された一酸
化炭素と水素とを用いてグラファイト・ナノ・ファイバ
を生成することにより、大気中に排出されるガスのうち
地球温暖化に影響を与える二酸化炭素の排出量を大幅に
低減することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の石炭火力発電システムフロー図。
【図2】 本発明のゼロエミッション発電システムの一
実施例を示すフロー図。
【図3】 本発明のゼロエミッション発電システムの別
の実施例を示すフロー図。
【符号の説明】
1 部分酸化炉(ガス化炉) 2 脱硫炉 3 生成ガス冷却器(合成ガスクーラ) 4 サイクロン
ユニット 5 セラミックフィルタ(脱塵装置) 6 ガスタービ
ン 6a 発電機 7 ボイラ 8 酸化炉 9 蒸気タービ
ン 9a 発電機 10 復水器 11 中間サイクロン 12 精製装置 13 グラファイト・ナノ・ファイバ(GNF)製造装置 14 圧力スイング吸着(PSA)装置 15 燃焼器 16 圧縮機 17 燃料電池
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 昌司 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500 株式会社アル バック内 (72)発明者 大庭 昌俊 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500 株式会社アル バック内 (72)発明者 西井 俊明 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎一丁目9番88号 電源開発株式会社茅ヶ崎研究センター内 (72)発明者 石川 嘉崇 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎一丁目9番88号 電源開発株式会社茅ヶ崎研究センター内 Fターム(参考) 3G081 BA02 BA20 BB00 BC04 BD00 DA22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭高温ガス化の機能を有する石炭火力
    発電システムにおいて、石炭ガス化炉で生成した水素を
    利用して発電を行う発電設備の上流側にグラファイト・
    ナノ・ファイバ(GNF)製造装置を設けたことを特徴
    とするゼロエミッション発電システム。
  2. 【請求項2】 前記GNF製造装置の上流側に、石炭ガ
    ス化炉において生成した合成ガスの精製装置を設け、該
    精製装置を、該GNF製造装置と共に、該精製装置の下
    流側に設けられた発電設備にも連通するように構成し、
    該精製装置で分離された一酸化炭素と水素の一部とを該
    GNF製造装置へ送給して、ここでグラファイト・ナノ
    ・ファイバ(GNF)が生成されるようにし、また、該
    分離された水素の残余部分を該発電設備へ送給して、こ
    こで発電が行われるようにしたことを特徴とする請求項
    1記載のゼロエミッション発電システム。
  3. 【請求項3】 前記発電設備が、圧縮機、燃焼器および
    ガスタービンからなり、前記分離された水素の残余部分
    と該圧縮機で加圧された酸素とを前記精製装置に連通さ
    れた燃焼器へ送給し、次いで、燃焼器で得られたガスを
    用いて該ガスタービンにより発電を行うように構成され
    ていることを特徴とする請求項2記載のゼロエミッショ
    ン発電システム。
  4. 【請求項4】 前記発電設備が、圧縮機および燃料電池
    からなり、前記分離された水素の残余部分と該圧縮機で
    加圧された酸素とを該燃料電池へ送給して発電を行うよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項2記載のゼ
    ロエミッション発電システム。
  5. 【請求項5】 微粉砕された石炭や酸素を高温で部分酸
    化させて一酸化炭素と水素とを主体とした合成ガスに転
    換するためのガス化炉、得られた合成ガスを冷却するた
    めの合成ガスクーラ、冷却された合成ガス中の塵を取り
    除くための脱塵装置、および発電用ガスタービン、さら
    に該合成ガスクーラに連通された蒸気タービン発電設備
    を有する石炭火力発電システムにおいて、該脱塵装置の
    下流側に、石炭ガス化炉で生成される合成ガスの精製装
    置を設け、また、該精製装置の下流側にグラファイト・
    ナノ・ファイバ(GNF)製造装置を設け、さらに、該
    精製装置と該ガスタービンとの間に燃焼器を設けてな
    り、該精製装置で分離された一酸化炭素と水素の一部と
    を該GNF製造装置へ送給して、ここでグラファイト・
    ナノ・ファイバ(GNF)が生成されるようにし、ま
    た、該分離された水素の残余部分と該燃焼器に連通され
    た圧縮機で加圧された酸素とを燃焼器へ送給して、該燃
    焼器で得られたガスを用いて該ガスタービンにより発電
    を行うように構成したことを特徴とするゼロエミッショ
    ン発電システム。
  6. 【請求項6】 前記燃焼器、圧縮機およびガスタービン
    からなる発電設備の代わりに、燃料電池および圧縮機か
    らなる発電設備を前記精製装置に接続してなり、該燃料
    電池に連通された圧縮機で加圧された酸素と該精製装置
    からGNF製造装置に送給された水素の残余部分とを燃
    料電池に送給して発電を行うように構成したことを特徴
    とする請求項5記載のゼロエミッション発電システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007237135A (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 Hitachi Zosen Corp セラミックフィルタおよびそのセラミックフィルタを用いたシステム
JP2012528931A (ja) * 2009-05-30 2012-11-15 メッサー グループ ゲーエムベーハー 電解槽における塩化水素またはアルカリ塩化物の水溶液の電解のための方法および装置

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